ところで、発熱抵抗体の低消費電力化を実現するためには、発熱部で集中して発熱するように、発熱部の抵抗を相対的に大きくする一方、この発熱部へ通電するためのリード部の抵抗を小さくするのが好ましい。そこで、この発熱部を細く(断面積を小さく)形成する必要があるが、発熱抵抗体を射出成形する場合には、断面積の小さい発熱部の形成自体が難しくなる。また、発熱部を細い形状にすると、発熱部の強度が低下するため折損しやすくなり、未焼成発熱抵抗体のハンドリング性が悪くなる。また、射出成形用の金型が劣化すると、射出成形体(未焼成発熱抵抗体)のバリ取りに時間とコストが掛かるようになる。また、射出成形用金型を形成するには時間とコストが掛かるので、新たなセラミックヒータの開発の足枷となる場合がある。
一方、発熱抵抗体を印刷形成する方法では、発熱抵抗体を厚く(断面積を大きく)形成するのが難しい。具体的には、発熱抵抗体の厚みは最大でも80μm程度にしかできない。このため、リード部の抵抗が大きくなって、発熱抵抗体の消費電力が大きくなりがちである。発熱抵抗体を複数個積層すれば、全体として発熱抵抗体の低消費電力化を実現できるが、発熱抵抗体の形成するための工数が多くなるなど生産性に劣る。
これに対し、リード部にタングステン線などの金属材料を用いれば、リード部の抵抗を低くでき、低消費電力化を実現できるが、リード部(タングステン線)と絶縁基体との界面で反応が生じるおそれがある。また、タングステン線は、熱膨張係数が発熱部の導電性セラミックよりも大きいため、タングステン線と発熱部との接続部分で強度が低下するおそれがある。一方、リード部だけでなく発熱部もタングステン線により形成することも考えられる。しかし、タングステン線は耐熱性が比較的低いため、セラミックヒータの使用温度によっては、セラミックヒータの耐久性が低下するおそれがある。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、発熱部の抵抗を大きく、また、リード部の抵抗を小さして、発熱部でより集中して発熱させることができると共に、生産性を向上させることができるセラミックヒータ、セラミックヒータの製造方法及びグロープラグの製造方法を提供することを目的とする。
その解決手段は、絶縁性セラミックからなる絶縁基体と、この絶縁基体内に埋設され、導電性セラミックからなり、通電により発熱する発熱部及びこの発熱部に接続するリード部を有する発熱抵抗体と、を備えるセラミックヒータの製造方法であって、第1主面、及び、この第1主面に凹設され、前記発熱抵抗体に対応した開口形状をなす第1抵抗体対応凹部であって、前記リード部に対応した開口形状をなす第1リード対応凹部を少なくとも含む第1抵抗体対応凹部を有し、未焼成絶縁性セラミックからなり、焼成後に前記絶縁基体の一部となる第1未焼成絶縁基体、を形成する第1未焼成基体形成工程と、一又は複数種の第1マスクを用いたスクリーン印刷により、前記第1未焼成絶縁基体に、焼成後に前記発熱抵抗体の一部となる第1未焼成発熱抵抗体を形成する第1印刷工程であって、前記第1未焼成発熱抵抗体のうち、少なくとも、焼成後に前記リード部の一部となる第1未焼成リード部については、前記第1リード対応凹部に対応した第1リード対応孔部を含む第1透孔を有する第1リード対応マスクであって、その厚みが前記第1リード対応凹部の最大深さよりも小さい第1リード対応マスクを、前記第1未焼成絶縁基体の前記第1主面上に載置し、前記第1抵抗体対応凹部内及び前記第1透孔内に第1未焼成導電性セラミックペーストを印刷充填することにより形成する第1印刷工程と、第2主面、及び、この第2主面に凹設され、前記発熱抵抗体に対応した開口形状をなす第2抵抗体対応凹部であって、前記リード部に対応した開口形状をなす第2リード対応凹部を少なくとも含む第2抵抗体対応凹部を有し、未焼成絶縁性セラミックからなり、焼成後に前記絶縁基体の残部となる第2未焼成絶縁基体、を形成する第2未焼成基体形成工程と、一又は複数種の第2マスクを用いたスクリーン印刷により、前記第2未焼成絶縁基体に、焼成後に前記発熱抵抗体の残部となる第2未焼成発熱抵抗体を形成する第2印刷工程であって、前記第2未焼成発熱抵抗体のうち、少なくとも、焼成後に前記リード部の残部となる第2未焼成リード部については、前記第2リード対応凹部に対応した第2リード対応孔部を含む第2透孔を有する第2リード対応マスクであって、その厚みが前記第2リード対応凹部の最大深さよりも小さい第2リード対応マスクを、前記第2未焼成絶縁基体の前記第2主面上に載置し、前記第2抵抗体対応凹部内及び前記第2透孔内に第2未焼成導電性セラミックペーストを印刷充填することにより形成する第2印刷工程と、前記第1印刷工程後の前記第1未焼成絶縁基体の前記第1主面と、前記第2印刷工程後の前記第2未焼成絶縁基体の前記第2主面とを合わせ、前記第1未焼成絶縁基体、前記第2未焼成絶縁基体、前記第1未焼成発熱抵抗体及び前記第2未焼成発熱抵抗体からなり、焼成後に前記セラミックヒータとなる未焼成セラミックヒータを焼成して、前記セラミックヒータを形成する焼成工程と、を備えるセラミックヒータの製造方法である。
