JPWO2015159816A1 - 自噴式空間処理剤 - Google Patents

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Abstract

(A)成分:銀、銀化合物、若しくは銀又は銀化合物の担持体と、(B)成分:下記一般式(I)で表される化合物と、を含有する、自噴式空間処理剤。R1−O−(AO)x−R2・・・(I)(式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、AOはオキシアルキレン基を表す。前記AOは、オキシエチレン基と、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基の少なくとも一方とを含み、xは20〜500の数である。)

Description

本発明は、自噴式空間処理剤に関する。
本願は、2014年4月16日に、日本に出願された特願2014−084755号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
細菌、カビ等の微生物が繁殖しやすい湿気の多い空間(例えば浴室など)において、特に天井や、壁面の高い部分等の、手が届きにくいところは、スプレー式の塩素系カビ取り剤による手入れが困難であり、カビ等が繁殖しやすい場所である。このような場所のカビ等の発生及び繁殖を予防するために、密閉された空間内を防カビ剤等の有効成分を含む空間処理剤を用いて処理することが一般的に行われている。このような目的で用いられる空間処理剤としては、燻煙剤(燻蒸剤)、全量噴射エアゾール剤等が一般的である。
空間処理剤を用いることにより、掃除の手間を軽減でき、清潔な空間を手軽に維持できる。
微生物抑制効果に優れる空間処理剤として、例えば特許文献1には、銀を含有する薬剤と、有機発泡剤とを含有する燻煙剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、防黴成分としてジンクピリチオン等の有機系薬剤と、展着成分としてヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子との混合液を自噴により噴霧又は燻煙・燻蒸する方法が開示されている。
特開2011−12051号公報 特許2003−286104号公報
しかしながら、特許文献1に記載の燻煙剤組成物や、特許文献2に記載の混合液を用いた場合、浴室の壁などの頻繁に水が流れるような場所においては有効成分が水に洗い流されやすい。そのため、有効成分の付着量が低下しやすく、その結果、防カビ効果が低下する場合がある。よって、防カビ効果のさらなる持続性の向上が望まれる。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、防カビ効果の持続性が高い自噴式空間処理剤を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、防カビ効果の高い銀又は銀化合物(有効成分ともいう)と、特定のポリアルキレングリコールとを併用することで、浴室の壁などの頻繁に水が流れるような場所においても有効成分が壁などに留まりやすく、防カビ効果を持続できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] (A)成分:銀、銀化合物、又は銀若しくは銀化合物の担持体と、(B)成分:下記一般式(I)で表される化合物と、を含有する、自噴式空間処理剤。
−O−(AO)−R ・・・(I)
(式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、AOはオキシアルキレン基を表す。 (AO)は、オキシエチレン基と、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基の少なくとも一方とを含み、xは20〜500の数である。)
[2] 前記(AO)は、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とを含む、[1]に記載の自噴式空間処理剤。
[3] 前記(AO)は、オキシエチレン基がオキシプロピレン基で挟まれたトリブロック型である、[1]又は[2]に記載の自噴式空間処理剤。
[4] 前記一般式(I)で表される化合物が
−O−(PO)−(EO)−(PO)−R ・・・(iii)
である[3]に記載の自噴式空間処理剤。
(式(iii)中、fは5〜150、gは5〜250、hは5〜150であり、f、g、及びhの和は前記xの値と同一である。)
[5] 前記一般式(I)で表される化合物のR及びRが水素原子である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の自噴式区間処理剤。
[6] (C1)成分:有機発泡剤をさらに含有する、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の自噴式空間処理剤。
[7] (B)成分/(C1)成分で表される質量比が0.01〜0.5である、[6]に記載の自噴式空間処理剤。
[8] (C2)成分:噴射剤をさらに含有する、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の自噴式空間処理剤。
[9] (B)成分/(C2)成分で表される質量比が0.01〜0.25である、[8]に記載の自噴式空間処理剤。
本発明によれば、防カビ効果の持続性が高い自噴式空間処理剤を提供できる。
本発明の一実施形態の燻煙装置の一例を示す断面図である。 本発明の一実施形態の全量噴射型エアゾール装置の使用前の状態を示す斜視図である。 全量噴射型エアゾール装置のIII−III断面図である。 [実施例]における防カビ効果の持続性の評価方法を説明する概略図である。 [実施例]における防カビ効果のうち、特に殺カビ効果の評価方法を説明する概略図である。
本発明は、防カビ効果の持続性が高い自噴式空間処理剤に関する。
また、本発明の一つの側面は、浴室用の自噴式防カビ剤である。
本発明の別の側面は、浴室の内壁に展着される自噴式防カビ剤である。
本発明の対象とする空間の広さは、例えばシャワールームの広さ〜公共浴場の広さである。本発明の対象とする空間の広さは、例えば0.5m〜150mである。
本発明の別の側面は、頻繁に水が用いられる空間において用いる、その空間の内壁に展着される自噴式防カビ剤である.
