JP5308005B2 - 新規フルオレン化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性材料などとして有用な新規なフルオレン化合物、およびその製造方法に関する。
9,9−ビスフェニルフルオレン骨格などのフルオレン骨格を有する化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有しており、樹脂原料や添加剤として用いることが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現し、成形可能とする方法としては、反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基など)を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスアミノフェニルフルオレン(BAFL)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などを、樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が知られている。例えば、このようなフルオレン骨格を有する化合物を樹脂原料に用いた例として、特開2002−284864号公報(特許文献1)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料が開示されている。また、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、ビスフェノールフルオレン、ビスアミノフェニルフルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンなどのフルオレン骨格を有する化合物を重合成分とする樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール系樹脂、アニリン系樹脂など)と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。
しかし、このような方法では、樹脂の骨格にフルオレン骨格を導入する必要があるため、煩雑な重合反応を必要とし、また、幅広い樹脂に適用することが困難である。
一方、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格などのフルオレン骨格を有する化合物をそのまま添加した例として、特開2005−162785号公報(特許文献3)には、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物と、熱可塑性樹脂とで構成された樹脂組成物が開示されている。
Figure 0005308005
(式中、R〜Rは、同一又は異なって非反応性基又は反応性基を示す。ただし、RおよびRは、少なくとも反応性基である。k1及びk2は同一又は異なって1〜5の整数を示し、m1及びm2は同一又は異なって0又は1〜4の整数を示す。)
この文献では、前記式(1)で表される具体的な化合物として、9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類のC2−4アルキレンオキシド付加体、9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類又はそのC2−4アルキレンオキシド付加体のグリシジルエーテル、9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類又はそのC2−4アルキレンオキシド付加体の(メタ)アクリレート、9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類などを例示している。そして、この文献には、熱可塑性樹脂(特に、ポリカーボネート系樹脂などの芳香環含有樹脂)に、前記化合物を添加することにより、フルオレン骨格が有する優れた機能(高屈折率など)を、簡便にかつ効率よく熱可塑性樹脂に付与して成形可能であること、また、樹脂の骨格を置換する必要がないため、熱可塑性樹脂の種類に拘わらず、幅広い範囲の熱可塑性樹脂であっても、フルオレン骨格が有する機能を付与して成形できることが記載されている。
また、特開2004−137262号公報(特許文献4)には、下記式(I)で表されるフルオレン誘導体が開示されている。
Figure 0005308005
(式中、J及びJは連結基、−X−Pro及び−X−Proはそれぞれ脱離可能な保護基Pro又はProで保護された親水性基、R〜Rはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表し、m1及びm2は0又は1、n1及びn2は0又は1〜4の整数、p1、p2、q1及びq2は0〜4の整数を表す。但し、n1及びn2の少なくともいずれか一方が1〜4であり、n1+p1及びn2+p2は、5以下の整数である。)
そして、この文献には、前記フルオレン誘導体は、光照射に起因した脱保護により親水化可能であるので、感光剤と組み合わせてベース樹脂に添加し、感光性樹脂組成物を形成することにより、前記ベース樹脂のレジストとしての感度及び解像度を改善できると記載されている。
上記文献では、樹脂骨格にフルオレン骨格を導入する必要がなく、簡便に9,9−ビス(フェニル)フルオレン骨格由来の特性を付与できる。しかし、ビスフェノールフルオレンなどは、上記のような優れた特性を有する一方、低柔軟性、高粘度などの特性も有しており、改善すべき課題もある。
このようなフルオレン骨格を有する材料のさらなる開発が求められている。
特開2002−284864号公報(特許請求の範囲) 特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0032]) 特開2005−162785号公報(特許請求の範囲、段落番号[0015]) 特開2004−137262号公報(特許請求の範囲、発明の効果の欄)
