JP5311313B2 - 乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置及び乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置 - Google Patents
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Description
乗降位置可変型ホームドアが必要である。同時にこれらは停車位置のずれなどにも対応可能であり、定位置停止装置導入が不要になる上に、過走による遅延等を防ぐことができるのも大きな利点となる。
乗降位置可変型ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなるユニットをホーム上に長さ方向に複数個連設することで、少なくともホームの一部と軌道の間の空間を閉鎖すると共に、列車への乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されるものである。
乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置は、
N個の乗降口を備えた列車を各乗降口において区画することで得られた、1つの前端部位、N−1個の中間部位、1つの後端部位の少なくとも各中間部位の長さ寸法を記憶する手段と、
各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
各中間部位の長さ寸法と、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法の全部あるいは一部と、を用いて、各中間部位に対応するユニット数を算出するユニット数算出手段と、
N−1個の中間部位のうちの少なくとも一部の連続する複数の中間部位の各中間部位に、前記ユニット数算出手段により算出された1つあるいは複数のユニット(以下「ユニット群」という)を割り当てるユニット群割り当て手段と、
前記ユニット群割り当て手段により割り当てられたユニット群の各ユニットの戸袋及び扉体の列車に対する目標待機位置を、当該目標待機位置において前記連続する複数の中間部位が前記割り当てられたユニット群により閉鎖されており、かつ、当該目標待機位置から隣位のユニット群間に形成される開口幅内に乗降口が位置するように決定する目標待機位置決定手段と、
を備えている。
1つの態様では、前記ユニット群割り当て手段により、全中間部位の夫々にユニット群が割り当てられている。
本発明の技術思想の1つの特徴は、N個の乗降口を備えた列車を各乗降口において区画することで、1つの前端部位、N−1個の中間部位、1つの後端部位に分割し、各中間部位に、1つあるいは複数のユニット(以下「ユニット群」という)を割り当てる点にある。乗降位置可変型ホームドアと列車とを対応付けるこのような考えは今までには無い新しい思想である。
算出された各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数は、当該ユニットの最大個数及び最小個数を記憶する記憶手段に記憶されており、
前記ユニット群割り当て手段は、記憶された最大個数と最小個数の範囲から選択した個数のユニットからなるユニット群を各中間部位に割り当てるものである。
目標待機位置における各ユニット群の長さ寸法が対応する中間部位の長さ寸法に一致しており、
当該目標待機位置から扉体のみを移動させることで隣位のユニット群間に形成される開口幅内に各乗降口が位置するように決定される。
前記目標待機位置決定手段は、当該目標待機位置において前記中間部位のユニット群と前記端部ユニット群が閉鎖状態を保持しており、かつ、当該目標待機位置から前記端部ユニット群と前記中間部位のユニット群の間に形成される開口幅内に乗降口が位置するように決定する。
また、前端部位、後端部位の長さ全体に対応する区域をユニットで閉鎖するか否かによっても、端部ユニット群の構成は異なり得る。例えば、前端部位あるいは後端部位をユニット+別の固定遮蔽体で閉鎖するような場合もあり得る。
1つの態様では、前記端部ユニット群割り当て手段により、前記前端部位には、当該前端部位の長さに対応する個数のユニットを備えた端部ユニット群が、前記後端部位には、当該後端部位の長さに対応する個数のユニットを備えた端部ユニット群が割り当てられている。
また、乗務員室扉について考慮する場合にも、端部ユニット群の構成は異なり得る。
N個の乗降口を備えた列車を各乗降口において区画することで得られた1つの前端部位、N−1個の中間部位、1つの後端部位の各部位の長さ寸法、を記憶する手段と、
前記各部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位の長さ寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を計算する手段と、
計算された各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を記憶する手段と、
記憶された最大個数と最小個数の範囲から選択した個数のユニットからなるユニット群を各中間部位に割り当てる手段と、
少なくとも前端部位の長さ、後端部位の長さに対応するユニットの数を計算する手段と、
計算されたユニット数からなるユニット群をそれぞれ前端部位、後端部位に割り当てる手段と、
配分した各ユニットの戸袋及び扉体の列車に対する目標待機位置を、当該目標待機位置において列車全長に対応する部位がホームドアにより閉鎖されており、かつ、当該目標待機位置から隣位のユニット群間に形成される開口幅内に各乗降口が位置するように決定する目標待機位置決定手段と、
決定された各ユニットの戸袋及び扉体の目標待機位置を記憶する手段と、を備える。
対象となるプラットホームに停車する複数の異種列車の全長が異なる場合に、短い列車が停車した場合には、乗降位置可変型ホームドアは、短い列車の全長に対応する部位及びプラットホーム上の空白部分(最長列車と当該短い列車の長さの差により生じる)を閉鎖することになる。この時、空白部分に対応する各ユニット(戸袋及び扉体)の目標待機位置も決定する必要がある。但し、空白部分のユニットは乗降口に合わせて開口する必要が無く閉鎖状態が維持されるように位置を決定すればよい。
1つの態様では、前記最大個数は、予め余裕δを設定しておき、各中間部位の寸法−当該中間部位に含まれる乗降口の幅寸法からさらにδを引いた値を1ユニットの最小幅寸法で除すことで取得される(小数点切り捨て)。
1つの態様では、前記最小個数は、各中間部位の寸法を1ユニットの最大幅寸法で除すことで取得される(小数点切り上げ)。
1つの態様では、プラットホームにおける各列車の目標停止位置が与えられており、前記目標待機位置は、プラットホームに対する相対的な座標で特定される。典型的な例では、プラットホーム先頭を原点とした座標で位置特定が行われる。
各異種列車の各ユニットの目標待機位置を最適化し得ることが当業者に理解される。ここで、最適化手段は、最適化の目的によっても異なるが、1つの例として、ユニットの移動距離をなるべく少なくするように最適化することが考えられる。
この場合、1つの態様では、プラットホームにおける各列車の仮目標停止位置が与えられており、前記目標待機位置は、プラットホームを基準とする座標で取得されており、
プラットホームに停車する異種列車に対応する各戸袋の目標待機位置の差を算出する手段と、
前記差が最小となるように前記仮目標待機位置を初期値として各異種列車の停止位置を最適化する手段と、を備える。
乗車位置可変型ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなるユニットをホーム上に長さ方向に所定数連設することで、ホームと軌道の間の空間を閉鎖すると共に、列車への乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されている。
乗車位置可変型ホームドアの構成には、ユニット数、各ユニット(戸袋及び扉体)の位置が含まれ、1つの態様では、乗車位置可変型ホームドアの構成決定装置は、ユニット数決定手段と、ユニット配置決定手段と、を備えている。
ユニット数決定手段は、
各異種列車について、各乗降口において区画することで得られた1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位の各長さ寸法を記憶する手段と、
各異種列車の各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
異種列車毎に、各中間部位の長さ寸法、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を計算する手段と、
計算された各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を記憶する手段と、
異種列車毎に、ユニットの最大個数、最小個数をそれぞれ加算することで、各異種列車のユニット数の最大総数と最小総数を取得する手段と、
各異種列車のユニット数の最大総数と最小総数の重複範囲を求め、当該重複範囲から選択した数を第1のユニット数として決定する手段と、を備え、前記第1のユニット数は、前記異種列車の最長列車の全中間部位を閉鎖可能なユニット数である。
最長列車と短い列車の長さの差を取得する手段と、
前記長さの差に基づいて、当該短い列車のユニット数の最大総数と最小総数を最長列車に合わせて補正する手段と、を備え、
補正後の最大総数及び最小総数を用いて重複範囲が求められる。
