JP5321992B1 - 汚染土壌表層の除去工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速且つ確実に、さらに低コストで極力処理量を少なくして除去処理後の負担を軽減することができ、しかも施工者の安全性も確保されるように、例えば灌漑用水中に含まれる重金属類や大気中の放射性物質等によって汚染された土壌表層の除去に適する、汚染土壌表層の除去工法を提供する。
【解決手段】(1)固化剤及び液体を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布する工程と、(2)土壌表面に散布した土壌固化用スラリー材を土壌に混合することなく、土壌表面の浅い層領域に浸透させ、土壌表層を固化させ、固化した土壌部分を目視で確認可能となるように変色させる工程と、(3)土壌固化用スラリー材によって固化した土壌部分を含む土壌表層を、目視で確認しながら剥ぎ取る工程とを含むことを特徴とする汚染土壌表層の除去工法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、汚染土壌表層を除去する工法に関し、特に重金属類や放射性物質等によって、土壌表面から深さ約10cm以内の薄い層幅で表層が汚染された汚染土壌表層を除去するのに適した工法に関する。
近年、亜鉛、銅、カドミウム、鉛、水銀又は六価クロム等の重金属類;セレン、砒素、フッ素又はホウ素等の有害物質;放射性汚染物質(以下、これらの物質を「汚染物質」と総称する場合もある)による農地や校庭(グラウンド)等の土壌表層の汚染が問題となっている。例えば、灌漑用水として使用する河川中に含まれている鉱山等から流出した重金属類や、原子力発電所の事故等に伴い大気中に放出された放射性物質は、農地、牧草地又は校庭等の土壌の地表面から深さ約5cm以内、より具体的には地表面から深さ約2cm以内の表層に留まることが確認されている。安全で安心な農業、畜産又は社会生活を営むためには、迅速且つ確実に、しかも低コストで極力廃棄物が少なくなるように汚染土壌を除去することが望ましい。
従来、汚染物質によって汚染された土壌を処理する方法として、物理的方法、化学的方法、生物学的方法が採用されている。
物理的方法としては、土壌の剥ぎ取り、客土、天地返し(反転耕起)等が挙げられる。物理的方法によって、汚染された土壌を除去するために用いる従来の除去装置は、一般的に、タイヤ又はクローラベルトを有する自走式の建設機械又は農業機械を用いている。それらの除去装置には、先端部/後端部か、又は、前輪と後輪の中間部に、進行方向に対して前側が開口又は凹んで着脱可能なバケット又は排土板等の作業部が取り付けられる。以下、建設機械にバケット等の作業部が取り付けられる場合について説明する。バケット等の作業部は、一般的に油圧シリンダ等により上下移動が可能に取り付けられる。
被除去領域の土壌表層を除去する場合、一般的なブルドーザー、ローダー又はグレーダー等では、バケット等の作業部を上下移動させ、その下端のエッジ部分を土壌表層に差し込み、その差し込んだ状態で、自走式建設機械全体を前進させるか又は後退させることで、土壌表層を下の土壌と分離させて剥ぎ取る。さらに、その土を、すくいあげるか、進行方向に押し運ぶか、左右何れかの一方向に押し出すことで土壌表層を除去する。そして、除去された土壌はローダー又は油圧ショベル等により集積されて搬出される(例えば、特許文献1参照)。
また、油圧ショベルを用いて土壌表層を除去する場合には、前記したように自走による除去の他に、例えば、アームを油圧シリンダで前後又は上下に操作することにより、バケットを土壌表層にわずかに差し込み、前方側又は手前側に平行移動させることで剥ぎ取ることができる。その後、油圧ショベルは、そのバケット内の剥ぎ取られた土壌表層を、建設機械の側部に一旦落下させて集積させるか、運搬車両の荷台に落下させて集積させることにより被除去領域の土壌表層を除去することができる。
次に化学的方法としては、例えば汚染物質がカドミウムの場合にはケイ酸カルシウム等のアルカリ資材、放射性物質の場合にはカリウム等の化学物質を土壌に添加し、農作物の汚染物質の吸収を抑制する方法が挙げられる。その他に、汚染物質が主に水銀又は六価クロム等の重金属類やフッ素又はホウ素等の有害物質の場合には、マグネシア系固化剤、セメント系固化剤等の固化剤を汚染された土壌に混合し、土壌を固化(例えば所定の一軸圧縮強度を有するように固化)し、不溶化して、汚染物質の封鎖、封じ込めを行う方法も提案されている(例えば、特許文献2〜6)。
生物学的方法としては、例えば汚染物質がカドミウムの場合にはアブラナ科植物、放射性物質の場合にはヒマワリ等の植物を土壌に植栽し、植物に土壌中の汚染物質を吸収・吸着・固定させるファイトレメディエーション法等が挙げられる(例えば、特許文献7)。
特開2006−52595号公報 特開2003−225640号公報 特開2003−334526号公報 特許第3675766号公報 特許第4074857号公報 特許第4109017号公報 特開2007−289897号公報
しかしながら、物理的方法において、土壌の剥ぎ取りを行う場合には、一般的に使用されているブルドーザー等の重機を使用すると、重機の操作精度によって、約10cm程度の作業誤差が生じ、剥ぎ取られる土量が増加し、施工費用が増加する場合や、汚染された土壌を取り残す場合があり、経済性、安全性に問題がある。近年は、レーザー光線等によって、フロント作業部の操作精度が制御された重機も存在するが、それでも±2cm〜±3cmの作業誤差が生じ、取り残し等を生じる場合があり、放射性物質等の汚染物質が留まる土壌表面から深さ5cm以内の土壌表層を正確且つ確実に剥ぎ取ることは困難である。汚染土壌表面に客土を行う場合には、汚染されていない地域から新たな土壌を搬入しなければならず、施工費用が嵩む等の経済性の問題がある。天地返し(反転耕起)を行う場合には、土性や土質によって反転率が低下し(例えばブルドーザーで反転耕起を行った場合、反転を行った土量100%に対して、反転された土量は約60%程度である)、汚染物質が部分的に表層に残存する可能性があり、安全性に問題がある。さらに客土と天地返しを行った場合、汚染された土壌は、施工後も下層土に残存し、毛管現象によって汚染物質が表層に移動し、植物の根から汚染物質が吸収されて、栽培作物が汚染され、安全性が確保されないという問題がある。
また、近年になり、表層のみ汚染された土壌の除去等のために、土壌の表面から2〜3cmの深さの土壌表層のみを剥ぎ取り除去する要望がある。しかしながら、自走式建設機械等に取り付けたバケット等の作業部を自走で進行方向に押し進めて土壌表層を剥ぎ取る従来の方法では、土壌表層の剥ぎ取り深さが表面から10cm程度の誤差範囲で変動するため、一般的に安全策をとって厚めに土壌表層を剥ぎ取っていた。
この変動の理由の一つは、土壌表層の不陸(起伏又は凹凸等)により、自走式建設機械を進行方向に進めると、上下の揺れや前傾又は後傾が発生することから、バケット等の作業部にも上下移動と差し込み角度の変動が発生してしまい、土壌に差し込まれる作業部の深さが安定しないためである。それに加え、アームやバケット等の作業部は枢軸で自走式建設機械に接続されており、アームの先端及びバケット等の作業の下端は地表から地中に向けて又は地中から地表に向けて円弧状に回動することから、バケットを土壌に差し込む深さを操作レバーにより10cm以下の微小範囲内に調整して設定する作業が困難なためである。
また、他の理由として、自走する場合の自走方向からのバケット等の作業部に対する反力、及び、バケット等の作業部の自重及び荷重による下向き応力があることが挙げられる。これは、例えば、バケット等の作業部を自走の進行方向に進めて土壌表層を剥ぎ取る場合、進行方向に進もうとする力に対して土壌表層が抵抗となり反力が発生しバケット等の作業部を押し返す。しかし、バケット等の作業部が土壌表層に対して斜めに差し込まれているため、この反力の分力としてバケット等の作業部を押し下げようとする力が反力として発生する。土壌が硬い場合にはバケット等の作業部への反力が増加して、バケット等の作業部のエッジが、オペレータの意図した以上に深く土壌表層に対して差し込まれる深さの変動量が増加する。また、剥ぎ取られた土壌表層が自走によりバケット等の作業部の内部に押し込まれた場合には、土壌表層の自重によりバケット等の作業部を押し下げようとする力が発生する。
さらにバケット等の作業部を自走式建設機械の進行方向の先端に取り付け、進行方向に進めて土壌表層を剥ぎ取る場合、オペレータと被除去領域の土壌表層との中間にバケット等の作業部が位置して視認の障害物となり、バケット等の作業部のエッジの接地部分がオペレータの死角になってしまうことがある。この場合、バケット等の作業部のエッジが土壌表層に差し込まれる状況や、剥ぎ取られる深さをオペレータは視認できないので、オペレータはそれ以前の見えていた状況から予想して作業を行うが、予想と実際の状況が異なる場合も多く、作業誤差はさらに拡大する。
そのような変動や誤差によって除去する土量が増加することを抑制するために、土壌表層を薄めに剥ぎ取ろうとした場合、バケットの上下移動と差し込み角度の変動は依然として発生するため、土壌表層の取り残しが発生しやすくなる。すると、「再度作業が必要になる等」で作業効率が低下し、工数、燃料代等が増加して施工費用が増加する。逆に、一般的に行われているように安全策を取って土壌表層を厚めに剥ぎ取ろうとすると、土壌表層よりも下層の意図しない土壌までも一緒に除去することになる。その場合、除去する土の量が増加し、作業量と搬送量が増加し、運搬手段の数や工数、燃料代等が増加して施工費用が増加する。
また、自走式建設機械の他にも、タイヤ又はクローラベルトを有する自走式で類似する作業が可能である農業機械や除雪機械等が知られている。それらは、着脱可能なブレードやレベラー等の作業部を取り付け可能である。しかし、ブレードは、バケットと同様に土壌表層を進行方向に押し運ぶか、左右何れかの一方向に押し出すことで土壌表層を除去するために使用されるものであり、バケットの場合と同様な問題を有する。又、レベラーは、土壌の除去や運搬ではなく、土壌表層の表面を均平にして残すために使用されるものである。均平にして残す場合には、前記した「除去する土量の増加を抑制するために土壌表層を薄めに剥ぎ取ろうとする場合」と同様に「再度作業が必要になる等」の問題が発生する。また、ブレードをレベラー的に使用する場合も同様である。
さらに、農業機械はほとんどがリア作業機であるので、被除去領域の土壌表層が、一旦、タイヤ又はクローラベルトで踏み荒らされた後に、ブレード等で剥ぎ取り作業を行うことになる。この場合、踏み荒らされることで、汚染土壌等の除去される予定の土が表層からさらに下の層に拡散してしまい、取り残しが発生しやすく、剥ぎ取り厚さを増加させてしまうという問題があり、また、リア作業機でオペレータが剥ぎ取られる深さを視認できないことから、作業誤差が発生しやすいという問題がある。
化学的方法では、現状では化学物質を土壌に添加して農作物の汚染物質の吸収を抑制するか、土壌に固化剤を添加混合して、土壌中の汚染物質をその土壌内で固化・不溶化して封じ込めるしかなく、汚染物質は土壌中に残存したままであり、土壌中の汚染物質を減少させることはできず、確実な安全性を期待することはできない。
生物学的方法では、植物に汚染物質を吸収させるために、環境を修復するまでにかかる期間が長く、その間、汚染土壌や植物を管理し続けなくてはならず、経済性に問題があり、さらに汚染物質を吸収した植物を処理する必要があり、実現に煩雑な手間がかかるという問題がある。また、植物の根から土壌中の汚染物質を吸収するため、土壌表層に留まっている植物の種類によって、土壌表面から深さ約5cm以内に留まっている汚染物質を吸収しにくく、確実に汚染物質を除去できない場合や、植物を除去する場合に根が土壌との摩擦力により土中で破断して残地する可能性もある。
