JP5322451B2 - 等速ジョイント、等速ジョイント外輪の製造方法およびその製造装置 - Google Patents
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Description
前記外輪は、前記カップ部分の内表面に、溝底に沿う断面形状が円弧状に形成される前記トラック溝、外輪の開口縁全周に沿って形成されるカップ入口チャンファ、前記内径球面と前記トラック溝との境界部に沿って形成されるトラックチャンファ、および、前記トラック溝とカップ入口チャンファとの境界部に前記トラック溝の円弧全域に沿って形成されるトラック入口チャンファを有し、このトラック入口チャンファは断面が凸曲線とされ、
前記外輪は、炭素成分が0.37wt%以上0.61wt%以下である機械構造用炭素鋼から成り、これらトラック溝、カップ入口チャンファ、トラックチャンファ、および、トラック入口チャンファが、冷間鍛造により仕上げられ、前記外輪の内径球面が、研削または焼入れ鋼切削により仕上げられていることを特徴とする。前記炭素成分が0.37wt%以上0.61wt%以下である機械構造用炭素鋼は、いわゆる調質鋼の範囲であり、日本工業規格、略称JISのG4051に規定されるS40C〜S58Cに相当する。
また、前記内径球面を研削または焼入れ鋼切削により仕上げているので、より高精度のケージの案内面を実現でき、円滑な動作を得ることができる。内径球面は、円滑な動作を得るために厳しい寸法精度、形状精度が要求されている。このように、特に厳しい精度の要求される内径球面のみを研削加工等することで、機械加工を最小限としながら、優れた機能と生産性とを両立させることができる。
炭素成分が0.37wt%以上0.61wt%以下である機械構造用炭素鋼に熱間鍛造または温間鍛造を施して、開口端に向けて広がりを持つカップ状の外輪前素材を成形する外輪前素材成形過程と、
前記外輪前素材に冷間鍛造を施して、この外輪のカップ部分の内表面における、溝底に沿う断面形状が円弧状に形成される前記トラック溝、外輪の開口縁全周に沿って形成されるカップ入口チャンファ、外輪の内径球面と前記トラック溝との境界部に沿って形成されるトラックチャンファ、および、前記トラック溝とカップ入口チャンファとの境界部に前記トラック溝の円弧全域に沿って形成され、断面が凸曲線とされるトラック入口チャンファを同時に成形する冷間鍛造過程と、
この冷間鍛造過程の後、外輪の内径球面を研削または焼入れ鋼切削する機械加工過程とを有することを特徴とする。
このように、鍛造加工後の後加工として外輪の内径球面だけを研削または焼入れ鋼切削すれば足りる。このため、従来の、冷間鍛造後に、内径球面、入口チャンファ、トラック入口チャンファを切削加工し、熱処理後にトラック溝、内径球面に研削加工する等複数の加工工程を省略することができる。それ故、歩留まりが向上し、外輪の製造コストの低減を図ることができる。その他請求項1と同様の作用、効果を奏する。
それぞれ前記トラック溝、カップ入口チャンファ、トラックチャンファ、トラック入口チャンファ、内径球面の仕上り形状に沿う形状を有するトラック溝成形部と、カップ入口チャンファ成形部と、トラックチャンファ成形部と、トラック入口チャンファ成形部と、内径球面成形部とが一体形成された分割パンチを、パンチベースの周囲に周方向隙間を介して円形に配列したパンチセットと、
このパンチセットの前記各成形部を同外輪前素材のカップ部分の内側に挿入した状態で、前記外輪前素材の外径を絞り込む絞り込みダイスとを有し、
前記パンチセットのうち分割パンチの内径球面成形部を、前記内径球面の取り代分だけ小さく形成しておき、前記パンチセットは、前記パンチベースを分割パンチ配列から軸方向の基端側へ移動させることで、分割パンチの配列径を縮径可能としたものである。
前記外輪は、前記カップ部分の内表面に、溝底に沿う断面形状が円弧状に形成される前記トラック溝、外輪の開口縁全周に沿って形成されるカップ入口チャンファ、前記内径球面と前記トラック溝との境界部に沿って形成されるトラックチャンファ、および、前記トラック溝とカップ入口チャンファとの境界部に前記トラック溝の円弧全域に沿って形成されるトラック入口チャンファを有し、このトラック入口チャンファは断面が凸曲線とされ、
