JP5308708B2 - エタノールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グルコースなどの糖質原料を含む液体培地を用い、エタノール生成能を有する酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)によるエタノール発酵を行ってエタノールを製造する方法に関するものである。
酵母によるエタノール発酵など、微生物を利用する多くの発酵工業では、まず実験室規模の容量の試験管、フラスコを使用して工業微生物の培養を開始する。その後順次大きな培養槽へ移して培養を続け、発酵槽(発酵容器)における発酵生産に必要な量の微生物菌体を得る。この工程では雑菌汚染を防ぐために、装置の殺菌をはじめ液体培地の加熱蒸煮或いは濾過除菌、さらに通気を行う場合のエアフィルタなどの装置設備が必要である。この工程で得られた充分量の微生物菌体を含む培養液は直ちに発酵生産の装置である発酵槽に導入され、目的生産物の生成が開始される。発酵槽には予め発酵原料を含む培地が入っているが、多くの発酵工業では雑菌汚染を防ぐために培地の加熱殺菌を行っている。このようにしてフラスコから始めた工業微生物の培養および目的生産物の発酵生産は、一連の工程として数日に亘って続けられる。
エタノールを生産するための酵母の発酵技術も、上述のように酵母の培養からエタノールの発酵生産までの一連の工程が生産技術として確立されている。この数日に亘る全工程から酵母培養工程(通常、2日程度要する)とエタノール生成工程(通常、3〜5日程度要する)とを分離して、エタノール生成工程での効率を高めるために固定化酵母を用いる連続発酵技術が開発されている。固定化酵母は酵母培養液から分離した酵母菌体を含水ゲル中に包括させて固定化したものである。この方法によれば、エタノール生成工程の効率は高くなるものの、酵母を培養し、培養菌体を分離して固定化酵母とする新たな製造工程を設けなければならない。
他方、清酒・焼酎・味噌・醤油などの酵母を用いる醸造工業では、固定化酵母ではなく乾燥酵母を使用する方法が試みられている。従来、試みられている方法に共通することは、前もって酵母の培養を行って乾燥酵母を製造しておくことが必要である。従って、酵母の培養工程と清酒・焼酎・味噌・醤油などを製造する工程とを分離し、それぞれ任意の日時に行うことは可能であるが、酵母培養液から酵母菌体を分離して乾燥するための新たな操作と工程を加えることが必要となるために省力化された方法ではない。
本発明は、上述したエタノール発酵の数日間に亘る酵母培養とエタノール生成の工程を完全に分離し、その上酵母培養を他の手段に置き換えることにより、エタノール生成工程を主体とした短時間の新しいエタノール発酵技術を開発することを課題としている。更に、エタノール生成工程に於いて雑菌の増殖による糖質原料の損失を防止すると共に、酵母によるエタノール生成量を高める新技術を考案し、エタノール発酵の全工程を1日程度に短縮した効率の良い発酵生産方式の開発を課題としている。
本発明では、酵母培養工程を他の手段に置き換えること、エタノール発酵培地の加熱滅菌に替わる雑菌汚染防止方法、およびエタノール発酵の時間短縮と糖質原料からの高収率エタノール生成などの課題を解決するための手段として、以下に詳述するように、パン酵母ドライイースト、電解水培地、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノ脂肪酸エステルの添加、高温発酵などの技術要素を統合し、エタノールの新しい発酵生産方式を確立した。
酵母培養を他の手段に置き換えたエタノール発酵とは、自らは酵母の培養を行わずに市販のパン酵母ドライイーストを購入し、これを直接エタノール発酵培地(グルコースなどの糖質原料とエタノール生成を促進する副原料を含む液体培地)に投入して直ちにエタノールの生成を行う方式である。本発明者らは、大量に生産され販売されているパン酵母ドライイーストに着目してエタノール発酵を試みたところ、多くの市販パン酵母ドライイーストが高いエタノール生成能を有していることを見出した。その結果、エタノール発酵に必要な量の培養酵母を自家製造することなく、専門の酵母生産者から必要時に必要量のパン酵母ドライイーストを購入してエタノールの発酵生産を行うことが可能となった。これは従来のエタノール発酵工業には無かった新しい発想の製造方式である。
