JP5219451B2 - 新規フルオレン化合物 - Google Patents

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本発明は、機能性材料、樹脂原料や分子膜を形成するための化合物として有用な新規なフルオレン化合物、およびその製造方法に関する。
樹脂や樹脂原料において、熱的特性(耐熱性など)、光学的特性(高屈折率など)などの重要な特性を付与又は改善するため、樹脂の重合成分を選択したり、樹脂を改質可能な化合物を添加するなどの方法がとられている。例えば、フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格など)を有する化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有することが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現する方法としては、反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基など)を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などを樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が一般的である。例えば、このようなフルオレン骨格を有する樹脂を用いた例として、特開2002−284864号公報(特許文献1)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料が開示されている。また、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、ビスフェノールフルオレン、ビスアミノフェニルフルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンなどのフルオレン骨格を有する化合物を重合成分とする樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール系樹脂、アニリン系樹脂など)と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。なお、ビスフェノールフルオレンなどは、上記のような優れた特性を有する一方、低柔軟性、高粘度などの特性も有しており、改善すべき課題もある。
このような状況の中、フルオレン骨格を有する材料のさらなる開発が求められている。
一方、自己組織化により形成された単分子膜は、ある特定の化合物が、固体表面に規則的に配向して形成された構造を有しており、このような単分子膜を形成できる自己組織化法は、固体表面に、触媒機能、生体機能などを付与するための方法の一つとして注目されている。
自己組織化法は近年見出された技術であり、従来、固体の種類に応じて自己組織化可能な化合物を模索しているのが現状である。このような中、金属表面に自己組織化可能な化合物としては、例えば、チオール基などの官能基を有する特定の化合物が知られており、特開2004−315461号公報(特許文献3)には、金属基板上に物質の自己組織化単分子膜を形成する方法であって、アダマンタン構造を有する化合物(例えば、ビス(トリシクロ[3.3.1.1]デシルメチル)ジスルフィド)を含む溶液に、金属基板を浸漬して、該アダマンタン構造を有する化合物からなる自己組織化単分子膜を該金属基板表面に形成することを特徴とする方法が開示されている。この文献には、かご形分子としてアダマンタンという剛直な分子を単分子膜を構成する分子構造として選択することにより、金属基板上で、剛直なアダマンタン表面膜構造を有する自己組織化単分子膜が、従来では全く不可能であった分子レベルの精密構造制御を可能とする新しい自己組織化単分子膜を作製できると記載されている。
また、特開2005−53116号公報(特許文献4)には、金属表面に、一般式HS−(CH−COOH(式中、nは3〜30の整数である。)で表わされるメルカプトカルボン酸(例えば、メルカプトヘキサデカン酸など)の分子膜を有し、その上に、一層目と二層目の結合のためのCuイオン、さらにその上に、一般式HS−R(式中、Rは炭素数5〜30のアルキル基を表す。)で表されるアルキルチオール(オクタデカンチオールなど)が結合した分子膜を有する自己組織化分子膜で被覆された金属が開示されている。この文献には、金属を上記二層の分子膜を被覆することにより、摩擦係数を、アルカンチオールの自己組織化単分子膜より低い0.15という値を達成することができたと記載されている。
以上のように、自己組織化法を適用できる化合物として、さらなる優れた特性や異質の特性を有する化合物が求められている。
特開2002−284864号公報(特許請求の範囲) 特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0032]) 特開2004−315461号公報(特許請求の範囲、段落番号[0045]) 特開2005−53116号公報(特許請求の範囲、段落番号[0005])
従って、本発明の目的は、機能性材料や樹脂原料などとして利用できる新規なフルオレン骨格を有する化合物、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高屈折率などの特性を有しつつ、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現できる新規なフルオレン骨格を有する化合物、およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、分子膜(特に、自己組織化分子膜)を形成できる新規なフルオレン骨格を有する化合物、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン類(フルオレンなど)の9位に、アルキリデン基又はアルキレン基を介して、ヒドロキシル基やカルボキシル基などを有する芳香族炭化水素環骨格(安息香酸骨格、フェノール骨格、ナフトール骨格など)が2つ結合した新規なフルオレン骨格を有する化合物が、高屈折率などの特性を有し、機能性材料や樹脂原料などとして有用であること、特に、高屈折率などの従来のフルオレン骨格を有する化合物(ビスフェノールフルオレンなど)と同様の優れた特性を有しつつ、このような従来のフルオレン骨格を有する化合物に比べて、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現できること、また、このような特定のフルオレン骨格を有する化合物は、分子膜、特に、自己組織化により分子膜を形成可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の新規な化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
(式中、Xはアルキリデン基又はアルキレン基を示し、Yはヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、メルカプト基、メルカプトメチル基、カルボキシル基又はアミノ基を示し、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Rは、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を示し、Rは炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数を示し、k、m又はnがそれぞれ、2以上であるとき、R、R又はYは、それぞれ、同一の又は異なる基であってもよい。)
