JP5309389B2 - めっき装置およびめっき方法 - Google Patents

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Description

本発明はめっき装置およびめっき方法に関し、特に、ガラスセラミックス基板に所定のめっきを施すためのめっき装置と、それを用いためっき方法とに関するものである。
従来、半導体素子、キャパシタあるいは抵抗など、受動素子を複数個搭載するマルチチップモジュールのパッケージ用配線基板として、セラミック基板が多く使用されている。近年では、低温で焼成された低温焼成ガラスセラミック基板(LTCC基板:Low Temperature Co-fired Ceramics)なども用いられるようになってきた。
LTCC基板は、ガラスセラミックからなる絶縁基材と、金属材料として、たとえば銀を主成分とする焼結体からなる配線パターンとから構成されている。この配線パターン(配線パターン電極)は、半導体素子や受動素子とはワイヤボンディングによって電気的に接続され、そして、はんだを介して外部電気回路である樹脂製のプリント基板に接続される。そのため、配線パターンの電極には、ワイヤボンディングとはんだ付けとの双方に適した表面処理が施され、一般的に、電極は、ニッケルめっき膜と金めっき膜とからなる多層構造とされる。
そのようなLTCC基板の配線パターンに対し、選択的にニッケルめっき皮膜または金めっき皮膜を形成する方法の一つとして、無電解めっきが広く用いられている。一般的に、その工程は、表面活性化、触媒化、無電解ニッケルめっき、置換型無電解金めっき、還元型無電解金めっきの各工程を含んでいる。
しかし、LTCC基板にニッケルめっき皮膜および金めっき皮膜を形成する場合には、LTCC基板の配線パターン間に金の微粒子が異常析出するという問題がある。本来、配線パターン間には絶縁物が位置しており、その配線パターン間に金が析出することで、配線パターン間の絶縁性を保持することができず、LTCC基板を配線基板として使用することができなくなってしまう。
このような配線パターン間の金の析出を抑制するために、一般的に、ニッケルめっき液を短期間で更新(交換)する対策が講じられている。LTCC基板用の無電解ニッケルめっき液としては、無電解金めっき液との相性、耐食性等の点から、リン濃度が約7〜10wt%であり、pHが4.5付近である弱酸性のめっき液が使用されることが多い。
このような弱酸性のニッケルめっき液を使用した場合、LTCC基材の表面に存在するガラス成分は、その一部がエッチングされて、配線パターン近傍のガラスセラミックの内部に拡散した配線パターンをなす銀焼結体の銀が、微細な微粒子として、LTCC基材の表面に析出することになる。そして、次の無電解金めっき工程では、この微粒子の表面に金が析出し、これが配線パターン間の金の異常析出となる。
また、配線パターン間の金の析出は、ニッケルめっき液の使用期間(時間)が長くなるにつれ、析出の程度が高くなる。これは、ニッケルめっきの際に溶解したガラスセラミック成分が、LTCC基板の表面に析出する銀の成長を促進するためであると考えられており、この配線パターン間の金の析出を防止するため、ニッケルめっき液を短期間で更新(交換)することが余儀なくされている。
なお、めっき液を貯留するめっき槽としてステンレスからなるめっき槽を使用して無電解めっきを施す技術を開示した文献の一つとして、特許文献1がある。同文献では、ステンレスからなるめっき槽内の析出を抑制するために、めっき槽の表面に酸化膜を形成したり、めっき槽に電流を流す手法が提案されている。
特開昭58−164774号公報(特許1394710号)
上述したように、従来のLTCC基板のめっき工程では、配線パターン間の金の析出を抑制するために、ニッケルめっき液を短期間で新しいニッケルめっき液と交換する対策が採られている。
ニッケルめっき液を短期間で新しいニッケルめっき液に交換することは、材料コストを抑えるのを阻害する要因の一つになるとともに、交換作業の手間を要することになる。また、廃棄されるめっき液の量が増えて、環境に悪影響を及ぼすのを防止する対策も必要とされる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一つの目的はニッケルめっき液を短期間で交換することなく配線パターン間の金の析出が抑制されるめっき装置を提供することであり、他の目的は、そのようなめっき方法を提供することである。