1つの態様では、前記長さの差は、最長列車の全中間部位の長さと当該短い列車の全中間部位の長さの差である。
補正対象の列車と最長列車の長さの差(全中間部位同士の長さの差でもよい)を求める手段と、
1ユニットの最小幅寸法及び最大幅寸法を用いて、前記差に対応するユニットの仮想最大数と仮想最小数を求める手段と、
補正対象の列車におけるユニット数の最大総数と最小総数に前記仮想最大数と仮想最小数をそれぞれ加算する手段と、を備えている。
他の補正手段としては、最長列車と補正対象の列車の全長の比を、補正対象の列車におけるユニット数の最大総数と最小総数に乗じたものでもよい。
上記態様では、全中間部位に対応するユニット数を求めるものであるが、各列車において、前端部位、後端部位に対応するユニット数を含めた全体のユニット数の最大総数と最小総数を求め、その最大総数と最小総数の重複範囲からユニット総数を求めてもよい。
プラットホームに停車する最長の列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得し、全中間部位の長さ寸法に対応する第1のユニット数を決定する手段と、
前端部位および/あるいは後端部位に対応する第2のユニット数を決定する手段と、
第1のユニット数と第2のユニット数の合計を所定数とする手段と、からなる。
プラットホームに停車する各異種列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得する手段と、
異種列車毎に、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位の長さ寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大数、最小数を取得する手段と、
異種列車毎に、最大数、最小数をそれぞれ加算することで各列車におけるユニット最大総数、最小総数を取得する手段と、
各異種列車のユニット最大総数と最小総数の重複範囲を求め、当該重複範囲から選択した数を第1のユニット数とする手段と、を備えている。
プラットホームに停車する各異種列車の最長列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得する手段と、
最長列車において、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位の長さ寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大数、最小数を取得する手段と、
最長列車において、上記最大数、最小数をそれぞれ加算することでユニット最大総数、最小総数を取得し、ユニット最大総数とユニット最小総数の範囲から選択したユニット数を第1のユニット数とする手段と、を備えている。
1つの態様では、前記第2のユニット数は、第1のユニット数と第2のユニット数の合計である所定数のユニットからなるホームドアが少なくとも最長列車全長に対応する長さを備え、かつ、所定数のユニットからなるホームドアがプラットホームの長さに納まるような、個数に決定される。
前記ユニット配置決定手段は、
異種列車毎に、前記第1のユニット数のユニットの全部あるいは一部を、各中間部位に対応するユニットの最大個数〜最小個数の範囲内の1つあるいは複数のユニット(以下「ユニット群」という)を割り当てるユニット群割り当て手段と、
割り当てられた各ユニットの戸袋及び扉体の列車に対する目標待機位置を、当該目標待機位置において各異種列車の全中間部位が前記割り当てられたユニット群により閉鎖されており、かつ、当該目標待機位置から隣位のユニット群間に形成される開口幅内に乗降口が位置するように決定する目標待機位置決定手段と、を備えている。
前記割り当て手段は、
短い列車において、前記第1のユニット数の一部の数のユニットを各中間部位に割り当てるものである。
「第1のユニット数の一部の数」は、当業者において適宜決定できるものであり、例えば、当該短い列車の最小総数を用いる、最長列車との差をユニットの最大寸法と最小寸法の平均で除して空き部分の個数を算出し、第1ユニット数から前記空き部分の個数を引いた数を用いる、最長列車と当該短い列車の比を第1のユニット数に乗じた数を用いる、等が例示できる。
各中間部位に対応する最小数のユニットを各中間部位に割り当てる第1割り当て手段と、
余分のユニットが生じた場合には、余分のユニットを前記中間部位の長さ寸法が大きいものから順に配分する第2割り当て手段と、
を備えている。
1つの態様では、第1のユニット数のユニットにおいて中間部位に割り当てられなかった余分のユニットが生じた場合には、当該余分のユニットを前記前端部位および/あるいは前記後端部位に割り当てる第3割り当て手段を備えている。
1つの態様では、ホーム上に設置された乗車位置可変型ホームドアの新異種列車への適用の可否を判定する装置は、
乗車位置可変型ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなる複数のユニットをホーム上に長さ方向に連設することで、ホームと軌道の間の空間を閉鎖すると共に、列車への乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されており、
M個の乗降口を備えた新異種列車を各乗降口において区画することで得られた、1つの前端部位、M−1個の中間部位、1つの後端部位の各長さ寸法を記憶する手段と、
新異種列車の各部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
前記乗車位置可変型ホームドアを構成するユニット総数を記憶する手段と、
前記乗車位置可変型ホームドアの全長を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
新異種列車の各中間部位、前端部位、後端部位、前記乗車位置可変型ホームドアの全長と新異種列車の全長の差である空白部位の各部位の長さ寸法、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を計算する手段と、
計算された各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を記憶する手段と、
各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数をそれぞれ加算することで、新異種列車のユニット数の最大総数と最小総数を取得する手段と、
前記既設のホームドアのユニット総数が、新異種列車のユニット数の最大総数と最小総数の範囲内にあるか否かを判定する手段と、
を備えている。
乗車位置可変型ホームドアの新異種列車への導入が可能であると決定された後は、対応付け装置のユニット群割り当て手段、目標待機位置決定手段を用いて当該新異種列車に対応する構成を決定することができる。
乗降位置可変型ホームドアは、扉体をスライド移動可能に収納する戸袋が、プラットホームの床面に当該プラットホームの長さ方向に延びるように埋設されたガイドレールに沿って移動可能である点に特徴を有している。各戸袋は、ローラ等の走行体、モータ等の駆動手段を有し、当該駆動手段により前記走行体が前記ガイドレールに沿って移動することでプラットホームの長さ方向に個別に移動可能である。
列車によって異なる扉位置に対応するためには、次に来る列車の扉位置の情報を得る必要がある。列車の扉位置の情報の取得方法としては、列車がホームに進入してきた時点で列車から直接情報を受け取ること、電光掲示板等に表示するような運行情報から必要な情報を得ること等が挙げられる。前者の方法としては、例えば、列車側に列車情報を格納したICタグを設けておき、列車がホームに進入した時にホーム側に設置した受信部で列車情報を受信し、得られた列車情報に基づいて乗降位置可変型ホームドアの制御装置による戸袋及び扉体の移動制御が行われる。列車側のICタグに格納された列車情報としては、例えばドア位置、車両数、列車長が挙げられる。あるいは、ICタグには列車のIDのみを記憶しておき、制御装置側に列車IDと列車情報との対応テーブルを格納してき、対応テーブルから抽出した列車情報を用いて戸袋及び扉体の移動制御を行ってもよい。また、ホームには列車の停止位置検出装置を設けておき、実際に停車した列車の位置の標準停止位置からのズレを検出する。停止位置検出装置は、例えば、ホーム前端と列車先頭との位置関係から測定を行う(例えば、複数のカメラを用いて測距する)。列車の実際の停車位置と列車情報からホーム上の列車の扉の位置がわかる。
乗降位置可変型ホームドアと列車との対応付けについて説明する。乗降位置可変型ホームドアと列車との対応付けを行う装置は、入力部、記憶部、演算部、出力部、を備えており、入力部からの入力情報および/あるいは記憶部に記憶された記憶情報を用いて演算部が所定の計算を行い、計算結果を出力部から出力するようになっている。対応付け装置の各手段は、コンピュータから構成することができ、本実施形態における各ステップは、コンピュータにより実行することができる。
本発明を理解するために必要な概念について説明する。
乗降位置可変型ホームドアは、プラットホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなるユニットをプラットホーム上に長さ方向に所定数連設することで構成されている。上述の記載及び関連する図面では低背のユニットを開示しているが、本発明において、ユニット(戸袋、扉体)の高さ寸法は問わない。すなわち、本発明に係る乗降位置可変型ホームドアには、いわゆるホーム柵タイプのもの、フルスクリーンタイプのものが含まれる。
