JP2007227277A - 燃料電池装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料ガス流路内における水分が滞留する部分に対応する燃料極の部分は触媒を含まないようにして、異常反応が発生することなく、燃料極の劣化及び燃料電池の性能低下を確実に防止することができるようにする。
【解決手段】電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、前記燃料極に沿って燃料ガス流路が形成されたセパレータを挟んで積層されているセルモジュールを有し、前記燃料ガス流路内において燃料ガスが重力方向に対してほぼ直交する方向に流通する燃料電池装置であって、前記燃料極は、前記燃料ガス流路内において水分が滞留する水滞留部に対応する部分に、触媒を含まない触媒不在部を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池装置に関するものである。
従来、燃料電池は発電効率が高く、有害物質を排出しないので、産業用、家庭用の発電装置として、又は、人工衛星や宇宙船などの動力源として実用化されてきたが、近年は、乗用車、バス、トラック、乗用カート、荷物用カート等の車両用の動力源として開発が進んでいる。そして、前記燃料電池は、アルカリ水溶液型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、直接型メタノール(DMFC)等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池(PEMFC)が一般的である。
この場合、固体高分子電解質膜を2枚のガス拡散電極で挟み、一体化させて接合する。そして、該ガス拡散電極の一方を燃料極(アノード極)とし、その表面に燃料としての水素ガスを供給すると、水素が水素イオン(プロトン)と電子とに分解され、水素イオンが固体高分子電解質膜を透過する。また、前記ガス拡散電極の他方を酸素極(カソード極)とし、その表面に酸化剤としての空気を供給すると、空気中の酸素と、前記水素イオン及び電子とが結合して、水が生成される。このような電気化学反応によって起電力が生じるようになっている。
そして、固体高分子型燃料電池においては、固体高分子電解質膜の両側を湿潤な状態に維持する必要があるので、燃料極側及び酸素極側のそれぞれに水を供給するようになっている。この場合、水分は、燃料極側から酸素極側に向けてプロトン同伴水として移動し、酸素極側から燃料極側に向けて逆拡散水として移動する。
ところで、逆拡散水の量が多くなると、燃料極側において局所的に水素ガス流路が水分によって塞(ふさ)がれてしまい、燃料電池の性能が低下したり、燃料極が劣化したりしてしまうことが知られている。そこで、網目が形成された導電体をセパレータと燃料極との間の水素ガス流路内に配設して、水分が適切に拡散されるようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−209470号公報
しかしながら、前記従来の燃料電池装置においては、水素ガス流路内に溜(た)まった水分を排出する手段を有していないので、水素ガス流路内に溜まった水分の量が増加すると、燃料極の一部が水分によって覆われてしまい、異常反応が発生して燃料極が劣化してしまうことがあった。
本発明は、前記従来の燃料電池装置の問題点を解決して、燃料ガス流路内における水分が滞留する部分に対応する燃料極の部分は触媒を含まないようにして、異常反応が発生することなく、燃料極の劣化及び燃料電池の性能低下を確実に防止することができる燃料電池装置を提供することを目的とする。
そのために、本発明の燃料電池装置においては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、前記燃料極に沿って燃料ガス流路が形成されたセパレータを挟んで積層されているセルモジュールを有し、前記燃料ガス流路内において燃料ガスが重力方向に対してほぼ直交する方向に流通する燃料電池装置であって、前記燃料極は、前記燃料ガス流路内において水分が滞留する水滞留部に対応する部分に、触媒を含まない触媒不在部を備える。
本発明の他の燃料電池装置においては、さらに、前記水滞留部は、前記燃料ガス流路内の下部に発生し、前記燃料ガスの流通する方向に延在する領域である。
本発明の更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記触媒不在部は撥(はっ)水性を備える。
本発明によれば、燃料電池装置においては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、前記燃料極に沿って燃料ガス流路が形成されたセパレータを挟んで積層されているセルモジュールを有し、前記燃料ガス流路内において燃料ガスが重力方向に対してほぼ直交する方向に流通する燃料電池装置であって、前記燃料極は、前記燃料ガス流路内において水分が滞留する水滞留部に対応する部分に、触媒を含まない触媒不在部を備える。