本発明に係るめっき装置は、金属製のめっき槽と電極と電源部とを備えている。金属製のめっき槽には所定のめっき液が貯留される。電極は、めっき槽に貯留されるめっき液に浸漬される。電源部は、めっき槽を貴電位とし、電極を卑電位として、めっき槽と電極とにそれぞれ接続され、めっき槽と電極との間の電位差を、陰極である金属の電極上において、酸化反応と還元反応が平衡状態であって、めっき槽と電極との間に電流が流れない電位に維持する。
本発明に係るめっき方法は、第1めっき工程を備えている。第1めっき工程では、第1のめっき液を貯留するめっき槽を貴電位とし、第1のめっき液に浸漬される電極を卑電位として、めっき槽と電極との間の電位差を、陰極である金属の電極上において、酸化反応と還元反応が平衡状態であって、めっき槽と電極との間に電流が流れない電位に維持した状態にして、被めっき物を第1のめっき液に浸漬し、被めっき物に第1のめっき処理を施す。
本発明に係るめっき装置によれば、めっき槽を貴電位とし、電極を卑電位として、めっき槽と電極との間の電位差が、陰極である金属の電極上において、酸化反応と還元反応が平衡状態であって、めっき槽と電極との間に電流が流れない電位に維持される。これにより、めっき槽には見かけ上電流は流れず、電極にめっき金属が析出するのを抑制することができるとともに、めっき液にめっき槽の成分が溶解するのを阻止することができる。その結果、めっき液を短期間で新しいめっき液に交換する必要がなくなるとともに、めっき液に浸漬される被めっき物にめっきを良好に形成することができる。
本発明に係るめっき方法によれば、第1のめっき液を貯留するめっき槽を貴電位とし、第1のめっき液に浸漬される電極を卑電位として、めっき槽と電極との間の電位差が、陰極である金属の電極上において、酸化反応と還元反応が平衡状態であって、めっき槽と電極との間に電流が流れない電位に維持された状態で被めっき物にめっきを施すことで、めっき槽には見かけ上電流は流れず、これにより、電極にめっき金属が析出するのを抑制することができるとともに、めっき液にめっき槽の成分が溶解するのを阻止することができる。その結果、めっき液を短期間で新しいめっき液に交換する必要がなくなるとともに、めっき液に浸漬される被めっき物にめっきを良好に形成することができる。
本発明の実施の形態に係るめっき装置について説明する。図1に示すように、めっき装置10は、めっき液7を貯留する金属製のめっき槽1、めっき液7に浸漬される電極2および電源部6を備えている。めっき槽1には、それぞれ電源部6に繋がれた参照電極のリード線4と対極のリード線5とが接続されて、めっき槽1が陽極とされる。一方、電極2には、電源部6に繋がれた試料電極のリード線3が接続されて、電極2が陰極とされる。陰極となる電極2の材料としては、めっき液に影響を与えるものでなければ、特に制限されるものではなく、たとえば、ステンレス、チタン等の金属やカーボン等からなるものを使用することができ、望ましくは、めっき槽と同じ材料からなるものを使用することが好ましい。
次に、上述しためっき装置10を使用した無電解ニッケルめっき方法の一例について説明する。上述しためっき装置10では、金属製のめっき槽1の槽壁から金属が溶解するのを抑制するとともに、めっき槽1内にめっき金属が析出するのを抑制することができる。特に、めっき槽1としてステンレスからなるめっき槽1を使用して無電解ニッケルめっきを実施した場合は、めっき槽1の槽壁からステンレスの成分が溶解するのと、ニッケルがめっき槽1内にめっき金属が析出するのを同時に抑制することができる。
ここでは、めっき槽1として需要の比較的高いステンレスからなるめっき槽を使用して無電解ニッケルめっきを施す場合について説明する。無電解ニッケルめっきでは、めっき液の温度は約80〜90℃程度と比較的高く、ステンレスからなるめっき槽を用いることが一般的には知られている。
しかしながら、ステンレスからなるめっき槽では、イオン化傾向の差やめっき槽内のわずかな異物を核としてめっき反応が進み、めっき槽内にめっき金属が析出する。めっき槽内にめっき金属が析出すると、無電解ニッケルめっき液の分解が進む。背景技術において挙げた特許文献1に記載のめっき装置(比較例)では、図2に示すように、めっき金属の析出を抑制する対策として、ステンレスからなるめっき槽101に硝酸を入れ、めっき槽101の表面に酸化膜を形成したり、電源部106によってめっき槽101と電極102とに電流を流すことで、めっき槽101内にめっき金属が析出するのを抑制している。