本発明は、重金属類や、特に大気中の放射性物質等によって汚染された汚染土壌表層を、迅速且つ確実に除去することができ、しかも低コストで極力廃棄物を少なくして除去処理後の負担を軽減することができ、さらに施工者の安全性も確保することができる、汚染土壌表層の除去工法を提供することを課題とする。また、薄い範囲の汚染土壌表層を安定して除去することができ、且つオペレータの操作も容易である自走式建設機械を用いて、汚染土壌表層を除去する工法を提供する。
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、灌漑用水中に含まれる重金属類や大気中の放射性物質によって土壌が汚染された場合に、汚染物質が土壌表面から深さ約5cm以内の表層に留まることに着目し、固化剤を土壌に混合することなく、固化剤をスラリー状の土壌固化用スラリー材として土壌表面に散布し、この土壌固化用スラリー材を土壌に混合することなく土壌表層に浸透させて、土壌表層を固化し、固化した土壌部分を含む土壌表層のみを剥ぎ取ることによって、前記課題を解決できることを見出した。
さらに土壌表層の剥ぎ取りに作業部を設けた自走式建設機械を使用し、この自走式建設機械の作業部を土壌表層の剥ぎ取る深さに配置して、作業部を土壌表面に並行に摺動させることによって、目的とする厚さの土壌表層の剥ぎ取りが可能であることを見出した。
[1]本発明は、(1)固化剤及び液体を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布する工程と、(2)土壌表面に散布した土壌固化用スラリー材を土壌表面の浅い層領域に浸透させ、土壌表層を固化させる工程と、(3)土壌固化用スラリー材によって固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る工程とを含むことを特徴とする汚染土壌表層の除去工法に関する。
[2]本発明は、固化剤が、マグネシア系固化剤、セメント系固化剤、カルシウム系固化剤、石灰系固化剤及び石膏系固化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の固化剤である、前記[1]記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[3]本発明は、固化剤がマグネシア系固化剤であり、マグネシア系固化剤が全量100質量%中に酸化マグネシウムを5〜99質量%含む、前記[1]又は[2]記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[4]固化剤がブレーン比表面積4,000〜8,000cm/gであり、土壌固化用スラリー材が固化剤100質量部に対して液体200〜800質量部含むものである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[5]本発明は、マグネシア系固化剤を含む土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布することによって、固化した土壌部分を目視で確認可能となるように変色させ、目視で固化した土壌部分を確認しながら、固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る、前記[3]又は[4]記載の除去工法に関する。
[6]本発明は、スラリー状の土壌固化用スラリー材を、吹き付け、噴霧又は如雨露による滴下により散布する、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[7]本発明は、剥ぎ取る土壌表層の厚さが10cm以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[8]本発明は、剥ぎ取る土壌表層の厚さが1〜4cmである、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[9]本発明は、土壌表層の剥ぎ取りに作業部を設けた自走式建設機械を使用し、土壌表層を剥ぎ取る深さに作業部を配置して、作業部を土壌表面に並行に摺動させて、作業部が摺動する領域の固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[10]本発明は、剥ぎ取った土壌表層を作業部の摺動が止まる領域に堆積させる工程を含む、前記[9]記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[11]本発明は、堆積させる工程後、自走式建設機械を移動させて、土壌表層を剥ぎ取る工程と、剥ぎ取った土壌表層を堆積させる工程とを少なくとも1回以上繰り返し、剥ぎ取った汚染土壌表層を筋状除去土盛にする、前記[9]又は[10]記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[12]本発明は、剥ぎ取った土壌表層を吸引して捕集する工程を含む、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[13]本発明は、自走式建設機械の作業部がバケットであり、バケットが、バケットから突出して汚染土壌中に配置されるエッジ部を有する、前記[9]〜[12]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
[14]本発明は、自走式建設機械が、土壌回収容器と、土壌回収容器に剥ぎ取った土壌表層を搬出する搬出手段を備える、前記[9]〜[13]のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法に関する。
本発明によれば、固化剤及び液体を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布し、散布した土壌固化用スラリー材を混合することなく土壌に浸透させることによって、土壌の表面から土壌固化用スラリー材が浸透した領域までを固化させ、固化した土壌部分を含む土壌表層のみを効果的に剥ぎ取ることができる。本発明によれば、比較的厚さの薄い土壌表層のみを効果的に剥ぎ取ることができるので、灌漑用水中に含まれる重金属類や大気中の放射性物質等の汚染物質によって汚染された土壌、特に放射性物質によって汚染された土壌に適用することにより、迅速かつ確実に、汚染土壌表層を除去することができる。本発明によれば、汚染土壌表層のみを除去するので、簡便に施工することができ、除去する土量も極力少なくすることができ、施工費用を低減するとともに、除去後の処理負担も軽減することができる。さらに、本発明によれば、汚染物質が留まっている土壌表層、特に土壌表面を固化して、固化した土壌部分を含む土壌表層のみを剥ぎ取るので、汚染物質の風雨による流出や風による飛散を抑制することができ、施工時に粉塵等が発生するのを抑制することができ、粉塵の発生と共に汚染物質が飛散するのを抑制し、施工者の安全性を確保することができる。
本発明によれば、自走式建設機械を使用して、自走式建設機械に設けた作業部を剥ぎ取る深さに配置し、この作業部を土壌表面に並行に摺動させて、土壌表層を剥ぎ取るため、作業部が土壌に差し込まれる深さが増大することを抑制して、剥ぎ取る厚さを目的する薄い層内に安定させて土壌表層を剥ぎ取ることができる。また、自走式建設機械を操作するオペレータにどの程度の深さまで作業部が配置されたのか、その状態を視認させることができる。さらに、オペレータの作業部の操作を、土壌表面に並行に摺動させる、すなわち、左右旋回という容易な作業とすることができ、作業部の操作の困難性を抑制することができる。
土壌における深さ(cm)と放射性セシウム濃度(Bq/kg)の関係を示すグラフである。 本発明の実施態様を示し、固化剤を含む土壌固化用スラリー材を土壌表面(1m)に散布している状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、固化した土壌部分を含む土壌表層を人手によりスコップで剥ぎ取る状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、剥ぎ取られた土壌表層の厚さを測定する状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、土壌表層を剥ぎ取った後の土壌表面から5cmの高さの大気中の放射線量を測定する状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、固化剤を含む土壌固化用スラリー材を広範囲(例えば10m以上)に散布するための吹付機と発電機を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、固化剤を含む土壌固化用スラリー材を土壌表面(225m:実施例5)に吹付機で散布している状態を示す写真である。固化剤の散布状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、試験土壌の一部から剥ぎ取られた土壌表層の厚さを測定する状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、試験土壌の一部(図8の部位とは別の部位)から剥ぎ取られた土壌表層の厚さを測定する状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、試験土壌の一部(図8又は図9の部位とは別の部位)から剥ぎ取られた土壌表層の厚さを測定する状態を示す写真である。 本発明の実施態様を示し、試験土壌の一部(図8〜10の部位とは別の部位)から剥ぎ取られた土壌表層の厚さを測定する状態を示す写真である。 本発明に適用可能な第1実施形態のバケットを油圧ショベルの先端部に取り付けた状態を示す図であり、(a)が正面図を示し、(b)が側面図を示し、(c)が上面図を示し、点線で左右に旋回させた場合を示す。 第1実施形態のバケットを接地させ、進行方向に向かい右から左に旋回させた場合を示す図であり、(a)が土壌表層を除去する領域における右の除去開始端部にバケットを配置及び接地して旋回を開始した状態を示す図であり、(b)バケットが旋回の中間地点に達した状態を示す図であり、(c)バケットが旋回の終了端部に達した状態を示す図である。 図13の各図の状態に相当する実際の実験での写真であり、(a)が図13(a)の状態に相当する写真であり、(b)が図13(a)と図13(b)の中間の状態に相当する写真であり、(c)が図13(b)と図13(c)の中間の状態に相当する写真であり、(d)が図13(c)の状態に相当する写真であり、(e)が図13(b)の領域19の四角枠内を拡大した写真である。 本発明に適用可能なエッジ部が取り付けられたバケットの実施形態を示す図であり、(a)左側図が、バケットから土壌表面に対して略垂直に突出するように板状のエッジ部が取り付けられた状態のバケットを示す側面図、右側図が該左側図をバケットの開口方向からみた正面図、(b)左側図が、バケットから土壌表面に対して略垂直に突出し、バケットの背板からも突出するように板状の第1のエッジ部が取り付けられ、バケットの底面開口側端部から土壌表面に対して略水平に突出するように板状の第2のエッジ部が取り付けられた状態のバケットを示す側面図、右側図が該左側図をバケットの開口方向からみた正面図、(c)左側図が、バケットの両側から土壌表面に対して略垂直に突出するように2つの板状のエッジ部が取り付けられた状態のバケットを示す側面図、右側図が該左側図をバケットの開口方向からみた正面図である。 本発明に適用可能な第2実施形態のバケットを油圧ショベルの先端部に取り付けた状態を示す図であり、(a)が正面図を示し、(b)が側面図を示し、(c)が上面図を示し、点線で左右に旋回させた場合を示す。 本発明の第3実施形態のバケットを油圧ショベルの先端部に取り付けた状態を示す図であり、(a)が正面図を示し、(b)が側面図を示し、(c)が上面図を示し、点線で左右に旋回させた場合を示す。 図17のバケット部を拡大した図であり、(a)が側面図を示し、(b)が正面図を示し、(c)が上面図を示す。 本発明に適用可能な第3実施形態の全体構成を示す図である。
