JP5321759B1 - カールの無い非対称構造未延伸積層体 - Google Patents

カールの無い非対称構造未延伸積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】共押出成形フラットダイ法にて積層体を成形する際に、層構成が非対称構造であると発生するカールを回避する技術の提供。
【解決手段】
熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物からなる層が、フラットダイ共押出成形法により4層以上積層されてなることを特徴とする非対称構造未延伸積層体であって、
前記4層以上の層のうち、少なくとも2層が、それぞれ、結晶化熱量15J/g未満 である層(A層)であり、
前記A層のうちの少なくとも1層(A1層)は、1層もしくはA層が2層以上積層されたものであり、結晶化熱量15J/g以上である層(B層)である2つの層(B1層とB2層)の間に隣接して積層されており、かつ、前記B1層およびB2層と、それぞれに隣接する前記A1層と関係は、それぞれ、特定の条件式を満たすことを特徴とする非対称構造未延伸積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、カールの無い非対称層構造の未延伸積層体に関する。
従来、共押出多層成形において、非対称の層構造を有する積層体の成形を試みた場合、シートに曲がりや反りが発生するカールという問題が頻発することで知られている。特に、融点等大きく物性が異なる樹脂を共押出成形すると往々にして激しいカールが発生する。
ひとたび積層体にカールが発生すると、ライン上での搬送や、積層体を別の物体に取り付ける際の位置決め、またその固定の難易度等、自動手動を問わず取り扱いが非常に困難になる。
カールの無い積層体を得る方法として、ドライラミネート法で多層化することにより、カールを防止する方法がある。これはカールのない単層シートや対称構造の積層体を用意し、接着剤を塗工し貼り合わせる事で多層を達成する方法である。
共押出法で得られる非対称積層体のカール防止技術に着目した場合、空冷インフレーション法に於いては、ポリアミドとポリオレフィンの多層シートにおいて特定の結晶化温度差にする事でカールを防ぐ方法(特許文献1)が開示されている。
また、共押出成形水冷インフレーション法に於いては、外層と芯層とでポリアミドの吸湿性の異なる樹脂を選択することでカールを回避する方法(特許文献2)が開示されている。
共押出法で得られる非対称積層体のカール防止技術に着目した場合、層構成を対称構造にすることでカールを回避する方法も知られている。(特許文献3)積層体成形後の後工程において、発生してしまったカールを除去する方法は、例えば積層体を加熱して外力を加える方法が開示されている。(特許文献4)
特許3816855号公報 特許3227301号公報 特開2002-36444号公報 特開平06-99572号公報
一般に積層体においてカールは大きな問題である。一方、従来開示されている技術においては以下のような問題があった。
従来技術のドライラミネート法は、求める機能層の数だけ予めシートを準備し、またその層数が増す度に貼りあわせ工程数が増大するため、製造コストが増大するという欠点がある。また、貼り合わせに使用する接着剤には有機溶剤が使用されていることから、環境への配慮のため排ガス処理設備への投資が必要であり、装置コスト的にも必ずしも優位な方法とはいえない。
また、共押出成形において層構成を対称構造にすることでカールを回避する方法は、全体の層数が増えることで成形の難易度が高くなる点や、設備が大規模化する点等のデメリットがある。更に、非対称の層構成でなければ達成できない機能がある場合には、そもそもこの手法を選択する事は出来ない。
共押出法による多層化で得られる非対称未延伸積層体のカール防止技術に着目した場合の従来技術では、空冷インフレーション法と、水冷インフレーション法に於いてカールを回避する方法が開示されている。しかし、これらのインフレーション法で不良を起こさず成形できる樹脂物性には一定の条件があり、自由にその層構成を選ぶことは出来ない。また、インフレーション法は、フラットダイ法と比較して、精密な厚み精度を出すことが不得手である点や、円環状のダイから円筒状に積層体を成形することから、特に全体の厚みが大きく、剛性のある積層体を得たい場合、本質的にカールしやすく、カールの無い未延伸積層体を得るためには適した成形方法とはいえない。
積層体成形後の後工程において、発生してしまったカールを除去する方法として、積層体を加熱しながら外力を加える方法が開示されている。しかし、成形した積層体に熱と外力を加えることで残留応力を残したくない、或いは、熱と外力を再度与えてしまうと機能を有する内部乃至外部の構造が破壊されてしまう等の理由で、後工程でカール除去処理を行うことが出来ない場合があった。