前記外輪は、炭素成分が0.37wt%以上0.61wt%以下である機械構造用炭素鋼から成り、これらトラック溝、カップ入口チャンファ、トラックチャンファ、および、トラック入口チャンファが、冷間鍛造により仕上げられ、前記外輪の内径球面が、研削または焼入れ鋼切削により仕上げられているため、鍛造加工後の後加工を低減して加工工数の低減を図ると共に、歩留りの向上を図ることができ、かつ等速ジョイント外輪の剛性も確保できて、材質面からも実用化が可能となる。
以下、等速ジョイントの全体構成、構成部品、外輪成形金型、および外輪成形方法について順次説明する。
図1は等速ジョイントを示す。この等速ジョイントは、自動車のドライブシャフトの固定側端に設けられる。この等速ジョイントは、外輪1の球形内面2に複数の軸方向に沿うトラック溝3を形成し、内輪4の球形外面5に上記トラック溝3と同数のトラック溝6を設け、その外・内輪1,4のトラック溝3,6間に組込んだトルク伝達ボール7を、両輪1,4間に組込んだケージ8で保持している。トラック溝3,6の本数は、図示の例では、6本としているが、8本であっても、また他の本数であっても良い。外輪1の球形内面2は、上記トラック溝3によって、周方向に並ぶ複数の球形内面部分2a(内径球面に相当)に分かれている。
ケージ8は、外輪1の球形内面部分2aと内輪4の球形外面5とで接触案内される球面9a,9bを内外に有する。外輪1は、カップ部分1aと、このカップ部分1aの底部から軸方向に延びる軸部分1bとを有する。前記カップ部分1aの開口縁に沿ってカップ入口チャンファ11が形成されている。
また、図2(A)に示すように、外輪1のトラック溝3の有効深さH1 は、外輪1の軸心と直交して球形内面2の球面中心を含む直線より角度αsだけ外輪奥側に偏った位置イから外輪開口端に至る範囲にわたって均一深さとされている。
本実施形態では、外輪1の球形内面部分2aを冷間鍛造の後、研削仕上げとする。球形内面部分2aは、要求される精度が厳しい場合があり、その場合は、この球形内面部分2aのみ研削仕上げとすることにより要求精度を満たし得る。この場合、従来技術のものより、切削加工の工数を削減し、等速ジョイントの製造コストの低減を図ることができる。なお、球形内面部分2aの要求精度によっては、この球形内面部分2aを冷間鍛造仕上げとすることも可能である。
上記外径部16は、カップ部分1aの周壁部のうちカップ開口側の先端16sから、底部まで繋がる基端16kにわたる外周面全体を言う。一方、この外径部16の硬度が高過ぎると、外径部16のカップ開口側の外径面端縁部16a(図16参照)、ブーツ溝16bの旋削加工等の際、旋削工具の短寿命化等の原因になる。このため、外輪1の外径部16における外径面端縁部16a、ブーツ溝16b付近部の表面硬度を250HV以上350HV以下に規定している。
外輪1の外径部16における外径面端縁部16a、ブーツ溝16b付近部を、上記規定範囲内の表面硬度に規定することにより、外輪1のねじり強度を高めることができると共に、同外径部16の旋削加工等を容易化して工具寿命を長くすることが可能となる。
前記冷間鍛造された外輪1のカップ部分1aのうち、球形内面部分2aおよびトラック溝3に、高周波熱処理を施している。これにより、トルク伝達ボール7やケージ8の接触する外輪接触面を高強度化し、外輪1の耐久性の向上を図っている。この高周波熱処理後、球形内面部分2aについてのみ、焼入れ鋼切削または研削等の機械加工を施している。これにより、球形内面部分2aに対する厳しい要求精度を満たすことが可能となる。この球形内面部分2a要求精度によっては、前記機械加工を省略することも可能である。この場合、工数を削減し、製造コストの低減をさらに図ることができる。
図6、図7は、外輪成形金型となるパンチセット18と絞り込みダイス19とを示す。前記パンチセット18は、パンチセット本体20、パンチホルダ21、複数の分割パンチ22、パンチベース23、傘パンチ24、およびスプリング25を含む。このパンチセット18において、パンチセット本体20の上面に、パンチホルダ21を図示外のボルト等により固定している。
