JP5316648B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池に関し、特に、燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とが対向する燃料電池に関する。
燃料電池、例えば、固体高分子型燃料電池は、電解質膜を挟んで配置される一対の電極(アノードおよびカソード)にそれぞれ反応ガス(燃料ガスおよび酸化ガス)を供給して電気化学反応を引き起こすことにより、物質の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。
燃料電池は、乾燥すると電解質膜のイオン伝導性が低下し、これにより発電性能が低下する。燃料電池の発電性能低下を抑制するために、反応ガスを加湿器で加湿してから燃料電池に供給する場合がある。
また、加湿器を使用せずとも乾燥による発電性能低下を抑制可能な燃料電池として、燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とが対向する燃料電池(いわゆるカウンターフロー型燃料電池)が知られている(例えば特許文献1参照)。燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とが対向する燃料電池では、カソード側の酸化ガス流れ方向に沿った下流の領域とアノード側の燃料ガス流れ方向に沿った上流の領域とが積層方向から見て対峙しているため、カソード側における電気化学反応によって生成された水(水蒸気)が、カソード側の酸化ガス流れ方向に沿った下流領域からアノード側の燃料ガス流れ方向に沿った上流領域に移動し、さらに水蒸気が燃料ガス流れによってアノード側を移動することにより、燃料電池全体の乾燥が抑制され、ひいては発電性能の低下が抑制される。
特開2008−98181号公報 特開2009−4230号公報 特開2005−251699号公報 国際公開第2006/43394号
しかしながら、上記従来の燃料電池では、アノード側の燃料ガス流れ方向に沿った上流領域に移動した水蒸気が、すぐにカソード側に戻ってしまったり、燃料電池の系外へ排出されてしまったりして、特にアノード側の燃料ガス流れ方向に沿った下流領域(カソード側の酸化ガス流れ方向に沿った上流領域)において乾燥が十分に抑制されず、発電性能の低下が十分に抑制されない可能性がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とが対向する燃料電池において乾燥による発電性能の低下を十分に抑制することを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]燃料電池であって、
電解質膜と前記電解質膜の両側に配置されたアノードおよびカソードとを含む発電体層と、
前記発電体層の前記アノード側に配置され、前記燃料電池の各層を積層する積層方向に略直交する燃料ガス流れ方向に沿って燃料ガスを流動させつつ前記アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路層と、
前記発電体層の前記カソード側に配置され、前記燃料ガス流れ方向に対向する酸化ガス流れ方向に沿って酸化ガスを流動させつつ前記カソードに酸化ガスを供給する酸化ガス流路層と、を備え、
前記燃料電池において発電が行われる領域である発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む上流領域および前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む下流領域と比較して、前記発電領域の残りの領域である中流領域は、前記アノード側と前記カソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きい、燃料電池。
この燃料電池では、燃料ガス流路層における燃料ガス流れ方向と酸化ガス流路層における酸化ガス流れ方向とが対向する関係にあり、また、発電領域の中流領域は発電領域の燃料ガス流れ方向に沿った上流領域および下流領域と比較してアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きい。そのため、この燃料電池では、比較的多くの水蒸気が上流領域においてカソード側からアノード側に移動すると共に、中流領域におけるアノード側からカソード側への水蒸気の移動が抑制され、比較的多くの水蒸気がアノード側の下流領域に達しカソード側に移動する。そのため、この燃料電池では、下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制することができ、乾燥による発電性能の低下を十分に抑制することができる。
[適用例2]適用例1に記載の燃料電池であって、さらに、
前記アノードと前記燃料ガス流路層との間に配置されたアノード側拡散層を備え、
前記燃料ガス流路層は、前記上流領域および前記下流領域におけるガス流動抵抗が前記中流領域におけるガス流動抵抗より大きく構成されている、燃料電池。
この燃料電池では、上流領域および下流領域における燃料ガス流路層のガス流動抵抗が中流領域におけるガス流動抵抗より大きいため、中流領域においては、燃料ガスが燃料ガス流路層を燃料ガス流れ方向に沿って流動するのに対して、上流領域および下流領域においては、少なくとも一部の燃料ガスがアノード側拡散層を燃料ガス流れ方向に沿って流動する。そのため、この燃料電池では、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を、上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができる。
[適用例3]適用例2に記載の燃料電池であって、
前記上流領域および前記下流領域における前記燃料ガス流路層に、ガス流路が閉塞された閉塞部が形成されている、燃料電池。
この燃料電池では、上流領域および下流領域における燃料ガス流路層にガス流路が閉塞された閉塞部が形成されているため、燃料ガス流路層の上流領域および下流領域におけるガス流動抵抗を中流領域におけるガス流動抵抗より大きくすることができる。
[適用例4]適用例1に記載の燃料電池であって、さらに、
前記アノードと前記燃料ガス流路層との間に配置されたアノード側拡散層を備え、
前記アノード側拡散層は、前記中流領域における拡散抵抗が前記上流領域および前記下流領域における拡散抵抗より大きく構成されている、燃料電池。
この燃料電池では、アノード側拡散層の中流領域における拡散抵抗が上流領域および下流領域における拡散抵抗より大きいため、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができる。
[適用例5]適用例4に記載の燃料電池であって、
前記アノード側拡散層は、前記中流領域における緻密度が前記上流領域および前記下流領域における緻密度より大きい、燃料電池。
この燃料電池では、アノード側拡散層の中流領域における緻密度が上流領域および下流領域における緻密度より大きいため、アノード側拡散層の中流領域における拡散抵抗を上流領域および下流領域における拡散抵抗より大きくすることができる。
[適用例6]適用例4に記載の燃料電池であって、
前記アノード側拡散層は、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより厚い、燃料電池。
この燃料電池では、アノード側拡散層の中流領域における厚さが上流領域および下流領域における厚さより厚いため、アノード側拡散層の中流領域における拡散抵抗を上流領域および下流領域における拡散抵抗より大きくすることができる。
[適用例7]適用例1に記載の燃料電池であって、
前記アノードは、前記中流領域における触媒担持カーボン量に対するアイオノマー量の比の値が前記上流領域および前記下流領域における前記比の値より大きい、燃料電池。
この燃料電池では、アノードの中流領域における触媒担持カーボン量に対するアイオノマー量の比の値が上流領域および下流領域における比の値より大きいため、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができる。
[適用例8]適用例1に記載の燃料電池であって、
前記アノードは、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより厚い、燃料電池。
この燃料電池では、アノードの中流領域における厚さが上流領域および下流領域における厚さより厚いため、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができる。
[適用例9]適用例1に記載の燃料電池であって、
前記電解質膜は、前記中流領域におけるイオン交換容量が前記上流領域および前記下流領域におけるイオン交換容量より小さい、燃料電池。
この燃料電池では、電解質膜の中流領域におけるイオン交換容量が上流領域および下流領域におけるイオン交換容量より小さいため、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができる。
[適用例10]適用例1に記載の燃料電池であって、さらに、
前記アノードと前記燃料ガス流路層との間に配置されたアノード側拡散層を備え、
前記アノード側拡散層は、前記中流領域において圧縮されていることにより、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより薄く、
前記アノードは、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより厚い、燃料電池。
この燃料電池では、アノード側拡散層が中流領域において圧縮されているため、中流領域におけるアノード側拡散層の拡散抵抗が上流領域および下流領域におけるアノード側拡散層の拡散抵抗より大きく、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができる。また、この燃料電池では、アノードの中流領域における厚さが上流領域および下流領域における厚さより厚いため、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができる。そのため、この燃料電池では、下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制することができ、乾燥による発電性能の低下を十分に抑制することができる。また、この燃料電池では、中流領域におけるアノードの厚さが上流領域および下流領域におけるアノードの厚さよりも厚くなっていると共に、中流領域におけるアノード側拡散層の厚さが上流領域および下流領域におけるアノード側拡散層の厚さよりも薄くなっているため、燃料電池の電気的特性や排水特性の悪化や製造工程の煩雑化を抑制することができる。
[適用例11]適用例3に記載の燃料電池であって、
前記酸化ガス流路層は、前記燃料電池の前記上流領域に配置されると共に水の滞留を促進する水滞留部を有する、燃料電池。
この燃料電池では、酸化ガス流路層が燃料電池の上流領域に配置されると共に水の滞留を促進する水滞留部を有するため、上流領域においてカソード側で水が不足することが抑制され、カソード側からアノード側への水移動が効率よく行われる。そのため、この燃料電池では、下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制することができ、乾燥による発電性能の低下を十分に抑制することができる。
