JP2009231111A - 燃料電池ユニット、燃料電池スタックおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の燃料電池セルを積層する場合に厚みの増大を抑制することが可能な燃料電池ユニット、燃料電池スタックおよび電子機器を提供する。
【解決手段】燃料電池ユニット1は、燃料電極10の両面側に、酸素電極20Aおよび酸素電極20Bが配置されている。燃料電極10は、集電体11の両面にそれぞれ、拡散層12と触媒層13とを有し、酸素電極20A,20Bは、集電体21の燃料電極10に対向する側の面にそれぞれ、拡散層22と触媒層23とを有する。燃料電極10と酸素電極20A,20Bとの間には、燃料および電解質を含む流動体を流すための流路30がそれぞれ設けられている。一つの燃料電極10の両面に燃料および電解質が供給され、酸素電極20A,20Bとの間でそれぞれ反応が起こり電力が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池ユニット1は、燃料電極10の両面側に、酸素電極20Aおよび酸素電極20Bが配置されている。燃料電極10は、集電体11の両面にそれぞれ、拡散層12と触媒層13とを有し、酸素電極20A,20Bは、集電体21の燃料電極10に対向する側の面にそれぞれ、拡散層22と触媒層23とを有する。燃料電極10と酸素電極20A,20Bとの間には、燃料および電解質を含む流動体を流すための流路30がそれぞれ設けられている。一つの燃料電極10の両面に燃料および電解質が供給され、酸素電極20A,20Bとの間でそれぞれ反応が起こり電力が得られる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、メタノールを直接燃料電極に供給して反応させる直接型メタノール燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell )などの燃料電池ユニットおよび燃料電池スタックならびにそれらを備えた電子機器に関する。
電池の特性を示す指標として、エネルギー密度と出力密度とがある。エネルギー密度とは電池の単位質量あたりのエネルギー蓄積量であり、出力密度とは電池の単位質量あたりの出力量である。リチウムイオン二次電池は、比較的高いエネルギー密度と極めて高い出力密度という二つの特徴を併せもっており、完成度も高いことから、モバイル機器の電源として広く採用されている。しかし、近年、モバイル機器は高性能化にともなって消費電力が増加する傾向にあり、リチウムイオン二次電池にも更なるエネルギー密度および出力密度の向上が求められている。
その解決策として、正極および負極を構成する電極材料の変更、電極材料の塗布方法の改善、電極材料の封入方法の改善などが挙げられ、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させる研究が行われている。しかし、実用化に向けてのハードルはまだ高い。また、現在のリチウムイオン二次電池に使用されている構成材料が変わらない限り、大幅なエネルギー密度の向上を期待することは難しい。
このため、リチウムイオン二次電池に代わる、よりエネルギー密度の高い電池の開発が急務とされており、燃料電池はその候補の一つとして有力視されている。
燃料電池は、アノード(燃料電極)とカソード(酸素電極)との間に電解質が配置された構成を有し、燃料電極には燃料、酸素電極には空気または酸素がそれぞれ供給される。この結果、燃料電極および酸素電極において燃料が酸素によって酸化される酸化還元反応が起こり、燃料がもつ化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて取り出される。
既に、さまざまな種類の燃料電池が提案または試作され、一部は実用化されている。これらの燃料電池は、用いられる電解質によって、アルカリ電解質型燃料電池(AFC;Alkaline Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC;Phosphoric Acid Fuel Cell )、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC;Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Electrolyte Fuel Cell )および固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell )などに分類される。このうち、PEFCは、他の型式のものと比較して低い温度、例えば30℃〜130℃程度の温度で動作させることができる。
燃料電池の燃料としては、水素やメタノールなど、種々の可燃性物質を用いることができる。しかし、水素などの気体燃料は、貯蔵用のボンベなどが必要になるため、小型化には適していない。一方、メタノールなどの液体燃料は、貯蔵しやすい点で有利である。とりわけ、DMFCには、燃料から水素を取り出すための改質器を必要とせず、構成が簡素になり、小型化が容易であるという利点がある。
DMFCでは、燃料のメタノールは、通常、低濃度または高濃度の水溶液として、もしくは純メタノールの気体の状態で燃料電極に供給され、燃料電極の触媒層で二酸化炭素に酸化される。このとき生じたプロトンは、燃料電極と酸素電極とを隔てる電解質膜を通って酸素電極へ移動し、酸素電極で酸素と反応して水を生成する。燃料電極、酸素電極およびDMFC全体で起こる反応は、化1で表される。
(化1)
燃料電極:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2 O