前記式(1)において、Xは、特にメチレン基であってもよい。また、前記式(1)において、代表的には、Zがベンゼン環又はナフタレン環であり、kが0又は1であり、mが0又は1であり、nが1〜3であってもよい。
代表的な前記式(1)で表される化合物には、9,9−ビス(ヒドロキシアリールアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレン類]、9,9−ビス(メルカプトアリールアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−メルカプトベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(メルカプトベンジル)フルオレン類など]、9,9−ビス(カルボキシアリールアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−カルボキシベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレン類など]、および9,9−ビス(アミノアリールアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−アミノベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(アミノベンジル)フルオレン類など]から選択される化合物などが含まれる。
本発明の化合物は、分子膜、特に、自己組織化により分子膜を形成可能である。そのため、本発明の化合物は、分子膜(特に自己組織化分子膜)を形成するための化合物であってもよい。
本発明には、塩基触媒の存在下、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを反応させることにより、前記化合物(前記式(1)で表される化合物)を製造する方法も含まれる。
(式中、Rはハロゲン原子を示し、Yは、Y又はYを生成可能な基を示し、X、Y、Z、R、R、k、m、nは前記と同じ。)
なお、本明細書において、化合物名などの「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。
本発明の新規なフルオレン骨格を有する化合物は、高耐熱性、高屈折率などを有し、機能性材料や樹脂原料などとしてとして利用できる。このような本発明の化合物は、従来のフルオレン骨格を有する化合物が有する優れた特性(例えば、高屈折率など)を有しつつ、このような従来の化合物に比べて、柔軟性の向上、溶融粘度の低減、炭素密度の向上などを実現できる。そのため、このような特性を生かし、例えば、炭素密度の向上により、レジスト用途などに用いると、エッチング耐性の向上などを実現できる。また、このような本発明の化合物は、分子膜(特に、自己組織化分子膜)を形成できる。
[式(1)で表される化合物]
本発明の化合物は、下記式(1)で表される。
(式中、Xはアルキリデン基又はアルキレン基を示し、Yはヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、メルカプト基、メルカプトメチル基、カルボキシル基又はアミノ基を示し、環Zは芳香族炭化水素環を示し、RおよびRは同一又は異なる置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数を示し、k、m又はnがそれぞれ、2以上であるとき、R、R又はYは、それぞれ、同一の又は異なる基であってもよい。)
上記式(1)のXにおいて、アルキリデン基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、プロパン−2,2−ジイル基などのC1−10アルキリデン基、好ましくはC1−6アルキリデン基、さらに好ましくはC1−4アルキリデン基などが挙げられる。また、Xにおいて、アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC2−10アルキレン基、好ましくはC2−6アルキレン基、さらに好ましくはC2−4アルキレン基などが挙げられる。好ましいXは、直接結合、C1−4アルキリデン基(特にメチレン基)である。なお、フルオレン(又はフルオレン骨格)の9位と環Zとを連結する2つの基Xは、同一であってもよく、異なっていてもよい。通常、2つのXは同一である場合が多い。
前記式(1)において、Yは、前記のように、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、メルカプト基、メルカプトメチル基、カルボキシル基又はアミノ基である。これらのうち、Yは、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基又はアミノ基であるのが好ましい。
環Zに置換する基Yの数nは、1以上であり、例えば、1〜8(例えば、1〜6)、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、特に1〜2であってもよい。なお、2つのnは、同一又は異なる数であってもよく、通常同一であってもよい。また、1つの環Zに対して、nが2以上であるとき、Yは同一又は異なる基であってもよい。さらに、異なる環Z(又は2つの環Z)において、Yは同一又は異なる基であってもよく、通常Yは同一であってもよい。
前記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環(詳細には、少なくともベンゼン環を含む縮合多環式炭化水素環)などが挙げられる。縮合多環式芳香族炭化水素環に対応する縮合多環式芳香族炭化水素としては、縮合二環式炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合二乃至四環式炭化水素などが挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素としては、ナフタレン、アントラセンなどが挙げられ、特にナフタレンが好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
好ましい環Zには、ベンゼン環およびナフタレン環(特にベンゼン環)が含まれる。なお、環Zが、縮合多環式芳香族炭化水素環である場合、Xに置換する環Zの置換位置は、特に限定されず、例えば、Xに置換するナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
また、基Rで表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、基Rで表される置換基しては、通常、非反応性置換基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−20アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などのエーテル基(置換ヒドロキシル基);アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−6アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)などのチオエーテル基(置換メルカプト基);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など)などのエステル基(置換カルボキシル基);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