以上において説明した通り、特に、異樹脂間の物性が大きく異なる、非対称構造未延伸積層体を、精密に厚み精度を調整できるフラットダイ共押出成形法を使用して得る方法は、これまで開示されていなかった。そこで本発明は、共押出成形フラットダイ法による、カールの無い非対称構造未延伸積層体を提供する事を目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、非対称積層体においてフラットダイから吐出後に冷却ロールで冷却させる際、非対称構造において特有である異樹脂間の物性差、具体的には、結晶性と、結晶化温度乃至結晶化温度を有しない場合はガラス転移温度との差に密接に関連して、カールが発生していることを見出した。更に、結晶性が低いかこれを有しないという条件に合致し、即ち、自らについては結晶化に起因する体積変化挙動が小さい物性の樹脂層を、実験的に得られた式によって求められる、全ての層の中で実質的に最後に固化する結晶化温度範囲を有した樹脂層を、物性差のある異樹脂層間に配置することによって、これらの異樹脂間の物性差に起因する冷却固化過程での体積挙動差を、流動吸収させることによって、カール問題を劇的に改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物からなる層が、フラットダイ共押出成形法により4層以上積層されてなることを特徴とする非対称構造未延伸積層体であって、
前記4層以上の層のうち、少なくとも2層が、それぞれ、結晶化熱量15J/g未満 である層(A層)であり、
前記非対称構造未延伸積層体は、少なくとも
結晶化熱量15J/g以上である層(B層)である2つの層(B1層とB2層)の間に隣接して、
A層1層もしくはA層が2層以上であるA'層が積層されており、かつ、
前記B1層と前記A'層、前記B2層と前記'関係は、それぞれ、下記条件式1を満たすことを特徴とする非対称構造未延伸積層体に関するものである。
Figure 0005321759
(ただし、TcAは、A'層の結晶化温度(℃)、TcBは、当該A'層と接するB1層およびB2層の結晶化温度のうち、結晶化温度の低い方の結晶化温度(℃)を表し、tBは、B1層およびB2層の厚さのうち、結晶化温度の低い方の層の厚さ(μm)である。
なお、結晶化温度が、検出されない場合には、ガラス転移温度とする。)
さらに本発明は、A層に隣り合うB層のうち少なくとも一層において層を構成する熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物が、結晶化温度140℃以上260℃以下である、請求項1記載のフラットダイ共押出成形法により積層されてなることを特徴とする非対称構造未延伸積層体に関するものである。
さらに本発明は、A層の熱可塑性樹脂及び添加剤を含有する組成物が、結晶化温度80℃以上130℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフラットダイ共押出成形法により積層されてなることを特徴とする非対称構造未延伸積層体に関するものである。
本発明のカールのない非対称構造未延伸積層体は、カールが極めて軽微であるか無いため、自動手動問わず取り扱い性に優れ、取り付け対象物と接着する際にも、カールによって貼り付け対象物から端部が浮くことによる剥がれや浮きといった接着不良が起こらない。更に、積積層体成形後に例えば延伸することや加熱変形させる事により内外部の機能性構造が破壊されてしまうといった懸念が無く、非対称構造未延伸積層体のカールの発生を回避出来る。
層構造断面模式図
本発明の、カールの無い非対称構造未延伸積層体の実施の形態を以下に具体的に説明する。
非対称構造について説明する。まず、本発明でおいて層を構成する熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物の組成、ひいては結晶化温度又は結晶化熱量(検出されない場合には、ガラス転移温度)、さらには層の厚さが異なれば、異なる層であるとする。それら異なる層をそれぞれアルファベットで表して、層単位で見たときに、
例えば4層ならばB1/A1/A2/B2、A1/B1/A2/B2、5層ならばB1/A1/B2/A2/B3、A1/B1/A2/B2/A3といった、層の中心から表面までの構成が表裏方向で異なる層構造を非対称構造であると定義する。
