JP2004352034A - 連接ホームドア駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】連接ホームドア装置の小形化、故障の防止、及び耐久性の向上を図る。
【解決手段】プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、前記制御用信号と駆動用電流のいずれか一方又は双方は、トロリーを用いて供給されるように構成すること。
【選択図】図1
【解決手段】プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、前記制御用信号と駆動用電流のいずれか一方又は双方は、トロリーを用いて供給されるように構成すること。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄道用のプラットホームに設置され、乗客を転落事故や電車との接触事故から守るために、鉄道車両の乗降口に対応する位置に乗降用開口を形成する連接ホームドア装置に関し、特に連接ホームドア装置のホームドア駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道用のプラットホームに設置される連接ホームドア装置としては、高さの低い可動柵タイプのものではあるが、可動柵部が複数枚の柵部材から構成され、プラットホームに停車した車両の乗降口に対応して前記可動柵部に乗降用開口を形成するものとして、特開平6−239223号公報に開示されているように、既に提案されている。
【0003】
この従来のプラットホーム用可動柵装置について、図9を参照しながら説明する。
このプラットホーム用可動柵装置は、可動柵部80及び固定柵部81,82からなり、前記可動柵部80は複数の可動柵K1〜K7で構成されている。前記各可動柵K1〜K7には隣接する可動柵同士を連結又は解除する連結手段83が設けられ、前記可動柵K7には駆動手段84が設けられている。また、前記各可動柵K1〜K7とプラットホーム90との間には、各可動柵の移動をロックするロックシリンダR1〜R9を具備するロック手段85が設けられている。
【0004】
このようなプラットホーム用可動柵装置は、次のような動作を行う。
図9(a)において、停車した車両の乗降口が可動柵K1〜K3(又は可動柵K1〜K2)の範囲に略一致しているとすれば、連結手段83は全て連結状態のままで、駆動手段84により可動柵K7を開方向(左方向)へ3枚分(又は2枚分)の長さW1(又は長さW2)だけ移動すると、これに牽引されて可動柵K1〜K6も共に移動し、図9(b)に示すように、車両の乗降口に対応して開口幅W1(又は開口幅W2)の乗降用開口が形成される。
【0005】
また、図9(a)において、停車した車両の乗降口が可動柵K7の範囲に略一致しているとすれば、可動柵K6とK7を連結している連結手段83を解除し、駆動手段84により可動柵K7を開方向へ3枚分の長さW1だけ移動すると、車両の乗降口に対応して開口幅W1の乗降用開口が形成される。また、停車した車両の乗降口が可動柵K7の範囲の可動柵K6側に偏ってW2に対応する幅であれば、移動距離をW2とすればよい。
【0006】
このように可動柵の連結手段83を解除して可動柵間に乗降用開口を形成する操作は、可動柵K1〜K7の間のどこであっても対応する連結手段83を解除して行うことができるから、固定柵部81,82の間で停車した車両の乗降口の位置が変化しても、それぞれに対応して可動柵部分に開口を形成することができる。可動柵を移動する場合には、ロック手段85のうち、対応したロックシリンダのロックを予め解除してから移動し、移動させた後は、前記ロックシリンダによりその位置にロックする。
【0007】
また、プラットホーム用の連接ホームドア装置の別の従来技術としては、特許第3050857号公報に開示されているものが、既に知られている。
この連接ホームドア装置は、全高形のものであって、一組の固定壁部と該固定壁部の間において移動自在に支持された複数の可動扉とから構成されている。前記複数の可動扉は、上部の固定支持枠に設置された戸車レールに案内される戸車により左右に移動自在に支持され、また前記可動扉のそれぞれには、前記固定支持枠内において可動子として永久磁石片が取り付けられている。一方、前記固定支持枠には、前記永久磁石片に対抗して固定子として複数のコイル部が取り付けられている。これらの永久磁石片とコイル部は、前記可動扉を開閉駆動するリニアモータを構成している。
【0008】
このように構成された連接ホームドア装置は、右方向又は左方向に移動すべき各可動扉に対して、その対応するコイル部に駆動用励磁電流を給電することにより、前記それぞれの可動扉を選択的に右方向又は左方向に移動して、停車した車両の乗降口に対応する乗降用開口を形成することができる。そして、移動を阻止して停止すべき可動扉に対しては、対応するコイル部に直流の停止用励磁電流を給電すればよい。
【0009】
【従来技術の問題点】
特開平6−239223号公報に記載された従来のプラットホーム用可動柵装置は、各可動柵の連結手段83及びロック手段85のアクチュエータ(解除シリンダ86及びロックシリンダR1〜R9)を固定側(プラットホーム側)に設置し、これらにより可動側(可動柵側)に設けられたそれぞれの部材を動作させているため、設備が複雑になるばかりでなく、可動柵装置の設置作業も複雑で困難なものとなる。
【0010】
また、前記可動柵の駆動手段84への電源線及び制御線についての記述はないが、一般的には可動給電線による方法が普通である。この方法では長いストロークを有するときには、広い設置場所が必要であり、また給電線の断線等の問題もあり信頼性に欠けるものである。特に、上部側に設置されるボックス(エンジンボックス)内に駆動手段を収納する全高形のホームドア装置においては、可動給電線も含め、上記従来技術の可動柵装置が備える各種機器を収納することは困難である。
【0011】
次に、特許第3050857号公報に記載された従来のプラットホーム用連接ホームドア装置は、可動扉の開閉駆動手段として永久磁石片とコイル部とからなるリニアモータが採用されており、ホームドア駆動手段の価格が高くなりコストの低減が困難である。
【0012】
【特許文献】特開平6−239223号公報
【特許文献】特許第3050857号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、連接ホームドア装置の構造を簡単にして、その設置作業を容易にすると共に、故障も少なく耐久性を向上させることを目的とするものであり、そのために解決しようとする課題は次のとおりである。
【0014】
【課題1】(請求項1〜5に対応)
課題1は、連接ホームドア装置のホームドア駆動装置に対して、制御用信号や駆動用電流をトロリーを用いて供給することにより、連接ホームドア装置の小形化、故障の防止、及び耐久性の向上を図ることである。
【0015】
【課題2】(請求項6及び7に対応)
連接ホームドア装置の複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器を構成する全ての要素、又は前記複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定又は解放するロック機構を構成する全ての要素を、連接ホームドア装置内に取り付けることにより、連接ホームドア装置の構造を簡単で小形化すると共に、設置作業を容易にすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
【解決手段1】(請求項1に対応)
上記課題1を解決するために講じた手段は、プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、
前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、前記制御用信号と駆動用電流のいずれか一方又は双方は、トロリーを用いて供給されるように構成することである。
【0017】
【作用】
プラットホームに停車した車両の種別及び停車位置(車両の乗降口の位置)に応じて、制御手段は制御用信号と制御された駆動用電流を出力する。連結器は前記制御信号を受けて、連接された複数のホームドアを左右に引き分ける個所(1個所又は2個所)で解放される。さらに、駆動手段は前記駆動用電流の供給を受けて、一端側又は両端側のホームドアとこれに連結されているホームドアを移動させる。これにより、前記連接された複数のホームドアは、停車した車両の乗降口に対応する位置において乗降用開口を形成する。このとき、制御手段から供給される制御用信号と駆動用電流のいずれか一方又は双方は、トロリーを用いて供給されるから、可動給電線を用いる必要がなくなり、連接ホームドア装置を小形化することができるばかりでなく、断線等の故障も防止することができる。