パンチセット本体20は、上方に開放する有底円筒状に形成され、この円筒孔20aの底面の中央部に、傘パンチ24の基端部を収容する孔部20aaが形成されている。パンチベース23の下端に設けられる突出部23aが前記円筒孔20aに入り込み、さらにこの突出部23aの端部23aaが前記底面に当接した状態で、パンチホルダ21のフランジ部21aがパンチセット本体20の上面の周縁部に固定される。
図13(A)に示すように、各割型仕切片26は、横断面が台形状ないし三角形状のテーパ状とされ、かつ図13(B)に示すように、各割型仕切片26の先端が上端側へ狭まるテーパ状の側面形状とされている。これら割型仕切片25間に各分割パンチ22を介在させる。
トラック溝成形部28が、分割パンチ22の上記略扇形の外周側面における周方向の中央に突出していて、トラック溝成形部28の両側に内径球面成形部27が設けられている。前記内径球面成形部27は、外輪1の球形内面部分2aを成形するための部分であり、前記略扇形の円弧に略対応して形成される。また内径球面成形部27は、特に図12に示すように、上下両端から高さ方向中間付近に向けて次第に半径方向外方に突出するような湾曲形状に形成される。トラック溝成形部28は、外輪1のトラック溝3を成形するための部分で、内径球面成形部27よりも径方向外方に突出する横断面形状が円弧状の突条に形成されている。
トラックチャンファ成形部29は、外輪1のトラックチャンファ12を成形するための部分である。このトラックチャンファ成形部29は、内径球面成形部27とトラック溝成形部28との境界部に沿って形成され、上端から下端まで延びる横断面形状が円弧状の突条に形成されている。
この傘パンチ24は、パンチベース23の小径孔23c、スプリング25を収容するばね収容孔23d、および支持部材32の孔部32aにわたって設けられている。これら小径孔23c、ばね収容孔23d、孔部32aは、同心位置に形成されている。前記小径孔23cはパンチベース本体23bの上部に形成され、ばね収容孔23dは小径孔23cよりもやや大径に形成され、パンチベース本体23bの長手方向中段、下段および突出部23aにわたって形成される。前記支持部材32は、パンチセット本体20の孔部20aaに嵌合されている。この支持部材32の上端部とばね収容孔23dの上端面との間に、前記スプリング25を介在させている。前記傘パンチ24は、このスプリング25により弾性付勢され上端の広がり部分24aで各分割パンチ22の上端面を受けている。
外輪前素材1Mは、図14、図15に示すように、温間鍛造、熱間鍛造、または亜熱間鍛造による塑性加工でカップ状に成形され、その開口部付近の周壁部分は開口端に向けて広がりを持ち、内周には分割パンチ22(図10)と同数のトラック溝3Mが形成されている。外輪前素材1Mの底部外面の中心には軸部1bが突出している。また、外輪前素材1Mのカップ部分1aの開口端面には、カップ入口チャンファ11Mが、おおよその形状に形成されている。
図6に示すように、この外輪前素材1Mを治具33に設けたうえで絞り込みダイス19の貫通孔部19aに挿入する。その後、絞り込みダイス19に対しパンチセット18を相対移動させると、傘パンチ24が、外輪前素材カップ部分1aの内表面における球面底部に当接し、分割パンチ22が同内表面におけるトラック溝に嵌合する。
これにより、外輪1のカップ部分1aの、トラック溝3、球形内面部分2a、トラックチャンファ12、カップ入口チャンファ11、およびトラック入口チャンファ13のそれぞれが、所定の形状、寸法に仕上げられる。
また、球形内面部分2aを研削または焼入れ鋼切削により仕上げているので、より高精度のケージ8の案内面を実現でき、円滑な動作を得ることができる。球形内面部分2aは、円滑な動作を得るために厳しい寸法精度、形状精度が要求されている。このように、特に厳しい精度の要求される球形内面部分2aのみを研削加工等することで、機械加工を最小限としながら、優れた機能と生産性とを両立させることができる。
冷間鍛造の後、球形内面部分2aおよびトラック溝3に、高周波熱処理を施しても良い。機械構造用炭素鋼は浸炭鋼よりも炭素量が多いため、この高周波熱処理を採用し得る。これにより、熱処理の時間短縮を図ると共に、焼入れ深さを深くすることができる。