乗降位置可変型ホームドアは、列車がプラットホームに停車して乗降口が開放されている時以外(列車進入時、通過時、出発時、待機時)では、閉鎖状態が維持されてプラットホームと軌道の間の空間を閉鎖する一方、列車への旅客の乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されている。
旅客が安全かつ円滑に乗降するためには、ユニット間に形成される開口は、対応する乗降口の幅寸法よりも大きい。したがって、乗降口を閉鎖する列車側の2枚の扉体に対してホームドア側の2枚の扉体が対応する場合には、ホームドアのユニットの1枚の扉体の幅寸法は、車両ドアの1枚の扉体の幅寸法よりも大きい。
乗降位置可変型ホームドアは、典型的にはプラットホームに停車する最長列車の全長に対応する長さを備えているが、本発明には、列車の一部のみに対応して乗降位置可変型ホームドアが設けられる場合も含む。
あるいは、乗降位置可変型ホームドアの長さ方向両端部に位置するユニットにおいて、戸袋の位置を常時固定しておくことで、扉体を備えた固定戸袋として用いてもよい。例えば、プラットホーム全長に亘って乗降位置可変型ホームドアを設け、前方側、後方側の1つ以上のユニットを固定して遮蔽体として用いてもよい。
1つの態様では、プラットホーム上に設置された乗降位置可変型ホームドアの長さ方向の両端には固定戸袋(固定柵でもよい)を設け、乗降位置可変型ホームドアは前後の固定戸袋間で前後方向に移動可能になっている。すなわち、乗降位置可変型ホームドアは固定戸袋間の距離を閉鎖可能であると共に、固定戸袋間で戸袋および扉体の位置を決めて扉体を開放することで列車の乗降口に合わせて開口が形成できるようになっている。
乗降位置可変型ホームドアの構成を決定するにあたっては、各ユニットの機械的な可動範囲がある場合には、計算上得られる各ユニットに必要な移動範囲を各ユニットの可動範囲と比較する工程を設ければよいことが当業者に理解される。あるいは、機械的な可動範囲が既知の場合に、計算を行う際の条件として可動範囲を用いて計算を行ってもよいことが当業者に理解される。したがって、本発明の技術思想は限定された可動範囲を備えたユニットに対しても適用し得るものである。
1つの戸袋と1つ以上の扉体とからなるユニットは、全ての扉体が戸袋から最大に突出した第1姿勢と、全ての扉体が可能な限り戸袋内に収納された第2姿勢と、をとる。第1姿勢にあるユニットの幅寸法を最大幅寸法、第2姿勢にあるユニットの幅寸法を最小幅寸法という。
ユニットの最大幅寸法と最小幅寸法は、記憶部に記憶されている。
前者の態様、すなわち、基本ユニットが、一つの戸袋と、当該戸袋の両側から突出する2枚の扉体と、から構成される場合には、図9に示すように、戸袋の幅寸法を「a」とし、各扉体の有効寸法(最大突出時の寸法)を共に「b」とすると、基本ユニットの最大幅寸法は「a+2b」となる。各扉体は完全に戸袋内に退避可能なものとすると、基本ユニットの最小幅寸法は「a」となる。
基本ユニットの最大幅寸法及び最小幅寸法は、基本ユニットの具体的な構成に応じて決定されることが当業者に理解される。
目標待機位置とは、乗降位置可変型ホームドアが、プラットホームに停車した列車の乗降口に合わせて開口を形成する直前の位置をいう。プラットホームに対する各異種列車の乗降口の位置は異なり得るため、異種列車毎に各ユニットの目標待機位置が設定される。
乗降位置可変型ホームドアでは、戸袋・扉体の両方が可動であるため、各ユニットの目標待機位置は、各ユニットの戸袋及び扉体の目標待機位置によって決定される。
異種列車に対応する目標待機位置間の各ユニットの移動距離は、当該ユニットの機械的な可動範囲内となるように設定されている。
乗降位置可変型ホームドアの構成を決定するためには、対象となる列車のどの乗降口に対応してどのユニット間に開口が形成されるかを決める必要があるため、乗降位置可変型ホームドアの各ユニットを異種列車毎に対応付ける必要がある。
各乗降口にもIDが付されており、各乗降口の幅寸法が、IDと関連付けられて記憶される。
N−1個の各中間部位、前端部位、後端部位に含まれる乗降口が、各部位のIDと各乗降口のIDを関連付けて記憶される。
典型的には、乗降口IDは車両ドアIDであり、車両ドアが複数枚の扉体からなる(例えば両開きドア)場合には、各扉体にもIDが付される。また、車両ドアが1枚の片開きドアの場合には、車両ドアID=乗降口IDとして扱うことも可能である。
例えば、図11に示す9個の乗降口D1〜D9において、乗降口D1を形成する2枚の扉体を前方から順にD11、D12とする。D11+D12で乗降口D1が特定でき、D11で乗降口D1の前方側半部、D12で乗降口D1の後方側端部を特定することができる。同様に、D2に対応する2枚の扉体をD21、D22、D3に対応する2枚の扉体をD31、D32、D4に対応する2枚の扉体をD41、D42、D5に対応する2枚の扉体をD51、D52、D6に対応する2枚の扉体をD61、D62、D7に対応する2枚の扉体をD71、D72、D8に対応する2枚の扉体をD81、D82、D9に対応する2枚の扉体をD91、D92とする。
乗降口の幅方向の中央において区画する(図11参照)。
この場合、中間部位は、乗降口の中央から隣の乗降口の中央までの区域を言う。各中間部位の前方端部、後方端部には乗降口の部分が含まれている。
前端部位は、列車先頭から最前の車両乗降口D1の前方側半部D11までの部分に対応する区域、後端部位は、最後の車両乗降口D9の後方側半部D92から列車最後尾までの部分に対応する区域となる。
この場合、中間部位は、乗降口の後方端縁から隣の乗降口の後方端縁までの区域を言う。各中間部位の後方端部には乗降口が含まれている。
前端部位は、列車先頭から最前の車両乗降口D1の後方端縁までの部分に対応する区域、後端部位は、最後の車両乗降口D9の後方端縁から列車最後尾までの部分に対応する区域となる。
この場合、中間部位は、乗降口の前方端縁から隣の乗降口の前方端縁までの区域を言う。各中間部位の前方端部には乗降口が含まれている。
前端部位は、列車先頭から最前の車両乗降口D1の前方端縁までの部分に対応する区域、後端部位は、最後の車両乗降口D9の前方端縁から列車最後尾までの部分に対応する区域となる。
乗降口の上記以外の位置(幅内で中央でない部位)を基準として中間部位を区画してもよい。この場合、乗降口の幅方向のどの位置で分割されたかを記憶すると共に、前方側部分、後方側部分のそれぞれの幅寸法を記憶しておく。
なお、各図に示すように、列車を前端部位、中間部位、後端部位に区画する場合には、同じ区画の仕方で統一的に区画することが望ましいが、本発明はこのようなものに限定されるものではない。
各中間部位に含まれる「乗降口の幅寸法」の態様としては以下の場合が例示される。
また、上記の説明では各乗降口の幅寸法を同じものとしているが、各乗降口の幅寸法は必ずしも一定ではない。例えば、列車が異種車両の混成で構成される場合には、乗降口の幅寸法が異なる場合もある。乗降口の幅寸法が異なる例としては、幅狭の乗降口を一枚の片開き扉が開閉する場合がある。
図11Aにおいて、連続する中間部位In(長さln)、In+1(長さln+1)において、Inは乗降口Dnの中央部位から乗降口Dn+1の中央部位、In+1は乗降口Dn+1の中央部位から乗降口Dn+2の中央部位までを区画しているが、乗降口Dnの幅寸法と乗降口Dn+1、Dn+2の幅寸法は異なる。
なお、このような場合に、例えば、中間部位の一端に乗降口(Dn)の一部が位置しており、他端に乗降口(Dn+1)の全部が位置している態様もあり得る。
取得した最大個数と最小個数の範囲から選択した個数のユニットからなるユニット群を各中間部位に割り当てる。取得した最大個数と最小個数の範囲からどのように選択するかについては、当業者が適宜設定できる事項であり、予めプログラムとして指示しておくことができる。例えば、初めの段階では全ての組み合わせを選択して記憶部に記憶しておき、後工程で条件を課して絞り込んでもよい。あるいは、初期値として、最小個数あるいは最大個数を選択するようにしてもよい。
最大個数と最小個数の範囲から選択した個数のユニットからなるユニット群は、対応する中間部位の長さに対応する区域を閉鎖することができると共に、対応する中間部位に含まれる乗降口(一部あるいは全部)に対応して開口を形成することができる。
k個のユニットが納まるための最小寸法は、「k×最小幅寸法+中間部位に含まれる乗降口の幅寸法」である。a=1400mm、b=1100mm、中間部位に含まれる乗降口の幅寸法=1300mm、の例で言うと、1つのユニットが納まるための最小寸法は、1400+1300=2700mmであり、2つのユニットが納まるための最小寸法は、2800+1300=4100mmであり、3つのユニットが納まるための最小寸法は、4200+1300=5500mmである。
図14(A)の例では、中間部位Inには3つのユニットからなるユニット群が対応付けられることになる。3つのユニットからなるユニット群は、図14(A)に示す状態から、少なくとも両端の2つのユニットが扉体を突出させることで、当該ユニット群の全長を延ばすことができ、当該ユニット群が中間部位Inに含まれる前方側の乗降口の部分、後方側の乗降口の部分に対応する部位を閉鎖できる。また、図14(A)に示すように、当該ユニット群は中間部位Inに含まれる前方側の乗降口の部分、後方側の乗降口の部分に対応して開口を形成することができる。
1つの態様では、予め余裕δを設定しておき、各中間部位の寸法−当該中間部位に含まれる乗降口の幅寸法からさらにδを引いた値を1ユニットの最小幅寸法で除すことで取得してもよい(小数点切り捨て)。余裕δの値は、当業者において適宜設定され得る。