本発明の別の側面は、浴室用の自噴式であるカビの繁殖防止剤である。
本発明の別の側面は、浴室用の自噴式である細菌の繁殖防止剤である。
本発明の別の側面は、浴室用の自噴式殺菌剤である。
本発明の別の側面は、浴室用の自噴式殺カビ剤である。
本発明の別の側面は、(A)成分:銀、銀化合物、又は銀若しくは銀化合物の担持体と、(B)成分:下記一般式(I)で表される化合物と、(C1)成分:有機発泡剤と、を含有する燻煙剤が充填された燻煙剤収容部と、前記燻煙剤を加熱する加熱部とを有する燻煙装置である。
−O−(AO)−R ・・・(I)
(式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、AOはオキシアルキレン基を表す。 (AO)は、オキシエチレン基と、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基の少なくとも一方とを含み、xは20〜500の数である。)
本発明の別の側面は、前記加熱部で生じた熱を前記燻煙剤に伝える伝熱部を有する燻煙装置である。
本発明の別の側面は、前記燻煙装置に収容された燻煙剤である。
本発明の別の側面は、前記燻煙装置を製造するための前記燻煙剤の使用である。
本発明の別の側面は、(A)成分:銀、銀化合物、又は銀若しくは銀化合物の担持体と、(B)成分:下記一般式(I)で表される化合物と、(C2)成分:噴射剤と、を含有する全量噴射エアゾール剤がスプレー缶に充填された全量噴射エアゾール装置であって、全量噴射エアゾール装置は、スプレー缶の上部にノズルキャップを備え、ノズルキャップは押されて噴射位置に固定される押しボタンと、押しボタンが噴射位置に固定されるとスプレー缶の内容物が全量噴射されるノズルとを備える全量噴射エアゾール装置。
−O−(AO)−R ・・・(I)
(式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、AOはオキシアルキレン基を表す。 (AO)は、オキシエチレン基と、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基の少なくとも一方とを含み、xは20〜500の数である。)
本発明の別の側面は、前記全量噴射エアゾール剤が全量噴射エアゾール容器に収容された全量噴射エアゾール装置であって、前記全量噴射エアゾール容器は、容器に被さるキャップ本体と、前記全量噴射エアゾール剤を全量噴射させる押しボタンとを備えるものである全量噴射エアゾール装置。
本発明の別の側面は、前記全量噴射エアゾール装置に収容された全量噴射エアゾール剤である。
本発明の別の側面は、前記全量噴射エアゾール装置を製造するための前記全量噴射エアゾール剤の使用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「防カビ」には、細菌、カビ等の微生物の繁殖を防ぐこと、及びこれら微生物を死滅させること(殺菌、殺カビ)を含む。以下、細菌、カビ等の微生物を死滅させることを特に「殺カビ」ともいう。
また、本発明において「自噴式」とは、作業者がその場にいなくても、固体や液体の防カビ剤等の空間処理剤の有効成分の噴霧を継続できる方式のことである。
自噴式の形態としては、例えば全量噴射型の燻煙剤(燻蒸剤)や、全量噴射型のエアゾール製剤(全量噴射エアゾール剤)などがある。
全量噴射型の燻煙剤(燻蒸剤)は、有効成分及び有機発泡剤を含む空間処理剤を、酸化カルシウムと水との反応熱を利用して間接加熱方式により加熱して、有機発泡剤を自己分解させて空間処理剤の噴射を引き起こすことにより有効成分を噴霧する方式を用いている。なお、マッチ頭薬などを用いて有機発泡剤に点火し、有機発泡剤の熱分解により空間処理剤を噴射する方式を用いるものも、全量噴射型の燻煙剤(燻蒸剤)に含まれる。
一方、全量噴射型のエアゾール製剤は、有効成分及び噴射剤を含む空間処理剤を耐圧容器に充填し、任意の噴射手段により容器内容物のほぼ全量を一度の操作(バルブの開放等)で容器外に噴射させる方式を用いている。
本発明の自噴式空間処理剤(以下、単に「空間処理剤」という。)は、以下に示す(A)成分及び(B)成分を含有する。また、空間処理剤は以下に示す(C1)成分又は(C2)成分をさらに含有することが好ましい。
<(A)成分>
(A)成分は、銀、銀化合物、又は銀若しくは銀化合物の担持体である。空間処理剤は(A)成分を含有することにより、防カビ効果を奏する。すなわち、本発明における有効成分は、(A)成分である。防カビ効果を奏することで、微生物の増殖による臭気を抑制でき、防臭効果も奏する。
銀とは、銀単体のことである。
銀化合物としては、例えば酸化銀;塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀、スルホン酸銀等の無機銀塩;蟻酸銀、酢酸銀等の有機銀塩などが挙げられる。
銀又は銀化合物の担持体とは、銀又は銀化合物をゼオライト、シリカ・アルミナ、シリカゲル、低分子ガラス、リン酸カルシウム、ケイ酸塩、酸化チタン等の物質(以下、担体ということがある)に担持させたものである。ここで「銀又は銀化合物を担体に担持させる」とは、銀又は銀化合物を担体に化学的、物理的又は電気的に結合又は吸着させている状態である。担持体としては、例えば、銀単体や銀化合物(酸化銀、無機銀塩、有機銀塩等)を担持したゼオライト系無機抗菌剤、シリカ・アルミナ系無機抗菌剤、シリカゲル系無機抗菌剤、酸化チタン系無機抗菌剤、ケイ酸塩系無機抗菌剤などが挙げられる。
(A)成分としては、上述した中でも、空間処理剤の使用中及び使用後における(A)成分由来の臭気をより低減する観点から、銀単体、酸化銀、無機銀塩(硝酸銀等)、又はこれらを担体に担持させた担持体が好ましく、担持体がより好ましい。担持体の中でも、ゼオライト系無機抗菌剤、シリカ・アルミナ系無機抗菌剤、ケイ酸塩系無機抗菌剤が好ましく、ゼオライト系無機抗菌剤が特に好ましい。
銀又は銀化合物の担持体を用いる場合、担持体中の銀の割合としては、担持体中の銀の質量が、担持体の全質量に対して、例えば0.01〜10質量%、0.05〜1.5質量%が用いられる。
(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の形態は特に限定されないが、対象空間の広さ等を勘案して決定できる。(A)成分は、粒子が微細であるほど、煙化率が高まって、(A)成分の効果を十分に発揮できると共に、広域に拡散される。一方、(A)成分の粒子は、小さすぎると拡散した後に落下しにくくなり、対象空間の下方における(A)成分の効果の発現までに時間を要する。
例えば、(A)成分の体積平均粒子径は、0.01〜1000μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。本発明の空間処理剤においては、このような比較的大きな粒子径の(A)成分であっても、煙化して拡散することができる。ここで、空間処理剤を「煙化する」とは、(A)成分を対象空間に拡散させた状態にすることを意味する。
なお、体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により求められる値をいい、(A)成分の体積平均粒子径は次のようにして測定できる。(A)成分を固形分1質量%となるように蒸留水に分散して試料とする。この試料をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に投入し、装置内で超音波によって分散後、レーザーを照射して粒度分布を測定する。体積頻度の累積が50%(体積)となる径を平均粒子径とする。
空間処理剤における(A)成分の含有量は、(A)成分の種類や有効成分濃度、空間処理剤に求める機能に応じて決定される。例えば、空間処理剤中の(A)成分の含有量については、空間処理剤の全質量に対する空間処理剤中の銀の質量の割合が、0.001〜1質量%となる量が好ましく、0.05〜0.5質量%となる量がより好ましい。空間処理剤の全質量に対する空間処理剤中の銀の質量の割合が0.001質量%未満であると(A)成分の効果が低下するおそれがあり、1質量%超としても(A)成分の効果が飽和し、さらなる効果の向上を図れないおそれがある。