DMFC全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2 O
燃料電極:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2 O
DMFC全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2 O
DMFCの燃料であるメタノールのエネルギー密度は、理論的に4.8kW/Lであり、一般的なリチウムイオン二次電池のエネルギー密度の10倍以上である。すなわち、燃料としてメタノールを用いる燃料電池は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を凌ぐ可能性を多いに持っている。以上のことから、DMFCは、種々の燃料電池のなかで最も、モバイル機器や電気自動車などのエネルギー源として使用される可能性が高い。
しかしながら、DMFCには、理論電圧は1.23Vであるにもかかわらず、実際に発電しているときの出力電圧は約0.6V以下に低下してしまうという問題がある。出力電圧が低下する原因は、DMFCの内部抵抗によって生じる電圧降下であって、DMFCには、両電極で生じる反応に伴う抵抗、物質の移動に伴う抵抗、プロトンが電解質膜を移動する際に生じる抵抗、更に接触抵抗などの内部抵抗が存在している。メタノールの酸化から電気エネルギーとして実際に取り出すことのできるエネルギーは、発電時の出力電圧と、回路を流れる電気量との積で表されるから、発電時の出力電圧が低下すると、実際に取り出すことのできるエネルギーはその分小さくなってしまう。なお、メタノールの酸化によって回路に取り出せる電気量は、メタノールの全量が化1に従って燃料電極で酸化されるなら、DMFC内のメタノール量に比例する。
また、DMFCには、メタノールクロスオーバーの問題がある。メタノールクロスオーバーとは、燃料電極側と酸素電極側とのメタノールの濃度差によってメタノールが拡散移動する現象と、プロトンの移動にともなって引き起こされる水の移動によって、水和したメタノールが運搬される電気浸透現象との二つの機構によって、メタノールが燃料電極側から電解質膜を透過して酸素電極側に到達してしまう現象である。
メタノールクロスオーバーが生じると、透過したメタノールは酸素電極の触媒層で酸化される。酸素電極側でのメタノール酸化反応は、上述した燃料電極側での酸化反応と同じであるが、DMFCの出力電圧を低下させる原因になる。また、メタノールが燃料電極側で発電に使われず、酸素電極側で浪費されるので、回路に取り出せる電気量がその分減少してしまう。更に、酸素電極の触媒層は白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒ではなく白金(Pt)触媒であることから、触媒表面に一酸化炭素(CO)が吸着されやすく、触媒の被毒が生じるなどの不都合もある。
このようにDMFCには、内部抵抗とメタノールクロスオーバーとによって生じる電圧低下、およびメタノールクロスオーバーによる燃料の浪費という二つの問題があり、これらはDMFCの発電効率を低下させる原因になっている。そこで、DMFCの発電効率を高めるために、DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究・開発や、DMFCの運転条件を最適化する研究・開発が精力的に行われている。
DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究では、電解質膜および燃料電極側の触媒などに関するものが挙げられる。電解質膜については、現在ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂膜(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)が一般的に用いられているが、これよりも高いプロトン伝導率と高いメタノール透過阻止性能とを有するものとして、フッ素系高分子膜、炭化水素系高分子電解質膜またはハイドロゲルベース電解質膜などが検討されている。燃料電極側の触媒に関しては、現在一般的に用いられている白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒よりも高活性な触媒の研究開発が行われている。
このような燃料電池の構成材料の特性向上は、燃料電池の発電効率を向上させる手段として的確である。しかしながら、上述した二つの問題を打破するような最適な触媒が見つからないと同様、最適な電解質膜も見つかっていないのが現状である。
一方、特許文献1では、電解質膜に代えて、液状の電解質(電解液)を用いることが記載されている。電解液は、酸素電極と燃料電極との間に静止している場合もあるが、酸素電極と燃料電極との間に設けられた流路を流れ、外部に出たのち再び流路内に戻され、循環するようになっている場合もある。
特開昭59−191265号公報
さらに燃料電池では、一つの燃料電池セルから取り出される電力が極めて低く、実用的な電流を取り出すためには、複数の燃料電池セルを積層して直列に接続する必要性がある。
燃料電池セルの接続方法としては、酸素電極の端部を隣のセルの燃料電極に電線を用いて接続する、いわゆるモノポーラが一般的である。しかしながら、このモノポーラによると、複数の燃料電池セルが単純に積層された構造であるため、燃料電池スタック全体の厚みは、燃料電池セルを重ねた枚数の分だけ増すこととなる。このため、必然的に電池全体の厚みが増し、大型化してしまうという問題があった。