本発明は、土壌に固化剤を混合することなく、(1)固化剤及び液体を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布する工程と、(2)土壌表面に散布した土壌固化用スラリー材を土壌の浅い層領域に浸透させ、土壌表層を固化させる工程と、(3)土壌固化用スラリー材によって固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る工程とを含む汚染土壌表層の除去工法である。以下、前記(1)〜(3)工程を詳細に説明する。
[(1)土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布する工程]
本発明の(1)土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布する工程において、土壌固化用スラリー材は、固化剤及び液体を含むスラリー状のものである。本発明の工程(1)において使用する固化剤は、土壌の固化に使用できるものであれば特に限定されず、一般的に使用されている市販品の固化剤を使用することができる。固化剤としては、マグネシア系固化剤、セメント系固化剤、カルシウム系固化剤、石灰系固化剤及び石膏系固化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の固化剤を使用することが好ましい。固化剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
マグネシア系固化剤は、酸化マグネシウムを含むものであり、マグネシア系固化剤100質量%中、酸化マグネシウムの含有量が、好ましくは5〜99質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜55質量%である。マグネシア系固化剤には、その他に、例えば土壌硬化剤としてリン酸塩、石膏、オキシカルボン酸を含むものであってもよい。マグネシア系固化剤は、土壌中の水分と結合して水酸化マグネシウムとなって、ゲル状となり、その後、土壌中のリン酸又は空気中の炭酸ガスと反応してリン酸マグネシウム又は塩基性炭酸マグネシウムとなって土壌表層を暫定的に又は非暫定的に固化することができる。
マグネシア系固化剤は、散布した土壌のpHをセメント系固化剤のように強アルカリ側に傾けることなく、一般に作物の生育に好適なpH領域、好ましくはpH5〜11、より好ましくはpH8〜11、さらに好ましくはpH9〜11となるように土壌表層を固化できるので、水田、農地、牧草地等の作物生産性を維持したい土壌において好適に使用できる。
マグネシア系固化剤は、固化した土壌表面を目視で確認可能となるように変色させることができる。具体的には、マグネシア系固化剤は白色であり、マグネシア系固化剤を含む土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布することによって、固化した土壌表面を目視で確認可能となるように、固化した土壌部分を白色に変色させることができる。このように本発明によれば、マグネシア系固化剤を含む土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布することによって、目視で固化した土壌表面を確認しながら固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取ることができ、施工が容易であり、剥ぎ取り残しがないという利点を有する。
セメント系固化剤としては、ポルトランドセメント、高炉セメント、早強セメントを含む組成物が挙げられる。セメント系固化剤は、ポルトランドセメント等の他に無水石膏、二水石膏、半水石膏、消石灰、石灰等を含むものであってもよい。また、セメント系固化剤は、例えば減水剤や分散剤等として、リグニンスルホン酸塩類、ポリカルボン酸塩類、メラミンスルホン酸塩類等を組成物中に含むものであってもよい。カルシウム系固化剤は、主成分として生石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH))を含む組成物が挙げられる。また、石灰系固化剤は、主成分として炭酸カルシウム(CaCO)を含む組成物が挙げられる。石膏系固化剤は、主成分として、二水石膏、半水石膏及び無水石膏からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む組成物が挙げられる。なお、セメント系固化剤は、土壌のpHを上昇させる場合があり、固化剤と液体とを混合してスラリー状とした土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布した後に、酸性物質等により土壌の中性化等を行うことが必要な場合がある。
固化剤は、処理対象となる土壌表面に均一に散布することが好ましく、粉体状、スラリー状、液体状等の固化剤を散布することができるが、本発明においては、固化剤及び液体を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材を散布することが好ましい。固化剤をスラリー状とするために使用する液体は、純水、水道水等を使用することができる。土壌固化用スラリー材の固化剤と液体との比率は、固化剤の種類等によって適宜調整が可能であり、固化剤のブレーン比表面積等によっても適宜調整が可能である。固化剤に対して液体を多すぎると土壌が飽和状態となり、固化剤が土壌に浸透していかない場合がある。土壌固化用スラリー材の固化剤と液体との比率は、液体が水(水道水)である場合、固化剤100質量部に対して、好ましくは水100〜1,000質量部、より好ましくは水200〜900質量部、更に好ましくは200〜800質量部、特に好ましくは200〜600質量部である。
土壌固化用スラリー材が土壌表面から好ましくは深さ10cm以内、より好ましくは5cm以内、さらに好ましくは深さ1〜4cm、特に好ましくは土壌表面から3cm以下の深さまで浸透するためには、固化剤のブレーン比表面積が3,000〜12,000cm/gであることが好ましい。マグネシア系固化剤を用いる場合には、固化剤のブレーン比表面積は、より好ましくは3,500〜10,000cm/g、さらに好ましくは4,000〜8,000cm/g、特に好ましくは4,000〜6,000cm/gである。固化剤がマグネシア系固化剤である場合には、ブレーン比表面積が前記範囲内であれば、土壌表面から好ましくは深さ10cm以下、より好ましくは深さ5cm以下、さらに好ましくは深さ1〜4cm、特に好ましくは深さら3cm以下の範囲まで固化剤を浸透させることができる。固化剤のブレーン比表面積が大きくなると粒度が小さくなり、固化剤及び液体を含む土壌固化用スラリー材が土壌に浸透しやすくなり、より深い範囲まで固化剤が浸透して、好適な厚さで汚染土壌表層を剥ぎ取ることが可能となる反面、施工費用が高価になる場合がある。また、セメント系固化剤、カルシウム系固化剤、石灰系固化剤及び石膏系固化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の固化剤を用いる場合には、固化剤のブレーン比表面積は、より好ましくは3,500〜11,000cm/g、さらに好ましくは4,000〜10,000cm/gである。
土壌固化用スラリー材中の固化剤と液体との比率は、土壌表面から固化剤を土壌に浸透させる深さをどの程度に設定するかによっても異なり、土壌表面から好ましくは深さ10cm以下、より好ましくは深さ5cm以下、さらに好ましくは深さ1〜4cm、特に好ましくは深さ3cm以下の範囲で固化剤を土壌に浸透させる場合であって、固化剤のブレーン比表面積4,000〜8,000cm/gであり、液体が水道水である場合には、土壌固化用スラリー材中の固化剤と液体との比率は、固化剤100質量部に対して、液体が200〜800質量部であることが好ましく、より好ましくは200〜600質量部であり、さらに好ましくは200〜500質量部、特に好ましくは300〜400質量部である。また、土壌表面から深度1〜4cm、好ましくは深度約3cmの範囲内に固化剤及び液体を含む土壌固化用スラリー材を浸透させる場合であって、固化剤のブレーン比表面積が4,000〜6,000cm/gであり、液体が水道水である場合には、土壌固化用スラリー材中の固化剤と液体との比率は、固化剤100質量部に対して、液体が200〜600質量部、より好ましくは200〜500質量部、さらに好ましくは300〜400質量部である。
土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布する方法は、特に限定されないが、吹付機による吹き付け、動力噴霧機器等による噴霧、又は如雨露による滴下の方法によって散布することが好ましい。吹付機による吹き付けや、動力噴霧機器等による噴霧は、土壌固化用スラリー材を散布する区域が大きい場合(例えば土壌表面が10m以上)に適用でき、如雨露による滴下は、土壌固化用スラリー材を散布する区域が小さい場合(例えば土壌表面が10m未満)に適用できる。図2は、本発明の工程(1)の一実施態様を示し、固化剤及び液体を含む土壌固化用スラリー材Aを、圃場である水田土壌C1の土壌表面の面積1mの領域に如雨露B1で散布している状態を示す写真である。図6は、土壌固化用スラリー材A1を土壌表面に吹き付ける場合に使用する発電機と吹付機の概観を示す写真である。また、図7は、本発明の工程(1)の他の実施態様を示し、固化剤及び液体を含む土壌固化用スラリー材A2を、圃場である水田土壌B2の土壌表面の面積1225mの領域に吹付機B2で吹き付ける状態を示す写真である。
[(2)固化剤の浸透、土壌表層を固化する工程]
本発明の工程(2)は、土壌表面に散布した土壌固化用スラリー材を土壌表面の浅い層領域に浸透させて、土壌表層を固化させる工程である。
図1に示すように、汚染物質、例えば放射性セシウムは、圃場が耕起していない農地土壌である場合、土壌表面から2.5cmの深さに95%が存在する。
汚染物質、特に大気中の放射性物質が留まる土壌表層を固化させるために、土壌固化用スラリー材は少なくとも土壌表面から好ましくは深さ10cm以内、より好ましくは深さ5cm以内、さらに好ましくは深さ1〜4cm、特に好ましくは深さ3cm以内の範囲まで浸透するものを使用することが好ましい。土壌固化用スラリー材の土壌への浸透性は、土壌を構成する土質(粘性土、砂質土等)、土壌中の水分等も影響するため、土壌の透水係数や、土壌を構成する土粒子の粒径等を考慮して、土壌固化用スラリー材中の固化剤の種類、固化剤のブレーン比表面積、固化剤と液体との混合比率を適宜選択して、土壌固化用スラリー材が土壌に浸透する深さを調整することが好ましい。
土壌表面に散布した土壌固化用スラリー材が土壌表面から好ましくは深さ10cm以内、より好ましくは深さ5cm以内、さらに好ましくは深さ1〜4cm、特に好ましくは深さ3cm以内まで浸透した後、土壌固化用スラリー材が浸透した土壌表層が固化するまでにかかる日数は、適用した固化剤やその濃度、土壌の種類等によっても異なるが、マグネシア系固化剤を用いた場合には、土壌固化用スラリー材を散布してから6時間後には土壌表層の固化が開始し、剥ぎ取りが可能となる十分な強度が発生するまでに、気温、降雨、地温等の外的要因と土性、土質等の内的要因により2〜10日程度の養生期間を要する。養生中又は養生後も土壌表面は固化剤を含む土壌固化用スラリー材によって固化されているため、降雨による土壌中の汚染物質の流出や、風により発生する粉塵とともに汚染物質が飛散することを抑制することが可能である。なお、剥ぎ取りが可能となる強度とは、人手による場合にはスコップやショベル、重機による場合には油圧シャベル、ローダー、ブルドーザー又はグレーダー等によって、固化された土壌表層の地上部に残地している植物の茎や表層中の植物の根系を含む土壌表層のみを剥ぎ取りが可能となる程度の強度を有することをいい、固化剤及び液体を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材が散布された土壌表層が一枚の板状となって剥ぎ取られるほどの強度を有することまで要求されない。また、固化された土壌表層は、剥ぎ取りが可能となる程度に暫定的に固化されていればよく、剥ぎ取られた後まで固化された状態を保つほどの強度は要求されない。