<(B)成分>
(B)成分は下記一般式(I)で表される化合物である。
−O−(AO)−R ・・・(I)
(式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、AOはオキシアルキレン基を表す。(AO)は、オキシエチレン基と、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基の少なくとも一方とを含み、xは20〜500の数である。)
(B)成分は有効成分である(A)成分を処理面、すなわち空間処理剤による処理の対象となる面に付着させ、その場に留めておく効果(すなわち展着効果)を有する。よって、空間処理剤は(B)成分を含有することにより、浴室の壁などの頻繁に水が流れるような場所においても、処理面に付着した(A)成分が水で洗い流されにくいため、防カビ効果を持続できる。しかも、(B)成分と(A)成分との併用により防カビ効果(特に殺カビ効果)がより向上する。
式(I)中のR及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられる。
又はRの炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の炭化水素基が挙げられる。R及びRとしては、炭素数1〜3の炭化水素基及び水素が好ましく、水素がより好ましい。
AOはオキシアルキレン基を表す。(AO)は、オキシエチレン基(EO)と、オキシプロピレン基(PO)及びオキシブチレン基(BO)の少なくとも一方とを含む。すなわち、(AO)は、[EO/A’O]と表すことができる。ここで、A’OはPO又はBOを表す。[EO/A’O]は、EOを必ず含み、PO及びBOの少なくとも一方を含む。また、EO/A’OはEOとA’Oとがブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。
xは、一般式(I)で表される化合物中のAOの繰り返し数の総数の平均(平均総付加モル数)を意味し、20〜500の数であり、30〜180の数が好ましい。xが上記範囲内であれば、優れた殺カビ効果、防カビ効果の持続性を発揮することができる。xの値は、当該分野で通常の合成技術でコントロールが可能である。
(AO)は、防カビ効果の持続性に優れる点で、EOとPOとを含むことが好ましく、EOとPOからなる、すなわちEOとPOのブロック付加体又はランダム付加体がより好ましく、EOとPOのブロック付加体がさらに好ましい。
(AO)がEOとPOのブロック付加体である(B)成分としては、具体的に下記一般式(i)〜(iii)で表される化合物が挙げられる。
−O−(EO)−(PO)−R ・・・(i)
−O−(EO)−(PO)−(EO)−R ・・・(ii)
−O−(PO)−(EO)−(PO)−R ・・・(iii)
一般式(i)の場合、一般式(I)中の(AO)は、EOとPOからなるジブロック型である。
式(i)中、aはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、10〜300の数が好ましく、10〜200の数がより好ましい。bはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜250の数が好ましく、10〜60の数がより好ましい。ただし、a、及びbの和は前記xの値と同一である。
一般式(ii)の場合、一般式(I)中の(AO)は、POがEOで挟まれたトリブロック型である。
式(ii)中、cはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜100の数がより好ましい。dはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜250の数が好ましく、10〜60の数がより好ましい。eはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜100の数がより好ましい。ただし、c、d、及びeの和は前記xの値と同一である。
一般式(iii)の場合、一般式(I)中の(AO)は、EOがPOで挟まれたトリブロック型である。
式(iii)中、fはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜30の数がより好ましい。gはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜250の数が好ましく、5〜30の数がより好ましい。hはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜30の数がより好ましい。ただし、f、g、及びhの和は前記xの値と同一である。
上述した中でも、(B)成分としては、処理面への展着性に優れ、防カビ効果の持続性がより得られやすくなる点で、一般式(iii)で表される化合物が好ましい。
(B)成分の質量平均分子量は、1500〜4000が好ましい。(B)成分の質量平均分子量が上記範囲内であれば、展着性に優れ、防カビ効果の持続性がより得られやすくなる。
(B)成分の質量平均分子量は、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いてGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)により測定した値を、PEG(ポリエチレングリコール)を較正曲線に用いて換算した値である。
(B)成分は、市場において容易に入手される。一般式(ii)で表される化合物の市販品としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「PluronicPE6400」;日油株式会社製の「ユニルーブ70DP−600B」などが挙げられる。一般式(iii)で表される化合物の市販品としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「PluronicRPE1740」、「PluronicRPE2525」などが挙げられる。
また、(B)成分としては、各種の刊行物等に記載された方法により合成したものを用いてもよい。
(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
空間処理剤における(B)成分の含有量、すなわち空間処理剤の全質量に対する空間処理剤中の(B)成分の質量の割合は、1〜15質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が1質量%以上であれば、防カビ効果の持続性がより得られやすくなる。一方、(B)成分の含有量が15質量%以下であれば、空間処理剤の噴霧性能を良好に維持でき、有効成分である(A)成分が処理面へ均一に分布して付着しやすくなる。その結果、(A)成分の防カビ効果がより発揮されやすくなる。
<剤形>
本発明の空間処理剤の剤形としては、燻煙剤(燻蒸剤)、及び全量噴射エアゾール剤が挙げられる。また、本発明において、燻煙剤と燻蒸剤は同義である。本発明において、「燻煙剤(燻蒸剤)」とは、燻煙剤又は燻蒸剤のことをいう。
燻煙剤とは、種々の燃焼剤、発泡剤等を混合した発熱性基剤と、防カビ剤としての有効成分とを主成分とする薬剤である。使用時において燻煙剤を加熱すると、発熱性基剤が燃焼又は分解することで煙(ガス及び微粒子)が発生し、この煙の作用により有効成分が空気中に揮散する。
以下、本発明の空間処理剤を燻煙剤(燻蒸剤)として用いる場合と、全量噴射エアゾール剤として用いる場合とに分けて、さらに本発明を説明する。
<<燻煙剤(燻蒸剤)>>
本発明の空間処理剤を燻煙剤として用いる場合、空間処理剤は有機発泡剤(以下、「(C1)成分」という。)をさらに含有することが好ましい。本発明の一つの側面として、空間処理剤を燻煙剤として用いる場合、空間処理剤すなわち燻煙剤は、下記に説明する燻煙容器の燻煙剤収容部に収容される組成物のことをいう。