ちなみに、バイポーラプレートを使用して、燃料電極の表面全体と隣のセルの酸素電極とを一体化しつつ接続する方法もある。しかしながら、このようなバイポーラプレートを用いた場合には、スタック全体の厚みはバイポーラプレートの厚みに依存する。通常、バイポーラプレートには、燃料電極用および酸素電極用の流路等を形成する必要があるため、このバイポーラプレートの厚みを大幅に低減することは困難である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の燃料電池セルを積層する場合に厚みの増大を抑制することが可能な燃料電池ユニットおよび燃料電池スタックならびにそれらを備えた電子機器を提供することにある。
本発明による燃料電池ユニットは、対向する2面を有する燃料電極と、燃料電極の一方および他方の面にそれぞれ対向するように設けられた第1および第2の酸素電極と、燃料電極と第1および第2の酸素電極との間に設けられた電解質層とを備えたものである。
本発明による燃料電池スタックは、上記本発明の燃料電池ユニットを複数積層したものである。本発明による電子機器は、上記本発明の燃料電池ユニットを搭載したものである。
本発明の燃料電池ユニット、燃料電池スタックおよび電子機器では、燃料電池ユニットにおいて、燃料電極の両側に第1および第2の酸素電極が設けられていることにより、燃料電極における反応面積が拡大する。
本発明の燃料電池ユニットでは、第1および第2の酸素電極の燃料電極側に、燃料および電解質を含む第1の流動体を流通させるための流路が設けられていることが好ましい。これにより、燃料を流通させるための流路と電解液を流通させるための流路が別々に設けられている場合に比べて、薄型化を実現し易くなる。
本発明の燃料電池スタックでは、一の燃料電池ユニットの第1もしくは第2の酸素電極と、他の燃料電池ユニットの第1もしくは第2の酸素電極とが対向するように接続され、一および他の燃料電池ユニット同士で、第2の流動体を流通させるための流路が接続部分において共通となっていることが好ましい。これにより、積層による厚みの増大をより効果的に抑制することができる。
本発明の燃料電池ユニット、燃料電池スタックによれば、燃料電極の両側に第1および第2の酸素電極を設けるようにしたので、燃料電極の反応面積を拡大することができ、2つの酸素電極に対して1つの燃料電極を配した構造によって、2つの燃料電池セル分とほぼ同等の電力を得ることができる。よって、複数の燃料電池セルを積層する場合に、厚みの増大を抑制することができる。またこれにより、薄型で消費電力の大きな電子機器にも好適に用いることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池ユニット110の断面構造を表すものである。燃料電池ユニット110は、いわゆる直接型メタノールフロー型燃料電池(DMFFC;Direct Methanol Flow BasedFuel Cell)であり、外装部材14,24の内部に、1つの燃料電極(アノード)10を間にして2つの酸素電極(カソード)20A,20Bが設けられたものである。すなわち、燃料電極10の両面に、酸素電極20A,20Bがそれぞれ対向するように配置されている。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池ユニット110の断面構造を表すものである。燃料電池ユニット110は、いわゆる直接型メタノールフロー型燃料電池(DMFFC;Direct Methanol Flow BasedFuel Cell)であり、外装部材14,24の内部に、1つの燃料電極(アノード)10を間にして2つの酸素電極(カソード)20A,20Bが設けられたものである。すなわち、燃料電極10の両面に、酸素電極20A,20Bがそれぞれ対向するように配置されている。
燃料電極10は、集電体11を中心として、その一面側に拡散層12aおよび触媒層13a、他面側に拡散層12bおよび触媒層13bがそれぞれ積層した構成を有している。酸素電極20A,20Bはそれぞれ、集電体21a,21bの燃料電極10と対向する側に、拡散層22a,22bおよび触媒層23a,23bを順に積層した構成を有している。
集電体11は、例えば電気伝導性を有するポーラス材や板状部材、具体的にはチタン(Ti)メッシュやチタン板などにより構成されている。集電体21a,21bは、例えばチタンメッシュなどにより構成されている。
拡散層12a,12b,22a,22bは、例えば、カーボンクロス,カーボンペーパーまたはカーボンシートにより構成されている。これらの拡散層12a,12b,22a,22bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などにより撥水化処理が行われていることが望ましい。但し、拡散層12a,12b,22a,22bは必ずしも設ける必要はなく、触媒層を直接集電体上に形成するようにしてもよい。
触媒層13a,13b,23a,23bは、触媒として、例えば、パラジウム(Pd),白金(Pt),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh)およびルテニウム(Ru)などの金属の単体または合金、有機錯体、酵素などにより構成されている。また、触媒層13a,13b,23a,23bには、触媒に加えて、プロトン伝導体およびバインダーが含まれていてもよい。プロトン伝導体としては、上述したポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)またはその他のプロトン伝導性を有する樹脂が挙げられる。バインダーは、触媒層13a,13b,23a,23bの強度や柔軟性を保つために添加されるものであり、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂が挙げられる。このような触媒層13a,13b,23a,23bとしては、燃料・電解質流路30を流れる燃料を酸化しない選択性触媒、例えばパラジウム、パラジウム鉄、パラジウムコバルト、パラジウムニッケル、パラジウムクロムなどのパラジウム合金(二元系、三元系、四元系なども含む)ルテニウム系合金、例えばRuSeなどを用いることが望ましい。