この等速ジョイントは、図16右欄に示すように、外径面端縁部16aおよびブーツ溝16bを除くカップ部分1aの外径面が冷間鍛造により仕上げられている。前記「外径面」とは、カップ部分1aの周壁部においてカップ開口側の先端16sから、基端16kにわたる外周面全体のうち、カップ開口側の外径面端縁部16aおよび、ブーツの端部を保持するブーツ溝16bを除く残余の部分である。その他前述の図1に示す実施形態と同様の構成となっている。
また、ブーツ溝16bを除くカップ部分1aの前記外径面を冷間鍛造により仕上げているため、このカップ部分1aの外径面の硬度を高め、ねじり強度を高くすることができるうえ、加工工数を低減して製造コストの低減を図ることができる。
この等速ジョイントは、
図1、図2(B)に示すように、外輪1の球形内面部分2aが、冷間鍛造後、研削または焼入れ鋼切削により仕上げられ、
図16右欄に示すように、外径面端縁部16aおよびブーツ溝16bを除くカップ部分1aの前記外径面が冷間鍛造により仕上げられている。その他前述の図1に示す実施形態と同様の構成となっている。
また、前記球形内面部分2aを研削または焼入れ鋼切削により仕上げているので、球形内面部分2aの厳しい要求精度に対応することができる。
この製造方法は、機械構造用炭素鋼に熱間鍛造または温間鍛造を施して、開口端に向けて広がりを持つカップ状の外輪前素材1Mを成形する外輪前素材成形過程と、前記外輪前素材1Mに冷間鍛造を施して、この外輪1のカップ部分1aにおける外径面の表面硬度を250HV以上350HV以下に規定する冷間鍛造過程とを有する。
特に、外輪前素材1Mが浸炭鋼等ではなく機械構造用炭素鋼であり、カップ部分1aにおける外径面を冷間鍛造により仕上げているため、いわゆる外径面総削り品等よりも加工工数の低減を図ることができるうえ、加工硬化による強度向上を図ることができる。前記加工工数の低減により、歩留まりが向上し、等速ジョイント外輪の製造コストの低減を図ることができる。
機械構造用炭素鋼は浸炭鋼よりも炭素量が多いため、この高周波熱処理を採用し得る。これにより、熱処理の時間短縮を図ると共に、球形内面部分2aおよびトラック溝3に対する焼入れ深さを深くすることができる。
この等速ジョイントは、図5に示すように、球形内面部分2aの最大幅寸法S2に対して、スリット溝Smの幅寸法S1を5%以上30%以下としている。
この等速ジョイントの外輪1は、機械構造用炭素鋼から成り、トラック溝3、球形内面部分2a、カップ入口チャンファ11、トラックチャンファ12、および、トラック入口チャンファ13を含むカップ部分1aの内表面の大部分が冷間鍛造により仕上げられ、球形内面部分2aに軸方向に沿ったスリット溝Smを形成し、周方向に隣接するトラック溝3,3間における球形内面部分2aの最大幅寸法S2に対して、スリット溝Smの幅寸法S1を5%以上30%以下としている。
外輪前素材1Mは、図15に示すように、外輪前素材成形過程において、外輪前素材スリット溝Smaの幅寸法S3をこの球形内面部分2aの最大幅寸法S2に対して10%以上40%以下としている。このため、冷間鍛造後のスリット溝Smの幅寸法S1を、図4、図5に示すように、球形内面部分2aの最大幅寸法S2に対して5%以上30%以下とすることができる。これにより、冷間鍛造の際、周方向に分割した分割パンチ間の隙間δ1いわゆる周方向隙間δ1に、外輪前素材1Mの余肉が入り込まないようにすることができる。
1a…カップ部分
1b…軸部分
1M…外輪前素材
2a…球形内面部分
3,6…トラック溝
4…内輪
7…トルク伝達ボール
8…ケージ
11…カップ入口チャンファ
12…トラックチャンファ
13…トラック入口チャンファ
14…センタ孔
18…パンチセット
19…絞り込みダイス
27…内径球面成形部
28…トラック溝成形部
29…トラックチャンファ成形部
30…カップ入口チャンファ成形部
31…トラック入口チャンファ成形部
34…内径球面入口チャンファ
Claims (5)