(C1)成分は、加熱により(A)成分及び(B)成分と発泡溶融し、有機発泡剤の熱分解、あるいは燃焼ガスの作用によって(A)成分及び(B)成分を煙化させる成分である。
(C1)成分としては、アゾジカルボンアミド、ニトロセルロース、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリルなどの、加熱や燃焼により熱分解して多量の熱を発生させるとともに炭酸ガスや窒素ガスなどを発生させるものが用いられる。これら有機発泡剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、分解温度が低く、発泡ガスの発生量が多い点で、アゾジカルボンアミド、ニトロセルロースが好ましい。
空間処理剤における(C1)成分の含有量、すなわち空間処理剤の全質量(燻煙容器の燻煙剤収容部に充填される内容物の総質量)に対する空間処理剤中の(C1)成分の質量の割合は、50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。(C1)成分の含有量が上記範囲内であれば、(A)成分及び(B)成分の処理面への到達性及び、防カビ効果の持続性がより良好となる。
また、空間処理剤における(C1)成分の含有量は、(B)成分/(C1)成分で表される質量比、すなわち空間処理剤中の(C1)成分に対する(B)成分の質量割合が0.01〜0.5となる量が好ましく、0.05〜0.15となる量がより好ましい。質量比が上記範囲内であれば、防カビ効果の持続性がより向上する。
空間処理剤は、各種添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、燃焼助剤、安定化剤、結合剤、賦形剤などが挙げられる。
燃焼助剤としては、例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、尿素、メラミン、メラミン誘導体(工業用メラミン、硝酸メラミン、メラミンホルマリン樹脂等)などが挙げられる。空間処理剤の全質量(すなわち燻煙容器の燻煙剤収容部に充填される内容物の総質量)に対する空間処理剤中の燃焼助剤の質量の割合は、0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。
安定化剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エポキシ化合物(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等)などが挙げられる。空間処理剤の全質量(燻煙容器の燻煙剤収容部に充填される内容物の総質量)に対する空間処理剤中の安定化剤の質量の割合は、0.01〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
結合剤としては、セルロース系化合物(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとそのCa塩及びNa塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、デンプン系化合物(デンプン、α化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチNa塩等)、天然物系化合物(アラビアゴム、アルギン酸Na、トラガント、ゼラチン等)、合成高分子系化合物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等)等が挙げられる。空間処理剤の全質量(燻煙容器の燻煙剤収容部に充填される内容物の総質量)に対する空間処理剤中の結合剤の質量の割合は、0.1〜10質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。
賦形剤としては、例えばクレー、タルク、珪藻土、カオリン、ベントナイト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウムなどが挙げられる。本願においてクレーとは、ケイ酸アルミニウムや石英を含む、ろう石(パイロフィライト Pyrophylliteを含む)等の粘土鉱物から工業的に精製した白色粉状の製品を言い、微細な粒子を含むものである。クレーの体積平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、1〜30μmがさらに好ましい。体積平均粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により求められる値をいう。クレーとしては、例えば酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウムを含むものが挙げられる。
空間処理剤の全質量に対する空間処理剤中の賦形剤の質量の割合は、2〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。これら添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、空間処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、香料、色素など他の添加剤が必要に応じて配合されてもよい。
本発明の空間処理剤を燻煙剤として用いる場合、燻煙剤を燻煙容器内に充填して用いる。燻煙剤を燻煙容器の燻煙剤収容部に収容し、加熱部に発熱物質を収容したものを燻煙装置という。
以下、本発明を適用した燻煙装置の一つの態様について、図面を参照して説明する。なお、本発明の燻煙装置は以下に説明される燻煙装置に限定されない。
図1は、本発明の燻煙装置10の断面図である。燻煙装置10は、筐体11と、筐体11の内部に設けられた加熱部12と、筐体11の内部に設けられた燻煙剤13とで概略構成されている。筐体11は略円筒状の本体14と、底部15と、蓋部16とで構成されている。筐体11内には、燻煙剤収容部17が設けられ、燻煙剤収容部17には燻煙剤が充填されている。
蓋部16は、孔を有するものであり、メッシュ、パンチングメタル、格子状の枠体等が挙げられる。
燻煙剤収容部17は、燻煙剤13を充填する容器として機能すると共に、加熱部12で生じた熱エネルギーを燻煙剤13に伝える伝熱部として機能するものである。燻煙剤収容部17は、例えば金属製の容器等が挙げられる。
加熱部12に収容される発熱物質は、特に限定されず、燻煙剤13の煙化に必要な熱量を考慮して決定することができる。加熱部12には、例えば、水と接触して発熱する物質(例えば、酸化カルシウム等)を充填しておいてもよいし、鉄粉と酸化剤とを仕切り材で仕切って充填しておいてもよいし、金属とその金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを仕切り材で仕切って充填しておいてもよい。中でも、水と接触して発熱する物質を充填しておくことが好ましく、酸化カルシウムを充填しておくことが好ましい。
底部15は、加熱部12の機構に応じて決定することができ、例えば、加熱部12に酸化カルシウム等の水と接触して発熱する物質が収容されている場合、底部15には不織布や金属製のメッシュ等を用いることができる。底部15を不織布やメッシュとすることで、底部15から水を加熱部12内に浸入させ加熱することができる。
<燻煙装置に適用するための空間処理剤(燻煙剤)の製造>
本発明の空間処理剤を燻煙剤として用いる場合の空間処理剤の製造方法について説明する。本発明の燻煙剤は、目的とする形状に応じて公知の製造方法を採用でき、例えば、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等が挙げられる。押出し造粒法が好ましい。
押出し造粒法の具体例としては、(A)成分、(B)成分、(C−1)成分、及び各種添加剤をニーダーで攪拌混合した後、組成全量を100質量部とし、0.1〜15質量部、より好ましくは8〜12質量部の水を加えて、混合し混合物を得る。得られた混合物を一定面積の開孔を有する金型(ダイスともいう)を用いた前押出しあるいは横押出し造粒機により造粒し、造粒物を得る。得られた造粒物をカッターやフラッシュミル等により切断して乾燥させ、直径1〜5mm、好ましくは直径1.5〜3mm、長さが2〜20mm、好ましくは5〜10mmの顆粒状の燻煙剤を得る。