この場合、燃料極の水滞留部に対応する部分において異常反応が発生することがないので、燃料極の劣化及び燃料電池の性能低下を確実に防止することができる。
他の燃料電池装置においては、さらに、前記水滞留部は、前記燃料ガス流路内の下部に発生し、前記燃料ガスの流通する方向に延在する領域である。
この場合、触媒不在部も燃料極の下部に形成するので、例えば、マスキング等の方法によって、容易に形成することができる。
更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記触媒不在部は撥水性を備える。
この場合、触媒不在部が水分を吸い上げてしまうことがなく、水滞留部に滞留した水分が上昇することを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の実施の形態における車両に搭載された燃料電池装置の燃料電池スタック及び空気供給ファンを示す図である。なお、図2(a)は斜視図であり、図2(b)は模式側面図である。
図において、11は燃料電池(FC)装置としての燃料電池スタックであり、乗用車、バス、トラック、乗用カート、荷物用カート等の車両用の動力源として使用される。ここで、前記車両は、照明装置、ラジオ、パワーウィンドウ等の車両の停車中にも使用される電気を消費する補機類を多数備えており、また、走行パターンが多様であり動力源に要求される出力範囲が極めて広いので、動力源としての燃料電池スタック11と図示されない蓄電手段としての二次電池やキャパシタを併用して使用することが望ましい。
そして、燃料電池スタック11は、アルカリ水溶液型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、直接型メタノール等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池であることが望ましい。
なお、更に望ましくは、水素ガスを燃料ガス、すなわち、アノードガスとし、酸素又は空気を酸化剤、すなわち、カソードガスとするPEMFC(Proton Exchange Membrane Fuel Cell)型燃料電池、又は、PEM(Proton Exchange Membrane)型燃料電池と呼ばれるものである。ここで、該PEM型燃料電池は、一般的に、プロトン等のイオンを透過する電解質層の両側に触媒、電極及びセパレータを結合したセル(Cell)を複数及び直列に結合したスタック(Stack)から成る。
本実施の形態において、燃料電池スタック11は、後述される複数のセルモジュール21を有する。該セルモジュール21は、燃料電池としての単位セル(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、該単位セル同士を電気的に接続するとともに、単位セルに導入される、アノードガスとしての水素ガスの流路とカソードガスとしての空気の流路とを分離する後述されるセパレータ22とを1セットとして、板厚方向に複数のセットを重ねて構成されている。なお、セルモジュール21は、単位セル同士が所定の間隙(げき)を隔てて配置されるように、単位セルとセパレータ22とが、多段に重ねられて積層されている。この場合、セルモジュール21は、導電可能に、かつ、燃料ガス流路、すなわち、水素ガス流路が連続するように相互に接続されている。
そして、単位セルは、後述されるように、電解質層としての固体高分子電解質膜31及び該固体高分子電解質膜31の両側に設けられた反応電極34から成る。なお、該反応電極34の一方は酸素極、すなわち、空気極として機能し、他方は燃料極として機能するが、前記空気極及び燃料極は実質的に同一の構成を有する。そして、前記反応電極34は、後述されるように、水素ガス又は空気、すなわち、反応ガスを拡散しながら透過する導電性材料から成る電極拡散層33と、該電極拡散層33上に形成され、固体高分子電解質膜31と接触させて支持される触媒物質を含む触媒層32とから成る。また、単位セルの空気極側の電極拡散層33に接触して集電するとともに、空気と水との混合流を透過する多数の開口が形成された網状の集電体としての空気極側コレクタと、単位セルの燃料極側の電極拡散層33に接触して同じく電流を外部に導出するための網状の集電体としての燃料極側コレクタとを有する。
前記単位セルにおいては、水が移動する。この場合、セパレータ22の燃料極側に形成された燃料室内に燃料ガス、すなわち、アノードガスとしての水素ガスを供給すると、水素が水素イオンと電子とに分解され、水素イオンがプロトン同伴水を伴って、固体高分子電解質膜31を透過する。また、前記空気極をカソード極とし、セパレータ22の空気極側に形成された空気流路としての酸素室内に酸化剤、すなわち、カソードガスとしての空気を供給すると、空気中の酸素と、前記水素イオン及び電子とが結合して、水が生成される。なお、水分が逆拡散水として固体高分子電解質膜31を透過し、燃料室内に移動する。ここで、逆拡散水とは、空気流路としての酸素室において生成される水が固体高分子電解質膜31内に拡散し、該固体高分子電解質膜31内を前記水素イオンと逆方向に透過して燃料室にまで浸透したものである。