従って、本発明の目的は、機能性材料などとして利用できる新規なフルオレン骨格を有する化合物、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高屈折率などの特性を有しつつ、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現できる新規なフルオレン骨格を有する化合物、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン類(フルオレンなど)の9位に、アルキリデン基又はアルキレン基を介して、芳香族炭化水素環骨格(ベンゼン骨格、ナフタレン骨格など)が2つ結合した新規なフルオレン骨格を有する化合物[9,9−ビス(アリールアルキル)フルオレン類]が、高屈折率などの特性を有し、機能性材料などとして有用であること、特に、高屈折率などの優れた特性を有しつつ、従来のフルオレン骨格を有する化合物(フルオレン類の9位に直接芳香族炭化水素環骨格が2つ結合した化合物など)に比べて、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の新規な化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0005308005
(式中、Xはアルキリデン基又はアルキレン基を示し、Yはヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、メルカプト基、メルカプトメチル基、カルボキシル基又はアミノ基を示し、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Rは、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を示し、Rは炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数を示し、k、m又はnがそれぞれ、2以上であるとき、R、R又はYは、それぞれ、同一の又は異なる基であってもよい。)
前記式(1)において、Xは、特にメチレン基であってもよい。また、前記式(1)において、代表的には、nは0〜1(特に0)であってもよい。また、前記式(1)において、代表的には、Zがベンゼン環又はナフタレン環であってもよい。さらに、前記式(1)において、代表的には、Rが、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−4アルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−4アルコキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基などのC1−4アルキルチオ基)、又はハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)であり、mが0〜2であってもよい。
代表的な前記式(1)で表される化合物には、9,9−ビス(アリールC1−4アルキル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(ベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキルアリールC1−4アルキル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(アルキルベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン]、9,9−ビス(アルコキシアリールC1−4アルキル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(アルコキシベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルコキシC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキルチオアリールC1−4アルキル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(アルキルチオベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルチオC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン]、および9,9−ビス(ハロアリールC1−4アルキル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(ハロベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(ハロC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン]から選択される化合物などが含まれる。
本発明には、塩基触媒の存在下、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを反応させることにより、前記化合物(前記式(1)で表される化合物)を製造する方法も含まれる。
Figure 0005308005
(式中、Rはハロゲン原子を示し、X、Z、R、R、k、mは前記と同じ。)
本発明には、塩基触媒の存在下、下記式(2)で表される化合物と、(i)下記式(3)で表される化合物、又は(ii)下記式(3)で表される化合物および下記式(4)で表される化合物とを反応させることにより、前記化合物(前記式(1)で表される化合物)を製造する方法も含まれる。
Figure 0005308005
(式中、Rはハロゲン原子を示し、Yは、Y又はYを生成可能な基を示し、n1は1以上の整数を示し、X、Z、R、R、k、mは前記と同じ。)。
なお、本明細書において、化合物名などの「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。
本発明の新規なフルオレン骨格を有する化合物は、高耐熱性、高屈折率などを有し、機能性材料などとして利用できる。このような本発明の化合物は、従来のフルオレン骨格を有する化合物が有する優れた特性(例えば、高屈折率など)を有しつつ、このような従来の化合物に比べて、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現できる。そのため、このような特性を生かし、例えば、炭素密度の向上により、レジスト用途などに用いると、エッチング耐性の向上などを実現できる。また、本発明の化合物は、分子中に含まれる官能基[ヒドロキシル基(フェノール性ヒドロキシル基)など]が少なく、従来の化合物に比べ、導電性などにおいても優れている。
