以下、コンタクトプローブ、プローブ装置、測定装置および検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、検査装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す検査装置1は、同図に示す回路基板100における複数の導体パターン101(プロービング対象体の一例であって、同図では2つの導体パターン101のみを図示している)のうちの任意の一対の導体パターン101の間の静電容量Cm(電気的物理量の一例)を測定すると共に、その静電容量Cmに基づいて回路基板100の良否を検査可能に構成されている。具体的には、検査装置1は、同図に示すように、基板保持部11、プローブ装置12a、プローブ装置12b(以下、プローブ装置12a,12bを区別しないときには「プローブ装置12」ともいう)、測定用信号生成部13、測定部14および制御部15を備えて構成されている。なお、検査装置1を構成する各構成要素のうちの、検査機能を除く各機能を有する構成要素によって測定装置が構成される。具体的には、測定装置は、基板保持部11、プローブ装置12、測定用信号生成部13、測定部14、並びに制御部15のうちのプローブ装置12、測定用信号生成部13および測定部14を制御する機能を有する部分によって構成される。
基板保持部11は、保持板と、保持板に取り付けられて回路基板100の端部を挟み込んで固定するクランプ機構(いずれも図示せず)とを備えて、回路基板100を保持可能に構成されている。
プローブ装置12a,12bは、図1,2に示すように、コンタクトプローブ71およびプローブ移動機構27をそれぞれ備えて構成されている。
コンタクトプローブ71は、プローブピン21、柱状体22、筒状体23、非導電性ボール24a、導電性ボール24b、スプリング支持板25およびスプリング26をそれぞれ備えて構成されている。なお、柱状体22、筒状体23、非導電性ボール24a、導電性ボール24b、スプリング支持板25およびスプリング26によって放電部が構成される。
プローブピン21は、図2に示すように、導電性を有する材料(例えば金属)によって断面が円形で先端が鋭利に形成されている。また、プローブピン21は、図外の導線を介して測定用信号生成部13および測定部14に接続されている。また、プローブピン21は、図2に示すように、検査処理の実行時において導体パターン101にプロービング(接触)させられる。
柱状体22は、図2に示すように、導電性を有する材料によってプローブピン21よりも大径の円柱状に形成されると共に、その外周面43に螺旋部の一例としての螺旋(らせん)状溝44を有して構成されている。この場合、螺旋溝44は、断面U字状に形成され、導電性ボール24bとの係合状態において、導電性ボール24bと面的または線的に接触する。また、柱状体22は、その軸線とプローブピン21の軸線とが同軸となるようにして、プローブピン21の基端部31に固定(配設)されてプローブピン21に電気的に接続されている。
筒状体23は、図2に示すように、導電性を有する材料によって柱状体22を挿通可能な円筒状(筒状の一例)に形成されている。また、筒状体23は、非導電性を有する絶縁層(図示せず)が内面53に形成されることにより、柱状体22に対して絶縁されている。また、筒状体23における先端部52側の内面53には、非導電性ボール24aを回転可能に保持する凹部54aが形成され、筒状体23における先端部52側の内面53には、導電性ボール24bを回転可能に保持する凹部54bが形成されている。この場合、凹部54bの内面には上記した絶縁層が設けられておらず、凹部54bの内面と導電性ボール24bとの間が電気的に接続可能となっている。また、筒状体23は、柱状体22を挿通させた状態でプローブピン21の軸線に沿って移動可能に配設されている。さらに、筒状体23は、図外の導線を介してグランド電位(基準電位)に接続されている。
非導電性ボール24aは、第1係合部の一例であって、硬質の非導電性材料(例えば、セラミックス)によって球状に形成されている。また、非導電性ボール24aは、図2に示すように、筒状体23の凹部54aに嵌め込まれ(圧入され)て、凹部54aから離脱せず、かつ回転可能な状態で筒状体23に保持されている。また、非導電性ボール24aは、柱状体22の外周面43に形成されている螺旋状溝44に係合している。この場合、非導電性ボール24aは、非導電性を有しているため、螺旋状溝44(柱状体22)に対して絶縁されている。また、非導電性ボール24aは、筒状体23の移動に伴って螺旋状溝44の内壁を押圧し、これによって柱状体22(柱状体22が固定されているプローブピン21)を回転させる(図3,5参照)。