[(3)固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る工程]
本発明の工程(3)は、土壌固化用スラリー材によって固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る工程である。土壌表層の剥ぎ取りは、剥ぎ取る面積が小さい場合(例えば約10m未満)にはスコップ等を用いて人手によって剥ぎ取ってもよい。図3は、本発明の一実施態様を示し、土壌固化用スラリー材によって固化した土壌部分を含む土壌表層D1をスコップE1を用いて剥ぎ取る状態を示す写真である。図3において、土壌固化用スラリー材を散布し、固化した土壌部分は白色に変色しており、白色化した土壌表層D1が剥ぎ取られた土壌表面C1’は、土の色が残るため、土壌表層D1の取り残しがなくなる。剥ぎ取る面積が大きい場合(例えば約10m以上)には、ブルドーザー、ローダー、油圧ショベル又はグレーダー等の自走式建設機械を使用し、バケット等の作業部を土壌表層を剥ぎ取る深さに配置して、バケット等の作業部を土壌表面に並行に摺動させて、作業部が摺動する領域の固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取ることが好ましい。
汚染物質が、例えば放射性セシウムである場合には、図1に示すように、土壌表面から2.5cmの深さに95%が存在するため、剥ぎ取る土壌表層の厚さが好ましくは10cm以下、より好ましくは5cm以下、さらに好ましくは1〜4cm、特に好ましくは3cm以下となるように土壌表層を剥ぎ取る。特に、汚染物質によって汚染された土壌表面から好ましくは深さ10cm以内、より好ましくは深さ5cm以内、さらに好ましくは深さ1〜4cm、特に好ましくは1〜3cm以内の土壌表層を剥ぎ取るためには、例えば油圧ショベル等の自走式建設機械のバケット等のフロント作業部を土壌表面に並行に摺動させて、土壌表層を剥ぎ取ることが好ましい。
従来、農地等で使用されているトラクタ等の作業機としてはアタッチメントとしてレベラーやグレーダーを有し、これらのアタッチメントをトラクタの駆動に伴って前後に移動させるものが存在し、これらを本発明の工程(3)において使用することができる。しかし、タイヤで土壌表層が踏み荒らされたり、汚染された土壌表層の取りこぼしや、汚染された土壌表層より下層の土壌に混合されてしまうことを回避するために、本発明の工程(3)において、例えば油圧ショベル等の自走式建設機械のバケット等のフロント作業部を使用することが好ましい。
本発明の工程(3)において、自走式建設機械として、例えば油圧ショベルを使用し、作業部としてバケットを使用して、この作業部を土壌表層を剥ぎ取る深さに配置し、作業部を土壌表面に並行に摺動させて、すなわち、バケットを土壌表面と並行に、水平方向にワイパーのように左右にスイングさせることによって、作業部が摺動する領域の固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取ることができる。
剥ぎ取られた土壌表層は、好ましくは厚さが10cm以下、より好ましくは厚さが5cm以下、さらに好ましくは厚さが1〜4cm、特に好ましくは厚さが1〜3cmである。図4、8〜11は、剥ぎ取られた土壌表層の厚さを測定した写真である。図4、8〜11に示すように、多少の凹凸を考慮して測定すると、剥ぎ取られた固化した土壌部分D1’、D2’を含む土壌表層D1、D2の厚さは、約2.5〜3.5cmである。剥ぎ取られる土壌表層の厚さが10cm以下であると、灌漑用水中の重金属類や大気中の放射性物質によって汚染された土壌表層を土壌から確実に除去することができ、安全性が向上する。剥ぎ取られる土壌表層の厚さが5cm以下、より好適には剥ぎ取られる土壌表層の厚さが1〜4cm、さらに好適には剥ぎ取られる土壌表層の厚さが1〜3cmであると、安全性の向上とともに、大気中の放射性物質等の汚染物質が留まる部分の土壌表層のみを剥ぎ取って、除去する土量を低減することができ、施工費用を低減することができる。
本発明の工程(3)によれば、土壌固化用スラリー材が散布されていない他の土壌とは異なり、予め土壌固化用スラリー材によって固化された土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取るため、剥ぎ取りが容易であり、取り残しも発生しにくくなる。さらに、固化された土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取るため、剥ぎ取り作業中の粉塵の発生を抑制することができ、粉塵の巻き上げとともに土壌表層に含まれる汚染物質の飛散を抑制することができ、施工者の安全性を確保することができる。
さらにマグネシア系固化剤を含む土壌固化用スラリー材を使用して、予め固化された土壌部を含む土壌表層を剥ぎ取る場合には、土壌固化用スラリー材中に含まれるマグネシア系固化剤によって、土壌部分が目視で確認可能となるように、土壌部分が白色に変色し、目視で確認しながら土壌表層を剥ぎ取ることができるので、取り残し等がなく、施工が容易になる利点を有する。
本発明の土壌表層の除去工法は、固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る工程(3)の後に、剥ぎ取った土壌表層を作業部の摺動が止まる領域に堆積させる工程(4)を含むことが好ましい。
さらに、自走式建設機械を使用する場合は、剥ぎ取った土壌表層を堆積させる工程(4)の後、自走式移動機械を移動させて、固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る工程(3)と、剥ぎ取った土壌表層を作業部の摺動が止まる領域に堆積させる工程(4)とを少なくとも1回以上繰り返し、剥ぎ取った汚染土壌表層を一例の筋状除去土盛土に堆積させる工程を含むことが好ましい。さらに剥ぎ取った土壌表層を吸引して捕集する工程(5)を含むことが好ましい。
次に、本発明の汚染土壌表層の除去工法に使用する作業部を設けた自走式建設機械と、自走式建設機械を使用して土壌表層を剥ぎ取る工程(3)と、剥ぎ取った土壌表層を堆積させる工程(4)と、剥ぎ取った土壌表層を吸引して捕集する工程(5)とを含む工程を説明する。
汚染土壌表層の除去工法は、次のような、収集工法及び作業部としてバケットを適用することができる。
〔1〕左右旋回可能な自走式建設機械に取り付けられたバケットを、土壌表層が除去される領域に配置する工程と、前記バケットを、前記土壌表層に接地させる工程と、前記バケットを、土壌表層に接地した状態で、前記左右旋回可能な方向に旋回させる工程とを有することを特徴とする土壌表層の剥ぎ取り収集工法。
〔2〕前記バケットは、底面が平面であり、前記底面における前記旋回方向の先端にエッジが形成され、前記底面には直立方向に少なくとも一つの板を有し、前記バケットを接地させる工程では、前記底面が土壌表層に接地される、前記〔1〕記載の土壌表層の剥ぎ取り収集工法。
〔3〕前記バケットは、バケット開口部が前記旋回させる方向に向けられ、前記直立方向の板が背板であり、前記旋回させる工程では、前記土壌表層から剥ぎ取られた土が前記バケット開口部からバケットの中に誘導される、前記〔1〕又は〔2〕記載の土壌表層の剥ぎ取り収集工法。
〔4〕前記バケットは、少なくとも土壌回収容器まで延伸された搬出手段が接続され、前記旋回させる工程では、前記バケットの土が、前記搬出手段を介して前記土壌回収容器に蓄積される、前記〔3〕土壌表層の剥ぎ取り収集工法。
〔5〕前記バケットは、前記土を破砕する破砕装置が設けられ、前記旋回させる工程では、前記破砕された土がバケットの中に誘導される、前記〔4〕記載の土壌表層の剥ぎ取り収集工法。
〔6〕前記破砕装置は、モーター駆動される回転軸に複数の刃が取り付けられて構成され、前記破砕が、前記回転軸を回転させることで実施される、前記〔5〕記載の土壌表層の剥ぎ取り収集工法。
〔7〕前記バケット又は前記搬出手段には、内部に給水する給水ホースが接続され、前記土に給水する、前記〔4〕〜〔6〕のいずれか記載の土壌表層の剥ぎ取り収集工法。
〔8〕左右旋回可能な自走式建設機械に取り付けられるバケットであって、平面で形成され、前記旋回方向の先端にエッジが形成された底面と、前記旋回させる方向に向けられたバケット開口部と、前記底面から直立方向に形成された背板に設けられた吸引用開口部と、土壌表層から剥ぎ取られた土を破砕する破砕装置と、を有し、前記吸引用開口部は、搬出手段が接続できるように形成される、バケット。
〔9〕前記破砕装置が、複数の刃が取り付けられた回転軸と、前記回転軸を駆動させるモーターと、を有する、前記〔8〕記載のバケット。
〔10〕前記破砕装置が、更に前記破砕された土を前記吸引用開口部へ誘導するスクリューコンベアを有する、前記〔8〕又は〔9〕記載のバケット。
〔11〕前記バケット又は前記搬出手段には、内部に給水する給水ホース接続部を有する、前記〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載のバケット。
〔12〕前記バケットから突出するように取り付けられたエッジ部を有する、前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載のバケット。
〔1〕本発明に適用可能な実施態様に係る土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、左右旋回可能な自走式建設機械に取り付けられたバケットを、土壌表層が除去される領域に配置する工程と、バケットを、土壌表層に接地させる工程と、バケットを、土壌表層に接地した状態で、左右旋回可能な方向に旋回させる工程とを有する。自走式建設機械に取り付けられたバケットを左右旋回させることによって、バケットを土壌表面に並行に摺動させて、すなわち、バケットを土壌表面と並行に、水平方向にワイパーのように左右にスイングさせることによって、作業部が摺動する領域の固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取ることができる
本実施態様の土壌表層の剥ぎ取り収集工法によれば、バケットを土壌表層が除去される領域における左右の一方の除去開始端部に接地させ、そのバケットを、土壌表層に接地した状態で、自走式建設機械の左右旋回運動を利用して、左右旋回可能な方向の一方に旋回させることで、土壌表層を横方向に剥ぎ取る。この作業は、自走式建設機械を剥ぎ取り位置で一旦停止させ、その安定した状態で、バケットのみを横方向に旋回させることで実施される。従って、従来のように自走しながら土壌を剥ぎ取る場合や、オペレータがバケットを自走方向や自走方向とは逆方向に操作して土壌を剥ぎ取る場合と比較して、剥ぎ取る途中で剥ぎ取る層にバケットが深く入り過ぎることが無くなる。その結果、剥ぎ取る土壌を表層のみに薄く安定化させることができる。また、バケットのみを横方向に旋回させる作業は、オペレータがバケットのエッジ又はバケットから突出したエッジ部が差し込まれた土壌表層の状態を視認でき、従来から油圧ショベルで土をならす場合等に実施されていた作業であるので、比較的容易に作業を行うことができる。
〔2〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様の土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、バケットは、底面が平面であり、底面における旋回方向の先端にエッジが形成され、底面には直立方向に少なくとも一つの板を有し、バケットを接地させる工程では、底面が土壌表層に接地されるようにしてもよい。