- カップ部分の内表面に軸方向に沿うトラック溝が形成された外輪と、球形外面に外輪のトラック溝と同数のトラック溝が形成された内輪と、内外輪のトラック溝間に組込まれたトルク伝達ボールと、外輪の内径球面および内輪の球形外面に案内され前記トルク伝達ボールを保持するケージとを有する等速ジョイントにおいて、
前記外輪は、前記カップ部分の内表面に、
溝底に沿う断面形状が円弧状に形成される前記トラック溝、
外輪の開口縁全周に沿って形成されるカップ入口チャンファ、
前記内径球面と前記トラック溝との境界部に沿って形成されるトラックチャンファ、および、
前記トラック溝とカップ入口チャンファとの境界部に前記トラック溝の円弧全域に沿って形成されるトラック入口チャンファを有し、このトラック入口チャンファは断面が凸曲線とされ、
前記外輪は、炭素成分が0.37wt%以上0.61wt%以下である機械構造用炭素鋼から成り、これらトラック溝、カップ入口チャンファ、トラックチャンファ、および、トラック入口チャンファが、冷間鍛造により仕上げられ、前記外輪の内径球面が、研削または焼入れ鋼切削により仕上げられていることを特徴とする等速ジョイント。 - 請求項1において、前記外輪のカップ部分の外表面における開口縁付近部は、前記冷間鍛造および旋削により仕上げられている等速ジョイント。
- 請求項1または請求項2において、前記外輪の内径球面およびトラック溝に、高周波熱処理を施している等速ジョイント。
- カップ部分と、このカップ部分の底部から軸方向に延びる軸部分とを有し、上記カップ部分は球面状の内表面に、軸方向に沿うトラック溝が周方向に複数形成された等速ジョイント外輪を製造する製造方法であって、
炭素成分が0.37wt%以上0.61wt%以下である機械構造用炭素鋼に熱間鍛造または温間鍛造を施して、開口端に向けて広がりを持つカップ状の外輪前素材を成形する外輪前素材成形過程と、
前記外輪前素材に冷間鍛造を施して、この外輪のカップ部分の内表面における、
溝底に沿う断面形状が円弧状に形成される前記トラック溝、
外輪の開口縁全周に沿って形成されるカップ入口チャンファ、
外輪の内径球面と前記トラック溝との境界部に沿って形成されるトラックチャンファ、および、
前記トラック溝とカップ入口チャンファとの境界部に前記トラック溝の円弧全域に沿って形成され、断面が凸曲線とされるトラック入口チャンファ、
を同時に成形する冷間鍛造過程と、
この冷間鍛造過程の後、外輪の内径球面を研削または焼入れ鋼切削する機械加工過程と、
を有することを特徴とする等速ジョイント外輪の製造方法。 - 炭素成分が0.37wt%以上0.61wt%以下である機械構造用炭素鋼に熱間鍛造または温間鍛造を施して、開口端に向けて広がりを持つカップ状とした外輪前素材を素材とし、カップ部分と、このカップ部分の底部から軸方向に延びる軸部分とを有し、上記カップ部分は球面状の内表面に、軸方向に沿うトラック溝が周方向に複数形成され、各トラック溝は溝底に沿う断面形状が円弧状に形成され、前記カップ部分の開口縁全周に沿って形成されるカップ入口チャンファ、前記カップ部分の内径球面とトラック溝との境界部に沿って形成されるトラックチャンファ、および、前記トラック溝とカップ入口チャンファとの境界部に前記トラック溝の円弧全域に沿って形成され、断面が凸曲線とされるトラック入口チャンファを有する等速ジョイント外輪を製造する製造装置であって、
それぞれ前記トラック溝、カップ入口チャンファ、トラックチャンファ、トラック入口チャンファ、内径球面の仕上り形状に沿う形状を有するトラック溝成形部と、カップ入口チャンファ成形部と、トラックチャンファ成形部と、トラック入口チャンファ成形部と、内径球面成形部とが一体形成された分割パンチを、パンチベースの周囲に周方向隙間を介して円形に配列したパンチセットと、
このパンチセットの前記各成形部を同外輪前素材のカップ部分の内側に挿入した状態で、前記外輪前素材の外径を絞り込む絞り込みダイスと、
を有し、
前記パンチセットのうち分割パンチの内径球面成形部を、前記内径球面の取り代分だけ小さく形成しておき、
前記パンチセットは、前記パンチベースを分割パンチ配列から軸方向の基端側へ移動させることで、分割パンチの配列径を縮径可能とした等速ジョイント外輪の製造装置。
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