<燻煙装置の製造>
空間処理剤を燻煙剤として用いる場合の一態様としては、燻煙容器の燻煙剤収容部に燻煙剤1〜50gを収容し、さらに燻煙容内の加熱部に酸化カルシウム10〜80gを収容し、燻煙装置を作製する。
<<全量噴射エアゾール剤>>
全量噴射エアゾール剤は、液剤(薬液)及び噴射剤(以下、「(C2)成分」ともいう。)をいい、耐圧容器(以下、「全量噴射エアゾール容器」ともいう。)に充填して用いる。全量噴射エアゾール剤を全量噴射エアゾール容器に充填したものを全量噴射型エアゾール装置という。全量噴射型エアゾール装置は、任意の噴射手段により、全量噴射エアゾール容器の内容物のほぼ全量を、一度の操作(バルブの開放等)で容器外に噴射させることができるものである。
本発明の空間処理剤を全量噴射エアゾール剤として用いる場合、空間処理剤は有効成分を溶解又は分散させる溶剤をさらに含有することが好ましい。
(C2)成分は、(A)成分及び(B)成分が溶剤中に溶解又は分散した液剤のほぼ全量を、一度の操作(バルブの開放等)で全量噴射エアゾール容器外に噴射させる成分である。
(C2)成分としては、ジメチルエーテルが好ましい。空間処理剤がジメチルエーテルを含むことで、(A)成分及び(B)成分の分散性や噴射力等が向上し、本発明の空間処理剤を浴室等で使用したときの(A)成分及び(B)成分の処理面(浴室の天井や壁面等)への到達性が向上する。
(C2)成分としては、ジメチルエーテル以外の他の噴射剤を併用してもよい。他の噴射剤としては、例えばジメチルエーテル以外の液化ガス(液化石油ガス、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン等)、圧縮ガス(炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス等)などが挙げられる。これらのうち、噴射力(噴射の勢い)の観点で、液化ガスが好ましい。
噴射剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C2)成分中の全(C2)成分に対するジメチルエーテルの割合は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、100質量%が特に好ましい。ジメチルエーテルの割合が50質量%以上であれば、ジメチルエーテルの効果が十分に得られる。
なお、(C2)成分として他の噴射剤を、噴射性能の調整等のために若干配合しても問題ないが、他の噴射剤が多くなると問題が生じるおそれがある。例えば(C2)成分が、液化石油ガス(LPG)のみの場合、他の成分との相溶性に問題を生じるおそれがある。
また、圧縮ガスのみの場合、噴射の勢いが不足し、浴室の天井まで(A)成分及び(B)成分が十分に到達しないおそれがある。
(C2)成分は、ジメチルエーテルのみからなることが特に好ましい。
空間処理剤における(C2)成分の含有量、すなわち全量噴射エアゾール容器に充填される内容物の総質量に対する空間処理剤中の(C2)成分の質量の割合は、50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。(C2)成分の含有量が上記範囲内であれば、(A)成分及び(B)成分の処理面への到達性及び、防カビ効果の持続性がより良好となる。
また、空間処理剤における(C2)成分の含有量は、(B)成分/(C2)成分で表される質量比が0.01〜0.25となる量が好ましく、0.05〜0.2となる量がより好ましい。質量比が上記範囲内であれば、(A)成分及び(B)成分の分散性と処理面への付着性・広がり性が良好となり、かつ、防カビ効果の持続性が向上する。
溶剤としては、エタノール、メタノール、アセトン、グリコールエーテル系(エチレングリコールやその誘導体、ジエチレングリコールやその誘導体、他のアルキレングリコールやその誘導体等)、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ジブチル、灯油、水などが挙げられる。
空間処理剤における溶剤の含有量、すなわち全量噴射エアゾール容器に充填される内容物の総質量に対する溶剤の質量の割合は、1〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。
溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
空間処理剤は、各種添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、先に例示した燃焼助剤、安定化剤、結合剤、賦形剤などが挙げられる。
また、空間処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、香料、色素など他の添加剤が必要に応じて配合されてもよい。
全量噴射エアゾール装置に用いる容器(全量噴射エアゾール容器)は、例えば、図2、3に示すように、容器に被せるキャップ本体と、キャップ本体に一端側が支持されると共に、他端側を固定位置まで押圧操作することにより、容器に設けられたステムを押圧し、このステムから噴出された内容物を噴射口より噴射させる押しボタンとを備え、キャップ本体には、押しボタンを固定位置に係止する係止部が設けられている。
以下、本発明を適用した全量噴射エアゾール装置に用いる全量噴射エアゾール容器の一つの態様について、図2、3を参照して詳細に説明する。なお、本発明の全量噴射エアゾール容器は、任意の噴射手段により、容器内容物のほぼ全量を一度の操作(バルブの開放等)で全量噴射エアゾール容器外に噴射させることができるものであればよく、以下に説明される容器に限定されない。
全量噴射エアゾール容器20は、内容物を収容するスプレー缶21と、スプレー缶21に取り付けられて、このスプレー缶21に収容された内容物を全量的に噴射するノズルキャップ22を備えている。スプレー缶21は、その上部中央から突出して設けられ、且つ、上方に付勢された状態で上下方向に移動可能に支持されたステム23と、このステム23を下方に押圧することにより開放されるバルブ機構(図示せず。)とを備えている。
ノズルキャップ22は、スプレー缶21の上部に取り付けられたキャップ本体24と、スプレー缶21のステム23を押圧するための押しボタン25と、スプレー缶21のステム23を押圧することにより、そのステム23から噴出された内容物を噴射する噴射ノズル26とを備えている。
キャップ本体24は、スプレー缶21の上部に被せるプラスチック製のカバー部材である。
押しボタン25は、操作部27を押圧操作することで、スプレー缶21のステム23を押圧することが可能となっている。また、押しボタン25には、この押しボタン25の下面中央に配置されて、スプレー缶のステム23と嵌合される嵌合部28と、この嵌合部28と連通されて、ステム23から噴出された内容物を噴射ノズル26へと導く流路29とが設けられている。
押しボタン25の一端側には、ノズル部材である噴射ノズル26が備えられている。この噴射ノズル26は、押しボタン25の流路29と連通されて、その先端部に設けられた噴射口26aよりステム23から噴出された内容物を噴射する。
ところで、ノズルキャップ22には、押しボタン25を押圧操作した際に、この押しボタン25を固定位置に固定するためのロック機構30が設けられている。具体的に、このロック機構30は、キャップ本体24側に配置されて、押しボタン25を固定位置に係止する係止部31と、押しボタン25側に配置されて、キャップ本体24側の係止部31に係止される被係止部32とを有している。