例えば、ポリエチレンテレフタレート/酸変性ポリオレフィン/直鎖状低密度ポリエチレン/酸変性ポリオレフィンの順に積層した積層体や、ポリエチレンテレフタレート/酸変性ポリオレフィンA/酸変性ポリオレフィンB/直鎖状低密度ポリエチレンの順に積層した積層体、ポリブチレンテレフタレート/酸変性ポリオレフィン/直鎖状低密度ポリエチレン/酸変性ポリオレフィン/ポリエチレンテレフタレートの順に積層した積層体は非対称構造積層体である。
結晶化温度については、示差走査熱量分析計を用いて、JIS K7121に準拠し、窒素雰囲気下5℃/分の降温速度で測定を行う。複数の結晶化ピークが現れた場合にはより高温度側のピークトップ温度を結晶化温度として採用する。
ガラス転移温度については、結晶化ピークが測定できなかった場合にガラス転移点の測定を行う。示差走査熱量分析計を用い、JIS K7121に準拠し、窒素雰囲気下5℃/分の昇温速度で測定を行い、補外ガラス転移終了温度を本特許においてのガラス転移点とする。複数のガラス転移温度が見られる場合には、最も高温度側にあるガラス転移温度をガラス転移温度[単位:℃]と定義する。
結晶化熱量については、示差走査熱量分析計を用い、JIS K7121に準拠し、窒素雰囲気下5℃/分の降温速度で測定を行う。複数の結晶化ピークが表れた場合には合算し、結晶化熱量[単位:J/g]とする。
各樹脂層において使用される樹脂は、単独でも、2種類以上の樹脂を混合して使用しても良いが、混合した場合には、必ず混合した状態で、上記の転移温度や結晶化熱量等の物性値の測定を行う。
各樹脂層には任意の充填剤や添加剤を加える事が出来るが、その結果、結晶化温度に変化があった場合には、充填剤や添加剤を含んだ状態で測定された物性値を採用する。
本発明において積層体を構成する層数が4層以上であって、前記4層以上の層のうち、少なくとも2層が、結晶化熱量15J/g未満である熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物から成る層(A層)である。少なくとも2層のA層は、同じであっても異なっていてもよい。また、少なくとも2層が、結晶化熱量15J/g以上である熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物から成る層(B層)である。少なくとも2層のA層のうち、少なくとも1層(A'層)は、2つのB層との間に存在し、条件式1を満たす関係にある。
B1/A1/B2の順で積層されている場合について説明する。B1層の結晶化温度と、B2層の結晶化温度を比較した場合、結晶化温度の低いほうがB1層であった場合には、条件式1のtBは、B1層の厚さとなる。そして、A1層に隣接するB1層、B2層は、それぞれ、条件式1を満たすものである。A1層の結晶化温度をTcA1、B1層の結晶化温度をTcB1、B2層の結晶化温度をTcB2、B1層を厚さをtB1としたとき、それぞれ、以下の関係を満たす。なお、結晶化温度が、検出されない場合には、ガラス転移温度とする。
Figure 0005321759
B1層の結晶化温度と、B2層の結晶化温度を比較した場合、結晶化温度の低いほうがB2層であった場合には、条件式1のtBは、B1層の厚さとなる。A1層の結晶化温度をTcA1、B1層の結晶化温度をTcB1、B2層の結晶化温度をTcB2、B2層を厚さをtB2としたとき、それぞれ、以下の関係を満たす。
Figure 0005321759
2層以上のA層のうち、少なくとも、1つが上記条件式1を満たしていれば、条件を検討しなかったそのほかのA層は、本発明の非対称構造未延伸積層体がカールしない限り、条件式1を満たさなくてもよい。当該B1/A1/B2が積層体の主体であれば、B2/A2/B3が、単独ではカールする積層体であったとしても、B1/A1/B2/A2/B3である積層体はカールしない。
また、本発明の非対称構造未延伸積層体は、フラットダイ共押出成形法以外の方法で、さらに、積層体の少なくとも一方の外側に、新たな層が設けてもよい。
A層以外の層は、熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物であれば、各層いかなる物性を有していても特に制限はないが、少なくとも一層、結晶性熱可塑性樹脂を含有する組成物から成る層である事が好ましい。
ここで言う結晶性熱可塑性樹脂とは、結晶化熱量が15J/g以上を有する樹脂のことである。
即ち、A層の樹脂が結晶化熱量15J/g以上を有する場合、積層体の冷却固化過程において、A層自身が結晶化に伴う大きな体積変化をすることで、カールの発生を回避する事が出来なくなってしまう。
