JP5314643B2 - 三相交流誘導モーター駆動器の制御システム - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の弱磁制御法則(ベクトル制御による周波数変換器の制御器パラメータ自動調整法、中華民国特許第84113378号)は、回転スピードのデータに基づいてd-軸回転子のマグネチック・フラックス或いは電流値に反比例する命令を生じさせるものであるが、この周知の技術下では、駆動器の出力電圧が最大まで達しているか、及びモーターの定格電流の制限条件を考慮に入れておらず、それゆえ、最大直流リンク電圧の利用率及び最大出力/トルクまで有効に達成できることを保証できない。
又、ほかにも周知の弱磁制御法則(誘導電動の制御方法、中華民国特許第94120978号)があり、反起電力の大小を計算してモーターの回転スピードが定格を超えているかどうかを判断し、且つこれによって弱磁制御を行うものであるが、しかし、この周知の技術下で、弱磁制御を行おうとすると、複雑な数学式で運算しなければならず、且つこの周知の技術下で運算された数学式はモーター・パラメータ変化の影響を受け易いので、周知の弱磁制御法則(誘導電動の制御方法、中華民国特許第94120978号)によっては、最大の出力/トルクを達成できない。尚、従来の技術では、何れも三相交流誘導モーターの最大スリップスピード下において最大脱出トルクの制限条件を考慮されていない、それゆえ、弱磁区間下において更に高速の第二弱磁区へ入る場合の判断及び操作についても考慮されていない。
これによって分かるように、上述従来の方式には、尚幾多の欠点があり、よい設計とは言いがたく、改良がまたれていた。
本発明者は、上述従来方式に派生する各項の欠点に鑑み、極力新規改善を試み、且つ長年苦心研鑽の末、ついに本件三相交流誘導モーター駆動器の制御システム及びその弱磁制御方法の研究開発に成功した。
本発明のもう一つの目的は、三相交流誘導モーター駆動器の制御システムを提供し、異なる弱磁区間の異なる回転スピードの運転状況下で応用でき、且つ最大出力/トルクを提供することによって、従来技術に存在する技術課題及び潜在的欠点を解決することにある。
本発明は又、空間ベクトル変調法則を利用することによって(有効電圧ベクトルの有効切り替え時間TA,TB)、最大直流リンク電圧のキャパシティを利用できたかどうかを分析し、TA + TB = TZの時、TZはパルスワイズ・モデュレーション制御の切り替え周期(最大直流リンク電圧のキャパシティ利用率の参考命令を得るために使われる)に等しく、且つ現在直流リンク電圧のキャパシティ利用率が最大である事を意味する。尚、モーターがこの状況下で引き続き回転スピードを上げる場合、持続的にTA + TB = TZの条件を満たすほか、更に弱磁制御の技術によって初めて達成できる。
尚、TA + TB = TZの時の電圧ベクトル値が最大線形区の電圧ベクトル値より大きい時は、周波数変換器の出力電圧空間ベクトル軌跡が最大極限の六角形において操作されることを意味する、従って固定子電流値が定格電流の制限下にある場合、三相交流誘導モーターが最大電圧及び最大電流の条件下で仕事をすることを意味し、そしてこのことは、三相交流誘導モーターが第一弱磁区下において擁する最大出力/トルクの条件で操作されることを意味する。
回転スピードが引き続き上がり、且つ三相交流誘導モーターのスリップスピードがそのモーターの最大スリップスピードに達した時、三相交流誘導モーターは第二弱磁区において操作することを意味する、若しモーターが最大電圧において操作され、及び最大スリップスピード下で得られた最大電流にマッチするときは、三相交流誘導モーターが第二弱磁区下で擁する最大出力/トルクで操作されている状況を意味する。
2. 本発明に係る三相交流誘導モーター駆動器の制御システム及びその弱磁制御方法は、異なる弱磁区間の異なる回転スピードの運転状況下で、最大出力/トルク能力を提供し、従来技術に存在する技術課題及び潜在的欠点を解決することが出来る。