【0018】
【実施態様1】(請求項2に対応)
実施態様1は、上記解決手段1において、ホームドア駆動装置が複数のホームドアを所定位置に固定するロック機構を備えると共に、上記制御手段が前記ロック機構に対して制御用信号を供給するものである。
【作用】
上記ロック機構は、制御手段から供給される制御用信号により、複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定又は解放することによって、移動する必要のないホームドアを固定することができ、乗降用開口を形成する作動が確実となり、不用意にホームドアが移動することもなく安全性の高いものとなる。
【0019】
【実施態様2】(請求項3に対応)
実施態様2は、上記解決手段1又は実施態様1において、複数のホームドアは側方端面に戸先スイッチを備えており、制御手段は前記戸先スイッチのうち所定のものを選択して検知可能とし、ホームドアと乗客との接触を検知するものである。
【作用】
上記戸先スイッチは、それぞれのホームドアの側方端面に設けられており、連接された複数のホームドアが左右に引き分けられて乗降用開口を形成するとき、一群となって移動されるホームドアの戸先スイッチうち、残留ホームドアに対抗する戸先スイッチのみが選択され検知可能に制御される。これによって、乗降用開口付近の乗客が閉じ動作中のホームドアの側端に接触したとき、これを検知することができる。
【0020】
【実施態様3】(請求項4に対応)
実施態様3は、上記解決手段1又は実施態様1〜2において、制御用信号が単一の制御用トロリーを用いて供給され、該制御用信号はホームドア駆動装置に設けられている配線を介して伝達されるものである。
【作用】
制御用信号は単一の制御用トロリーにより供給され、ホームドア駆動装置に設けられている配線を介して各ホームドア方向に伝達されるから、各ホームドア毎に制御用トロリーを設ける必要がなく、また制御用トロリーダクトをホームドアの移動範囲全体に亘って敷設する必要もない。したがって、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、小形化を図ることができる。
【0021】
【実施態様4】(請求項5に対応)
実施態様4は、上記解決手段1又は実施態様1〜3において、制御用信号及び駆動用電流が供給されるそれぞれのトロリーが、1つのトロリーで兼用されるものである。
【作用】
1つのトロリーで制御用信号と駆動用電流が供給されるから、装置の構造が簡単になり小形化することができる。
【0022】
【解決手段2】(請求項6に対応)
上記課題2を解決するために講じた手段は、プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、
前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、前記連結器を構成する全ての要素が、前記連接ホームドア装置に取り付けられるように構成することである。
【0023】
【作用】
プラットホームに停車した車両の種別及び停車位置(車両の乗降口の位置)に応じて、制御手段は制御用信号と制御された駆動用電流を出力する。連結器は前記制御信号を受けて、連接された複数のホームドアを左右に引き分ける個所(1個所又は2個所)で解放される。さらに、駆動手段は前記駆動用電流の供給を受けて、一端側又は両端側のホームドアとこれに連結されているホームドアを移動させる。これにより、前記連接された複数のホームドアは、停車した車両の乗降口に対応する位置において乗降用開口を形成する。前記連結器を構成する全ての要素は、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所、例えばプラットホーム等に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【0024】
【実施態様1】(請求項7に対応)
実施態様1は、上記解決手段2において、ホームドア駆動装置が複数のホームドアを所定位置に固定するロック機構を備えており、制御手段が前記ロック機構に対して制御用信号を供給すると共に、前記ロック機構を構成する全ての要素が、連接ホームドア装置に取り付けられているものである。
【0025】
【作用】
上記ロック機構は、制御手段から供給される制御用信号により、複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定又は解放することによって、移動する必要のないホームドアを固定することができ、乗降用開口を形成する作動が確実となり、不用意にホームドアが移動することもなく安全性の高いものとなる。また、ロック機構を構成する全ての要素が、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所、例えば、プラットホーム等に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【0026】
【実施の形態】
次に、この連接ホームドア駆動装置に係る発明の実施の形態について、図1〜図8を参照しながら説明する。
【実施例1】
先ず、本発明の実施例1について、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0027】
(1) 固定壁部11及び連接ホームドア12について
先ず、図1〜図3を参照しながら、連接ホームドア装置10を構成する固定壁部11及び連接ホームドア12について説明する。
プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置10は、複数のホームドアD1〜D10が前記線路に沿う方向に移動可能に連接して設けられた連接ホームドア12と、該連接ホームドア12の移動方向の一端側又は両端側に設けられた固定壁部(戸袋)11とを備えている。前記連接ホームドア12を構成する各ホームドアD1〜D10は、ガイドレール15上を案内される戸車13により移動可能に支持されており(図4及び図5)、前記各ホームドアD1〜D10には、それぞれ1個の推進伝達台車32が取り付けられている。これら複数の推進伝達台車32のうち片側端又は両側端の推進伝達台車32(図1では、ホームドアD1又はホームドアD10の一方又は双方の推進伝達台車)には、駆動台車31が固定連結器50により連結されている(図4)。
【0028】
また、前記連接ホームドア12の両側のホームドアD1,D10の片側端面、及び残りのホームドアD2〜D9の両側端面には、それぞれ戸先スイッチ14が設けられている。これらの戸先スイッチ14は、制御手段70によって選択されたもののみが検知可能となる。即ち、連接ホームドア12に乗降用開口A,B(図2)が形成されたときには、一群となって移動されるホームドアD1〜D3,D7〜D10に設けられた戸先スイッチ14のうち、残留ホームドアD4〜D6に対抗する戸先スイッチ14のみが検知可能とされる。これにより、閉じ動作中のホームドアの側端部が乗降客に接触したとき、これを制御手段70において検知(戸当り検知)することができる。
【0029】
(2) ホームドアD1〜D10の駆動装置について
前記ホームドアD1〜D10のホームドア駆動装置30は、駆動手段である駆動台車31、推進伝達台車32、駆動用トロリーダクト及びトロリー33,34、制御用トロリーダクト及びトロリー43,44、直動ガイド51、固定ラック38及び制御手段70等から構成される。前記駆動用トロリーダクト33は、前記固定壁部11が設けられている範囲だけに設置されており、前記制御用トロリーダクト43は、前記各ホームドアD1〜D10が移動する範囲に亘って設置されている。
【0030】
(2−1) 駆動台車31について
図3〜図5を参照しながら、駆動台車31について説明する。
前記駆動台車(駆動手段)31は、駆動用トロリー34、モータ35、ローラチェーン等の伝動機構36、及びピニオン37を備えており、駆動台車用スライダー39によって直動ガイド51上を案内され移動できるようになっている。前記駆動用トロリー34は、駆動用トロリーダクト33に摺接して、前記モータ35に駆動用電流を供給する。この駆動用電流を受けて回転駆動されるモータ35は、伝動機構36を介してピニオン37を回転駆動する。該ピニオン37は固定ラック38と噛み合っているため、前記駆動台車31は直動ガイド51に案内されて移動される。