本発明では、まず、リード部に対応した開口形状をなす第1リード対応凹部を少なくとも含む、発熱抵抗体に対応した開口形状をなす第1抵抗体対応凹部を有する第1未焼成絶縁基体を形成する(第1未焼成基体形成工程)。そして、一又は複数種の第1マスクを用いたスクリーン印刷により、この第1未焼成絶縁基体に、焼成後に発熱抵抗体の一部となる第1未焼成発熱抵抗体を形成する(第1印刷工程)。
また、リード部に対応した開口形状をなす第2リード対応凹部を少なくとも含む、発熱抵抗体に対応した開口形状をなす第2抵抗体対応凹部を有する第2未焼成絶縁基体を形成する(第2未焼成基体形成工程)。そして、一又は複数種の第2マスクを用いたスクリーン印刷により、この第2未焼成絶縁基体に、焼成後に発熱抵抗体の残部となる第2未焼成発熱抵抗体を形成する(第2印刷工程)。
このような方法では、第1,第2未焼成絶縁基体の第1,第2抵抗体対応凹部の深さ、より具体的には、第1,第2リード対応凹部の深さを適宜変更するだけで、発熱抵抗体のリード部の厚み、更にはリード部の断面積を容易に変更できる。このため、従来の発熱抵抗体を印刷形成する方法に比して、発熱抵抗体のリード部の断面積を容易に大きくできる。従って、リード部にタングステン線などの金属材料を用いなくても、リード部の抵抗を小さくでき、発熱抵抗体の消費電力を小さくできる。
特に本発明では、第1,第2未焼成絶縁基体の両方に未焼成発熱抵抗体を形成しているので、第1,第2抵抗体対応凹部(第1,第2リード対応凹部)の深さをそれぞれ浅めにしても、焼成後のリード部の断面積を容易に大きくできる。一方、未焼成導電性セラミックペーストは、第1,第2抵抗体対応凹部(第1,第2リード対応凹部)の深さが浅いほど確実に充填されやすいので、第1,第2未焼成発熱抵抗体(第1,第2未焼成リード部)の断面積バラツキを小さくできる。従って、リード部の抵抗を小さくすると共に、発熱抵抗体(リード部)の抵抗値バラツキを小さくできる。
また、第1,第2未焼成発熱抵抗体をスクリーン印刷により形成しているので、射出成形する場合に比して、発熱部の断面積を容易に小さくできる。また、第1,第2未焼成発熱抵抗体は第1,第2未焼成絶縁基体に直接、印刷形成しているので、別途、第1,第2未焼成発熱抵抗体のみを形成する従来の射出成形による方法に比して、発熱部の断面積を小さくしても、折損等が生じにくく、取り扱いが容易で、生産性を向上させることができる。
よって、本発明によれば、発熱部の抵抗を大きく、また、リード部の抵抗を小さくして、発熱部でより集中して発熱させることができると共に、生産性を向上させることができる。
更に本発明では、第1未焼成発熱抵抗体のうち、少なくとも第1未焼成リード部については、第1抵抗体対応凹部の第1リード対応凹部の最大深さよりも厚みを小さくした第1リード対応マスクを用いて印刷形成する(第1印刷工程)。このようにすることにより、印刷後に第1リード対応マスクを剥がしたときに、第1未焼成絶縁基体の第1主面から膨出する第1未焼成導電性セラミックペーストの体積が、第1リード対応凹部内に充填される第1未焼成導電性セラミックペーストの体積に比して、小さくなる。第1主面から膨出する第1未焼成導電性セラミックペーストの体積はバラツキやすい傾向にあるので、この体積割合を小さくすれば、第1未焼成リード部を全体で見たときの断面積バラツキも小さくできる。
同様に、第2未焼成発熱抵抗体のうち、少なくとも第2未焼成リード部については、第2抵抗体対応凹部の第2リード対応凹部の最大深さよりも厚みを小さくした第2リード対応マスクを用いて印刷形成する(第2印刷工程)。このようにすることにより、印刷後に第2リード対応マスクを剥がしたときに、第2未焼成絶縁基体の第2主面から膨出する第2未焼成導電性セラミックペーストの体積が、第2リード対応凹部内に充填される第2未焼成導電性セラミックペーストの体積に比して、小さくなる。第2主面から膨出する第2未焼成導電性セラミックペーストの体積はバラツキやすい傾向にあるので、この体積割合を小さくすれば、第2未焼成リード部を全体で見たときの断面積バラツキも小さくできる。
