JP5318272B1 - 抗菌性液体組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備える抗菌性組成物において、抗菌成分の分散性を更に高めることで、より安定して優れた抗菌効果を発揮できるようにする。
【解決手段】抗菌性液体組成物の成分として、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤との反応により生成される水不溶性金属塩と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤と、アルコールと、を含有させることで、高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備える抗菌性液体組成物において、抗菌成分の分散性を更に高めた。
【選択図】なし
【解決手段】抗菌性液体組成物の成分として、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤との反応により生成される水不溶性金属塩と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤と、アルコールと、を含有させることで、高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備える抗菌性液体組成物において、抗菌成分の分散性を更に高めた。
【選択図】なし
Description
本発明は、菌やウイルス等に対する抗菌作用を有する抗菌性液体組成物に関する。
微生物による汚染及び腐敗の防止、細菌又はウイルスによる感染予防及び治療等を目的として、抗菌(除菌)剤が様々な分野で使用されている。一般に、抗菌成分としては、濃塩酸類、アルコール類、フェノール類、ハロゲン類、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、高級脂肪酸類、低級脂肪酸類、ラクトン類、(両性又はアニオン性)界面活性剤、銀・銅、オゾン・過酸化水素、過酢酸、次亜塩素酸ナトリウム等、種々の化合物がある。
ここで、人体に対する安全性の観点から、食品衛生法では、外食産業や食品工場等における食品の洗浄・抗菌・除菌等に使用できる抗菌成分を規定している。このような抗菌成分としては、次亜塩素酸ナトリウムや、酢酸、乳酸、クエン酸、フマル酸等の有機酸や、亜鉛、銅、鉄、銀等の抗菌作用を有する金属イオンや、多価アルコールや、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤等が認められている。
これらの抗菌成分のうち、次亜塩素酸ナトリウムは、実用上における安全性(酸と混合しないように注意する等)、有機物の存在による除菌効果の喪失、強い臭い等の不都合があり、用途によっては使用できない場合がある。また、有機酸には、次亜塩素酸ナトリウムと同様に強い臭いを持つものもある。
これに対して、安全性、除菌効果の喪失防止、臭い抑制等の観点から、多価アルコール系抗菌剤と銀系抗菌剤を含有する抗菌剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載されている抗菌剤組成物では、確かに、実用上の安全性に対する注意、除菌効果の喪失、強い臭い等の不都合は生じないが、抗菌力が次亜塩素酸ナトリウム等に比べ低く、菌の種類や量によっては抗菌効果が不十分となる場合がある。
このような状況で、本発明者らは、抗菌作用を有する金属イオンと、該金属イオンと水に不溶の金属塩を生成する界面活性剤とから成る抗菌性液体組成物を既に提案している(特許文献2を参照)。特許文献2に記載されている抗菌性液体組成物は、当明細書に記載されているように、食品添加物として認められている成分のみを用い、且つ、これらの成分により形成される水不溶性金属塩の抗菌力が高いことから、高い安全性と広範な微生物に対する効果的な抗菌性を兼ね備えるものである。
しかしながら、特許文献2に記載されている抗菌性液体組成物では、製造条件や保存条件によっては、液中に分散されている水不溶性金属塩が凝集し、凝集物が液中を浮遊して液が白濁したり、沈殿したりする場合があった。このように水不溶性金属塩が凝集する場合には、水不溶性金属塩の微粒子が液中に均一に分散されている場合と比べ、抗菌効果が低下したり、凝集物が食品に付着したりするおそれがあった。そのため、水不溶性金属塩の微粒子の凝集が抑制され、分散性が更に向上した抗菌性液体組成物が求められていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備える抗菌性液体組成物において、抗菌成分の分散性を更に高めることで、より安定して優れた抗菌効果を発揮できるようにすることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤との反応により生成される水不溶性金属塩を抗菌成分とし、該抗菌成分の分散剤として特定種の分散剤を用い、更に、分散性を向上させる分散助剤としてアルコールを用いることにより、高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備える抗菌性組成物において、抗菌成分の分散性を更に高めることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤との反応により生成される水不溶性金属塩と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤と、アルコールとを含有し、前記アルコールの含有量が、全組成物の質量を基準として、3質量%以上80質量%以下である、抗菌性液体組成物である。
ここで、前記抗菌性を有する金属イオンが、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン、鉄イオン及び銀イオンからなる群より選択される1種又は2種以上のイオンであることが好ましい。
また、前記抗菌性を有する金属イオンが、アルミニウムイオンであることが特に好ましい。
また、前記界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上のノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
また、前記アルミニウムイオンに対する前記界面活性剤の量が、質量比で0.4以上15以下であることが好ましい。
また、前記分散剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
また、前記分散剤の含有量が、全組成物の質量を基準として、0.001質量%以上0.3質量%以下であることが好ましい。