[式(1)で表される化合物]
本発明の化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 0005308005
(式中、Xはアルキリデン基又はアルキレン基を示し、Yはヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、メルカプト基、メルカプトメチル基、カルボキシル基又はアミノ基を示し、環Zは芳香族炭化水素環を示し、RおよびRは同一又は異なる置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数を示し、k、m又はnがそれぞれ、2以上であるとき、R、R又はYは、それぞれ、同一の又は異なる基であってもよい。)
上記式(1)のXにおいて、アルキリデン基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、プロパン−2,2−ジイル基などのC1−10アルキリデン基、好ましくはC1−6アルキリデン基、さらに好ましくはC1−4アルキリデン基などが挙げられる。また、Xにおいて、アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC2−10アルキレン基、好ましくはC2−6アルキレン基、さらに好ましくはC2−4アルキレン基などが挙げられる。好ましいXは、直接結合、C1−4アルキリデン基(特にメチレン基)である。なお、フルオレン(又はフルオレン骨格)の9位と環Zとを連結する2つの基Xは、同一であってもよく、異なっていてもよい。通常、2つのXは同一である場合が多い。
前記式(1)において、Yは、前記のように、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、メルカプト基、メルカプトメチル基、カルボキシル基又はアミノ基である。これらのうち、Yは、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基又はアミノ基であるのが好ましい。
環Zに置換する基Yの数nは、0又は1以上であればよく、例えば、0〜4、好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2(例えば、0〜1)、特に0であってもよい。なお、nが2以上であるとき、Yは同一又は異なる基であってもよい。
また、前記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環(詳細には、少なくともベンゼン環を含む縮合多環式炭化水素環)などが挙げられる。縮合多環式芳香族炭化水素環に対応する縮合多環式芳香族炭化水素としては、縮合二環式炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合二乃至四環式炭化水素などが挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素としては、ナフタレン、アントラセンなどが挙げられ、特にナフタレンが好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
好ましい環Zには、ベンゼン環およびナフタレン環(特にベンゼン環)が含まれる。なお、環Zが、縮合多環式芳香族炭化水素環である場合、Xに置換する環Zの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9位に置換するナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
また、基Rで表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、基Rで表される置換基しては、非反応性置換基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−20アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などのエーテル基(置換ヒドロキシル基);アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−6アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)などのチオエーテル基(置換メルカプト基);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など)などのエステル基(置換カルボキシル基);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
これらのうち、基Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基であるのが好ましく、特に、好ましい基Rは、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、アルキルチオ基(C1−4アルキルチオ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などである。
なお、同一の環Zにおいて、mが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Zにおいて、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、好ましい置換数mは、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4、特に0〜2(例えば、0〜1)であってもよい。なお、2つの環Zにおいて、置換数mは、互いに同一又は異なっていてもよい。