k個のユニットが対応できる最大寸法は、「k×最大幅寸法」である。a=1400mm、b=1100mmの例で言うと、1つのユニットが対応可能な最大寸法は、1400+2200=3600mmであり、2つのユニットが対応可能な最大寸法は、7200mmであり、3つのユニットが対応可能な最大寸法は、10800mmである。
1つの態様では、予め余裕δを設定しておき、各中間部位の寸法にδを加えた値を1ユニットの最大幅寸法で除すことで取得してもよい(小数点切り上げ)。余裕δの値は、当業者において適宜設定され得る。
列車における第1の乗降口における第1区画線と第1の乗降口の隣に位置する第2の乗降口における第2区画線との間に規定される中間部位の長さ寸法を記憶する手段と、
前記中間部位の前端側および/あるいは後端側に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
前記中間部位の長さ寸法と、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法の全部あるいは一部と、を用いて、各中間部位に対応するユニット数を算出するユニット数算出手段と、
前記ユニット数算出手段により算出された1つあるいは複数のユニット(以下「ユニット群」という)を前記中間部位に割り当てるユニット群割り当て手段と、を備えている。
そして、1つの態様では、前記ユニット数算出手段は、前記中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を算出するものであり、
前記ユニット群割り当て手段は、前記最大個数と最小個数の範囲から選択した個数のユニットからなるユニット群を前記中間部位に割り当てるものである。
中間部位へのユニット群の割り当てについて説明したが、前端部位へのユニット群(端部ユニット群)の割り当て、後端部位へのユニット群(端部ユニット群)の割り当てについても、ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を用いて、同様の手法で行うことが可能である。なお、端部ユニット群の割り当てについては、中間部位へのユニット群に比べて多様な態様があり得る点に留意されたい。
例えば、乗降口の中央で区画する場合には、前端部位、後端部位には、それぞれ1個以上のユニットを割り当てる必要がある(図11参照)。
また、前端部位、後端部位の長さ全体に対応する区域をユニットで閉鎖するか否かによっても、端部ユニット群の構成は異なり得る。例えば、前端部位あるいは後端部位を1個以上ユニット+別の固定遮蔽体で閉鎖するような場合もあり得る。
また、前端部位、後端部位に、当該前端部位の長さに対応する個数のユニット、当該後端部位の長さに対応する個数のユニットをそれぞれ割り当てる場合においても、プラットホームに対する列車の停止位置との関係で、プラットホーム上に前方側、後方側に余裕があれば、前記前端部位の長さ、前記後端部位の長さ、を越えて複数のユニットを設置することができる。
対象となるプラットホームに停車する各列車にはIDが付されており、さらに、列車毎に、各中間部位、前端部位、後端部位、各乗降口(車両ドア)のIDが設定され、かつ、これらの寸法が各列車の各IDに関連付けられて記憶されている。
乗降位置可変型ホームドアの構成を決定する過程においては、各ユニット(各戸袋・各扉体)には各戸袋及び各戸袋の扉体を識別するIDが付されている。各ユニット、すなわち、各戸袋、各扉体は、記憶部に記憶されたIDによって特定されており、このIDを用いて各異種列車の各中間部位、前端部位、後端部位に対応付けられる。
固定戸袋を備えた既存のホームドアの場合には、ホームドアと列車の乗降口が1対1で対応しているため、プラットホームに停車する1種類の列車の乗降口に合わせてドアを設置し、各ドア間を固定戸袋あるいは固定壁体で閉鎖すればよい。これに対して、乗降位置可変型ホームドアの場合には、プラットホームに設置された乗降位置可変型ホームドアが当該プラットホームに停車する複数の異種列車に対応することが前提となるため、乗降位置可変型ホームドアを最初にプラットホームに設置する際に、ユニット数をいかに効率的に決定するかが重要である。
ユニット数の決定においても、上記対応付けの考え方が用いられる。
なお、本発明に係る乗降位置可変型ホームドアは、プラットホームに停車する列車の長さの部分のみと軌道との間を閉鎖する場合も含むが(何らかの理由で一部でも良い場合、あるいは、固定柵等と組み合わせる場合等)、典型的には、プラットホームに停車する列車の少なくとも全長と軌道との間を閉鎖する。
第1のユニット数は、対象となるプラットホームに停車する最長の異種列車の全中間部位の長さを閉鎖できるようなユニットの数である。
第2のユニット数は、典型的には、少なくとも前端部位、後端部位の長さ寸法を閉鎖できるようなユニットの数であるが、固定柵や固定壁体等と組み合わせて前端部位、後端部位の長さ寸法を閉鎖するものでもよい。例えば、前端部位、後端部位にそれぞれ1つのユニットを割り当て、1ユニット+固定遮蔽体(固定柵等)で、前端部位、後端部位の長さ寸法を閉鎖するものでもよい。
プラットホームに停車する最長の列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得し、全中間部位の長さ寸法に対応する第1のユニット数を決定するステップと、
前端部位、後端部位の長さ寸法に少なくとも対応する第2のユニット数を決定するステップと、
第1のユニット数と第2のユニット数の合計を総ユニット数とするステップと、からなり、これらのステップはコンピュータから構成される各手段により実行される。
第1のユニット数、第2のユニット数を算出する場合には、ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を用いた最大個数、最小個数を用いることができる。あるいは、最大幅寸法と最小幅寸法の平均寸法を用いて個数を出してもよい。
プラットホームに停車する各異種列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得するステップと、
異種列車毎に、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位の長さ寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を取得するステップと、
異種列車毎に、最大個数、最小個数をそれぞれ加算することで各列車におけるユニット最大総数、最小総数を取得するステップと、
各異種列車のユニット最大総数と最小総数の重複範囲を求め、当該重複範囲から選択した数を第1のユニット数とするステップと、からなり、これらのステップはコンピュータから構成される各手段により実行される。
最大個数、最小個数の取得は、上記対応付けにおける説明を参照することができる。
この場合、1つの態様では、各異種列車のユニット最大総数と最小総数の重複範囲を求める前に、短い列車のユニット数の最大総数と最小総数を、最長列車に合わせて補正しておく。
1つの態様では、補正対象の列車と最長列車の長さの差を求めるステップと、
1ユニットの最小幅寸法及び最大幅寸法を用いて、前記差に対応するユニットの仮想最大数と仮想最小数を求めるステップと、
補正対象の列車におけるユニット数の最大総数と最小総数に前記仮想最大数と仮想最小数をそれぞれ加算するステップと、を備えている。
1つの態様では、補正対象の列車と最長列車の長さの差は、補正対象の列車の全中間部位と最長列車の全中間部位の長さの差である。
各列車の全長、各列車の各部位の寸法は記憶部に記憶されており、これらの一部あるいは全部を用いて長さの差を計算することができる。あるいは、予め長さの差を計算しておいて、長さの差を予め記憶しておいてもよい。
他の補正方法としては、最長列車と補正対象の列車の全長の比を、補正対象の列車におけるユニット数の最大総数と最小総数に乗じてもよい。
この場合においては、上述の同様に、各列車間の総数の重複範囲を求める前に、列車の長さの違いに基づく補正を行うことができる。
具体的には、前記第1のユニット数を、
プラットホームに停車する各異種列車の最長列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得し、
最長列車において、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位の長さ寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大数、最小数を取得し、
最長列車において、上記最大数、最小数をそれぞれ加算することでユニット最大総数、最小総数を取得し、ユニット最大総数とユニット最小総数の範囲から選択したユニット数を第1のユニット数とする。
乗降位置可変型ホームドアの総ユニット数が決定したら、次に、ユニットの配置を決定する。ユニットの配置は、(1)各ユニットの割り当てステップと、(2)割り当てられた各ユニットの目標待機位置の決定ステップ、とからなる。
各ユニットを各列車の中間部位、前端部位、後端部位に割り当てる。この作業によって、各列車の各中間部位、前端部位、後端部位のそれぞれにユニット群、端部ユニット群が割り当てられる。具体的には、各列車の各中間部位、前端部位、後端部位のIDと各ユニット(戸袋、扉体)IDとを対応させて記憶部に記憶する。
各中間部位に対応する最小個数のユニットを各中間部位に割り当てるステップと、
余分のユニットが生じた場合には、余分のユニットを前記中間部位の長さ寸法が大きいものから順に配分するステップと、
を備えており、これらのステップは、コンピュータから構成される各手段によって実行される。