しかし、A層の樹脂が結晶化熱量15J/g未満であり、好ましくは結晶化熱量10J/g未満であると、自らの結晶化に伴う体積変化が十分に小さくなるため、カールを低減する効果を発揮することが出来る。ただし、A層が条件式1を満たさない場合、積層体の冷却固化過程において、A層に隣接する隣接するB1層とB2層の結晶化に伴う体積変化を、溶融状態のA層が流動して吸収する事が出来ず、カールを回避する事が出来ない。
しかし、条件式1を満たすことで、積層体の冷却固化過程において、実質的に最後にA層が固化することになり、最後までA層が流動して、隣接するB1層とB2層の結晶化に伴う体積変化を吸収し、積層体のカールを回避する事が出来る。
また、A層の樹脂組成物の結晶化温度乃至ガラス転移温度が80℃以上130℃以下であるとカール低減効果が大きいため好ましい。
上述の結晶化温度、結晶化熱量の条件を満たす樹脂であれば、積層体に所望する機能を達成するために、自由に樹脂構成を選択する事が出来、尚且つ、カールの無い非対称構造未延伸積層体を得る事が出来る。
カールを許容できない用途にある積層体にあって、例えば、ヒートシール性や、ホットメルト接着性を期待して、B1層に比較的低融点のポリオレフィン樹脂を選択し、B2層に耐候性や、バリア性の高い、ポリエステル樹脂を選択する、或いは光反射機能を目的として任意の層に酸化チタンなどの充填剤を添加する等、請求項の範囲内で、樹脂の種類には囚われない層構成の自由が得られる。
各樹脂層に使用される熱可塑性樹脂は先述の通り、請求項の範囲内で、特に制限は無い。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン、無水マレイン酸等の有機酸で変性されたポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびそのけん化物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレンポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12、MXDナイロンなどのポリアミド、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリル酸などのアクリル系ポリマー、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンやポリフロロエチレンなどの含ハロゲンポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの合成ゴムおよびその水素添加物、スチレン−ブタ ジエン−スチレンブロック共重合体などの熱可塑性エラストマーとその水素添加物、液晶ポリマー、アイオノマー、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。これらの樹脂を単独で使用することも、二種以上混合して使用することも出来る。
樹脂には目的の用途に応じて、添加剤(結晶核剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、耐電防止剤、離型剤、着色剤、光散乱剤、充填剤等)を配合することができる。例えばフェノール系、リン系、イオウ系の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系の光安定剤、有機顔料、無機顔料、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、鉱物等の充填剤である。
公知の技術を用いて積層体に対して、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等のPVD方式や、プラズマCVD、マイクロウェーブCVD等のCVD方式を用いて蒸着してもよい。
蒸着に用いられる材料は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ケイ素、炭素、ホウ素、酸素、フッ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム、インジウム等が使用でき、これら直接または酸化物として蒸着させることができる。また、これらは単独もしくは組み合わせて使用することができる。これらの蒸着面は、積層体の片面に設けられていても、両面に設けられていてもよい。得られた積層体に、印刷適正や、接着力向上のため、コロナ放電処理、火災処理、酸化剤処理、低温プラズマ処理などの表面処理をしても良い。
カールについては、機械流れ方向(MD)に対して一辺が平行になるように200mm角の正方形に積層体を切り出して、水平な平滑面に設置したとき、四隅の浮きの最大値が5mm未満であれば、自動手動問わず搬送、位置決め、更には別の物体に接着する際の不良防止といった問題に対して、十分な取扱良好性を得られる。