LTCC基板における焼結体からなる配線パターンに対して、無電解めっきによってニッケル皮膜を形成する場合も、めっき槽としてステンレス製のめっき槽が一般的に使用されている。ところが、ガラスセラミック基板用の無電解ニッケルめっき液は寿命が短く、使用により劣化したニッケルめっき液を使用すると、後の無電解金めっき工程において、配線パターン間に金が析出する問題があった。その原因として、ガラスセラミック基板はめっき液に溶解し易く、この溶解したガラスセラミック成分が配線パターン間の金の析出を誘発していると考えられていた。
しかし、本発明者らは研究の結果、配線パターン間の金の析出は、ステンレスからなるめっき槽内の析出を防止するために印加している電流によってめっき槽が溶解し、その溶解したステンレス成分が金の析出を誘発していることが原因であることを発見した。詳細な理由はまだ明らかではないが、配線パターンからガラスセラミック部位に拡散した銀が、ニッケルめっき液のエッチングによって基板の表面に析出すると、ニッケルめっき液中に溶解したステンレス成分の作用によって、その銀粒子が凝集成長することがわかっている。
ステンレス成分が溶解していないニッケルめっき液を使用した場合でも、ニッケルめっき液のエッチングによって基板の表面に銀粒子が析出することになるが、銀粒子が凝集しないため、後の無電解金めっき工程において、配線パターン間で金が析出するまでには至らない。
この差は、無電解金めっき液にシアン系の液を使用した場合に特に顕著であり、銀粒子が小さい場合には銀粒子が無電解金めっき液のシアンに溶解する一方、銀粒子が大きい場合は無電界めっき液に溶解できず、残った銀粒子が核となって、配線パターン間に金が析出するためであると考えられる。
このステンレスからなるめっき槽の溶解を抑制するためには電流の印加を中止すればよいが、めっき槽内にめっき金属の析出が発生する問題がある。そのため、めっき槽の溶解を抑制し、かつ、めっき槽内の析出を抑えることを同時に達成することは非常に困難であった。そこで、本発明者らは、さらに研究を重ね、めっき槽のステンレス成分がめっき液中へ溶解するのを防止することと、めっき槽内にめっき金属が析出するのを防止することを同時に達成することが可能な方法を発明するに至った。
めっき槽1のステンレス成分のニッケルめっき中への溶解と、めっき槽1へのニッケルめっきのめっき槽1内の析出を同時に抑制するため、無電解ニッケルめっき液7を建浴した後、電源部6による印加電圧を自然分極電位に設定する。すなわち、陰極である金属の電極2上において、主にニッケルの酸化反応と還元反応が平衡状態であって、めっき槽1との両極間に電流が流れない電位に設定する。
このような電源部6としては、自然分極電位の測定と、マイクロアンペア単位での微小電流の制御が可能なポテンショ/ガルバノスタットを使用することが好ましい。このように本実施の形態では、印加電圧を自然分極電位に設定しながら、浴温の管理、ニッケルめっき等の運用を行う。
したがって、めっき槽1内にニッケルめっきが析出することはなく、また、めっき槽1のステンレス成分がニッケルめっき液へ溶解することは、ほとんど起こらない。その結果、めっき槽1内の析出と、ガラスセラミック分野等で問題となっている配線パターン間の金の析出とが同時に抑制されて、ニッケルめっき液の長寿命化を達成することができ、ニッケルめっき液の減量化を図ることができる。また、めっき槽1の長寿命化が図られ、ひいては、めっき装置10の長寿命化を図ることができる。
さらに、金属の電極2の表面上にもニッケルが析出することがないため、従来必要とされてきた、陰極に析出したニッケルの脱落粒子がめっき浴中に拡散するのを防ぐ隔膜等は必要がなく、めっき装置の小型化や軽量化等を図ることができる。そして、廃棄されるニッケルめっき液の量も削減されて、環境への配慮も可能になり、エネルギーの消費量も削減することができる。
なお、上述した実施の形態では、めっき槽としてステンレスからなるめっき槽を挙げ、めっき方法として無電解ニッケルめっき法を例に挙げて説明したが、めっき槽の槽材とめっき方法はこれに限られるものではなく、他の金属性のめっき槽やめっき方法についても適用することが可能である。
実施例1〜実施例9について
次に、上述しためっき装置を用いためっき方法の実施例について詳細に説明する。まず、めっきを施す基板として、幅30mm、長さ30mm、厚さ1mmのガラスセラミックからなる絶縁基材と、銀を主成分とする金属焼結体からなる配線パターンとで構成されたLTCC基板を用意した。そのLTCC基板に脱脂・活性化処理を施すことにより、銀の配線パターンの電極表面におけるガラス成分や酸化膜を除去した。この脱脂・活性化処理の工程においては、奥野製薬工業(株)製のNNPクリーナを使用し、液温45℃のもとでLTCC基板を1分間浸漬した。その後、そのLTCC基板を純水に約1分間浸漬し、純水洗浄を行った。