[適用例12]適用例1に記載の燃料電池であって、
前記燃料ガス流路層は、前記燃料電池の前記上流領域および前記下流領域に、前記燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有する閉塞流路が形成されていると共に、前記燃料電池の前記中流領域に、前記燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有しない直線状の流路が形成されている、燃料電池。
この燃料電池では、燃料電池の上流領域および下流領域では、燃料ガス流路層に燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有する閉塞流路が形成されているため、燃料ガス流路層から発電体層側への燃料ガスの流動が促進される。また、燃料電池の中流領域では、燃料ガス流路層に燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有しない直線状の流路が形成されているため、燃料ガス流路層から発電体層側への燃料ガスの流動が促進されることはない。そのため、この燃料電池では、中流領域におけるアノード側とカソード側との間の水蒸気移動抵抗を上流領域および下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができ、下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制することができ、乾燥による発電性能の低下を十分に抑制することができる。
[適用例13]適用例1ないし適用例12のいずれかに記載の燃料電池であって、
前記中流領域は、前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った中央位置を含む領域である、燃料電池。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、燃料電池、燃料電池システム等の形態で実現することができる。
第1実施例における燃料電池の構成を概略的に示す説明図である。 第1実施例における燃料電池の構成を概略的に示す説明図である。 発電モジュール200の正面図である。 図3におけるA−A断面を示す断面図である。 カソードプレート400の形状を示す説明図である。 アノードプレート300の形状を示す説明図である。 中間プレート500の形状を示す説明図である。 セパレータ600の正面図である。 燃料電池100における反応ガスの流れを示す説明図である。 燃料電池100の断面図である。 燃料電池100の断面図である。 燃料ガス流の位置と対極からの水移動量との関係を調べる実験結果の一例を示す説明図である。 燃料電池の各領域における両極間の水蒸気移動抵抗の一例を示す説明図である。 燃料電池の各領域における両極間の水移動量の計算結果の一例を示す説明図である。 燃料電池の各領域における相対湿度の計算結果の一例を示す説明図である。 燃料電池における水移動の様子を概念的に示す説明図である。 第1実施例の燃料電池の発電性能を調べる実験結果の一例を示す説明図である。 第2実施例における燃料電池の構成を示す説明図である。 第2実施例における燃料電池の構成を示す説明図である。 アノード側拡散層のPTFE含有率と相対有効拡散係数との関係を示す説明図である。 第2実施例の燃料電池の発電性能を調べる実験結果の一例を示す説明図である。 第3実施例における燃料電池の構成を示す説明図である。 第3実施例の燃料電池の製造方法の一部を示す説明図である。 第3実施例の燃料電池の発電性能を調べる実験結果の一例を示す説明図である。 第4実施例の燃料電池を構成するアノード側流路層860の平面構成を示す説明図である。 第4実施例の燃料電池を構成するカソード側流路層870の平面構成を示す説明図である。 第5実施例の燃料電池を構成するアノード側流路層880の平面構成を示す説明図である。 第5実施例の燃料電池の断面構成を示す説明図である。 第5実施例の燃料電池の断面構成を示す説明図である。 第5実施例の燃料電池の断面構成を示す説明図である。 触媒層のI/C値と両極間の水移動量との関係を示す説明図である。 電解質膜のIECの値と両極間の水移動量との関係を示す説明図である。 アノード上流領域およびアノード下流領域の幅を種々変更した場合における燃料電池の性能試験結果の一例を示す説明図である。 変形例における燃料電池100の平面を示す説明図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例:
図1および図2は、第1実施例における燃料電池の構成を概略的に示す説明図である。図1および図2に示すように、本実施例の燃料電池100は、発電モジュール200とセパレータ600とが交互に積層されたスタック構造を有している。なお、図2には、スタック構造をわかりやすく示すために、燃料電池100に含まれる複数の発電モジュール200およびセパレータ600の内の一部のみを抜き出して示している。
図1に示すように、燃料電池100は、酸化ガスが供給される酸化ガス供給マニホールド110と、酸化ガスが排出される酸化ガス排出マニホールド120と、燃料ガスが供給される燃料ガス供給マニホールド130と、燃料ガスが排出される燃料ガス排出マニホールド140と、冷却媒体が供給される冷却媒体供給マニホールド150と、冷却媒体が排出される冷却媒体排出マニホールド160と、を有している。酸化ガスとしては例えば空気が用いられ、燃料ガスとしては例えば水素ガスが用いられる。酸化ガスおよび燃料ガスは反応ガスとも呼ばれる。冷却媒体としては、例えば水、エチレングリコール等の不凍水、空気などが用いられる。
図3は、発電モジュール200の正面図(図2における右側から見た図)である。図4は、図3におけるA−A断面を示す断面図である。図4には、発電モジュール200と共に、発電モジュール200を挟持する一対のセパレータ600も示している。
発電モジュール200は、積層部800とシール部材700とから構成されている。積層部800は、図4に示すように、発電体層810と、アノード側拡散層820と、カソード側拡散層830と、アノード側多孔体流路層840と、カソード側多孔体流路層850と、が積層された構成を有している。積層部800を構成する各層810〜850は、略矩形形状の板状部材である。
発電体層810は、一方の面にカソードとしての触媒層が配置され、他方の面にアノードとしての触媒層が配置されたイオン交換膜である(触媒層の図示は省略)。発電体層810は、膜・電極接合体またはMEAとも呼ばれる。イオン交換膜は、フッ素系樹脂材料あるいは炭化水素系樹脂材料で形成され、湿潤状態において良好なイオン導電性を有する。触媒層は、例えば、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金を含んでいる。
アノード側拡散層820は、発電体層810のアノード側の面に接して配置され、カソード側拡散層830は、発電体層810のカソード側の面に接して配置される。アノード側拡散層820およびカソード側拡散層830は、例えば、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロス、あるいはカーボンペーパまたはカーボンフェルトによって形成される。
アノード側多孔体流路層840は、発電体層810のアノード側にアノード側拡散層820を挟んで配置され、カソード側多孔体流路層850は、発電体層810のカソード側にカソード側拡散層830を挟んで配置されている。カソード側多孔体流路層850は、カソード側に配置されたセパレータ600の表面に接触し、アノード側多孔体流路層840は、アノード側に配置された他のセパレータ600の表面に接触する。アノード側多孔体流路層840およびカソード側多孔体流路層850は、金属多孔体などのガス拡散性および導電性を有する多孔質の材料で形成されている。アノード側多孔体流路層840およびカソード側多孔体流路層850は、上述したアノード側拡散層820およびカソード側拡散層830より空孔率が高く、内部におけるガスの流動抵抗がアノード側拡散層820およびカソード側拡散層830より低く、後述するように反応ガスが流動する流路として機能する。アノード側多孔体流路層840は、本発明における燃料ガス流路層に相当し、カソード側多孔体流路層850は、本発明における酸化ガス流路層に相当する。
シール部材700は、図3に示すように、積層部800の面方向の外周に全周に亘って配置されている。シール部材700は、金型のキャビティに積層部800の外周端部を臨ませて、成形材料を射出成形することによって作製され、これによって積層部800の外周端に隙間なく気密に一体化される。シール部材700は、ガス不透性と弾力性と燃料電池の運転温度域における耐熱性とを有する材料、例えば、ゴムやエラストマーによって形成される。具体的には、シリコン系ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、天然ゴム、フッ素系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、スチレン系エラストマー、フッ素系エラストマーなどが用いられる。
シール部材700は、支持部710と、支持部710の両面に配置され、シールラインを形成するリブ720とを備えている。図3および図4に示すように、支持部710には、図1における各マニホールド110〜160に対応する貫通孔(マニホールド孔)が形成されている。リブ720は、図4に示すように、隣接するセパレータ600に密着してセパレータ600との間をシールし、反応ガス(本実施例では水素および空気)や冷却水の漏洩を防止する。リブ720は、図3に示すように、積層部800の全周を囲むシールラインと、個々のマニホールド孔の全周を囲むシールラインとを形成する。
本実施例のセパレータ600は、アノードプレート300と、カソードプレート400と、中間プレート500と、から構成されている。図5は、カソードプレート400の形状を示す説明図である。図6は、アノードプレート300の形状を示す説明図である。図7は、中間プレート500の形状を示す説明図である。図5〜図7は、各プレート400、300、500を図2の右側から見た様子を示している。また、図8は、セパレータ600の正面図である。図5〜図8において、各プレート300、400、500およびセパレータ600の中央部に一点鎖線で示す領域は、燃料電池100において実際に発電が行われる領域(以下、発電領域DAと呼ぶ)である。本実施例の燃料電池100では、発電領域DAは、積層部800の発電体層810が配置される領域である。発電領域DAは、発電体層810が略矩形形状であるため、同様に略矩形形状である。
なお、以下の説明では、発電領域DAの図5〜図8における上方の辺(酸化ガス供給マニホールド110に近接する辺)を第1の辺S1と呼び、同様に、右方の辺(冷却媒体排出マニホールド160に近接する辺)を第2の辺S2と、下方の辺(酸化ガス排出マニホールド120に近接する辺)を第3の辺S3と、左方の辺(冷却媒体供給マニホールド150に近接する辺)を第4の辺S4と、それぞれ呼ぶ。
