JP5312830B2 - 燃料電池および燃料電池車両 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池およびその燃料電池を搭載した燃料電池車両に関する。
従来、車両に搭載する燃料電池として、液体燃料を直接供給する直接液体燃料形燃料電池の開発が進められており、例えば、直接メタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)や直接ジメチルエーテル形燃料電池(DDFC:Direct Dimethyl ether Fuel Cell)が知られている。
直接液体燃料形燃料電池は、液体燃料から水素ガスを生成するための改質器を必要としないので、システムとしての構造の簡略化が期待される燃料電池として注目されている。
直接液体燃料形燃料電池が備えられる燃料電池システムは、例えば、液体燃料を燃料とする燃料電池と、燃料電池に液体燃料を供給するための燃料供給ポンプと、燃料電池に空気を供給するためのエアコンプレッサとを備えている。
このような燃料電池システムでは、液体燃料が水とともに燃料電池のアノード(燃料極)に供給され、また、空気が燃料電池のカソード(空気極)に供給されることによって、電気化学反応が生じ、起電力が発生する。
具体的には、液体燃料としてメタノールが供給される場合、アノードおよびカソードでは、下記式(1)および(2)で示される電気化学反応が生じる。
(1)CH3OH+6OH-→CO2+5H2O+6e- (アノードでの反応)
(2)O2+H2O+4e-→4OH- (カソードでの反応)
式(1)で示されるように、アノードでは、反応によりCO2ガスが発生して、液体燃料中に気泡として滞留する。そのため、アノード電極における液体燃料との接触面がCO2ガスに覆われて、燃料電池の出力が低下するおそれがある。
そこで、例えば、液体燃料を水で希釈した希釈燃料を通常流量で供給する通常モード中に、燃料供給ポンプの出力を増加させて、上記通常流量を超える気泡除去流量で希釈燃料を供給する気泡除去モードをパルス的に実行することにより、アノード部に滞留しているCO2ガスを効果的に回収することができる燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−100886号公報
しかるに、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、気泡による出力低下を抑制するために、燃料供給ポンプの出力を増加させるので、エネルギー消費が大きくなるという不具合がある。
その一方で、燃料電池を搭載する車両では、エアコンディショナなどの補機に供給されるエネルギー消費が多いため、エネルギー消費の低減が望まれている。
本発明の目的は、エネルギー消費を抑制しながら効率よく発電することのできる燃料電池およびその燃料電池を搭載する燃料電池車両を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池は、液体燃料を燃料として発電する単位セルを備え、前記単位セルは、電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向配置される燃料側電極および酸素側電極と、前記燃料側電極に対して、下側から上側に向けて液体燃料を供給する燃料供給部材と、前記酸素側電極に酸素を供給する酸素供給部材とを備え、前記燃料側電極が上方向に向くように、かつ、前記酸素側電極が下方向に向くように、鉛直方向に対して傾斜していることを特徴としている。
この構成によれば、燃料側電極が上方向に向くように、かつ、酸素側電極が下方向に向くように、単位セルが鉛直方向に対して傾斜している。
発電により発生する液体燃料中の気泡には、鉛直方向上向きの浮力が働くので、燃料側電極が上方向に向くように単位セルが鉛直方向に対して傾斜していれば、浮力の向きが燃料側電極から離れる方向となる。
そして、単位セルの発電時には、液体燃料が下側から上側に向けて燃料側電極に供給されるので、燃料側電極から離れる方向に浮力のかかる気泡を、液体燃料の流れとともに上昇させて燃料側電極から離すことができる。そのため、燃料側電極への気泡の付着を抑制することができる。
このように、気泡に働く浮力と、発電のために単位セルに供給される液体燃料の流れとを利用して気泡の付着を抑制できるので、エネルギー消費を抑制しながら出力低下を抑制し、効率よく発電することができる。
また、本発明の燃料電池では、水平方向に前記単位セルが複数積層されて形成される積層構造体を備え、前記積層構造体は、その下側端部において積層方向に複数の前記単位セルを通過し、各前記単位セルに燃料を供給するための1つの燃料供給路と、その上側端部において積層方向に複数の前記単位セルを通過し、各前記単位セルから燃料を排出するための1つの燃料排出路と各前記単位セルの前記燃料供給部材に形成され、前記燃料供給路と前記燃料排出路とを連通させる複数の直線状の燃料用流路とを備えていることが好適である。
この構成によれば、積層構造体の積層方向、つまり、水平方向に液体燃料を流す場合、液体燃料は、1つの燃料供給路および1つの燃料排出路を利用して、一括して流される。一方、燃料供給路と燃料排出路との間において、液体燃料を上下方向に流す場合、液体燃料は、複数の直線状の燃料用流路を利用して、燃料側電極が上方向に向くように鉛直方向に対して傾斜した燃料側電極、つまり、水平軸に対して90°よりも大きい鈍角で傾斜した燃料側電極に沿って流される。
そのため、液体燃料の乱流を抑制することができ、燃料供給路→燃料用流路→燃料排出路の順に液体燃料を滑らかに流すことができるので、液体燃料中の気泡を効率よく燃料排出路へ流して、燃料側電極から遠ざけることできる。その結果、燃料側電極への気泡の付着を一層抑制することができる。
また、本発明の燃料電池車両は、上記燃料電池を搭載していることを特徴としている。
上記燃料電池を搭載しているので、エネルギー消費を抑制しながら出力低下を抑制し、効率よく発電することができる燃料電池車両を実現することができる。