代表的な前記式(1)で表される化合物[すなわち、9,9−ビス(アリールアルキル)フルオレン類]としては、9,9−ビス(ベンジル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ベンジル)フルオレン;9,9−ビス(アルキルベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−メチルベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキルベンジル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルコキシベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−メトキシベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルコキシベンジル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキルチオベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−メチルチオベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキルチオベンジル)フルオレンなど]などの前記式(1)においてmが1以上である9,9−ビス(ベンジル)フルオレンなど}、9,9−ビス(ナフチルメチル)フルオレン類{これらの9,9−ビス(ベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(1−ナフチルメチル)フルオレン、9,9−ビス(2−ナフチルメチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ナフチルメチル)フルオレン}、9,9−ビス(フェネチル)フルオレン類[前記9,9−ビス(ベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(フェネチル)フルオレンなど]などの9,9−ビス(アリールC1−4アルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(C6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン類など]などが挙げられる。
本発明の化合物(式(1)で表される化合物)は、特に限定されないが、例えば、前記式(1)においてnが0である化合物と、前記式(1)においてnが1以上である化合物との製造方法に大別できる。
前記式(1)において、nが0である化合物は、例えば、塩基触媒の存在下、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを反応させることにより製造できる。また、前記式(1)においてnが1以上である化合物は、下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物および下記式(4)で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。
このような方法では、式(2)で表される化合物(フルオレン類)と塩基触媒とを反応させることにより、フルオレンアニオンが生成し、この生成したフルオレンアニオンを求核剤として、式(3)で表される化合物(および式(4)で表される化合物)と求核置換反応させることによって、式(1)で表される化合物が得られる。
Figure 0005308005
(式中、Rはハロゲン原子を示し、Yは、Y又はYを生成可能な基を示し、n1は1以上の整数を示し、X、Z、R、R、k、mは前記と同じ。)
上記方法において、上記式(2)で表される化合物としては、フルオレン類(例えば、フルオレン)などが挙げられる。なお、式(2)で表される化合物(フルオレン類)の純度は、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
前記式(3)および前記式(4)において、Xとしては、前記と同様のアルキリデン基およびアルキレン基が挙げられる。好ましいXは、前記と同様にメチレン基である。また、前記式(3)および前記式(4)において、Rで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。好ましいハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子である。
また、前記式(4)で表される化合物は、前記式(4)においてYがYである化合物に代えて、Yを生成可能な化合物を使用してもよい。前記式(4)のYにおいて、Yを生成可能な基としては、(A)Yが保護基(脱離可能な保護基)により保護された基、(B)置換反応によりYを生成可能な基[例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)など]などが挙げられる。
前記(A)では、式(2)で表される化合物との反応後、脱保護することにより目的化合物を得ることができる。例えば、Yがヒドロキシル基やメルカプト基である場合、Yがアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基などのC1−4アルキル基など)などの保護基により保護された化合物を用いてもよく、Yがカルボキシル基である場合、Yがアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基などのC1−4アルキル基など)などの保護基により保護された化合物を用いてもよい。なお、脱保護は、酸や塩基などを用いた慣用の方法により行うことができる。
また、前記(B)では、式(2)で表される化合物との反応前、又は式(2)で表される化合物との反応後の適当な段階で、公知の反応を利用して、Yの種類に応じてYを生成可能な基YをYに置換(例えば、水酸化物を用いたヒドロキシル基への置換、アミド化合物(カリウムアミドなど)を用いたアミノ基への置換など)することにより目的化合物を得ることができる。
なお、前記式(4)において、n1は、前記式(1)において、n(n=0の場合を除く)に対応しており、1以上であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2(例えば、1)であってもよい。