導電性ボール24bは、第2係合部の一例であって、硬質の導電性材料(例えば、鉄)によって球状に形成されている。また、導電性ボール24bは、図2に示すように、筒状体23の凹部54bに嵌め込まれ(圧入され)て、凹部54bから離脱せず、かつ回転可能な状態で筒状体23に保持されている。この場合、導電性ボール24bは、自身が導電性を有し、かつ凹部54bの内面に絶縁層が設けられていないため、筒状体23に対して電気的に接続され、さらに筒状体23を介してグランド電位に接続される。また、導電性ボール24bは、凹部54bの内面に面的に接触しており、両者の接触面積が十分に大きくなっている。
また、導電性ボール24bは、図2に示すように、筒状体23が柱状体22の基端部41側に位置しているときには、柱状体22の螺旋状溝44に係合している。この場合、導電性ボール24bは、導電性を有しているため、この状態においては螺旋状溝44(柱状体22)に電気的に接続されている。また、導電性ボール24bは、筒状体23の移動に伴って螺旋状溝44の内壁を押圧し、非導電性ボール24aと共に柱状体22を回転させる。さらに、導電性ボール24bは、図4に示すように、筒状体23が柱状体22の先端部42側に位置しているときに、螺旋状溝44から離反して、柱状体22との電気的接続が解除される。
スプリング支持板25は、図2に示すように、非導電性を有しかつ摩擦係数が小さい材料(一例として、PTFEなどのフッ素系樹脂)によって円板状に形成されている。また、スプリング支持板25は、中心部に形成された挿通孔にプローブピン21の先端部32側が挿通された状態で、プローブピン21に対して回転可能に配設されている(つまり、スプリング支持板25に対してプローブピン21が回転可能な状態となっている)。
スプリング26は、付勢部材の一例であって、図2に示すように、プローブピン21を挿通させた状態で筒状体23とスプリング支持板25との間に配設されている。また、スプリング26は、基端部が筒状体23の先端部52に固定されると共に、先端部がスプリング支持板25に固定されて、スプリング支持板25が配設されているプローブピン21の先端部32側を筒状体23から離反させる向きに付勢する。また、スプリング26は、表面に非導電性を有する絶縁層(図示せず)が形成されており、プローブピン21、柱状体22および筒状体23に対して絶縁されている。
プローブ移動機構27は、コンタクトプローブ71をX−Y−Z方向に移動可能に構成されて、制御部15の制御に従って回路基板100の導体パターン101にプローブピン21の先端を接触(プロービング)させるプロービング処理を実行する。具体的には、プローブ移動機構27は、図1,2に示すように、スプリング26の付勢力によって筒状体23が柱状体22の基端部41側に位置している状態(以下、この状態を「初期状態」ともいう)のコンタクトプローブ71における筒状体23をアーム61で保持し、回路基板100の表面に沿った方向(X−Y方向)、および回路基板100に対して近接する向き(Z方向)にコンタクトプローブ71を移動させてプロービング処理を実行する。
また、プローブ移動機構27は、回路基板100の導体パターン101にプローブピン21の先端を接触させている状態において、スプリング26による付勢力に抗して筒状体23を柱状体22の先端部42側(導体パターン101)に向けて(図3における矢印Aの向きに)移動させ、これによってプローブピン21を回転させる回転処理を実行する。
さらに、プローブ移動機構27は、プローブピン21を回転させている状態において(回転処理に連続して)、スプリング26による付勢力に抗して筒状体23を柱状体22の先端部42側に向けてさらに移動させて螺旋状溝44から導電性ボール24bを離反させる離反処理を実行する。
また、プローブ移動機構27は、離反処理の実行後に、筒状体23を柱状体22の基端部41側に向けて移動させることで螺旋状溝44に導電性ボール24bを係合させて初期状態に復帰させる復帰処理を実行する。
この場合、このプローブ装置12では、上記したように、導電性ボール24bが螺旋状溝44に係合している状態においては、導電性ボール24bが柱状体22に電気的に接続されている。また、導電性ボール24bは、筒状体23を介してグランド電位に接続されている。このため、導電性ボール24bが螺旋状溝44に係合している状態においては、柱状体22に電気的に接続されているプローブピン21が、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してグランド電位に接続されている。また、このプローブ装置12では、回路基板100の導体パターン101にプローブピン21の先端を接触させている状態において回転処理が行われて、プローブピン21と導体パターン101との電気的接続が確実に行われる。したがって、このプローブ装置12では、プローブ移動機構27がプロービング処理および回転処理を実行することで、回路基板100の導体パターン101に電荷が蓄積されているときには、プローブピン21、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介して、その電荷が放電(ディスチャージ)される放電処理が静電容量Cmの測定前に行われる。