さらに、本発明の燃料電池車両では、前記燃料電池に供給する液体燃料を溜めるための燃料タンクと、液体燃料を前記燃料電池と前記燃料タンクとの間に循環させる循環路と、前記循環路に介在される循環ポンプとをさらに備え、前記燃料タンクは、その上端が前記燃料電池の上端よりも上方に位置するように配置され、前記循環ポンプは、その上端が前記燃料電池の上端よりも下方に位置するように配置されていることが好適である。
この構成によれば、循環ポンプの上端が燃料電池の上端よりも下方に位置しており、燃料タンクの上端が燃料電池の上端よりも上方に位置している。
そのため、燃料タンク、循環路、燃料電池および循環ポンプにより形成される循環系統を循環する液体燃料の液面を、燃料タンク内に位置させることができる。
液体燃料中の気泡は、浮力により上昇するので、上記循環系統における各部の位置関係が上記のようであれば、液体燃料中に気泡を、燃料タンク内に位置する液体燃料の液面から上方に気体成分として放出させて回収することができる。
その結果、循環ポンプの駆動機構に気泡が入り込むことによる、いわゆるエア噛みなどの運転不良を抑制することができる。また、このような循環ポンプの運転不良の抑制を、上記循環系統における各部の上下方向の位置関係を調節し、気泡に働く浮力を利用するだけで行なえるので、エネルギー消費を抑制することもできる。
本発明の燃料電池によれば、気泡に働く浮力と、発電のために単位セルに供給される液体燃料の流れとを利用して気泡の付着を抑制できるので、エネルギー消費を抑制しながら出力低下を抑制し、効率よく発電することができる。
また、本発明の燃料電池車両によれば、上記燃料電池を搭載しているので、エネルギー消費を抑制しながら出力低下を抑制し、効率よく発電することができる燃料電池車両を実現することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池1の構造を説明するための一方向の斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る燃料電池1の構造を説明するための他方向の斜視図である。
図1および図2において、燃料電池1は、液体燃料を燃料とする、例えば、固体高分子型燃料電池であって、積層構造体としてのセルスタック2と、セルスタック2の積層方向(以下、この方向を単に「積層方向」と記述することがある。)において、セルスタック2を挟んでそれぞれ対向する、1対の集電板3、1対の絶縁板4および1対のエンドプレート5とを備えている。すなわち、燃料電池1は、セルスタック2の積層方向一方側および他方側(正面側および背面側)に、集電板3、絶縁板4およびエンドプレート5が順次積層されることによって、全体としてスタック構造に形成され、その積層方向が水平方向とされる。
セルスタック2は、水素と酸素との電気化学反応により発電する単位セル6を複数備えている。
各単位セル6は、それぞれ正面視略矩形状に形成されている。そして、これら複数の単位セル6がスタック(積層)されることにより、セルスタック2は、スタック構造に形成されている。
集電板3は、例えば、銅などの導電性材料からなり、セルスタック2における積層方向正面側に積層された一方の集電板3と、セルスタック2における積層方向背面側に積層された他方の集電板3とからなる。各集電板3は、それぞれセルスタック2と正面視略同一形状に形成されている。各集電板3の上側周縁には、それぞれ端子7が設けられている。
端子7は、集電板3と一体的に形成され、集電板3の上側周縁から上方に向けて突出する略直方体形状に形成されている。燃料電池1では、セルスタック2で発生した起電力は、集電板3によって外部に取り出される。
絶縁板4は、例えば、ゴムや樹脂などの絶縁性材料からなり、一方の集電板3における正面側に積層された一方の絶縁板4と、他方の集電板3における背面側に積層された他方の絶縁板4とからなる。各絶縁板4は、それぞれセルスタック2と正面視略同一形状に形成されている。絶縁板4は、セルスタック2と、燃料電池1を収容するケーシング(図示せず)やエンドプレート5との間を絶縁している。
エンドプレート5は、例えば、鋼などの剛性の高い材料からなり、一方の絶縁板4における正面側に積層された一方のエンドプレート5と、他方の絶縁板4における背面側に積層された他方のエンドプレート5とからなる。各エンドプレート5は、それぞれセルスタック2と正面視略同一形状に形成されている。
そして、一方のエンドプレート5、一方の絶縁板4および一方の集電板3には、正面視上下方向に直交する幅方向(以下、この方向を単に「幅方向」と記述することがある。)の一方側端部における下角部に、セルスタック2に液体燃料を供給するための燃料供給口8が形成されている(図1参照。)。なお、以下において、上下方向という場合には、特に記述しない限り、鉛直方向および鉛直方向に対して傾斜した上下の方向のいずれも含むものとする。
燃料供給口8は、一方のエンドプレート5、一方の絶縁板4および一方の集電板3を厚さ方向に貫通する正面視略円形に形成されている。燃料供給口8には、燃料供給管9が接続されている。具体的には、燃料供給管9は、その一方側端部が、図示しない燃料タンクなどに接続され、その他方側端部が燃料供給口8に接続されている。
また、一方のエンドプレート5、一方の絶縁板4および一方の集電板3には、正面視幅方向他方側端部における下角部に、セルスタック2から酸素を含む空気(以下では、酸素を含む空気を、単に、「酸素」ということがある。)を排出するための酸素排出口10が形成されている(図1参照。)。酸素排出口10は、一方のエンドプレート5、一方の絶縁板4および一方の集電板3を厚さ方向に貫通する正面視略円形に形成されている。
酸素排出口10には、酸素排出管11が接続されている。具体的には、酸素排出管11は、その一方側端部が排気とされ、その他方側端部が酸素排出口10に接続されている。
他方のエンドプレート5、他方の絶縁板4および他方の集電板3には、背面視幅方向一方側端部における上角部に、セルスタック2に酸素を供給するための酸素供給口12が形成されている(図2参照。)。酸素供給口12は、他方のエンドプレート5、他方の絶縁板4および他方の集電板3を厚さ方向に貫通する背面視略円形に形成されている。
