JP5317845B2 - ペースト注出器 - Google Patents
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Description
このペーストの漏れ出しは、ペーストの注出量の定量性を損なう他、必要外の箇所で落滴して周囲を汚す原因にもなり改善が望まれていた。
すなわち、このように溝幅が広く遊びのある構造とすれば、ペーストを注出させるためにプランジャー部材を押した際には、ペーストの内圧の高まりにより、O−リングは該凹溝内を、シリンダ部材の開口端側に向かって移動する。そして、この時、O−リングの外周縁近傍は凹溝の上端よりも高く位置しているので、この部分はシリンダ部材の開口端側に向かって弾性変形して撓る。しかして、ペーストの注出を終え、プランジャー部材の押圧を停止すると、上記外周縁が開口端側に向かって撓っていたO−リングには、撓りを初期の状態に戻そうとする復元力が働き、その結果、プランジャー部材は若干量開口端側に押し戻される。このプランジャー部材の押し戻しの力は、ペースト注出口ではペーストをシリンダ部材の内部に引き込む力となって作用するので、上記構造のペースト注出器では、ペーストの注出停止後において、ペースト注出口からのペーストの漏れ出しが良好に抑制できる。
充填機を用いて内部に空気が入らないようにすることを目的とし、プランジャー部材をシリンダ部材の最先端位置まで押し込んで、内部の空気を排除する。そして、ノズルの先端を容器内のペースト内に取り入れ、プランジャー部材を引き込むことによって、負圧が発生し、シリンダ内にペーストが注入される。このような残留空気が充填室に残ると、空気の存在により、前記したプランジャー部材のO−リングによる押し戻しの力は前記したペースト注出口では、ペーストをシリンダ部材の内部に引き込ませる力の妨げとなり、効果的にノズルの先端部のペーストをシリンダ部材側に戻す作用の妨げとなっていた。
上記注出器は、前記エア抜き通路は前記環状凹溝の底面の後面側から前面側へ向かって、非直線形状で形成されていることが好ましい。
上記注出器は、前記エア抜き通路は前記環状凹溝の底面の後面側から前面側へ向かって、非直線形状で形成されているので、エア抜き通路の流通抵抗が大きくなり、ペーストなどの流通抵抗の大きな流体が、エアが抜けた後の流通路を塞ぎやすくなり、O−リングの変形状態にかかわらず、エア抜き通路を閉塞することができる。
図1は、ペースト注出器20の代表的態様の断面図、図2はペースト注出器20のシリンダ部材1の断面図、図3はペースト注出器20のプランジャー部材4の断面図である。
これらの図を参照にして、ペースト注出器20は、シリンダ部材1とプランジャー部材4とを備えている。シリンダ部材1は、断面が円形でかつ内部が中空であり、先端(前端)にはペーストの注出口11がノズル状に突出している。注出口11には外部からペーストを注入してから目的部へペーストを注出するノズル部材2が配設されている。また、シリンダ部材1の後部には後端開口部3が設けられ、後端開口部3にはプランジャー部材4が挿嵌されている。
ペースト注出器20の材質は、特に制限されるものではなく、金属やガラス等であっても良いが、通常は、プラスチック、例えばポリプロピレン、ナイロン、テフロン(登録商標)等が採用される。先端のノズル部材2については、プラスチックや金属製であっても良い。
ペースト注出器20において、ノズル2の内口径は0.1〜2.0mm、より好適には0.3〜1.5mmの場合において本発明の効果が良好に発揮され易く好ましい。注出口2の長さは1〜30mmが一般的であり、この長さにおいて、図1に示すようにノズル2の先端は途中で屈曲させてあってもよい。なお、こうしたノズル2は、通常はチップ状の別部材として、シリンダ部材の本体部に装着して使用する構造としている。
図2に示される図1のペースト注出器20はこうした構造であり、図2に示されるシリンダ部材1は、注出口11に備えた先端チップとしてのノズル2が外された状態での本体部の断面図である。
このような基本構造のペースト注出器20において、そのシリンダ部材1の逆テーパ面5とプランジャー部材4の先端部との間に形成される充填室8には、ペーストが充填される。そして、プランジャー部材4の先端近傍の外周には、環状凹溝9が形成されている。
環状凹溝9の底面9bには、エア抜き通路としてのエア抜き溝14が形成されている。エア抜き溝14は、底面9bに且つ底面9bの前後方向に向けて形成され、底面9bと後面9cの境界部から前方に形成し、O−リング10が環状凹溝9の後面9cを密接した位置で、本実施形態では前面9aに至らない長さに形成している。エア抜き溝9を形成するための条件は、O−リング10が環状凹溝9の後面9cを密接した位置で、O−リング10の下方を前後に貫いて形成されていることが必要である。
エア抜き溝14の形状は、直線形状であってもよいし、図4に示すように、中間部の2箇所を直角に曲がるように形成したクランク(若しくは階段)形状であってもよい。
エア抜き溝14の具体的な大きさについて、幅が0.1〜0.5mmであり、深さが0.1〜0.5mmであることが好ましく、本実施形態ではクランク形状のエア抜き溝14の一端から他端までを均等に0.2mmの幅に形成している。
O−リング10の厚さ(紐径:プランジャー部材4の前後方向における厚さ)は、環状凹溝9の前後方向の幅よりも小さく、O−リング10は、環状凹溝9を前後方向に位置を変えることができる(図6のA〜Dを参照)。
しかしながら、図5に示すように、O−リング10が環状凹溝9の前後方向における中間位置、すなわちO−リング10が後面9cと離れた状態で、且つエア抜き溝14の先端よりも後側に位置するときは、充填室8の空気はエア抜き溝14を通り、間隙空間18へ流出されるようにしている。また、図6のA又はDに示すように、O−リング10が環状凹溝9の前面9a又は後面9cに密接して位置するときは、原則としてエア抜き溝14による通路内のエアの流れを遮断する。