また、このプローブ装置12では、プローブ移動機構27が静電容量Cmの測定前の放電処理を行った後に離反処理を実行することで、導電性ボール24bが螺旋状溝44から離反させられて、静電容量Cmの測定が可能な状態となる。さらに、このプローブ装置12では、離反処理の実行後に復帰処理を実行することで、柱状体22の螺旋状溝44と導電性ボール24bとの係合が解除された状態から、両者が係合する初期状態に移行する。このため、プローブピン21が、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してグランド電位に接続され、測定直後の時点で回路基板100の導体パターン101に電荷が蓄積されているときには、プローブピン21、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してその電荷が放電される放電処理が静電容量Cmの測定直後に行われる。
測定用信号生成部13は、制御部15の制御に従って測定用電流It(一例として、交流定電流)を出力する。測定部14は、制御部15の制御に従い、各プローブピン21を介して測定用電流Itが供給されている2つの導体パターン101の間の電圧Vm(電気信号の一例)を入力して、その電圧値、測定用電流Itの電流値、並びにその電圧および電流の位相差に基づいて2つの導体パターン101間の静電容量Cmを測定する。
制御部15は、図外の操作部から出力される操作信号に従って検査装置1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、制御部15は、プローブ装置12のプローブ移動機構27によるプロービング処理、回転処理、離反処理および復帰処理を制御する。また、制御部15は、測定用信号生成部13による測定用電流Itの出力を制御する。
さらに、制御部15は、測定部14による静電容量Cmの測定を制御すると共に、測定部14によって測定された静電容量Cmに基づいて導体パターン101の良否を検査する。この場合、制御部15は、導電性ボール24bが柱状体22の螺旋状溝44から離反している状態において、つまりプローブピン21が柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してグランド電位(基準電位)に接続されていない状態において静電容量Cmを測定するように測定部14を制御する。
次に、検査装置1を用いて回路基板100における各導体パターン101の間の静電容量Cmを測定すると共に、測定した静電容量Cmに基づいて導体パターン101の良否検査を行う際の検査装置1の動作について、図面を参照して説明する。
まず、検査対象の回路基板100を基板保持部11における保持板(図示せず)に載置し、次いで、基板保持部11のクランプ機構(図示せず)で回路基板100の端部を挟み込んで固定することにより、回路基板100を基板保持部11に保持させる。続いて、図外の操作部を用いて検査開始操作を行う。この際に、制御部15が、操作部から出力された操作信号に従い、検査処理を実行する。この検査処理では、制御部15は、回路基板100に形成されている各導体パターン101の中から2つの導体パターン101を選択する。次いで、制御部15は、プローブ装置12a,12bの各プローブ移動機構27を制御して、導体パターン101に対するプロービング処理を実行させる。
このプロービング処理では、プローブ移動機構27は、図1に示すように、初期状態のコンタクトプローブ71における筒状体23をアーム61で保持し、導体パターン101の上方に筒状体23を移動させる。次いで、プローブ移動機構27は、図2に示すように、筒状体23(コンタクトプローブ71)を導体パターン101に向けて移動(降下)させて、プローブピン21の先端を導体パターン101に接触(プロービング)させる。
次いで、制御部15は、各プローブ移動機構27に対して回転処理を実行させる。この回転処理では、プローブ移動機構27は、図3に示すように、導体パターン101にプローブピン21の先端を接触させている状態において、スプリング26による付勢力に抗して筒状体23を柱状体22の先端部42側(導体パターン101)に向けて移動させる。この際に、両ボール24a,24bが筒状体23の移動に伴って螺旋状溝44の内壁を押圧し、これにより、柱状体22およびプローブピン21が螺旋状溝44の案内に従って同図に示す矢印Bの向きに回転させられつつ、プローブピン21が導体パターン101に対してやや押し込まれる。このため、例えば、導体パターン101の表面に非導電性の酸化膜が形成されていたとしても、回転によってプローブピン21がその酸化膜を貫通する結果、プローブピン21と導体パターン101との電気的接続が確実に行われる。
この場合、非導電性ボール24aおよび導電性ボール24bがそれぞれ球状に形成されて筒状体23の凹部54aおよび凹部54bにそれぞれ回転可能に配設されているため、各ボール24a,24bと螺旋状溝44との摩擦抵抗が低減される結果、柱状体22およびプローブピン21をスムーズに回転させることが可能となっている。