酸素供給口12には、酸素供給管13が接続されている。具体的には、酸素供給管13は、その一方側端部が酸素供給口12に接続され、その他方側端部が、例えば、コンプレッサ(図示せず)などに接続されている。
また、他方のエンドプレート5、他方の絶縁板4および他方の集電板3には、背面視幅方向他方側端部における上角部に、セルスタック2から液体燃料を排出するための燃料排出口14が形成されている(図2参照。)。燃料排出口14は、他方のエンドプレート5、他方の絶縁板4および他方の集電板3を厚さ方向に貫通する背面視略円形に形成されている。
燃料排出口14には、燃料排出管15が接続されている。具体的には、燃料排出管15は、その一方側端部が燃料排出口14に接続され、その他方側端部が、例えば、液体燃料などを処理するための処理タンク(図示せず)に接続される。
図3は、図1に示すセルスタック2を、III−IIIで示される切断線で切断したときの要部断面図である。図4は、図1に示すセルスタック2の正面側要部分解図である。図5は、図1に示すセルスタック2の背面側要部分解図である。図6は、図3〜5に示すセパレータ17の一方面の拡大図である。図7は、図3〜5に示すセパレータ17の他方面の拡大図である。
次に、主として図3を参照して、セルスタック2の要部について説明する。
セルスタック2は、上記したように、複数の単位セル6が積層されたスタック構造に形成されている。
各単位セル6は、電解質膜18と、電解質膜18を挟んで対向配置される燃料側電極19および酸素側電極20と、電解質膜18、燃料側電極19および酸素側電極20を挟んで対向配置される1対のセパレータ17(セパレータ17は、後述するように、燃料供給部材と酸素供給部材とを兼ねている。)とを備えている。
電解質膜18は、断面視略平行四辺形状に形成されており、かつ、正面視略矩形状に形成されている(図4および図5参照。)。電解質膜18の積層方向の厚みは、例えば、10〜100μmである。電解質膜18としては、例えば、プロトン交換膜やアニオン交換膜などの固体高分子膜が挙げられる。
プロトン交換膜としては、その内部をプロトンが移動できる膜であれば、特に制限され
ず、例えば、パーフルオロスルホン酸膜が挙げられる。
一方、アニオン交換膜としては、その内部をアニオン(とりわけ、水酸化物イオン(OH-))が移動できる膜であれば、特に制限されず、例えば、4級アンモニウム基、ピリジニウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子膜(アニオン交換樹脂)が挙げられる。
燃料側電極19は、正面視において、電解質膜18よりも面積の小さい相似形の略矩形状に形成されている(図4および図5参照。)。
燃料側電極19の材料としては、特に制限されず、例えば、触媒が担持された多孔質担体などが挙げられる。
多孔質担体としては、特に制限されず、例えば、カーボンなどの撥水性担体が挙げられる。
触媒としては、特に制限されず、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)などの周期表第8〜10(VIII)族元素や、例えば、Cu、Ag、Auなどの周期表第11(IB)族元素など、さらには、これらの組み合わせなどが挙げられる。
酸素側電極20は、背面視において、燃料側電極19と幅方向略同じ幅の略矩形状に形成されており(図4および図5参照。)、その上下方向の長さが燃料側電極19よりも小さい。
酸素側電極20の材料としては、特に制限されず、例えば、燃料側電極19の材料として例示した、触媒が担持された多孔質担体などが挙げられる。
そして、電解質膜18の一方面および他方面に、燃料側電極19および酸素側電極20が圧着形成されることにより、これらは膜・電極接合体を形成している。
1対のセパレータ17は、断面視略平行四辺形状に形成されており、かつ、正面視において電解質膜18と略同一形状に形成されている(図4および図5参照。)。1対のセパレータ17は、例えば、ガス不透過性の導電性部材を用いて形成されている。
1対のセパレータ17のうち、正面側の一方のセパレータ17には、燃料側電極19と接触する背面側の他方面に、凹部21が形成されている。凹部21は、燃料側電極19と幅方向略同じ幅の略矩形状に形成されており(図5参照。)、その上下方向の長さが燃料側電極19よりも大きい。
凹部21内には、燃料側電極19に向かって開口される燃料側溝22が形成されており、この燃料側溝22と燃料側電極19との間に、液体燃料を流すための燃料用流路23が形成される。
1対のセパレータ17のうち、背面側の他方のセパレータ17には、酸素側電極20と接触する正面側の一方面に、凹部24が形成されている。凹部24は、酸素側電極20と略同一形状の略矩形状に形成されている。
凹部24内には、酸素側電極20に向かって開口される酸素側溝25が形成されており、この酸素側溝25と酸素側電極20との間に、酸素を流すための酸素用流路26が形成される。
そして、各単位セル6は、凹部21に燃料側電極19を嵌め込むように、かつ、凹部24に酸素側電極20を嵌め込むように、電解質膜18を厚さ方向両側から1対のセパレータ17で挟みこむことにより形成される。
なお、各単位セル6において、一方のセパレータ17の正面側の一方面には、他方のセパレータ17と同様に、凹部24および酸素側溝25が形成されており、他方のセパレータ17の背面側の他方面には、一方のセパレータ17と同様に、凹部21および燃料側溝22が形成されている。そのため、一方のセパレータ17は、正面側に隣接する単位セル6に対しては、他方のセパレータ17とされ、他方のセパレータ17は、背面側に隣接する単位セル6に対しては、一方のセパレータ17とされる。つまり、1対のセパレータ17は、正面側および背面側に隣接する単位セル6と共有されており、1つの単位セル6に着目したときには、一方のセパレータ17が、燃料側電極19に液体燃料を供給するための燃料供給部材とされ、他方のセパレータ17が、酸素側電極20に酸素を供給するための酸素供給部材とされる。