本発明のペースト注出器20に充填するペーストとしては、歯牙修復材ペーストであるのが好ましい。これら歯牙修復材ペーストの具体例としては、コンポジットレジンと呼ばれる欠損した歯牙の充填修復材料、歯髄保護のための裏層材料、および小窩裂溝封鎖に適した充填修復材料などが挙げられる。これらは、化学重合により硬化するタイプであっても良いし、光重合により硬化するタイプであっても良いが、後者の方がより好ましい。
本実施形態において、ペースト注出器20に充填するペーストは、特に制限されるものではないが、ペースト注出口からのペーストの切れを良くする本発明の効果を顕著に発揮される観点からは、低粘度のものが好ましく、粘度が10〜10,000ポイズ、より好適には50〜5,000ポイズであることが好ましい。
一方、図6のAに示すように、O−リング10が後面9cに密接しているときは、O−リング10は、摺動抵抗によってその位置に留まろうとするため、図6のBに示すように、後面9cから離れて前面9aに密接する。そのO−リング10が後面9cから離れた瞬間には、一旦、エア抜き溝14によって、O−リング10を介してO−リング10の前後が連通し、充填室9と間隙空間18とが連通するが、僅かな時間でO−リング10と前面9aとが密接するので、この連通時における空気の抜けは僅かである。
O−リング10が後方へ移動すると当初密閉状態を維持し続けるが、図5(ペーストは省略してある)に示すように、O−リング10がエア抜き溝14の先端位置よりも後方へ移動すると、エア抜き溝14が充填室8とシリンダ部材1の後方側と連通し、エア抜き溝14を介して、空気がO−リング10の下部を抜けて排出される。しかしながら、O−リング10の後面9cへの移動が迅速であり、未だ空気が残留した状態である。そして、さらにペーストが供給されることによって残留空気が押圧され、さらに内部圧力が大きくなる。O−リング10が後面10cに密接している状態では、エア抜き溝14の後端はO−リング10の背面側まで連通しており、O−リング10の背面側に潜り込んだ圧縮空気がO−リング10の背面を押圧し、空気がO−リング10の背面に圧力を負荷することによって、矢印aに示すようにO−リング10の背面と後面9cとの間に空気圧による隙間が生じ、この隙間を通ってシリンダ部材1の後端側へ排出される。
ペーストを患部へ注出するときは、プランジャー部材4を前方に押圧する。この時におけるO−リング10の位置は、後面9cに接触した状態であるので、O−リング10がエア抜き溝14による空気の流通を阻止し、充填室8の気密性は常時、維持されている。ペーストは、エア抜き溝14に詰まった状態にあるので、密閉性が維持される。
詳しくは、ペーストの注出後において、ペースト注出器20の注出口11を上方に向けて静置したが、注出口11よりのペーストの漏れ出しは認められなかった。
なお、シリンダ部材1内から空気を排除することによって、ペースト注出器20の本来の目的であるペースト注出器20の操作者が、シリンダ部材1の先端方向に所望程度に押すと、その充填室8に充填されるペーストの内圧が高まり、それに応じて、必要量のペーストを注出口11から押し出すための操作性の効果を、より高めることができる。
例えば、上記実施形態では、環状凹溝9のエア抜き溝14は、ペーストがエア抜き溝14の通路をペーストで塞ぎやすくするために、クランク形状に形成したが、例えば、S字形状やジクザク形状、その他の形状によって、エア抜き溝14の流通抵抗を大きくするようにしてもよい。又は、エア抜き溝14の通路の一部の断面積(幅、深さ)を小さくして、流体を詰まらせるようにしてもよい。
また、エア抜き溝14は、環状凹溝9の底部に1箇所形成するようにしたが、2箇所以上に形成してもよい。ただし、エア抜き溝9の溝の大きさを適宜変更する必要がある。
上記実施形態では、ペースト注出器に充填する材料として、歯牙修復材ペーストを例にあげたが、水などの液体や歯科材料以外のその他流体であってもよい。
さらに、本実施形態では、後面9cに空気抜き溝を形成しなかったが、後面9cにO−リングを密閉させることを前提として、後面9cとO−リング10の密接部に形成してもよい。
2 ペースト注出口
4 プランジャー部材
9 環状凹溝
9a 前面
9b 底面
9c 後面
10 O−リング
11 注出口
14 エア抜き溝(エア抜き通路)
20 ペースト注出器
Claims (2)
- 前端において流体の注出口が形成されているシリンダ部材と、
該シリンダ部材の後端開口部から挿嵌され、流体の充填室を形成するプランジャー部材と、
該プランジャー部材の前端近傍の外周に形成された環状凹溝と、
該環状凹溝の底面に装着され、半径方向外周縁がシリンダ部材の内周壁との間を気密にし、前記充填室側と前記後端開口部側への流体の流通を遮断するシール用のO−リングとを備え、
前記環状凹溝の底面の前後に隔てて配設されている該環状凹溝の前面から後面に至る溝幅が前記O−リングの厚さよりも大きく形成されている注出器において、
前記環状凹溝の底面にエア抜き通路を形成し、前記O−リングが前記環状凹溝の後面に密接した位置で、前記環状凹溝が前記O−リングの下方を前後に貫いて形成され、
前記O−リングが前記環状凹溝の後面に当接した位置で、充填室のエア圧力が大きくなると、エア抜き通路を介してO−リングと前記後面との間の密閉状態を解除し、充填室のエアを排出するようにしたことを特徴とする注出器。 - 前記エア抜き通路は前記環状凹溝の底面を後面側から前面側へ向かって、非直線形状で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注出器。
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