このような燃料電極10と酸素電極20A,20Bとの間にはそれぞれ、燃料と電解質を含む流動体(第1の流動体)F1を流通させる燃料・電解質流路30が設けられている。一方、酸素電極20A,20Bの外側には、空気もしくは酸素(第2の流動体)を供給するための空気流路40が設けられている。
燃料・電解質流路30は、例えば、樹脂シートを加工することにより微細な流路を形成したものであり、燃料電極10の両面側に接着されている。この燃料・電解質流路30には、外装部材14に設けられた燃料・電解質入口14Aおよび燃料・電解質出口14Bを介して燃料および電解質を含む流動体F1、例えばメタノール硫酸混合液が供給されるようになっている。なお、流路の本数は限定されない。また、流路の形状は例えば蛇型、並列型などであり、特に限定されない。さらに、流路の幅,高さおよび長さについても特には限定されないが、小さい方が望ましい。また、燃料および電解質を混合させた状態で流通させるようにしてもよく、あるいは燃料と電解液を層分離した状態で流通させるようにしてもよい。
空気流路40には、外装部材24に設けられた空気入口24Aおよび空気出口24Bを介して、自然換気あるいはファン、ポンプおよびブロワなどの強制的供給法により、空気が供給されるようになっている。
外装部材14,24は、例えば、厚みが1mmであり、チタン(Ti)板などの一般的に購入可能な材料により構成されているが、材料は特に限定されない。なお、外装部材14,24の厚みは薄ければ薄いほうが望ましい。
上記燃料電池ユニット110は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、燃料電極10を形成する。まず、触媒として例えば白金とルテニウムとを所定の比で含む合金と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合することにより触媒層13a,13bを形成する。この触媒層13a,13bを、上述した材料よりなる拡散層12a,12bにそれぞれ熱圧着する。続いて、上述した材料よりなる集電体11の一面に拡散層12aおよび触媒層13a、他面に拡散層12bおよび触媒層13bをホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いてそれぞれ熱圧着する。これにより、燃料電極10を形成する。なお、上述したように拡散層12a,12bを形成せずに、集電体11の両面に触媒層13a,13bを直接形成するようにしてもよい。
一方、酸素電極20A,20Bを形成する。まず、触媒として白金をカーボンに担持させたものと、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、触媒層23a,23bを形成する。この触媒層23a,23bを、上述した材料よりなる拡散層22a,22bにそれぞれ熱圧着する。続いて、上述した材料よりなる集電体21aに拡散層22aおよび触媒層23a、集電体21bに拡散層22bおよび触媒層23bを、それぞれホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着する。これにより、酸素電極20A,20Bを形成する。
他方、接着性のある樹脂シートを用意し、この樹脂シートに流路を形成して燃料・電解質流路30を形成する。また、上述した材料よりなる外装部材14に、例えば樹脂製の継手よりなる燃料・電解質入口14Aおよび燃料・電解質出口14Bを設け、外装部材24には、例えば樹脂製の継手よりなる空気入口24Aおよび空気出口24Bを設ける。
続いて、燃料電極10の両面側に燃料・電解質流路30を熱圧着する。
最後に、熱圧着した燃料・電解質流路30の両面に、これらを挟み込むようにして2つの酸素電極20A,20Bを接着し、外装部材14,24に収納する。これにより、図1に示した燃料電池ユニット110が完成する。
次に、上記燃料電池ユニット110の作用、効果について説明する。
燃料電池ユニット110では、燃料・電解質流路30により燃料および電解質が燃料電極10に供給されると、反応によりプロトンと電子とを生成する。プロトンは燃料・電解質流路30を通って酸素電極20A,20Bに移動し、電子および酸素と反応して水を生成する。燃料電極10、酸素電極20および燃料電池ユニット110全体で起こる反応は、化2で表される。これにより、燃料であるメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて、電力として取り出される。なお、燃料電極10で発生する二酸化炭素および酸素電極20A,20Bで発生する水は、燃料・電解質流路30に流出して取り除かれる。
(化2)
燃料電極10:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極20:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2 O
燃料電池ユニット110全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2 O
燃料電極10:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極20:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2 O