図1A及び図1Bは、本発明に係る三相交流誘導モーター駆動器の制御システム及びその弱磁制御方法の構築図及び電気回路見取り図であり、駆動器制御モジュール1と、弱磁制御モジュール2と、交流電源3と、電力回路モジュール4と、電流感知モジュール5と、交流モーターモジュール6と、を含み、前記駆動器制御モジュール1は、弱磁制御モジュール2と、電力回路モジュール4と、電流感知モジュール5及び交流モーターモジュール6とインターフェースし、そして前記駆動器制御モジュール1は、加法器1011、1012、1013、減法器1021、1022、1023、d−軸電流制御器103、回転スピード制御器104、q−軸電流制御器105、制限器106、電圧分離補償器107、座標転換器1081、1082、空間ベクトル変調器109、回転子スピード推定器110、計数器111、スリップスピード推定器112、積分器113、を含み、前記駆動器制御モジュール1は、コーダー602によって交流モーター位置の関連情報を獲得する。
(1) 制限器201を含み、これによってマグネチック・フラックス電流命令の修正値がマイナス値区間に落ちることを制限し、及び三相交流誘導モーターd−軸回転子のマグネチック・フラックス量を制限、或いはd−軸電流がゼロより小さく或いはゼロに近い値とならないように制限する。
(2) 弱磁電流制御器202を含み、これによってマグネチック・フラックス電流命令の修正値を産生する。
(3) 減法器203を含み、これによってパルスワイズ・モデュレーション制御の切り替え周期TZからウェーブフィルターろ過後の有効切り替え時間の和(TA+TB)を差し引く。
(4) ローパスフィルター204を含み、これによって有効切り替え時間の和(TA+TB)の高周波数信号をカットする。
(5) 加法器2051、2052を含み、これによって空間ベクトル変調法則中の各有効電圧ベクトルの有効切り替え時間(TA、TB)を加算する。
(6) 最大q−軸電流命令計算器206を含み、これによって使用される最大電流命令値を分析計算する。
となって、d−軸電流命令の修正値とされる(d−軸電流が弱磁電流制御器の調整によって回転子のマグネチック・フラックスがゼロより小さく或いはゼロに近くなることを制限する)。前記制限器201の出力は更に加法器2052によってd−軸定格電流値
に加算され、正真正銘のd−軸電流命令参考値
となる。
及び
に転換し、且つ減法器1021、1023へフィードバックして電流命令と差し引かれ、その後、d−軸電流制御器103及びq−軸電流制御器105を経由して調整を行う、前記二つの電流制御器(d−軸電流制御器103及びq−軸電流制御器105)の出力に電圧分離補償器150の補償値(加法器1011、1012を経由)を加え、更に座標転換器1081によって二相同期回転座標の変数
及び
を二相静止座標の変数に転換することによって、空間ベクトル変調器109の電圧空間ベクトル命令を獲得する。
及び回転スピード命令
は、減法器1022を経由し且つ回転スピード制御器104によって調整を行う、そして前記回転スピード制御器104の出力は制限器106へ連結され、q−軸電流命令及びトルク出力の制限とすることが出来、前記制限器の制限値については、最大q−軸電流命令計算器206によって計算することが出来る、駆動器或いはモーターが定格電流で操作されることを避けるほか、異なる弱磁区間下の状況に基づいて最大電流値を制限してもよい。
1.有効電圧ベクトルの有効切り替え時間の和(TA+TB)を利用して、ローパスフィルターを経由してその高周波数信号をカットした後、パルスワイズ・モデュレーション制御の切り替え周期TZと差し引く。
2.さらに弱磁電流制御モジュールによってd−軸電流命令の修正値を産生し、且つその値を制限する。
3.この制限されたd−軸電流命令の修正値を更に原始d−軸電流命令
へ(制限器によってTA+TB=TZの時、制限器の出力はマイナス値
であることを確保することによって、d−軸電流命令の修正値とすると共に、d−軸電流が弱磁電流制御器の調整によって回転子のマグネチック・フラックスがゼロより小さく或いはゼロに近くならないように制限する)加法器によって加え、正真正銘のd−軸電流命令参考値
とする。
4.このd−軸電流命令値
及び最大スリップスピード
を利用して異なる弱磁区間下での最大q−軸電流命令値を制限する(最大q−軸電流命令値の計算は、異なる弱磁区間下では違いがある)。
1.先ず有効電圧ベクトルの有効切り替え時間の和(TA+TB)がパルスワイズ・モデュレーション制御の切り替え周期(TZ)より大きいか或いは等しいかを判断する。その判断分析は下記の通りである。
(1)若しTA+TBがTZより大きいか或いは等しい場合、モーター回転スピードが定格回転スピードより速い状態に入る。
(2)若しTA+TBがTZより小さい場合、モーター回転スピードが定格回転スピードより遅い状態に入る(この時、モーターはコンスタント・トルク区間で操作し、且つ最大q−軸電流命令値はモーターの定格電流によって決定され、その値は