カソードプレート400(図5)は、例えばステンレス鋼で形成されている。カソードプレート400は、カソードプレート400を厚さ方向に貫通する貫通孔として、6個のマニホールド形成部422,424,426,428,430,432と、酸化ガス供給スリット440と、酸化ガス排出スリット444と、を有している。マニホールド形成部422〜432は、上述した各種マニホールド110〜160を形成するための貫通部であり、発電領域DAより外側に設けられている。酸化ガス供給スリット440は、略長方形の長孔であり、発電領域DAの内側に、第1の辺S1のほぼ全長に沿って配置されている。酸化ガス排出スリット444は、酸化ガス供給スリット440と同様に略長方形の長孔であり、発電領域DAの内側に、第3の辺S3のほぼ全長に沿って配置されている。
アノードプレート300(図6)は、カソードプレート400と同様に、例えばステンレス鋼で形成されている。アノードプレート300は、アノードプレート300を厚さ方向に貫通する貫通孔として、6個のマニホールド形成部322,324,326,328,330,332と、燃料ガス供給スリット350と、燃料ガス排出スリット354と、を有している。マニホールド形成部322〜332は、上述した各種マニホールド110〜160を形成するための貫通部であり、発電領域DAより外側に設けられている。燃料ガス供給スリット350は、発電領域DAの内側に、第3の辺S3に沿って、上述したカソードプレート400の酸化ガス排出スリット444と積層方向から見た位置が重ならないように配置されている。燃料ガス排出スリット354は、発電領域DAの内側に、第1の辺S1に沿って、上述したカソードプレート400の酸化ガス供給スリット440と積層方向から見た位置が重ならないように配置されている。
中間プレート500(図7)は、上述の各プレート300,400と同様、例えばステンレス鋼で形成されている。中間プレート500は、中間プレート500を厚さ方向に貫通する貫通孔として、反応ガス(酸化ガスまたは燃料ガス)を供給/排出のための4つのマニホールド形成部522,524,526,528と、複数の酸化ガス供給流路形成部542と、複数の酸化ガス排出流路形成部544と、一つの燃料ガス供給流路形成部546と、一つの燃料ガス排出流路形成部548と、複数の冷却媒体流路形成部550と、を有している。マニホールド形成部522〜528は、上述した各種マニホールド110〜140を形成するための貫通部であり、発電領域DAより外側に設けられている。冷却媒体流路形成部550は、発電領域DAを図7における左右方向(第1の辺S1に平行な方向)に横断する長孔形状を有しており、その両端は発電領域DAの外側に至っている。すなわち、冷却媒体流路形成部550は、発電領域DAの第2の辺S2および第4の辺S4を横切るように形成されている。各冷却媒体流路形成部550は、図8における上下方向(第2の辺S2に平行な方向)に沿って、所定間隔をあけて並設されている。
中間プレート500の複数の酸化ガス供給流路形成部542の一端はマニホールド形成部522と連通しており、複数の酸化ガス供給流路形成部542とマニホールド形成部522とは全体として櫛歯形状の貫通孔を形成している。複数の酸化ガス供給流路形成部542の他端は、積層方向から見て上述したカソードプレート400の酸化ガス供給スリット440と重なる位置まで延びている。そのため、セパレータ600を構成した際に、各酸化ガス供給流路形成部542は、酸化ガス供給スリット440と連通する。
中間プレート500の複数の酸化ガス排出流路形成部544の一端はマニホールド形成部524と連通しており、複数の酸化ガス排出流路形成部544とマニホールド形成部524とは全体として櫛歯形状の貫通孔を形成している。複数の酸化ガス排出流路形成部544の他端は、積層方向から見て上述したカソードプレート400の酸化ガス排出スリット444と重なる位置まで延びている。そのため、セパレータ600を構成した際に、各酸化ガス排出流路形成部544は、酸化ガス排出スリット444と連通する。
中間プレート500の燃料ガス供給流路形成部546の一端は、マニホールド形成部526と連通している。燃料ガス供給流路形成部546は、第2の辺S2を横切って、上述した酸化ガス排出流路形成部544と重ならないように第3の辺S3に沿って延び、その他端は発電領域DAの第4の辺S4近くにまで達している。つまり、燃料ガス供給流路形成部546は概ね第3の辺S3の全長に亘って延びている。燃料ガス供給流路形成部546のうち、発電領域DAの内側の部分は、積層方向から見て上述したアノードプレート300の燃料ガス供給スリット350と重なる。そのため、セパレータ600を構成した際に、燃料ガス供給流路形成部546は燃料ガス供給スリット350と連通する。
中間プレート500の燃料ガス排出流路形成部548の一端は、マニホールド形成部528と連通している。燃料ガス排出流路形成部548は、第4の辺S4を横切って、上述した酸化ガス供給流路形成部542と重ならないように第1の辺S1に沿って延び、その他端は発電領域DAの第2の辺S2近くにまで達している。つまり、燃料ガス排出流路形成部548は概ね第1の辺S1の全長に亘って延びている。燃料ガス排出流路形成部548のうち、発電領域DAの内側の部分は、積層方向から見て上述したアノードプレート300の燃料ガス排出スリット354と重なる。そのため、セパレータ600を構成した際に、燃料ガス排出流路形成部548は燃料ガス排出スリット354と連通する。
図8には、上述した各プレート300、400、500を用いて作製されたセパレータ600の正面図が示されている。セパレータ600は、中間プレート500をアノードプレート300およびカソードプレート400で挟持するように中間プレート500の両面にそれぞれ接合し、中間プレート500における冷却媒体供給マニホールド150および冷却媒体排出マニホールド160に対応する領域に露出している部分を打ち抜いて作製される。3枚のプレートの接合方法は、例えば、熱圧着、ろう付け、溶接などが用いられる。この結果、図8においてハッチングで示す貫通部である6つのマニホールド110〜160と、複数の酸化ガス供給流路650と、複数の酸化ガス排出流路660と、燃料ガス供給流路630と、燃料ガス排出流路640と、複数の冷却媒体流路670とを備えたセパレータ600が得られる。
図8に示すように、酸化ガス供給マニホールド110は、発電領域DAの外側に、第1の辺S1に沿って、第1の辺S1の全長に亘って形成される。酸化ガス排出マニホールド120は、発電領域DAの外側に、第3の辺S3に沿って、第3の辺S3の全長に亘って形成される。燃料ガス供給マニホールド130は、第2の辺S2のうちの第3の辺S3に近い位置の一部に沿って形成され、第2の辺S2のうちの残りの部分に沿って冷却媒体排出マニホールド160が形成される。燃料ガス排出マニホールド140は、第4の辺S4のうちの第1の辺S1に近い位置の一部に沿って形成され、第4の辺S4のうちの残りの部分に沿って冷却媒体供給マニホールド150が形成される。
図8に示すように、複数の酸化ガス供給流路650は、上述したカソードプレート400の酸化ガス供給スリット440と、中間プレート500の酸化ガス供給流路形成部542の一つとによって形成される。各酸化ガス供給流路650は、セパレータ600の内部を通る内部流路であり、一端が酸化ガス供給マニホールド110と連通し、他端がセパレータ600のカソードプレート400側の表面(カソード側表面)に至って開口する流路である。この開口は、酸化ガス供給スリット440に対応する。
また、図8に示すように、複数の酸化ガス排出流路660は、上述したカソードプレート400の酸化ガス排出スリット444と、中間プレート500の酸化ガス排出流路形成部544の一つとによって形成される。各酸化ガス排出流路660は、セパレータ600の内部を通る内部流路であり、一端が酸化ガス排出マニホールド120と連通し、他端がセパレータ600のカソード側表面に至って開口する流路である。この開口は、酸化ガス排出スリット444に対応する。
また、図8に示すように、燃料ガス排出流路640は、上述したアノードプレート300の燃料ガス排出スリット354と、中間プレート500の燃料ガス排出流路形成部548とによって形成される。燃料ガス排出流路640は、一端が燃料ガス排出マニホールド140と連通し、他端がセパレータ600のアノードプレート300側の表面(アノード側表面)に至って開口する内部流路である。この開口は、燃料ガス排出スリット354に対応する。
また、図8に示すように、燃料ガス供給流路630は、上述したアノードプレート300の燃料ガス供給スリット350と、中間プレート500の燃料ガス供給流路形成部546とによって形成される。燃料ガス供給流路630は、一端が燃料ガス供給マニホールド130と連通し、他端がセパレータ600のアノード側表面に至って開口する内部流路である。この開口は、燃料ガス供給スリット350に対応する。
また、図8に示すように、複数の冷却媒体流路670は、上述した中間プレート500に形成された冷却媒体流路形成部550によって形成され、一端が冷却媒体供給マニホールド150に、他端が冷却媒体排出マニホールド160に連通している。
燃料電池100の発電中には、発電に伴う発熱による燃料電池100の温度上昇を抑制するために、冷却媒体供給マニホールド150に冷却媒体が供給される。冷却媒体供給マニホールド150に供給された冷却媒体は、冷却媒体供給マニホールド150から冷却媒体流路670に供給される。冷却媒体流路670に供給された冷却媒体は、冷却媒体流路670の一端から他端まで流動し、冷却媒体排出マニホールド160に排出される。
図9は、燃料電池100における反応ガスの流れを示す説明図である。図9(a)には、図8におけるB−B断面を示している。図9(b)には、右側半分が図8におけるD−D断面を示しており、左側半分が図8におけるC−C断面を示している。図9には、燃料電池100における2つの発電モジュール200と2つのセパレータ600とを抜き出して示している。
図9(a)に示すように、酸化ガス供給マニホールド110には酸化ガス(空気)が供給される。酸化ガス供給マニホールド110に供給された酸化ガスは、図9(a)において矢印で示すように、酸化ガス供給流路650を通って、酸化ガス供給流路650のカソード側表面の開口からカソード側多孔体流路層850に進入する。カソード側多孔体流路層850に進入した酸化ガスは、酸化ガス流路を形成するカソード側多孔体流路層850の内部を酸化ガス供給マニホールド110から酸化ガス排出マニホールド120に向かう方向に沿って流動する。この流動方向は、図8において白抜きの矢印で示す方向であり、本発明における酸化ガス流れ方向に相当する。カソード側多孔体流路層850内を流動した酸化ガスは、酸化ガス排出流路660のカソード側表面の開口から酸化ガス排出流路660に流入し、酸化ガス排出マニホールド120へと排出される。カソード側多孔体流路層850を流動する酸化ガスの一部は、カソード側多孔体流路層850に当接しているカソード側拡散層830の全体に亘って拡散し、発電体層810のカソードに供給され、カソード反応(例えば、2H++2e-+(1/2)O2→H2O)に供される。