燃料電池ユニット110全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2 O
このとき特に、燃料電極10の両面に対向するようにそれぞれ酸素電極20A,20Bが配置され、燃料電極10の両面に燃料および電解質が供給されることにより、燃料電極10の厚みを増すことなく反応面積が拡大される。そして、2つの酸素電極20A,20Bを電気的に接続することにより、燃料電池ユニット1では、1つの燃料電極と1つの酸素電極との組み合わせからなる燃料電池セル(単位セル)を2つ接続した場合とほぼ同等の出力がなされることとなる。
ここで、図2に、1つの燃料電極211と1つの酸素電極212とを外装部材201,210に収納した燃料電池セル200の断面構造を示す。燃料電極211は集電体203上に拡散層204および触媒層205、酸素電極212は集電体209上に拡散層208および触媒層207をそれぞれ積層してなり、触媒層205,207同士が対向するように設置されている。燃料電極211と酸素電極212との間には電解液を流通させるための電解液流路206、燃料電極211と外装部材201との間には燃料を供給するための燃料流路が設けられている。外装部材201は、燃料入口201Aおよび燃料出口201Bを有し、外装部材210は、電解液入口210Aおよび電解液出口210Bを有している。このような燃料電池セル200と、本実施の形態の燃料電池ユニット1との、電流−電圧特性を図3(A)、電流−電力特性を図3(B)に示す。
図3(A),(B)に示したように、本実施の形態の燃料電池ユニット110では、1つの燃料電極と1つの酸素電極とを対向配置させた燃料電池セル200に比べて、電圧−電流特性および電力−電流特性が向上した。特に、電流が大きくなるに従って両者間の差は大きくなり、燃料電池ユニット110では燃料電池セル200の2倍以上の電圧、電力を実現し得ることがわかる。なお、電圧および電力が2倍以上となるのは、積層によって燃料電池ユニット110内部に熱がこもり温度が上昇して触媒反応が促進されるためと考えられる。
以上のように、本実施の形態の燃料電池ユニット110では、燃料電極10の両側に酸素電極20A,20Bを設けるようにしたので、燃料電極10の反応面積を拡大することができ、2つの酸素電極に対して一つの燃料電極を配した構造によって、2つの燃料電池セルとほぼ同等の電力を得ることができる。よって、複数の燃料電池セルを積層する際に厚みの増大を抑制することができる。
また、燃料・電解質流路30により、燃料と電解質とを同一の流路で流通させることで、一つの流路で燃料と電解質とを供給することができ、燃料と電解質とを別々の流路で流通させる場合に比べて、簡易な構造となり、薄型化を実現しやすくなる。さらに、燃料および電解質を流動体として供給することにより、電解質膜が不要となり、温度や湿度に影響されることなく発電を行うことができると共に、電解質膜を用いた場合に比べてイオン伝導度(プロトン伝導度)を高めることができる。また、電解質膜の劣化や、電解質膜の乾燥によるプロトン伝導性の低下の虞もなくなり、酸素電極におけるフラッディングや水分管理などの問題も解消できる。
(適用例)
次に、本発明の燃料電池ユニットの適用例について説明する。
次に、本発明の燃料電池ユニットの適用例について説明する。
図4は、上記燃料電池ユニット110を用いた電子機器の概略構成を表すものである。この電子機器は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant;個人用携帯情報機器)などのモバイル機器、ノート型PC(Personal Computer )などの電子機器であり、燃料電池システム1とこの燃料電池システム1で発電される電気エネルギーにより駆動される外部回路(負荷)2とを備えている。
燃料電池システム1は、例えば、燃料電池ユニット110と、この燃料電池ユニット110の運転状態を測定する測定部120と、測定部120による測定結果に基づいて燃料電池ユニット110の運転条件を決定する制御部130とを備えている。この燃料電池システム1は、また、燃料電池ユニット110に燃料および電解質を含む流動体F1を供給する燃料・電解質供給部140と、例えばメタノールなどの燃料F2のみを燃料・電解質貯蔵部141に供給する燃料供給部150とを備えている。なお、燃料電池ユニット110における燃料・電解質流路30は、外装部材24に設けられた燃料・電解質入口24Aおよび燃料・電解質出口24Bを介して燃料・電解質供給部140に連結されており、燃料・電解質供給部140から流動体F1が供給されるようになっている。
測定部120は、燃料電池ユニット110の動作電圧および動作電流を測定するものであり、例えば、燃料電池ユニット110の動作電圧を測定する電圧測定回路121と、動作電流を測定する電流測定回路122と、得られた測定結果を制御部130に送るための通信ライン123とを有している。
制御部130は、測定部120の測定結果に基づいて、燃料電池ユニット110の運転条件として燃料・電解質供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御を行うものであり、例えば、演算部131、記憶(メモリ)部132、通信部133および通信ライン134を有している。ここで、燃料・電解質供給パラメータは、例えば、燃料・電解質を含む流動体F1の供給流速を含んでいる。燃料供給パラメータは、例えば、燃料F2の供給流速および供給量を含み、必要に応じて供給濃度を含んでいてもよい。制御部130は、例えばマイクロコンピュータにより構成することができる。