また、第1未焼成絶縁基体の第1主面と第2未焼成絶縁基体の第2主面を合わせて、未焼成セラミックヒータを形成する際に、第1,第2主面から膨出する第1,第2未焼成導電性セラミックペーストの体積を小さくすれば、第1未焼成リード部と第2未焼成リード部が一体化して形成される未焼成リード部の形状バラツキも小さくできる。
仮に第1,第2未焼成リード部の断面積やこれらを一体化した未焼成リード部の形状にバラツキが生じると、焼成後のリード部の抵抗値にもバラツキが生じるおそれがある。しかし、本発明では、第1,第2未焼成リード部の断面積を安定化できると共に、これらを一体化した未焼成リード部の形状も安定化できるので、焼成後のリード部の抵抗値バラツキも抑制できる。従って、発熱抵抗体の抵抗値バラツキが少ないセラミックヒータを容易に製造できる。
なお、「セラミックヒータ」としては、例えば、ガスセンサのセンサ部を加熱するためにガスセンサに用いられるセラミックヒータや、グロープラグに用いられるセラミックヒータなどがある。
「セラミックヒータ」及び「絶縁基体」の形態は、上記の要件を満たす限りにおいて特に限定されず、例えば、これらの形態として、軸線方向に延びる棒状や、板状などの形態が挙げられる。
第1未焼成絶縁基体に形成する「第1抵抗体対応凹部」は、上記のようにリード部に対応した開口形状をなす「第1リード対応凹部」を少なくとも含むものであればよい。「第1抵抗体対応凹部」の形態としては、例えば、「第1抵抗体対応凹部」が「第1リード対応部」のみからなる形態の他、「第1抵抗体対応凹部」が、「第1リード対応部」と、発熱部に対応した開口形状をなす発熱部対応部とからなる形態、つまり、「第1抵抗体対応凹部」が発熱抵抗体の全体に対応した開口形状をなす形態が挙げられる。
「第1印刷工程」では、一又は複数種の第1マスクを用いたスクリーン印刷により、第1未焼成絶縁基体に第1未焼成発熱抵抗体を形成する。複数種の第1マスクを用いる場合としては、例えば、発熱抵抗体のリード部に対応した第1−1透孔、つまり、前記の第1リード対応孔部からなる第1−1透孔を有する第1リード対応マスクと、発熱抵抗体の発熱部に対応した第1−2透孔を有する第1発熱部対応マスクとを用意する。そして、第1リード対応マスクを用いて、前述のようにして、焼成後にリード部の一部となる第1未焼成リード部を形成すると共に、第1発熱部対応マスクを用いて、焼成後に発熱部の一部又は全体となる第1未焼成発熱部を形成することにより、第1未焼成発熱抵抗体を形成する。また、第1マスクとしては、例えば、メタルマスクやメッシュマスクが挙げられる。
また、スクリーン印刷を複数回に分けて行う場合には、組成や物性の異なる第1未焼成導電性セラミックペーストを用いることができる。例えば、焼成後に高抵抗となる第1未焼成導電性セラミックペーストと、焼成後に低抵抗となる第1未焼成導電性セラミックペーストを用意する。そして、上記の第1リード対応マスクと焼成後に低抵抗となる第1未焼成導電性セラミックペーストを用いて、焼成後に低抵抗となる未焼成リード部を印刷形成する一方、上記の第1発熱部対応マスクと焼成後に高抵抗となる第1未焼成導電性セラミックペーストを用いて、焼成後に高抵抗となる未焼成発熱部を印刷形成する。このようにすれば、発熱部やリード部の形状を変更することなく、発熱部の抵抗分担率(発熱抵抗体全体の抵抗値に対する発熱部の抵抗値の割合)を容易に大きくできる。
なお、「第2印刷工程」ついても、「第1印刷工程」と同様に考えることができる。
更に、上記のセラミックヒータの製造方法であって、前記第1リード対応マスクの前記第1透孔は、この第1リード対応マスクを前記第1未焼成絶縁基体の前記第1主面上に重ね、この第1透孔の前記第1リード対応孔部を前記第1抵抗体対応凹部の前記第1リード対応凹部上に重ねたときに、前記第1リード対応孔部に沿って、かつ、前記第1リード対応孔部よりも内側に、前記第1リード対応凹部の開口縁全体が露出する形態とされてなり、前記第2リード対応マスクの前記第2透孔は、この第2リード対応マスクを前記第2未焼成絶縁基体の前記第2主面上に重ね、この第2透孔の前記第2リード対応孔部を前記第2抵抗体対応凹部の前記第2リード対応凹部上に重ねたときに、前記第2リード対応孔部に沿って、かつ、前記第2リード対応孔部よりも内側に、前記第2リード対応凹部の開口縁全体が露出する形態とされてなるセラミックヒータの製造方法とすると良い。