【0031】
(2−2) 推進伝達台車32について
図3〜図6を参照しながら、推進伝達台車32について説明する。
前記推進伝達台車32は、前記駆動台車31に固定連結器50によって連結されている。この推進伝達台車32は、制御用トロリー44、通信子局(制御器)45、ロック機構46、及び連結器47を備えており、推進伝達台車用スライダー49によって直動ガイド51上を案内され移動できるようになっている。前記制御用トロリー44は、制御用トロリーダクト43に摺接して制御用信号を通信子局45に送り、この制御用信号を受信した通信子局45は、ロック機構46にロック又は解放動作を行わせると共に、連結器47に連結又は解放動作を行わせる。また、前記推進伝達台車32は、推進伝達金具48によって対応するホームドアに連結されており、前記推進伝達台車32が移動するとそれに連結されているホームドアも一緒に移動する。
【0032】
次に、前記推進伝達台車32に設けられた連結器47及びロック機構46について、図4及び図6を参照しながら説明する。
前記連結器47は、隣接する推進伝達台車32,32の端部間に設けられており、これらの推進伝達台車32,32同士を連結又は解放する機能を有するものであり、図6に示されているように、隣接する推進伝達台車32の一方側に、回動可能なフック57、アクチュエータ55、及び圧縮バネ56が設けられ、他方側に嵌合軸58が設けられている。そして、前記アクチュエータ55と圧縮バネ56の働きによってフック57を回動操作すれば、前記フック57が嵌合軸58に対して係合又は解放され、前記隣接する推進伝達台車32,32同士を連結又は解放することができる。図6(a)は各隣接推進伝達台車32,32同士が連結された状態を、また図6(b)は解放された状態を示すものである。
【0033】
また、前記ロック機構46は、推進伝達台車32が不用意に移動しないように所定位置に固定する機能を有するものであり、図6に示されているように、前記推進伝達台車32に取り付けられたアクチュエータ52と、移動しない部材(例えば、後述するエンジンボックス60の側壁部等)に設けられた嵌合凹部54から構成される。前記アクチュエータ52は突出軸53を備えており、該突出軸53を前記嵌合凹部54に係合することによって前記推進伝達台車32を所定位置に固定することができる。
前記連結器47及びロック機構46のそれぞれのアクチュエータ55,52は、通電時に動作してロッドを突出するようになされている(図6(a))。これにより、停電時には連結器47及びロック機構46が解放されて、各ホームドアD1〜D10は任意に移動でき開放することができる。
【0034】
(2−3) 制御手段70について
さらに、制御手段70について、図3を参照しながら説明する。
この制御手段70は、連接ホームドア装置10の固定側に設置されており、個別制御盤71、インバータ72、通信親局73、戸先スイッチ検出部74、開閉検知リミットスイッチ75、及び支障物センサ76等から構成されている。前記制御手段70は、プラットホームに停車した車両の種別及び停車位置(車両の乗降口の位置)に応じて、前記車両の乗降口に対応する位置に連接ホームドア12の乗降用開口が形成されるように、前記推進伝達台車32に設けられたロック機構46と連結器47、及び前記駆動台車31に設けられたモータ35をそれぞれ制御する。さらに、前記制御手段70は、各ホームドアD1〜D10に設けられた戸先スイッチ14について選択制御して、戸当り検知も行うものである。
【0035】
前記制御手段70においては、個別制御盤71及びインバータ72によって、制御された駆動用電流を生成し、これをエンジンボックス60内に敷設された駆動用トロリーダクト33に供給する。モータ35は、前記制御された駆動用電流を駆動用トロリー34から受けることにより、その回転方向と回転速度が制御される。
【0036】
また、前記個別制御盤71は、停車した車両の乗降口の位置に応じて、連接される複数のホームドアを左右に引き分ける個所を選択し、これにより作動させる連結器47、ロック機構46、及び戸先スイッチ14を定めて、その情報を制御用信号として通信親局73から制御用トロリーダクト43に供給する。前記連結器47、ロック機構46、及び戸先スイッチ14は、前記制御用信号を制御用トロリー44を介して通信子局45で受信することにより、決められた制御に従ってリレーをオン/オフして、個々に制御することができる。このように、制御用信号の通信親局73から通信子局45への伝達は、トロリーを使用した通信システムで行うことができる。
【0037】
(3) エンジンボックス60について
エンジンボックス60について、図4及び図5を参照しながら説明する。
エンジンボックス60は、連接ホームドア装置10の最上部に長手方向全体に亘って設けられている断面箱形のもので構成されており、駆動用トロリーダクト33、制御用トロリーダクト43、直動ガイド51、駆動台車31、推進伝達台車32、固定ラック38、ガイドレール15、及びホームドアの戸車13等を取り囲んでいる。
したがって、連接ホームドアの駆動装置を構成する殆どの要素は、エンジンボックス60の内に収納されている。
【0038】
次に、上記実施例1の連接ホームドア装置10について、その動作を図1〜図6を参照しながら説明する。
車両は、プラットホームに停車して乗降口を開き、乗客が乗り降りした後、乗降口を閉じて発車するのが通常であるから、この順序にしたがって前記連接ホームドア装置10の動作を説明する。
【0039】
(1) 車両の停車、及び乗降用開口の形成
連接ホームドア装置10の全てのホームドアD1〜D10は、プラットホームに車両が停車する前には完全に閉鎖されており、乗降用開口が形成されることはない(図1)。このとき、全ての推進伝達台車32に設けられている各ロック機構46は、ロックされた状態である。プラットホームに車両が停車すると、制御手段70は、車両の種別及び停止位置に関する情報に基づいて、図2に示されているように、停車した車両の乗降口と対応する位置に連接ホームドア12の乗降用開口A,Bを形成すべく、各ホームドアD1〜D10のうち移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10と残留すべきホームドアD4〜D6を選択し、それに応じた制御用信号を通信親局73から制御用トロリーダクト43に供給する。
【0040】
前記制御手段70により制御用トロリーダクト43に供給された制御用信号は、制御用トロリー44を介して推進伝達台車32に設けられた通信子局45で受信され、ロック機構46と連結器47を次のように動作する。移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10に対応する推進伝達台車32のロック機構46を解除し、残留すべきホームドアD4〜D6に対応する推進伝達台車32のロック機構46をロック状態に維持する。そして、移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10と残留すべきホームドアD4〜D6との間(ホームドアD3とホームドアD4との間、及びホームドアD6とホームドアD7との間)の連結器47を解放する。
【0041】
次いで、駆動台車31に設けられたモータ35は、制御手段70の個別制御盤71とインバータ72により生成された駆動用電流を駆動用トロリー34を介して受電して、所定の回転方向と回転速度で回転駆動される。このようにモータ35が回転駆動されると、伝動機構36を介してピニオン37が駆動され、これにより前記駆動台車31が所定の方向に所定の速度で移動される。これに伴って、前記駆動台車31に対して固定連結器50と連結器47で連結された推進伝達台車32は、牽引されて移動される。このようにして、移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10はそれぞれ所定方向に移動され、停車した車両の2つの乗降口に対応した位置にそれぞれ乗降用開口A,Bを形成することができる(図2)。
【0042】
このように、連接ホームドア12に乗降用開口A,Bが形成されたとき、各ホームドアD1〜D10に設けられた戸先スイッチ14の状態は、一群となって移動されるホームドアD1〜D3,D7〜D10に設けられた戸先スイッチ14のうち、残留ホームドアD4〜D6に対抗する戸先スイッチ14(図2において、ホームドアD3の右側の戸先スイッチ、及びホームドアD7の左側の戸先スイッチ)のみが検知可能となっている。
このような作動状態は図2に示されている。このときの各ホームドアの制御状態は