これらのうち、Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基であるのが好ましく、特に、好ましい置換基Rは、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などである。
なお、同一の環Zにおいて、mが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Zにおいて、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、好ましい置換数mは、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4、特に0〜2(例えば、0〜1)であってもよい。なお、2つの環Zにおいて、置換数mは、互いに同一又は異なっていてもよい。
また、環Zにおいて、mとnとの合計(m+n)は、例えば、1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3であってもよい。
代表的な前記式(1)で表される化合物としては、(i)9,9−ビス(ヒドロキシアリールアルキル)フルオレン類、(ii)9,9−ビス(メルカプトアリールアルキル)フルオレン類、(iii)9,9−ビス(カルボキシアリールアルキル)フルオレン類、(iv)9,9−ビス(アミノアリールアルキル)フルオレン類などが含まれる。
(i)9,9−ビス(ヒドロキシアリールアルキル)フルオレン類
9,9−ビス(ヒドロキシアリールアルキル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシベンジル)フルオレンなど]、9,9−ビス(ヒドロキシ−アルキルベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−C1−4アルキルベンジル)フルオレンなど]など}、9,9−ビス(ヒドロキシナフチルメチル)フルオレン類{これらの9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)メチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(6−ヒドロキシナフチル)メチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシナフチルメチル)フルオレン}、9,9−ビス(ヒドロキシフェネチル)フルオレン類{前記9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェネチル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシフェネチル)フルオレンなど]など}などの9,9−ビス(ヒドロキシアリールC1−4アルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(ヒドロキシC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン類など]などが挙げられる。
(ii)9,9−ビス(メルカプトアリールアルキル)フルオレン類
9,9−ビス(メルカプトアリールアルキル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(メルカプトベンジル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(メルカプトベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−メルカプトベンジル)フルオレンなど]、9,9−ビス(メルカプト−アルキルベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−メルカプト−3−メチルベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(メルカプト−C1−4アルキルベンジル)フルオレンなど]など}9,9−ビス(メルカプトナフチルメチル)フルオレン類{これらの9,9−ビス(メルカプトベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス[1−(5−メルカプトナフチル)メチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(6−メルカプトナフチル)メチル]フルオレンなどの9,9−ビス(メルカプトナフチルメチル)フルオレン}、9,9−ビス(メルカプトフェネチル)フルオレン類{前記9,9−ビス(メルカプトベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(メルカプトフェネチル)フルオレン[9,9−ビス(4−メルカプトフェネチル)フルオレンなど]など}などの9,9−ビス(メルカプトアリールC1−4アルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(メルカプトC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン類などなどが挙げられる。
(iii)9,9−ビス(カルボキシアリールアルキル)フルオレン類
9,9−ビス(カルボキシアリールアルキル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−カルボキシベンジル)フルオレンなど]、9,9−ビス(カルボキシ−アルキルベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−カルボキシ−3−メチルベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシ−C1−4アルキルベンジル)フルオレンなど]など}、9,9−ビス(カルボキシナフチルメチル)フルオレン類{これらの9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス[1−(5−カルボキシナフチル)メチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(6−カルボキシナフチル)メチル]フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシナフチルメチル)フルオレン}、9,9−ビス(カルボキシフェネチル)フルオレン類{前記9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(カルボキシフェネチル)フルオレン[9,9−ビス(4−カルボキシフェネチル)フルオレンなど]など}などの9,9−ビス(カルボキシアリールC1−4アルキル)フルオレン類[例えば、9−ビス(カルボキシC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン類など]などが挙げられる。
(iv)9,9−ビス(アミノアリールアルキル)フルオレン類