一方、導電性ボール24bが螺旋状溝44に係合している状態(プローブ移動機構27がプロービング処理および回転処理を実行しているとき)においては、図2,3に示すように、導電性ボール24bが柱状体22に電気的に接続されているため、柱状体22に電気的に接続されているプローブピン21が、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してグランド電位に接続されている。このため、回路基板100の導体パターン101に電荷が蓄積されているときには、プローブピン21、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してその電荷が放電される放電処理が静電容量Cmの測定前に行われる。
次いで、制御部15は、上記した回転処理に連続して(柱状体22の先端部42側(導体パターン101側)に向けての筒状体23の移動を停止させることなく)、各プローブ移動機構27に対して離反処理を実行させる。この離反処理では、プローブ移動機構27は、図4に示すように、導体パターン101にプローブピン21の先端を接触させている状態を維持しつつ、スプリング26による付勢力に抗して筒状体23を柱状体22の先端部42側(導体パターン101側)に向けて(同図における矢印Aの向きに)さらに移動させる。
次いで、図4に示すように、筒状体23の移動に伴って導電性ボール24bが螺旋状溝44から離反したときには、導電性ボール24bと柱状体22との電気的接続が解除されるため、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してのプローブピン21とグランド電位との接続が解除される。続いて、制御部15は、測定用信号生成部13を制御して測定用電流Itを出力させる。この際に、測定用信号生成部13から出力された測定用電流Itが、各プローブピン21,21を介して各導体パターン101,101に供給される。
次いで、制御部15は、測定部14を制御して、静電容量Cmの測定を実行させる。この際に、測定部14は、測定用電流Itの供給によって生じる導体パターン101,101の間の電圧Vmをプローブピン21,21を介して入力して、その電圧値、測定用電流Itの電流値、並びにその電圧および電流の位相差に基づいて導体パターン101,101の間の静電容量Cmを測定する。
次いで、制御部15は、測定用信号生成部13を制御して測定用電流Itの出力を停止させると共に、測定部14によって測定された静電容量Cmの値と基準値とを比較することによって導体パターン101,101の良否を検査する。
続いて、制御部15は、離反処理の実行後(静電容量Cmの測定の終了後)に、プローブ移動機構27に対して復帰処理を実行させる。この復帰処理では、プローブ移動機構27は、図5に示すように、筒状体23を柱状体22の基端部41側(導体パターン101側から離反する向きであって、同図に示す矢印Cの向き)に移動させる。
この際に、非導電性ボール24aが筒状体23の移動に伴って螺旋状溝44の内壁を押圧し、これにより、柱状体22およびプローブピン21が螺旋状溝44の案内に従って同図に示す矢印Dの向き(回転処理における向きとは逆向き)に回転させられつつ、導体パターン101に対するプローブピン21の押し込みが解除される。また、スプリング26がプローブピン21の先端部32側を筒状体23から離反させる向き(この例では、下向き)に付勢しているため、プローブピン21の先端が導体パターン101に接触している状態が維持される。
次いで、柱状体22の螺旋状溝44に導電性ボール24bが係合したときには、柱状体22に電気的に接続されているプローブピン21が柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介して、筒状体23に接続されているグランド電位に接続される。このため、この時点で回路基板100の導体パターン101に電荷が蓄積されているときには、プローブピン21、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介してその電荷が放電される放電処理が静電容量Cmの測定後に行われる。
次いで、図6に示すように、プローブ移動機構27が筒状体23を柱状体22の基端部41側にさらに移動させて初期状態に復帰したときには、スプリング26が伸びきってその付勢力が作用しなくなるため、プローブピン21の先端と導体パターン101との接触状態が解除される。続いて、プローブ移動機構27は、筒状体23を導体パターン101から離反する向きにさらに移動させてプローブピン21の先端を導体パターン101からさらに離反させる。