本実施態様では、バケットの底面を平面にして、その平面を接地した。これによりそのバケットの底面の平面部は、バケットを土壌表層に接地した状態で旋回させる際に、バケットの底面端部エッジが土壌表層へ差し込まれ過ぎないように安定させて、バケットが過度に沈み込まないように抑制することができる。従って、土壌表層を薄く安定して剥ぎ取ることができる。また、底面の平面における旋回の進行方向の前面側の先端辺が旋回方向と直交するエッジとなり、そのエッジで土壌表層を剥ぎ取ることができる。また、底面から直立方向に配置された板を有するので、その直立板により剥ぎ取られた土を進行方向に押して搬送することができる。
〔3〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様の土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、バケットは、バケット開口部が旋回させる方向に向けられ、直立方向の板が背板であり、旋回させる工程では、土壌表層から剥ぎ取られた土がバケット開口部からバケットの中に誘導されるようにしてもよい。
本実施態様では、バケット開口部が旋回させる方向に向けられて、土壌表層から剥ぎ取られた土がバケットの中に誘導されて背板で止められるので、バケットの容量が一杯になるまでは、剥ぎ取られた土がこぼれることはなくなる。その結果、剥ぎ取られた土を進行方向に押し運ぶ量を増加させることができ、バケットの前面からこぼれる量を少なくすることができる。
〔4〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様の土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、バケットは、少なくとも土壌回収容器まで延伸された搬出手段が接続され、旋回させる工程では、バケットの土が、搬出手段を介して土壌回収容器に蓄積されるようにしてもよい。
本実施態様では、真空吸引装置(又はバキュームカー)に接続された搬出手段がバケットに接続されて、バケットの中に誘導された土は、そのまま遅滞なく搬出手段内に排出され、搬出手段内を移動し、土壌回収容器まで搬送される。従って、自走式建設機械の進行方向の側部に、一旦、集積されてから、まとめて回収や搬送が行われる場合や、バケット内に誘導された剥ぎ取られた土を、そのたび毎に搬送車の荷台に落下させて集積させる場合と比較して、剥ぎ取られた土がバケットの前面からこぼれる量をさらに少なくでき、剥ぎ取られた土壌を集積場所から回収して搬送する工程を削減することができる。これにより、土壌表層の剥ぎ取り収集を中断する時間や付帯作業減少させて、土壌表層の剥ぎ取り収集の連続性を高めることができる。結果的に、時間と工数を短縮することで効率化ができ、また、安全に作業をすることができる。
〔5〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様の土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、バケットは、土を破砕する破砕装置が設けられ、旋回させる工程では、破砕された土がバケットの中に誘導されるようにしてもよい。
本実施態様では、バケット内に破砕装置を設けて、剥ぎ取った土を破砕してから吸引するので、水分量が多かったり粘土質等で自然にあるいは意図的に土壌が固まっている場合に、搬出手段に土壌が滞留して吸引効率が低下すること、さらに搬出手段が詰まってしまい土の吸引ができなくなること、そして、その復旧のために剥ぎ取り収集作業を中止することを減らすことができる。その結果、搬出手段のメンテナンスのために中断することが減少し、効率化でき、剥ぎ取り収集作業の連続性を向上させることができる。
〔6〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様の土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、破砕装置は、モーター駆動される回転軸に複数の刃が取り付けられて構成され、破砕が、回転軸を回転させることで実施されるようにしてもよい。
本実施態様では、破砕装置を回転刃を駆動する方式にし、土がバケットに導入される速度よりも回転軸に取り付けられた刃の回転速度が充分に速くなるようにした。これにより、剥ぎ取った土が固まっている場合であっても、連続してその土を破砕することができる。その結果、土壌の剥ぎ取り収集作業の効率を向上させることができる。
〔7〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様の土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、バケット又は搬出手段には、内部に給水する給水ホースが接続され、土に給水するようにしてもよい。
本実施態様では、破砕された土が水を含んで粘性が高く、吸引が困難である場合に、その粘性が高い土に対して給水ホースからさらに給水することにより含水率を高め、粘性を低下させることができる。この給水で土の粘性が低下することで、搬出手段に土壌が滞留して吸引効率が低下すること、さらに搬出手段が詰まってしまい土の吸引ができなくなること、そして、その復旧のために剥ぎ取り収集作業を中止することを減らすことができる。その結果、搬出手段のメンテナンスのために土壌の剥ぎ取り収集作業を中断することが減少し、効率化でき、作業の連続性を向上させることができる。
〔8〕上記課題を解決するために、本発明に適用可能な一実施態様に係るバケットは、左右旋回可能な自走式建設機械に取り付けられるバケットであって、平面で形成され、旋回方向の先端にエッジが形成された底面と、旋回させる方向に向けられたバケット開口部と、底面から直立方向に形成された背板に設けられた吸引用開口部と、土壌表層から剥ぎ取られた土を破砕する破砕装置と、を有し、吸引用開口部は、搬出手段が接続できるように形成されることを特徴とする。
本実施態様のバケットによれば、バケット内に、剥ぎ取った土を破砕する破砕装置が設けられて、搬出手段が接続される。土壌表層から剥ぎ取られた土は破砕装置で破砕されてから吸引される。これにより、土壌が固まっている場合に、搬出手段に土が滞留したり、詰まって土の吸引効率が低下したり吸引できなくなることや、その復旧のために剥ぎ取り収集作業を中止することを減らすことができる。その結果、搬出手段のメンテナンスのために中断することが減少し、効率化でき、剥ぎ取り収集作業の連続性を向上させることができる。
〔9〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様のバケットでは、破砕装置が、複数の刃が取り付けられた回転軸と、回転軸を駆動させるモーターと、を有するようにしてもよい。
本実施態様では、破砕装置が回転刃を、土がバケットに導入される速度よりも回転軸に取り付けられた刃の回転速度が充分に速くなるように駆動するモーターを有する。これにより、剥ぎ取った土が固まっている場合であっても、連続してその土を破砕することができる。その結果、土壌の剥ぎ取り収集作業の効率を向上させることができる。
〔10〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様のバケットでは、破砕装置が、更に破砕された土を吸引用開口部へ誘導するスクリューコンベアを有するようにしてもよい。
本実施態様では、バケット内の破砕された土を、誘導する向きに配置されてモーター駆動されるスクリューコンベアで吸引用開口部まで遅滞なく誘導することができる。これにより、バケット内に留まる破砕された土の量を減らすので、バケット内に剥ぎ取られた土が入りやすくなり、土壌表層上の剥ぎ取り収集作業に対する抵抗を減らすので、作業の効率を向上させることができる。
〔11〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様のバケットでは、バケット又は搬出手段には、内部に給水する給水ホース接続部を有するようにしてもよい。
本実施態様では、給水ホース接続部を有して給水ホースが接続され、破砕された土に給水される。これにより、破砕された土が水を含んで粘性が高く吸引が困難である場合に、その粘性が高い土に給水して含水率を高め、粘性を低下させることができる。その結果、土壌の剥ぎ取り収集作業を中断することが減少し、効率化でき、作業の連続性を向上させることができる。
〔12〕好ましくは、本発明に適用可能な一実施態様のバケットでは、バケットから突出するように取り付けられたエッジ部を有するようにしてもよい。
本実施態様では、バケットから、土壌表面に対して、例えば略垂直に突出するようにエッジ部を取り付けることによって、突出したエッジ部が、汚染土壌中に差し込まれ、汚染土壌中に差し込まれた深さだけ正確な厚さで土壌表層を剥ぎ取ることができる。さらにバケットから土壌表面に対して、例えば略水平に突出するようにエッジ部を取り付けることによって、突出したエッジ部がバケットを補強し、剥ぎ取られた土壌表層を土壌表面に対して略水平にバケットから突出させたエッジ部に堆積させて、集積及び搬出作業を効率よく行うことができる。
以下、本発明の第1の実施の形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
<<第1実施形態>>
<本実施形態の概略構成>
図12〜図14に示した第1実施形態では、左右旋回可能な自走式建設機械であって上下移動可能な先端部を有する油圧ショベル1に、通常のバックホー型の着脱可能なバケット11を取り付けた場合である。油圧ショベル1は、運転席部分を含み左右に旋回可能な本体2と、本体2を上に載せて左右に旋回させることができる車台部3と、クローラベルト等の走行部4と、油圧シリンダにより上下及び前後に移動可能なアーム部5とを有している。
油圧ショベル1は、オペレータが操作する(オペレータ自らが自走式建設機械等を直接に操作する場合と、遠隔操作する場合を含む。また以下の「操作する」も同様)ことにより走行部4を駆動して前進、後退、右折、左折が可能である。本体2はオペレータが操作することにより車台部3を基礎にして左右に旋回することができる。アーム部5はへの字型部の一端部が本体2に枢着され、への字型部の他端部には直線部の一端部が枢着される。への字型部と直線部には各々油圧シリンダが装備され、直線部の他端部はオペレータが操作することにより油圧シリンダで上下させることができる。また、油圧ショベル1の上下移動可能な先端部であるアーム部5の直線部の他端部には、バケット11が枢着される。
バケット11は、左右旋回可能な油圧ショベル1の上下移動可能な先端部に取り付けられ、土壌表層72の剥ぎ取り収集に用いられる。バケット11は、アーム部5の直線部の他端との枢着部とその直線部と平行配置された油圧シリンダとの枢着部とを有する取付部12と、アーム又はバケットを前後に操作した場合に剥ぎ取られた土が入る入り口となるバケット開口部13と、バケット開口部13の両脇寸法及び両側面を画定して直立する板である側板14と、バケット開口部13の底面を画定する板である底板15と、バケット11のバケット開口部13と対向して底板15から直立する背板16とを有する。底板15における旋回方向の先端には、底面開口側端部エッジ17が形成され、底板15から両側板14が立ち上がる両角には底面側端部エッジ18 が形成される。このような平面状の底面及びエッジを有するバケット11の例としては、油圧ショベル用の一般的なバケットの他に、さらに広い底面を有して法面の成形に使用される法面バケットがある。
<本実施形態の土壌表層の剥ぎ取り収集工法>
図12に示された油圧ショベル1は、オペレータが操作することにより、まず、土壌表層72が除去される領域73における、油圧ショベル1の進行方向に対して左右の一方の端部(領域境界部)の除去開始端部75の手前側の外側の位置まで自走させられ停止される。この場合の左右の一方の端部は任意であって良いが、本実施形態では油圧ショベル1の進行方向に対して右の端部とする。このようにして本実施形態では、除去される領域73における、右の端部(領域境界部)から除去が開始される。