図9(b)に示すように、燃料ガス供給マニホールド130には燃料ガス(水素ガス)が供給される。燃料ガス供給マニホールド130に供給された燃料ガスは、図9(b)において矢印で示すように、燃料ガス供給流路630を通って、燃料ガス供給流路630のアノード側表面の開口からアノード側多孔体流路層840に進入する。アノード側多孔体流路層840に進入した燃料ガスは、燃料ガス流路を形成するアノード側多孔体流路層840の内部を酸化ガス排出マニホールド120から酸化ガス供給マニホールド110に向かう方向に沿って流動する。この流動方向は、図8において黒塗りの矢印で示す方向であり、本発明における燃料ガス流れ方向に相当する。アノード側多孔体流路層840内を流動した燃料ガスは、燃料ガス排出流路640のアノード側表面の開口から燃料ガス排出流路640に流入し、燃料ガス排出マニホールド140へと排出される。アノード側多孔体流路層840を流動する燃料ガスの一部は、アノード側多孔体流路層840に当接しているアノード側拡散層820の全体に亘って拡散し、発電体層810のアノードに供給され、アノード反応(例えば、H2→2H++2e-)に供される。
このように本実施例の燃料電池100では、発電領域DAにおいて、酸化ガスが面方向(積層方向に略直交する方向)に沿って流動する方向(図8の白抜き矢印で示す方向)と、燃料ガスが面方向に沿って流動する方向(図8の黒塗り矢印で示す方向)とが、対向する方向となっている。すなわち、本実施例の燃料電池100は、カウンターフロー型の燃料電池である。
カウンターフロー型の燃料電池では、カソード側の酸化ガス流れ方向に沿った下流の領域とアノード側の燃料ガス流れ方向に沿った上流の領域とが積層方向に沿って対峙しているため、カソード側における電気化学反応によって生成された水(水蒸気)が、カソード側の酸化ガス流れ方向に沿った下流領域からアノード側の燃料ガス流れ方向に沿った上流領域に移動し、さらに水蒸気が燃料ガス流れにのってアノード側を移動することにより、燃料電池全体の乾燥が抑制され、ひいては発電性能の低下が抑制される。従って、加湿器を用いない無加湿運転を行うことができる。
以下、図10および図11を参照して、燃料電池100のアノード側の構成および燃料ガスの流れについてより詳細に説明する。図10および図11は、燃料電池100の断面図である。図10には、図9(a)のX1部の断面を拡大して示しており、図11には、図9(a)のX2部の断面を拡大して示している。図10および図11に示すように、本実施例の燃料電池100の発電領域DAには、図8に示した燃料ガス流れ方向に沿って並ぶ3つの領域、すなわちアノード上流領域、アノード中流領域、アノード下流領域が設定されている。アノード上流領域は、発電領域DAの内の燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む領域であり、アノード下流領域は、発電領域DAの内の燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む領域であり、アノード中流領域は、発電領域DAの内の残りの領域である。本実施例では、アノード上流領域は、発電領域DAの燃料ガス流れ方向に沿った全幅の4分の1の幅を有し、アノード下流領域は、当該全幅の8分の1の幅を有し、アノード中流領域は、残りの幅(すなわち全幅の8分の5の幅)を有する。従って、アノード中流領域は、発電領域DAの燃料ガス流れ方向に沿った中央位置を含む領域である。なお、本実施例の燃料電池100はカウンターフロー型の燃料電池であるため、アノード上流領域は、発電領域DAの内の酸化ガス流れ方向に沿った下流に位置する領域であり、アノード下流領域は、発電領域DAの内の酸化ガス流れ方向に沿った上流に位置する領域である。
図10および図11に示すように、本実施例の燃料電池100では、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側多孔体流路層840に、ガス流路が閉塞されガス流動抵抗の大きい閉塞部842が形成されている。閉塞部842は、アノード側多孔体流路層840のアノード上流領域およびアノード下流領域の位置に、多孔質材料ではなく緻密質材料を配置することによって設けられる。あるいは、閉塞部842は、アノード側多孔体流路層840のアノード上流領域およびアノード下流領域の位置において、多孔質材料に対して内部流路を閉塞するための加工(圧縮加工等)を行うことによって設けられるとしてもよい。
アノード上流領域ではアノード側多孔体流路層840に閉塞部842が形成されているため、図10において矢印で示すように、燃料ガス供給流路630を介してアノード側に供給された燃料ガスの少なくとも一部は、ガス流動抵抗の大きい閉塞部842ではなく、よりガス流動抵抗の低いアノード側拡散層820内を燃料ガス流れ方向に沿って流動する。燃料ガスがアノード中流領域に達すると、燃料ガスは、アノード側拡散層820から、よりガス流動抵抗の低いアノード側多孔体流路層840内に移動し、燃料ガス流れ方向に沿って流動する。アノード下流領域ではアノード側多孔体流路層840に閉塞部842が形成されているため、図11において矢印で示すように、燃料ガスがアノード下流領域に達すると、少なくとも一部の燃料ガスは、ガス流動抵抗の大きい閉塞部842ではなく、よりガス流動抵抗の低いアノード側拡散層820内を燃料ガス流れ方向に沿って流動する。
このように、本実施例の燃料電池100では、アノード中流領域においては、燃料ガスがアノード側多孔体流路層840内を燃料ガス流れ方向に沿って流動するのに対して、アノード上流領域およびアノード下流領域においては、少なくとも一部の燃料ガスがアノード側拡散層820内を燃料ガス流れ方向に沿って流動する。そのため、アノード中流領域におけるアノード側の燃料ガス流とカソード側の酸化ガス流との間にはアノード側拡散層820が存在するのに対して、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側の燃料ガス流とカソード側の酸化ガス流との間には(燃料ガスがアノード側拡散層820内を流動するため)アノード側拡散層820が存在しない。従って、本実施例の燃料電池100では、各領域におけるアノード側とカソード側との間の(すなわち両極間の)水蒸気移動抵抗を比較すると、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗は、アノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きい。
図12は、燃料ガス流の位置と対極からの水移動量との関係を調べる実験結果の一例を示す説明図である。横軸は、燃料ガス流の位置としての燃料ガス流の内側の拡散層厚さである。ポイントP1は、燃料ガスがアノード側拡散層820内を流動する場合であり、ポイントP2−1,P2−2,P2−3は、燃料ガスがアノード側多孔体流路層840内を流動する場合である。なお、いずれの場合も、酸化ガスはカソード側多孔体流路層850内を流動する。図12からわかるように、燃料ガスがアノード側拡散層820内を流動する場合(ポイントP1)では、燃料ガスがアノード側多孔体流路層840内を流動する場合(ポイントP2−1,P2−2,P2−3)と比較して、対極からの水(水蒸気)移動量が大きい(すなわち、両極間の水蒸気移動抵抗が小さい)。
図13は、燃料電池の各領域における両極間の水蒸気移動抵抗の一例を示す説明図である。図13(a)には、本実施例の燃料電池100の各領域における両極間の水蒸気移動抵抗を示しており、図13(b)には、比較例の燃料電池の各領域における両極間の水蒸気移動抵抗を示している。本実施例の燃料電池100では、上述したように、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗は、アノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きい。一方、比較例の燃料電池は、閉塞部842が設けられておらず、水蒸気移動抵抗はすべての領域において一定の値となっている。
図14は、燃料電池の各領域における両極間の水移動量の計算結果の一例を示す説明図である。図15は、燃料電池の各領域における相対湿度の計算結果の一例を示す説明図である。これらは、高温(例えば105℃)低加湿で運転している場合の計算結果である。また、図16は、燃料電池における水移動の様子を概念的に示す説明図である。図14(a)には、本実施例の燃料電池100の各領域における両極間の水(水蒸気)移動量を示しており、図14(b)には、上述した比較例の燃料電池の各領域における両極間の水移動量を示している。図14の縦軸は、アノード側からカソード側への水移動量を示しており、値が負であることは、水がカソード側からアノード側へ移動することを表している。図15(a)には、本実施例の燃料電池100の各領域における相対湿度を示しており、図15(b)には、上述した比較例の燃料電池の各領域における相対湿度を示している。図16(a)には、本実施例の燃料電池100における水移動の様子を示しており、図16(b)には、上述した比較例の燃料電池における水移動の様子を示している。
図13(b)に示すように、比較例の燃料電池では、両極間の水蒸気移動抵抗が各領域において一定の値である。そのため、図14(b)および図16(b)に示すように、比較例の燃料電池では、カソード側で生成された水(水蒸気)がアノード上流領域においてカソード側からアノード側に移動するが、アノード側に移動した水蒸気は、燃料ガス流れにのってアノード下流領域方向へと移動する際にアノード中流領域においてカソード側に移動してしまい、アノード側のアノード下流領域にはほとんど達しない。また、アノード側のアノード下流領域に達した水蒸気も、カソード側に移動することなく系外へ排出されてしまう。従って、図15(b)および図16(b)に示すように、比較例の燃料電池では、特にアノード下流領域に位置するMEAの部分(図16(b)の領域A)において乾燥が十分に抑制されず、その結果、発電性能の低下が十分に抑制されない。
一方、図13(a)に示すように、本実施例の燃料電池100では、アノード上流領域およびアノード下流領域においてアノード側多孔体流路層840に閉塞部842が形成されているため、アノード上流領域およびアノード下流領域における両極間の水蒸気移動抵抗は、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗より小さい。そのため、図14(a)および図16(a)に示すように、本実施例の燃料電池100では、より多くの水蒸気がアノード上流領域においてカソード側からアノード側に移動し、アノード側に移動した水蒸気は、燃料ガス流れにのってアノード下流領域方向へと移動する際にアノード中流領域においてカソード側に移動するものの、比較的多くの水蒸気がアノード側のアノード下流領域に達する。また、アノード側のアノード下流領域に達した水蒸気の多くが、系外へ排出されるのではなく、カソード側(の酸化ガス流れに沿った上流に位置する領域)に移動する。従って、図15(a)および図16(a)に示すように、本実施例の燃料電池100では、アノード下流領域に位置するMEAの部分(図16(a)の領域A)を含む発電領域DAの全体にわたって、乾燥が十分に抑制され、その結果、発電性能の低下が十分に抑制される。
図17は、第1実施例の燃料電池の発電性能を調べる実験結果の一例を示す説明図である。図17に示すように、本実施例の燃料電池100では、比較例の燃料電池と比較して、特にセル温度が約80度以上の高温運転時においてセル電圧の低下が抑制されると共に、運転温度に関わらずセル抵抗の増大が抑制されている。