このように形成される各単位セル6は、燃料側電極19の正面側の一方面27が上方向に向くように、かつ、酸素側電極20の背面側の他方面28が下方向に向くように、鉛直方向に対して傾斜している。具体的には、各単位セル6は、例えば、燃料側電極19の一方面27の下端部と鉛直軸Gとにより形成される挟角θ1が、3〜87°、好ましくは、15〜45°となるように、鉛直方向に対して傾斜している。これにより、燃料側電極19の一方面27の下端部と水平軸Lとにより形成される挟角θ2が、90°よりも大きい鈍角、具体的には、93〜177°、好ましくは、105〜135°となる。
各単位セル6の上面、つまり、断面視平行四辺形状の電解質膜18の外周上端と断面視平行四辺形状の1対のセパレータ17の上面とにより形成される面は、各単位セル6が上記したような角度で傾斜することにより、水平方向に対して平行である。また、各単位セル6の下面も、上面と同様に、水平方向に対して平行である。そのため、各単位セル6が水平方向に積層されて形成されるセルスタック2は、その上面55および下面56が水平方向に対して平行な面となる。
セルスタック2には、その上側端部に上側の燃料孔29が、その下側端部に下側の燃料孔30が形成されている。
これら上側の燃料孔29と下側の燃料孔30とは、燃料側電極19の上下方向の長さと略同じ間隔をあけて上下方向に対向し、セルスタック2を積層方向(水平方向)に貫通する1対の孔を形成している。
上側の燃料孔29は、セルスタック2の上側端部において、積層方向(水平方向)に複数の単位セル6を貫通する燃料排出路31を形成しており、また、下側の燃料孔30は、セルスタック2の下側端部において、積層方向(水平方向)に複数の単位セル6を貫通する燃料供給路32を形成している。
燃料供給路32は、燃料供給口8(図1参照。)に連通しており、燃料排出路31は、燃料排出口14(図2参照。)に連通している。また、燃料供給路32と燃料排出路31とは、各単位セル6における燃料用流路23を介して互いに連通している。
セルスタック2には、図4および図5に示すように、正面視幅方向の一方側端部における下角部に、一方の酸素孔35が、正面視幅方向の他方側端部における上角部に、他方の酸素孔36が形成されている。
これら一方の酸素孔35と他方の酸素孔36とは、燃料側電極19および酸素側電極20の幅方向の幅と略同じ間隔をあけて対角に対向し、セルスタック2を積層方向(水平方向)に貫通する1対の孔を形成している。
一方の酸素孔35は、セルスタック2の正面視幅方向の一方側端部において、積層方向(水平方向)に複数の単位セル6を貫通する酸素排出路37を形成しており、また、他方の酸素孔36は、セルスタック2の正面視幅方向の他方側端部において、積層方向(水平方向)に複数の単位セル6を貫通する酸素供給路38を形成している。
酸素供給路38は、酸素供給口12(図2参照。)に連通しており、酸素排出路37は、酸素排出口10(図1参照。)に連通している。また、酸素供給路38と酸素排出路37とは、各単位セル6における酸素用流路26を介して互いに連通している。
次に、主として図5および図6を参照して、セパレータ17の一方面の構成を具体的に説明する。
セパレータ17の一方面において、上側の燃料孔29および下側の燃料孔30は、それぞれ凹部21内の上端および下端に配置されている。
上側の燃料孔29および下側の燃料孔30は、その幅が、凹部21と同じ幅になるように、幅広の長孔形状に形成されている。
また、セパレータ17の一方面において、凹部21内には、幅方向に互いに間隔をあけて上下方向に直線状に延びるリブ46が5つ立設されている。
各リブ46は、上下方向に対向する上側の燃料孔29と下側の燃料孔30との間隔よりも小さい長さで形成されている。これにより、燃料側溝22は、6つの直線溝33に分割され、各直線溝33は、それぞれ上下方向に直線状に延び、上側の燃料孔29および下側の燃料孔30において合流している。
そして、この燃料側溝22(直線溝33)は、各単位セル6の積層状態において、上記したように、燃料側電極19との間において、下側の燃料孔30と上側の燃料孔29とを連絡する6つの直線状の燃料用流路23を形成する。
また、セパレータ17の一方面において、一方の酸素孔35は、その下端が下側の燃料孔30の上下方向中間に位置するように配置され、上下方向に細長の長孔形状に形成されている。また、他方の酸素孔36は、その上端が上側の燃料孔29の上端とほぼ同じ高さに位置するように配置され、上下方向に細長の長孔形状に形成されている。そして、これら一方の酸素孔35と他方の酸素孔36とは、セパレータ17の一方面においては、凹部21を挟むように配置されており、それらの連通が遮断されている。
次に、主として図4および図7を参照して、セパレータ17の他方面の構成を具体的に説明する。
セパレータ17の他方面において、凹部24内には、その上端と所定の第1間隔をあけて配置され、幅方向他方端において気体の上下方向の流通を遮断するように凹部24の内壁に当接し、幅方向一方側に延びる上側のリブ39と、上側のリブ39と上記第1間隔よりも小さい所定の第2間隔をあけて、かつ、凹部24の下端と上記第2間隔よりも小さい所定の第3間隔をあけて配置され、幅方向一方端において気体の上下方向の流通を遮断するように凹部24の内壁に当接し、幅方向他方側に延びる下側のリブ40とが立設されている。
これにより、酸素側溝25は、上側に配置される上流側の上側溝41と、下側に配置される下流側の下側溝43と、上側溝41と下側溝43との間に配置される中間溝42とに区画され、上流側から下流側へ向かうにしたがってその溝幅(上下方向の間隔)が狭くなるように形成されている。また、酸素側溝25は、上側溝41が、凹部24の幅方向他方端において他方の酸素孔36に連通するとともに凹部24の幅方向一方端において中間溝42に連通し、下側溝43が、凹部24の幅方向他方端において中間溝42に連通するとともに凹部24の幅方向一方端において一方の酸素孔35に連通することから、幅方向対角に対向する他方側の他方の酸素孔36と一方側の一方の酸素孔35とを連絡する、略S字状に形成される。