【表】に示すとおりである。
○はリレー:オン、×はリレー:オフを示す
【0043】
前記移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10を牽引移動する駆動台車31の移動方向と移動速度は、前記駆動用トロリーダクト33に供給される駆動用電流により、前記モータ35の回転方向と回転速度を制御することによって行われる。
また、移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10の移動によって、乗降用開口A,Bの形成が完了すると、推進伝達台車32に設けられたロック機構46は、制御手段70からの制御用信号を受けてロック動作をして、移動されたホームドアD1〜D3,D7〜D10をその位置でロックする。
【0044】
(2) 乗客の乗り降り
上記の動作により、車両の乗降口に対応した位置において、連接ホームドア12に乗降用開口A,Bが形成されると、乗客はこの乗降用開口A,Bを通ってスムーズに乗り降りすることができる。
【0045】
(3) 乗車用開口の閉鎖、及び列車の出発
乗客の乗り降りが終了すると車両の乗降口は閉鎖される。このとき、制御手段70は、制御用トロリーダクト43に対して制御用信号を供給すると共に、動力用トロリーダクト33に対して駆動用電流を供給する。推進伝達台車32と駆動台車31の制御用及び駆動用トロリー34,44は、前記制御用信号及び駆動用電流を受けて、移動されたホームドアD1〜D3,D7〜D10に対応する推進伝達台車32のロック機構46を解除すると共に、モータ35を逆方向に駆動して、移動されたホームドアD1〜D3,D7〜D10を元の閉鎖位置に戻す。そして、元の閉鎖位置に戻されたホームドアD1〜D3,D7〜D10は、その位置で再びロック機構46によりロックされる。
【0046】
【実施例2】
次に、本発明の実施例2の連接ホームドア装置10について、図7及び図8を参照しながら説明する。
実施例2は、制御用トロリーダクト43及び制御用トロリー44に関する構成を除けば、上記実施例1と同じである。
制御用トロリーダクト43は、上記実施例1の駆動用トロリーダクト33と同様に、固定壁11の範囲内にのみ設置されている。前記制御用トロリー44は、駆動台車31に設けられており、前記制御用トロリーダクト43に摺接する。前記制御用トロリー44から各推進伝達台車32と各ホームドアD1〜D10への制御用信号の伝達は、前記各推進伝達台車32に設けられた配線を介して行われる。隣接する推進伝達台車32の間の配線は、前記各推進伝達台車32の端面に取り付けられた電気連結器(カプラー)により接続される。
【0047】
また、前記制御用トロリーダクト43と駆動用トロリーダクト33は、それぞれ独立して設けることなく、単一のトロリーダクトによって兼用することができる。この場合、制御用信号と駆動用電流を単一のトロリーダクトに供給されることになるが、これは既に知られている技術を適用することにより容易に実行し得る。
【0048】
次に、実施例2の動作について、図7及び図8を参照しながら説明する。
この実施例2の動作は、実施例1の作動と殆ど同じである。ただ、実施例2の異なる点は、制御用信号が推進伝達台車32に設けられた配線と電気連結器(カプラー)65により伝達されることである。したがって、前記隣接する推進伝達台車32同士の連結が解除されると、前記電気連結器65の接続も解除されることになる。
【0049】
【発明の効果】
この発明の効果を主な請求項毎に整理すると次のとおりである。
1.請求項1の発明の効果
連接ホームドアの駆動装置に対して、可動給電線を用いることなく、制御用信号又は駆動用電流をトロリーを用いて供給するから、限られた空間でストロークを自由にとることができ、装置を小形化することができるばかりでなく、故障の発生を減少させ、耐久性を向上させることができる。
【0050】
2.請求項3の発明の効果
移動されるホームドアの戸先スイッチうち、残留ホームドアに対抗する戸先スイッチのみが選択されて検知可能となるから、乗降用開口付近の乗客が閉じ動作中のホームドアの側端に接触したとき、これを検知することができ、乗客の安全を図ることができる。
【0051】
3.請求項4の発明の効果
各ホームドア毎に制御用トロリーを設けることなく、また制御用トロリーダクトをホームドアの移動範囲に亘って敷設する必要もないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、小形化を図ることができる。
【0052】
4.請求項5の発明の効果
単一のトロリーで制御用信号と駆動用電流を受けることができるから、装置の構造が簡単になり小形化することができる。
【0053】
5.請求項6の発明の効果
連結器を構成する全ての要素は、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【0054】
6.請求項7の発明の効果
ロック機構を構成する全ての要素が、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1の連接ホームドア装置の正面模式図であって、全てのホームドアが閉じられた状態を示す。
【図2】は、実施例1の連接ホームドア装置の正面模式図であって、乗降用開口が形成された状態を示す。
【図3】は、実施例1の連接ホームドア装置の模式図であって、制御手段、トロリーダクト、駆動台車、推進伝達台車、及び各ホームドア等の相互の関係を示す。
【図4】は、実施例1の連接ホームドア駆動装置の模式図である。
【図5】は、エンジンボックスの断面を示す模式図である。
【図6】は、連結器とロック機構を示す模式図である。
【図7】は、実施例2の連接ホームドア装置の正面模式図であって、全てのホームドアが閉じられた状態を示す。
【図8】は、実施例2の連接ホームドア装置の模式図であって、制御手段、トロリーダクト、駆動台車、推進伝達台車、及び各ホームドア等の相互の関係を示す。
【図9】は、従来のプラットホーム用可動柵装置を示す模式図である。
【符号の説明】
10:連接ホームドア装置
11:固定壁部
12:連接ホームドア(複数のホームドアD1〜D10からなる)
13:戸車
14:戸先スイッチ
15:ガイドレール
30:ホームドア駆動装置
31:駆動台車(駆動手段)
32:推力伝達台車
33:駆動用トロリーダクト
34:駆動用トロリー
35:モータ
37:ピニオン
38:固定ラック
43:制御用トロリーダクト
44:制御用トロリー
46:ロック機構
47:連結器
50:固定連結器
51:直動ガイド
60:エンジンボックス
65:電気連結器(カプラー)
70:制御手段
71:個別制御盤
A,B:連接ホームドアの乗降用開口
D1〜D10:ホームドア
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄道用のプラットホームに設置され、乗客を転落事故や電車との接触事故から守るために、鉄道車両の乗降口に対応する位置に乗降用開口を形成する連接ホームドア装置に関し、特に連接ホームドア装置のホームドア駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道用のプラットホームに設置される連接ホームドア装置としては、高さの低い可動柵タイプのものではあるが、可動柵部が複数枚の柵部材から構成され、プラットホームに停車した車両の乗降口に対応して前記可動柵部に乗降用開口を形成するものとして、特開平6−239223号公報に開示されているように、既に提案されている。
【0003】
この従来のプラットホーム用可動柵装置について、図9を参照しながら説明する。
このプラットホーム用可動柵装置は、可動柵部80及び固定柵部81,82からなり、前記可動柵部80は複数の可動柵K1〜K7で構成されている。前記各可動柵K1〜K7には隣接する可動柵同士を連結又は解除する連結手段83が設けられ、前記可動柵K7には駆動手段84が設けられている。また、前記各可動柵K1〜K7とプラットホーム90との間には、各可動柵の移動をロックするロックシリンダR1〜R9を具備するロック手段85が設けられている。
【0004】
このようなプラットホーム用可動柵装置は、次のような動作を行う。
図9(a)において、停車した車両の乗降口が可動柵K1〜K3(又は可動柵K1〜K2)の範囲に略一致しているとすれば、連結手段83は全て連結状態のままで、駆動手段84により可動柵K7を開方向(左方向)へ3枚分(又は2枚分)の長さW1(又は長さW2)だけ移動すると、これに牽引されて可動柵K1〜K6も共に移動し、図9(b)に示すように、車両の乗降口に対応して開口幅W1(又は開口幅W2)の乗降用開口が形成される。
