JP5307487B2 - セラミックヒータ、グロープラグ、及び、内燃機関 - Google Patents
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Description
「絶縁基体」の「絶縁体胴部」の形態としては、例えば、円柱状、楕円柱状、長円柱状、四角柱などの多角柱状などが挙げられる。
「発熱抵抗体」の「リード部」は、例えば、導電性セラミックからなるものでもよいし、或いは、タングステン線などの金属材料からなるものでもよい。
「発熱部」の延伸方向に直交する横断面の形状としては、例えば、円状、半円状、楕円状、長円状、矩形状、台形状、多角形状などが挙げられる。
発熱抵抗体の発熱部が軸線方向先端側に凸となるU字状に曲げ返された形態を有するため、第1平面、第2平面及び第3面を上記形態とすることで、発熱部から第1平面、第2平面及び第3面までの距離をそれぞれ特に小さくできるからである。
なお、「発熱抵抗体」は、その全体が導電セラミックからなるものであればよく、その全体が同一組成の導電性セラミックからなるものでもよい。或いは、発熱抵抗体は、発熱部とリード部とで導電性セラミックの組成を変えるなど、複数種の導電性セラミックからなるものでもよい。
例えば、グロープラグの外周に設けるネジ部(雄ネジ部)、及び、シリンダヘッドの取付穴の内周に設けるネジ部(雌ネジ部)の位相を、それぞれ所定の位相に形成しておき、グロープラグをシリンダヘッドに固定したときに、グロープラグの周方向の位置が常に所定位置に配置されるようにすればよい。
また、グロープラグ及びシリンダヘッドの取付穴にネジ部を形成しないでおき、グロープラグの主体金具等に突起を形成するなど、軸線の周方向について方向性を有する形態とする。一方、これに合わせてシリンダヘッドの取付穴にキー溝を形成するなど、周方向について方向性を有する形態とし、グロープラグをシリンダヘッドの取付穴に挿入したときに、グロープラグの周方向の位置が常に所定位置に配置されるようにしてもよい。この場合、別途固定部材を用意して、これによりグロープラグをシリンダヘッドに固定するとよい。
そこで、本発明の内燃機関では、仮想垂線が仮想基準平面と直交する姿勢に、軸線の周方向の位置を定めた状態で、グロープラグをシリンダヘッドに保持されている。このようにグロープラグを配置することで、燃焼噴射口から噴射されて絶縁体先端部へ向かう燃料が、絶縁体先端部の扁平な面(前述の第1平面、第2平面など)に当たり易くなる。これにより、燃料の着火性を向上させることができ、内燃機関の始動性を向上させることができる。
そこで、本発明の内燃機関では、燃料粒子を含む気流の向きが、仮想基準平面と直交する仮想直交面に沿う姿勢に、軸線の周方向の位置を定めた状態で、グロープラグをシリンダヘッドに保持させている。このようにグロープラグを配置することで、着火時の燃料粒子を含む気流が、絶縁体先端部の扁平な面(前述の第1平面、第2平面など)に当たり易くなる。これにより、燃料の着火性を向上させることができ、内燃機関の始動性を向上させることができる。
絶縁体先端部103sは、最先端に位置する絶縁体第1先端部103saと、この絶縁体第1先端部103saと絶縁体胴部103cとの間に位置する絶縁体第2先端部103sbとからなる。
この絶縁体第1先端部103saの、仮想基準平面HHに直交する方向HAの寸法(第1平面103se1と第2平面103se2との間の寸法)を、絶縁体先端部厚みZ3(mm)とすると、本実施形態では、Z3=1.35(mm)である(図10参照)。絶縁体先端部103sの扁平率を、絶縁体先端部厚みZ3(mm)と絶縁体胴部103cの直径Dから、α=Z3/Dと定義したとき、この絶縁体先端部103sは、α=0.41を満たす扁平形状とされている。