また、上側溝41の幅方向途中には、上下方向に互いに間隔をあけて、幅方向に延びるリブ44が3つ立設されている。これにより、上側溝41は、上下方向4つに分割されている。
また、中間溝42の幅方向途中には、幅方向に延びるリブ45が1つ立設されている。これにより、中間溝42は、上下方向2つに分割されている。
そして、この酸素側溝25(上側溝41、中間溝42および下側溝43)は、各単位セル6の積層状態において、上記したように、酸素側電極20との間において、上流側から下流側に向かうにしたがってその流路幅が狭まる略S字状の酸素用流路26を形成する。
以上、図3〜図7を参照して要部を説明したセルスタック2の積層方向両側に、集電板3、絶縁板4およびエンドプレート5が順次積層されることによって燃料電池1が構成される。
燃料電池1は、図示しないケーシングに納められ、例えば、燃料供給管9に燃料タンク(図示せず)が接続され、酸素供給管13にコンプレッサ(図示せず)が接続され、燃料排出管15に処理タンク(図示せず)が接続されることにより、燃料電池システムとして使用される。
燃料電池1において、燃料供給口8には、燃料タンク(図示せず)からの液体燃料が供給されるとともに、酸素供給口12には、コンプレッサからの酸素が供給される。
供給される液体燃料としては、例えば、ヒドラジン、メタノールなどが挙げられる。また、供給される液体燃料の流量は、例えば、0〜41.4mL/sであり、好ましくは、1.1〜8.28mL/sである。また、酸素の供給圧力は、例えば、0〜200kPa・G(ゲージ圧)であり、好ましくは、50〜150kPa・G(ゲージ圧)である
そして、液体燃料は、燃料供給口8から、スタック構造とされたセルスタック2内に供給され、燃料供給路32を正面側から背面側へと水平方向に各単位セル6を一括して通過する。各単位セル6では、通過する液体燃料の一部が、鉛直方向に対して傾斜した燃料側電極19の一方面27に接触しながら下側から上側に向かって、6つの直線状の燃料用流路23を流れた後(図6の実線矢印参照。)、燃料排出路31に流出する。そして、燃料排出路31を正面側から背面側へと水平方向に各単位セル6を一括して通過した後、燃料排出口14から排出される。
一方、酸素は、酸素供給口12から、スタック構造とされたセルスタック2内に供給され、酸素供給路38を背面側から正面側へと水平方向に各単位セル6を通過する。各単位セル6では、通過する酸素の一部が、上流側から下流側に向かうにしたがってその流路幅が狭まる略S字状の酸素用流路26を、酸素側電極20の他方面28に接触しながら上側から下側に向かって流れた後(図7の実線矢印参照。)、酸素排出路37に流出する。そして、酸素排出路37を背面側から正面側へと水平方向に各単位セル6を通過した後、酸素排出口10から排出される。
液体燃料がメタノールである場合、各単位セル6では、下記のように発電が行なわれる。すなわち、メタノールが供給された燃料側電極19では、メタノール(CH3OH)と酸素側電極20における反応(後述)で生成した水酸化物イオン(OH-)とが反応して、二酸化炭素(CO2)および水(H2O)が生成するとともに、電子(e-)が発生する(下記反応式(1)参照。)。
燃料側電極19で発生した電子(e-)は、図示しない外部回路を経由して酸素側電極20に到達する。つまり、この外部回路を通過する電子(e-)が、電流となる。
一方、酸素側電極20では、電子(e-)と、外部からの供給もしくは各単位セル6における反応で生成した水(H2O)と、酸素用流路26から供給された酸素(O2)とが反応して、水酸化物イオン(OH-)が生成する(下記反応式(2)参照。)。
そして、生成した水酸化物イオン(OH-)が、電解質膜18を通過して燃料側電極19に到達し、上記と同様の反応(下記反応式(1)参照。)が行なわれる。
このような燃料側電極19および酸素側電極20における電気化学的反応が連続的に行なわれることによって、各単位セル6全体として下記反応式(3)で表わされる反応が行なわれて、燃料電池1の発電が行なわれる。
(1) CH3OH+6OH-→CO2+5H2O+6e-(燃料側電極19での反応)
(2) O2+2H2O+4e-→4OH- (酸素側電極20での反応)
(3) CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O (単位セル6全体での反応)
また、液体燃料がヒドラジンである場合、各単位セル6では、下記反応式(4)〜(6)で表される反応が行なわれて、燃料電池1の発電が行なわれる。
(4) N24+4OH-→N2+4H2O+4e- (燃料側電極19での反応)
(5) O2+2H2O+4e-→4OH- (酸素側電極20での反応)
(6) N24+O2→N2+2H2O (単位セル6全体での反応)
上記した発電では、燃料側電極19において、CO2ガスまたはN2ガスが発生して、液体燃料中に気泡として滞留する。そのため、燃料側電極19における液体燃料との接触面、つまり、燃料側電極19の一方面27が気泡(CO2ガスまたはN2ガス)に覆われて(一方面27に気泡が接触して)、燃料電池1の発電が阻害されるおそれがある。
しかし、この燃料電池1によると、液体燃料と接触する燃料側電極19の一方面27が上方向に向くように、かつ、酸素側電極20の他方面28が下方向に向くように、単位セル6が鉛直方向に対して、燃料側電極19の一方面27の下端部と鉛直軸Gとにより形成される挟角θ1が、例えば、3〜87°、好ましくは、15〜45°となるように傾斜している。
発電により発生する液体燃料中の気泡には、鉛直方向上向きの浮力が働くので、単位セル6が鉛直方向に対して挟角θ1の角度で傾斜していれば、燃料側電極19の一方面27と浮力の向き(鉛直方向上向き)とにより形成される挟角がθ1となる。つまり、液体燃料中の気泡にかかる浮力の向きが燃料側電極19の一方面27から離れる方向となる。
そして、単位セル6の発電時には、液体燃料が、燃料側電極19の一方面27に接触しながら下側の燃料孔30から上側の燃料孔29に向けて供給されるので(図6の実線矢印参照。)、燃料側電極19の一方面27から離れる方向に浮力のかかる気泡を、液体燃料の流れとともに燃料側電極19の一方面27に沿って上昇させて、燃料排出路31に排出することができる。そのため、燃料側電極19の一方面27への気泡の付着を抑制することができる。