第1印刷工程において、第1リード対応マスクを第1未焼成絶縁基体の第1主面上に載置する際、位置合わせを行っても、第1透孔の第1リード対応孔部が第1抵抗体対応凹部の第1リード対応凹部から若干ズレてしまう場合があり得る。このようなズレが生じると、第1未焼成導電性セラミックペーストが第1リード対応凹部内に完全に充填されない(一部に空洞ができる)おそれがある。そうすると、第1未焼成リード部の断面積にバラツキが生じ、焼成後のリード部の抵抗値にもバラツキが生じることになる。第2印刷工程で形成する第2未焼成リード部についても同様である。
これに対し本発明では、第1リード対応マスクの第1透孔は、その第1リード対応孔部に沿って、かつ、第1リード対応孔部よりも内側に、第1抵抗体対応凹部のうちの第1リード対応凹部の開口縁全体が露出する形態とされている。このため、第1印刷工程において、第1リード対応マスクを第1未焼成絶縁基体の第1主面上に載置したときに、第1透孔の第1リード対応孔部が第1抵抗体対応凹部の第1リード対応凹部から若干ズレたとしても、第1未焼成導電性セラミックペーストを第1リード対応凹部内に確実に充填できる。従って、第1未焼成リード部の断面積バラツキを抑制でき、焼成後のリード部の抵抗値バラツキを抑制できる。
同様に、第2リード対応マスクの第2透孔は、その第2リード対応孔部に沿って、かつ、第2リード対応孔部よりも内側に、第2抵抗体対応凹部のうちの第2リード対応凹部の開口縁全体が露出する形態とされている。このため、第2印刷工程において、第2リード対応マスクを第2未焼成絶縁基体の第2主面上に載置したときに、第2透孔の第2リード対応孔部が第2抵抗体対応凹部の第2リード対応凹部から若干ズレたとしても、第2未焼成導電性セラミックペーストを第2リード対応凹部内に確実に充填できる。従って、第2未焼成リード部の断面積バラツキを抑制でき、焼成後のリード部の抵抗値バラツキを抑制できる。
なお、第1透孔の第1リード対応孔部の大きさは、上記要件の範囲で適宜変更できるが、例えば、第1リード対応凹部の開口縁よりも幅20μm〜500μm程度大きくすることができる。また、第2透孔の第2リード対応部の大きさも、上記要件の範囲で適宜変更できるが、例えば、第2リード対応凹部の開口縁よりも幅20μm〜500μm程度大きくすることができる。
更に、上記のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法であって、前記第1印刷工程では、焼成後に前記発熱部の全体となる未焼成発熱部と、前記第1未焼成リード部とからなる前記第1未焼成発熱抵抗体を形成し、前記第2印刷工程では、前記第2未焼成リード部のみからなる前記第2未焼成発熱抵抗体を形成するセラミックヒータの製造方法とすると良い。
前述したように、リード部は抵抗を小さくするために断面積を大きくしたい一方、発熱部は抵抗を大きくするために断面積を小さくしたい。本発明では、第1印刷工程において、リード部の一部となる第1未焼成リード部を形成すると共に、第2印刷工程において、リード部の残部となる第2未焼成リード部を形成しているので、つまり、第1,第2印刷工程の両方で未焼成リード部を形成しているので、断面積の大きなリード部を容易に形成できる。一方、焼成後に発熱部となる未焼成発熱部は、第1印刷工程のみで形成し、第2印刷工程では形成しないので、断面積の小さな発熱部を容易に形成できる。従って、リード部の抵抗を小さくする一方で、発熱部の抵抗を大きくしたセラミックヒータを容易に製造できる。
更に、上記のセラミックヒータの製造方法であって、前記第1未焼成基体形成工程では、前記第1リード対応凹部のみからなる前記第1抵抗体対応凹部を有する前記第1未焼成絶縁基体を形成し、前記第1印刷工程では、前記未焼成発熱部を前記未焼成絶縁基体の前記第1主面上に形成するセラミックヒータの製造方法とするのが好ましい。
未焼成発熱部を、第1抵抗体対応凹部ではなく、第1主面上に形成することにより、未焼成発熱部の厚み、従って断面積を特に小さくでき、焼成後の発熱部の断面積を特に小さくできるからである。