この時、各中間部位に対応して記憶されている最大個数を超えないようにする。
この場合、1つの態様では、短い列車において、前記ユニット群を各中間部位に割り当てる時には、第1のユニット数の一部の数のユニットを各中間部位に割り当てるようにする。
「第1のユニット数の一部の数」は割り当て前に決定しておいてもよく、その場合の数は当業者において適宜決定できるものである。例えば、当該短い列車の最小総数を用いる、最長列車との差をユニットの最大寸法と最小寸法の平均で除して空き部分の個数を算出し、第1ユニット数から前記空き部分の個数を引いた数を用いる、最長列車と当該短い列車の比を第1のユニット数に乗じた数を用いる、等が例示できる。
あるいは、各中間部位に対応する最大個数〜最小個数の範囲内の個数のユニットを割り当てた結果として得られた合計が「第1のユニット数の一部の数」であってもよい。この場合、短い列車において、第1のユニット数のユニットにおいて中間部位に割り当てられなかった余分のユニットは、最長列車のとの差(空白部分)、前端部位および/あるいは後端部位に割り当てられることになる。
対象となるプラットホームに停車する複数の異種列車の全長が異なる場合に、短い列車がプラットホームに停車した場合には、乗降位置可変型ホームドアは、短い列車の全長に対応する部位及びプラットホーム上の空白部分(最長列車と当該短い列車の長さの差により生じる)を閉鎖する必要があり、空白部分にユニットを対応させる必要がある。
異種列車毎に各中間部位、前端部位、後端部位に対してユニット群(1以上のユニットからなる)が割り当てられたら、異種列車毎に各ユニットの目標待機位置を決定する。
列車全長に対応する部位がホームドアにより閉鎖されることを前提とした場合には、各ユニットの戸袋及び扉体の列車に対する目標待機位置は、当該目標待機位置において列車全長に対応する部位がホームドアにより閉鎖されており、かつ、当該目標待機位置から隣位のユニット群間に形成される開口幅内に各乗降口が位置するように決定される。
図15(E)に、列車の乗降口が全開状態となると共に、乗降口に対応して隣位のユニットk、k−1間に開口が形成された時の、ホームドア側の開口幅d´と対応する乗降口の開口幅dの関係を示す。ホームドア側の開口幅d´と対応する乗降口の開口幅dの差(rk−1、αk)を開口部余裕と言う。これらに要求される条件は、d´≧d、rk−1≧0、αk≧0である。ここで、rk−1はk−1番目のユニットとk番目のユニット間に形成される開口の前方側端部(図示の例では、k−1番目のユニットの戸袋の後方側端部)と対応する乗降口の前方側端部との間の距離である。αkはk−1番目のユニットとk番目のユニット間に形成される開口の後方側端部(図示の例では、k番目のユニットの戸袋の前方側端部)と対応する乗降口の後方側端部との距離である。
すなわち、「隣位のユニット群間に形成される開口幅内に各乗降口が位置する」には、形成される開口部の前後端部と乗降口の前後端部(幅方向端部)の一方あるいは両方が一致する場合(後者の場合は、開口部の幅d´と乗降口の幅dが同じ)も含む。
開口幅d´を可能な限り大きくすることで、開口部余裕を大きくすることができる。対応する乗降口が開放される前に開口幅d´の空間が閉鎖されている必要があるので、開口部形成時に戸袋が動かないことを前提とすると、開口幅d´の大きさは、扉体の突出寸法に制限される。
1つの態様では、開口部余裕は乗降口の左右において均等に設けられる、すなわち、rn−1=αnであるが、rn−1=0あるいはαn=0であってもよい。
ある1つの中間部位について言うと、目標待機位置において前記中間部位がユニット群により閉鎖されており、閉鎖姿勢において前記ユニット群の前端側および/あるいは後端側に位置する扉体が前記中間部位の前端側および/あるいは後端側に含まれる乗降口に対応しており、かつ、当該目標待機位置から前記ユニット群の前端側および/あるいは後端側に位置する扉体を開放することで、対応する乗降口との間に開口部余裕を形成するように決定する。
目標待機位置決定手段は、目標待機位置における扉体の突出寸法(1つの態様では、最大突出寸法bであるが、これには限定されない)と、対応する(すなわち、当該扉体により閉鎖されるべき)乗降口の部位(部分あるいは全部)の幅を比較する手段を備えており、前記扉体の突出寸法が閉鎖されるべき乗降口の部分の幅よりも大きければ、開口部余裕が形成可能である。
目標待機位置における各ユニット群の長さ寸法が対応する中間部位の長さ寸法に一致しており、
当該目標待機位置から扉体のみを移動させることで隣位のユニット群間に形成される開口幅内に各乗降口が位置するように決定される。
また、中間部位の前方側の乗降口の後方側端部と前方側のユニットの戸袋の前方側端部との間の距離をα、前方側のユニットの戸袋の後方側端部と後方側ユニットの前方側端部との間の距離をβ、中間部位の後方側の乗降口の前方側端部と後方側ユニットの戸袋の後方側端部との間の距離をγとする。
α+β+γは戸袋から突出した扉体でカバーされる長さであり、α+β+γ=l(n)−d−2aとなる。
αの上限は、扉体の最大突出寸法b−当該扉体により閉鎖されるべき乗降口の部分の幅寸法d/2である。
すなわち、0≦α≦b−d/2である。
γについても同様に考えることができる。
例えば、開口部余裕をなるべく均等化したい場合には、全ての乗降口に対する開口部余裕を比較して、開口部余裕がなるべく均等となるように位置調整を行ってもよい。
なお、開口部余裕の設定は、列車の区画態様の影響を受け得る。上記例は、図11に示す区画態様に基づくものであるが、同じユニットで考えると、例えば、図13の区画態様では、0≦γ≦bの範囲の値を取り得る。すなわち、ユニット群の後端の扉体に対応する乗降口が無い(扉体により閉鎖されるべき乗降口の部分の幅寸法が0)の場合にγ=bを取ることができ、γ=0の場合は、乗降口の前方側端部とユニットの戸袋の後方側端部とが一致し開口部余裕が0となる。
また、図12や図13の区画態様に対して、図7(B)のユニットを対応させることができる(2段の扉体の最大突出寸法≧乗降口の幅寸法)。この場合に、目標待機位置のユニット群がカバーする範囲が、対応する中間部位に一致する場合と、一致しない場合があり得る。前者の場合、図12の場合には前方側、図13の場合には後方側に開口部余裕が形成されない。後者の場合、各区画された中間部位にユニット群を対応させた後の目標待機位置の決定において、例えば、最適化ステップで、乗降口の前後の両方に開口部余裕が形成されるように、目標待機位置のユニット群がカバーする範囲が対応する中間部位に一致する位置から前方あるいは後方に開口部余裕だけ移動させてもよい(あるいは、列車停止位置を前方あるいは後方にずらしてもよい)。
対象となるプラットホームに停車する複数の異種列車の全長が異なる場合に、短い列車が停車した場合には、乗降位置可変型ホームドアは、短い列車の全長に対応する部位及びプラットホーム上の空白部分に対応する各ユニット(戸袋及び扉体)の目標待機位置も決定する必要がある。空白部分に対応するユニットは乗降口に合わせて開口する必要が無く閉鎖状態が維持されるように位置を決定すればよい。また、閉鎖状態を維持しながら動いていてもよい。
1つの態様では、プラットホームに停車する異種列車に対応する各戸袋の目標待機位置の差(移動距離)を算出するステップを備えており、戸袋の機械的な可動範囲が設定されている場合に、各移動距離と可動範囲を比較する。すなわち、得られた目標待機位置間の移動距離が可動範囲内にあるかを判定する手段を備えている。
必要とされるユニット(戸袋)の移動距離が戸袋の可動範囲内であれば、ホームドアは、各異種列車に対応可能である。また、可動範囲と必要とされる移動距離との差は、ホームドアの過走可能距離となる。
必要とされるユニット(戸袋)の移動距離が戸袋の可動範囲外の場合には、構成決定ステップの全部あるいは一部を繰り返して行う。あるいは、後述する最適化の手段を用いて対応する。
予め可動範囲がわかっている場合には、構成決定ステップの計算段階で可動範囲を制限条件として用いてもよい。
各異種列車の各ユニットの目標待機位置を最適化し得ることが当業者に理解される。
最適化とは、目的に合わせた目標待機位置の調整である。
例えば、目的が移動時間の短縮であれば、ユニットの移動時間が短くなるように目標待機位置を調整する。すなわち、目標待機位置の差(最長移動距離)が最も大きいユニット(戸袋)、ないし、移動距離が大きいユニットを大きい順に複数特定し、移動距離が大きい1つあるいは複数のユニット(戸袋)の移動距離が小さくなるように目標待機位置を調整する。
目的が総移動量の短縮(省エネ)であれば、所定期間(例えば、1日)の対象プラットホームにおける異種列車間の各ユニット(戸袋)の総移動量を各ユニットの異種列車毎の目標待機位置の関数として設定し、総移動量が最小となるように異種列車毎の目標待機位置を最適化する。全体のエネルギー効率を考える場合には、各列車の停車頻度、停車の順番等も考慮する必要がある。
(ア)異種列車毎の各ユニット(戸袋)の目標待機位置の差(移動距離)及び移動方向
各ユニット(戸袋)の移動距離は、異種列車毎のプラットホームを基準とした各ユニット(戸袋)の目標待機位置の座標から取得することができる。
(イ)最長移動距離及びユニット(戸袋)
(ア)から最も移動距離が大きいユニット(戸袋)を特定することができる。
(ウ)移動距離の平均値ないし総和
(ア)から計算で求めることができる。
(エ)異種列車毎の各部位における前方開口部余裕、後方開口部余裕
各ユニットの目標待機位置から得られる。
(オ)異種列車毎の各ユニットにおける目標待機位置からの扉体の突出可能距離及び収納可能距離