また、前記アルコールが、炭素数3個以下の低級アルコールであることが好ましい。
ここで、前記抗菌性を有する金属イオンが、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン、鉄イオン及び銀イオンからなる群より選択される1種又は2種以上のイオンであることが好ましい。
また、前記抗菌性を有する金属イオンが、アルミニウムイオンであることが特に好ましい。
また、前記界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上のノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
また、前記アルミニウムイオンに対する前記界面活性剤の量が、質量比で0.4以上15以下であることが好ましい。
また、前記分散剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
また、前記分散剤の含有量が、全組成物の質量を基準として、0.001質量%以上0.3質量%以下であることが好ましい。
また、前記アルコールが、炭素数3個以下の低級アルコールであることが好ましい。
本発明によれば、高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備える抗菌性液体組成物において、抗菌成分の分散性を更に高めることで、より安定して優れた抗菌効果を発揮させることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明に係る抗菌性液体組成物については、以下の順序で説明する。
1 抗菌性液体組成物の組成
2 抗菌性液体組成物の製造方法
3 抗菌作用の原理
4 抗菌性液体組成物の用途
5 抗菌性液体組成物の使用方法
1 抗菌性液体組成物の組成
2 抗菌性液体組成物の製造方法
3 抗菌作用の原理
4 抗菌性液体組成物の用途
5 抗菌性液体組成物の使用方法
≪抗菌性液体組成物の組成≫
本発明に係る抗菌性液体組成物(以下、「本抗菌性液体組成物」と称する。)は、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤との反応により生成される水不溶性金属塩と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤と、分散媒と、を主に含有する。本抗菌性液体組成物は、水不溶性金属塩が、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散剤により分散媒中に均一に分散された分散水溶液(コロイド溶液)となっている。以下、各成分について順に説明する。
本発明に係る抗菌性液体組成物(以下、「本抗菌性液体組成物」と称する。)は、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤との反応により生成される水不溶性金属塩と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤と、分散媒と、を主に含有する。本抗菌性液体組成物は、水不溶性金属塩が、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散剤により分散媒中に均一に分散された分散水溶液(コロイド溶液)となっている。以下、各成分について順に説明する。
<水不溶性金属塩>
本抗菌性液体組成物においては、水不溶性金属塩は、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤とが反応して生成される水不溶性の金属塩であり、例えば、界面活性剤が脂肪酸誘導体の場合には、抗菌性を有する金属を含有する金属石鹸となる。この水不溶性金属塩は、本抗菌性液体組成物における抗菌成分としての役割を有する。この水不溶性金属塩を含む分散水溶液、すなわち、本抗菌性液体組成物の抗菌力は、抗菌性を有する金属イオンを含む水溶液の抗菌力よりも高い。
本抗菌性液体組成物においては、水不溶性金属塩は、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤とが反応して生成される水不溶性の金属塩であり、例えば、界面活性剤が脂肪酸誘導体の場合には、抗菌性を有する金属を含有する金属石鹸となる。この水不溶性金属塩は、本抗菌性液体組成物における抗菌成分としての役割を有する。この水不溶性金属塩を含む分散水溶液、すなわち、本抗菌性液体組成物の抗菌力は、抗菌性を有する金属イオンを含む水溶液の抗菌力よりも高い。
ここで、本抗菌性液体組成物は、例えば、特開平7−292397号公報や特開2008−214621号公報に記載されているように、抗菌剤や洗浄剤の分野で通常は好ましくないとされている塩析物、すなわち水不溶性金属塩の生成、及びその生成条件を積極的活用したものである。言い換えると、界面活性剤を使用する場合、金属イオンは金属石鹸(水不溶性金属塩)を生成し、界面活性を低下させる原因となるため、これまでは金属石鹸の使用が避けられてきていた。しかし、本発明では、金属石鹸の生成反応を積極的に利用して、従来の抗菌性を有する金属イオン単独の抗菌力よりも高い抗菌力を有する水不溶性金属塩の分散溶液(本抗菌性液体組成物)を得るものである。
また、本発明に係る水不溶性金属塩は、酸やアルカリによる分解が起こりにくいため、この金属塩が溶媒に分散された本抗菌性液体組成物の品質は、長期間安定したものとなる。
(抗菌性を有する金属イオン)
上述したように、特定の金属イオンにはそれ自体に抗菌作用があるが、本抗菌性液体組成物は、抗菌性を有する金属イオンが結合した水不溶性金属塩の抗菌作用により、食品、食器、食品製造装置、皮膚等に付着した細菌やウイルス等を不活性化することができる。
上述したように、特定の金属イオンにはそれ自体に抗菌作用があるが、本抗菌性液体組成物は、抗菌性を有する金属イオンが結合した水不溶性金属塩の抗菌作用により、食品、食器、食品製造装置、皮膚等に付着した細菌やウイルス等を不活性化することができる。
ここで、本抗菌性液体組成物に用いる抗菌性を有する金属イオンとしては、例えば、アルミニウム(Al)イオン、亜鉛(Zn)イオン、銅(Cu)イオン、鉄(Fe)イオン、銀(Ag)イオンを使用することができる。これらのイオンの硫酸塩その他の無機酸塩(例えば、硫酸亜鉛、ミョウバン等)、グルコン酸塩その他の有機酸塩は、食品添加物として認められていることから、本抗菌性液体組成物を食品等に対する抗菌剤として使用する場合には、上記の金属イオンを使用することが好ましい。また、本発明に係る抗菌性を有する金属イオンとして特に好ましいものは、Alイオンである。
(界面活性剤)