また、他の解決手段は、絶縁性セラミックからなる絶縁基体と、この絶縁基体内に埋設され、導電性セラミックからなり、通電により発熱する発熱部及びこの発熱部に接続するリード部を有する発熱抵抗体と、を備えるセラミックヒータの製造方法であって、主面、及び、この主面に凹設され、前記発熱抵抗体に対応した開口形状をなす抵抗体対応凹部であって、前記リード部に対応した開口形状をなすリード対応凹部を少なくとも含む抵抗体対応凹部を有し、未焼成絶縁性セラミックからなり、焼成後に前記絶縁基体の一部となる未焼成絶縁基体、を形成する未焼成基体形成工程と、一又は複数種のマスクを用いたスクリーン印刷により、前記未焼成絶縁基体に、焼成後に前記発熱抵抗体の全体となる未焼成発熱抵抗体を形成する印刷工程であって、前記未焼成発熱抵抗体のうち、少なくとも、焼成後に前記リード部となる未焼成リード部については、前記リード対応凹部に対応したリード対応孔部を含む透孔を有するリード対応マスクであって、その厚みが前記リード対応凹部の最大深さよりも小さいリード対応マスクを、前記未焼成絶縁基体の前記主面上に載置し、前記抵抗体対応凹部内及び前記透孔内に未焼成導電性セラミックペーストを印刷充填することにより形成する印刷工程と、前記印刷工程後の前記未焼成絶縁基体及び前記未焼成発熱抵抗体を用いて、焼成後に前記セラミックヒータとなる未焼成セラミックヒータを形成し、これを焼成して、前記セラミックヒータを形成する焼成工程と、を備えるセラミックヒータの製造方法である。
本発明では、まず、リード部に対応した開口形状をなすリード対応凹部を少なくとも含む、発熱抵抗体に対応した開口形状をなす抵抗体対応凹部を有する未焼成絶縁基体を形成する(未焼成基体形成工程)。そして、一又は複数種のマスクを用いたスクリーン印刷により、この未焼成絶縁基体に、焼成後に発熱抵抗体の全体となる未焼成発熱抵抗体を形成する(印刷工程)。
このような方法では、未焼成絶縁基体の抵抗体対応凹部の深さ、より具体的には、リード対応凹部の深さを適宜変更するだけで、発熱抵抗体のリード部の厚み、更にはリード部の断面積を容易に変更できる。このため、従来の発熱抵抗体を印刷形成する方法に比して、発熱抵抗体のリード部の断面積を容易に大きくできる。従って、リード部にタングステン線などの金属材料を用いなくても、リード部の抵抗を小さくでき、発熱抵抗体の消費電力を小さくできる。
また、未焼成発熱抵抗体を印刷により形成しているので、発熱部の断面積を容易に小さくできる。また、未焼成発熱抵抗体は未焼成絶縁基体に印刷形成しているので、別途、未焼成発熱抵抗体のみを形成する従来の射出成形による方法に比して、発熱部の断面積を小さくしても、折損等が生じにくく、取り扱いが容易で、生産性を向上させることができる。
よって、発熱部の抵抗を大きく、また、リード部の抵抗を小さくできると共に、生産性を向上させることができる。
更に本発明では、未焼成発熱抵抗体のうち、少なくとも未焼成リード部については、抵抗体対応凹部のリード対応凹部の最大深さよりも厚みを小さくしたリード対応マスクを用いて印刷形成する(印刷工程)。このようにすることにより、印刷後にリード対応マスクを剥がしたときに、未焼成絶縁基体の主面から膨出する未焼成導電性セラミックペーストの体積が、リード対応凹部内に充填される未焼成導電性セラミックペーストの体積に比して、小さくなる。主面から膨出する未焼成導電性セラミックペーストの体積はバラツキやすい傾向にあるので、この体積割合を小さくすれば、未焼成リード部を全体で見たときの断面積バラツキも小さくできる。
仮に未焼成リード部の断面積にバラツキが生じると、焼成後のリード部の抵抗値にもバラツキが生じるおそれがある。しかし、本発明では、未焼成リード部の断面積を安定化できるので、焼成後のリード部の抵抗値バラツキも抑制できる。従って、発熱抵抗体の抵抗値バラツキが少ないセラミックヒータを容易に製造できる。
なお、本発明における「未焼成セラミックヒータ」の形成方法は、上記の要件を満たす限りにおいて特に限定されない。例えば、印刷工程後の未焼成絶縁基体の主面上に、セラミック粉末、バインダ等を含有するコンパウンドを載せて、プレス加工等を行うことにより、絶縁基体の残部に相当する未焼成体を形成して、未焼成セラミックヒータを形成する方法がある。また、絶縁基体の残部に相当する未焼成体を別途形成しておいて、これを印刷工程後の未焼成絶縁基体の主面に合わせて一体化することにより、未焼成セラミックヒータを形成する方法もある。
上記のセラミックヒータの製造方法であって、前記リード対応マスクの前記透孔は、このリード対応マスクを前記未焼成絶縁基体の前記主面上に重ね、この透孔の前記リード対応孔部を前記抵抗体対応凹部の前記リード対応凹部上に重ねたときに、前記リード対応孔部に沿って、かつ、前記リード対応孔部よりも内側に、前記リード対応凹部の開口縁全体が露出する形態とされてなるセラミックヒータの製造方法とすると良い。