以上説明したように、本実施例の燃料電池100では、アノード上流領域およびアノード下流領域においては、アノード側多孔体流路層840に閉塞部842が形成されているため、燃料ガスがアノード側多孔体流路層840ではなくアノード側拡散層820内を流動する。そのため、アノード中流領域におけるアノード側とカソード側との間の(すなわち、両極間の)水蒸気移動抵抗の値は、アノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗の値より大きい。従って、本実施例の燃料電池100では、比較的多くの生成水(水蒸気)がアノード上流領域においてカソード側からアノード側に移動し、アノード中流領域においてアノード側からカソード側への水蒸気の移動は起こるものの、比較的多くの水蒸気がアノード側のアノード下流領域に達しカソード側に移動する。そのため、本実施例の燃料電池100では、アノード下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。
燃料電池の乾燥は、特に高温運転時(例えばセル温度が約80度以上で運転する場合)において発生しやすいが、本実施例の燃料電池100では、高温運転時においてもアノード下流領域における乾燥が有効に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。従って、本実施例の燃料電池100を適用した燃料電池システムは、加湿器を省略できると共に、冷却効率を向上させることができることから冷却系装置を小型化・簡素化することができ、燃料電池システムの小型化、簡素化を図ることができる。
なお、本実施例の燃料電池100では、カソード側の構成は従来の構成と変わらない。また、アノード側においては、アノード側多孔体流路層840に閉塞部842を形成することにより燃料ガスの圧力損失が多少増加するが、発電性能への影響は小さい。特に、燃料ガスを高圧タンクから供給する場合には比較的高圧での燃料ガスの供給が可能であるため、閉塞部842を形成することによる発電性能への影響はほとんどない。
B.第2実施例:
図18および図19は、第2実施例における燃料電池の構成を示す説明図である。図18は、図9(a)のX1部に相当する部分の拡大断面図であり、図19は、図9(a)のX2部に相当する部分の拡大断面図である。第2実施例の燃料電池では、アノード側拡散層820の構造が、各領域間で相違している。具体的には、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820のPTFE含有率をアノード上流領域およびアノード下流領域におけるPTFE含有率より大きくすることにより、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の緻密度を、アノード上流領域およびアノード下流領域における緻密度より大きくしている。そのため、本実施例では、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の拡散抵抗は、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側拡散層820の拡散抵抗より大きい。図20は、アノード側拡散層のPTFE含有率と相対有効拡散係数との関係を示す説明図である。図20に示すように、アノード側拡散層820のPTFE含有率が大きい(すなわち緻密度が大きい)ほど、アノード側拡散層820の拡散係数は小さい(すなわち拡散抵抗は大きい)。なお、緻密度は、「1.0−空隙率」に等しい。
アノード側拡散層820の拡散抵抗が大きいと、アノード側とカソード側との間の(すなわち両極間の)水蒸気移動抵抗も大きい。そのため、第2実施例の燃料電池では、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗は、アノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きい。そのため、第2実施例の燃料電池では、第1実施例と同様に、比較的多くの生成水(水蒸気)がアノード上流領域においてカソード側からアノード側に移動し、アノード中流領域におけるアノード側からカソード側への水蒸気の移動は抑制され、比較的多くの水蒸気がアノード側のアノード下流領域に達しカソード側に移動する。従って、第2実施例の燃料電池では、アノード下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。
図21は、第2実施例の燃料電池の発電性能を調べる実験結果の一例を示す説明図である。図21に示すように、第2実施例の燃料電池では、比較例の燃料電池と比較して、特にセル温度が約80度以上の高温運転時において、セル電圧の低下が抑制されると共にセル抵抗の増大が抑制されている。
なお、第2実施例の燃料電池でも、第1実施例と同様に、カソード側の構成は従来の構成と変わらない。また、アノード側においては、アノード側拡散層820の拡散抵抗を大きくすることにより燃料ガスの圧力損失が多少増加するが、発電性能への影響は小さい。特に、燃料ガスを高圧タンクから供給する場合には比較的高圧での燃料ガスの供給が可能であるため、アノード側拡散層820の拡散抵抗を変化させることによる発電性能への影響はほとんどない。
C.第3実施例:
図22は、第3実施例における燃料電池の構成を示す説明図である。図22には、第3実施例の燃料電池100の積層部800の断面構成を拡大して示している。図22に示すように、第3実施例では、アノード中流領域に配置される部分がプレス圧縮加工されたアノード側拡散層820が採用されており、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の緻密度がアノード上流領域およびアノード下流領域における緻密度より大きく(すなわち、より緻密に)なっている。そのため、第3実施例では、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の拡散抵抗は、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側拡散層820の拡散抵抗より大きくなっている。なお、プレス圧縮加工により、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の厚さTGmは、アノード上流領域におけるアノード側拡散層820の厚さTGuおよびアノード下流領域におけるアノード側拡散層820の厚さTGlよりも薄くなっている。
また、第3実施例では、発電体層810を構成する各層(電解質膜802、アノード側触媒層804、カソード側触媒層806)の内のアノード側触媒層804の厚さTCが、各領域において異なっている。具体的には、アノード中流領域におけるアノード側触媒層804の厚さTCmは、アノード上流領域におけるアノード側触媒層804の厚さTCuおよびアノード下流領域におけるアノード側触媒層804の厚さTClよりも厚くなっている。なお、図22に示すように、燃料電池において、アノード側拡散層820とアノード側触媒層804とをあわせた厚さは、各領域(アノード中流領域、アノード上流領域、アノード下流領域)で略同一となっている。
図23は、第3実施例の燃料電池の製造方法の一部を示す説明図である。図23に示すように、第3実施例では、アノード側拡散層820を形成するための材料に対して、アノード中流領域に配置される部分をつぶすようにプレス圧縮加工が施される。これにより、アノード側拡散層820の表面が、アノード中流領域に配置される部分が他の部分よりへこんだ形状となる。その後、へこみが形成されたアノード側拡散層820の表面上に、アノード側触媒層804が形成される。アノード側触媒層804の形成は、例えば、アノード側拡散層820の表面上に触媒インクをスキージを用いて塗布することにより実現される。このようにアノード側触媒層804を形成することにより、アノード中流領域におけるアノード側触媒層804の厚さTCmは、アノード上流領域におけるアノード側触媒層804の厚さTCuおよびアノード下流領域におけるアノード側触媒層804の厚さTClよりも厚くなると共に、アノード側拡散層820とアノード側触媒層804とをあわせた厚さは、各領域で略同一となる。
以上説明したように、第3実施例の燃料電池では、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の拡散抵抗が、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側拡散層820の拡散抵抗より大きくなっているため、第2実施例と同様に、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗がアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくなる。また、第3実施例の燃料電池では、アノード中流領域におけるアノード側触媒層804の厚さが、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側触媒層804の厚さよりも厚くなっているため、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗がアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗よりさらに大きくなる。そのため、第3実施例の燃料電池では、比較的多くの生成水(水蒸気)がアノード上流領域においてカソード側からアノード側に移動し、アノード中流領域におけるアノード側からカソード側への水蒸気の移動は抑制され、比較的多くの水蒸気がアノード側のアノード下流領域に達しカソード側に移動するため、アノード下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。
図24は、第3実施例の燃料電池の発電性能を調べる実験結果の一例を示す説明図である。図24には、アノード側拡散層820の厚さが各領域を通じて同一であると共にアノード側触媒層804の厚さも各領域を通じて同一である比較例の燃料電池と、第3実施例の燃料電池とを対象にして、冷却水温度と総出力との関係を調べた実験結果を示している。図24に示すように、第3実施例の燃料電池では、比較例の燃料電池と比較して、特に高温運転時において出力低下が抑制されている。
また、燃料電池において、単に、アノード中流領域におけるアノード側触媒層804の厚さを、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側触媒層804の厚さよりも厚くすると、アノード上流領域およびアノード下流領域において、アノード側触媒層804とアノード側拡散層820との接触性が悪化し、燃料電池の電気的特性や排水特性が悪化する恐れがある上に、アノード側触媒層804の厚さを領域によって塗り分ける必要があるために製造工程が煩雑となる。第3実施例の燃料電池では、アノード中流領域におけるアノード側触媒層804の厚さが、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側触媒層804の厚さよりも厚くなっていると共に、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の厚さが、アノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側拡散層820の厚さよりも薄くなっているため、燃料電池の電気的特性や排水特性の悪化や製造工程の煩雑化を抑制しつつ、アノード下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。
D.第4実施例:
図25は、第4実施例の燃料電池を構成するアノード側流路層860の平面構成を示す説明図である。第4実施例におけるアノード側流路層860は、第1実施例のアノード側多孔体流路層840と同様に、燃料ガス流路層として機能する。すなわち、第4実施例の燃料電池においても、燃料ガス供給マニホールド130に供給された燃料ガスは、図25において矢印で示すように、アノード側流路層860の内部を燃料ガス排出マニホールド140に向かう方向に沿って流動し、燃料ガス排出マニホールド140へと排出される。アノード側流路層860を流動する燃料ガスは、アノード側流路層860に当接しているアノード側拡散層820の全体に亘って拡散し、発電体層810のアノードに供給され、アノード反応に供される。
また、アノード側流路層860は、第1実施例のアノード側多孔体流路層840と同様に、アノード上流領域およびアノード下流領域に、ガス流路が閉塞されガス流動抵抗の大きい閉塞部(不図示)を有している。そのため、第4実施例の燃料電池では、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗が、アノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくなっている。
図26は、第4実施例の燃料電池を構成するカソード側流路層870の平面構成を示す説明図である。第4実施例におけるカソード側流路層870は、第1実施例のカソード側多孔体流路層850と同様に、酸化ガス流路層として機能する。すなわち、第4実施例の燃料電池においても、酸化ガス供給マニホールド110に供給された酸化ガスは、図26において矢印で示すように、カソード側流路層870の内部を酸化ガス排出マニホールド120に向かう方向に沿って流動し、酸化ガス排出マニホールド120へと排出される。カソード側流路層870を流動する酸化ガスは、カソード側流路層870に当接しているカソード側拡散層830の全体に亘って拡散し、発電体層810のカソードに供給され、カソード反応に供される。
図26に示すように、カソード側流路層870は、複数の突起が形成されたエンボス部EPと、酸化ガス流れ方向に略平行な複数のリブRによって複数の溝が形成された溝部GPと、を有している。カソード側流路層870において、エンボス部EPは、アノード上流領域(すなわちカソード下流領域)とアノード下流領域(すなわちカソード上流領域)とに配置されており、溝部GPは、アノード中流領域(すなわちカソード中流領域)に配置されている。エンボス部EPは、複数の突起を有することにより、突起の無い部分が網目状に連続した空間を有しており、酸化ガスを面方向に均一に分配する機能を奏する。溝部GPは、酸化ガスを、酸化ガス供給マニホールド110から酸化ガス排出マニホールド120に向かう方向に効率的に流動させる機能を奏する。
なお、アノード側流路層860およびカソード側流路層870は、例えば、ステンレスやチタンの平板をプレス加工することにより製造される。あるいは、アノード側流路層860およびカソード側流路層870は、カーボンといった他の導電性材料を用いて製造されるとしてもよい。
また、図25および図26に示すように、第4実施例の燃料電池は、外形や各マニホールド(酸化ガス供給マニホールド110、酸化ガス排出マニホールド120、燃料ガス供給マニホールド130、燃料ガス排出マニホールド140、冷却媒体供給マニホールド150、冷却媒体排出マニホールド160)の位置が第1実施例とは若干異なっているが、本実施例で記載した事項を除き、その構成や作用効果は第1実施例の燃料電池と同様である。
第4実施例のカソード側流路層870では、アノード上流領域側(カソード下流領域側)にエンボス部EPが配置されており、当該エンボス部EPにおいて酸化ガスの流速が低下するため、当該エンボス部EPに液水が滞留しやすくなっている。そのため、第4実施例の燃料電池では、アノード上流領域(カソード下流領域)において、カソード側で水が不足することが抑制され、カソード側からアノード側への水移動が効率よく行われる。従って、第4実施例の燃料電池では、アノード上流領域においてカソード側からアノード側に水が効率よく移動し、アノード中流領域におけるアノード側からカソード側への水の移動は抑制され、比較的多くの水がアノード側のアノード下流領域に達しカソード側に移動するため、アノード下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。
E.第5実施例:
図27は、第5実施例の燃料電池を構成するアノード側流路層880の平面構成を示す説明図である。第5実施例におけるアノード側流路層880は、第1実施例のアノード側多孔体流路層840と同様に、燃料ガス流路層として機能する。すなわち、第5実施例の燃料電池においても、燃料ガス供給マニホールド130に供給された燃料ガスは、アノード側流路層880の内部を燃料ガス排出マニホールド140に向かう方向に沿って流動し、燃料ガス排出マニホールド140へと排出される。アノード側流路層880を流動する燃料ガスは、アノード側流路層880に当接しているアノード側拡散層820の全体に亘って拡散し、発電体層810のアノードに供給され、アノード反応に供される。
図27に示すように、アノード側流路層880は、複数の突起が形成されたエンボス部EPと、燃料ガス流れ方向に略平行な複数のリブRによって複数の溝が形成された溝部GPと、を有している。アノード側流路層880において、エンボス部EPは、アノード上流領域とアノード下流領域とに配置されており、溝部GPは、アノード中流領域に配置されている。エンボス部EPは、複数の突起を有することにより、突起の無い部分が網目状に連続した空間を有しており、燃料ガスを面方向に均一に分配する機能を奏する。溝部GPは、燃料ガスを、燃料ガス供給マニホールド130から燃料ガス排出マニホールド140に向かう方向に効率的に流動させる機能を奏する。
図28ないし図30は、第5実施例の燃料電池の断面構成を示す説明図である。図28には図27のA1−A1の位置における燃料電池の断面を示しており、図29には図27のB1−B1の位置における断面を示しており、図30には図27のC1−C1の位置における断面を示している。図28ないし図30に示すように、第5実施例の燃料電池では、カソード側流路層852も、アノード側流路層880と同様に、エンボス部EPと溝部GPとを有する構成となっている。また、あるセルのアノード側流路層880と隣接セルのカソード側流路層852との間には、冷却媒体流路890が形成されている。
なお、アノード側流路層880およびカソード側流路層852は、例えば、ステンレスやチタンの平板をプレス加工することにより製造される。あるいは、アノード側流路層880およびカソード側流路層852は、カーボンといった他の導電性材料を用いて製造されるとしてもよい。また、カソード側流路層852は、必ずしもエンボス部EPと溝部GPとを有する構成である必要はない。
図27に示すように、アノード側流路層880の溝部GPにおいて、アノード上流領域のエンボス部EPに近い部分(以下、「アノード上流側溝部」と呼ぶ)882と、アノード下流領域のエンボス部EPに近い部分(以下、「アノード下流側溝部」と呼ぶ)886とは、リブRによって形成された溝状の流路が燃料ガス流れ方向の途中で閉塞された構成となっている。すなわち、アノード上流側溝部882およびアノード下流側溝部886に形成された流路は、燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有する閉塞流路となっている。一方、アノード側流路層880の溝部GPのその他の部分(すなわち、アノード中流領域に相当する部分、以下、「アノード中流溝部」と呼ぶ)884は、リブRによって形成された溝状の流路が燃料ガス流れ方向に沿って閉塞されていない構成となっている。すなわち、アノード中流溝部884に形成された流路は、燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有しない直線状の流路となっている。
図27に示すように、アノード中流溝部884は、アノード中流溝部884の各溝流路がアノード上流側溝部882のリブRの延長線上に配置されるように構成されている。また、アノード中流溝部884の各リブRにおけるアノード上流側溝部882に近い側(上流側)の先端部分は、各リブRの中央部と比較して径(幅)が細くなっている。
同様に、アノード下流側溝部886は、アノード下流側溝部886の各溝流路がアノード中流溝部884のリブRの延長線上に配置されるように構成されている。また、アノード中流溝部884の各リブRにおけるアノード下流側溝部886に近い側(下流側)の先端部分は、各リブRの中央部と比較して径(幅)が細くなっている。
なお、図27に示すように、第5実施例の燃料電池は、外形や各マニホールドの位置が第1実施例とは若干異なっているが、本実施例で記載した事項を除き、その構成や作用効果は第1実施例の燃料電池と同様である。
第5実施例のアノード側流路層880では、溝部GPのアノード上流側溝部882およびアノード下流側溝部886において、リブRによって形成された溝状の流路が燃料ガス流れ方向の途中で閉塞された構成となっているため、アノード上流領域およびアノード下流領域において、アノード側流路層880からアノード側拡散層820への燃料ガスの流動が促進される。一方、溝部GPのアノード中流溝部884において、リブRによって形成された溝状の流路が燃料ガス流れ方向の途中で閉塞されていない構成となっているため、アノード中流領域においては、アノード側流路層880からアノード側拡散層820への燃料ガスの流動が促進されることはない。そのため、第5実施例の燃料電池では、第1実施例と同様に、アノード中流領域におけるアノード側からカソード側への水蒸気移動抵抗がアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくなる。そのため、第5実施例の燃料電池では、比較的多くの生成水(水蒸気)がアノード上流領域においてカソード側からアノード側に移動し、アノード中流領域におけるアノード側からカソード側への水蒸気の移動は抑制され、比較的多くの水蒸気がアノード側のアノード下流領域に達しカソード側に移動するため、アノード下流領域を含む発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。
また、第5実施例の燃料電池では、溝部GPの構成が、アノード上流側溝部882と、アノード中流溝部884と、アノード下流側溝部886との3つに分割されているため、アノード上流領域およびアノード下流領域においてアノード側流路層880からアノード側拡散層820への燃料ガスの流動の流速が増加され、上述した発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され発電性能の低下が十分に抑制されるという効果が促進される。また、アノード上流領域およびアノード下流領域においてアノード側流路層880からアノード側拡散層820への燃料ガスの流動の流速が増加されるため、アノード上流側溝部882およびアノード下流側溝部886の閉塞部(行き止まり部)における水の滞留を抑制することができる。
また、第5実施例の燃料電池では、アノード中流溝部884の各溝流路はアノード上流側溝部882のリブRの延長線上に配置され、アノード中流溝部884の各リブRにおけるアノード上流側溝部882に近い側の先端部分は径が細くなっているため、アノード中流溝部884の各溝状流路に流れる燃料ガスの均等化が促進され、面方向における発電の均等化が促進される。