各ユニットの目標待機位置(戸袋の位置と扉体の位置)から得られる。
(ア)移動距離を短くするために閉鎖状態を維持できかつ必要とされる開口部余裕を確保できるように戸袋・扉体の位置調整を行う。
例えば、最長移動距離を持つユニットと、当該ユニットの隣のユニット(前後のユニットの両方あるいは一方)の目標待機位置からの扉体の突出可能距離及び収納可能距離、最長移動距離を持つユニット及び当該ユニットの隣のユニットに関連する開口部余裕、を用いて移動距離を短くできる方向に目標待機位置を変更する。
(イ)移動量が過度に大きい部位にユニットを追加する。
移動量が大きいユニットを含むユニット群にユニットを追加する。全ての列車において、ユニットの配分、各ユニットの目標待機位置の決定をやり直す。
(ウ)列車の停止位置をずらす。
ユニットの移動距離が大きくなっている理由が、ある列車の停車位置にあるような場合には有効である。
ある列車の停止位置を変位させた時の各ユニットの移動距離は計算することができるので、例えば、各ユニットの移動距離の総和が小さくなるように列車の停車位置を最適化することができる。
本発明に係る対応付けの考え方は、既設の乗降位置可変型ホームドアにおいて、新たな異種列車の導入の可否、及び当該新異種列車に対するホームドアの目標待機位置を効率的に決定することに用いることができる。
対象となるプラットホームに既設の乗降位置可変型ホームドアにおいては、当該乗車位置可変型ホームドアを構成するユニット総数、当該乗車位置可変型ホームドアの全長が決定されている。ここで、乗車位置可変型ホームドアの全長とは、乗車位置可変型ホームドアによって閉鎖可能な最大長をいう。乗車位置可変型ホームドアは、この最大長を越えて前後方向に延びることはできない。また、各ユニット(戸袋)の移動範囲に機械的な限界がある場合には、各ユニットの可動範囲(機械的)も決定されている。
一般には、あるプラットホームに乗降位置可変型ホームドアを設置する場合には、当該プラットホームに将来的に停車し得る列車を含め最長の列車に対応できる長さとすると考えられることから、新たな異種列車の全長がホーム上に設置された乗車位置可変型ホームドアの全長よりも短い場合について説明する。
M個の乗降口を備えた新異種列車を各乗降口において区画することで得られた、1つの前端部位、M−1個の中間部位、1つの後端部位の各長さ寸法を記憶する手段と、
新異種列車の各部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
前記乗車位置可変型ホームドアを構成するユニット総数(図10AのLPFDに相当するユニット数)を記憶する手段と、
前記乗車位置可変型ホームドアの全長を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
新異種列車の各中間部位、前端部位、後端部位、前記乗車位置可変型ホームドアの全長と新異種列車の全長の差である空白部位の各部位の長さ寸法(ここでの空白部分の長さ寸法は図10AのLPFD3F+LPFD3Rに相当する)、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を計算する手段と、
計算された各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を記憶する手段と、
各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数をそれぞれ加算することで、新異種列車のユニット数の最大総数と最小総数を取得する手段と、
前記既設のホームドアのユニット総数が、新異種列車のユニット数の最大総数と最小総数の範囲内にあるか否かを判定する手段と、
を備えている。
乗車位置可変型ホームドアの新異種列車への導入が可能であると決定された後は、対応付け装置のユニット群割り当て手段、目標待機位置決定手段を用いて当該新異種列車に対応する構成を決定することができる。
なお、導入が可能でないと決定された場合は、当業者において対応手段を適宜取り得ることが理解される。例えば、乗車位置可変型ホームドアにユニットを追加し、新異種列車を含む全列車について対応付けをやり直してもよい。
仮に、新異種列車の全長が乗車位置可変型ホームドアの全長よりも長い場合には、新異種列車の一部の乗降口に対応させて既設の乗車位置可変型ホームドアを適用することは可能である。
また、長い新異種列車にあわせてユニットを追加で設置することもできるが、その場合、新異種列車の最小総数と既設乗降位置可変型ホームドアのユニット総数との差を取ることで、追設すべきユニット数を最少に決定することが可能である。さらに、ユニットの追設があらかじめ予想できる場合には、プラットホームの床面内に追設時に使用するガイドレールなどをあらかじめ設備しておくことで、短時間かつ容易にユニットの追設が可能となる。
乗降位置可変型ホームドアは一両の車長が異なるような列車にも対応するために、必然的に列車長全体を考慮して配置・動作を検討している。乗降位置可変型ホームドアのユニットの数や配置を決定するための自動化・一般化が可能な方法について説明する。
図16Aに乗降位置可変型ホームドアの構成の決定の全体の流れを例示する(本発明は図16Aに示すものに限定されるものではない)。
K:ユニット数
l(n):車両の扉の中央から隣の扉中央までの長さ(中間部位の長さ)
d(n):n番目の車両扉(乗降口)の幅
n:車両扉(乗降口)番号(n=1,2,3・・・)
a:戸袋の幅寸法
b:扉体の最大突出寸法
i:列車番号(i=1,2,3・・・)
t:車両部分
s:空き部分(=ホーム全長−t=前方空き部分f+後方空き部分r)
Kt:車両部分のユニット数
Ks:空き部分のユニット数(=前方空き部分のユニット数Kf+後方空き部分のユニット数Kr)
x(k):ユニット位置(各列車を基準とする座標値)
X(k):ユニット位置(プラットホームを基準とする座標値)
ステップ1:各列車の各中間部位の寸法l(n)、車両扉(乗降口)の幅寸法d(n)、ユニットを構成する戸袋の幅寸法a、扉体の最大突出寸法bを入力として、ユニットの最大幅寸法と最小幅寸法を用いて、各列車の各中間部位に対応するユニット最大個数Kmax(i)、最小個数Kmin(i)を算出する。
ステップ2:各列車の各中間部位に対応するユニット最大個数Kmax(i)、最小個数Kmin(i)を列車毎に足し合わせたユニット総数の重複範囲Kmax,Kminを取得する。短い列車がある場合には、最長列車の長さとの差を閉鎖可能な仮の最大個数、最小個数を算出して、ユニット最大個数Kmax(i)、最小個数Kmin(i)に加算する。最大個数、最小個数の算出には例えば、ユニットの最大幅寸法と最小幅寸法の平均値を用いることができる。
ステップ3:各列車のユニット総数の重複範囲から最小個数Kminを選択し、列車毎に各中間部位にユニットを配分する。全ての中間部位に対応するユニット数K(i,n)が得られる。
ステップ4:各中間部位においてユニットの目標待機位置を決定する。ここでは、列車の乗降口に対するホームドアの開口の開口部余裕が乗降口の左右(前方側、後方側)で均等となるようにする。また、左右の開口部余裕が最大(b−0.5dn)となるようにする。開口部余裕が(b−0.5dn)以上の場合は、目標待機位置において閉鎖状態を維持するため扉体が突出することで寸法(ln−Ka−2b)を確保する。例えば、ある中間部位に2つのユニットが対応する場合に、各ユニットの扉体が均等に突出する場合には、各扉体の戸出寸法は(ln−Ka−2b)/2である。ステップ4において、列車毎に各ユニットの目標待機位置x(k)が決定される。
ステップ5:ここでは、ホームドアが過走対応することを考慮して(目標待機位置から前方に移動可能)、空き部分へのユニットの配分を行う。また、空き部分におけるユニットの目標待機位置も決定する必要がある。
ステップ6:必ずしもステップ5の後に来るものではなく、ステップ4の次にステップ6を実行することができる。各列車のプラットホームに対する目標停止位置を設定することで、プラットホームを基準とするホームドアの各ユニットの位置X(k)が決定される。
方法の全体は3つのステップからなる。ここでは、乗降位置可変型ホームドア新設時の検討について、決定の手順を説明する。既に導入済みのホームにおいて新たな列車に対応可能かについても、この手順を応用することで確認が可能である。
各列車とも、先頭に一番近いドアの先頭側である「前端部位」、ドアとドアの間に挟まれた複数の「中間部位」、最後のドアのすぐ後ろの「後端部位」の3つに分けて検討する。
まず各中間部位に配置可能なユニットの最小数・最大数(最大個数・最小個数)を求める。最小数は、ユニットが扉を完全に出した状態で中間部位の前後に位置する列車ドアの中心の間を閉鎖できる最小の数、最大数はユニットが扉を格納した状況で中間部位の前後に位置する列車ドアに掛からずに配置できる最大の数、から以下のように計算される。
ホーム上に配置するユニット数が決まったら、次は各列車の各部位にいくつのユニットを配置していくかを決定する。列車間でのユニットの移動距離をいたずらに延ばさないために、平均的に配置することを考慮する。そのためにまず、空白部位とそれ以外を長さで比例配分する。ただし、比例配分ではバランスが悪い場合は、±2個程度を空白部位とやりとりすることも考えられる。前端部位・後端部位・各中間部位は、各最小数を配置した上で、残り寸法の大きな部位の順にユニットを追加していく。
各部位の配置個数が決まったら、各ユニットの待機位置を決定する。位置は各列車の先頭からの距離座標で表現する。列車ドアの前をできる限り大きく開口することが基本的な考え方である。これは、ステップ3でホーム形状等による微修正の幅を確保するためと、実用時に列車の停止位置の誤差を吸収しやすくするためである。