本発明では、リード対応マスクの透孔は、そのリード対応孔部に沿って、かつ、リード対応孔部よりも内側に、抵抗体対応凹部のうちのリード対応凹部の開口縁全体が露出する形態とされている。このため、印刷工程において、リード対応マスクを未焼成絶縁基体の主面上に載置したときに、透孔のリード対応孔部が抵抗体対応凹部のリード対応凹部から若干ズレたとしても、未焼成導電性セラミックペーストをリード対応凹部内に確実に充填できる。従って、未焼成リード部の断面積バラツキを抑制でき、焼成後の発熱抵抗体の抵抗値バラツキを抑制できる。
更に、上記のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法であって、前記セラミックヒータは、グロープラグに用いられるグロープラグ用ヒータであり、軸線方向に延びる棒状をなし、通電して発熱させたときに、このセラミックヒータの軸線方向先端から2mm以内の部位が最高温度となる形態とされてなるセラミックヒータの製造方法とすると良い。
グロープラグ用ヒータは、エンジンの始動を補助するために燃焼室内等に配置される先端側部分が加熱される形態とされる。そして、本発明では、セラミックヒータのうち、軸線方向先端から2mm以内の部位が、最高温度に加熱される形態とされている。このような形態とすれば、エンジンの始動補助に必ずしも必要とされない部分を加熱しなくて済むので、エンジンの始動性を十分に確保しつつ、消費電力を低くできる。また、一般にセラミックヒータの先端を加熱した方がエンジンの始動性が向上するので、上記のように最先端部分が最高温度となる形態とすることで、エンジンの始動性を向上させることができる。
なお、上記のセラミックヒータの製造方法であって、前記セラミックヒータは、通電して発熱させたときに、このセラミックヒータの前記軸線方向の先端面近傍が最高温度となる形態とされてなるのが、特に好適である。
更に、上記のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法であって、前記セラミックヒータは、グロープラグに用いられるグロープラグ用ヒータであり、軸線方向に延びる棒状をなし、このセラミックヒータの前記軸線に直交する方向の最大幅をR(mm)としたとき、前記発熱抵抗体の前記発熱部の全体が、このセラミックヒータの軸線方向先端からR(mm)以内の部位に埋設されてなるセラミックヒータの製造方法とすると良い。
グロープラグ用ヒータは、エンジンの始動を補助するために燃焼室内等に配置される先端側部分が加熱される形態とされる。そして、本発明では、このセラミックヒータの軸線に直交する方向の最大幅をR(mm)としたとき、セラミックヒータのうち、軸線方向先端部の先端からR(mm)以内の部位に、発熱抵抗体の発熱部の全体が埋設されている。このような形態とすれば、エンジンの始動補助に必ずしも必要とされない部分を加熱しなくて済むので、エンジンの始動性を十分に確保しつつ、消費電力を低くできる。また、一般にセラミックヒータの先端を加熱した方がエンジンの始動性が向上するので、上記のように発熱部を最先端に配置することで、エンジンの始動性を向上させることができる。
なお、上記のセラミックヒータの製造方法であって、前記セラミックヒータは、通電して発熱させたときに、このセラミックヒータの前記軸線方向の先端面近傍が最高温度となる形態とされてなるのが、特に好適である。
また、他の解決手段は、絶縁性セラミックからなる絶縁基体と、この絶縁基体内に埋設され、導電性セラミックからなり、通電により発熱する発熱部及びこの発熱部に接続するリード部を有する発熱抵抗体と、を備えるグロープラグ用のセラミックヒータ、を備えるグロープラグの製造方法であって、上記のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法により、前記セラミックヒータを製造するヒータ製造工程と、前記セラミックヒータを用いて、前記グロープラグを組み立てるプラグ組立工程と、を備えるグロープラグの製造方法である。
ヒータ製造工程においては、前述したように、発熱部の抵抗を大きく、リード部の抵抗を小さくできると共に、セラミックヒータの生産性を向上させることもできる。従って、このセラミックヒータを用いてグロープラグを組み立てれば、発熱部の抵抗が大きく、リード部の抵抗を小さいグロープラグを製造できる。また、グロープラグの生産性を向上させることができる。