このプローブ装置12では、上記したように、プローブピン21、柱状体22、筒状体23、非導電性ボール24a、導電性ボール24bおよびスプリング26を備えてコンタクトプローブ71が構成されている。この場合、コンタクトプローブ71が搭載されるプローブ装置12におけるプローブ移動機構27に対して、上記したように、柱状体22の基端部41側に位置している状態の筒状体23を導体パターン101に向けて移動させて導体パターン101にプローブピン21を接触させるプロービング処理と、導体パターン101にプローブピン21を接触させている状態においてスプリング26の付勢力に抗して筒状体23を柱状体22の先端部42側に向けて移動させてプローブピン21を回転させる回転処理と、プローブピン21を回転させている状態においてスプリング26の付勢力に抗して筒状体23を柱状体22の先端部42側に向けてさらに移動させて螺旋状溝44から導電性ボール24bを離反させる離反処理とを実行させることで、このプローブ装置12では、プロービング処理および回転処理の実行によってプローブピン21、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介して、導体パターン101に蓄積されている電荷が放電されると共に、それに続いて離反処理を実行させることによって導体パターン101についての静電容量Cmの測定が可能な状態となる。
したがって、このプローブ装置12では、放電用のスイッチによって蓄積された電荷を放電する構成とは異なり、静電容量Cmの測定前または測定後におけるスイッチ動作が不要なため、数多くの導体パターン101についての静電容量Cmを測定する際においても、スイッチ動作に要する時間分だけ測定時間を十分に短縮することが可能となる。また、このプローブ装置12では、柱状体22、筒状体23および導電性ボール24bを備えて筒状体23をグランド電位に接続するだけの簡易な構成であり、かつ放電用のスイッチを含む放電用の専用の回路が不要となるため、その分、回路構成を簡素化することが可能となっている。
さらに、このプローブ装置12では、柱状体22の螺旋状溝44と導電性ボール24bとが面的または線的に接触するように構成することで、両者の接触面積を十分に大きくすることができ、また、筒状体23における凹部54bの内面と導電性ボール24bとが面的に接触するように構成することで、両者の接触面積を十分に大きくすることができるため、放電時におけるスパークの発生を低く抑えることができる結果、スパークの発生に起因する動作不良を十分に低減することが可能となっている。
また、このプローブ装置12では、上記したように、コンタクトプローブ71が搭載されるプローブ装置12におけるプローブ移動機構27に対して、導体パターン101とプローブピン21の先端との接触状態において回転処理を実行させることで、例えば、導体パターン101の表面に非導電性の酸化膜が形成されていたとしても、プローブピン21が回転によってその酸化膜を貫通する。このため、プローブピン21と導体パターン101との電気的接続が確実に行われる結果、導体パターン101に蓄積されている電荷が確実に放電されると共に、静電容量Cmの測定が正確に行われる。
次いで、制御部15は、新たに2つの導体パターン101を選択して、プローブ移動機構27、測定用信号生成部13および測定部14を制御して上記した各処理を実行させる。続いて、制御部15は、測定部14によって測定された静電容量Cmに基づき、新たに選択した導体パターン101,101の良否を検査する。以後、制御部15は、同様の制御および処理を実行する。
このように、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1では、プローブピン21、柱状体22、筒状体23、非導電性ボール24a、導電性ボール24bおよびスプリング26を備えてコンタクトプローブ71が構成されている。この場合、コンタクトプローブ71が搭載されるプローブ装置12におけるプローブ移動機構27に対して、柱状体22の基端部41側に位置している筒状体23を導体パターン101に向けて移動させて導体パターン101にプローブピン21を接触させるプロービング処理と、導体パターン101とプローブピン21との接触状態において筒状体23を柱状体22の先端部42側に向けて移動させてプローブピン21を回転させる回転処理と、プローブピン21の回転状態において筒状体23を柱状体22の先端部42側に向けてさらに移動させて螺旋状溝44から導電性ボール24bを離反させる離反処理とを実行させることで、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1によれば、プロービング処理および回転処理の実行によって、プローブピン21、柱状体22、導電性ボール24bおよび筒状体23を介して、導体パターン101に蓄積されている電荷を確実に放電させることができると共に、それに続いて離反処理を実行させることによって導体パターン101についての静電容量Cmの測定が可能な状態とさせることができる。
したがって、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1によれば、放電用のスイッチによって蓄積された電荷を放電する構成とは異なり、静電容量Cmの測定前または測定後におけるスイッチ動作が不要なため、数多くの導体パターン101についての静電容量Cmを測定する際においても、スイッチ動作に要する時間分だけ測定時間を十分に短縮することができる。また、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1によれば、柱状体22、筒状体23および導電性ボール24bを備えて筒状体23をグランド電位に接続するだけの簡易な構成であり、かつ放電用のスイッチを含む放電用の専用の回路が不要となるため、その分、回路構成を簡素化することができる。