【0005】
また、図9(a)において、停車した車両の乗降口が可動柵K7の範囲に略一致しているとすれば、可動柵K6とK7を連結している連結手段83を解除し、駆動手段84により可動柵K7を開方向へ3枚分の長さW1だけ移動すると、車両の乗降口に対応して開口幅W1の乗降用開口が形成される。また、停車した車両の乗降口が可動柵K7の範囲の可動柵K6側に偏ってW2に対応する幅であれば、移動距離をW2とすればよい。
【0006】
このように可動柵の連結手段83を解除して可動柵間に乗降用開口を形成する操作は、可動柵K1〜K7の間のどこであっても対応する連結手段83を解除して行うことができるから、固定柵部81,82の間で停車した車両の乗降口の位置が変化しても、それぞれに対応して可動柵部分に開口を形成することができる。可動柵を移動する場合には、ロック手段85のうち、対応したロックシリンダのロックを予め解除してから移動し、移動させた後は、前記ロックシリンダによりその位置にロックする。
【0007】
また、プラットホーム用の連接ホームドア装置の別の従来技術としては、特許第3050857号公報に開示されているものが、既に知られている。
この連接ホームドア装置は、全高形のものであって、一組の固定壁部と該固定壁部の間において移動自在に支持された複数の可動扉とから構成されている。前記複数の可動扉は、上部の固定支持枠に設置された戸車レールに案内される戸車により左右に移動自在に支持され、また前記可動扉のそれぞれには、前記固定支持枠内において可動子として永久磁石片が取り付けられている。一方、前記固定支持枠には、前記永久磁石片に対抗して固定子として複数のコイル部が取り付けられている。これらの永久磁石片とコイル部は、前記可動扉を開閉駆動するリニアモータを構成している。
【0008】
このように構成された連接ホームドア装置は、右方向又は左方向に移動すべき各可動扉に対して、その対応するコイル部に駆動用励磁電流を給電することにより、前記それぞれの可動扉を選択的に右方向又は左方向に移動して、停車した車両の乗降口に対応する乗降用開口を形成することができる。そして、移動を阻止して停止すべき可動扉に対しては、対応するコイル部に直流の停止用励磁電流を給電すればよい。
【0009】
【従来技術の問題点】
特開平6−239223号公報に記載された従来のプラットホーム用可動柵装置は、各可動柵の連結手段83及びロック手段85のアクチュエータ(解除シリンダ86及びロックシリンダR1〜R9)を固定側(プラットホーム側)に設置し、これらにより可動側(可動柵側)に設けられたそれぞれの部材を動作させているため、設備が複雑になるばかりでなく、可動柵装置の設置作業も複雑で困難なものとなる。
【0010】
また、前記可動柵の駆動手段84への電源線及び制御線についての記述はないが、一般的には可動給電線による方法が普通である。この方法では長いストロークを有するときには、広い設置場所が必要であり、また給電線の断線等の問題もあり信頼性に欠けるものである。特に、上部側に設置されるボックス(エンジンボックス)内に駆動手段を収納する全高形のホームドア装置においては、可動給電線も含め、上記従来技術の可動柵装置が備える各種機器を収納することは困難である。
【0011】
次に、特許第3050857号公報に記載された従来のプラットホーム用連接ホームドア装置は、可動扉の開閉駆動手段として永久磁石片とコイル部とからなるリニアモータが採用されており、ホームドア駆動手段の価格が高くなりコストの低減が困難である。
【0012】
【特許文献】特開平6−239223号公報
【特許文献】特許第3050857号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、連接ホームドア装置の構造を簡単にして、その設置作業を容易にすると共に、故障も少なく耐久性を向上させることを目的とするものであり、そのために解決しようとする課題は次のとおりである。
【0014】
【課題1】(請求項1〜5に対応)
課題1は、連接ホームドア装置のホームドア駆動装置に対して、制御用信号や駆動用電流をトロリーを用いて供給することにより、連接ホームドア装置の小形化、故障の防止、及び耐久性の向上を図ることである。
【0015】
【課題2】(請求項6及び7に対応)
連接ホームドア装置の複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器を構成する全ての要素、又は前記複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定又は解放するロック機構を構成する全ての要素を、連接ホームドア装置内に取り付けることにより、連接ホームドア装置の構造を簡単で小形化すると共に、設置作業を容易にすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
【解決手段1】(請求項1に対応)
上記課題1を解決するために講じた手段は、プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、
前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、前記制御用信号と駆動用電流のいずれか一方又は双方は、トロリーを用いて供給されるように構成することである。
【0017】
【作用】
プラットホームに停車した車両の種別及び停車位置(車両の乗降口の位置)に応じて、制御手段は制御用信号と制御された駆動用電流を出力する。連結器は前記制御信号を受けて、連接された複数のホームドアを左右に引き分ける個所(1個所又は2個所)で解放される。さらに、駆動手段は前記駆動用電流の供給を受けて、一端側又は両端側のホームドアとこれに連結されているホームドアを移動させる。これにより、前記連接された複数のホームドアは、停車した車両の乗降口に対応する位置において乗降用開口を形成する。このとき、制御手段から供給される制御用信号と駆動用電流のいずれか一方又は双方は、トロリーを用いて供給されるから、可動給電線を用いる必要がなくなり、連接ホームドア装置を小形化することができるばかりでなく、断線等の故障も防止することができる。
【0018】
【実施態様1】(請求項2に対応)
実施態様1は、上記解決手段1において、ホームドア駆動装置が複数のホームドアを所定位置に固定するロック機構を備えると共に、上記制御手段が前記ロック機構に対して制御用信号を供給するものである。
【作用】
上記ロック機構は、制御手段から供給される制御用信号により、複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定又は解放することによって、移動する必要のないホームドアを固定することができ、乗降用開口を形成する作動が確実となり、不用意にホームドアが移動することもなく安全性の高いものとなる。
【0019】
【実施態様2】(請求項3に対応)
実施態様2は、上記解決手段1又は実施態様1において、複数のホームドアは側方端面に戸先スイッチを備えており、制御手段は前記戸先スイッチのうち所定のものを選択して検知可能とし、ホームドアと乗客との接触を検知するものである。
【作用】
上記戸先スイッチは、それぞれのホームドアの側方端面に設けられており、連接された複数のホームドアが左右に引き分けられて乗降用開口を形成するとき、一群となって移動されるホームドアの戸先スイッチうち、残留ホームドアに対抗する戸先スイッチのみが選択され検知可能に制御される。これによって、乗降用開口付近の乗客が閉じ動作中のホームドアの側端に接触したとき、これを検知することができる。
【0020】
【実施態様3】(請求項4に対応)
実施態様3は、上記解決手段1又は実施態様1〜2において、制御用信号が単一の制御用トロリーを用いて供給され、該制御用信号はホームドア駆動装置に設けられている配線を介して伝達されるものである。
【作用】
制御用信号は単一の制御用トロリーにより供給され、ホームドア駆動装置に設けられている配線を介して各ホームドア方向に伝達されるから、各ホームドア毎に制御用トロリーを設ける必要がなく、また制御用トロリーダクトをホームドアの移動範囲全体に亘って敷設する必要もない。したがって、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、小形化を図ることができる。
【0021】
【実施態様4】(請求項5に対応)
実施態様4は、上記解決手段1又は実施態様1〜3において、制御用信号及び駆動用電流が供給されるそれぞれのトロリーが、1つのトロリーで兼用されるものである。