このうち棒状部105rc1,105rc2は、軸線AX方向に延びる直棒状をなし、軸線AX方向に直交する各横断面の形態(図8参照)が軸線AX方向に一様な形態(具体的には半円柱状)を有する。この棒状部105rc1,105rc2は、後述する連結部105re1,105re2を介して発熱部105hの端部105hk1,105hk2にぞれぞれ繋がる一方、絶縁基体103の絶縁体基端部103kまで延設されている。
このうち主体金具本体121は、軸線AX方向に基端部121kから先端部121sまで延びる筒状をなしている。主体金具本体121の基端部121kには、このグロープラグ100をディーゼルエンジンに取り付けるに際して、トルクレンチ等の工具を係合させるための六角断面形状の工具係合部121eが形成されている。また、主体金具本体121のうち、工具係合部121eよりも先端側の外周には、取付用のねじ部(雄ネジ部)121fが形成されている。このネジ部121fは、後述するディーゼルエンジン200のシリンダヘッド211の貫通孔219cに形成されたネジ部(雌ネジ部)219gの位相を考慮して、所定の位相に形成されている(図21参照)。
一方、金属端子軸125の先端部125sは、筒状の接続リング135に挿入されて、これに溶接されている。また、この接続リング135には、他方でセラミックヒータ101の基端部101kが圧入され、基端部101kに設けられた一方の電極部105rd1(図1では不図示)が、接続リング135に電気的に接続されている。これにより、セラミックヒータ101の一方の電極部105rd1と、金属端子軸125とが電気的に接続されている。なお、セラミックヒータ101のもう一方の電極部105rd2(図1では不図示)は、セラミックヒータ101を保持するヒータ保持部材123、従って、主体金具120に電気的に接続されている。
特に本実施形態では、絶縁体先端部103sの形態を、その扁平率をα=Z3/Dとしたとき、α≦0.61を満たす(具体的には、α=0.41)扁平形状としている。このような形態とすることで、発熱部105hの通電耐久性を特に向上させることができる。また、発熱抵抗体105の消費電力を特に効果的に抑制できる。
一方、発熱抵抗体105の全体を導電性セラミックにより形成すると、リード部105r1,105r2にタングステン線等を用いる場合に比して、リード部105r1,105r2の抵抗が大きくなりがちになる。これに対し本実施形態では、リード部厚みZ1を発熱部厚みZ2よりも大きくするだけでなく、更にリード部厚みZ1を絶縁体先端部厚みZ3よりも大きくして、Z1>Z3>Z2を満たす形態としている。従って、リード部105r1,105r2を導電性セラミックで形成しながらも、その抵抗を十分に小さくできる。
まず、絶縁性セラミック粉末、バインダ等を含有するセラミック粒子を、金型でプレス成型して、焼成後に絶縁基体103の一部となる第1未焼成絶縁基体151を形成する(図11及び図12参照)。
これにより、焼成後に発熱抵抗体105の一部となる第1未焼成発熱抵抗体161を形成する。この第1未焼成発熱抵抗体161は、焼成後に発熱部105hの全体となる未焼成発熱部161hと、焼成後にリード部105r1,105r2の一部となる第1未焼成リード部161rとからなる。
次に、焼成後のセラミックヒータ101に研磨加工等の加工を施し、絶縁体先端部103sを前述した扁平形状として、図2等に示したセラミックヒータ101を完成させる。
シリンダヘッド211は、シリンダブロック201に当接する下壁212と、この下壁212に対向する上壁213と、下壁212と上壁213との間を結ぶ側壁214とを有する。また、シリンダヘッド211は、内部を冷却水が流通する冷却水通路216が、下壁212と上壁213と側壁214とに囲まれて構成されている。