次に、パラジウム等を含む触媒液にLTCC基板を浸漬し、銀の配線パターンの電極表面にパラジウム触媒を付与した。パラジウム付与には奥野製薬工業(株)製のNNPアクセラを使用し、液温25℃のもとでLTCC基板を1分間浸漬した。その後、そのLTCC基板を純水に約1分間浸漬して放置する純水洗浄を施し、これを前処理工程とした。
次に、上述しためっき装置10を使用して、触媒が付与された銀の配線パターンの表面上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。まず、めっき装置10のめっき槽1に無電解ニッケルめっき液7を貯留し、そのニッケルめっき液7にLTCC基板50を浸漬した(図3を参照)。ニッケルめっき液7として、上村工業(株)製のニムデンNPR−4を使用した。また、ニッケルめっき液7の使用時間を9通り(実施例1〜実施例9)に振り分けたニッケルめっき液7を用意した。
ここで、その使用時間とは、電源部6により印加電圧を自然分極電位に印加し、ニッケルめっき液7の温度を室温から80℃まで昇温させてめっき作業を12時間行い、夜間等ではニッケルめっき液を80℃から室温にまで降温して12時間放置するのを1サイクルとして、これを繰り返した合計時間をいう。
それぞれの使用時間に達したニッケルめっき液について、昇温を開始してから6時間後に無電解ニッケルめっきを実施した。なお、各ニッケルめっき液については、ガラスセラミック基板の溶解成分の影響を排除するため、ニッケルめっき液の使い回しをしていない。すなわち、各実施例および後述する比較例のそれぞれのニッケルめっき液として、新しいニッケルめっき液を使用し、所定の使用時間に達してから初めてLTCC基板に無電解ニッケルめっきを実施した。
その無電解ニッケルめっきを施す工程では、ニッケルめっき液の液温が80℃のもとで、LTCC基板を20分間浸漬させて、金属焼結体からなる配線パターン上に厚さ4μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。次に、LTCC基板に約1分間の純水洗浄を施した。
次に、配線パターンの上面に形成された無電解ニッケルめっき皮膜上に、置換型無電解金めっき皮膜を形成した。置換型無電解金めっき液として、上村工業(株)製のゴブライトTSB−72を用いた。金めっき液の液温が80℃のもとでLTCC基板を10分間浸漬させて、厚さ0.05μmの置換型金めっき皮膜を形成した。その後、LTCC基板に1分間の純水洗浄を施した。
次に、置換型金めっき皮膜の上に、還元型金めっき皮膜を形成した。還元型無電解金めっき液として、上村工業(株)製のゴブライトTMX−22を用いた。金めっき液の液温が50℃のもとでLTCC基板を50分間浸漬させて、厚さ0.7μmの還元型無電解金めっき皮膜を形成した。次に、LTCC基板に1分間の純水洗浄を施した。その後、LTCC基板を乾燥させて評価に供した。
比較例1〜比較例3について
次に、比較例に係る無電解めっきについて説明する。実施例との違いとして、実施例では、めっき槽を自然分極電位に設定しているのに対して、比較例(図2参照)では、めっき槽に印加する電圧を1.0Vとし、電流を0.1mAに設定した。他の条件については、実施例の場合と同様にして、LTCC基板をニッケルめっき液に浸漬してニッケルめっき皮膜を形成し、さらに、そのニッケル皮膜の上に金めっき皮膜を形成した。なお、比較例では、ニッケルめっき液として使用時間を3通りに振り分けたニッケルめっき液を用意した。
実施例と比較例のLTCC基板のそれぞれについて、配線パターン間に金の異常析出が認められるかどうかを実体顕微鏡(100〜500倍)を用いて観察した。金の異常析出が観測範囲の0%以上〜10%未満であるLTCC基板については、金の異常析出なしと評価した(結果A)。また、金の異常析出が観測範囲の10%以上〜50%未満であるLTCC基板については、短絡が生じない程度の金の異常析出が一部発生したと評価した(結果B)。そして、金の異常析出が観測範囲の50%を超えるLTCC基板については、LTCC基板のほぼ全面に金の異常析出が発生したと評価した(結果C)。一方、陰極(電極)については、電極の表面にニッケルが析出したかどうかを観察した。
これらの評価結果を表1に示す。表1の配線パターン間の析出状態の欄では、結果Aを○印にて示し、結果Bを△印にて示し、結果Cを×印にて示した。また、陰極析出状態の欄では、電極の表面にニッケルの析出が認められなかった条件については、これを○印にて示し、一方、電極の表面にニッケルの析出が認められた条件については、これを×印にて示した。
Figure 0005309389