演算部131は、測定部120で得られた測定結果から燃料電池ユニット110の出力を算出し、燃料・電解質供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定するものである。具体的には、演算部131は、記憶部132に入力された各種測定結果から一定間隔でサンプリングしたアノード電位、カソード電位、出力電圧および出力電流を平均して、平均アノード電位、平均カソード電位、平均出力電圧および平均出力電流を算出し、記憶部132に入力すると共に、記憶部132に保存されている各種平均値を相互比較し、燃料・電解質供給パラメータおよび燃料供給パラメータを判定するようになっている。
記憶部132は、測定部120から送られてきた各種測定値や、演算部131により算出された各種平均値などを記憶するものである。
通信部133は、通信ライン123を介して測定部120から測定結果を受け取り、記憶部132に入力する機能と、通信ライン134を介して燃料・電解質供給部140および燃料供給部150に燃料・電解質供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定する信号をそれぞれ出力する機能とを有している。
燃料・電解質供給部140は、燃料・電解質貯蔵部141と、燃料・電解質供給調整部142と、燃料・電解質供給ライン143とを備えている。燃料・電解質貯蔵部141は、流動体F1を貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。燃料・電解質供給調整部142は、流動体F1の供給流速を調整するものである。燃料・電解質供給調整部142は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。
燃料供給部150は、燃料貯蔵部151と、燃料供給調整部152と、燃料供給ライン153とを有している。燃料貯蔵部151は、メタノールなどの燃料F2のみを貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。燃料供給調整部152は、燃料F2の供給流速および供給量を調整するものである。燃料供給調整部152は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。なお、燃料供給部150は、燃料F2の供給濃度を調整する濃度調整部(図示せず)を備えていてもよい。濃度調整部は、燃料F2として純(99.9%)メタノールを用いる場合には省略することができ、より小型化することができる。
また、上記燃料電池システム1は、次のようにして製造することができる。例えば、上記燃料電池ユニット110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,燃料・電解質供給部140および燃料供給部150を有するシステムに組み込み、燃料入口14Aおよび燃料出口14Bと燃料供給部150とを例えばシリコーンチューブよりなる燃料供給ライン153で接続すると共に、燃料・電解質入口14Aおよび燃料・電解質出口14Bと燃料・電解質供給部140とを例えばシリコーンチューブよりなる燃料・電解質供給ライン143で接続する。これにより、図4に示した燃料電池システム1が完成する。
このような燃料電池システム1では、燃料・電解質供給部140により、燃料電池ユニット110に燃料および電解質を含む流動体F1が供給されると、上述したように、燃料電池スタック110から電力が取り出され、外部回路2が駆動される。
燃料電池ユニット110の運転中には、測定部120により燃料電池ユニット110の動作電圧および動作電流が測定され、その測定結果に基づいて、制御部130により、燃料電池ユニット110の運転条件として上述した燃料・電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御が行われる。測定部120による測定および制御部130によるパラメータ制御は頻繁に繰り返され、燃料電池ユニット110の特性変動に追従して流動体F1および燃料F2の供給状態が最適化される。
ここで、燃料電池システム1では、燃料電池ユニット110を備えていることにより、モバイル機器から大型装置まで組み込めるような柔軟性の高い簡易な構成で、高出力を実現できる。よって特に、薄型で消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器に好適に用いることができる。
(変形例)
次に、本発明の燃料電池ユニットの変形例について説明する。
次に、本発明の燃料電池ユニットの変形例について説明する。
図5は、上記燃料電池ユニット110の変形例に係る燃料電池ユニット111の断面構造を表すものである。この燃料電池ユニット111では、2つの酸素電極20A,20Bの燃料電極10と対向する側に機能層51a,51bが設けられていること以外は、上記燃料電池ユニット110と同様の構成となっている。よって、同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
機能層51a,51bは、燃料および電解質を含む流動体F1と触媒層23a,23bとの間のイオンパスを保ちつつ、燃料のクロスオーバーによって酸素電極20A,20Bで起こる過電圧を防ぐ機能(過電圧抑制層)、および酸素電極20A,20Bのフラッディングを抑制する機能(フラッディング抑制層)を有している。また、触媒層23a,23bと流動体F1との直接接触による酸素電極20A,20Bのヒビや穴などの劣化を抑える劣化防止層としても機能するものである。