従来のエタノール発酵の酵母培養液は、培地の殺菌を行ってから純粋培養の酵母を培養しているので、雑菌汚染は無いものと考えられる。しかし、市販のパン酵母ドライイーストは、その乾燥工程や包装の過程で雑菌が付着する可能性が高く、雑菌によるエタノール生成量低下の危険性は大きい。この付着雑菌を死滅させるために、パン酵母ドライイーストを加熱殺菌することはできない。本発明者らは、各種の殺菌方法を検討した結果、殺菌作用のある酸性電解水を用いることが最も有効な手段であることを見出した。酸性電解水の使用方法としては、エタノール発酵の培地用水を酸性電解水とし、これに全ての発酵原料とパン酵母ドライイーストを投入して直ちにエタノール生成を開始することが最も効果的な方法である。その結果、必然的にエタノール発酵培地の加熱滅菌は必要なくなり、加熱滅菌装置とそのエネルギー費用を無くすことが可能となる。
酸性電解水に殺菌作用のあることは既に知られており、医療機器や手の消毒,食品製造設備の殺菌などに広く使用されている。また、微生物利用産業においても,茸類栽培の固体培地の表面殺菌あるいは日本酒の酒質改良などに電解水を利用した報告はあるが、本発明に述べるように、エタノール発酵に必要な糖質原料と副原料及び乾燥酵母(パン酵母ドライイーストを含む)を酸性電解水に投入し、雑菌の増殖を抑制しながらエタノール発酵を行った例は知られていない。
電解水は表面張力低下作用を有することが報告されており、非イオン界面活性剤としてのポリオキシエチレン・ソルビタン・モノ脂肪酸エステルを共存させることによりその作用(表面張力低下作用)が高められる。この物理化学的作用下に於いては、酵母によるグルコースなど糖質原料の消費速度とエタノール発酵収率の両者を向上させることが可能となった。
本発明に於いて使用するエタノール発酵酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエの乾燥菌体として大量に製造販売されている市販のパン酵母ドライイーストを購入して用いる。このため、エタノール生成能を有するサッカロマイセス・セレビシエの乾燥菌体を自ら製造する必要は無く、また乾燥酵母製造のための培養槽と加熱滅菌装置および遠心分離機と凍結乾燥機を設置する必要もない。
本発明の方法に於いて必要な装置は、エタノール発酵容器としての発酵槽のみである。本発明者らは、パン酵母ドライイーストを用いてエタノール生成工程のみのエタノール発酵を行い、グルコースなどの糖質原料からのエタノール生成量として、理論収量に対して90%以上の収率を達成した。この新しい発酵方法では、従来のエタノール発酵に必要な酵母の生育を伴わないので、従来では発酵温度の上限温度が35℃程度であったものを発酵温度の上限温度が40〜50℃の高温域であってもエタノールの生成は可能である(以下に示す実施例1〜6では、発酵温度が50℃であるものが示されていないが、発明者らは、50℃の発酵温度でもエタノールの生成は可能であることを確認している)。なお、エタノールの製造方法に於いて、自家製造した乾燥酵母を用いることは技術的に可能であるが、市販のパン酵母ドライイーストよりも安価に製造しないかぎり経済的には好ましい方法ではない。
本発明の液体培地(エタノール発酵培地)は、加熱滅菌しない無殺菌培地である。また、市販のパン酵母ドライイーストには雑菌が付着している。雑菌の増殖を抑制するために、培地用水として酸性電解水を使用する。酸性電解水の殺菌作用は、製造直後のものが最も活性が高いので、電解水生成装置はエタノール発酵槽(発酵容器)の近辺に設置して、必要な時に電解水の製造を行って使用することが最も効果的である。電解水製造装置としては、原水として水道水を給水する型式のものであれば,市販の装置をそのまま用いることが可能である(例えば,ホシザキ電機(株)製のHOX-40型電解水生成装置)。一般的に、電解水の活性は、そのpHを指標にして表示されており、pH7.0以下の酸性電解水が本発明のエタノール発酵に有効であるが、とりわけpH2.6〜pH3.2の範囲の酸性電解水が顕著な効果を発揮する。