このように、気泡に働く浮力と、発電のために単位セル6に供給される液体燃料の流れとを利用して気泡の付着を抑制できるので、液体燃料と燃料側電極19との接触を最大限確保できる。その結果、そのような接触を図るためのエネルギー消費を抑制しながら出力低下を抑制し、効率よく発電することができる。
また、単位セル6の発電時に液体燃料を水平方向に流す場合、液体燃料は、凹部21と同じ幅の幅広の長孔形状に形成された1つの燃料供給路32および1つの燃料排出路31を利用して、一括して流される。一方、燃料供給路32と燃料排出路31との間において、液体燃料を上下方向に流す場合、液体燃料は、6つの直線状の燃料用流路23を利用して、水平軸Lに対して90°よりも大きい鈍角で傾斜した燃料側電極19の一方面27に沿って分割して流される。
そのため、液体燃料の乱流を抑制することができ、燃料供給路32→燃料用流路23→燃料排出路31の順に液体燃料を滑らかに流すことができるので、液体燃料中の気泡を効率よく燃料排出路31へ流して、燃料側電極19から遠ざけることできる。その結果、燃料側電極19の一方面27への気泡の付着を一層抑制することができる。
また、燃料用流路23を、上下方向下側と上側とを連絡する直線状に形成するとともに、酸素用流路26を、幅方向一方側と他方側とを連絡する略S字状に形成することにより、上側の燃料孔29と下側の燃料孔30とを、上下方向に対向する1対の孔とすることができるとともに、一方の酸素孔35と他方の酸素孔36とを、幅方向対角に対向する1対の孔とすることができる。
そのため、セパレータ17および電解質膜18におけるこれらの外周4辺の端部すべてを2対の孔の形成に利用することができる。その結果、セパレータ17および電解質膜18の面積の有効利用を図ることができる。
さらに、酸素側溝25が、各単位セル6の積層状態において、酸素側電極20との間において、上流側から下流側に向かうにしたがってその流路幅が狭まる略S字状の酸素用流路26を形成するため、酸素と酸素側電極20との接触を十分に確保することができる。
図8は、図1に示す燃料電池1を搭載した本発明の一実施形態に係る燃料電池車両47の概略構成図である。
燃料電池車両47は、燃料電池をその動力源とする車両であって、燃料電池システム80を搭載している。
燃料電池システム80は、図1および図2に示す燃料電池1と、燃料給排部48と、酸素給排部49と、制御部50と、動力部51とを備えている。
(A)燃料電池
燃料電池1は、図1および図2に示す燃料電池であって、燃料電池車両47の略中央下側において、その上端58および下端59、つまり、セルスタック2の上面55および下面56(図8では図示せず)が水平方向に対して平行な面となるように配置されている。また、燃料電池1は、各単位セル6における燃料側電極19が燃料電池車両47の前側になるように配置されている。
(B)燃料給排部
燃料給排部48は、液体燃料を貯めるための燃料タンク52と、燃料タンク52からの液体燃料を燃料電池1に供給するための燃料供給管53と、燃料電池1からの液体燃料を燃料タンク52に還流させるための還流管54とを備えている。
燃料タンク52は、燃料電池1よりも後方、燃料電池車両47の後側において、その上端57が燃料電池1の上端58(セルスタック2の上面55)よりも上方に位置し、その下端60が燃料電池1の上端58(セルスタック2の上面55)とほぼ同じ高さに位置するように配置されている。また、燃料タンク52には、液体燃料を充填するための供給管68が接続されている。
供給管68は、その上流側の一端が燃料電池車両47の車体ボディなどに形成された充填口(図示せず)とされ、下流側の他端が燃料タンク52の下側に接続されている。供給管68の途中には、供給バルブ69が設けられている。
供給バルブ69は、供給管68を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁が用いられる。また、供給バルブ69は、制御部50と電気的に接続されており(図8の破線参照。)、制御部50からの入力信号により、その開閉が制御される。供給バルブ69が開かれ、充填口(図示せず)から液体燃料が供給されることにより、燃料タンク52に液体燃料が貯蔵される。
また、燃料タンク52には、供給管68との接続位置よりも上側の位置において、排気管70が接続されている。
排気管70は、燃料タンク52内の気体成分を排出するための管であって、その上流側の一端が燃料タンク52に接続され、下流側の他端が排気とされる。また、排気管70の途中には、排気バルブ71が設けられている。
排気バルブ71は、排気管70を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁が用いられる。また、排気バルブ71は、制御部50と電気的に接続されており(図8の破線参照。)、制御部50からの入力信号により、その開閉が制御される。排気バルブ71が開かれることにより、燃料タンク52内の気体成分が排出される。
燃料供給管53は、上流側の一端が、燃料タンク52の下側に配置される燃料流出口(図示せず)に接続され、下流側の他端が、燃料タンク52の上端57よりも下方位置を保持しながら前方に延び、燃料電池車両47の前部において、さらに下向きにUターンして、燃料電池1の燃料供給口8に接続される。また、燃料供給管53の途中には、燃料供給管53と還流管54とにより形成される循環路に液体燃料を循環させるための循環ポンプ61が介在されている。
循環ポンプ61は、燃料電池1よりも前方、燃料電池車両47の前側において、その上端75が、燃料電池1の上端58(セルスタック2の上面55)と下端59(セルスタック2の下面56)との間、つまり燃料電池1の上端58よりも下方に位置し、その下端76が、燃料電池1の下端59(セルスタック2の下面56)よりも下方に位置するように配置されている。循環ポンプ61としては、例えば、公知の送液ポンプなどが用いられる。