これら機能層51a,51bは、例えば、多孔質により構成されている。多孔質の有する細孔により、流動体F1と触媒層23a,23bとの間のイオンパスを確保することができる。多孔質としては、具体的には、金属,カーボン,ポリイミドなどの樹脂,あるいはセラミックが挙げられ、これらの複数の材料よりなるブレンド層でもよい。樹脂は、撥水性樹脂でもよいし、親水性樹脂でもよい。機能層51a,51bの厚みは、例えば約1μm〜100μmであるが、なるべく薄い方が望ましい。また、機能層51a,51bの細孔としては、例えばナノメートルからミクロメートルの径を有するものが好ましいが、特に限定されない。
機能層51a,51bは、また、プロトン伝導体などのイオン伝導体により構成されていてもよい。プロトン伝導体としては、例えば、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)、ポリスチレンスルホン酸、フラーレンベースの伝導体、固体酸、またはその他のプロトン伝導性を有する樹脂が挙げられる。
このような機能層51a,51bは、例えば、触媒層23a,23bの拡散層22a,22bに熱圧着されていない面に、例えばバーコート法を用いて形成することが望ましい。一定の厚みで塗布することができるからである。但し、機能層51の形成方法は、このバーコート法に限定されるものではなく、グラビアコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、ドクバーバーコート法、ワイヤーバーコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法などの他の塗布方法を用いることも可能である。また、機能層51a,51bの材料を含む塗布液を別の部材に塗布し、乾燥することにより多孔質膜を形成し、この多孔質膜を触媒層23a,23b上に転写するようにしてもよい。更に、上述した材料よりなる機能層51a,51bを触媒層23a,23bに熱圧着してもよい。
上記のように、酸素電極20A,20Bの触媒層23a,23b上に、さらに機能層51a,51bを設けるようにしてもよい。これにより、上記燃料電池ユニット110と同様の効果を得ることができると共に、酸素電極20A,20Bへの燃料クロスオーバーやフラッディング状態を緩和あるいは無効化することができる。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池スタック112の断面構造を表すものである。なお、上記第1の実施の形態に係る燃料電池ユニット110と同様の構成要素については、同一の符号を付し適宜説明を省略するものとする。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池スタック112の断面構造を表すものである。なお、上記第1の実施の形態に係る燃料電池ユニット110と同様の構成要素については、同一の符号を付し適宜説明を省略するものとする。
燃料電池スタック112は、外装部材14,24の内部に、燃料電池ユニット112A,112Bを縦方向に積層した構造を有している。燃料電池ユニット112A,112Bはそれぞれ、燃料電極10を間にして2つの酸素電極20A,20Bを有している。各燃料電極10の両側には、燃料・電解質流路30が設けられている。なお、各燃料電池ユニット内および各燃料電池ユニット間の燃料・電解質流路30および空気流路40の接続は、直列であっても並列であってもよく、またこれらを組み合わせるようにしてもよい。
燃料電池ユニット112A,112Bにおける酸素電極20A,20Bの燃料電極10と反対側にはそれぞれ、空気流路40が設けられている。但し、燃料電池ユニット112Aと燃料電池ユニット112Bとの接合部分には、共通空気流路41が設けられている。すなわち、燃料電池ユニット112Aの酸素電極20Bと燃料電池ユニット112Bの酸素電極20Aとの空気流路は、燃料電池ユニット112A,112B間で共通の流路となっている。
このように、1つの燃料電極10に対して2つの酸素電極を配置した燃料電池ユニットを単位ユニットとして、複数積層することができる。これにより、積層による厚みの増大を抑えつつ、高出力化を実現できる。また、このとき、積層により隣接する燃料電池ユニット112A,112B間に共通空気流路41設け、一部の空気流路の共通化を図ることで、薄型化に有利となる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態では、燃料電極10,酸素電極20A,20B,燃料・電解質流路30および空気流路40の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。例えば、燃料・電解質流路30は、上記実施の形態で説明したような樹脂シートを加工して流路を形成したもののほか、多孔質などのシートにより構成してもよい。
また、上記実施の形態では、燃料・電解質流路30により、燃料電極10の両面側に燃料および電解質を混合させた流動体を供給する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば燃料電極10側に燃料を流通するための燃料供給流路、酸素電極20A,20Bの側に電解液を流通させるための電解液流路をそれぞれ分割して設けるようにしてもよい。もしくは、この場合、酸素電極20A,20Bの側には、電解液を流通させる流路ではなくイオン伝導性を有する電解質膜を設けるようにしてもよい。さらに、この場合、上記第1の実施の形態の変形例において説明した機能層51a,51bを、イオン伝導性を有する材料で構成することにより、上記電解質膜として機能させるようにしてもよい。但し、上記実施の形態で説明したように燃料と電解質とを同一の流路で流通させる場合の方が厚みの増大をより効果的に抑制することができる。