9,9−ビス(アミノアリールアルキル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(アミノベンジル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(アミノベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−アミノベンジル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アミノ−アルキルベンジル)フルオレン[9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルベンジル)フルオレンなどの9,9−ビス(アミノ−C1−4アルキルベンジル)フルオレンなど]など}9,9−ビス(アミノナフチルメチル)フルオレン類{これらの9,9−ビス(アミノベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス[1−(5−アミノナフチル)メチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(6−アミノナフチル)メチル]フルオレンなどの9,9−ビス(アミノナフチルメチル)フルオレン}、9,9−ビス(アミノフェネチル)フルオレン類{前記9,9−ビス(アミノベンジル)フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス(アミノフェネチル)フルオレン[9,9−ビス(4−アミノフェネチル)フルオレンなど]など}などの9,9−ビス(アミノアリールC1−4アルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(アミノC6−10アリールC1−4アルキル)フルオレン類など]などが挙げられる。
本発明の化合物(式(1)で表される化合物)は、特に限定されないが、例えば、塩基触媒の存在下、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを反応させることにより製造できる。このような方法では、式(2)で表される化合物(フルオレン類)と塩基触媒とを反応させることにより、フルオレンアニオンが生成し、この生成したフルオレンアニオンを求核剤として、式(3)で表される化合物と求核置換反応させることによって、式(1)で表される化合物が得られる。
(式中、Rはハロゲン原子を示し、Yは、Y又はYを生成可能な基を示し、X、Y、Z、R、R、k、m、nは前記と同じ。)
上記方法において、上記式(2)で表される化合物としては、フルオレン類(例えば、フルオレン)などが挙げられる。なお、式(2)で表される化合物(フルオレン類)の純度は、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
前記式(3)において、Xとしては、前記と同様のアルキリデン基およびアルキレン基が挙げられる。好ましいXは、前記と同様にメチレン基である。また、前記式(3)において、Rで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。好ましいハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子である。
前記式(3)で表される化合物は、前記式(3)においてYがYである化合物に代えて、Yを生成可能な化合物を使用してもよい。前記式(3)のYにおいて、Yを生成可能な基としては、(A)Yが保護基(脱離可能な保護基)により保護された基、(B)置換反応によりYを生成可能な基[例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)など]などが挙げられる。
前記(A)では、式(2)で表される化合物との反応後、脱保護することにより目的化合物を得ることができる。例えば、Yがヒドロキシル基やメルカプト基である場合、Yがアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基などのC1−4アルキル基など)などの保護基により保護された化合物を用いてもよく、Yがカルボキシル基である場合、Yがアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基などのC1−4アルキル基など)などの保護基により保護された化合物を用いてもよい。なお、脱保護は、酸や塩基などを用いた慣用の方法により行うことができる。
また、前記(B)では、式(2)で表される化合物との反応前、又は式(2)で表される化合物との反応後の適当な段階で、公知の反応を利用して、Yの種類に応じてYを生成可能な基YをYに置換(例えば、水酸化物を用いたヒドロキシル基への置換、アミド化合物(カリウムアミドなど)を用いたアミノ基への置換など)することにより目的化合物を得ることができる。
代表的な前記式(3)で表される化合物としては、例えば、ヒドロキシベンジルハライド類(例えば、4−クロロメチルフェノール、4−ブロモメチルフェノールなどのヒドロキシベンジルハライドなど)、メルカプトベンジルハライド類(例えば、4−クロロメチルチオフェノール、4−ブロモメチルチオフェノールなどのメルカプトベンジルハライドなど)、カルボキシベンジルハライド類(例えば、4−カルボキシベンジルクロライド、4−カルボキシベンジルブロマイドなどのカルボキシベンジルハライド)、アミノベンジルハライド類(例えば、4−クロロメチルアニリン、4−クロロブロモアニリンなどのアミノベンジルハライド)などのベンジルハライド類;これらのベンジルハライド類に対応し、前記式のY(ヒドロキシル基、カルボキシル基など)が保護基により保護された化合物(アルキルエーテル、アルキルエステルなど);これらのベンジルハライド類に対応し、Y(ヒドロキシル基、カルボキシル基など)を生成可能な化合物(例えば、4−クロロベンジルクロライド、4−ブロモベンジルブロマイドなどのハロベンジルハライドなど);これらの化合物に対応し、ベンジル基がナフチルメチル基である化合物;前記化合物(ベンジルハライド類)に対応し、ベンジル基がフェネチル基である化合物などのアリールアルキルハライド類(C6−10アリールメチルハライド類などのC6−10アリールC1−4アルキルハライド類など)などが挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、ベンジルハライド類は、特開2003−238458号公報に記載の方法などにより合成することもできる。
なお、式(3)で表される化合物の純度は、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
反応において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物との割合は、前者/後者(モル比)=1/10〜1/0.8、好ましくは1/8〜1/1、さらに好ましくは1/5〜1/1.5程度であってもよい。
前記反応において、塩基触媒としては、フルオレンアニオン(前記式(2)で表される化合物のアニオン)を生成可能であれば特に限定されず、慣用の無機塩基や有機塩基を使用できる。無機塩基としては、金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物など)などが挙げられる。有機塩基としては、金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド)、第4アンモニウム水酸化物(水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムなどの水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなど)などが例示できる。塩基性触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
塩基触媒の使用量は、前記式(2)で表される化合物(フルオレン類)1モルに対して、1〜10当量(モル当量)、好ましくは1.2〜8当量、さらに好ましくは1.5〜5当量程度であってもよい。