【作用】
1つのトロリーで制御用信号と駆動用電流が供給されるから、装置の構造が簡単になり小形化することができる。
【0022】
【解決手段2】(請求項6に対応)
上記課題2を解決するために講じた手段は、プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、
前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、前記連結器を構成する全ての要素が、前記連接ホームドア装置に取り付けられるように構成することである。
【0023】
【作用】
プラットホームに停車した車両の種別及び停車位置(車両の乗降口の位置)に応じて、制御手段は制御用信号と制御された駆動用電流を出力する。連結器は前記制御信号を受けて、連接された複数のホームドアを左右に引き分ける個所(1個所又は2個所)で解放される。さらに、駆動手段は前記駆動用電流の供給を受けて、一端側又は両端側のホームドアとこれに連結されているホームドアを移動させる。これにより、前記連接された複数のホームドアは、停車した車両の乗降口に対応する位置において乗降用開口を形成する。前記連結器を構成する全ての要素は、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所、例えばプラットホーム等に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【0024】
【実施態様1】(請求項7に対応)
実施態様1は、上記解決手段2において、ホームドア駆動装置が複数のホームドアを所定位置に固定するロック機構を備えており、制御手段が前記ロック機構に対して制御用信号を供給すると共に、前記ロック機構を構成する全ての要素が、連接ホームドア装置に取り付けられているものである。
【0025】
【作用】
上記ロック機構は、制御手段から供給される制御用信号により、複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定又は解放することによって、移動する必要のないホームドアを固定することができ、乗降用開口を形成する作動が確実となり、不用意にホームドアが移動することもなく安全性の高いものとなる。また、ロック機構を構成する全ての要素が、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所、例えば、プラットホーム等に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【0026】
【実施の形態】
次に、この連接ホームドア駆動装置に係る発明の実施の形態について、図1〜図8を参照しながら説明する。
【実施例1】
先ず、本発明の実施例1について、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0027】
(1) 固定壁部11及び連接ホームドア12について
先ず、図1〜図3を参照しながら、連接ホームドア装置10を構成する固定壁部11及び連接ホームドア12について説明する。
プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置10は、複数のホームドアD1〜D10が前記線路に沿う方向に移動可能に連接して設けられた連接ホームドア12と、該連接ホームドア12の移動方向の一端側又は両端側に設けられた固定壁部(戸袋)11とを備えている。前記連接ホームドア12を構成する各ホームドアD1〜D10は、ガイドレール15上を案内される戸車13により移動可能に支持されており(図4及び図5)、前記各ホームドアD1〜D10には、それぞれ1個の推進伝達台車32が取り付けられている。これら複数の推進伝達台車32のうち片側端又は両側端の推進伝達台車32(図1では、ホームドアD1又はホームドアD10の一方又は双方の推進伝達台車)には、駆動台車31が固定連結器50により連結されている(図4)。
【0028】
また、前記連接ホームドア12の両側のホームドアD1,D10の片側端面、及び残りのホームドアD2〜D9の両側端面には、それぞれ戸先スイッチ14が設けられている。これらの戸先スイッチ14は、制御手段70によって選択されたもののみが検知可能となる。即ち、連接ホームドア12に乗降用開口A,B(図2)が形成されたときには、一群となって移動されるホームドアD1〜D3,D7〜D10に設けられた戸先スイッチ14のうち、残留ホームドアD4〜D6に対抗する戸先スイッチ14のみが検知可能とされる。これにより、閉じ動作中のホームドアの側端部が乗降客に接触したとき、これを制御手段70において検知(戸当り検知)することができる。
【0029】
(2) ホームドアD1〜D10の駆動装置について
前記ホームドアD1〜D10のホームドア駆動装置30は、駆動手段である駆動台車31、推進伝達台車32、駆動用トロリーダクト及びトロリー33,34、制御用トロリーダクト及びトロリー43,44、直動ガイド51、固定ラック38及び制御手段70等から構成される。前記駆動用トロリーダクト33は、前記固定壁部11が設けられている範囲だけに設置されており、前記制御用トロリーダクト43は、前記各ホームドアD1〜D10が移動する範囲に亘って設置されている。
【0030】
(2−1) 駆動台車31について
図3〜図5を参照しながら、駆動台車31について説明する。
前記駆動台車(駆動手段)31は、駆動用トロリー34、モータ35、ローラチェーン等の伝動機構36、及びピニオン37を備えており、駆動台車用スライダー39によって直動ガイド51上を案内され移動できるようになっている。前記駆動用トロリー34は、駆動用トロリーダクト33に摺接して、前記モータ35に駆動用電流を供給する。この駆動用電流を受けて回転駆動されるモータ35は、伝動機構36を介してピニオン37を回転駆動する。該ピニオン37は固定ラック38と噛み合っているため、前記駆動台車31は直動ガイド51に案内されて移動される。
【0031】
(2−2) 推進伝達台車32について
図3〜図6を参照しながら、推進伝達台車32について説明する。
前記推進伝達台車32は、前記駆動台車31に固定連結器50によって連結されている。この推進伝達台車32は、制御用トロリー44、通信子局(制御器)45、ロック機構46、及び連結器47を備えており、推進伝達台車用スライダー49によって直動ガイド51上を案内され移動できるようになっている。前記制御用トロリー44は、制御用トロリーダクト43に摺接して制御用信号を通信子局45に送り、この制御用信号を受信した通信子局45は、ロック機構46にロック又は解放動作を行わせると共に、連結器47に連結又は解放動作を行わせる。また、前記推進伝達台車32は、推進伝達金具48によって対応するホームドアに連結されており、前記推進伝達台車32が移動するとそれに連結されているホームドアも一緒に移動する。
【0032】
次に、前記推進伝達台車32に設けられた連結器47及びロック機構46について、図4及び図6を参照しながら説明する。
前記連結器47は、隣接する推進伝達台車32,32の端部間に設けられており、これらの推進伝達台車32,32同士を連結又は解放する機能を有するものであり、図6に示されているように、隣接する推進伝達台車32の一方側に、回動可能なフック57、アクチュエータ55、及び圧縮バネ56が設けられ、他方側に嵌合軸58が設けられている。そして、前記アクチュエータ55と圧縮バネ56の働きによってフック57を回動操作すれば、前記フック57が嵌合軸58に対して係合又は解放され、前記隣接する推進伝達台車32,32同士を連結又は解放することができる。図6(a)は各隣接推進伝達台車32,32同士が連結された状態を、また図6(b)は解放された状態を示すものである。
【0033】
また、前記ロック機構46は、推進伝達台車32が不用意に移動しないように所定位置に固定する機能を有するものであり、図6に示されているように、前記推進伝達台車32に取り付けられたアクチュエータ52と、移動しない部材(例えば、後述するエンジンボックス60の側壁部等)に設けられた嵌合凹部54から構成される。前記アクチュエータ52は突出軸53を備えており、該突出軸53を前記嵌合凹部54に係合することによって前記推進伝達台車32を所定位置に固定することができる。
前記連結器47及びロック機構46のそれぞれのアクチュエータ55,52は、通電時に動作してロッドを突出するようになされている(図6(a))。これにより、停電時には連結器47及びロック機構46が解放されて、各ホームドアD1〜D10は任意に移動でき開放することができる。