次いで、本発明の効果を検証するために行った試験の結果について説明する。実施例1,2として、表1に示すように、絶縁体先端部103sの厚みZ3を変更することで扁平率αを変更した2種類のセラミックヒータ101を用意した。具体的には、実施例1として、上記実施形態のセラミックヒータ101を用意した。また、実施例2として、絶縁体先端部103sの厚みZ3=2.0(mm)とし、扁平率α=0.61としたセラミックヒータを用意した。なお、実施例1のセラミックヒータ101では、絶縁体先端部103sの仮想基準平面HHに直交する方向の肉厚も仮想基準平面HHに沿う方向の肉厚も、0.5mmとなっている。この肉厚は、絶縁体の酸化消耗を考慮した上の必要最小限の肉厚である。
また、比較例として、表1に示すように、絶縁体先端部を扁平形状としないセラミックヒータ、即ち、円柱状に延び先端が半球状をなす従来形態のセラミックヒータを用意した。
また、各実施例1,2及び比較例のセラミックヒータについて、1200℃飽和時の消費電力を測定した。
更に、各実施例1,2及び比較例のセラミックヒータについて、室温から通電1秒後に1000℃とする場合における、内外温度差(発熱部105hの温度と基体表面の温度との差)のシミュレーションを行った。
また、内外温度差の解析からは、比較例のセラミックヒータの内外温度差よりも、実施例2のセラミックヒータの内外温度差が小さく、更に実施例1のセラミックヒータの内外温度差が小さかった。このことから、絶縁体先端部103sの扁平率をα≦0.61、更にはα≦0.41とすることにより、内外温度差が低下することが判る。即ち、発熱部105の温度が低くなることが判る。
以上の結果から、通電耐久性を向上させると共に、消費電力を抑制するためには、絶縁体先端部103sの形態を、α≦0.61、更にはα≦0.41を満たす扁平形状とするのが良い。
例えば、上記実施形態では、絶縁体先端部103sに、発熱部105hの他、リード部105r1,105r2の先端側の一部も埋設した形態のセラミックヒータ101を例示した。しかし、絶縁体先端部103sには、発熱部105hのみを埋設し、絶縁体胴部103cに、リード部105r1,105r2の全体を埋設する形態のセラミックヒータとすることもできる。
しかし、グロープラグ100の周方向の位置を決める手法はこれに限らない。例えば、グロープラグ100及びシリンダヘッド211の貫通孔219cにネジ部を形成しないでおき、グロープラグ100の主体金具120等に突起を形成するなど、軸線AXの周方向について方向性を有する形態とする。一方、これに合わせてシリンダヘッド211の貫通孔219cにキー溝を形成するなど、周方向について方向性を有する形態とし、グロープラグ100をシリンダヘッド211の貫通孔219cに挿入したときに、グロープラグ100の周方向の位置が常に所定位置に配置されるようにしてもよい。この場合、別途固定部材を用意して、これによりグロープラグ100をシリンダヘッド211に固定すると良い。
101 セラミックヒータ
103 絶縁基体
103s 絶縁体先端部
103sa 絶縁体第1先端部
103sb 絶縁体第2先端部
103se1 第1平面
103se2 第2平面
103se3 第3曲面
103c 絶縁体胴部
103k 絶縁体基端部
105 発熱抵抗体
105h 発熱部
105r1,105r2 リード部
105rc1,105rc2 棒状部
105rd1,105rd2 電極部
105re1,105re2 連結部
200 ディーゼルエンジン(内燃機関)
201 シリンダブロック
211 シリンダヘッド
221 燃料噴射装置
223 燃焼噴射口
AX 軸線
D 直径
FM 気流の向き
HH 仮想基準平面
TT 仮想直交面
VS 仮想垂線
Y1,Y2,Y3 軸線方向長さ
Z1 リード部厚み
Z2 発熱部厚み
Z3 絶縁体先端部厚み
Claims (9)
- 絶縁性セラミックからなり、軸線方向に延びる直棒状の絶縁基体であって、
自身の先端部分をなす絶縁体先端部、及び、