次に、オペレータが操作することにより、バケット11を、土壌表層72が除去される領域73における左右の一方の除去開始端部75に配置する。この場合の左右の一方の端部も任意であって良いが、本実施形態では右の端部から除去が開始されるので、油圧ショベル1の進行方向に対して右の端部にバケット11を配置する。
その次に、図13(a)及び図14(a)に示したように、オペレータが操作することにより、除去開始端部75に配置されたバケット11を降下させて、除去開始端部75の土壌表層72に平行に、バケット11の底面を構成する平面状の底板15を接地させる。この場合、底面の底板15における旋回方向の先端には、直立方向に側板14が立ち上がって形成されている。この底板15と側板14によって、旋回方向の先端には、その旋回方向と直交する方向に延伸される底面側端部エッジ18が形成される。
図15に、本発明に適用可能なエッジ部を取り付けたバケットの実施態様を示す。エッジ部をバケットに取り付ける実施態様は、図15に示す態様に限定されない。図15(a)左側図は、バケット11から土壌表面に対して略垂直に突出するようにエッジ部181を取り付けた状態を示すバケット11の側面図であり、右側図は、図15(a)左側図をバケット11のバケット開口13方向からみた正面図である。
図15(a)に示すように、板状のエッジ部181は、バケット11の底面側端部エッジ18から土壌表面に対して略垂直に突出するように、バケット11の側板14に固定用ボルト200及びナット210によって、着脱自在に取り付けられる。バケット11のから突出するエッジ部181を取り付けることによって、突出したエッジ部181が、汚染土壌中に差し込まれて配置される。バケット11を土壌表面と並行に水平方向にワイパーのように左右にスイングさせることによって、エッジ部181が、汚染土壌中に差し込まれた深さだけ正確な厚さで土壌表層を剥ぎ取ることができる。このようにバケット11から突出したエッジ部を設けることによって、剥ぎ取る土壌表層の厚さを正確に制御することができる。例えば、剥ぎ取る土壌表層の厚さを3cmに設定する場合は、エッジ部181の突出幅D1’’が3cmとなるようにエッジ部181を側板14に着脱自在に固定用ボルト200及びナット210で固定することによって、剥ぎ取る土壌表層の厚さを3cmに正確に制御することが容易となる。エッジ部の取り付け方法は、固定用ボルト及びナットを用いる方法に限定されるものではなく、他の方法によってエッジ部がバケット11の側端部に取り付けられていてもよい。エッジ部181の突出幅D1’’は、剥ぎ取る土壌表層の厚さに合わせて設定を変更することが可能であり、剥ぎ取る土壌表層の厚さが10cmである場合には、板状のエッジ部181の突出幅D1’’が9〜10cmとなるようにバケット11の側板14に固定すればよい。剥ぎ取る土壌表層の厚さが5cmである場合には、板状のエッジ部181の突出幅D1’’が3〜5cmとなるようにバケット11の側板14に固定すればよく、剥ぎ取る土壌表層の厚さが4cmである場合には、板状のエッジ部181の突出幅D1’’が3〜4cmとなるようにバケット11の側板14に固定すればよい。
図15(b)は、バケット11から土壌表面に対して略垂直に突出するように板状の第1のエッジ部182を取り付け、バケット11から土壌表面に対して略水平に突出するように板状の第2のエッジ部183を取り付けた状態を示すバケット11の側面図であり、右側図は、図15(b)左側図をバケット11のバケット開口13方向からみた正面図である。
図15(b)に示すように、板状の第1のエッジ部182は、バケット11の底面側端部エッジ18から土壌表面に対して略垂直に突出し、バケット11の背板16からも突出長さL1突出するように、バケット11の側板14に固定用ボルト200及びナット210によって、着脱自在に取り付けられる。また、板状の第2のエッジ部183は、バケット11の底面開口側端部エッジ17から略水平に突出するように、バケット11の底板15に取り付けられる。板状の第1のエッジ部182が、バケット11の底面側端部エッジ18から土壌表面に対して略垂直に突出するように取り付けられることによって、突出した第1のエッジ部182及び第2のエッジ部183が、汚染土壌中に差し込まれて配置される。バケット11を土壌表面と並行に水平方向にワイパーのように左右にスイングさせた場合に、第1のエッジ部182が、汚染土壌中に差し込まれた深さ(第1のエッジ部182の突出幅D1’’)だけ正確な厚さで土壌表層を剥ぎ取ることができる。また、第1のエッジ部182は、バケット11の背板16から突出長さL1だけ突出しているので、広範囲の汚染土壌表層を剥ぎ取ることができる。また、第2のエッジ部183が、底面開口側端部エッジ17から土壌表面に対して略水平に突出するように取り付けられることによって、バケット開口13に取り付けつけられた爪状の底面開口側端部エッジ17を補強することができる。さらに、第2のエッジ部183は、底面開口側端部エッジ17から土壌表面に対して略水平に突出するため、突出した部分で剥ぎ取られた土壌表層をすくい上げ、第2のエッジ部183上に堆積させることができ、剥ぎ取られた土壌表層を効率よく集積及び搬出することができる。第2のエッジ部183は、バケット11の底板15に溶接によって取り付けてもよく、固定ボルト及びナット等によってバケット11の底板15に着脱自在に取り付けてもよい。
図15(c)は、バケット11の両側に土壌表面に対して略垂直に突出するように2つの板状のエッジ部181、181を取り付けた状態を示すバケット11の側面図であり、右側図は、図15(c)左側図をバケット11のバケット開口13方向からみた正面図である。
図15(c)に示すように、2つの板状のエッジ部181は、バケット11の両側の側板14にそれぞれ固定用ボルト200及びナット210によって取り付けられる。バケット11の両側から突出した2つのエッジ部181が、汚染土壌中に差し込まれて配置される。2つのエッジ部181は、一方のエッジ部181が、他方のエッジ部181を補強し、剥ぎ取る土壌表層の厚さをより正確に制御することができる。
さらにその次に、除去開始端部75に接地されたバケット11は、オペレータが操作することにより、土壌表層72に接地された状態で、本体2が左右旋回可能な方向のうちの左旋回方向に旋回される。バケット11が左旋回方向に旋回されると、図13(a)及び図14(a)に示されたように、土壌表層72から剥ぎ取られ始めた土61が、底面側端部エッジ18の進行方向の外側に溜まると共に進行方向に押し運ばれる。さらに、バケット11が左旋回方向に旋回されるに従い、図13(b)、図14(b)及び(c)に示されたように、土壌表層72から剥ぎ取られたさらに多くの土62が、底面側端部エッジ18の外側に溜まって進行方向に押し運ばれる。その際の図14(b)の底面側端部エッジ18により土壌表層72から剥ぎ取られた土62が示された領域19を拡大して図14(e)に示されている。
バケット11の左旋回方向への旋回の最終段階には、図13(c)、図14(d)に示されたように、一回のバケット11の左旋回方向への旋回により土壌表層72から剥ぎ取られた全ての土63が、底面側端部エッジ18の外側に溜まって進行方向に押し運ばれる。最終的に、剥ぎ取られた全ての土63が除去終了端部76に達すると、以前の除去作業により形成された筋状除去土盛65と融合されて、新たな筋状除去土盛65が形成される。
この筋状除去土盛65は、例えば、一般的なローダーの排土板により集積したり油圧ショベルによりすくい上げて、ダンプカー等の搬送車両の荷台に落下及び集積して搬出することができる。しかし、一旦、筋状除去土盛65を集積したり搬出する際には、剥ぎ取り厚さやすくい取り厚さは薄くできないので、無駄な剥ぎ取り/すくい取りの土量が発生する。また、例えば、汚染された土壌の場合には、土を動かすことによる搬送中の取りこぼしにより汚染が拡大する可能性もあることから、排土板や油圧ショベルにより集積及び搬出する作業は好ましく無い場合がある。
そのような排土板や油圧ショベルにより集積及び搬出する作業が好ましく無い場合には、例えば、搬出手段として、真空吸引装置(真空ポンプ又はバキュームカー)に接続された吸引ホースにより剥ぎ取られた土から筋状除去土盛65の一部が形成されるとすぐに吸引することで、土の集積及び搬出時の作業工数を軽減し、取りこぼしを無くすことができる。吸引能力は、少なくとも泥状物、半固形物又は固形物を吸引、収集可能な能力が必要であり、剥ぎ取られる面積や立地等を考慮して能力は選択されるべきである。一例としては、理論風量12〜100m/min程度の能力を有するものを使用することができる。
また、より確実に土壌表層72を薄く安定して剥ぎ取ることができるように、土壌表層72が除去される領域73に固化剤及び液体を含む土壌固化用スラリー材を散布し、表層のみに浸透させることで領域73の土壌を固化させることができる。この場合の土壌固化用スラリー材は、固化剤と液体との配合割合(固化剤:液体)を例えば1:3〜4の割合で配合すればよく、作業性を改善するために発電機と吹付機を用いた動憤で散布してもよい。
また、土壌固化用スラリー材を用いることにより、除去される領域73の土壌表層72は、その下の土壌と異なる組成となって固まるので、剥ぎ取りの際の取りこぼしが発生しにくくなって、作業効率が向上すると共に、粉塵の巻き上げが減って、安全且つ確実な除去作業が可能になり、さらに、境界部での分離が容易になることから、剥ぎ取り作業が容易になる。また、土壌固化用スラリー材に用いる固化剤として、例えば、マグネシア系の固化剤を使用した場合には、固化させた土壌を目視で確認可能となるように、例えば白色に変色させることができ、目視で固化した土壌部分を確認しながら、固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取り、剥ぎ取り作業が終了した領域と未作業領域の区別が視認により容易にできることから、施工管理を容易にすることができる。
このように本実施形態の土壌表層72の剥ぎ取り収集工法によれば、バケット11を土壌表層72が除去される領域73における左右の一方の除去開始端部75に接地させ、そのバケット11を、土壌表層72に接地した状態で、油圧ショベル1の左右旋回運動を利用して、左右旋回可能な方向の一方に旋回させることで、土壌表層72を横方向に剥ぎ取る。この作業は、油圧ショベル1を剥ぎ取り位置で一旦停止させ、その安定した状態で、バケット11のみを横方向に旋回させることで実施される。
従って、従来のように自走しながら土壌を剥ぎ取る場合や、オペレータがバケット11を自走方向(又は自走方向とは逆方向)に操作して土壌を剥ぎ取る場合と比較して、剥ぎ取る途中で剥ぎ取る層にバケット11が深く入り過ぎることを減らすことができる。その結果、剥ぎ取る土壌を、例えば2〜3cm等の表層のみに薄く安定化させることができる。また、バケット11のみを横方向に旋回させる作業は、従来から油圧ショベル1で土をならす場合等に実施されていた作業であるので、比較的容易に作業を行うことができ、さらにオペレータがバケット11の底面側端部エッジ18が差し込まれた土壌表層72の状態を視認できるので確実に実施できる。
また、本実施形態では、バケット11の底面を平面の底板15にして、その平面を接地している。これにより、バケット11を土壌表層72に接地した状態で旋回させる際に、その底板15における旋回の進行方向の前面側の先端辺が旋回方向と直交する底面側端部エッジ18となり、その底面側端部エッジ18で土壌表層72を剥ぎ取ることができる。しかも、平面である底板15により、バケット11の底面側端部エッジ18が土壌表層72へ差し込まれ過ぎないように安定させることができ、バケット11が過度に沈み込まないように抑制することができる。従って、土壌表層72を薄く安定して剥ぎ取ることができる。また、底板15から直立方向に配置された側板14を有するので、その直立した側板14により剥ぎ取られた土を進行方向に押して搬送することができる。
<<第2実施形態>>
<本実施形態の概略の構成状の特徴>