さらに、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1によれば、柱状体22の螺旋状溝44と導電性ボール24bとが面的または線的に接触するように構成することで、両者の接触面積を十分に大きくすることができ、また、筒状体23の凹部54bと導電性ボール24bとが面的に接触するように構成することで、両者の接触面積を十分に大きくすることができるため、放電時におけるスパークの発生を低く抑えることができる結果、スパークの発生に起因する動作不良を十分に低減することができる。
また、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1によれば、コンタクトプローブ71が搭載されるプローブ装置12におけるプローブ移動機構27に対して、導体パターン101とプローブピン21との接触状態において回転処理を実行させることで、例えば、導体パターン101の表面に非導電性の酸化膜が形成されていたとしても、プローブピン21が回転によってその酸化膜を貫通させて、プローブピン21と導体パターン101とを電気的に確実に接続させることができる。したがって、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1によれば、導体パターン101の表面に非導電性の酸化膜が形成されているときにおいても、その導体パターン101に蓄積されている電荷を確実に放電することができると共に、その導体パターン101についての静電容量Cmを正確に測定することができる。
また、このコンタクトプローブ71、プローブ装置12、測定装置および検査装置1によれば、非導電性ボール24aを球状に形成して筒状体23の凹部54aに回転可能に配設し、導電性ボール24bを球状に形成筒状体23の凹部54bに回転可能に配設したことにより、各ボール24a,24bと柱状体22の螺旋状溝44との摩擦抵抗を十分に低減させることができる結果、柱状体22およびプローブピン21をスムーズに回転させることができる。
なお、プローブピン21の基端部31に柱状体22を固定した構成例について上記したが、プローブピン21と柱状体22とを一体に形成した構成を採用することができる。また、第1係合部の一例として、非導電性材料によって球状に形成した非導電性ボール24aを採用した例について上記したが、非導電性ボール24aは、少なくとも外面が非導電性材料で形成されていればよく、例えば、金属の球状体の外面に非導電性材料で形成した絶縁層を設ける構成を採用することができる。また、非導電性ボール24aに代えて、筒状体23の内面53から筒状体23の内側に突出する非導電性を有する突起部や、非導電性を有する螺旋を採用することもできる。
また、第2係合部の一例として、導電性材料によって球状に形成した導電性ボール24bを採用した例について上記したが、導電性ボール24bは、少なくとも外面が導電性材料で形成されていればよく、例えば、非導電性を有する球状体の外面に導電性材料で形成した導電層を設ける構成を採用することができる。また、導電性ボール24bに代えて、筒状体23の内面53から筒状体23の内側に突出する導電性を有する突起部や、導電性を有する螺旋を採用することもできる。
また、螺旋状溝44に代えて、螺旋部の他の一例としての螺旋状凸部(リブ)を柱状体22の外周面43に形成すると共に、そのリブに絶縁状態で係合する非導電性の凹部を非導電性ボール24aに代えて筒状体23の内面53に形成し、そのリブに電気的に接続された状態で係合する導電性の凹部を導電性ボール24bに代えて筒状体23の内面53に形成する構成を採用することもできる。
また、電気的物理量としての静電容量Cmを測定する構成について上記したが、電圧や電流などの他の電気的物理量を測定する際に用いるコンタクトプローブ71、プローブ装置12および測定装置に適用することもできる。また、2つのコンタクトプローブ71を備えて、2つのプローブ移動機構27が各コンタクトプローブ71に対して個別にプロービング処理および移動処理を実行する構成例について上記したが、回路基板100の各導体パターン101の形状や配設位置などに応じた配列パターンで複数のコンタクトプローブ71を配列した治具型の構成部品と、1つのプローブ移動機構27とを備え、検査処理の実行時において各コンタクトプローブ71のプローブピン21を各導体パターン101に一度に接触(プロービング)させるプロービング処理を実行すると共に、1つのプローブ移動機構27がその治具型の構成部品における各コンタクトプローブ71の筒状体23を一度に移動させて回転処理、離反処理および復帰処理を実行する構成を採用することもできる。