代表的な前記式(3)で表される化合物としては、例えば、ベンジルハライド類{例えば、ベンジルハライド(例えば、4−クロロメチルベンゼン、4−ブロモメチルベンゼンなどのベンジルハライドなど)、アルキルベンジルハライド[例えば、4−メチルベンジルクロライド、4−メチルベンジルブロマイドなどのC1−4アルキルベンジルハライドなど]、アルコキシベンジルハライド[例えば、4−メトキシベンジルクロライド、4−メトキシベンジルブロマイドなどのC1−4アルコキシベンジルハライドなど]、アルキルチオベンジルハライド[例えば、4−メチルチオベンジルクロライド、4−メチルチオベンジルブロマイドなどのC1−4アルキルチオベンジルハライドなど]、ハロベンジルハライド(例えば、4−クロロベンジルクロライド、4−ブロモベンジルブロマイドなど)など}、ハロメチルナフタレン類{前記ベンジルハライド類に対応する化合物、例えば、ハロメチルナフタレン[例えば、クロロメチルナフタレン、ブロモメチルナフタレンなどのベンジルハライドなど]など}などのアリールアルキルハライド類(C6−10アリールメチルハライド類などのC6−10アリールC1−4アルキルハライド類など)などが含まれる。これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、代表的な前記式(4)で表される化合物としては、例えば、ヒドロキシベンジルハライド類(例えば、4−クロロメチルフェノール、4−ブロモメチルフェノールなどのヒドロキシベンジルハライドなど)、メルカプトベンジルハライド類(例えば、4−クロロメチルチオフェノール、4−ブロモメチルチオフェノールなどのメルカプトベンジルハライドなど)、カルボキシベンジルハライド類(例えば、4−カルボキシベンジルクロライド、4−カルボキシベンジルブロマイドなどのカルボキシベンジルハライド)、アミノベンジルハライド類(例えば、4−クロロメチルアニリン、4−クロロブロモアニリンなどのアミノベンジルハライド)などのベンジルハライド類;これらのベンジルハライド類に対応し、前記式のY(ヒドロキシル基、カルボキシル基など)が保護基により保護された化合物(アルキルエーテル、アルキルエステルなど);これらのベンジルハライド類に対応し、Y(ヒドロキシル基、カルボキシル基など)を生成可能な化合物(例えば、4−クロロベンジルクロライド、4−ブロモベンジルブロマイドなどのハロベンジルハライドなど);これらの化合物に対応し、ベンジル基がナフチルメチル基である化合物;前記化合物(ベンジルハライド類)に対応し、ベンジル基がフェネチル基である化合物などのアリールアルキルハライド類(C6−10アリールメチルハライド類などのC6−10アリールC1−4アルキルハライド類など)が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、ベンジルハライド類は、特開2003−238458号公報に記載の方法などにより合成することもできる。
なお、式(3)で表される化合物および前記式(4)で表される化合物の純度は、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
なお、前記式(3)で表される化合物および前記式(4)で表される化合物を使用する場合、前記式(3)で表される化合物および前記式(4)で表される化合物を、そのまま前記式(2)で表される化合物と反応させてもよく、反応選択性を高めるため、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物および前記式(4)で表される化合物のうちいずれか一方の化合物とを反応させたのち、他方の成分と反応させてもよい。
前記式(1)においてnが0である化合物を得る場合、反応において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物との割合は、前者/後者(モル比)=1/10〜1/0.8、好ましくは1/8〜1/1、さらに好ましくは1/5〜1/1.5程度であってもよい。
また、前記式(1)においてnが1以上である化合物を得る場合、反応において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物および前記式(4)で表される化合物との割合は、前者/後者(モル比)=1/10〜1/0.8、好ましくは1/8〜1/1、さらに好ましくは1/5〜1/1.5程度であってもよい。また、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物又は前記式(4)で表される化合物との割合は、前者/後者(モル比)=1/2〜1/0.5、好ましくは1/1.5〜1/0.7、さらに好ましくは1/1〜1/0.8程度であってもよい。さらに、前記式(3)で表される化合物と、前記式(4)で表される化合物との割合は、前者/後者(モル比)=1/3〜1/0.3、好ましくは1/2〜1/0.5、さらに好ましくは1/1.5〜1/0.7程度であってもよい。
前記反応において、塩基触媒としては、フルオレンアニオン(前記式(2)で表される化合物のアニオン)を生成可能であれば特に限定されず、慣用の無機塩基や有機塩基を使用できる。無機塩基としては、金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物など)などが挙げられる。有機塩基としては、金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド)、第4アンモニウム水酸化物(水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムなどの水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなど)などが例示できる。塩基触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
塩基触媒の使用量は、前記式(2)で表される化合物(フルオレン類)1モルに対して、1〜10当量(モル当量)、好ましくは1.2〜8当量、さらに好ましくは1.5〜5当量程度であってもよい。
反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒は、前記塩基触媒に対して非反応性で、かつフルオレン類(および前記式(3)で表される化合物および前記式(4)で表される化合物)を溶解可能であれば特に限定されず、幅広い範囲で使用できる。代表的な溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類など)、芳香族系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アニソールなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、反応系中(溶媒中)にプロトン性溶媒(水、アルコールなど)が存在すると、中間体であるフルオレンアニオンの活性が失われる場合があるため、予め脱水などによりプロトン性溶媒を除去した溶媒を反応に使用してもよい。