この絶縁体先端部から前記軸線方向基端側に延びる柱状の絶縁体胴部、
からなる絶縁基体と、
前記絶縁基体に埋設された発熱抵抗体であって、
前記絶縁体先端部に埋設され、導電性セラミックからなり、通電により発熱する発熱部、及び、
前記絶縁基体に埋設され、前記発熱部から前記軸線方向基端側に延び、前記発熱部に導通するリード部、
を有する発熱抵抗体と、
を備えるセラミックヒータであって、
前記発熱部は、
前記軸線を含む仮想基準平面に沿って前記軸線方向先端側に凸となるU字状に曲げ返された形態を有し、
前記絶縁体先端部は、
その前記仮想基準平面に直交する方向の寸法Z3が、前記絶縁体胴部における前記仮想基準平面に直交する方向の寸法Dよりも小さい扁平形状を有する
セラミックヒータ。 - 請求項1に記載のセラミックヒータであって、
前記絶縁体先端部は、
その扁平率をα=Z3/Dとしたとき、α≦0.61を満たす扁平形状とされてなる
セラミックヒータ。 - 請求項1または請求項2に記載のセラミックヒータであって、
前記絶縁体先端部は、
前記仮想基準平面に平行な第1平面と、
前記仮想基準平面に平行で、前記第1平面との間に前記発熱部を挟む第2平面と、
これら第1平面と第2平面との間を結び、前記発熱部を前記仮想基準平面に沿う方向から囲む第3面と、を含む形態を有する
セラミックヒータ。 - 請求項3に記載のセラミックヒータであって、
前記発熱抵抗体は、その全体が導電性セラミックからなり、
前記発熱部は、U字状の一端から他端に向かって自身が延びる延伸方向に直交する各横断面の形態が互いに同じ形態をなし、
前記リード部は、
前記軸線方向に延びる直棒状をなし、前記軸線方向に直交する各横断面の形態が互いに同じ形態を有する一対の棒状部と、
この棒状部と前記発熱部との間に位置して両者を繋ぐ連結部であって、前記軸線方向の寸法が前記棒状部及び前記発熱部よりも小さい一対の連結部と、を有し、
前記リード部の前記棒状部の、前記仮想基準平面に直交する方向の寸法を、リード部厚みZ1(mm)とし、
前記発熱部の、前記仮想基準平面に直交する方向の寸法を、発熱部厚みZ2(mm)とし、
前記絶縁体先端部の、前記第1平面と前記第2平面との間の寸法を、絶縁体先端部厚みZ3(mm)としたとき、
前記絶縁基体及び前記発熱抵抗体は、Z1>Z3>Z2を満たす形態とされてなる
セラミックヒータ。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のセラミックヒータを備えるグロープラグ。
- 請求項5に記載のグロープラグと燃料噴射装置とをシリンダヘッドに取り付けてなる内燃機関であって、
前記グロープラグは、
前記燃焼噴射装置の燃焼噴射口から前記軸線に下ろした仮想垂線が前記仮想基準平面と角度を持って交わる姿勢に、前記軸線の周方向の位置が定められた状態で、前記シリンダヘッドに保持されてなる
内燃機関。 - 請求項6に記載の内燃機関であって、
前記グロープラグは、
前記仮想垂線が前記仮想基準平面と直交する姿勢に、前記軸線の周方向の位置が定められた状態で、前記シリンダヘッドに保持されてなる
内燃機関。 - 請求項5に記載のグロープラグをシリンダヘッドに取り付けてなる内燃機関であって、
前記グロープラグは、
着火時に前記絶縁体先端部に吹きつけられる、燃料粒子を含む気流の向きが、前記仮想基準平面と角度を持って交わる姿勢に、前記軸線の周方向の位置が定められた状態で、前記シリンダヘッドに保持されてなる
内燃機関。 - 請求項8に記載の内燃機関であって、
前記グロープラグは、
前記気流の向きが、前記仮想基準平面と直交する仮想直交面に沿う姿勢に、前記軸線の周方向の位置が定められた状態で、前記シリンダヘッドに保持されてなる
内燃機関。
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