また、上記実施の形態において説明した燃料および電解液を含む流動体F1は、プロトン(H+ )伝導性を有するものであれば特に限定されず、例えば、硫酸のほか、リン酸またはイオン性液体が挙げられる。さらに、上記第2の実施の形態で説明した燃料F2は、メタノールのほか、エタノールやジメチルエーテルなどの他のアルコールもしくは砂糖燃料でもよい。
また、上記実施の形態では、酸素電極20A,20Bへ空気を供給する場合について説明したが、空気に代えて酸素または酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
また、上記第2の実施の形態では、燃料電池ユニット112A,112Bを縦方向に積層する場合について説明したが、本発明は、複数の燃料電池ユニットを横方向(積層面内方向)に積層して燃料電池スタックを構成する場合にも適用することができる。また、2つの燃料電池ユニットを積層した構成を例に挙げて説明したが、スタックの数は3つ以上であってもよい。
また、上記第1の実施の形態では、電子機器に用いられる燃料電池システム1において、燃料電池ユニット110を備えた構成を例に挙げて説明したが、上記第2の実施の形態で説明した燃料電池スタック112を備えるようにしてもよい。これにより、より高出力となり、消費電力の大きな電子機器にも好適に用いることができる。
また、上記実施の形態において説明した各構成要素の材料および厚み、または燃料電池ユニット110の運転条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の運転条件としてもよい。
また、上記実施の形態では、燃料電池として直接型メタノール燃料電池を例に挙げて説明したが、これに限らず、水素など液体燃料以外の物質を燃料として用いる燃料電池、例えばPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell:固体高分子型燃料電池)、アルカリ型燃料電池、あるいはグルコースなどの砂糖燃料を利用した酵素電池などにも適用可能である。
1…燃料電池システム、2…外部回路(負荷)、10…燃料電極、11,21a,21b…集電体、12a,12b,22a,22b…拡散層、13a,13b,23a,23b…触媒層、20A,20B…酸素電極、14,24…外装部材、30…燃料・電解液流路、40…空気流路、41…共通空気流路、51a,51b…機能層、110,111…燃料電池ユニット、112…燃料電池スタック、120…測定部、130…制御部、140…燃料・電解液供給部、150…燃料供給部。
Claims (11)
- 対向する2面を有する燃料電極と、
前記燃料電極の一方および他方の面にそれぞれ対向するように設けられた第1および第2の酸素電極と、
前記燃料電極と前記第1および第2の酸素電極との間に設けられた電解質層とを備えた
ことを特徴とする燃料電池ユニット。 - 前記第1および第2の酸素電極の前記燃料電極側にそれぞれ、燃料を含む第1の流動体を流通させるための流路を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。 - 前記第1の流動体は、燃料および電解質を含むものである
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池ユニット。 - 前記第1および第2の酸素電極の前記燃料電極と反対側に、酸素を含む第2の流動体を流通させるための流路を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。 - 前記第1および第2の酸素電極の前記燃料電極側に機能層を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。 - 前記機能層は、多孔質により構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池ユニット。 - 前記機能層は、イオン伝導体により構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池ユニット。 - 複数の燃料電池ユニットが積層されてなる燃料電池スタックであって、
各燃料電池ユニットは、
対向する2面を有する燃料電極と、
前記燃料電極の一方および他方の面にそれぞれ対向するように設けられた第1および第2の酸素電極と、
前記燃料電極と前記第1および第2の酸素電極との間に設けられた電解質層とを備えた
ことを特徴とする燃料電池スタック。 - 各燃料電池ユニットは、
前記第1および第2の酸素電極の前記燃料電極側に、燃料を含む第1の流動体を流通させるための第1の流路を有し、
前記第1および第2の酸素電極の前記燃料電極と反対側に、酸素を含む第2の流動体を流通させるための第2の流路を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の燃料電池スタック。 - 一の燃料電池ユニットの第1もしくは第2の酸素電極と、他の燃料電池ユニットの第1もしくは第2の酸素電極とが対向するように接続され、この接続された部分において、前記第2の流路が前記一および他の燃料電池ユニット同士で共通となっている
ことを特徴とする請求項9に記載の燃料電池スタック。 - 燃料電池ユニットを搭載した電子機器であって、
前記燃料電池ユニットは、
対向する2面を有する燃料電極と、
前記燃料電極の一方および他方の面にそれぞれ対向するように設けられた第1および第2の酸素電極と、
前記燃料電極と前記第1および第2の酸素電極との間に設けられた電解質層とを備えた
ことを特徴とする電子機器。
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