還流管54は、上流側の一端が、燃料電池1の燃料排出口14に接続され、下流側の他端が、燃料タンク52の上端57よりも下方位置を保持しながら後方に延び、燃料電池車両47の後側において上向きに屈曲して、燃料供給管53が接続される燃料タンク52の燃料流出口(図示せず)の下方下側に配置される燃料タンク52の燃料流入口(図示せず)に接続される。還流管54の途中には、切替バルブ62が設けられている。
切替バルブ62は、還流管54を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁が用いられる。また、切替バルブ62は、制御部50と電気的に接続されており(図8の破線参照。)、制御部50からの入力信号により、その開閉が制御される。また、切替バルブ62には、分岐管63が接続されている。
分岐管63は、その上流側の一端が切替バルブ62に接続され、下流側の他端が、液体燃料を処理するための処理タンク64に接続されている。
処理タンク64は、液体燃料を処理するためのタンクであって、その内部には、貯留された液体燃料を処理するための燃料処理装置(図示せず)が設けられている。燃料処理装置としては、使用される液体燃料に応じて適切な処理装置が選択され、例えば、液体燃料がヒドラジンの場合、ヒドラジンを分解して、環境負荷の少ないN2ガスおよび水などの環境負荷の少ない物質を生成させるための分解装置が選択される。また、処理タンク64には、処理タンク64での処理で生成するN2ガスなどの気体成分を排出するための排気管65が接続されている。
排気管65は、その上流側の一端が処理タンク64に接続され、その下流側の他端が排気とされる。
また、処理タンク64には、処理タンク64での処理で生成する水などの液体成分を排出するための排液管66が接続されている。
排液管66は、その上流側の一端が処理タンク64に接続され、その下流側の他端がドレンとされる。また、排液管66の途中には、排液バルブ67が設けられている。
排液バルブ67は、排液管66を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁が用いられる。また、排液バルブ67は、制御部50と電気的に接続されており(図8の破線参照。)、制御部50からの入力信号により、その開閉が制御される。
(C)酸素給排部
酸素給排部49は、燃料電池1に酸素を供給する酸素供給管72と、燃料電池1から排出される酸素を排出するための酸素排出管73とを備えている。
酸素供給管72は、上流側の一端が大気中に開放され、下流側の他端が燃料電池1の酸素供給口12に接続されている。酸素供給管72の途中には、酸素供給ポンプ74が介在されている。
酸素供給ポンプ74は、大気中の酸素を酸素供給管72に流すためのポンプであって、例えば、エアコンプレッサなどの公知の送気ポンプが用いられる。また、酸素供給ポンプ74は、制御部50と電気的に接続されており(図8の破線参照。)、制御部50からの入力信号により稼動するとともに、その出力が制御される。酸素供給ポンプ74の出力が制御されることによって、酸素供給管72を流れる酸素の流量が制御される。
酸素排出管73は、その上流側の一端が燃料電池1の酸素排出口10に接続され、その下流側の他端が排気とされる。
(D)制御部
制御部50は、燃料電池車両47の略中央において、燃料電池1よりも上方に配置されている。制御部50は、例えば、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータで構成されている。制御部50には、制御対象として、循環ポンプ61、切替バルブ62、排液バルブ67、供給バルブ69、排気バルブ71、酸素供給ポンプ74、モータ77(後述)およびインバータ78(後述)がそれぞれ電気的に接続されている(図8の破線参照。)
(E)動力部
動力部51は、モータ77と、インバータ78とを備えている。
モータ77は、燃料電池車両47における循環ポンプ61よりも前方、燃料電池車両47の最前側に配置されている。モータ77は、例えば、三相誘導電動機、三相同期電動機など、公知の電動機を用いて構成されており、インバータ78を介して、燃料電池1に電気的に接続されている(図8の破線参照。)。
インバータ78は、モータ77の上側に配置されている。インバータ78は、燃料電池1で発電された直流電力を交流電力に変換する装置であって、例えば、公知のインバータ回路が組み込まれた電力変換装置を用いて構成されている。また、インバータ78は、燃料電池1およびモータ77にそれぞれ電気的に接続されている(図8の破線参照。)。
(F)燃料電池車両での発電
以上説明した燃料電池車両47では、循環ポンプ61および酸素供給ポンプ74が稼動されることにより、燃料供給管53に液体燃料が供給され、酸素供給管72に酸素が供給される。
液体燃料は、燃料電池1の燃料供給口8から燃料電池1に流入した後、その一部が燃料電池1での発電に消費され、その残りが燃料排出口14から還流管54に流出して、燃料タンク52に還流される。なお、液体燃料の一部および/または全部は、必要により、切替バルブ62が切り替えられることにより、処理タンク64に溜められ、環境負荷の少ない物質に分解される。一方、酸素は、燃料電池1の酸素供給口12から燃料電池1に流入した後、その一部が燃料電池1での発電に消費され、その残りが酸素排出口10から酸素排出管73に流出して、外部に排出される。
そして、燃料電池1では、上記した電気化学的反応が行なわれて発電が行なわれ、上記したように、CO2ガスまたはN2ガスが発生する。
この燃料電池車両47では、燃料タンク52の上端57が燃料電池1の上端58(セルスタック2の上面55)よりも上方に位置し、かつ、その下端60が燃料電池1の上端58とほぼ同じ高さに位置している。また、循環ポンプ61の上端75が、燃料電池1の上端58よりも下方に位置しており、さらに、これらを連通させる燃料供給管53および還流管54は、いずれも燃料タンク52の上端57よりも下方位置を保持するように配設されている。