本抗菌性液体組成物に用いる界面活性剤としては、上記抗菌性を有する金属イオンと反応して水不溶性金属塩を生成できるものであれば特に限定はされず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれを用いてもよい。
本抗菌性液体組成物に用いる界面活性剤としては、上記抗菌性を有する金属イオンと反応して水不溶性金属塩を生成できるものであれば特に限定はされず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれを用いてもよい。
本抗菌性液体組成物に用いられるアニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。
本抗菌性液体組成物に用いられるカチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルアンモニウム塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
本抗菌性液体組成物に用いられる両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル(アミド)ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
本抗菌性液体組成物に用いられるノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド、アルキルポリグルコキシド等が挙げられる。
ここで、本抗菌性液体組成物を食品の洗浄・抗菌等の用途に用いる場合には、人体への安全性の観点から、界面活性剤として、食品添加物として認められているノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。このようなノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよい。)、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール、糖アルコール又は糖類と脂肪酸とのエステルが挙げられる。これらの脂肪酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、ショ糖脂肪酸エステルは、グリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステルよりも水に対する可溶化力が高いため、生成される水不溶性金属塩も比較的水中に分散しやすいものとなる。従って、水不溶性金属塩の分散性を重視した場合には、ショ糖脂肪酸エステルを含有することが好ましい。一方、水不溶性金属塩の分散性と抗菌力とのバランスを重視した場合には、ソルビタン脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。
本抗菌性液体組成物中の界面活性剤の含有量は、抗菌性を有する金属イオンに対する質量比で0.4以上15以下であることが好ましく、1.5以上11以下であることが更に好ましく、2以上11以下であることが更に一層好ましい。界面活性剤の含有量がこの範囲であると、本抗菌性液体組成物中における水不溶性金属塩粒子の凝集を抑制することができ、その結果、水不溶性金属塩の分散性を高めることができる。従って、本抗菌性液体組成物が白濁したり、水不溶性金属塩の凝集粒子が沈殿したりすることを抑制することができる。
<分散剤>
本抗菌性液体組成物においては、分散剤は、上述した抗菌性を有する金属イオンを含む水不溶性金属塩を後述する分散媒中に均一に分散させる役割を有する。このような分散剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールがあるが、これらの分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本抗菌性液体組成物に使用する分散剤としては、特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは食品添加物として認められていることから、界面活性剤として、食品添加物として認められているグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることで、抗菌成分(水不溶性金属塩)及びこれを分散させるための分散剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル)の両方を食品添加物として認められている成分のみで構成することができる。従って、本抗菌性液体組成物の人体への安全性を高めることができ、本抗菌性液体組成物の食品への適用も可能となる。
本抗菌性液体組成物においては、分散剤は、上述した抗菌性を有する金属イオンを含む水不溶性金属塩を後述する分散媒中に均一に分散させる役割を有する。このような分散剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールがあるが、これらの分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本抗菌性液体組成物に使用する分散剤としては、特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは食品添加物として認められていることから、界面活性剤として、食品添加物として認められているグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることで、抗菌成分(水不溶性金属塩)及びこれを分散させるための分散剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル)の両方を食品添加物として認められている成分のみで構成することができる。従って、本抗菌性液体組成物の人体への安全性を高めることができ、本抗菌性液体組成物の食品への適用も可能となる。