反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒は、前記塩基触媒に対して非反応性で、かつフルオレン類(および前記式(3)で表される化合物)を溶解可能であれば特に限定されず、幅広い範囲で使用できる。代表的な溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類など)、芳香族系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アニソールなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、反応系中(溶媒中)にプロトン性溶媒(水、アルコールなど)が存在すると、中間体であるフルオレンアニオンの活性が失われる場合があるため、予め脱水などによりプロトン性溶媒を除去した溶媒を反応に使用してもよい。
溶媒の使用量は、少なくともフルオレン類が溶解すればよく、フルオレン類(前記式(2)で表される化合物)1重量部に対して、例えば、0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜40重量部程度であってもよい。
反応温度は、特に限定されないが、フルオレンアニオンの安定性の観点から、通常、−10℃〜120℃、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜70℃程度で行ってもよい。また、反応時間は、原料の種類、反応温度や溶媒中の濃度などに応じて調整でき、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは2〜24時間程度であってもよい。
また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。なお、反応は、通常、各成分を混合することにより行われるが、混合は、段階的に行ってもよい。
なお、生成した化合物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
[フルオレン化合物の用途]
本発明のフルオレン化合物(式(1)で表される化合物)は、フルオレン骨格を有しているとともに、芳香族炭化水素骨格(ベンゼン骨格、ナフタレン骨格など)を有しており、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。特に、本発明の化合物は、従来のフルオレン骨格を有する化合物(ビスフェノールフルオレンなど)に比べて、柔軟性の向上、溶液粘度の低減、炭素密度の向上などを実現でき、各種用途においてさらなる特性の向上が期待できる。例えば、炭素密度の向上により、レジスト用途などに用いると、エッチング耐性の向上などを実現できる。このため、このような本発明のフルオレン化合物は、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など](又はその原料又は中間体)、樹脂原料(モノマーなど)などとして好適に用いることができ、前記のような優れた特性を効率よく付与するための化合物として用いることができる。
(添加剤用途および樹脂組成物)
添加剤としては、樹脂用添加剤(又は樹脂添加剤)、硬化剤(樹脂用硬化剤など)などが挙げられる。添加剤として用いる場合、樹脂および前記フルオレン化合物(例えば、9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレン、9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレン類など)を含む樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物、熱又は光硬化性樹脂組成物)を構成できる。このような樹脂組成物において、樹脂としては、特に限定されず、幅広い範囲の樹脂(熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂など)を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、フッ化樹脂など)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど)、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアリレート系樹脂(例えば、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)と芳香族ジオール(ビフェノール、ビスフェノールA、キシリレングリコール、これらのアルキレンオキシド付加体など)を重合成分として用いたポリアリレート系樹脂など)など]、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの熱可塑性樹脂のうち、芳香環(ベンゼン環など)を含有する熱可塑性樹脂、例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、芳香族ポリエステル系樹脂(前記ポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂などが好ましい。前記フルオレン化合物は、これらの芳香環含有樹脂との相溶性が高く、そのため、樹脂に対する分散性が高い。
また、熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂(シリコーン樹脂、ポリシランなど)、光重合性モノマー又はオリゴマー(例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物)などが例示できる。熱硬化性樹脂は初期縮合物であってもよい。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、熱硬化性樹脂と前記フルオレン化合物とを組み合わせる場合、前記フルオレン化合物は硬化剤(又は硬化促進剤)として作用してもよい。前記樹脂のうち、前記フルオレン化合物[例えば、9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレンなどのヒドロキシル基を有するフルオレン化合物など]を硬化剤として用いることができる代表的な樹脂としては、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ系樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、4,4−ビフェノール、2,2−ビフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールAなどのビスフェノール類とエピクロロヒドロリンとの反応物(縮合物)、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂[フェノールノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型グリシジルエーテルなど)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(クレゾールノボラック型グリシジルエーテルなど)など]、アミン系エポキシ樹脂などが含まれる。エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
フルオレン化合物の割合は、樹脂(特に、芳香環を有する熱可塑性樹脂などの熱可塑性樹脂)100重量部に対して、例えば、1〜700重量部、好ましくは50〜600重量部、さらに好ましくは100〜500重量部(例えば、200〜300重量部)程度であってもよい。また、フルオレン化合物を硬化剤として使用する場合、樹脂(エポキシ樹脂など)の官能基(又は硬化性官能基、例えば、エポキシ基)1当量に対して、フルオレン化合物の官能基(例えば、フェノール性水酸基などのヒドロキシル基、アミノ基など)が、0.1〜4.0当量、好ましくは、0.3〜2.0当量、さらに好ましくは、0.5〜1.5当量となるように、両成分の割合を調整してもよい。