に等しい)。
2.モーター回転スピードが定格回転スピードより速い状態にあるとき、先ず最大q−軸電流命令値(モーターの定格電流から分析取得される)は
であり、更に最大q−軸電流命令値
を分析する(最大スリップスピードから分析取得される)。
3.次に、弱磁区間下で異なる条件で算出したq−軸電流命令値を利用する。
(1)若し
が
より大きいか或いは等しい場合、目前のq−軸電流命令の制限値は最大スリップスピードによって決定されることを意味する(モーターが第二弱磁区下で操作されることを意味し、従って最大q−軸電流命令値は
である)。
(2)若し
が
より小さい場合、q−軸電流命令の制限値が定格電流によって決定されることを意味する(モーターが依然第一弱磁区下で操作されることを意味し、従って最大q−軸電流命令値は
である)。
図中からわかるように、d−軸電流命令の修正値
はスピードが上がるにつれてマイナス値へ向かって増加する、一方d−軸電流
はスピードが上がるにつれて下降を始めることによって、直流リンク電圧キャパシティの最大電圧利用率を維持し、且つ交流モーターの反起電力の増加を克服することが出来る、そして回転スピードが安定した後は、反起電力も変化することがない、それゆえ、d−軸電流
もそれに伴って安定する。
尚、回転スピードが持続的に上昇すると共に、最大q−軸電流の制限値も最大スリップスピードの制限を受ける、図中でスリップスピードを観察すると、モーターの加速過程である段階での応答は最大スリップスピードに制限されることが分かる、この時モーターの運転は、第二弱磁磁区に入ったことを意味し、且つこの時モーター回転スピードは更に高速の状態に入ったことを意味する。
1011 加法器
1012 加法器
1013 加法器
1021 減法器
1022 減法器
1023 減法器
103 d−軸電流制御器
104 回転スピード制御器
105 q−軸電流制御器
106 制限器
107 電圧分離補償器
1081 座標転換器
1082 座標転換器
109 空間ベクトル・モデュレータ
110 回転子スピード推定器
111 計数器
112 スリップスピード推定器
113 積分器
2 弱磁制御モジュール
201 制限器
202 弱磁電流制御器
203 減法器
204 ローパスフィルター
2051 加法器
2052 加法器
206 q−軸電流命令計算器
3 交流電源
4 電力回路モジュール
401 整流モジュール
402 直流リンク電圧キャパシティ
403 フリケンシー変調モジュール
5 電流感知モジュール
501 電流感知器
502 電流感知器
503 電流感知器
6 交流モーターモジュール
601 三相交流誘導モーター
602 コーダー
Claims (9)
- 三相交流誘導モーター駆動器の制御システムであって、
駆動器制御モジュールと、弱磁制御モジュールと、交流電源と、電力回路モジュールと、電流感知モジュールと、交流モーターモジュールと、を含み、
前記駆動器制御モジュールは、弱磁制御モジュールと、電力回路モジュールと、電流感知モジュール及び交流モーターモジュールとインターフェースし、前記駆動器制御モジュールは、交流モーターモジュールのコーダーによって交流モーターの位置関連情報を取得し、
前記弱磁制御モジュールは、駆動器制御モジュールとインターフェースし、そして前記弱磁制御モジュールは、制限器と、弱磁電流制御器と、減法器と、ローパスフィルターと、加法器及び最大q−軸電流命令計算器を含み、
前記交流電源は、電力回路モジュールとインターフェースされた入力電源であり、
前記電力回路モジュールは、交流電源と、電流感知モジュール及び交流モーターモジュールとインターフェースされ、
前記電流感知モジュールは、三つの電流感知器を含み、且つ前記電流感知モジュールは、駆動器制御モジュール及び交流モーターモジュールとインターフェースし、主としてモーターの三相電流をフィードバックし、
前記交流モーターモジュールは、駆動器制御モジュールと、電力回路モジュールと、電流感知モジュールとインターフェースし、且つ前記交流モーターモジュールは三相交流誘導モーター及びコーダーを含み、
交流モーターの交流モーター周波数変換器のパルスワイズ・モデュレーション制御の切り替え周期及びその周波数変調器の制御によって、有効切り替え時間の和を分析して取得し、且つ弱磁制御モジュールを経由して、リアルタイムに調整適化された磁化電流命令を産生することによって、直流リンク電圧の利用率を最大化し、交流モーターモジュールが定格回転スピードを超過した場合、異なる弱磁区間の異なる回転スピード運転状況下で、最大の出力/トルク能力を有し、