ここで、ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、一般に、グリセリンを脱水縮重合して得られるポリグリセリンのヒドロキシ基の1つ以上に脂肪酸がエステル化したものであり、重合度や脂肪酸の数・種類により親水性のものや疎水性のものなど多様な種類が得られる。本抗菌性液体組成物に使用するポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、上述した水不溶性金属塩を良好に分散させることが可能なものが好ましい。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、重合度が8以上12以下であり、酸価が5以下であることが好ましい。また、本抗菌性液体組成物に使用するポリグリセリン脂肪酸エステルの合成に使用される脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本抗菌性液体組成物中の分散剤の含有量は、全組成物の質量を基準として、0.001質量%以上0.3質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上0.2質量%以下であることが更に好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることが更に一層好ましい。分散剤の含有量がこの範囲であると、本抗菌性液体組成物中における水不溶性金属塩粒子の凝集を抑制することができ、その結果、水不溶性金属塩の分散性を高めることができる。従って、本抗菌性液体組成物が白濁したり、水不溶性金属塩の凝集粒子が沈殿したりすることを抑制することができる。一方、分散剤の含有量が少な過ぎると水不溶性金属塩の分散効果が十分に発揮できなくなるおそれがあり、逆に、多過ぎると本抗菌性液体組成物の抗菌力が低下するおそれがある。
<分散媒>
本抗菌性液体組成物には、上述した水不溶性金属塩が分散する分散媒として、主に、アルコール及び水が含有されている。以下、これらの成分についてより詳しく説明する。
本抗菌性液体組成物には、上述した水不溶性金属塩が分散する分散媒として、主に、アルコール及び水が含有されている。以下、これらの成分についてより詳しく説明する。
(アルコール)
アルコールは、水と共に分散剤としての役割を有する他、水不溶性金属塩の分散性を向上させる分散助剤としての役割と、抗菌又は除菌成分としての役割とを有する。本抗菌性組成物においては、水不溶性金属塩の粒子を凝集せずに均一に分散させるために、アルコールは必須の成分である。
アルコールは、水と共に分散剤としての役割を有する他、水不溶性金属塩の分散性を向上させる分散助剤としての役割と、抗菌又は除菌成分としての役割とを有する。本抗菌性組成物においては、水不溶性金属塩の粒子を凝集せずに均一に分散させるために、アルコールは必須の成分である。
ここで、本抗菌性液体組成物に使用するアルコールとしては、炭素数3個以下の低級アルコールを使用することが好ましい。このような低級アルコールを使用することにより、水不溶性金属塩の分散性を向上させて本抗菌性液体組成物の透明度を高めるとともに、細菌やウイルスに対する抗菌又は除菌効果を高めることができる。なお、炭素数4個以上の高級アルコールを使用すると、水に溶け難くなるとともに粘度が高くなるため、取扱いが困難となる。
上述した低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられるが、これらのうち、安全性及び抗菌・除菌効果を高めるという観点から、特に、エタノールを使用することが好ましい。
本抗菌性液体組成物中のアルコールの含有量は、全組成物の質量を基準として、3質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上60質量%以下であることが更に一層好ましい。アルコールの含有量がこの範囲であると、本抗菌性液体組成物中における水不溶性金属塩粒子の凝集を抑制することができ、その結果、水不溶性金属塩の分散性を高めることができる。従って、本抗菌性液体組成物が白濁したり、水不溶性金属塩の凝集粒子が沈殿したりすることを抑制することができる。また、アルコールの含有量が上記範囲であると、本抗菌性液体組成物の抗菌力をより高めることができる。
(水)
水は、上述した水不溶性金属塩を分散させる分散媒としての役割を有する。本抗菌性液体組成物に使用する水としては、イオン交換水や蒸留水を使用することが好ましい。水不溶性金属塩を分散させる水として、例えば、水道水等の各種金属イオンを含有する水を使用すると、これらの金属イオンが上述した界面活性剤や分散剤等と塩を生成してしまうため、本抗菌性液体組成物の抗菌性や液安定性(沈殿の生成や白濁等が発生しない状態を保つこと)が損なわれるおそれがある。
水は、上述した水不溶性金属塩を分散させる分散媒としての役割を有する。本抗菌性液体組成物に使用する水としては、イオン交換水や蒸留水を使用することが好ましい。水不溶性金属塩を分散させる水として、例えば、水道水等の各種金属イオンを含有する水を使用すると、これらの金属イオンが上述した界面活性剤や分散剤等と塩を生成してしまうため、本抗菌性液体組成物の抗菌性や液安定性(沈殿の生成や白濁等が発生しない状態を保つこと)が損なわれるおそれがある。
本抗菌性液体組成物中の水の含有量は、特に限定されず、水不溶性金属塩の高い分散性と組成物全体としての高い抗菌力を両立するという観点から、他の必要な成分の残部が水となるようにすればよい。
<その他の成分>
上述したように、本抗菌性液体組成物は、主に、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤とにより生成される水不溶性金属塩と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、アルコールと、水とを主に含有するものであるが、その他、以下に説明するような成分を更に含有してもよい。
上述したように、本抗菌性液体組成物は、主に、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤とにより生成される水不溶性金属塩と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、アルコールと、水とを主に含有するものであるが、その他、以下に説明するような成分を更に含有してもよい。
(pH調整剤)
本抗菌性液体組成物は、更にpH調整剤を含有していてもよい。pH調整剤は、本抗菌性液体組成物を弱酸性〜中性にするために使用される。本抗菌性組成物を弱酸性〜中性の範囲とすることで、上述した水不溶性金属塩の分散安定性を向上させることができる。水不溶性金属塩の分散安定性の向上という観点からは、本抗菌性液体組成物のpHを3以上7以下の範囲とすることが好ましく、3以上5以下の範囲とすることが更に好ましい。
本抗菌性液体組成物は、更にpH調整剤を含有していてもよい。pH調整剤は、本抗菌性液体組成物を弱酸性〜中性にするために使用される。本抗菌性組成物を弱酸性〜中性の範囲とすることで、上述した水不溶性金属塩の分散安定性を向上させることができる。水不溶性金属塩の分散安定性の向上という観点からは、本抗菌性液体組成物のpHを3以上7以下の範囲とすることが好ましく、3以上5以下の範囲とすることが更に好ましい。