溶媒の使用量は、少なくともフルオレン類が溶解すればよく、フルオレン類(前記式(2)で表される化合物)1重量部に対して、例えば、0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜40重量部程度であってもよい。
反応温度は、特に限定されないが、フルオレンアニオンの安定性の観点から、通常、−10℃〜120℃、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜70℃程度で行ってもよい。また、反応時間は、原料の種類、反応温度や溶媒中の濃度などに応じて調整でき、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは2〜24時間程度であってもよい。
また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。なお、反応は、通常、各成分を混合することにより行われるが、混合は、段階的に行ってもよい。
なお、生成した化合物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
[フルオレン化合物の用途]
本発明のフルオレン化合物(式(1)で表される化合物)は、フルオレン骨格を有しているとともに、芳香族炭化水素骨格(ベンゼン骨格、ナフタレン骨格など)を有しており、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。特に、本発明の化合物は、従来のフルオレン骨格を有する化合物(ビスフェノールフルオレンなど)に比べて、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現でき、各種用途においてさらなる特性の向上が期待できる。例えば、炭素密度の向上により、レジスト用途などに用いると、エッチング耐性の向上などを実現できる。さらに、官能基をほとんど有しておらず、従来のフルオレン骨格を有する化合物に比べて、導電性の付与の点でも有利である。このため、このような本発明のフルオレン化合物は、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など]として好適に用いることができ、前記のような優れた特性を効率よく付与するための化合物として用いることができる。
(添加剤用途および樹脂組成物)
添加剤としては、樹脂用添加剤(又は樹脂添加剤)などが挙げられる。添加剤として用いる場合、樹脂および前記フルオレン化合物(例えば、9,9−ビス(ベンジル)フルオレン、9,9−ビス(アルキルベンジル)フルオレン、9,9−ビス(ハロベンジル)フルオレンなど)を含む樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物、熱又は光硬化性樹脂組成物)を構成できる。このような樹脂組成物において、樹脂としては、特に限定されず、幅広い範囲の樹脂(熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂など)を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、フッ化樹脂など)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど)、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアリレート系樹脂(例えば、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)と芳香族ジオール(ビフェノール、ビスフェノールA、キシリレングリコール、これらのアルキレンオキシド付加体など)を重合成分として用いたポリアリレート系樹脂など)など]、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの熱可塑性樹脂のうち、芳香環(ベンゼン環など)を含有する熱可塑性樹脂、例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、芳香族ポリエステル系樹脂(前記ポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂などが好ましい。前記フルオレン化合物は、これらの芳香環含有樹脂との相溶性が高く、そのため、樹脂に対する分散性が高い。
また、熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂(シリコーン樹脂、ポリシランなど)、光重合性モノマー又はオリゴマー(例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物)などが例示できる。熱硬化性樹脂は初期縮合物であってもよい。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
フルオレン化合物の割合は、樹脂(特に、芳香環を有する熱可塑性樹脂などの熱可塑性樹脂)100重量部に対して、例えば、1〜700重量部、好ましくは50〜600重量部、さらに好ましくは100〜500重量部(例えば、200〜300重量部)程度であってもよい。
前記樹脂組成物は、用途に応じて種々の添加剤、例えば、充填剤、難燃剤、強化剤、可塑剤、重合開始剤、触媒、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、着色剤(染顔料)、消泡剤、レベリング剤、分散剤、流動調整剤、カーボン材料(カーボンブラック、黒鉛、カーボン繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブなど)などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、前記樹脂組成物は、樹脂の種類などに応じて溶媒を含む組成物(コーティング組成物など)であってもよい。