【0034】
(2−3) 制御手段70について
さらに、制御手段70について、図3を参照しながら説明する。
この制御手段70は、連接ホームドア装置10の固定側に設置されており、個別制御盤71、インバータ72、通信親局73、戸先スイッチ検出部74、開閉検知リミットスイッチ75、及び支障物センサ76等から構成されている。前記制御手段70は、プラットホームに停車した車両の種別及び停車位置(車両の乗降口の位置)に応じて、前記車両の乗降口に対応する位置に連接ホームドア12の乗降用開口が形成されるように、前記推進伝達台車32に設けられたロック機構46と連結器47、及び前記駆動台車31に設けられたモータ35をそれぞれ制御する。さらに、前記制御手段70は、各ホームドアD1〜D10に設けられた戸先スイッチ14について選択制御して、戸当り検知も行うものである。
【0035】
前記制御手段70においては、個別制御盤71及びインバータ72によって、制御された駆動用電流を生成し、これをエンジンボックス60内に敷設された駆動用トロリーダクト33に供給する。モータ35は、前記制御された駆動用電流を駆動用トロリー34から受けることにより、その回転方向と回転速度が制御される。
【0036】
また、前記個別制御盤71は、停車した車両の乗降口の位置に応じて、連接される複数のホームドアを左右に引き分ける個所を選択し、これにより作動させる連結器47、ロック機構46、及び戸先スイッチ14を定めて、その情報を制御用信号として通信親局73から制御用トロリーダクト43に供給する。前記連結器47、ロック機構46、及び戸先スイッチ14は、前記制御用信号を制御用トロリー44を介して通信子局45で受信することにより、決められた制御に従ってリレーをオン/オフして、個々に制御することができる。このように、制御用信号の通信親局73から通信子局45への伝達は、トロリーを使用した通信システムで行うことができる。
【0037】
(3) エンジンボックス60について
エンジンボックス60について、図4及び図5を参照しながら説明する。
エンジンボックス60は、連接ホームドア装置10の最上部に長手方向全体に亘って設けられている断面箱形のもので構成されており、駆動用トロリーダクト33、制御用トロリーダクト43、直動ガイド51、駆動台車31、推進伝達台車32、固定ラック38、ガイドレール15、及びホームドアの戸車13等を取り囲んでいる。
したがって、連接ホームドアの駆動装置を構成する殆どの要素は、エンジンボックス60の内に収納されている。
【0038】
次に、上記実施例1の連接ホームドア装置10について、その動作を図1〜図6を参照しながら説明する。
車両は、プラットホームに停車して乗降口を開き、乗客が乗り降りした後、乗降口を閉じて発車するのが通常であるから、この順序にしたがって前記連接ホームドア装置10の動作を説明する。
【0039】
(1) 車両の停車、及び乗降用開口の形成
連接ホームドア装置10の全てのホームドアD1〜D10は、プラットホームに車両が停車する前には完全に閉鎖されており、乗降用開口が形成されることはない(図1)。このとき、全ての推進伝達台車32に設けられている各ロック機構46は、ロックされた状態である。プラットホームに車両が停車すると、制御手段70は、車両の種別及び停止位置に関する情報に基づいて、図2に示されているように、停車した車両の乗降口と対応する位置に連接ホームドア12の乗降用開口A,Bを形成すべく、各ホームドアD1〜D10のうち移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10と残留すべきホームドアD4〜D6を選択し、それに応じた制御用信号を通信親局73から制御用トロリーダクト43に供給する。
【0040】
前記制御手段70により制御用トロリーダクト43に供給された制御用信号は、制御用トロリー44を介して推進伝達台車32に設けられた通信子局45で受信され、ロック機構46と連結器47を次のように動作する。移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10に対応する推進伝達台車32のロック機構46を解除し、残留すべきホームドアD4〜D6に対応する推進伝達台車32のロック機構46をロック状態に維持する。そして、移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10と残留すべきホームドアD4〜D6との間(ホームドアD3とホームドアD4との間、及びホームドアD6とホームドアD7との間)の連結器47を解放する。
【0041】
次いで、駆動台車31に設けられたモータ35は、制御手段70の個別制御盤71とインバータ72により生成された駆動用電流を駆動用トロリー34を介して受電して、所定の回転方向と回転速度で回転駆動される。このようにモータ35が回転駆動されると、伝動機構36を介してピニオン37が駆動され、これにより前記駆動台車31が所定の方向に所定の速度で移動される。これに伴って、前記駆動台車31に対して固定連結器50と連結器47で連結された推進伝達台車32は、牽引されて移動される。このようにして、移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10はそれぞれ所定方向に移動され、停車した車両の2つの乗降口に対応した位置にそれぞれ乗降用開口A,Bを形成することができる(図2)。
【0042】
このように、連接ホームドア12に乗降用開口A,Bが形成されたとき、各ホームドアD1〜D10に設けられた戸先スイッチ14の状態は、一群となって移動されるホームドアD1〜D3,D7〜D10に設けられた戸先スイッチ14のうち、残留ホームドアD4〜D6に対抗する戸先スイッチ14(図2において、ホームドアD3の右側の戸先スイッチ、及びホームドアD7の左側の戸先スイッチ)のみが検知可能となっている。
このような作動状態は図2に示されている。このときの各ホームドアの制御状態は
【表】に示すとおりである。
○はリレー:オン、×はリレー:オフを示す
【0043】
前記移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10を牽引移動する駆動台車31の移動方向と移動速度は、前記駆動用トロリーダクト33に供給される駆動用電流により、前記モータ35の回転方向と回転速度を制御することによって行われる。
また、移動すべきホームドアD1〜D3,D7〜D10の移動によって、乗降用開口A,Bの形成が完了すると、推進伝達台車32に設けられたロック機構46は、制御手段70からの制御用信号を受けてロック動作をして、移動されたホームドアD1〜D3,D7〜D10をその位置でロックする。
【0044】
(2) 乗客の乗り降り
上記の動作により、車両の乗降口に対応した位置において、連接ホームドア12に乗降用開口A,Bが形成されると、乗客はこの乗降用開口A,Bを通ってスムーズに乗り降りすることができる。
【0045】
(3) 乗車用開口の閉鎖、及び列車の出発
乗客の乗り降りが終了すると車両の乗降口は閉鎖される。このとき、制御手段70は、制御用トロリーダクト43に対して制御用信号を供給すると共に、動力用トロリーダクト33に対して駆動用電流を供給する。推進伝達台車32と駆動台車31の制御用及び駆動用トロリー34,44は、前記制御用信号及び駆動用電流を受けて、移動されたホームドアD1〜D3,D7〜D10に対応する推進伝達台車32のロック機構46を解除すると共に、モータ35を逆方向に駆動して、移動されたホームドアD1〜D3,D7〜D10を元の閉鎖位置に戻す。そして、元の閉鎖位置に戻されたホームドアD1〜D3,D7〜D10は、その位置で再びロック機構46によりロックされる。
【0046】
【実施例2】
次に、本発明の実施例2の連接ホームドア装置10について、図7及び図8を参照しながら説明する。
実施例2は、制御用トロリーダクト43及び制御用トロリー44に関する構成を除けば、上記実施例1と同じである。
制御用トロリーダクト43は、上記実施例1の駆動用トロリーダクト33と同様に、固定壁11の範囲内にのみ設置されている。前記制御用トロリー44は、駆動台車31に設けられており、前記制御用トロリーダクト43に摺接する。前記制御用トロリー44から各推進伝達台車32と各ホームドアD1〜D10への制御用信号の伝達は、前記各推進伝達台車32に設けられた配線を介して行われる。隣接する推進伝達台車32の間の配線は、前記各推進伝達台車32の端面に取り付けられた電気連結器(カプラー)により接続される。
【0047】