本抗菌性液体組成物に用いられるpH調整剤としては、例えば、pHを上げるものとして、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、その他の有機酸塩、アルギニン、炭酸ナトリウム等が挙げられ、pHを下げるものとして、乳酸、クエン酸、リン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、その他の有機酸、グリシン等が挙げられる。本抗菌性液体組成物に用いるpH調整剤の種類は、本抗菌性液体組成物に含まれる他の成分の役割を阻害しないように適宜選択すればよい。
また、本抗菌性液体組成物中のpH調整剤の含有量は、特に限定されず、本抗菌性液体組成物中に含まれる成分の種類に応じて、組成物全体として弱酸性〜中性の範囲となるような量を使用すればよい。
(その他の添加剤)
その他、本抗菌性液体組成物には、上述した本発明の効果を阻害しない範囲で、各種添加剤が更に含有されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、香料、精油、粘度調整剤、泡調整剤、(タンパク質、脂質、糖質等の分解用の)酵素、糖類(ソルビトール、キシリトール、トレハロース等)、アミノ酸類等が挙げられる。なお、上記香料や精油としては、例えば、食品添加物として認められているゲラニオール、シトロネロール、オイゲノール、リナロール、テレピネオール、チモール、メントール、リモネン、ペリラアルデヒド等が挙げられる。
その他、本抗菌性液体組成物には、上述した本発明の効果を阻害しない範囲で、各種添加剤が更に含有されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、香料、精油、粘度調整剤、泡調整剤、(タンパク質、脂質、糖質等の分解用の)酵素、糖類(ソルビトール、キシリトール、トレハロース等)、アミノ酸類等が挙げられる。なお、上記香料や精油としては、例えば、食品添加物として認められているゲラニオール、シトロネロール、オイゲノール、リナロール、テレピネオール、チモール、メントール、リモネン、ペリラアルデヒド等が挙げられる。
≪抗菌性液体組成物の製造方法≫
以上、本抗菌性液体組成物の組成について詳細に説明したが、続いて、上述した組成を有する本抗菌性液体組成物の製造方法について説明する。本抗菌性液体組成物は、主に、上述したような、抗菌性を有する金属イオン源となる金属の無機酸塩等と、界面活性剤と、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散剤と、アルコールと、水とを混合し、pH調整することで得ることができる。具体的には、本抗菌性液体組成物を、例えば、以下のようにして調製することができる。
以上、本抗菌性液体組成物の組成について詳細に説明したが、続いて、上述した組成を有する本抗菌性液体組成物の製造方法について説明する。本抗菌性液体組成物は、主に、上述したような、抗菌性を有する金属イオン源となる金属の無機酸塩等と、界面活性剤と、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散剤と、アルコールと、水とを混合し、pH調整することで得ることができる。具体的には、本抗菌性液体組成物を、例えば、以下のようにして調製することができる。
まず、上述した抗菌性を有する金属イオンを含む金属塩を水(好ましくはイオン交換水)に溶解する。このとき、金属塩としては、例えば、硫酸亜鉛、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム、AlK(SO4)2・12H2O)、グルコン酸銅等を使用することができる。次いで、得られた水溶液に上述した界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散剤、アルコールを添加し、撹拌混合した後に、必要に応じて水を更に添加する。最後に、上述したpH調整剤を用いて、液性を酸性〜中性の範囲とすることで、水不溶性金属塩が水中に分散したコロイド分散液である本抗菌性液体組成物を得ることができる。
このように、本抗菌性液体組成物を製造する際には、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散剤及びアルコールを添加することで、本抗菌性液体組成物中における水不溶性金属塩の凝集を抑制し、水不溶性金属塩の分散性を格段に高めることができる。
<その他の成分の添加>
また、上記成分の添加と同時又はその前後に、その他の成分、すなわち、香料、精油、粘度調整剤、泡調整剤、(タンパク質、脂質、糖質等の分解用の)酵素等を添加してもよい。
また、上記成分の添加と同時又はその前後に、その他の成分、すなわち、香料、精油、粘度調整剤、泡調整剤、(タンパク質、脂質、糖質等の分解用の)酵素等を添加してもよい。
<各成分の含有量>
なお、各成分の含有量については上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
なお、各成分の含有量については上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
≪抗菌作用の原理≫
次に、本抗菌性液体組成物による対象物(食品、食器、食品製造装置、皮膚等)に対する抗菌作用の原理について説明する。
次に、本抗菌性液体組成物による対象物(食品、食器、食品製造装置、皮膚等)に対する抗菌作用の原理について説明する。
本発明では、本抗菌性液体組成物中の抗菌成分、すなわち、上述した水不溶性金属塩が、水やアルコールに希釈した際、親水性成分としての金属イオンと親油性成分としての界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)とが乳化している状態となること、すなわち、金属イオンと界面活性剤とが水不溶性金属塩を形成し、これがポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散剤により乳化された状態となることにより、細菌やウイルスを不活性化する作用が発現される。具体的には、本抗菌性液体組成物は、以下のような原理で細菌やウイルスを不活性化すると理解される。
まず、水不溶性金属塩が、細菌やウイルス等の生体の表面膜に付着する。次に、生体の表面膜に付着した水不溶性金属塩が細菌やウイルス等の生体内に浸透する。さらに、生体内に浸透した水不溶性金属塩が、細菌やウイルス等の生体内でタンパク質変性や凝固作用を引き起こし、低濃度且つ短時間でウイルス粒子の抗原や細菌の糖タンパクを変性し、当該生体を不活性化する。以上のようにして、本抗菌性液体組成物は、対象物に付着した細菌やウイルス等を不活性化することができると考えられる。
≪抗菌性液体組成物の用途≫