表1に示すように、まず、自然分極電位に設定されていないめっき槽を用いた比較例1〜3のうち、比較例2,3では、LTCC基板の配線パターン間に金の析出が発生していることがわかった。また、比較例1では、金の異常析出によって配線パターン間に短絡が生じたことが確認された。
一方、自然分極電位に設定されためっき槽を用いた実施例1〜9では、いずれも配線パターン間に金の異常析出は認められなかった。また、比較例1〜3では、電極(陰極)の表面上にニッケルが析出するのが認められたのに対して、実施例1〜9ではニッケルの析出は認められなかった。
以上説明したように、本めっき装置では、めっき槽と電極との間を自然分極電位に設定することで、めっき槽には見かけ上電流は流れず、これにより、電極(陰極)2にめっき金属が析出するのを抑制することができるとともに、ニッケルめっき液7にめっき槽1のステンレス成分が溶解するのを阻止することができる。その結果、LTCC基板50の配線パターン間に金が異常成長するのを確実に抑制することができる。また、ニッケルめっき液7を頻繁に交換する必要がなくなって、作業負荷等を軽減することができる。
なお、上述した実施の形態および実施例では、めっき装置のめっき槽としてステンレスからなるめっき槽を例に挙げ、LTCC(ガラスセラミック)基板に対して、無電解ニッケルめっきおよび無電解金めっきを施す場合について説明した。本発明のめっき装置のめっき槽は、このようなステンレスからなるめっき槽に限られるものではなく、また、被めっき物としてLTCC基板のめっきのためだけに適用されるものではなく、さらに、めっき法として無電解めっきおよび無電解金めっきのためだけに適用されるものではない。本めっき装置のめっき槽は、電流印加によって金属性のめっき槽の成分がめっき液に溶解することに起因する、被めっき物へのめっきの不具合が生じるめっき槽に適用することが可能である。
今回開示された実施の形態および実施例は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係るめっき装置の構造を示す断面図である。 比較例に係るめっき装置の構造を示す断面図である。 本発明の実施例に係るめっき装置によるめっきの処理を示す断面図である。
符号の説明
1 めっき槽、2 電極、3 試料電極のリード線、4 参照電極のリード線、5 対極のリード線、6 電源部、7 めっき液、10 めっき装置、50 LTCC基板。

Claims (10)

  1. 所定のめっき液を貯留する金属製のめっき槽と、
    前記めっき槽に貯留されるめっき液に浸漬される電極と、
    前記めっき槽を貴電位とし、前記電極を卑電位として、前記めっき槽と前記電極とにそれぞれ接続され、前記めっき槽と前記電極との間の電位差を、陰極である金属の前記電極上において、酸化反応と還元反応が平衡状態であって、前記めっき槽と前記電極との間に電流が流れない電位に維持する電源部と
    を備えた、めっき装置。
  2. 前記電極は、前記めっき槽と同じ金属から形成された、請求項1記載のめっき装置。
  3. 前記めっき槽と前記電極とはステンレスから形成された、請求項2記載のめっき装置。
  4. 前記めっき槽に貯留されるめっき液は、無電解ニッケルめっき液である、請求項1〜3のいずれかに記載のめっき装置。
  5. 第1のめっき液を貯留するめっき槽を貴電位とし、前記第1のめっき液に浸漬される電極を卑電位として、前記めっき槽と前記電極との間の電位差を、陰極である金属の前記電極上において、酸化反応と還元反応が平衡状態であって、前記めっき槽と前記電極との間に電流が流れない電位に維持した状態にして、被めっき物を前記第1のめっき液に浸漬し、前記被めっき物に第1のめっき処理を施す第1めっき工程を備えた、めっき方法。
  6. 前記電極として、前記めっき槽と同じ金属から形成されたものが使用される、請求項5記載のめっき方法。
  7. 前記めっき槽および前記電極として、それぞれステンレスから形成されたものが使用される、請求項6記載のめっき方法。
  8. 前記第1のめっき液として、無電解ニッケルめっきが使用される、請求項5〜7のいずれかに記載のめっき方法。
  9. 前記第1めっき工程の後、前記第1のめっき液とは異なる第2のめっき液に前記被めっき物を浸漬し、前記被めっき物に第2のめっき処理を施す第2めっき工程を備えた、請求項5〜8のいずれかに記載のめっき方法。
  10. 前記第2のめっき液として、無電解金メッキ液が使用される、請求項9記載のめっき方法。
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