以下に、前記電解水生成装置で新たに製造された酸性電解水の無殺菌培地における雑菌増殖抑制効果について説明する。酸性電解水(pH3.2)1Lに甘蔗糖蜜10gを溶解し、雑菌汚染を調べるための雑菌増殖培地を調製した。この培地を希苛性ソーダ溶液によってpH7.0に調整し、その100mlを滅菌しないままに500ml容のエルレンマイヤーフラスコに入れ、35℃で雑菌増殖のための震とう培養を行った。この雑菌増殖試験では、最初の試験として、エタノール発酵酵母であるサッカロマイセス・セレビシエの影響を排除するために、培地にパン酵母ドライイーストを投入しない条件で35℃の振とう培養を行った。比較として酸性電解水(pH3.2)の代わりに水道水とアルカリ性電解水(pH10.4)を用い、pH7.0の雑菌増殖培地を調製し、酸性電解水培地と同様に震とう培養を行った。酸性電解水培地、水道水培地およびアルカリ性電解水培地のそれぞれの培養6時間後の培養液をSCD寒天培地(日本製薬(株)製)に塗抹し35℃で24時間の静置培養を行った。培養後にSCD寒天培地に生育した生菌のコロニーを数えた。その結果を表1に示す。酸性電解水培地の雑菌増殖培養液のコロニー数は、比較の水道水培地とアルカリ性電解水培地のコロニー数より100分の1以下と少なく、無殺菌エタノール発酵培地における酸性電解水の雑菌増殖抑制作用が認められた。
Figure 0005308708
次に、サッカロマイセス・セレビシエが存在する条件下での酸性電解水(pH3.2)の雑菌増殖抑制効果を説明する。前記と同条件の無殺菌甘蔗糖蜜培地100mlを希塩酸にてpH4.2に調整してから500ml容のエルレンマイヤーフラスコに入れ、直ちにパン酵母ドライイースト0.1mgを直接投入して、35℃の震とう培養を行った。比較として酸性電解水の代わりに、水道水とアルカリ性電解水(pH10.6)を用いたpH4.2の甘蔗糖蜜培地を調製し、パン酵母ドライイースト0.1mgを直接投入して、酸性電解水培地と同様に震とう培養を行った。これら3種類の培養について、酵母投入直後の培養0時間と培養5時間後の培養液をSCD寒天培地に塗抹して35℃で24時間培養した後に、SCD寒天培地に生育した雑菌と酵母の生菌コロニー数を個別に数えた。その結果を表2に示す。
Figure 0005308708
表2から明らかなように、パン酵母ドライイースト添加直後の培養開始時の培養液の雑菌コロニー数は、酸性電解水培地では検出されないのに対して、水道水培地とアルカリ性電解水培地では10個以上が検出された。このように、酵母サッカロマイセス・セレビシエが存在する無殺菌培地に於いても、酸性電解水の雑菌抑制効果は認められた。さらに、培養5時間後の雑菌コロニー数は、酸性電解水培地では全く検出されないのに対して、水道水培地とアルカリ性電解水培地では102個以上が検出された。5時間の雑菌増殖培養を行っても、酸性電解水は雑菌の抑制効果を示した。他方、サッカロマイセス・セレビシエのコロニー数は、酸性電解水培地および水道水培地とアルカリ性電解水培地の間に大差はなく、酵母添加直後の0時間培養液の酵母コロニー数は1.2×103〜1.9×103コロニーの範囲にあり、また5時間培養液の酵母コロニー数は2.5×103〜4.2×103コロニーの範囲に収まっていた。このことは、パン酵母ドライイーストが培地中に1mg/L以上の濃度で存在する場合には、酸性電解水はサッカロマイセス・セレビシエに対して阻害的な作用を及ぼさないという本発明に有利な結果を示している。
酸性電解水の無殺菌培地(液体培地)に投入するパン酵母ドライイーストは、粉末状のもの、微粒子状のもの、あるいは酸性電解水に懸濁したものの何れの形態のものでもよい。粉末状や微粒子状のパン酵母ドライイーストをエタノール発酵槽に直接投入する場合には、培養液を希釈させることなく高濃度の酵母を存在させることが可能である。この高濃度酵母のエタノール発酵では、著しい発酵時間の短縮が可能である。本発明の方法によれば、培養液に4.0g/L以上のパン酵母ドライイーストを投入し、後に述べるポリオキシエチレン・ソルビタン・モノ脂肪酸エステルの効果をも合わせて発酵時間を12時間以内に短縮することが可能であった。この短時間の工程でエタノールの発酵生産を行う場合には、夕方にエタノール発酵槽の運転を開始し、夜間は無人の自動運転を行い、翌朝に発酵を終了するという省力型の工程が可能となる。
さらに、本発明では、エタノール発酵培地にポリオキシエチレン・ソルビタン・モノ脂肪酸エステルを添加する方法により、酵母によるグルコースの消費速度が向上し、合わせてエタノールの生成収率をも高めることが可能である。この効果は、分子構造としてポリオキシエチレン・ソルビタン