上述したような本抗菌性液体組成物の用途としては、細菌やウイルス等に対する抗菌・除菌・静菌等が必要な用途であれば特に限定されるものではないが、例えば、食品、食器、厨房用品、食品製造装置、皮膚等の対象物の抗菌・除菌・静菌等に用いられる抗菌(除菌・静菌)剤、食材の品質保持剤、洗浄剤等の用途に本抗菌性液体組成物を用いることができる。
上述したような本抗菌性液体組成物の用途としては、細菌やウイルス等に対する抗菌・除菌・静菌等が必要な用途であれば特に限定されるものではないが、例えば、食品、食器、厨房用品、食品製造装置、皮膚等の対象物の抗菌・除菌・静菌等に用いられる抗菌(除菌・静菌)剤、食材の品質保持剤、洗浄剤等の用途に本抗菌性液体組成物を用いることができる。
≪抗菌性液体組成物の使用方法≫
本抗菌性液体組成物は、原液のまま又は希釈して、該組成物を対象物(食品、食器、厨房用品、食品洗浄装置、皮膚等)に噴霧若しくは塗布、又は該組成物に対象物を浸漬するといった方法で使用することができる。また、噴霧、塗布、浸漬等の方法については特に限定はされず、一般に適用されている方法を用いることができる。
本抗菌性液体組成物は、原液のまま又は希釈して、該組成物を対象物(食品、食器、厨房用品、食品洗浄装置、皮膚等)に噴霧若しくは塗布、又は該組成物に対象物を浸漬するといった方法で使用することができる。また、噴霧、塗布、浸漬等の方法については特に限定はされず、一般に適用されている方法を用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
≪分散性の評価≫
まず、本抗菌性液体組成物の実施例及び比較例に対し、水不溶性金属塩の分散性を評価した。具体的には、以下のようにして評価試験を行った。
まず、本抗菌性液体組成物の実施例及び比較例に対し、水不溶性金属塩の分散性を評価した。具体的には、以下のようにして評価試験を行った。
<サンプル調製方法>
本評価で使用する抗菌性液体組成物のサンプルを次のように調製した。まず、下記表1及び表2に記載されているように、抗菌性を有する金属イオン源として、硫酸亜鉛又は明礬をイオン交換水に溶解させ、得られた水溶液に、表1及び表2に記載のノニオン性界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのいずれか1種又は2種)、分散剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルコールを添加し、撹拌混合した後に、水が組成物中に表1及び表2に記載の量含まれるようにイオン交換水を更に添加した。最後に、pH調整剤として、クエン酸とアルギニンの組み合わせ又は乳酸ナトリウムを用いてpHを5.5〜6.0に調整し、実施例1〜21(表1参照)及び比較例1〜17(表2参照)の分散性評価用のサンプルを得た。
本評価で使用する抗菌性液体組成物のサンプルを次のように調製した。まず、下記表1及び表2に記載されているように、抗菌性を有する金属イオン源として、硫酸亜鉛又は明礬をイオン交換水に溶解させ、得られた水溶液に、表1及び表2に記載のノニオン性界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのいずれか1種又は2種)、分散剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルコールを添加し、撹拌混合した後に、水が組成物中に表1及び表2に記載の量含まれるようにイオン交換水を更に添加した。最後に、pH調整剤として、クエン酸とアルギニンの組み合わせ又は乳酸ナトリウムを用いてpHを5.5〜6.0に調整し、実施例1〜21(表1参照)及び比較例1〜17(表2参照)の分散性評価用のサンプルを得た。
なお、本実施例及び比較例において使用した界面活性剤及び分散剤は以下の通りである。
グリセリン脂肪酸エステル:グリセリンモノカプリレート
ソルビタン脂肪酸エステル:ソルビタンオクテート
ショ糖脂肪酸エステル:ショ糖モノラウレート
ポリグリセリン脂肪酸エステル:グリセリンモノラウレート
ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油:PEG40 水添ヒマシ油
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(分子量2000、EO含有量20%)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル(ポリソルベート80)
グリセリン脂肪酸エステル:グリセリンモノカプリレート
ソルビタン脂肪酸エステル:ソルビタンオクテート
ショ糖脂肪酸エステル:ショ糖モノラウレート
ポリグリセリン脂肪酸エステル:グリセリンモノラウレート
ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油:PEG40 水添ヒマシ油
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(分子量2000、EO含有量20%)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル(ポリソルベート80)
<外観評価方法>
調製されたサンプルの分散性は、調製直後及び50℃で1週間放置した後のサンプルの外観を目視観察し、以下の基準により評価し、○及び○△のものを分散性が良好なサンプルとした。実施例1〜21の結果を表1に、比較例1〜17の結果を表2に記載した。
○ :1週間放置後も外観が無色透明
○△:1週間放置後に白色透明に変化又は微量の析出物が発生
△ :1週間放置後に白色の析出物が発生
× :調製直後に白色の析出物が発生
調製されたサンプルの分散性は、調製直後及び50℃で1週間放置した後のサンプルの外観を目視観察し、以下の基準により評価し、○及び○△のものを分散性が良好なサンプルとした。実施例1〜21の結果を表1に、比較例1〜17の結果を表2に記載した。
○ :1週間放置後も外観が無色透明
○△:1週間放置後に白色透明に変化又は微量の析出物が発生
△ :1週間放置後に白色の析出物が発生
× :調製直後に白色の析出物が発生
<評価結果>
表1に示すように、実施例1〜21のサンプルは、いずれも分散性が良好であった。これに対して、表2に示すように、水不溶性金属塩を分散させるための分散剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを使用した比較例1〜8、11〜17、アルコールを含有していない比較例2、4、6、8〜10、12、14は、いずれも分散性に劣る結果(△又は×の評価)となった。以上の結果より、本発明に係る抗菌性液体組成物のように、金属塩と界面活性剤とから形成される水不溶性金属塩を含有し、この水不溶性金属塩を分散させるための分散剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのうちの少なくとも1種を使用し、且つアルコールを含有させることにより、水不溶性金属塩の分散性が良好となり、無色透明の液体が得られることが示された。