そのため、燃料タンク52、燃料供給管53、循環ポンプ61、燃料電池1および還流管54により形成される循環系統を循環する液体燃料の液面を、燃料タンク52内に位置させることができる。
液体燃料中の気泡は、浮力により上昇するので、上記循環系統における各部の位置関係が上記のようであれば、液体燃料中に気泡として含有される気体成分(CO2ガスまたはN2ガス)を、燃料タンク52内に位置する液体燃料の液面から上方に放出させ、排気バルブ71を開くことにより、外部に排出することができる。
その結果、循環ポンプ61の駆動機構に気泡が入り込むことによる、いわゆるエア噛みなどの運転不良を抑制することができる。また、このような循環ポンプ61の運転不良の抑制を、上記循環系統における各部の上下方向の位置関係を調節し、気泡に働く浮力を利用するだけで行なえるので、エネルギー消費を抑制することもできる。
また、燃料電池車両47において、各単位セル6における燃料側電極19が燃料電池車両47の前側になるように、燃料電池1が配置されているため、例えば、勾配のある斜面に燃料電池車両47を走行させるときには、燃料側電極19の一方面27の下端部と鉛直軸Gとにより形成される挟角θ1の角度を、より大きくすることができる。つまり、燃料側電極19の一方面27と気泡に対する浮力の向き(鉛直方向上向き)とにより形成される挟角をより大きくすることができる。そのため、液体燃料中の気泡を効率よく還流管54へ流すことができる。その結果、燃料側電極19の一方面27への気泡の付着を一層抑制することができ、燃料電池1の発電効率の低下を一層抑制することができる。
さらに、同様の理由により、燃料電池1を高出力で発電させて燃料電池車両47を加速させるときにも、燃料側電極19の一方面27と気泡に対する浮力の向き(鉛直方向上向き)とにより形成される挟角をより大きくすることができる。そのため、液体燃料中の気泡を効率よく還流管54へ流すことができる。その結果、燃料側電極19の一方面27への気泡の付着を一層抑制することができ、燃料電池1の発電効率の低下を一層抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜設計を変形することができる。
例えば、前述の実施形態では、本発明の燃料電池の用途として、燃料電池車両を一例として挙げたが、本発明の燃料電池は、例えば、鉄道、船舶、航空機などに搭載することもできる。
また、前述の燃料電池車両47では、燃料タンク52、燃料供給管53、循環ポンプ61、燃料電池1および還流管54により形成される循環系統を設け、液体燃料をこの循環系統に循環させて使用したが、上記した循環系統を設けずに、燃料電池1で消費されずに残る液体燃料を、処理タンク64で処理して、そのまま廃棄する構成であってよい。
本発明の一実施形態に係る燃料電池の構造を説明するための一方向の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池の構造を説明するための他方向の斜視図である。 図1に示すセルスタックを、III−IIIで示される切断線で切断したときの要部断面図である。 図1に示すセルスタックの一方向要部分解図である。 図1に示すセルスタックの他方向要部分解図である。 図3〜5に示すセパレータ17の一方面の拡大図である。 図3〜5に示すセパレータ17の他方面の拡大図である。 図1に示す燃料電池1を搭載した本発明の一実施形態に係る燃料電池車両の概略構成図である。
符号の説明
1 燃料電池
2 セルスタック
6 単位セル
17 セパレータ
18 電解質膜
19 燃料側電極
20 酸素側電極
23 燃料用流路
27 一方面
28 他方面
29 上側の燃料孔
30 下側の燃料孔
31 燃料排出路
32 燃料供給路
33 直線溝
47 燃料電池車両
52 燃料タンク
53 燃料供給管
54 還流管
55 上面
57 上端
58 上端
61 循環ポンプ
75 上端

Claims (3)

  1. 液体燃料を燃料として発電する単位セルを備え、
    前記単位セルは、
    電解質膜と、
    前記電解質膜を挟んで対向配置される燃料側電極および酸素側電極と、
    前記燃料側電極に対して、下側から上側に向けて液体燃料を供給する燃料供給部材と、
    前記酸素側電極に酸素を供給する酸素供給部材とを備え、
    前記燃料側電極の前記電解質膜が配置された面とは反対側の面が上方向に向くように、かつ、前記酸素側電極の前記電解質膜が配置された面とは反対側の面が下方向に向くように、鉛直方向に対して傾斜しており、かつ、
    水平方向に前記単位セルが複数積層されて形成される積層構造体を備え、
    前記積層構造体は、
    その下側端部において積層方向に複数の前記単位セルを通過し、各前記単位セルに燃料を供給するための1つの燃料供給路と、
    その上側端部において積層方向に複数の前記単位セルを通過し、各前記単位セルから燃料を排出するための1つの燃料排出路と
    各前記単位セルの前記燃料供給部材に形成され、前記燃料供給路と前記燃料排出路とを連通させる複数の直線状の燃料用流路と
    を備え、
    前記燃料用流路は、前記積層構造体の上下方向および積層方向に直交する幅方向において、間隔を隔てて複数形成されており、
    前記燃料供給路および前記燃料排出路は、前記燃料用流路を挟んで対向配置されるとともに、すべての前記燃料用流路と連通するように、幅方向に沿う長孔形状に形成されている
    ことを特徴とする、燃料電池。
  2. 請求項に記載の燃料電池を搭載していることを特徴とする、燃料電池車両。
  3. 前記燃料電池に供給する液体燃料を溜めるための燃料タンクと、
    液体燃料を前記燃料電池と前記燃料タンクとの間に循環させる循環路と、
    前記循環路に介在される循環ポンプとをさらに備え、
    前記燃料タンクは、その上端が前記燃料電池の上端よりも上方に位置するように配置され、
    前記循環ポンプは、その上端が前記燃料電池の上端よりも下方に位置するように配置されていることを特徴とする、請求項に記載の燃料電池車両。
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