図には、燃料電池スタック11に酸化剤としての空気を供給する装置が示されている。この場合、空気は、図示されないエアフィルタを通って、酸化剤供給源としての空気供給ファン13に吸引され、該空気供給ファン13から、空気供給管路14及び吸気マニホールド12を通って、燃料電池スタック11の酸素室、すなわち、空気流路に供給される。この場合、供給される空気の圧力は大気圧程度の常圧である。なお、前記空気供給ファン13は、空気を吸引して吐出することができるものであれば、いかなる種類のものであってもよい。また、前記エアフィルタは、空気に含まれる塵埃(じんあい)、不純物等を除去することができるものであれば、いかなる種類のものであってもよい。なお、酸化剤として、空気に代えて酸素を使用することもできる。そして、空気流路から排出される空気は、図示されない排気マニホールドを通って大気中へ排出される。図に示される例において、空気は燃料電池スタック11内を図2(b)における上から下へ流通する。
また、前記空気供給管路14には、空気流路に供給される空気中に水をスプレーして供給し、燃料電池スタック11の酸素極としての空気極を湿潤な状態に維持するための水供給ノズルを配設することもできる。さらに、前記排気マニホールドの端部に、前記燃料電池スタック11から排出される空気中の水分を凝縮して除去するためのの凝縮器を配設することもできる。この場合、該凝縮器によって凝縮された水は図示されない水タンクに回収されることが望ましい。そして、該水タンク内の水を前記水供給ノズルに供給することによって水を無駄に廃棄することなく、循環させて再利用することができる。
一方、燃料ガスとしての水素ガスは、水素吸蔵合金を収納した容器、デカリンのような水素吸蔵液体を収納した容器、水素ガスボンベ等から成る図示されない燃料貯蔵手段から燃料供給管路を通って、燃料電池スタック11の燃料ガス流路の入口に供給される。そして、燃料電池スタック11の燃料ガス流路の出口から未反応成分として排出される水素ガスは、図示されない燃料排出管路を通って燃料電池スタック11外に排出される。なお、前記燃料排出管路には、排出された水素ガスの含まれる水分を分離して回収するための水回収ドレインタンクが配設されていることが望ましい。これにより、水分が分離されて水回収ドレインタンクから排出された水素ガスを回収し、燃料電池スタック11の燃料ガス流路に供給して再利用することができる。
次に、前記燃料電池スタック11の構成を詳細に説明する。
図3は本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す模式斜視図、図4は本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す模式上面図、図5は本発明の実施の形態におけるセルモジュールの構成を示す模式斜視図、図6は本発明の実施の形態におけるセルモジュール内の水素ガスの流れを示す模式斜視図である。なお、図5(a)は通常のセルモジュールを示す図、図5(b)はセパレータを分離させたセルモジュールを示す図、図6(a)は奇数番目のセルモジュール内の水素ガスの流れを示す図、図6(b)は偶数番目のセルモジュール内の水素ガスの流れを示す図である。
ここでは、単位セル及びセパレータ22のセットを10個積層して、さらに、単位セルの両側には必ずセパレータ22が配設されるようセパレータ22をもう一枚積層して1つのセルモジュール21を形成し、該セルモジュール21を10個積層して1つの燃料電池スタック11を形成したものを例に採って説明する。
この場合、燃料電池スタック11は、全体として扁(へん)平な直方体状の形状を有し、内部における空気の流れは、図3において矢印Aで示されるように、重力方向、すなわち、上から下に直線状になっている。また、水素ガスの流れは、図3及び4において矢印Bで示されるように、重力方向、すなわち、前記矢印Aの方向とほぼ直交する水平面内において、セルモジュール21毎に折り返すサーペンタイン状に、すなわち、蛇行状になっている。なお、図4において、15aは水素ガスの入口側(図4における下側)に配設されたエンドプレートであり、15bは出口側(図4における上側)に配設されたエンドプレートである。そして、前記エンドプレート15a及びエンドプレート15bは、図示されない締め付け用シャフトによって、セルモジュール21を締め付ける力が付与された状態で、相互に接続されている。
また、各セルモジュール21は、図5(a)に示されるように、全体として直方体状の形状を有し、前述のように、11枚のセパレータ22を備える。なお、該セパレータ22は、長方形状の開口の周囲を取り囲む枠状のフレーム部23、及び、長手方向両端近傍に形成された長孔(あな)23aを有する。各セパレータ22は、図5(a)に示されるように、相互に密着し、かつ、長孔23a同士が相互に整列するように積層され、これにより、長孔23aはセパレータ22の積層方向に貫通する水素ガス流路を形成する。なお、図5(b)は、説明のために、セパレータ22同士の間隔を開けた状態、すなわち、分解した状態のセルモジュール21を示している。