以下、本発明を実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において記述のある物性、評価項目の測定方法について説明する。各樹脂層には任意の充填剤や添加剤を加える事が出来るが、その結果、結晶化温度に変化があった場合には、充填剤や添加剤を含んだ状態で測定された物性値を採用する。
結晶化温度:示差走査熱量分析計 セイコーインスツル株式会社EXSTAR DSC6200を用い、 JIS K 7121に準拠し、窒素雰囲気下5℃/分の降温速度で測定を行った。複数の結晶化ピークが現れた場合にはより高温度側のピークトップ温度を結晶化温度として採用した。
ガラス転移温度:結晶化ピークが測定できなかった場合にガラス転移点の測定を行う。示差走査熱量分析計 セイコーインスツル株式会社EXSTAR DSC6200を用い、JIS K 7121に準拠し、窒素雰囲気下5℃/分の昇温速度で測定を行った。複数の転移点が見られる場合には高温度側の転移温度をガラス転移温度として採用した。
結晶化熱量:示差走査熱量分析計 セイコーインスツル株式会社EXSTAR DSC6200を用い、JIS K 7122に準拠し、窒素雰囲気下5℃/分の降温速度で測定を行った。複数の結晶化ピークが表れた場合には合算し、結晶化熱量とした。
各実施例及び比較例で得られた積層体を直ちに TD方向200mm、MD方向200mmの大きさに切り取り、水平面上に静置して25℃で湿度50%で24時間静置後、水平面から積層体の四隅までの垂直距離を観察し、更に積層体を裏返して同様にカール高さを測定した。測定されたカール高さの最大値をもってカールを評価した。更に水平面上に静置して25℃で湿度50% で168時間静置後についても同様にカール高さを測定した。その結果を以下の基準で◎、○、△、×で評価した。◎または○であれば、本特許におけるカールの無い積層体を達成できたといえる。
◎:3mm未満
○:3mm以上5mm未満
△:5mm以上10mm未満
×:10mm以上
実施例及び比較例で使用した樹脂は表1の通りである。また、実施例及び比較例において以下略号にて表記する。表1におけるTcは結晶化温度、Tgはガラス転移温度を表す。
Figure 0005321759
実施例および比較例において使用された二酸化チタンは平均粒子径0.25μmであって、表面処理されたものを用いた。
実施例および比較例において、A層とそれに隣接するB層が条件式1を満たす場合"○"、満たさない場合は"×"と表記する。
B1/A1/B2の順で積層されている場合について説明する。B1層の結晶化温度と、B2層の結晶化温度を比較した場合、結晶化温度の低いほうがB1層であった場合には、条件式1のtBは、B1層の厚さとなる。そして、A1層に隣接するB1層、B2層はそれぞれ、条件式1を満たさなくてはならない。A1層の結晶化温度をTcA1、B1層の結晶化温度をTcB1、B2層の結晶化温度をTcB2、B1層の厚さをtB1としたとき、それぞれ、以下の関係を満たす場合は○、満たさない場合は×と表記する。
Figure 0005321759
また、実施例1を具体例として説明する。A層に該当する層は変性PO1からなるA1層、変性PO2からなるA2層であり、B層に該当する層はPP1からなるB1層、PETからなるB2層である。B1層の結晶化温度と、B2層の結晶化温度を比較した場合、結晶化温度の低いほうがB1層であるため本実施例のtBはB1層の厚さとなる。そして、A1層に隣接するB1層、A2層に隣接するB2層において条件式を満たす場合は○、満たさない場合は×と表記する。また、比較例2のように各B層間にA層に該当する層がない場合は"A層無し"と表記する。
Figure 0005321759
[実施例1から30、比較例1、2]
実施例1から30はA'層に該当する層がA1層、A2層からなり、B1層とA1層、A2層とB2層間で条件式を満たす構成である。
比較例1はB1層とA1層が本件の条件式を満たしておらず、比較例2はB1層とB4層の間の2層が結晶化熱量15J/g以上であり本件の条件を満たしていない構成である。
本実施例及び比較例は単軸押出機を4台配置し、その先端に積層部、Tダイが接続された多層膜製造装置を使用し、幅300mmの積層体を作製した。
表2〜4に記載した樹脂及び添加剤を、各層ごとにタンブラーミキサーにて十分に混合し、記載の層構成になるようにそれぞれの押出機に供給し、それぞれの押出機の吐出量を調整した。押出温度は270℃、冷却ロール温度30℃で成形した。得られた積層体について所定のカール評価方法によって評価し、その結果を記載した。

[実施例31から43、比較例3から6]