モノ脂肪酸エステルが効果を有し、分子内に長鎖脂肪酸のラウリン酸,パルミチン酸,ステアリン酸およびオレイン酸などを有する分子構造のものが顕著な効果を示した。
以上述べた本発明の方法によれば、短時間で効率よくエタノール発酵液を製造することが可能である。液体培地の糖質原料の高糖濃度を実現するためには、発酵開始時の液体培地の糖質原料濃度を高めるだけでなく、発酵経過の途中にグルコースなどの糖質原料を添加することも有効な手段である。このような方法によって、発酵液中のエタノール濃度を飛躍的に高くすることが可能である。本発明では酵母としてパン酵母ドライイースト用い、70g/Lのエタノール発酵液が得られることを実証した。なお、以下に述べる実施例2〜6では、酸性電解水を用いた無殺菌のエタノール発酵培地にパン酵母ドライイーストを投入して実施したが、酸性電解水に、グルコースなどの糖質原料とエタノール生成を助ける副原料とパン酵母ドライイーストを投入して実施しても同様の効果が得られることを発明者らは確認している。
(実施例1)
エタノールの発酵原料として広く用いられている甘蔗糖蜜を10gおよび副原料としてのリン酸二水素カリウム0.1g、硫酸マグネシウム0.1g、リン酸水素カルシウム0.02gを水道水100mlに溶解してエタノール発酵培地(液体培地)を調製した。この液体培地を500ml容のエルレンマイヤーフラスコ(以下、単にフラスコという場合もある)に入れ、オートクレーブで120℃15分の加熱滅菌を行った。加熱滅菌後に冷却したフラスコに市販のパン酵母ドライイースト0.4gを投入し、培地をpH4.2に調整した。その後にフラスコの口をアルミフォイルで覆い、ロータリーシェイカーを使用して、40℃の発酵温度で70rpmの震とう培養を行った。発酵時間4時間で、酵母は原料甘蔗糖蜜の85%の糖を消費し、培地中に16.9g/Lのエタノールを生成した。次に、上と同じ組成のエタノール発酵培地100mlを500ml容のエルレンマイヤーフラスコに入れ、滅菌することなくパン酵母ドライイースト0.4gを投入した。フラスコ内の培地をpH4.2に調整してからフラスコの口をアルミフォイルで覆い、上と同様に40℃で発酵を行った。発酵時間4時間後のエタノール生成量は、培地中に14.9g/Lであった。
(実施例2)
新たに生成したpH3.2の酸性電解水100mlに、糖質原料のグルコース5g、副原料としてリン酸二水素カリウム0.1g、硫酸マグネシウム0.1g、リン酸水素カルシウム0.02gを溶解して、無殺菌のエタノール発酵培地を調製した。この培地を500ml容のエルレンマイヤーフラスコに入れ、市販のパン酵母ドライイースト0.4gを投入してから培地をpH4.2に調整した。その後にフラスコの口をアルミフォイルで覆い、ロータリーシェイカーで70rpmの震とう培養を行った。発酵温度44℃の20時間発酵により全量のグルコースを消費し、エタノールの生成量は消費グルコースからの理論収量に対して93.4%であった。
(実施例3)
上記実施例2と同様に調製した無殺菌のエタノール発酵培地100mlを500ml容のエルレンマイヤーフラスコに入れ、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレイト0.4gを滅菌しないままに添加してからパン酵母ドライイースト0.4gを投入し、44℃の発酵温度で実施例2と同様にエタノール発酵を行った。18時間未満の発酵時間で、培地のグルコース全量を消費し、エタノール生成量は理論収量の96.9%であった。ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレイトはドライイーストに対して、グルコース消費を促進する作用とともにエタノール生成量を高める効果を示した。
(実施例4)
上記実施例2と同様に調製した無殺菌のエタノール発酵培地100mlを500ml容のエルレンマイヤーフラスコに入れ、無殺菌のポリオキシエチレ・ンソルビタン・モノラウレイト0.4gを添加してからパン酵母ドライイースト0.6gを投入した。発酵温度を45℃に設定してエタノール発酵を行った。18時間未満の発酵時間で全量のグルコースを消費し、エタノール生成量は理論収量に対して96.8%であった。発酵18時間の発酵液をSCD寒天培地に塗抹し、35℃で3日間培養した結果、雑菌のコロニーは検出しなかった。酸性電解水培地に加えて45℃の高温エタノール発酵は雑菌の増殖抑制に対して有効であった。
(実施例5)