また、前記制御用トロリーダクト43と駆動用トロリーダクト33は、それぞれ独立して設けることなく、単一のトロリーダクトによって兼用することができる。この場合、制御用信号と駆動用電流を単一のトロリーダクトに供給されることになるが、これは既に知られている技術を適用することにより容易に実行し得る。
【0048】
次に、実施例2の動作について、図7及び図8を参照しながら説明する。
この実施例2の動作は、実施例1の作動と殆ど同じである。ただ、実施例2の異なる点は、制御用信号が推進伝達台車32に設けられた配線と電気連結器(カプラー)65により伝達されることである。したがって、前記隣接する推進伝達台車32同士の連結が解除されると、前記電気連結器65の接続も解除されることになる。
【0049】
【発明の効果】
この発明の効果を主な請求項毎に整理すると次のとおりである。
1.請求項1の発明の効果
連接ホームドアの駆動装置に対して、可動給電線を用いることなく、制御用信号又は駆動用電流をトロリーを用いて供給するから、限られた空間でストロークを自由にとることができ、装置を小形化することができるばかりでなく、故障の発生を減少させ、耐久性を向上させることができる。
【0050】
2.請求項3の発明の効果
移動されるホームドアの戸先スイッチうち、残留ホームドアに対抗する戸先スイッチのみが選択されて検知可能となるから、乗降用開口付近の乗客が閉じ動作中のホームドアの側端に接触したとき、これを検知することができ、乗客の安全を図ることができる。
【0051】
3.請求項4の発明の効果
各ホームドア毎に制御用トロリーを設けることなく、また制御用トロリーダクトをホームドアの移動範囲に亘って敷設する必要もないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、小形化を図ることができる。
【0052】
4.請求項5の発明の効果
単一のトロリーで制御用信号と駆動用電流を受けることができるから、装置の構造が簡単になり小形化することができる。
【0053】
5.請求項6の発明の効果
連結器を構成する全ての要素は、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【0054】
6.請求項7の発明の効果
ロック機構を構成する全ての要素が、連接ホームドア装置に取り付けられており、連接ホームドア装置以外の個所に取り付けられていないから、連接ホームドア装置の構造を簡単にすることができ、プラットホームへの設置作業も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1の連接ホームドア装置の正面模式図であって、全てのホームドアが閉じられた状態を示す。
【図2】は、実施例1の連接ホームドア装置の正面模式図であって、乗降用開口が形成された状態を示す。
【図3】は、実施例1の連接ホームドア装置の模式図であって、制御手段、トロリーダクト、駆動台車、推進伝達台車、及び各ホームドア等の相互の関係を示す。
【図4】は、実施例1の連接ホームドア駆動装置の模式図である。
【図5】は、エンジンボックスの断面を示す模式図である。
【図6】は、連結器とロック機構を示す模式図である。
【図7】は、実施例2の連接ホームドア装置の正面模式図であって、全てのホームドアが閉じられた状態を示す。
【図8】は、実施例2の連接ホームドア装置の模式図であって、制御手段、トロリーダクト、駆動台車、推進伝達台車、及び各ホームドア等の相互の関係を示す。
【図9】は、従来のプラットホーム用可動柵装置を示す模式図である。
【符号の説明】
10:連接ホームドア装置
11:固定壁部
12:連接ホームドア(複数のホームドアD1〜D10からなる)
13:戸車
14:戸先スイッチ
15:ガイドレール
30:ホームドア駆動装置
31:駆動台車(駆動手段)
32:推力伝達台車
33:駆動用トロリーダクト
34:駆動用トロリー
35:モータ
37:ピニオン
38:固定ラック
43:制御用トロリーダクト
44:制御用トロリー
46:ロック機構
47:連結器
50:固定連結器
51:直動ガイド
60:エンジンボックス
65:電気連結器(カプラー)
70:制御手段
71:個別制御盤
A,B:連接ホームドアの乗降用開口
D1〜D10:ホームドア
Claims (7)
- プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、
前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、
前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、
前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、
前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、
前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、
前記制御用信号又は駆動用電流のいずれか一方又は双方は、トロリーを用いて供給されることを特徴とする連接ホームドア駆動装置。 - 上記ホームドア駆動装置が上記複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定するロック機構を備えており、上記制御手段が前記ロック機構に対して制御用信号を供給することを特徴とする請求項1に記載の連接ホームドア駆動装置。
- 上記複数のホームドアは側方端面に戸先スイッチを備えており、上記制御手段は前記戸先スイッチのうち所定のものを選択して検知可能とし、ホームドアと乗客との接触を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の連接ホームドア駆動装置。
- 上記制御用信号が単一のトロリーを用いて供給され、該制御用信号は上記ホームドア駆動装置に設けられている配線を介して伝達されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連接ホームドア駆動装置。
- 上記制御用信号及び駆動用電流が供給されるそれぞれのトロリーが、1つのトロリーで兼用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連接ホームドア駆動装置。
- プラットホームに停車した車両の乗降口に対応する位置に、乗降用開口を形成すべく移動可能に設けられる複数のホームドアと、
前記複数のホームドアの移動方向の一端側又は両端側に設けられる固定壁部とからなり、
前記プラットホームの線路側に近接して設置される連接ホームドア装置におけるホームドア駆動装置であって、
前記ホームドア駆動装置は、前記複数のホームドアの隣接するもの同士を連結又は解放する連結器と、
前記複数のホームドアのうち、一端側又は両端側のホームドアに連結され、そのホームドアを移動させる駆動手段と、
前記連結器と駆動手段に対して、制御用信号と制御された駆動用電流を供給する制御手段とからなり、
前記連結器を構成する全ての要素が、前記連接ホームドア装置に取り付けられていることを特徴とする連接ホームドア駆動装置。 - 上記ホームドア駆動装置が上記複数のホームドアのそれぞれを所定位置に固定するロック機構を備えており、上記制御手段が前記ロック機構に対して制御用信号を供給すると共に、前記ロック機構を構成する全ての要素が、前記連接ホームドア装置に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の連接ホームドア駆動装置。
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JP2003150903A JP2004352034A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 連接ホームドア駆動装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100799341B1 (ko) | 2006-11-30 | 2008-01-30 | 한국철도기술연구원 | 적응형 버티칼 타입 스크린 도어 |
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2003
- 2003-05-28 JP JP2003150903A patent/JP2004352034A/ja active Pending
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