前記弱磁制御モジュールのローパスフィルターは、加法器及び減法器とインターフェースし、
前記ローパスフィルターは、有効切り替え時間の和の高周波数信号をカットし、
前記有効切り替え時間の和は、加法器によって空間ベクトル変調法則中の各有効電圧ベクトルの有効切り替え時間T A 、T B を加算して取得され、
前記減法器は、弱磁電流制御器によって制限器と連結し、且つ前記減法器は、パルスワイズ・モデュレ−ションによって制御された切り替え周期T Z からウェーブフィルターろ過後の有効切り替え時間の和(T A +T B )を差し引き、
前記弱磁電流制御器は、マグネチック・フラックス電流命令の修正値を産生し、
前記制限器は、マグネチック・フラックス電流命令の修正値がマイナス値区間に落ちることを制限し、且つ三相誘導モーターのd−軸回転子のマグネチック・フラックスの量或いはd−軸電流がゼロより小さいか或いはゼロに近い値になることを制限することを特徴とする三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。 - 前記最大q−軸電流命令計算器は最大q−軸電流命令値を分析計算することを特徴とする請求項1に記載の三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。
- 前記駆動器制御モジュールは、加法器と、減法器と、d−軸電流制御器と、回転スピード制御器と、q−軸電流制御器と、制限器と、電圧分離補償器と、座標転換器と、空間ベクトル変調器と、回転子スピード推定器と、計数器と、スリップスピード推定器及び積分器と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。
- 前記計数器は、コーダー及び回転子スピード推定器とインターフェースされ、且つ前記計数器はコーダーのパルス情報を交流モーターの回転角度に転換し、前記回転角度はスリップスピード推定器によってモーターのスピードを獲得し、モーターの回転スピードは又回転スピード制御器から情報をフィードバックされることを特徴とする請求項3に記載の三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。
- 前記座標転換器は、電流感知器とインターフェースされ、且つ前記電流感知器はモーターの三相電流をフィードバックし、且つ座標転換器によって三相静止座標の変数を二相同期回転座標の変数へ転換することを特徴とする請求項3に記載の三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。
- 前記d−軸電流制御器及びq−軸電流制御器の出力に電力分離補償値を加え、更に座標転換器によって二相同期回転座標の変数を二相静止座標の変数へ転換することによって、空間ベクトル変調器の電圧空間ベクトル命令を獲得することを特徴とする請求項3に記載の三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。
- 前記電力回路モジュールは、整流モジュールと、直流リンク電圧キャパシティ及びフリケンシー変調モジュールと、を含み、市販電力のエネルギーが交流電源から入力を開始すると、整流モジュールによって交流電気を漣波を有する直流電気へ整流し、更に直流リンク電圧キャパシティによってウェーブフィルターろ過を行い、且つ空間ベクトル変調器を利用して制御信号をフリケンシー変調モジュール中の駆動スイッチエレメントへ出力し、直流電気エネルギーの転換を行うことを特徴とする請求項1に記載の三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。
- 前記コーダーは、増量型コーダーであってよく、駆動器はコーダーのフィ−ドバックした回転子の位置及び/或いはスピードに基づいて、駆動器制御モジュールを経由してq−軸座標の上に位置する固定子電流を産生し、その打ち立てられたマグネチック・フラックスとd−軸座標上の三相交流誘導モーター回転子のマグネチック・フラックスとが交互作用することによって、三相交流誘導モーターのベクトル制御を達成することを特徴とする請求項1に記載の三相交流誘導モーター駆動器の制御システム。
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