実施例31から43はA層に該当する層とB層に相当する層が交互に配列し、かつ少なくとも1つの最外層がA層に相当する層を有し、B1層とA2層、A2層とB2層間で条件式を満たす構成である。
比較例3から5はB1層とA2層が本件の条件式を満たしておらず、比較例6は各B層間に結晶化熱量15J/g未満の層がなく本件の条件を満たしていない構成である。
本実施例及び比較例は単軸押出機を5台配置し、その先端に積層部、Tダイが接続された多層膜製造装置を使用し、幅300mmの積層体を作製した。
表2に記載した樹脂及び添加剤を、各層ごとにタンブラーミキサーにて十分に混合し、記載の層構成になるようにそれぞれの押出機に供給し、それぞれの押出機の吐出量を調整した。押出温度は270℃、冷却ロール温度30℃で成形した。得られた積層体について所定のカール評価方法によって評価し、その結果を記載した。
[実施例44から51、比較例7から9]
実施例44から51はA層に該当する層とB層に相当する層が交互に配列し、かつA1層とそれに隣接するB1層、B2層との関係が条件式を満たし、A2層とそれに隣接するB2層、B3層が条件式を満たしていない構成である。
比較例7はA1層とB2層が本件の条件式を満たしていない構成である。また、比較例8はA1層とB2層が本件の条件式を満たしておらず、B2層とB3層の間に結晶化熱量15J/g未満の層がなく本件の条件を満たしていない構成である。さらに、比較例9は各B層間に結晶化熱量15J/g未満の層がなく本件の条件を満たしていない構成である。
本実施例及び比較例は上記実施例と同様、単軸押出機を5台配置し、その先端に積層部、Tダイが接続された多層膜製造装置を使用し、幅300mmの積層体を作製した。
表2に記載した樹脂及び添加剤を、各層ごとにタンブラーミキサーにて十分に混合し、記載の層構成になるようにそれぞれの押出機に供給し、それぞれの押出機の吐出量を調整した。押出温度は270℃、冷却ロール温度30℃で成形した。得られた積層体について所定のカール評価方法によって評価し、その結果を記載した。
いずれの場合も、実施例で示した積層体のカール評価は、168時間後も良好であるのに対し、比較例で示した積層体は、24時間後でも著しいカールが見られた。
Figure 0005321759
Figure 0005321759
Figure 0005321759
Figure 0005321759
Figure 0005321759
Figure 0005321759
Figure 0005321759
Figure 0005321759
A1,A2,A3:熱可塑性樹脂および添加剤を含有する結晶化熱量15J/g未満の組成物からなる層
B1,B2,B3:熱可塑性樹脂および添加剤を含有する結晶化熱量15J/g以上の組成物からなる層

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物からなる層が、フラットダイ共押出成形法により4層以上積層されてなることを特徴とする非対称構造未延伸積層体であって、
    前記4層以上の層のうち、少なくとも2層が、それぞれ、結晶化熱量15J/g未満 である層(A層)であり、
    前記非対称構造未延伸積層体は、少なくとも
    結晶化熱量15J/g以上である層(B層)である2つの層(B1層とB2層)の間に隣接して、
    A層1層もしくはA層が2層以上であるA'層が積層されており、かつ、
    前記B1層と前記A'層、前記B2層と前記'関係は、それぞれ、下記条件式1を満たすことを特徴とする非対称構造未延伸積層体。
    Figure 0005321759
    (ただし、TcAは、A'層の結晶化温度(℃)、TcBは、当該A'層と接するB1層およびB2層の結晶化温度のうち、結晶化温度の低い方の結晶化温度(℃)を表し、tBは、B1層およびB2層の厚さのうち、結晶化温度の低い方の層の厚さ(μm)である。
    なお、結晶化温度が、検出されない場合には、ガラス転移温度とする。)
  2. A層に隣り合うB層のうち少なくとも一層において層を構成する熱可塑性樹脂および添加剤を含有する組成物が、結晶化温度140℃以上260℃以下である、請求項1記載のフラットダイ共押出成形法により積層されてなることを特徴とする非対称構造未延伸積層体。
  3. A層の熱可塑性樹脂及び添加剤を含有する組成物が、結晶化温度80℃以上130℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフラットダイ共押出成形法により積層されてなることを特徴とする非対称構造未延伸積層体。
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