また、第5実施例の燃料電池では、アノード下流側溝部886の各溝流路はアノード中流溝部884のリブRの延長線上に配置され、アノード中流溝部884の各リブRにおけるアノード下流側溝部886に近い側の先端部分は径が細くなっているため、アノード中流溝部884のすべての溝状流路からアノード下流側溝部886の各溝状流路の供給側に燃料ガスが供給されやすくなり、面方向における発電の均等化が促進される。
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
F1.変形例1:
上記各実施例では、アノード上流領域およびアノード下流領域においてアノード側多孔体流路層840に閉塞部842を形成したり、アノード中流領域においてアノード側拡散層820の拡散抵抗を大きくしたりして、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくしていたが、他の構成によってアノード中流領域における水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくしても、上記各実施例と同様に、燃料電池の発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制し発電性能の低下を十分に抑制することができるという効果を得ることができる。例えば、アノード中流領域におけるアノード(アノード触媒層)の触媒担持カーボン量に対するアイオノマー量の比(以下、I/C値と呼ぶ)がアノード上流領域およびアノード下流領域におけるI/C値より大きくなるように各領域における触媒担持カーボン量やアイオノマー量が設定された構成を採用してもよい。図31は、触媒層のI/C値と両極間の水移動量との関係を示す説明図である。図31に示すように、I/C値が大きいほど両極間の水(水蒸気)移動量は少ない(すなわち、両極間の水蒸気移動抵抗は大きい)。これは、I/C値が大きいほど、触媒層における空隙率が小さくなり(すなわち、触媒層内の表面積が小さくなり)、水分蒸発量が少なくなるからである。従って、アノード中流領域におけるI/C値をアノード上流領域およびアノード下流領域におけるI/C値より大きくすれば、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができ、その結果、燃料電池の発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制し発電性能の低下を十分に抑制することができるという効果を得ることができる。
また、アノード中流領域における電解質膜のイオン交換容量(IEC)の値がアノード上流領域およびアノード下流領域におけるIECの値より小さい電解質膜を用いた構成を採用してもよい。図32は、電解質膜のIECの値と両極間の水移動量との関係を示す説明図である。図32に示すように、IECの値が小さいほど両極間の水(水蒸気)移動量は少ない(すなわち、両極間の水蒸気移動抵抗は大きい)。従って、アノード中流領域における電解質膜のIECの値をアノード上流領域およびアノード下流領域におけるIECの値より大きくすれば、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができ、燃料電池の発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制し発電性能の低下を十分に抑制することができるという効果を得ることができる。
また、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の厚さをアノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側拡散層820の厚さより厚くした構成を採用してもよい。アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の厚さをアノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノード側拡散層820の厚さより厚くすれば、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができ、燃料電池の発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制し発電性能の低下を十分に抑制することができるという効果を得ることができる。
また、アノード中流領域におけるアノード(アノード触媒層)の厚さをアノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノードの厚さより厚くした構成を採用してもよい。アノード中流領域におけるアノードの厚さをアノード上流領域およびアノード下流領域におけるアノードの厚さより厚くすれば、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができ、燃料電池の発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制し発電性能の低下を十分に抑制することができるという効果を得ることができる。
F2.変形例2:
上記第2実施例では、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820のPTFE含有率をアノード上流領域およびアノード下流領域におけるPTFE含有率より大きくすることにより、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の緻密度をアノード上流領域およびアノード下流領域における緻密度より大きくしているが、アノード中流領域においてアノード側拡散層820をプレス圧縮加工したり基材繊維密度のより大きいアノード側拡散層820を用いたりすることにより、アノード中流領域におけるアノード側拡散層820の緻密度をアノード上流領域およびアノード下流領域における値より大きくするとしてもよい。このようにしても、第2実施例と同様に、アノード中流領域における水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることができ、燃料電池の発電領域の全体にわたって乾燥を十分に抑制し発電性能の低下を十分に抑制することができるという効果を得ることができる。
F3.変形例3:
上記各実施例では、アノード上流領域は、発電領域DAの燃料ガス流れ方向に沿った全幅の4分の1の幅を有し、アノード下流領域は、当該全幅の8分の1の幅を有し、アノード中流領域は、残りの幅(すなわち全幅の8分の5の幅)を有するとしているが、各領域の幅はこれに限られない。アノード上流領域は、発電領域DAの内の燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む領域であればよく、アノード下流領域は、発電領域DAの内の燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む領域であればよい。図33は、アノード上流領域およびアノード下流領域の幅を種々変更した場合における燃料電池の性能試験結果の一例を示す説明図である。図33に示す結果に基づけば、アノード上流領域は、発電領域DAの燃料ガス流れ方向に沿った全幅の3分の1の幅以下であることが好ましく、アノード下流領域は、発電領域DAの燃料ガス流れ方向に沿った全幅の6分の1の幅以下であることが好ましい。また、アノード中流領域は、発電領域DAの燃料ガス流れ方向に沿った中央位置を含む領域であることが好ましい。
F4.変形例4:
上記各実施例において、燃料電池100はカウンターフロー型であり、図8に示すように、燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とが逆向き(2つの方向のなす角が180度)であるとしているが、燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向との関係は対向する関係であればよく、完全に逆向きの関係である必要はない。燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とが対向する関係であるとは、燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とが同一でない(すなわち、平行ではない)ことを意味する。燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向との関係は、発電領域DAの燃料ガス流れ方向に沿った上流側半分の領域と酸化ガス流れ方向に沿った下流側半分の領域との積層方向から見た重なりが、各領域の過半を超える関係であることが好ましい。燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とのなす角は、180度±60度の範囲にあることが好ましく、180度±30度の範囲にあることがさらに好ましい。
図34は、変形例における燃料電池100の平面を示す説明図である。図34に示した燃料電池100では、燃料ガス流れ方向と酸化ガス流れ方向とがなす角は約130度となっている。このような燃料電池100であっても、アノード側のアノード上流領域の多くとカソード側のカソード下流領域の多くとが積層方向に対峙するため、アノード中流領域における両極間の水蒸気移動抵抗をアノード上流領域およびアノード下流領域における水蒸気移動抵抗より大きくすることにより、燃料電池の発電領域の全体にわたって乾燥が十分に抑制され、発電性能の低下が十分に抑制される。
F5.変形例5:
上記各実施例では、積層部800の各部材やセパレータ600の各部材の材料を特定しているが、これらの材料に限定されるものではなく、適正な種々の材料を用いることができる。例えば、アノード側多孔体流路層840およびカソード側多孔体流路層850を、金属多孔体を用いて形成するとしているが、例えばカーボン多孔体といった他の材料を用いて形成することも可能である。また、セパレータ600は、金属を用いて形成するとしているが、例えばカーボンといった他の材料を用いることも可能である。
また、上記各実施例では、セパレータ600は3層の金属板を積層した構成であり、その発電領域DAに対応する部分が平坦な形状であるとしているが、これに代えて他の任意の形状とすることが可能である。具体的には、発電領域に対応する表面に溝状の反応ガス流路が形成されたセパレータ(例えば、カーボンで作製される)を採用してもよいし、発電領域に対応する部分に反応ガス流路として機能する波板形状を有するセパレータ(例えば、金属板をプレス成形して作製される)を採用してもよい。
また、上記各実施例では、積層部800は、発電体層810、アノード側拡散層820およびカソード側拡散層830、アノード側多孔体流路層840およびカソード側多孔体流路層850から構成されているが、これに限られない。例えば、反応ガス流路が形成されたセパレータや、反応ガス流路として機能する波板形状を有するセパレータを用いる場合には、アノード側およびカソード側多孔体は無くてもよい。
100…燃料電池
110…酸化ガス供給マニホールド
120…酸化ガス排出マニホールド
130…燃料ガス供給マニホールド
140…燃料ガス排出マニホールド
150…冷却媒体供給マニホールド
160…冷却媒体排出マニホールド
200…発電モジュール
300…アノードプレート