上記した第1実施形態では、通常のバックホー等で用いられるバケット11の底板15と側板14との間の底面側端部エッジ18を利用して、油圧ショベル1を左右旋回させることで、土壌表層72を底面側端部エッジ18で剥ぎ取り、その土61〜63を側板14で進行方向に押し運んでいた。しかし、側板14で土を運ぶ場合、土の量が増加すると、側板14の左右からこぼれ落ちる土の量が増加する。そこで図16に示した第2実施形態の土壌表層の剥ぎ取り収集工法では、バケット21は、バケット開口部23を旋回させる方向に向けて形成した。
バケット21は、アーム部5の直線部の他端との枢着部とその直線部と平行配置された油圧シリンダとの枢着部とを有する取付部22と、剥ぎ取られた土が入る入り口となるバケット開口部23、バケット開口部23の両脇面を画定して直立する板である側板24と、バケット開口部23の底面を画定する板である底板25と、バケット21のバケット開口部23と対向して底板25から直立する背板26とを有する。
バケット開口部23は、旋回方向に向けられ、底板25は土壌の表層に平行な平面で形成され、底板25の旋回方向の先端には、該旋回方向と直交する底面開口側端部エッジ27が形成され、底板25から両側板24が立ち上がる両角には底面側端部エッジ28が形成される。土壌表層72の剥ぎ取りには、旋回方向の先端の底面開口側端部エッジが用いられ、バケット21を旋回させるに従い、剥ぎ取られた土はそのままバケット開口部23からバケット21の内部に誘導される。その他の構成は第1実施形態と同様である。
<本実施形態の土壌表層の剥ぎ取り収集工法の特徴>
本実施形態では、バケット21を旋回させる際には、バケット開口部23が旋回させる方向に向けられて、土壌表層72から剥ぎ取られた土がバケット21の中に誘導されて背板で止められるので、バケット21の容量が一杯になるまでは、剥ぎ取られた土がこぼれることはなくなる。その結果、剥ぎ取られた土を進行方向に押し運ぶ量を増加させることができ、バケット21の前面からこぼれる量を少なくすることができる。その他の工法は第1実施形態と同様である。
<<第3実施形態>>
<本実施形態の概略の構成状の特徴>
上記した第2実施形態では、バケット21のバケット開口部23を旋回させる方向に向けることで、剥ぎ取られた土がこぼれる量を減らし、剥ぎ取られた土を進行方向に押し運ぶ量を増加させていたが、バケット21の中に入った土は、第1実施形態のように、一旦、筋状除去土盛65にして溜めるか、ダンプカー等の搬送車の荷台に落下させて集積させる必要があり、集積及び搬出する作業の効率は改善されなかった。そこで図17〜図19に示した第3実施形態では、バケット31に直接に搬出手段として吸引ホースを接続して集積及び搬出する作業の効率を改善する。
基本的なバケット31自体の構成は第2実施形態と同様であり、バケット31は、アーム部5の直線部の他端との枢着部とその直線部と平行配置された油圧シリンダとの枢着部とを有する取付部32と、剥ぎ取られた土が入る入り口となるバケット開口部33、バケット開口部33の両脇面を画定して直立する板である側板34と、バケット開口部33の底面を画定する板である底板35と、バケット31のバケット開口部33と対向して底板35から直立する背板36とを有する。
バケット開口部33は、旋回方向に向けられ、底板35は土壌の表層に平行な平面で形成され、底板35の旋回方向の先端には、該旋回方向と直交する底面開口側端部エッジ37が形成され、底板35から両側板34が立ち上がる両角には底面側端部エッジ38が形成される。土壌表層72の剥ぎ取りには、旋回方向の先端の底面開口側端部エッジ37が用いられるので、バケット31を旋回させるに従い、剥ぎ取られた土はそのままバケット開口部33からバケット31の内部に誘導される。
以上の第2実施形態と同様な構成に加えて、本実施形態では、バケット31は、背板36に吸引用開口部86を有する。また、その吸引用開口部86には土壌回収容器91を経由して真空吸引装置92に接続された吸引ホース88が接続できるように形成される。図示を省略したが、土壌回収容器91と真空吸引装置92とは、吸引ホース88で接続されることなく一体化してもよい。土壌回収容器91と真空吸引装置92とを一体化することによって、吸引力が強くなり、バケット31から効率よく土壌回収容器91に剥ぎ取った土壌表層を蓄積することができる。
その吸引ホース88の一方の端部が真空ポンプ又はバキュームカー等の真空吸引装置92に接続され、吸引ホース88の他方の端部がバケット31に接続される。上記のようにバケット31の中に誘導された土は、吸引されることで、そのまま遅滞なくバケット31から吸引ホース88内に排出され、吸引ホース88内を移動し、土壌回収容器91まで搬送される。土壌回収容器91では、土の自重による落下か、サイクロン方式により土と空気が分離され、内部の空気のみがさらに吸引ホース88を通って真空吸引装置92に排出される。このように構成することにより、本実施形態では、バケット31を旋回させる際に、バケット開口部33からバケット31の中に誘導された土が、即時に吸引ホース88を介して土壌回収容器91に蓄積される。
従って、上記した実施形態のように油圧ショベル1の進行方向の側部に、一旦、土が筋状除去土盛65のように集積されてから、まとめて回収や搬送が行われる場合や、バケット内に誘導された剥ぎ取られた土を、そのたび毎に搬送車の荷台に落下させて集積させる場合等と比較して、剥ぎ取られた土がバケット31の前面からこぼれる量をさらに少なくすることができる。従って、剥ぎ取られた土壌を集積場所から回収して搬送する工程を無くすか減少させることができる。これにより、土壌表層72の剥ぎ取り収集を中断する時間や付帯作業を減少させて、土壌表層72の剥ぎ取り収集の連続性を高めることができる。結果的に、時間と工数を短縮することで効率化ができ、また、集積や搬送時に自走式建設用機械の近傍で作業する作業員が不要になるので作業を安全にすることができる。
また、本実施形態のバケット31には、バケット開口部33の近傍に、土壌表層72から剥ぎ取られた土及び雑草などの植物体、稲株や稲わらなどの植物残渣を破砕する破砕装置80が設けられる。これによりバケット31を旋回させる際には、破砕装置80で破砕された土がバケット31の中に誘導され、吸引ホース88を介して土壌回収容器91に蓄積されるようになる。
破砕装置80は、複数の破断用の突出する刃82が取り付けられた回転軸81と、回転軸81を、剥ぎ取った土が誘導される速度よりも速い速度で駆動させるモーター84とを有する。剥ぎ取られた土及び雑草などの植物体、稲株や稲わらなどの植物残渣等の破砕は、旋回により剥ぎ取った土等が誘導される速度よりも充分に速い速度で回転軸を回転させることで実施される。例えば、回転軸81の表面が円周方向に廻る速度を土がバケット31に導入される速度の数倍以上とする。刃82としては、例えば、農業機械の草刈り用のモアに用いられるハンマーナイフ型の刃を用いることで、植物体や植物残渣の破砕を効率化することができる。
このバケット31内に破砕装置80が設けられて吸引ホース88が接続されることにより、剥ぎ取った土を破砕してから吸引できるので、水分量が多かったり粘土質等で自然にあるいは意図的に土壌の剥ぎ取った土が固まっている場合であっても、連続してその土を破砕することができる。その結果、吸引ホース88内に土壌が滞留して吸引効率が低下すること、さらに吸引ホース88が詰まってしまい土の吸引効率が低下したり吸引できなくなること、そして、その復旧のために剥ぎ取り収集作業を中止することを減らすことができ、土壌の剥ぎ取り収集作業の効率を向上させることができ、吸引ホース88のメンテナンスのために中断することが減少し、剥ぎ取り収集作業の連続性を向上させることができる。また、バケット31内の土壌の滞留量を減少させて重量増加を抑制することで、剥ぎ取る途中で剥ぎ取る層にバケット31が深く入り過ぎることを抑制することができる。なお、搬出手段としては、吸引ホースの他に、例えば、高分子等の柔軟な素材で形成されたチューブの内部に、同様に高分子素材等の柔軟なスクリューを入れることで構成された柔軟性を有するスクリューコンベアを利用することができる。また、スクリューはシャフトレスであってもよい。
(第3実施形態の応用例1)
また、バケット31の吸引用開口部86の近傍又は吸引ホース88の吸引用開口部86への接続部の近傍には、当該部の内部に給水する不図示の給水ホース接続部を有し、給水ホースを接続することができる。これにより、吸引用開口部86の近傍又は吸引ホース88内の破砕された土に給水することができる。
本応用例では、給水ホース接続部を有して給水ホースが接続され、破砕された土に給水される。これにより、破砕された土が水を含んで粘性が高く、吸引が困難である場合に、その粘性が高い土に対して給水ホースからさらに給水することにより含水率を高めることで、粘性を低下させることができる。この給水で土の粘性が低下させることにより、吸引ホース内に土壌が滞留して吸引効率が低下すること、さらに吸引ホースが詰まってしまい土の吸引ができなくなること、そして、その復旧のために剥ぎ取り収集作業を中止することを減らすことができる。その結果、吸引ホースのメンテナンスのために土壌の剥ぎ取り収集作業を中断することが減少し、効率化でき、作業の連続性を向上させることができる。
(第3実施形態の応用例2)
また、バケット31内に、破砕された土を吸引用開口部86まで遅滞なく誘導することができるスクリューコンベアを設けることができる。スクリューコンベアは、破砕された土を吸引用開口部86へ誘導する向きに配置されて、モーターで駆動される。これにより、バケット31内に留まる破砕された土の量を減らすことができるので、バケット31内に剥ぎ取られた土が入りやすくなり、土壌表層72上の剥ぎ取り収集作業に対する抵抗を減らすので、作業の効率を向上させることができる。
このように上記した各実施形態の土壌表層72の剥ぎ取り収集工法及びバケットによれば、底面側端部エッジ又はバケットの側端部から突出するエッジ部が土壌表層に差し込まれる角度が増大することを抑制することができるので、除去する土壌表層の厚みを土壌表層の薄い範囲の層内に安定させることができる。また、オペレータにバケットの底面の側端部エッジ又はバケットの側端部から突出するエッジ部がどの程度まで除去領域の土壌表層に差し込まれたかその状態を視認させることができる。さらに、オペレータの操作を左右旋回という容易な作業にでき、操作の困難性を抑制することができる。
上記各実施形態では、平地の土壌表層を除去する場合について説明してきたが、本発明に適用可能な土壌表層の剥ぎ取り収集工法及びバケットはこれに限らず、例えば、法面や丘陵地の土壌表層を剥ぎ取り収集する場合にも、例えば、油圧ショベル1を法面の上側に配置してアーム部5を下側で旋回させる等の配置や旋回方向を調整することで対応することができる。また、前記工法では表層の土壌に埋もれている埋土種子を効率よく採取することが可能であり、目的に応じて数センチ単位の層状に土壌を剥ぎ取り分けることも可能である。
本発明の汚染土壌表層の除去工法は、水田土壌等の圃場の汚染土壌表層の除去に好適に使用することができる。対象土壌が、水田土壌である場合には、水田土壌をある程度乾燥させた後、土壌固化用スラリー材を散布することが好ましい。水田土壌をある程度乾燥させた後に、固化剤と液体を含む土壌固化用スラリー材が浸透しやすくなり、除去を目的する厚さに汚染土壌表層を剥ぎ取りやすくなる。また、対象土壌が水田土壌である場合には、土壌固化用スラリー材を散布する前に、対象土壌の雑草類等を除去することが好ましい。
以下、実施例によって、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4)
平成23年7月6日〜同年7月15日に、福島県飯舘村にて、以下の試験を行った。