このロック機構30では、上方に付勢されたステム23の付勢力に抗して押しボタン25を押し下げると、被係止部(突起部)32が肩カバー33の係止部(突条部)31に摺接しながら、この係止部31を乗り越える。このとき、押しボタン25に対する押圧を解除すると、上方に付勢されたステム23が押しボタン25を上方に向かって押圧するものの、押しボタン25の被係止部32が肩カバー33の係止部31を乗り越えることなく、この係止部31に係止された状態となる。これにより、押しボタン25を固定位置、すなわち、この押しボタン25を押圧操作することにより、ステム23を押圧し、このステム23から噴出された内容物が噴射ノズル26の噴射口26aから噴射される噴射位置に固定することができる。このように、押しボタン25がロック機構30により固定位置に固定されるため、ステム23の押圧状態が保持される。これにより、スプレー缶21のバルブ機構を開放状態としたまま、このスプレー缶21に収容された内容物が無くなるまで噴射が継続され、噴射剤によるガス圧が消失したところで噴射が終了する。
<全量噴射型エアゾール装置の製造>
本発明の空間処理剤を全量噴射エアゾール剤として用いる場合の全量噴射型エアゾール装置の製造方法について説明する。(A)成分、(B)成分、溶剤、及び各種添加剤を混合して薬液を調製する。得られた薬液を、全量噴射エアゾール容器に入れ、さらに(C2)成分を充填して空間処理剤を得る。例えば、噴射剤としてジメチルエーテルを用いた場合、全量噴射エアゾール剤は容器の内圧が、25℃において0.3〜0.6MPaとなるように充填するのが好ましく、0.4〜0.5MPaとなるように充填するのがより好ましい。
<使用方法>
空間処理方法としては、特に限定されず、空間処理剤の剤形に応じて、燻煙装置による燻煙処理、全量噴霧エアゾール装置による噴霧処理など、従来公知の方法を利用できる。
例えば、空間処理剤を燻煙剤として用いる場合の使用方法としては、一般的な燻煙剤の使用方法と同様の方法を用いることができる。具体的には、金属製容器、セラミック製容器等の任意の容器に空間処理剤を収容し、空間処理剤を間接的又は直接的に加熱して使用する。
間接的に加熱する方法としては、例えば、金属製の容器に空間処理剤を収容し、この金属製の容器を介して燻煙剤を加熱する方法が挙げられる。
加熱方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法;鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合し、又は金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物もしくは酸化剤とを混合し、その酸化反応熱を利用する方法等が挙げられる。中でも、実用性の観点から、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法が好ましい。水と接触して発熱する物質としては、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。中でも、酸化カルシウムが好ましい。
直接的に加熱する方法としては、マッチ頭薬などを用い、発熱体(点火具)に点火することにより空間処理剤の一部を直接加熱し、その後空間処理剤中の有機発泡剤が加熱により熱分解されることにより発生する熱を利用する方法などが挙げられる。
一方、空間処理剤を全量噴霧エアゾール剤として用いる場合の使用方法としては、一般的な全量噴霧エアゾール剤の使用方法と同様の方法を用いることができる。具体的には、(C2)成分以外の成分を混合して薬液を調製し、その薬液及び(C2)成分を任意の耐圧容器に充填し、任意の噴射手段により、容器内容物のほぼ全量を、一度の操作(バルブの開放等)で容器外に噴射させて使用する。
空間処理の際の本発明の空間処理剤の使用量は、剤形、空間の広さ等に応じて適宜決定すればよい。
本発明においては、特に、本発明の空間処理剤を、空間1m当たり、銀濃度に換算して0.03mg以上となる量で用いることが好ましく、0.25〜3mgとなる量がより好ましい。
<作用効果>
以上説明した本発明の空間処理剤は自噴式であるため、例えば浴室の天井や、壁面の高い部分等の、手が届きにくいところにある処理面にまで(A)成分が到達し、優れた防カビ効果が発揮される。
加えて、本発明の空間処理剤は、上述した(A)成分と(B)成分とを含有するので、(A)成分が処理面に付着しやすい。よって、浴室の壁などの頻繁に水が流れるような場所においても、処理面に付着した(A)成分が水で流れにくく、防カビ効果を持続できる。
上記効果が得られる理由としては以下のことが考えられる。すなわち、(A)成分及び(B)成分を含む液滴が適度に増粘し、処理面に良好に付着し、付着した後も処理面から流れ落ちにくく、また水がかかっても洗い流されにくくその場に留まりやすいため、防カビ効果を持続できると考えられる。
本発明の空間処理剤は、細菌、カビ等の微生物を抑制することが要求される密閉可能な空間の処理に用いられる。
本発明の空間処理剤の処理対象としては、密閉可能であれば特に限定されず、例えば浴室、洗面所、キッチン、トイレ、リビング、押入れ等が挙げられる。
本発明の有用性の観点から、本発明の空間処理剤は、浴室の防カビ用として特に好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[使用原料]
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A−1:銀担持ゼオライト系無機抗菌剤(株式会社シナネンゼオミック製、「ゼオミックAJ10N」、体積平均粒子径2.5μm、真比重2g/cm(20℃)、嵩比重0.4g/cm(20℃)、銀含量2.5質量%)
・A−2:銀担持シリカ・アルミナ系無機抗菌剤(日揮触媒化成株式会社製、「ATOMY BALL−(UA)」、体積平均粒子径15nm、銀含量0.07質量%)
・A−3:銀担持ケイ酸塩系無機抗菌剤(日揮触媒化成株式会社製、「AIS−NAZ320」、体積平均粒子径2μm、銀含量1.2質量%、)
・A−4:水溶性銀系抗菌剤(株式会社J−ケミカル製、「CF−01」、水溶性銀として酸化銀、銀含量2.5質量%)
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B−1:H−O−(PO)14−(EO)24−(PO)14−H
・B−2:H−O−(PO)20−(EO)18−(PO)20−H
・B−3:H−O−(EO)15−(PO)30−(EO)15−H
・B−4:H−O−(EO)80−(PO)50−(EO)80−H
B−1の合成方法:
プロピレングリコール(1モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を120℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(14モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO付加体を得た(一段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を150℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(24モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO−EO付加体を得た(二段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を120℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(14モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後(三段階目)、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、B−1を得た。
得られたB−1の質量平均分子量をGPCにより測定したところ、2800であった。
B−2の合成方法:
一段階目で用いるプロピレンオキシドのモル量を20モル、二段階目で用いるエチレンオキシドのモル量を18モル、三段階目で用いるプロピレンオキシドのモル量を20モルに変更した以外は、B−1と同様にしてB−2を得た。
得られたB−2の質量平均分子量をGPCにより測定したところ、3350であった。
B−3の合成方法:
一段階目においてプロピレンオキシド(14モル)の代わりに、エチレンオキシド(15モル)を用い、二段階目においてエチレンオキシド(24モル)の代わりに、プロピレンオキシド(30モル)を用い、かつ三段階目においてプロピレンオキシド(14モル)の代わりに、エチレンオキシド(15モル)を用いた以外は、B−1と同様にしてB−3を得た。
得られたB−3の質量平均分子量をGPCにより測定したところ、2900であった。
B−4の合成方法:
一段階目においてプロピレンオキシド(14モル)の代わりに、エチレンオキシド(80モル)を用い、二段階目においてエチレンオキシド(24モル)の代わりに、プロピレンオキシド(50モル)を用い、かつ三段階目においてプロピレンオキシド(14モル)の代わりに、エチレンオキシド(80モル)を用いた以外は、B−1と同様にしてB−4を得た。
得られたB−4の質量平均分子量をGPCにより測定したところ、10000であった。
(B)成分の比較品((B’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・B’−1:ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、「PEG#6000」、質量平均分子量:6000)
・B’−2:ポリビニルアルコール(関東化学株式会社製、質量平均分子量:22000)
・B’−3:ポリアクリル酸ナトリウム塩(株式会社日本触媒製、「アクアクリックYS100」、質量平均分子量:2800)
・B’−4:C1837−O−(PO)−(EO)28−(PO)−H(ライオン株式会社製、「FP−7800E」、質量平均分子量:2200)
(C1)成分、(C2)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C1−1:アゾジカルボンアミド(大日精化工業株式会社製、「ダイブローAC.2040(C)」)
・C1−2:ニトロセルロース(T.N.C.INDUSTRIAL CO.,LTD.製、「TV綿」)
・C2−1:ジメチルエーテル(三菱ガス化学株式会社製)
溶剤、任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・EtOH:エタノール(試薬特級、純正化学株式会社製)
・ZnO:酸化亜鉛(日本薬局方 酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製、平均粒子径0.6μm、真比重5.6g/cm(20℃))
・HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、「メトローズ60SH−50」)
・クレー:昭和KDE株式会社製、「NK−300」SiO 75質量%、Al・2SiO・2HO 25%、平均粒子径 10μm。
[評価]
<防カビ効果の持続性の評価>
まず、図4に示すように、1818タイプ(メーターモジュール用)の浴室とほぼ同体積の密閉可能な評価室(床面から天井面までの高さ:約2m)40の天井面の中央に、2枚のスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、白縁磨No.2、76×26mm)41、42を並べて取り付けた。
つぎに、各実施例で作製した装置(燻煙装置又は全量エアゾール噴射型装置)43を評価室40の中央床面に置き、内容物を噴射した(噴射処理)。
内容物の噴射の開始から90分後に評価室40内の空気を排気し、2枚のスライドガラス41、42を回収した。
回収したスライドガラス41、42の一方を、水道水約1L(スライドガラス全体が浸かる量)及び撹拌子を入れた1Lビーカーに入れ、攪拌子を500rpmで攪拌しながら1分間、水処理した後に取り出して室温乾燥させた。これは、実家庭の浴室において、噴射処理後、床や壁の処理面に水がかかることを想定したものである。
なお、回収したスライドガラスのうち、水処理したスライドガラスを「スライドガラス(SG1)」とし、水処理していないスライドガラスを「スライドガラス(SG2)」とする。また、噴射処理していない未処理のスライドガラスを「スライドガラス(SG3)」とする。
つぎに、ポテトデキストロース寒天培地(Difco社製)の斜面培地にて25℃、1週間培養したCladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)、及び50%に希釈し滅菌したポテトデキストロース液体培地を用いて、約10CFU/mLの胞子液を調製した。
0.1mLの胞子液をスライドガラス(SG1)、スライドガラス(SG2)、スライドガラス(SG3)にそれぞれ接種した。
胞子液を接種したスライドガラス(SG1)、スライドガラス(SG2)、スライドガラス(SG3)の各々に、20mm×20mmに切断したフィルム(JIS Z 2801(抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果)に記載のフィルム)を、胞子液を覆うようにかぶせて、25℃、相対湿度98%以上の条件にて7日間培養した。
培養後、スライドガラス(SG1)、スライドガラス(SG2)、スライドガラス(SG3)からスライドガラス上の全ての菌を回収し、計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈したものを、ポテトデキストロース寒天培地に塗抹接種して、25℃にて5日間培養した後、目視により、形成されたコロニー数を計測した。本条件では培養後のスライドガラス(SG3)から回収される生菌数は1×10〜9×10CFUになる。
計測したコロニー数と菌液の希釈倍率からスライドガラス(SG1)、スライドガラス(SG2)、スライドガラス(SG3)の生菌数(CFU/スライドガラス(SG))を求めた。スライドガラス(SG1)、スライドガラス(SG2)の生菌数の変化から、水がかかった場合の防カビ効果の持続性を評価した。
(評価基準)
スライドガラス(SG1)の生菌数(SG1生菌数)、スライドガラス(SG2)の生菌数(SG2生菌数)、未処理のスライドガラス(SG3)の生菌数(SG3生菌数)から、下記式(1)〜(3)を用いて防カビ効果の持続率を算出し、その値から以下の基準で防カビ効果の持続性を判定した。防カビ効果の持続率が高いほど、水道水にて処理しても防カビ効果が低下せず優れていることを示す。
水処理後の防カビ率(%)={1−(SG1生菌数/SG3生菌数)}×100 ・・・(1)
水処理無しの防カビ率(%)={1−(SG2生菌数/SG3生菌数)}×100 ・・・(2)
防カビ効果の持続率(%)={(水処理後の防カビ率/水処理無しの防カビ率)}×100 ・・・(3)
〈判定基準〉
◎◎:防カビ効果の持続率が80%以上。
◎:防カビ効果の持続率が65%以上80%未満。
○:防カビ効果の持続率が50%以上65%未満。
△:防カビ効果の持続率が35%以上50%未満。
×:防カビ効果の持続率が35%未満。
<殺カビ効果の評価>
まず、図5に示すように、1818タイプ(メーターモジュール用)の浴室とほぼ同体積の密閉可能な評価室(床面から天井面までの高さ:約2m)50の天井面の中央に、下記の方法*1で作製した供試用スライドガラス(菌を接種したスライドガラス)51を、菌を接種した面を床側に向けて取り付けた。
つぎに、各実施例で作製した装置(燻煙装置又は全量エアゾール噴射型装置)53を評価室50の中央床面に置き、内容物を噴射した(噴射処理)。
内容物の噴射開始から90分後に評価室20内の空気を排気し、供試用スライドガラス51を回収した。
供試用スライドガラス51上の全ての菌を回収し、回収した菌を計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈したものを、ポテトデキストロース寒天培地に塗抹接種して、25℃にて5日間培養した後、目視により、形成されたコロニー数を計測した。計測したコロニー数と菌液の希釈倍率から生菌数を求め、その値を「処理後の菌数」とした。