表1に示すように、実施例1〜21のサンプルは、いずれも分散性が良好であった。これに対して、表2に示すように、水不溶性金属塩を分散させるための分散剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを使用した比較例1〜8、11〜17、アルコールを含有していない比較例2、4、6、8〜10、12、14は、いずれも分散性に劣る結果(△又は×の評価)となった。以上の結果より、本発明に係る抗菌性液体組成物のように、金属塩と界面活性剤とから形成される水不溶性金属塩を含有し、この水不溶性金属塩を分散させるための分散剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのうちの少なくとも1種を使用し、且つアルコールを含有させることにより、水不溶性金属塩の分散性が良好となり、無色透明の液体が得られることが示された。
≪抗菌・抗ウイルス性の評価≫
次に、本抗菌性液体組成物の実施例及び比較例に対し、抗菌性液体組成物の抗菌・抗ウイルス性を評価した。具体的には、まず、以下のようにして実施例1の抗菌性液体組成物の評価試験を行った。
次に、本抗菌性液体組成物の実施例及び比較例に対し、抗菌性液体組成物の抗菌・抗ウイルス性を評価した。具体的には、まず、以下のようにして実施例1の抗菌性液体組成物の評価試験を行った。
<評価方法>
抗菌性の評価は、以下の菌・ウイルスについて、下記のような方法で行った。
抗菌性の評価は、以下の菌・ウイルスについて、下記のような方法で行った。
(黄色ブドウ球菌、緑膿菌、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター)
(a)黄色ブドウ球菌、緑膿菌、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、カンピロバクターについては、まず、実施例1の抗菌性液体組成物10mLを入れた減菌試験管と、対照として減菌生理食塩水10mLを入れた試験管を5セット用意した。
(b)減菌生理食塩水3mLに、ブレインハートインフュジョン寒天培地で35℃、18時間、培養した菌株を用いて、約1.5×108個の菌浮遊液を作製した(カンピロバクターは、ブルセラHK寒天培地で37℃、24時間培養した菌株を用いた)。
(c)試験品中の菌数が約1.5×106個/mLになるよう、菌浮遊液を100μLずつ、(a)の試験品と対照の減菌生理食塩水を入れた試験管に添加し、良く撹拌、静置した後、10分後及び20分後に、各100μLと10μLをサンプリングして、SCDLP寒天平板培地に接種、画線培養法により、35℃、72時間観察した(カンピロバクターは、ブルセラHK寒天培地で37℃、72時間観察した)。なお、試験時の試験品温度は25℃、室温は25.5℃、湿度は49%であった。
(a)黄色ブドウ球菌、緑膿菌、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、カンピロバクターについては、まず、実施例1の抗菌性液体組成物10mLを入れた減菌試験管と、対照として減菌生理食塩水10mLを入れた試験管を5セット用意した。
(b)減菌生理食塩水3mLに、ブレインハートインフュジョン寒天培地で35℃、18時間、培養した菌株を用いて、約1.5×108個の菌浮遊液を作製した(カンピロバクターは、ブルセラHK寒天培地で37℃、24時間培養した菌株を用いた)。
(c)試験品中の菌数が約1.5×106個/mLになるよう、菌浮遊液を100μLずつ、(a)の試験品と対照の減菌生理食塩水を入れた試験管に添加し、良く撹拌、静置した後、10分後及び20分後に、各100μLと10μLをサンプリングして、SCDLP寒天平板培地に接種、画線培養法により、35℃、72時間観察した(カンピロバクターは、ブルセラHK寒天培地で37℃、72時間観察した)。なお、試験時の試験品温度は25℃、室温は25.5℃、湿度は49%であった。
以上のような試験の結果、抗菌効果のあったものを○、無かったものを×と評価した。
(赤痢菌、レジオネラ菌、ウエルシュ菌、セレウス菌)
(a)赤痢菌、レジオネラ菌、ウエルシュ菌、セレウス菌については、まず、実施例1の抗菌性液体組成物10mLを入れた減菌試験管と、対照として減菌生理食塩水10mLを入れた試験管を5セット用意した。
(b)減菌生理食塩水3mLに、ブレインハートインフュジョン寒天培地で35℃、18時間、培養した菌株を用いて、約1.5×108個の菌浮遊液を作製した。レジオネラ菌については、B−CYEα寒天培地で35℃、72時間培養した。芽胞の形成のためクックドミート培地を利用し85%の芽胞を得た。
(c)試験品中の菌数が約1.5×106個/mLになるよう、菌浮遊液を100μLずつ、(a)の試験品と対照の減菌生理食塩水を入れた試験管に添加し、良く撹拌、静置した後、10分後に各100μLをサンプリングして、SCDLP寒天平板培地に接種、画線培養法により、35℃、72時間観察した(レジオネラ菌は、CYE寒天培地で35℃、120時間観察した。ウエルシュ菌は、ブルセラHK寒天培地で35℃、72時間観察した)。なお、試験時の試験品温度は25℃、室温は25℃、湿度は49%であった。
(a)赤痢菌、レジオネラ菌、ウエルシュ菌、セレウス菌については、まず、実施例1の抗菌性液体組成物10mLを入れた減菌試験管と、対照として減菌生理食塩水10mLを入れた試験管を5セット用意した。
(b)減菌生理食塩水3mLに、ブレインハートインフュジョン寒天培地で35℃、18時間、培養した菌株を用いて、約1.5×108個の菌浮遊液を作製した。レジオネラ菌については、B−CYEα寒天培地で35℃、72時間培養した。芽胞の形成のためクックドミート培地を利用し85%の芽胞を得た。
(c)試験品中の菌数が約1.5×106個/mLになるよう、菌浮遊液を100μLずつ、(a)の試験品と対照の減菌生理食塩水を入れた試験管に添加し、良く撹拌、静置した後、10分後に各100μLをサンプリングして、SCDLP寒天平板培地に接種、画線培養法により、35℃、72時間観察した(レジオネラ菌は、CYE寒天培地で35℃、120時間観察した。ウエルシュ菌は、ブルセラHK寒天培地で35℃、72時間観察した)。なお、試験時の試験品温度は25℃、室温は25℃、湿度は49%であった。
以上のような試験の結果、抗菌効果のあったものを○、無かったものを×と評価した。