前記樹脂組成物は、用途に応じて種々の添加剤、例えば、充填剤、難燃剤、強化剤、可塑剤、重合開始剤、触媒、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、着色剤(染顔料)、消泡剤、レベリング剤、分散剤、流動調整剤、カーボン材料(カーボンブラック、黒鉛、カーボン繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブなど)などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、前記樹脂組成物は、樹脂の種類などに応じて溶媒を含む組成物(コーティング組成物など)であってもよい。
(樹脂原料用途および樹脂)
本発明のフルオレン化合物は、樹脂原料として用いることができる。例えば、本発明のフルオレン化合物は、官能基として、複数の官能基(ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基など)を有しているため、熱可塑性樹脂のモノマー成分や熱硬化性樹脂(又はその前駆体)として用いることができる。すなわち、このような樹脂は、前記フルオレン化合物(又はその誘導体)を重合成分とする樹脂である。
詳細には、前記樹脂は、複数の官能基を有する成分(ポリオール成分、ポリチオール成分、ポリカルボン酸成分、ポリアミン成分など)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂において、前記複数の官能基を有する成分の一部又は全部が、前記フルオレン化合物(複数のヒドロキシル基を有するフルオレン化合物、複数のメルカプト基を有するフルオレン化合物、複数のカルボキシル基を有するフルオレン化合物、複数のアミノ基を有するフルオレン化合物など)(又はその誘導体)で構成された樹脂である。なお、このような樹脂の単量体成分(又は重合成分)として用いる場合、前記フルオレン化合物は、誘導体化して用いてもよい。例えば、前記式(1)においてYがヒドロキシル基であるフルオレン化合物は、ヒドロキシアルキルエーテル化して[例えば、アルキレンオキシド付加体(例えば、エチレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド付加体として)を付加して]用いることもできる。
このような樹脂としては、フルオレン化合物の官能基の種類に応じて選択でき、種々の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)が挙げられる。
ポリオール成分(例えば、ジオール成分)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂としては、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトンなど)など]、熱硬化性樹脂[例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂(ヒドロキシル基を有する前記フルオレン化合物のポリグリシジルエーテルなど)、ビニルエステル系樹脂、フェノール樹脂、ポリオールポリ(メタ)アクリレート(ヒドロキシル基を有する前記フルオレン化合物のポリ(メタ)アクリレート、又は前記フルオレン化合物と(メタ)アクリル酸又はその誘導体((メタ)アクリル酸ハライドなど)との反応物など)、ウレタン(メタ)アクリレート]など]などが挙げられる。このようなポリオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂では、ポリオール成分を、前記式(1)において少なくとも2つのYがヒドロキシル基である化合物(例えば、9,9−ビス(ヒドロキシベンジル)フルオレン類などの9,9−ビス(ヒドロキシアリールアルキル)フルオレン類)で構成することができる。このような樹脂において、ポリオール成分を構成する成分としての前記フルオレン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
ポリチオール成分(例えば、ジチオール成分)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂[ポリチオエステル系樹脂、ポリチオカーボネート系樹脂、ポリチオウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂など]、熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性ポリチオウレタン系樹脂、チオエポキシ樹脂、ポリチオールポリ(メタ)アクリレートなど]などが挙げられる。このようなポリチオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂では、ポリチオール成分を、前記式(1)において少なくとも2つのYがメルカプト基である化合物(例えば、9,9−ビス(メルカプトベンジル)フルオレン類などの9,9−ビス(メルカプトアリールアルキル)フルオレン類)で構成することができる。このような樹脂において、ポリチオール成分を構成する成分としての前記フルオレン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
ポリカルボン酸成分(例えば、ジカルボン酸成分)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂など)、熱硬化性樹脂(ポリイミド系樹脂など)などが挙げられる。このようなポリカルボン酸成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂では、ポリカルボン酸成分を、前記式(1)において少なくとも2つのYがカルボキシル基である化合物(例えば、9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレン類などの9,9−ビス(カルボキシアリールアルキル)フルオレン類)で構成することができる。このような樹脂において、ポリカルボン酸成分を構成する成分としての前記フルオレン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
ポリアミン酸成分(例えば、ジアミン酸成分)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂など)、熱硬化性樹脂(ポリイミド系樹脂、アニリン樹脂など)などが挙げられる。このような樹脂において、ポリアミン成分を構成する成分としての前記フルオレン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
(分子膜用途)
また、本発明の化合物は、低分子化合物であるにもかかわらず、膜(分子膜)を形成可能である。そのため、本発明の化合物は、分子膜を形成するための化合物としても有用である。
このような分子膜は、前記式(1)で表される化合物により形成されていれば、その膜形成の態様は限定されないが、特に、前記式(1)で表される化合物の自己組織化により形成された分子膜(前記式(1)で表される化合物の自己組織化分子膜)である。
自己組織化により形成された分子膜(自己組織化分子膜)は、前記式(1)で表される化合物が分子レベルである秩序をもって二次元的に規則正しく配列又は配向して形成された単分子層で構成されている。なお、前記式(1)で表される化合物が、自己組織化する理由は定かではないが、配列しやすい剛直なフルオレン骨格と、隣接する基Y同士の相互作用(水素結合など)とが相まって、自己組織化するものと考えられる。そして、このような配列は、X線回折からも明らかになっている。