本発明の新規なフルオレン化合物は、高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を有しており、樹脂添加剤などの機能性材料などとして好適に用いることができる。また、本発明のフルオレン化合物は、添加剤分散性にも優れ、各種添加剤を含む成形材料としても好適である。例えば、本発明の新規なフルオレン化合物(又はフルオレン化合物を重合成分とする樹脂)は、カーボンなどの添加剤を効率よく分散させることができる。そのため、樹脂などに適用すると、前記のような優れた特性を有するとともに、高強度又は高硬度を有する成形体(膜やフィルムなどを含む)を効率よく得ることができる。また、本発明の化合物は、従来のフルオレン骨格を有する化合物(ビスフェノールフルオレンなど)に比べて、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現でき、各種用途においてさらなる特性の向上が期待できる。例えば、炭素密度の向上により、レジスト用途などに用いると、エッチング耐性の向上などを実現できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
300mLの三口フラスコに、フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)1.66g(10.0mmol)およびカリウムブトキシド(ナカライテスク製)3.36g(30.0mmol)を入れ、溶媒としてのジメチルスルホキシド(DMSO)(ナカライテスク製)70.0mLを混合し、50℃で10分撹拌した。撹拌しながら、4−ブロモベンジルブロミド(アルドリッチ製)6.00g(24.0mmol)を1.00gずつ6回に分割して10分おきに加えた。その後、50℃で19時間撹拌した。反応後、溶液を氷中に注いでクエンチし、得られた固体にジエチルエーテル(ナカライテスク製)20.0gを加え3回抽出した。硫酸ナトリウム(ナカライテスク製)10.0gで乾燥後、エバポレータにて溶媒を留去したところ、5.96gのサンプルが得られた。得られたサンプルのHPLCを測定した結果、純度は56%であった。
さらに得られたサンプルのH−NMRを測定した結果、目的とする9,9−ビス(4−ブロモベンジル)フルオレン(下記式)であることを確認した。
Figure 0005308005
H−NMR(CDCl,δ):3.31ppm(s,4H),6.48ppm(d,4H),7.00ppm(d,4H),7.20−7.50ppm(m,8H)
(実施例2)
300mLの三口フラスコに、フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)1.66g(10.0mmol)およびカリウムブトキシド(ナカライテスク製)3.36g(30.0mmol)を入れ、溶媒としてのジメチルスルホキシド(DMSO)(ナカライテスク製)70.0mLを混合し、50℃で10分撹拌した。撹拌しながら、4−メチルベンジルブロミド(アルドリッチ製)4.44g(24.0mmol)を0.74gずつ6回に分割して10分おきに加えた。その後、50℃で19時間撹拌した。反応後、溶液を氷中に注いでクエンチし、得られた固体にジエチルエーテル(ナカライテスク製)20.0gを加え3回抽出した。硫酸ナトリウム(ナカライテスク製)10.0gで乾燥後、エバポレータにて溶媒を留去したところ、5.96gのサンプルが得られた。得られたサンプルのHPLCを測定した結果、純度は67%であった。
さらに得られたサンプルのH−NMRを測定した結果、目的とする9,9−ビス(4−メチルベンジル)フルオレン(下記式)であることを確認した。
Figure 0005308005
H−NMR(CDCl,δ):2.13ppm(s,6H),3.30ppm(s,4H),6.56ppm(d,4H),6.73ppm(d,4H),7.14−7.44ppm(m,8H)。
(実施例3)
300mLの三口フラスコに、フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)0.30g(1.80mmol)およびカリウムブトキシド(ナカライテスク製)0.61g(5.40mmol)を入れ、溶媒としてのジメチルスルホキシド(DMSO)(ナカライテスク製)13.0mLを混合し、50℃で10分撹拌した。撹拌しながら、4−メチルチオベンジルブロミド(アルドリッチ製)0.96g(4.4mmol)を0.16gずつ6回に分割して10分おきに加えた。その後、50℃で19時間撹拌した。反応後、溶液を氷中に注いでクエンチし、得られた固体にジエチルエーテル(ナカライテスク製)10.0gを加え3回抽出した。硫酸ナトリウム(ナカライテスク製)6.00gで乾燥後、エバポレータにて溶媒を留去したところ、0.84gのサンプルが得られた。得られたサンプルのHPLCを測定した結果、純度は80%であった。
さらに得られたサンプルのH−NMRを測定した結果、目的とする9,9−ビス(4−メチルチオベンジル)フルオレン(下記式)であることを確認した。
Figure 0005308005
H−NMR(CDCl,δ):2.33ppm(s,6H),3.30ppm(s,4H),6.57ppm(d,4H),6.81ppm(d,4H),7.19−7.67ppm(m,8H)。
(実施例4)
4−ブロモベンジルブロミド(アルドリッチ製)を4−tertブチルベンジルブロミド(アクロス製)に変更した以外は実施例1と同様に合成した結果、目的とする9,9−ビス(4−tertブチルベンジル)フルオレン(下記式)であることを確認した。
Figure 0005308005
(実施例5)
4−ブロモベンジルブロミド(アルドリッチ製)を4−クロロベンジルブロミド(東京化成製)に変更した以外は実施例1と同様に合成した結果、目的とする9,9−ビス(4−クロロベンジル)フルオレン(下記式)であることを確認した。
Figure 0005308005

Claims (3)

  1. 9,9−ビス(アルキルチオC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレンであるフルオレン化合物。
  2. 9,9−ビス(アルキルチオベンジル)フルオレンである請求項1記載のフルオレン化合物。
  3. 9,9−ビス(C1−4アルキルチオベンジル)フルオレンである請求項1又は2記載のフルオレン化合物。
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