ここで、図4において上から数えて奇数番目のセルモジュール21内における水素ガスの流れは、図6(a)における矢印Cで示されるようになっている。この場合、左右両側において整列する長孔23aによって形成された2本の通路と、セパレータ22の燃料極側において左右の長孔23aを接続するように形成された10本の水素ガス流路とを水素ガスが流れることが分かる。また、図4において上から数えて偶数番目のセルモジュール21内における水素ガスの流れは、図6(b)における矢印Dで示されるようになっている。この場合、奇数番目のセルモジュール21内と同様に、左右両側において整列する長孔23aによって形成された2本の通路と、セパレータ22の燃料極側において左右の長孔23aを接続するように形成された10本の水素ガス流路とを水素ガスが流れることが分かる。
次に、セパレータ22の燃料極側における水素ガス流路について説明する。
図7は本発明の実施の形態におけるセパレータの燃料極側の水素ガス流路を示す図である。
図に示されるように、セパレータ22は、フレーム部23の開口内に配設されて該フレーム部23に支持される長方形の板状の本体部25、及び、該本体部25の周囲に貼(てん)付された長方形状の開口を備える板状の外周補強板24を有する。ここで、水素ガスは、矢印Eで示されるように、重力方向に対してほぼ直交する方向に流通する。そして、前記本体部25は、水素ガス流路と空気流路とを分離して燃料極に供給される水素ガスと酸素極に供給される空気とを遮断する機能とともに集電体としての機能を備えるものであり、カーボン、金属等の電気抵抗の低い材料から成る板状の部材である。なお、燃料極側コレクタ及び空気極側コレクタの図示は省略されている。また、前記外周補強板24は、水素ガスのリークを防止するためのシール部材としても機能するものであり、他の部材で水素ガスのリークを防止することができる場合には省略することもできる。
そして、逆拡散水として燃料極側コレクタの燃料室にまで浸透した水分は、自重によって、すなわち、重力の作用によって水素ガス流路内を下方に移動する。そのため、逆拡散水の量が増加して水素ガス流路内の水分の量が増加すると、余分な水分が水素ガス流路内の下部に滞留して水滞留部26が発生する。該水滞留部26は、水素ガスの流通方向と平行な方向に延在する帯状の領域である。
通常、該水滞留部26では、燃料極が局部的又は全体的にも水分によって覆われてしまうので、水素ガスと接触して電気化学反応が発生する燃料極の面積が狭くなる。また、水素ガスの流通が水分によって妨げられ、水素ガスが水素ガス流路内に残留しやすくなり、燃料電池スタック11の起動時や停止時に残留した水素ガスと空気とが混合して電位シフトのような異常反応が発生し、燃料極が劣化してしまう。
そこで、本実施の形態においては、前記水滞留部26に対応する燃料極の部分に触媒層32を形成しないようにして、異常反応の発生と燃料極の劣化を確実に防止することができるようにする。また、触媒層32を形成しない部分における電極拡散層33に撥水性を付与することによって、水滞留部26の水分を電極拡散層33の基材が吸い上げることを防止することが望ましい。
次に、本実施の形態における燃料極の構成について詳細に説明するが、ここでは、空気極も燃料極と同一の構成とするので、空気極及び燃料極を反応電極34として統合的に説明する。
図1は本発明の実施の形態における単位セルの反応電極を示す斜視図である。なお、図1(a)は単位セル全体を示す分解図、図1(b)は一方の反応電極のみを示す図である。
図1(a)に示されるように、単位セルは、固体高分子電解質膜31、並びに、該固体高分子電解質膜31の両側において各々反応電極34を形成する触媒層32及び電極拡散層33から成る。ここで、前記固体高分子電解質膜31は、例えば、Nafion(R)という商品名で販売されているパーフルオロスルホン酸系ポリマーから成るが、いかなる材料から成るものであってもよい。また、前記触媒層32は、例えば、カーボン微粒子の表面に触媒物質として白金、ルテニウム等の微粒子を担持させたものから成るが、いかなる材料から成るものであってもよい。さらに、前記電極拡散層33は、例えば、クロス(布)、ペーパ(紙)等を基材とするものであるが、いかなる材料から成るものであってもよい。そして、前記固体高分子電解質膜31、触媒層32及び電極拡散層33を図1(a)に示されるような順となるように積層し、相互に密着させて一体化することによって、単位セルを得ることができる。