前記自己組織化分子膜(自己組織化膜)は、この単分子層のみで構成されていてもよいが、通常、この単分子層と、この単分子層の規則的な配列を反映した形で上層に配列した複数の単分子層とで構成されている。このように、自己組織化分子膜は、無秩序に配列して形成された膜とはその構造において大きく異なる。
なお、自己組織化分子膜の形状は、原子間力顕微鏡、透過型電子顕微鏡などにより確認できる。また、自己組織化による配列は、X線回折やIRなどにより確認することもできる。
前記分子膜は、前記式(1)で表される化合物で形成されている限り、他の化合物を含んでいてもよいが、通常、前記分子膜では、例えば、分子膜全体の30重量%以上(例えば、35〜100重量%)、好ましくは40重量%以上(例えば、45〜100重量%)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、55〜100重量%)が前記式(1)で表される化合物で形成されている。
また、前記分子膜は、前記式(1)で表される化合物の単一化合物又は混合物で形成されていてもよいが、通常、その大部分が単一化合物(1種の化合物、単一の構造を有する化合物)で構成されている。例えば、前記分子膜において、前記式(1)で表される化合物全体に対する単一化合物の割合は、例えば、85重量%以上(例えば、88〜100重量%)、好ましくは90重量%以上(例えば、92〜99.9重量%)、さらに好ましくは93重量%以上(例えば、94〜99.5重量%)、特に95重量%以上(例えば、96〜99重量%)であってもよい。なお、「単一化合物」には、位置異性体などの構造異性体も含まれる。
前記分子膜の平均厚みは、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm程度であってもよい。
また、前記自己組織化分子膜は、分子が上層に亘って規則正しく配列して形成されているため、その表面は通常のポリマーなどにより形成される膜と同様に平坦である。例えば、前記分子膜において、分子膜表面の平均高低差は、分子サイズ(ナノサイズ)、例えば、3nm以下(例えば、0.1〜2.7nm程度)、好ましくは2.5nm以下(例えば、0.2〜2.2nm程度)、さらに好ましくは2nm以下(例えば、0.3〜1.5nm程度)であってもよい。
分子膜(特に自己組織化分子膜)は、前記フルオレン化合物(前記式(1)で表される化合物)で形成されているため、高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を有している。例えば、前記分子膜の屈折率は、例えば、589nmにおいて、1.6〜1.8、好ましくは1.63〜1.78、さらに好ましくは1.65〜1.75、特に1.68〜1.73程度であってもよい。
また、前記分子膜において、前記式(1)で表される化合物のYの種類やその数、さらには置換基Rの種類などを適宜選択することにより、分子膜に高撥水性を付与したり、親水性を付与することもできる。
前記分子膜は、通常、前記式(1)で表される化合物を含む溶液を、基板に塗布することにより製造できる。
前記溶液を構成する溶媒としては、前記式(1)で表される化合物を溶解可能であれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類など)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノールなどのアルカノール類など)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、ケトン類(例えば、アセトン、エチルメチルケトンなどのアルカノン類、シクロヘキサノンなど)、グリコールエーテル類(例えば、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル、乳酸ブチルなどの乳酸エステル、炭酸プロピレンなどの炭酸エステル)などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
前記溶液において、溶液中の前記式(1)で表される化合物の割合は、例えば、10〜80重量%(例えば、15〜70重量%)、好ましくは20〜60重量%(例えば、25〜55重量%)、さらに好ましくは30〜50重量%(例えば、35〜45重量%)程度であってもよい。上記のような濃度で溶液を調製すると、自己組織化膜を効率よく形成できる。そのため、本発明には、基板に分子膜を形成するための塗布液(自己組織化により形成された膜を形成するための溶液)として、上記のような溶液も含まれる。
また、前記のように、自己組織化膜は、その大部分が前記式(1)で表される化合物で形成されている。そのため、前記溶液中における前記式(1)で表される化合物の割合は、固形分全体に対して、例えば、30重量%以上(例えば、35〜100重量%)、好ましくは40重量%以上(例えば、45〜99重量%)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、55〜98重量%)であってもよい。
さらに、前記のように、自己組織化膜を効率よく形成するためには、前記式(1)で表される化合物の単一化合物を多く含む溶液を用いるのが好ましい。そのため、前記溶液中の前記式(1)で表される化合物全体に対する単一化合物の割合は、例えば、85重量%以上(例えば、88〜100重量%)、好ましくは90重量%以上(例えば、92〜99.9重量%)、さらに好ましくは93重量%以上(例えば、94〜99.5重量%)、特に95重量%以上(例えば、96〜99重量%)であってもよい。
上記のような観点から、溶液の調製に用いる前記式(1)で表される化合物の純度(又は単一化合物の濃度)は、例えば、90重量%以上(例えば、93〜100重量%)、好ましくは95重量%以上(例えば、97〜99.99重量%)、さらに好ましくは99重量%以上(例えば、99〜99.9重量%)であってもよい。
基板(基体)としては、例えば、金属(アルミニウムなど)、ガラス、セラミックス(アルミナ、銅ドープアルミナ、タングステンシリケートなど)、プラスチックなどから適当に選択でき、シリコンウェハーなどの半導体基板であってもよい。
なお、基板は、表面処理されていてもよい。表面処理には、例えば、ケイ素含有化合物(シランカップリング剤、シラザン系化合物)などによる表面処理、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂など)又はこれらの下地剤と無機微粒子との混合物によるコーティング処理などが含まれる。
基板の厚みは、例えば、0.01〜10mm、好ましくは0.05〜5mm、さらに好ましくは0.1〜3mm程度であってもよい。
基板への前記溶液の塗布は、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法などにより行うことができる。塗布量は、例えば、分子膜の厚みに応じて適宜選択できる。
塗布後の塗膜には、必要に応じて乾燥処理を施すことができる。乾燥処理としては、塗膜の加熱(例えば、加熱温度40〜170℃、好ましくは60〜150℃程度)などにより行ってもよい