また、他の解決手段は、絶縁性セラミックからなる絶縁基体と、この絶縁基体内に埋設され、導電性セラミックからなり、通電により発熱する発熱部及びこの発熱部に接続するリード部を有する発熱抵抗体と、を備え、軸線方向に延びる棒状をなすセラミックヒータであって、前記リード部は、焼成後に前記リード部の一部となる第1未焼成リード部と、焼成後に前記リード部の残部となる第2未焼成リード部とを合わせて焼成したものであり、前記セラミックヒータを前記軸線に直交する横断面で見たときに、前記第1未焼成リード部と前記第2未焼成リード部とを合わせた境界に沿って、径方向外側に突条状に膨出する外側膨出部と、前記境界に沿って径方向内側に突条状に膨出する内側膨出部とを有する形態とされてなるセラミックヒータである。
本発明のセラミックヒータは、そのリード部が、上記の外側膨出部と内側膨出部を有する。このため、このリード部は、外側膨出部及び内側膨出部の分だけ断面積が大きくなるので、抵抗値が小さくなる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係るセラミックヒータ101を用いたグロープラグ100を示す。また、図2及び図3に、セラミックヒータ101の全体を示す。図4にセラミックヒータ101の横断面を示す。更に、図5及び図6に、セラミックヒータ101の先端部101s近傍を示す。
本実施形態に係るグロープラグ100は、図1に示すように、その軸線AX方向先端側(図1中、下方)に、通電より発熱するセラミックヒータ101を有する。このセラミックヒータ101は、図2〜図4に示すように、軸線AX方向に基端部101k(図2及び図3中、上方)から先端部101s(図2及び図3中、下方)まで延びる円柱状をなす。セラミックヒータ101の全長(軸線AX方向長さ)は42mm、外径は3.3mmである。このセラミックヒータ101は、円柱状をなす絶縁基体103の中に、通電によって発熱する発熱抵抗体105が埋設されたものである。
このうち絶縁基体103は、絶縁性セラミック(具体的には 窒化珪素質セラミック)からなる。この絶縁基体103は、セラミックヒータ101の基端部101kに対応した基端部103kから、セラミックヒータ101の先端部101sに対応した先端部103sまで、軸線AX方向に延びる円柱状をなす。先端部103sは、最先端に位置して半径r(mm)の半球状をなす半球状部103saと、この半球状部103saの基端側に位置し、直径R=2r(mm)、軸線AX方向長さB=r(mm)の円柱状をなす円柱状部103sbとからなる(図5及び図6も参照)。従って、先端部103s全体の軸線AX方向長さC=2rである。具体的には、本実施形態1では、半径r=1.65(mm)、直径R=2r=3.3(mm)、軸線AX方向長さB=r=1.65mm(mm)、軸線AX方向長さC=2r=3.3(mm)である。なお、この絶縁基体103(セラミックヒータ101)は、軸線AX方向に延びる円柱状であるため、軸線AXに直交する方向の最大幅が直径Rである。
絶縁基体103に埋設された発熱抵抗体105は、発熱部105hと、これに繋がる一対のリード部105r1,105r2とから一体的に構成されている。この発熱抵抗体105は、導電性セラミック(具体的には 炭化タングステン)から形成されている。この発熱抵抗体105の全体の抵抗値は350mΩである。また、発熱抵抗体105のうち発熱部105hの抵抗値は125mΩ、リード部105r1,105r2全体の抵抗値は225mΩである。従って、発熱部105hの抵抗分担率は約36%である。
このうち発熱部105hは、U字状をなし、その凸部105hsを先端側に向け、両端部105hk1,105hk2を基端側に向けた状態で、絶縁基体103内に配置されている。具体的には、発熱部105hは、その全体がセラミックヒータ101の軸線AX方向先端から2r=R(mm)以内の先端部101s(絶縁基体103の先端部103s)内に配置されている。この発熱部105hの断面積(自身の延伸方向に直交する断面積)は約0.15mm2 である。