322…マニホールド形成部
350…燃料ガス供給スリット
354…燃料ガス排出スリット
400…カソードプレート
422…マニホールド形成部
440…酸化ガス供給スリット
444…酸化ガス排出スリット
500…中間プレート
522…マニホールド形成部
524…マニホールド形成部
526…マニホールド形成部
528…マニホールド形成部
542…酸化ガス供給流路形成部
544…酸化ガス排出流路形成部
546…燃料ガス供給流路形成部
548…燃料ガス排出流路形成部
550…冷却媒体流路形成部
600…セパレータ
630…燃料ガス供給流路
640…燃料ガス排出流路
650…酸化ガス供給流路
660…酸化ガス排出流路
670…冷却媒体流路
700…シール部材
710…支持部
720…リブ
800…積層部
802…電解質膜
804…アノード側触媒層
806…カソード側触媒層
810…発電体層
820…アノード側拡散層
830…カソード側拡散層
840…アノード側多孔体流路層
842…閉塞部
850…カソード側多孔体流路層
852…カソード側流路層
860…アノード側流路層
870…カソード側流路層
880…アノード側流路層
890…冷却媒体流路

Claims (12)

  1. 燃料電池であって、
    電解質膜と前記電解質膜の両側に配置されたアノードおよびカソードとを含む発電体層と、
    前記発電体層の前記アノード側に配置され、前記燃料電池の各層を積層する積層方向に略直交する燃料ガス流れ方向に沿って燃料ガスを流動させつつ前記アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路層と、
    前記発電体層の前記カソード側に配置され、前記燃料ガス流れ方向に対向する酸化ガス流れ方向に沿って酸化ガスを流動させつつ前記カソードに酸化ガスを供給する酸化ガス流路層と、
    前記アノードと前記燃料ガス流路層との間に配置されたアノード側拡散層と、を備え、
    前記燃料電池において発電が行われる領域である発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む上流領域および前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む下流領域と比較して、前記発電領域の残りの領域である中流領域は、前記アノード側と前記カソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きく、
    前記燃料ガス流路層は、前記上流領域および前記下流領域におけるガス流動抵抗が前記中流領域におけるガス流動抵抗より大きく構成されている、燃料電池。
  2. 請求項に記載の燃料電池であって、
    前記上流領域および前記下流領域における前記燃料ガス流路層に、ガス流路が閉塞された閉塞部が形成されている、燃料電池。
  3. 燃料電池であって、
    電解質膜と前記電解質膜の両側に配置されたアノードおよびカソードとを含む発電体層と、
    前記発電体層の前記アノード側に配置され、前記燃料電池の各層を積層する積層方向に略直交する燃料ガス流れ方向に沿って燃料ガスを流動させつつ前記アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路層と、
    前記発電体層の前記カソード側に配置され、前記燃料ガス流れ方向に対向する酸化ガス流れ方向に沿って酸化ガスを流動させつつ前記カソードに酸化ガスを供給する酸化ガス流路層と、
    前記アノードと前記燃料ガス流路層との間に配置されたアノード側拡散層と、を備え、
    前記燃料電池において発電が行われる領域である発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む上流領域および前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む下流領域と比較して、前記発電領域の残りの領域である中流領域は、前記アノード側と前記カソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きく、
    前記アノード側拡散層は、前記中流領域における拡散抵抗が前記上流領域および前記下流領域における拡散抵抗より大きく構成されている、燃料電池。
  4. 請求項に記載の燃料電池であって、
    前記アノード側拡散層は、前記中流領域における緻密度が前記上流領域および前記下流領域における緻密度より大きい、燃料電池。
  5. 請求項に記載の燃料電池であって、
    前記アノード側拡散層は、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより厚い、燃料電池。
  6. 燃料電池であって、
    電解質膜と前記電解質膜の両側に配置されたアノードおよびカソードとを含む発電体層と、
    前記発電体層の前記アノード側に配置され、前記燃料電池の各層を積層する積層方向に略直交する燃料ガス流れ方向に沿って燃料ガスを流動させつつ前記アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路層と、
    前記発電体層の前記カソード側に配置され、前記燃料ガス流れ方向に対向する酸化ガス流れ方向に沿って酸化ガスを流動させつつ前記カソードに酸化ガスを供給する酸化ガス流路層と、を備え、
    前記燃料電池において発電が行われる領域である発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む上流領域および前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む下流領域と比較して、前記発電領域の残りの領域である中流領域は、前記アノード側と前記カソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きく、
    前記アノードは、前記中流領域における触媒担持カーボン量に対するアイオノマー量の比の値が前記上流領域および前記下流領域における前記比の値より大きい、燃料電池。
  7. 燃料電池であって、
    電解質膜と前記電解質膜の両側に配置されたアノードおよびカソードとを含む発電体層と、
    前記発電体層の前記アノード側に配置され、前記燃料電池の各層を積層する積層方向に略直交する燃料ガス流れ方向に沿って燃料ガスを流動させつつ前記アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路層と、
    前記発電体層の前記カソード側に配置され、前記燃料ガス流れ方向に対向する酸化ガス流れ方向に沿って酸化ガスを流動させつつ前記カソードに酸化ガスを供給する酸化ガス流路層と、を備え、
    前記燃料電池において発電が行われる領域である発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む上流領域および前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む下流領域と比較して、前記発電領域の残りの領域である中流領域は、前記アノード側と前記カソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きく、
    前記アノードは、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより厚い、燃料電池。
  8. 請求項1に記載の燃料電池であって、
    前記電解質膜は、前記中流領域におけるイオン交換容量が前記上流領域および前記下流領域におけるイオン交換容量より小さい、燃料電池。
  9. 燃料電池であって、
    電解質膜と前記電解質膜の両側に配置されたアノードおよびカソードとを含む発電体層と、
    前記発電体層の前記アノード側に配置され、前記燃料電池の各層を積層する積層方向に略直交する燃料ガス流れ方向に沿って燃料ガスを流動させつつ前記アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路層と、
    前記発電体層の前記カソード側に配置され、前記燃料ガス流れ方向に対向する酸化ガス流れ方向に沿って酸化ガスを流動させつつ前記カソードに酸化ガスを供給する酸化ガス流路層と、
    前記アノードと前記燃料ガス流路層との間に配置されたアノード側拡散層と、を備え、
    前記燃料電池において発電が行われる領域である発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む上流領域および前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む下流領域と比較して、前記発電領域の残りの領域である中流領域は、前記アノード側と前記カソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きく、
    前記アノード側拡散層は、前記中流領域において圧縮されていることにより、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより薄く、
    前記アノードは、前記中流領域における厚さが前記上流領域および前記下流領域における厚さより厚い、燃料電池。
  10. 請求項に記載の燃料電池であって、
    前記酸化ガス流路層は、前記燃料電池の前記上流領域に配置されると共に水の滞留を促進する水滞留部を有する、燃料電池。
  11. 燃料電池であって、
    電解質膜と前記電解質膜の両側に配置されたアノードおよびカソードとを含む発電体層と、
    前記発電体層の前記アノード側に配置され、前記燃料電池の各層を積層する積層方向に略直交する燃料ガス流れ方向に沿って燃料ガスを流動させつつ前記アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路層と、
    前記発電体層の前記カソード側に配置され、前記燃料ガス流れ方向に対向する酸化ガス流れ方向に沿って酸化ガスを流動させつつ前記カソードに酸化ガスを供給する酸化ガス流路層と、を備え、
    前記燃料電池において発電が行われる領域である発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最上流位置を含む上流領域および前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った最下流位置を含む下流領域と比較して、前記発電領域の残りの領域である中流領域は、前記アノード側と前記カソード側との間の水蒸気移動抵抗が大きく、
    前記燃料ガス流路層は、前記燃料電池の前記上流領域および前記下流領域に、前記燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有する閉塞流路が形成されていると共に、前記燃料電池の前記中流領域に、前記燃料ガス流れ方向に沿った燃料ガスの流れを閉塞する部分を有しない直線状の流路が形成されている、燃料電池。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記中流領域は、前記発電領域の前記燃料ガス流れ方向に沿った中央位置を含む領域である、燃料電池。
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