本発明の新規なフルオレン化合物は、高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を有しており、樹脂添加剤、樹脂原料などとして好適に用いることができる。また、本発明のフルオレン化合物は、添加剤分散性にも優れ、各種添加剤を含む成形材料としても好適である。例えば、本発明の新規なフルオレン化合物(又はフルオレン化合物を重合成分とする樹脂)は、カーボンなどの添加剤を効率よく分散させることができる。そのため、樹脂などに適用すると、前記のような優れた特性を有するとともに、高強度又は高硬度を有する成形体(膜やフィルムなどを含む)を効率よく得ることができる。また、本発明の化合物は、従来のフルオレン骨格を有する化合物(ビスフェノールフルオレンなど)に比べて、柔軟性の向上、溶液粘度の低減、炭素密度の向上などを実現でき、各種用途においてさらなる特性の向上が期待できる。例えば、炭素密度の向上により、レジスト用途などに用いると、エッチング耐性の向上などを実現できる。
さらに、本発明の化合物は、単独で膜を形成可能であるので、分子膜(特に、自己組織化分子膜)を形成するための化合物としても有用である。このような分子膜もまた、フルオレン骨格を有する特定の化合物で形成されており、高耐熱性、高屈折率などを特性を有している。このような分子膜は、刺激応答材料、複合材料(ホストゲスト相互作用複合材料など)、レジスト材料、触媒材料(例えば、生体システム類似の触媒作用を示す材料)などに適用可能である。
特に、このような分子膜は、分子レベルの配列により形成されているため、ナノテクノロジーの分野における適用が期待できる。例えば、前記分子膜は、フルオレン骨格を有しているとともに、分子レベルの規則的な配列により形成されているため、優れたRIE(反応性イオンエッチング)耐性とLER(ラインエッジラフネス)の低減とを実現でき、従来のレジスト材料では適用が困難であったEUV(極端紫外光)用レジスト材料として好適である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
300mLの三口フラスコに、フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)0.83g(5.00mmol)およびカリウムブトキシド(ナカライテスク製)1.68g(15.0mmol)を入れ、溶媒としてのジメチルスルホキシド(DMSO)(ナカライテスク製)35.0mLを混合し、50℃で10分撹拌した。撹拌しながら、4−カルボキシルベンジルブロミド(アルドリッチ製)2.58g(12.0mmol)を0.43gずつ6回に分割して10分おきに加えた。その後、50℃で19時間撹拌した。反応後、溶液を氷中に注いでクエンチし、得られた固体にジエチルエーテル(ナカライテスク製)15.0gを加え3回抽出した。硫酸ナトリウム(ナカライテスク製)8.00gで乾燥後、エバポレータにて溶媒を留去したところ、2.72gのサンプルが得られた。
さらに得られたサンプルのH−NMRを測定した結果、目的とする9,9−ビス(4−カルボキシルベンジル)フルオレン(下記式)であることを確認した。
H−NMR(CDCl,δ):3.45ppm(s、4H)、6.70ppm(d、4H)、7.22ppm(d、4H)、7.17−7.66ppm(m、8H)
(実施例2)
4−カルボキシルベンジルブロミドに変えて4−ヒドロキシベンジルブロミドを用いた以外は実施例1と同様に合成した結果、9,9−ビス(4−ヒドロキシベンジル)フルオレン(下記式)が得られた。
(実施例3)
4−カルボキシルベンジルブロミドに変えて4−アミノベンジルブロミドを用いた以外は実施例1と同様に合成した結果、9,9−ビス(4−アミノベンジル)フルオレン(下記式)が得られた。
(実施例4)
実施例1で得られた9,9−ビス(4−カルボキシベンジル)フルオレン(純度約50%)をテトラヒドロフランに溶解し、固形分濃度40重量%の溶液を得た。この溶液を、シリコンウェハーに、回転塗布機を用いて、回転速度1000rpmで20秒間塗布した後、ホットプレート上で100℃、2分間プリべークすると、膜が形成された。なお、乾燥後の膜を取り出してシリコンウェハーを逆さにしたところ、膜が剥離しないことを確認した。
また、得られた膜のDFM(ダイナミック フォース モードの略)でのAFM(原子間力顕微鏡)画像を図1に示す。図1から、膜表面の凹凸が1〜2nm程度の非常に平らな膜(自己組織化膜)を形成できたことがわかる。
さらに、得られた膜の屈折率(589nm)を測定したところ、1.71であり、高い屈折率を示すことがわかった。なお、屈折率は、フィルメトリックス社製、薄膜測定装置F20を用い、波長は589nmにおける屈折率を測定した。
(比較例1)
9,9−ビス(4−カルボキシベンジル)フルオレンに変えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、純度99.3%)を使用した以外は、実施例4と同様にして溶液を調製し、膜の形成を試みたが、自己組織化した膜は形成されなかった。
(比較例2)
9,9−ビス(4−カルボキシベンジル)フルオレンに変えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、純度98.5%)を使用した以外は、実施例4と同様にして溶液を調製し、膜の形成を試みたが、自己組織化した膜は形成されなかった。
(比較例3)
9,9−ビス(4−カルボキシベンジル)フルオレンに変えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、純度99.3%)を使用した以外は、実施例4と同様にして溶液を調製し、膜の形成を試みたが、自己組織化した膜は形成されなかった。
(比較例4)
9,9−ビス(4−カルボキシベンジル)フルオレンに変えて、9,9−ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、純度99.3%)を使用した以外は、実施例4と同様にして溶液を調製し、膜の形成を試みたが、自己組織化した膜は形成されなかった。
図1は実施例4で得られた膜のDFM(ダイナミック フォース モードの略)でのAFM(原子間力顕微鏡)画像である。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される化合物。
    (式中、Xはアルキリデン基又はアルキレン基を示し、Yはカルボキシル基を示し、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Rは、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を示し、Rは炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数を示し、k、m又はnがそれぞれ、2以上であるとき、R、R又はYは、それぞれ、同一の又は異なる基であってもよい。)
  2. Xがメチレン基である請求項1記載の化合物。
  3. Zがベンゼン環又はナフタレン環であり、kが0又は1であり、mが0又は1であり、nが1〜3である請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 式(1)で表される化合物が、9,9−ビス(カルボキシベンジル)フルオレンである請求項1記載の化合物。
  5. 自己組織化により分子膜を形成可能である請求項1記載の化合物。
  6. 塩基触媒の存在下、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを反応させることにより、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を製造する方法。
    (式中、Rはハロゲン原子を示し、Yは、Y又はYを生成可能な基を示し、X、Y、Z、R、R、k、m、nは前記と同じ。)
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