ここまでは、列車ドアの中心に左右ユニットの扉体の召し合わせ部分が来ることを原則としてきたが、場合によっては上記の寸法的な余裕を均等にするために、召し合わせ位置をドア中心からずらすことを検討することもある。
最後に、各列車のホーム上の目標停止位置にしたがって、各ユニットの待機位置をホーム上に落とし込む。同時に線路の曲率やカントの状況によって待機座標を修正し、待機位置の分布や動作範囲などから物理的・機械的に成り立つ配置か確認する。
各列車の目標停止位置は、改札や階段などの位置によって予め決められていてもよいし、仮に決めた複数の位置について検討して最も適当なものを選ぶことも可能である。例えば移動時間最小(ユニット移動量の最大値の最小化)、移動エネルギー最小(全移動量最小化)などの選択肢が考えられる。
さらに、最長列車の前後にあるホーム前後端部位の閉鎖の仕方についても決定する。定位置停止装置が装備されていれば単なる固定柵でよい。過走や手前での停車に対応する場合は、本ユニットを追加して並べても、例えば蛇腹状に伸び縮みする常閉の可動柵を設置してもよいが、過走等への対応限界距離を把握しておくことが必要である。
もし適当な結果とならない場合は、ステップ2で決めた配分の個数や待機位置について別案を選択して、上記確認を繰り返すことが必要となる。
例として、以下の条件で得られたユニット配置の検討結果を示す。
・列 車:[列車1]20m4ドア車×4両
[列車2]20m3ドア車×3両
[列車3]18m3ドア車×3両 の3種類
・ユニットの寸法:a=1400mm
b=1100mm
・ホーム:長さ90mの直線状
・その他:運転士・車掌とも乗降の可能性あり
過走・手前での停車への対応はしない
その他は図18参照
[列車1]は、全中間部位で最小・最大数とも2個となり、前端部位・後端部位とも1個、空白部位は最長列車ゆえ0個となる。よって、必要ユニット数は32個の1通りである。
[列車2]は、各部位とも数に幅があり、合計すると25個〜44個となる。
[列車3]も同様に、26個〜44個となる。したがって、3列車に共通するのは32個の1通りだけであり、ユニット数は32個と決定されることとなる(図18)。
[列車1]では1通りしかないので、配置は自動的に決定する。
[列車2]は、空白部位22.80mは全長からの割合ではユニット8.9個にあたるが、20m車1両8個の原則にしたがい少数以下切り捨てして8個が配分され、残りの24個で3両をカバーする。最小数の18個を引いた残り6個を均等に配分する。まず、残り寸法の大きい連結部の3・6番の中間部位(=2900mm=7100-650×2-100-1400×2)に1つずつ追加する。次に残り寸法の大きい中間部位1・2・4・5・7・8番(=2250mm=6450-650×2-100-1400×2)のうち4ヶ所にユニットを追加するが、長さあたりのユニット数が平均化するように考慮し1・4・5・8番に追加する(図18)。
[列車3]は,空白部位は26.17mと少し長くなり、10個の配分を受ける。残り22個のうち、最小数合計18個を引いた4個を配分する。まず、残り寸法の大きい連結部の中間部位3・6番(=1940mm=6140-650×2-100-1400×2)に1つずつ追加する。残りを同寸法の中間部位1・2・4・5・7・8番の中から、配置のバランスを考えて1・8番に追加する。
次にユニットの配分にしたがって、各ユニットの待機位置を割り出す。[列車1]はドア間の距離が狭く、ドア前の扉体を全部出し切ること(=余裕片側450mmを取ること)は、両端部・連結部以外はできないが、2m開口に相当する余裕片側350mmはほぼ確保できている。[列車2]では、全てのドアで±450mmの余裕が取れている。[列車3]では、一部余裕寸法215mmと少ないものがあるが実用上は問題ない。
なお、[列車1][列車3]では,乗務員扉を使用する場合には、戸袋体が列車端部より外側に850・765mmはみ出すので(図4)。反対に[列車2]では,列車端部より550mm入り込んだところまで本ユニットがあればよい。
各列車の目標停止位置については、最長である[列車1]はホーム前端から5mの位置に設定し、[列車2]・[列車3]はそこから10m後ろに下がった位置とした(図5)。この条件にしたがって空白部位を列車の前方部と後方部の2つにわけ、寸法に応じてユニットの個数を配分する。
ちなみに、本例では、最も移動範囲の大きなユニットで2480mmであった。また、全体の移動総量は、[列車1]←→[列車2]で26660mm、[列車1]←→[列車3]で20250mm、[列車2]←→[列車3]で28520mmとなった。これらは決められた目標停止位置に対しての値であり、上記数値を最適化する目標停止位置は別に存在している。
なお、図18において、前端部位、後端部位の寸法は、図17における補正前端部位、補正後端部位の寸法が記入されている。また、結果として、空白部位の寸法も補正されている。
2 ガイドレール
3 可動戸袋
4、4´ 第1扉体
5、5´ 第2扉体
Claims (13)
- 乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置であって、
前記ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなるユニットをホーム上に長さ方向に複数個連設することで、少なくともホームの一部と軌道の間の空間を閉鎖すると共に、列車への乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されており、
N個の乗降口を備えた列車を各乗降口において区画することで得られた、1つの前端部位、N−1個の中間部位、1つの後端部位の少なくとも各中間部位の長さ寸法を記憶する手段と、
各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
各中間部位の長さ寸法と、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法の全部あるいは一部と、を用いて、各中間部位に対応するユニット数を算出するユニット数算出手段と、
N−1個の中間部位のうちの少なくとも一部の連続する複数の中間部位の各中間部位に、前記ユニット数算出手段により算出された1つあるいは複数のユニット(以下「ユニット群」という)を割り当てるユニット群割り当て手段と、
前記ユニット群割り当て手段により割り当てられたユニット群の各ユニットの戸袋及び扉体の列車に対する目標待機位置を、当該目標待機位置において前記連続する複数の中間部位が前記割り当てられたユニット群により閉鎖されており、かつ、当該目標待機位置から隣位のユニット群間に形成される開口幅内に乗降口が位置するように決定する目標待機位置決定手段と、
を備えた乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置。 - 前記ユニット数算出手段は、各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を算出するものであり、
算出された各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数は、当該ユニットの最大個数及び最小個数を記憶する記憶手段に記憶されており、
前記ユニット群割り当て手段は、記憶された最大個数と最小個数の範囲から選択した個数のユニットからなるユニット群を各中間部位に割り当てるものである、請求項1に記載の乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置。 - 前記前端部位、前記後端部位の少なくとも一方に、1つ以上のユニットからなる端部ユニット群を割り当てる端部ユニット群割り当て手段を備え、
前記目標待機位置決定手段は、当該目標待機位置において前記中間部位のユニット群と前記端部ユニット群が閉鎖状態を保持しており、かつ、当該目標待機位置から前記端部ユニット群と前記中間部位のユニット群の間に形成される開口幅内に乗降口が位置するように決定する、請求項1、2いずれか1項に記載の乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置。 - 乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置であって、
乗車位置可変型ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなるユニットをホーム上に長さ方向に所定数連設することで、ホームと軌道の間の空間を閉鎖すると共に、列車への乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されており、
前記装置は、ユニット数を決定するユニット数決定手段を含み、
ユニット数決定手段は、
各異種列車について、各乗降口において区画することで得られた1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位の各長さ寸法を記憶する手段と、
各異種列車の各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
異種列車毎に、各中間部位の長さ寸法、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を計算する手段と、
計算された各中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を記憶する手段と、