予め試験区域となる農地、具体的には水田土壌の土壌表面(1m)から5cmの高さの大気中の放射線量(処理前)をMr.Gamma(クリアパルス社製)によって測定した。結果を表1に示す(表1中の放射線量の単位はマイクロシーベルト毎時(μSv/h)である)。(1)以下に示すマグネシア系固化剤を表1に示す配合割合で水と混合してスラリー状の土壌固化用スラリー材にして、この土壌固化用スラリー材A1を如雨露B1により滴下し、試験区域となる土壌表面C1(1m)に散布した。なお、以下に示すマグネシア系固化剤100質量%中の酸化マグネシウムの含有量は15〜55質量%である。土壌固化用スラリー材の散布量は2kg/m(固形分量)であった。図2は、土壌固化用スラリー材A1を試験区域となる土壌表面C1(1m)に如雨露B1で散布している状態を示す写真である。
マグネシア系固化剤:マグホワイトIII型(MgWIII)、ブレーン比表面積6,000cm/g、東武化学社製
マグネシア系固化剤:マグホワイトIIIP型(MgWIIIP)、ブレーン比表面積8,000cm/g、東武化学社製
(2)土壌表面C1にマグネシア系固化剤を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材A1を散布した後、9日間養生し、マグネシア系固化剤を土壌に浸透させ、土壌表面C1から深さ1〜3cm以内の土壌部分を固化した。固化した土壌部分を含む土壌表層D1は白色に変色し、目視で視認することができた。
(3)固化した土壌部分を含む土壌表層D1をスコップE1を用いて人手により剥ぎ取った。図3は、固化した土壌部分を含む土壌表層D1の剥ぎ取り状況を示す写真である。土壌表層D1を剥ぎ取った後の土壌表面C1’は、白色化がなくなり、目視で確認することができた。図4は、剥ぎ取られた固化した土壌部分D1’を含む土壌表層D1の厚さを測定する状況を示す写真である。図4に示すように、剥ぎ取られた固化した土壌部分D1’を含む土壌表層D1の厚さは約2〜3cmであった。
土壌表層を剥ぎ取った後の土壌表面C1’から5cmの高さの大気中の放射線量をMr.Gamma(クリアパルス社製)によって測定した。図5は、土壌表層を剥ぎ取った後の土壌表面C1’から5cmの高さの大気中の放射線量を測定している状況を示す写真である。放射線量(土壌表層の剥ぎ取り後)の測定結果を表1に示す。さらに剥ぎ取られた固化した土壌部分D1’を含む土壌表層D1を堆積した部位の土壌表面から5cmの高さの大気中の放射線量(処理土)を測定した。放射線量の測定結果を表1に示す。
[実施例1〜4の結果の考察]
表1に示すように、本発明の汚染土壌表層の除去工法を適用した水田土壌は、施行前と、汚染土壌表層D1を剥ぎ取った後で、大気中の放射線量が低減しており、本発明の工法により汚染土壌表層D1を除去することにより、放射性物質によって汚染された区域の放射線量を低減できることが確認できた。なお、試験を行った福島県飯舘村は、試験した土壌周囲の大気中の放射線量が高いため、土壌表層を剥ぎ取った効果が分かりにくい状況であったが、施工前と土壌表層の剥ぎ取り後(施工後)では、表1に示すように明らかに放射線量が低減している。さらに本発明の施工によって、剥ぎ取られた汚染土壌表層の厚さは約2〜3cmであり、このことから汚染物質が留まる土壌表面から深さ約2〜3cm以内の土壌表層のみを、迅速且つ確実に、しかも土量を極力少なくして除去することができ、施工費用を低減することができ、処理後の負担を軽減できることが確認できた。なお、実施例1〜3は、ブレーン比表面積が大きい固化剤(MgWIIIP:ブレーン比表面積8,000cm/g)を使用しているが、実施例2においては、土壌表層を固化させた状態において、固化剤が土壌表面に浮いている状態であり、固化剤が土壌に浸透しにくくなっている状態であることが目視によって確認された。
(実施例5)
平成23年7月21日〜同年7月29日に、茨城県農村工学研究所内の圃場試験場において、以下の試験を行った。
予め試験区域となる圃場の水田土壌(以下、「試験土壌」という)の表面(225m)を縦横5mずつ格子状に区分けし縦横5mずつ区分けした交点部分の土壌表面から5cmの高さの大気中の放射線量(処理前)をTCS-161(日立アロカメディカル社製)によって測定した。結果を表2に示す(表2中の数値の単位はマイクロシーベルト毎時(μSv/h)である)。(1)マグネシア系固化剤(マグホワイトIIIP型(MgWIIIP))を水と混合してスラリー状の土壌固化用スラリー材A2(固化剤と水の比率(固化剤:水=100質量部:300質量部))とした。図6は、本実施例で使用する土壌固化用スラリー材A2を土壌表面に散布するための吹付機B2と、この吹付機B2を駆動するための発電機B2’を示す写真である。図7は、スラリー状の土壌固化用スラリー材A2を吹付機B2で試験土壌表面C2(225m)に均等に散布する状態を示す写真である。土壌固化用スラリー材A2の散布量は2kg/m(固形分量)であった。
(2)土壌表面C2に固化剤を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材A2を散布した後、6〜7日間養生し、固化剤を土壌に浸透させ、土壌表面C2から深さ1〜3cm以内の土壌部分を固化した。
(3)自走式建設機械である油圧ショベルを使用し、その作業部であるバケットを、油圧ショベルのキャタピラ幅程度の範囲で左右に旋回させることによって、バケットを土壌表面に並行に摺動させて、すなわち、バケットを土壌表面と並行に、水平方向にワイパーのように左右にスイングさせることによって、固化した土壌部分D2’を含む土壌表層D2を剥ぎ取った。剥ぎ取られた固化した土壌部分D2’を含む土壌表層の厚さは約2〜3cmであった。図8〜11は、試験土壌のそれぞれ異なる部位から剥ぎ取られた固化した土壌部分D2’を含む土壌表層D2の厚さを測定する状態を示す写真である。剥ぎ取った土壌表層は、バケットの摺動が止まる領域に堆積させた後、吸引して捕集した。
土壌表層D2を剥ぎ取った後の試験土壌表面(225m)を縦横5mずつ格子状に区分けし縦横5mずつ区分けした交点部分から5cmの高さの大気中の放射線量をTCS-161(日立アロカメディカル社製)によって測定した。結果を表3(表3中の数値の単位はマイクロシーベルト毎時(μSv/h)である)に示す。
[実施例5の結果の考察]
表2及び表3に示すように、本発明の工法を施工した土壌は、施行前(表2)と、土壌表層を剥ぎ取った後(表3)で、放射線量が低減しており、本発明の工法を施工する区域が広範囲(試験土壌表面225m)であっても、試験土壌区域の放射線量が均等に低減されていることから、部分的な取りこぼしなく汚染物質を確実に除去できることが確認できた。実施例5において、土壌表層の剥ぎ取りの施工にかかった時間は、大型土嚢袋(フレコンバック1t用)への積み込みを含め約2.5時間であり、迅速に土壌表層を剥ぎ取って、汚染物質を確実に除去できることが確認できた。
また、図8〜11に示すように、剥ぎ取られた土壌表層の厚さは約2〜3cmであり、除去する土量を極力少なくすることができ、施工費用を低減することができ、処理後の負担を軽減できることが確認できた。さらに、施工時は、粉塵の発生が抑制されており、粉塵の発生と共に汚染物質が飛散するのを抑制し、施工者の安全性が確保されることが確認できた。
本発明の汚染土壌表層の除去工法は、例えば灌漑用水中に含まれる重金属類や大気中の放射性物質によって、土壌表面から深さ約5cm以内の表層に留まる汚染物質含む汚染土壌表層を、迅速且つ確実に、さらに低コストで極力廃棄物を少なくして除去処理後の処理負担を軽減することができ、しかも施工者の安全性も確保されるように、物理的に除去することができる。カドミウム、銅等の重金属類や砒素等の有害物質によって、基準値以上の数値がでている地域は、約7,500ヘクタール(ha)である。また、原子力発電所の事故に伴い、放射性物質で汚染された農地の面積は約10,000ヘクタール(約7000戸)であり、5000ベクレル/kg以上の放射性物質が存在する土壌においては稲の作付けが制限されている。本発明の汚染土壌表層の除去工法は、例えば放射性物質等によって広範囲に汚染された汚染土壌表層を除去する工法として、被災地の復旧に役立てることができ、産業上非常に有用である。
A1、A2 土壌固化用スラリー材
B1 如雨露
B2 吹付機
B2’ 発電機
C1、C2 試験用の土壌表面
C1’ 剥ぎ取り後の土壌表面
D1、D2 土壌表層
D1’、D2’ 固化した土壌部分
1 油圧ショベル、
2 本体、
3 車台部、
4 走行部、
5 アーム部、
11、21、31 バケット、
12、22、32 取付部、
13、23、33 バケット開口部、
14、24、34 側板、
15、25、35 底板、
16、26、36 背板、
17、27、37 底面開口側端部エッジ、
18、28、38 底面側端部エッジ、
19 領域、
61 (剥ぎ取られ始めた)土、
62 (さらに多くの)土、
63 (全ての)土、
65 筋状除去土盛、
72 土壌表層、
73 (除去される)領域、
75 除去開始端部、
76 除去終了端部、
80 破砕装置、
81 回転軸、
82 刃、
84 モーター、
86 吸引用開口部、
88 吸引ホース(搬出手段)、
91 土壌回収容器、
92 真空吸引装置、
181、182、183 エッジ部、
200 固定用ボルト、
210 ナット。

Claims (12)

  1. (1)固化剤及び液体を含むスラリー状の土壌固化用スラリー材を土壌表面に散布する工程と、
    (2)土壌表面に散布した土壌固化用スラリー材を土壌に混合することなく、土壌表面の浅い層領域に浸透させ、土壌表層を固化させ、固化した土壌部分を目視で確認可能となるように変色させる工程と、
    (3)土壌固化用スラリー材によって固化した土壌部分を含む土壌表層を、目視で確認しながら剥ぎ取る工程と
    を含み、固化剤が、マグネシア系固化剤、セメント系固化剤、カルシウム系固化剤、石灰系固化剤及び石膏系固化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の固化剤である、汚染土壌表層の除去工法。
  2. 固化剤がブレーン比表面積3,000〜12,000cm/gであり、土壌固化用スラリー材が固化剤100質量部に対して、液体200〜800質量部含むものである、請求項記載の汚染土壌表層の除去工法。
  3. 固化剤がマグネシア系固化剤であり、マグネシア系固化剤が全量100質量%中に酸化マグネシウムを5〜99質量%含む、請求項1又は2記載の汚染土壌表層の除去工法。
  4. スラリー状の土壌固化用スラリー材を、吹き付け、噴霧又は如雨露による滴下により散布する、請求項1〜のいずれか1項記載の汚染土壌表層の除去工法。
  5. 剥ぎ取る土壌表層の厚さが10cm以下である、請求項1〜のいずれか1項記載の汚染土壌表層の除去工法。
  6. 剥ぎ取る土壌表層の厚さが1〜4cmである、請求項1〜のいずれか1項記載の汚染土壌表層の除去工法。
  7. 土壌表層の剥ぎ取りに作業部を設けた自走式建設機械を使用し、土壌表層を剥ぎ取る深さに作業部を配置して、作業部を土壌表面に並行に摺動させて、作業部が摺動する領域の固化した土壌部分を含む土壌表層を剥ぎ取る、請求項1〜のいずれか1項記載の汚染土壌表層の除去工法。
  8. 剥ぎ取った土壌表層を作業部の摺動が止まる領域に堆積させる工程を含む、請求項記載の汚染土壌表層の除去工法。
  9. 堆積させる工程後、自走式建設機械を移動させて、土壌表層を剥ぎ取る工程と、剥ぎ取った土壌表層を堆積させる工程とを少なくとも1回以上繰り返し、剥ぎ取った汚染土壌表層を筋状除去土盛にする、請求項7又は8記載の汚染土壌表層の除去工法。
  10. 剥ぎ取った土壌表層を吸引して捕集する工程を含む、請求項1〜のいずれか1項記載の汚染土壌表層の除去工法。
  11. 自走式建設機械の作業部がバケットであり、バケットが、バケットから突出して汚染土壌中に配置されるエッジ部を有する、請求項7〜10のいずれかに記載の汚染土壌表層の除去工法。
  12. 自走式建設機械が、土壌回収容器と、土壌回収容器に剥ぎ取った土壌表層を搬出する搬出手段を備える、請求項7〜11のいずれか1項記載の汚染土壌表層の除去工法。
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