(インフルエンザウイルス)
(a)インフルエンザウイルス(A型)を発育鶏卵の漿尿膜腔に摂取し、ふ卵器で培養後、漿尿液を採取し、密度勾配遠心法により精製したウイルス液を供試ウイルス液とした。
(b)試験管内に900μLの試験液と2.3×109TCID50/mLの試験ウイルス液100μLを加え、ボルテックスミキサーでゆるやかに混合して、室温で所定の時間作用させた。その後、直ちに100μLを採取し、0.2%ウシ胎児血清(FBS)を含む細胞維持培地(DMEM)9.9mLで100倍に希釈した。この液をウイルス不活化効果試験用試料原液としてウイルスの不活化効果を評価した。なお、作用時間0分及び陰性対照の試料は試験液の代わりにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いた。陽性対照は、試験液の代わりに日本薬局方消毒用エタノール(和光純薬工業)を用いた。
(a)インフルエンザウイルス(A型)を発育鶏卵の漿尿膜腔に摂取し、ふ卵器で培養後、漿尿液を採取し、密度勾配遠心法により精製したウイルス液を供試ウイルス液とした。
(b)試験管内に900μLの試験液と2.3×109TCID50/mLの試験ウイルス液100μLを加え、ボルテックスミキサーでゆるやかに混合して、室温で所定の時間作用させた。その後、直ちに100μLを採取し、0.2%ウシ胎児血清(FBS)を含む細胞維持培地(DMEM)9.9mLで100倍に希釈した。この液をウイルス不活化効果試験用試料原液としてウイルスの不活化効果を評価した。なお、作用時間0分及び陰性対照の試料は試験液の代わりにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いた。陽性対照は、試験液の代わりに日本薬局方消毒用エタノール(和光純薬工業)を用いた。
以上のような試験の結果、抗ウイルス効果のあったものを○、無かったものを×と評価した。
(ネコカリシウイルス(ノロウイルス代替))
(a)ネコカリシウイルスをネコ腎臓由来細胞(CRFK)に感染させ、細胞培養面積の約90%以上が細胞変性効果(CPE)を示したとき−80℃の冷凍庫に凍結保存した。その後、凍結融解操作を2回繰り返し、3500rpmで10分間遠心した上澄みを採取し、限外ろ過膜で濃縮精製したウイルス液を供試ウイルス液とした。
(b)試験管内に900μLの試験液と4.2×108TCID50/mLの試験ウイルス液100μLを加え、ボルテックスミキサーでゆるやかに混合して、室温で所定の時間反応させた。その後、直ちに反応液100μLをリン酸緩衝生理食塩液(PBS)9.9mLで100倍に希釈した。この液をウイルス不活化効果試験用試料原液としてウイルスの不活化効果を評価した。なお、作用時間0分及び陰性対照の試料は試験液の代わりにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いた。陽性対照は、試験液の代わりに日本薬局方消毒用エタノール(和光純薬工業)を用いた。
(a)ネコカリシウイルスをネコ腎臓由来細胞(CRFK)に感染させ、細胞培養面積の約90%以上が細胞変性効果(CPE)を示したとき−80℃の冷凍庫に凍結保存した。その後、凍結融解操作を2回繰り返し、3500rpmで10分間遠心した上澄みを採取し、限外ろ過膜で濃縮精製したウイルス液を供試ウイルス液とした。
(b)試験管内に900μLの試験液と4.2×108TCID50/mLの試験ウイルス液100μLを加え、ボルテックスミキサーでゆるやかに混合して、室温で所定の時間反応させた。その後、直ちに反応液100μLをリン酸緩衝生理食塩液(PBS)9.9mLで100倍に希釈した。この液をウイルス不活化効果試験用試料原液としてウイルスの不活化効果を評価した。なお、作用時間0分及び陰性対照の試料は試験液の代わりにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いた。陽性対照は、試験液の代わりに日本薬局方消毒用エタノール(和光純薬工業)を用いた。
以上のような試験の結果、抗ウイルス効果のあったものを○、無かったものを×と評価した。
<評価結果>
以上の抗菌・抗ウイルス試験の結果を下記の表3に示す。
以上の抗菌・抗ウイルス試験の結果を下記の表3に示す。
表3に示すように、実施例1の抗菌性液体組成物は、上記で評価したいずれの菌及びウイルスに対しても不活化効果を有していた。なお、実施例2〜21についても、実施例1と同様の抗菌・抗ウイルス性試験を行ったが、いずれの実施例についても実施例1と同等の結果が得られた。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
Claims (8)
- 抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤との反応により生成される水不溶性金属塩と、
ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の分散剤と、
アルコールと、
を含有し、
前記アルコールの含有量が、全組成物の質量を基準として、3質量%以上80質量%以下である、抗菌性液体組成物。 - 前記抗菌性を有する金属イオンが、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン、鉄イオン及び銀イオンからなる群より選択される1種又は2種以上のイオンである、請求項1に記載の抗菌性液体組成物。
- 前記抗菌性を有する金属イオンが、アルミニウムイオンである、請求項2に記載の抗菌性液体組成物。
- 前記界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上のノニオン性界面活性剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性液体組成物。
- 前記分散剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌性液体組成物。
- 前記金属イオンに対する前記界面活性剤の量が、質量比で0.4以上15以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌性液体組成物。
- 前記分散剤の含有量が、全組成物の質量を基準として、0.001質量%以上0.3質量%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌性液体組成物。
- 前記アルコールが、炭素数3個以下の低級アルコールである、請求項1〜7のいずれか一項の抗菌性液体組成物。
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