異種列車毎に、ユニットの最大個数、最小個数をそれぞれ加算することで、各異種列車のユニット数の最大総数と最小総数を取得する手段と、
各異種列車のユニット数の最大総数と最小総数の重複範囲を求め、当該重複範囲から選択した数を第1のユニット数として決定する手段と、を備え、前記第1のユニット数は、前記異種列車の最長列車の全中間部位を閉鎖可能なユニット数である、乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置。 - 前記異種列車は、少なくとも1つの長さの異なる列車を含み、
最長列車と短い列車の長さの差を取得する手段と、
前記長さの差に基づいて、当該短い列車のユニット数の最大総数と最小総数を最長列車に合わせて補正する手段と、を備え、
補正後の最大総数及び最小総数を用いて重複範囲が求められる、請求項4に記載の乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置。 - 乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置であって、
乗車位置可変型ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなるユニットをホーム上に長さ方向に所定数連設することで、ホームと軌道の間の空間を閉鎖すると共に、列車への乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されており、
前記装置は、対象ホームに停車する全異種列車に対応可能なユニット数を決定するユニット数決定手段を含み、
前記ユニット数決定手段は、
プラットホームに停車する最長の列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得し、全中間部位の長さ寸法に対応する第1のユニット数を決定する手段と、
前端部位および/あるいは後端部位に対応する第2のユニット数を決定する手段と、
第1のユニット数と第2のユニット数の合計を所定数とする手段と、からなる、乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置。 - 前記第1のユニット数を決定する手段は、
プラットホームに停車する各異種列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得する手段と、
異種列車毎に、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位の長さ寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大数、最小数を取得する手段と、
異種列車毎に、最大数、最小数をそれぞれ加算することで各列車におけるユニット最大総数、最小総数を取得する手段と、
各異種列車のユニット最大総数と最小総数の重複範囲を求め、当該重複範囲から選択した数を第1のユニット数とする手段と、を備えている、請求項6に記載の乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置。 - 前記第1のユニット数を決定する手段は、
プラットホームに停車する各異種列車の最長列車において、各乗降口において区画することで、1つの前端部位、複数の中間部位、1つの後端部位に分割して各部位の長さ寸法を取得する手段と、
最長列車において、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位の長さ寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各中間部位に対応するユニットの最大数、最小数を取得する手段と、
最長列車において、上記最大数、最小数をそれぞれ加算することでユニット最大総数、最小総数を取得し、ユニット最大総数とユニット最小総数の範囲から選択したユニット数を第1のユニット数とする手段と、を備えている、請求項6に記載の乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置。 - 前記装置は、ユニット配置決定手段を備え、
前記ユニット配置決定手段は、
異種列車毎に、前記第1のユニット数のユニットの全部あるいは一部を、各中間部位に対応するユニットの最大個数〜最小個数の範囲内の1つあるいは複数のユニット(以下「ユニット群」という)を割り当てるユニット群割り当て手段と、
割り当てられた各ユニットの戸袋及び扉体の列車に対する目標待機位置を、当該目標待機位置において各異種列車の全中間部位が前記割り当てられたユニット群により閉鎖されており、かつ、当該目標待機位置から隣位のユニット群間に形成される開口幅内に乗降口が位置するように決定する目標待機位置決定手段と、
を備えている、請求項4〜8いずれか1項に記載の乗降位置可変型ホームドアの構成決定装置。 - ホーム上に設置された乗車位置可変型ホームドアの新異種列車への適用の可否を判定する装置であって、
乗車位置可変型ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなる複数のユニットをホーム上に長さ方向に連設することで、ホームと軌道の間の空間を閉鎖すると共に、列車への乗降時に列車の乗降口に合わせてユニット間に開口が形成されるように構成されており、
M個の乗降口を備えた新異種列車を各乗降口において区画することで得られた、1つの前端部位、M−1個の中間部位、1つの後端部位の各長さ寸法を記憶する手段と、
新異種列車の各部位に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
前記乗車位置可変型ホームドアを構成するユニット総数を記憶する手段と、
前記乗車位置可変型ホームドアの全長を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
新異種列車の各中間部位、前端部位、後端部位、前記乗車位置可変型ホームドアの全長と新異種列車の全長の差である空白部位の各部位の長さ寸法、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各部位に含まれる乗降口の幅寸法を用いて、各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を計算する手段と、
計算された各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を記憶する手段と、
各部位に対応するユニットの最大個数、最小個数をそれぞれ加算することで、新異種列車のユニット数の最大総数と最小総数を取得する手段と、
前記既設のホームドアのユニット総数が、新異種列車のユニット数の最大総数と最小総数の範囲内にあるか否かを判定する手段と、
を備えた装置。 - 乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置であって、
前記ホームドアは、ホームの長さ方向に移動可能な可動戸袋と1枚以上の扉体とからなるユニットをホーム上に長さ方向に複数個連設することで構成されており、
列車における第1の乗降口における第1区画線と第1の乗降口の隣に位置する第2の乗降口における第2区画線との間に規定される中間部位の長さ寸法を記憶する手段と、
前記中間部位の前端側および/あるいは後端側に含まれる乗降口の幅寸法を記憶する手段と、
1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法を記憶する手段と、
前記中間部位の長さ寸法と、1ユニットの最大幅寸法、最小幅寸法、各中間部位に含まれる乗降口の幅寸法の全部あるいは一部と、を用いて、各中間部位に対応するユニット数を算出するユニット数算出手段と、
前記ユニット数算出手段により算出された1つあるいは複数のユニット(以下「ユニット群」という)を前記中間部位に割り当てるユニット群割り当て手段と、
を備えた乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置。 - 前記ユニット数算出手段は、前記中間部位に対応するユニットの最大個数、最小個数を算出するものであり、
前記ユニット群割り当て手段は、前記最大個数と最小個数の範囲から選択した個数のユニットからなるユニット群を前記中間部位に割り当てるものである、請求項11に記載の乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置。 - 前記乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置は、前記ユニット群割り当て手段により割り当てられたユニット群の各ユニットの戸袋及び扉体の前記中間部位に対する目標待機位置を決定する目標待機位置決定手段を備えており、
前記目標待機位置決定手段は、
前記目標待機位置を、当該目標待機位置において前記中間部位が前記ユニット群により閉鎖されており、閉鎖姿勢において前記ユニット群の前端側および/あるいは後端側に位置する扉体が前記中間部位の前端側および/あるいは後端側に含まれる乗降口に対応しており、かつ、当該目標待機位置から前記ユニット群の前端側および/あるいは後端側に位置する扉体を開放することで、対応する乗降口との間に開口部余裕を形成するように決定する、請求項11、12いずれかに記載の乗降位置可変型ホームドアの列車への対応付け装置。
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