3本の500ml容のエルレンマイヤーフラスコに、上記実施例2と同様に調製した無殺菌のエタノール発酵培地をそれぞれ入れ、次に記す3種類の無殺菌ポリオキシエチレ・ンソルビタン・モノ脂肪酸エステル0.4gを3本のフラスコにそれぞれ添加した。3種類のポリオキシエチレ・ンソルビタン・モノ脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノパルミテート、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノステアレート、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレートである。次に各フラスコにそれぞれ0.5gのパン酵母ドライイーストを投入して、40℃でエタノール発酵を行った。20時間未満の発酵時間で全量のグルコースを消費し、エタノール生成量の理論収量に対する割合は、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノパルミテート添加フラスコで89.4%、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノステアレート添加フラスコで89.1%、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレート添加フラスコで90.3%であった。
(実施例6)
甘蔗糖蜜30gを新たに調製したpH3.2の酸性電解水100mlに溶解し、副原料は添加しないで高糖濃度の無殺菌エタノール発酵培地を調製した。この培地を500ml容のエルレンマイヤーフラスコに入れ、微粒子状パン酵母ドライイースト0.4gを投入してから培地をpH4.2に調整した。フラスコの口をアルミフォイルで覆い、40℃に設定したロータリーシェイカーで70rpmの震とう培養を行った。28時間未満の発酵時間内に培地中の糖を消費して発酵を終了し、発酵液中に68.2g/Lのエタノールを生成した。
(発明の効果)
本発明によるエタノールの製造方法では、市販のパン酵母ドライイーストを購入してエタノール発酵を行うので、酵母培養に関連する装置と工程は必要なくエタノール生成用の発酵装置のみでエタノールの発酵生産が可能である。このため、設備、投資の軽減による経済的メリットは大きい。また、乾燥酵母として大量に生産され、安価で市販されているパン酵母ドライイーストを使用できることは、いつでも必要な時に必要量を購入してエタノール発酵を開始することが可能であるとともに、多量のパン酵母ドライイーストを発酵培地に添加することにより、一日あるいは一晩程度の短時間で発酵を終了させることも可能である。さらに、酸性電解水と40℃以上の高温発酵の効果により、市販パン酵母ドライイーストと糖質原料および副原料に付着してエタノール発酵培地に持ち込まれる雑菌の増殖が抑制された。その結果、雑菌による糖質原料の損失は防止され、エタノール生成量が向上するとともに、滅菌装置と加熱冷却のエネルギー費を無くすことも可能である。またさらに、酸性電解水とポリオキシエチレン・ソルビタン・モノ脂肪酸エステルの界面活性作用によって、エタノール生成速度と生成収率の向上が達成された。これらの技術的効果と先に述べた設備投資軽減メリットにより、安価なエタノールの製造が期待できる。

Claims (2)

  1. グルコースなどの糖質原料とエタノール生成を促進する副原料を含む液体培地にパン酵母ドライイーストを投入し、所定の発酵温度で発酵を行うエタノールの製造方法であって、
    前記液体培地は、滅菌されていないグルコースなどの糖質原料と前記副原料を酸性電解水に溶解することにより調製されていて、雑菌増殖が抑制されており、前記液体培地には、滅菌されていないポリオキシエチレン・ソルビタン・モノ脂肪酸エステルが添加されていることを特徴とするエタノールの製造方法。
  2. 酸性電解水に、グルコースなどの糖質原料とエタノール生成を促進する副原料とパン酵母ドライイーストを投入して、液体培地を調製し、所定の発酵温度で発酵を行うエタノールの製造方法であり、前記液体培地には、滅菌されていないポリオキシエチレン・ソルビタン・モノ脂肪酸エステルが添加されていることを特徴とするエタノールの製造方法
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