別途、噴射処理していない未処理の供試用スライドガラス上の全ての菌を回収し、回収した菌を計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈したものを、ポテトデキストロース寒天培地に塗抹接種して、25℃にて5日間培養した後、目視により、形成されたコロニー数を計測した。計測したコロニー数と菌液の希釈倍率から生菌数を求め、その値を「未処理菌数」とした。
上記の結果から、下記の評価基準に従い、殺カビ効果を評価した。
(*1:供試用スライドガラスの作製方法)
ポテトデキストロース寒天培地(Difco社製)の斜面培地にて25℃、1週間培養したPhoma sp.(浴室分離菌)、及び滅菌した0.05%Tween80(関東化学株式会社製)水溶液を用いて約10CFU/mLの胞子液を調製した。ついで、0.1mLの胞子液をスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製、白縁磨No.2、76×26mm)に接種し、室温にて一晩静置した後に乾燥し固定した。
(評価基準)
天井面の中央に設置したスライドガラスについて、求めた菌数を常用対数(log)に変換し、未処理の菌数から処理後の菌数を差し引いた値(log(未処理菌数)−log(処理後の菌数))を求め、その値を殺カビ効力とした。その値から、下記の基準で殺カビ効果を判定した。
〈判定基準〉
◎:殺カビ効力が4以上。
○:殺カビ効力が2以上4未満。
△:殺カビ効力が1以上2未満。
×:殺カビ効力が1未満。
[実施例1〜18、比較例1〜6]
<空間処理剤の製造>
表1〜3に示す組成の空間処理剤を以下の手順で製造した。表1〜3中の各成分の配合量の単位は質量%である。(A)成分の量は、空間処理剤の全質量に対する空間処理剤中の銀の質量の割合(質量%)である。クレーの「バランス」は、空間処理剤の全質量が100質量%となる量である。
室温(20℃)条件下において、表1〜3に示す組成に従い、各成分をニーダー(株式会社モリヤマ製、「S5−2G型」)で攪拌混合した後、組成全量を100質量部として10質量部の水を加えて混合し混合物を得た。得られた混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機(株式会社不二パウダル製、「EXK−1」)を用いて造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(株式会社不二パウダル製、「FL300」)により長さ2〜5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(アルプ株式会社製、「RT−120HL」)により2時間乾燥させ、顆粒状の空間処理剤を得た。
<燻煙装置の作製>
得られた空間処理剤を燻煙剤として用い、以下のようにして燻煙装置を作製した。
「ルックお風呂の防カビくん煙剤」(ライオン株式会社製)の容器を用意し、容器内の燻煙剤容器内に空間処理剤5gを収容し、さらに同容器内の加熱剤収容部に酸化カルシウム37gを収容し、燻煙装置を作製した。
得られた燻煙装置を用いて、防カビ効果の持続性及び殺カビ効果を評価した。結果を表1〜3に示す。なお、評価を行う際には、23mLの水を入れた給水用プラスチック容器を設置し、プラスチック容器内に燻煙装置を入れ、燻煙を開始した。
[実施例19]
<全量エアゾール噴射型装置の作製>
表2に示す組成の空間処理剤を充填した全量エアゾール噴射型装置を以下の手順で作製した。表2中の各成分の配合量の単位は質量%である。(A)成分の量は、空間処理剤の全質量に対する空間処理剤中の銀の質量の割合(質量%)である。エタノールの「バランス」は、空間処理剤の全質量が100質量%となる量である。
(A)成分、(B)成分、及びエタノールを表2に示す組成になるように混合して薬液を調製した。得られた薬液を、バルブ機構を備えたスプレー缶(「バルサンプロEX ノンスモーク霧タイプ(6〜10畳用)」(ライオン株式会社製)の容器)に入れ、さらに(C2)成分を充填して密閉した後、ノズルキャップを取り付けて全量エアゾール噴射型装置を作製した。なお、スプレー缶に充填に使用した内容物の総量を15gとして調整した。
得られた全量エアゾール噴射型装置を用いて、防カビ効果の持続性及び殺カビ効果を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2015159816
Figure 2015159816
Figure 2015159816
表1、2から明らかなように、各実施例の空間処理剤は、いずれも防カビ効果の持続性が高く、殺カビ効果も良好であった。この結果より、各実施例の空間処理剤は、60%以上の防カビ効果の持続率を有しており、浴室内の頻繁に水が流れるような場所においても防カビ効果を持続できることが示された。
一方、表3から明らかなように、(A)成分を含まない比較例1の空間処理剤は殺カビ効果が低く、防カビ効果を示さなかった。また、(B)成分を含まない比較例2の空間処理剤は、防カビ効果の持続率が25%であり、防カビ効果の持続率が不十分であった。また、殺カビ効果も低かった。
(B)成分の代わりに、B’−1〜B’−4のいずれかを含む比較例3〜6の空間処理剤は、防カビ効果の持続率が30%であり、防カビ効果の持続率が不十分であった。また、各実施例に比べて殺カビ効果も低かった。
本発明によれば、防カビ効果の持続性が高い自噴式空間処理剤を提供できる。従って、本発明は自噴式空間処理剤として好適に利用でき、産業上極めて重要である。
10:燻煙装置
11:筐体
12:加熱部
13:燻煙剤
14:本体
15:底部
16:蓋部
17:燻煙剤収容部
20:全量噴射エアゾール容器
21:スプレー缶
22:ノズルキャップ
23:ステム
24:キャップ本体
25:押しボタン
26:噴射ノズル
26a:噴射鋼
27:操作部
28:嵌合部
29:流路
30:ロック機構
31:係止部
32:被係止部
33:肩カバー
40:評価室
41:スライドガラス
42:スライドガラス
43:装置
50:評価室
51:供試用スライドガラス
53:装置

Claims (9)

  1. (A)成分:銀、銀化合物、若しくは銀又は銀化合物の担持体と、
    (B)成分:下記一般式(I)で表される化合物と、を含有する、自噴式空間処理剤。
    −O−(AO)−R ・・・(I)
    (式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、AOはオキシアルキレン基を表す。前記AOは、オキシエチレン基と、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基の少なくとも一方とを含み、xは20〜500の数である。)
  2. 前記AOは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とを含む、請求項1に記載の自噴式空間処理剤。
  3. 前記AOは、オキシエチレン基がオキシプロピレン基で挟まれたトリブロック型である、請求項1又は2に記載の自噴式空間処理剤。
  4. 前記一般式(I)で表される化合物が
    −O−(PO)−(EO)−(PO)−R ・・・(iii)
    である請求項3に記載の自噴式空間処理剤。
    (式(iii)中、fは5〜150、gは5〜250、hは5〜150であり、f+g+h=xである。)
  5. 前記一般式(I)で表される化合物のR及びRが水素原子である請求項1〜4のいずれか一項に記載の自噴式区間処理剤。
  6. (C1)成分:有機発泡剤をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自噴式空間処理剤。
  7. (B)成分/(C1)成分で表される質量比が0.01〜0.5である、請求項6に記載の自噴式空間処理剤。
  8. (C2)成分:噴射剤をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自噴式空間処理剤。
  9. (B)成分/(C2)成分で表される質量比が0.01〜0.25である、請求項8に記載の自噴式空間処理剤。
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