本実施の形態において、触媒層32及び電極拡散層33を積層させて成る反応電極34は、図1(b)に示されるように、触媒存在部34a、及び、該触媒存在部34aの下方において触媒層32が形成されず、触媒を含まない部分としての触媒不在部34bを有する。該触媒不在部34bは、前述の水滞留部26に対応する部分であり、横方向、すなわち、水素ガスの流通方向と平行な方向に延在する帯状の領域である。なお、触媒不在部34bは、触媒層32が存在しないので電気化学反応に寄与することがないが、電極拡散層33の固体高分子電解質膜31と反対側(図1(b)における奥側)の面が、集電体としての機能を備えるセパレータ22と接触するとともに、該セパレータ22との間に水素ガス流路又は空気流路を形成する機能を備えるものであるため、省略することができないものである。
また、触媒不在部34bは、水素ガス流路内の水滞留部26に滞留した水分と接触するので、触媒不在部34bに対応する部分の電極拡散層33の基材が水分を吸い上げてしまう。そこで、水滞留部26に滞留した水分が上昇することを防止するために、触媒不在部34bに対応する部分の電極拡散層33に撥水性を付与することが望ましい。
次に、単位セルを製作する方法について説明する。
図8は本発明の実施の形態における単位セルを製造する方法を示す図である。
まず、図8(a)に示されるように、通常部33a及び撥水部33bから成る電極拡散層33を形成する。前記通常部33aは前記触媒存在部34aに対応する部分であり、また、前記撥水部33bは、触媒不在部34bに対応する部分であり、撥水性が付与されている。前記撥水部33bは、例えば、撥水性を備える基材で形成したり、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)等の撥水性を備える物質を付着させたりすることによって形成することができるが、いかなる方法で形成されたものであってもよい。
続いて、図8(b)に示されるように、電極拡散層33の固体高分子電解質膜31側(図8(b)における手前側)の面において、撥水部33b上をマスク部材35で覆い、通常部33a上に触媒層32を形成する材料を塗布する。すなわち、マスキングによって触媒層32を形成することができる。これにより、図1(b)に示されるように、触媒存在部34aと帯状の触媒不在部34bとを有する反応電極34が形成される。
続いて、図8(c)に示されるように、1枚の固体高分子電解質膜31の両側を2枚の反応電極34で挟むように固体高分子電解質膜31と反応電極34とを積層して相互に密着させ、熱圧着によって一体化する。この場合、各反応電極34は、触媒層32が形成された側の面が固体高分子電解質膜31に対向するような向きとなるようにして、積層される。これによって、単位セルが製造される。
このように、本実施の形態において、燃料電池スタック11は、燃料ガス流路の水滞留部26に対応する反応電極34の部分を触媒層32が形成されない触媒不在部34bとするようになっている。水滞留部26に対応する反応電極34の部分において、異常反応が発生せず、燃料極の劣化を確実に防止することができる。
また、触媒不在部34bに対応する電極拡散層33の部分を撥水性が付与された撥水部33bとするようになっている。そのため、触媒不在部34bに対応する電極拡散層33の部分が水分を吸い上げてしまうことがなく、水滞留部26に滞留した水分が上昇することを防止することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の実施の形態における単位セルの反応電極を示す斜視図である。 本発明の実施の形態における車両に搭載された燃料電池装置の燃料電池スタック及び空気供給ファンを示す図である。 本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す模式斜視図である。 本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す模式上面図である。 本発明の実施の形態におけるセルモジュールの構成を示す模式斜視図である。 本発明の実施の形態におけるセルモジュール内の水素ガスの流れを示す模式斜視図である。 本発明の実施の形態におけるセパレータの燃料極側の水素ガス流路を示す図である。 本発明の実施の形態における単位セルを製造する方法を示す図である。
符号の説明
11 燃料電池スタック
21 セルモジュール
22 セパレータ
26 水滞留部
31 固体高分子電解質膜
34b 触媒不在部

Claims (3)

  1. 電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、前記燃料極に沿って燃料ガス流路が形成されたセパレータを挟んで積層されているセルモジュールを有し、前記燃料ガス流路内において燃料ガスが重力方向に対してほぼ直交する方向に流通する燃料電池装置であって、
    前記燃料極は、前記燃料ガス流路内において水分が滞留する水滞留部に対応する部分に、触媒を含まない触媒不在部を備えることを特徴とする燃料電池装置。
  2. 前記水滞留部は、前記燃料ガス流路内の下部に発生し、前記燃料ガスの流通する方向に延在する領域である請求項1に記載の燃料電池装置。
  3. 前記触媒不在部は撥水性を備える請求項1に記載の燃料電池装置。
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