このように発熱部105hを配設することにより、このセラミックヒータ101は、通電により加熱すると、先端部101s(絶縁基体103の先端部103s)が最高温度となる温度分布を示す。更に詳細には、先端部103sのうちの半球状部103saの半球面130san近傍が最高温度となる温度分布を示す。このため、ディーゼルエンジンの始動補助に必ずしも必要とされない部分を加熱しなくて済むので、エンジンの始動性を十分に確保しつつ、消費電力を低くできる。また、一般にセラミックヒータ101の先端を加熱した方がエンジンの始動性が向上するので、セラミックヒータ101の先端部101s(絶縁基体103の先端部103s)が最高温度となる形態とすることで、エンジンの始動性を向上させることができる。
発熱部105hに繋がる一対のリード部105r1,105r2は、それぞれ、軸線AX方向に延びる概略半円柱状をなす棒状部105rc1,105rc2と、この棒状部105rc1,105rc2の所定位置から外周に延出して、外部との電気的接続に利用される電極部105rd1,105rd2とから一体的に構成されている。
棒状部105rc1,105rc2の先端(図2中、下端)は、発熱部105hの両端部105hk1,105hk2にぞれぞれ繋がる一方、基端(図2中、上端)は、絶縁基体103の基端部103k内まで延設されている。各々の棒状部105rc1,105rc2の軸線AXに直交する横断面の断面積(自身の延伸方向に直交する断面積)は、それぞれ約1.5mm2 である。
また、このリード部105r1,105r2は、このセラミックヒータ101を軸線AXに直交する横断面で見たときに(図4参照)、径方向外側に膨出する外側膨出部105r1a,105r2aと、径方向内側に膨出する内側膨出部105r1b,105r2bとをそれぞれ有する形態とされている。従って、このリード部105r1,105r2は、外側膨出部105r1a,105r2a及び内側膨出部105r1b,105r2bの分だけ断面積が大きくなっており、抵抗が小さくなっている。
電極部105rd1,105rd2は、概略直方体形状をなしている。このうち一方の電極部105rd1は、絶縁基体103の基端部103kに配置され、一方の棒状部105rc1に接続すると共に、セラミックヒータ101の外部に露出している。また、他方の電極部105rd2は、絶縁基体103の基端部103kよりもやや先端側の所定位置に配置され、もう一方の棒状部105rc2に接続すると共に、セラミックヒータ101の外部に露出している。
ここで、このセラミックヒータ101の最高温度を1200℃に維持したときの温度分布について説明する。図7に、このセラミックヒータ101の先端からの距離とその部分での発熱温度との関係を示す。また、比較形態として、発熱部105h全体が先端部101sに埋設されていない、つまり、発熱部105hの一部が先端部101sに埋設され、残りが先端部101sよりも基端側に埋設されたセラミックヒータも用意した。そして、この比較形態のセラミックヒータについても、先端からの距離とその部分での発熱温度との関係を調べ、図7に示した。
なお、発熱温度は、放射温度計により測定した。セラミックヒータ101の先端部101sはR形状であるため、先端から距離r(R/2)の範囲は、放射温度計による測定の都合上、実際の温度とは異なる。
図7のグラフから明らかなように、本実施形態1のセラミックヒータ101は、先端から1mm以内の部位で最高温度(1200℃)となる。また、この部位から遠ざかるにつれて、発熱温度が急激に低下する。つまり、本実施形態1のセラミックヒータ101は、エンジンの始動補助に有用な先端近傍のみが集中的に加熱されている。逆に言えば、エンジンの始動補助に有用ではない部分までも加熱しなくて済むので、エンジンの始動性を十分に確保しつつ、消費電力を小さくできる。また、先端近傍が最高温度となるため、着火性が良好となり、エンジンの始動性を向上させることができる。
これに対し、比較形態のセラミックヒータでは、先端から約3mmも離れた部位で最高温度(1200℃)に発熱している。また、本実施形態1のセラミックヒータ101に比べ、広い範囲にわたって高温とされている。つまり、比較形態のセラミックヒータは、同じ最高温度(1200℃)とするのに、本実施形態1のセラミックヒータ101に比して、ヒータを全体的に加熱する必要がある。このため、消費電力が大きくなりがちである。また、最高温度となる位置が、本実施形態1のものよりも先端から大きく基端側にズレているので、本実施形態1に比べると、着火させにくく、エンジンの始動性が悪くなりがちである。
次に、グロープラグ100のその他の部分について説明する(図1参照)。グロープラグ100は、上述のセラミックヒータ101の基端側部分を保持する筒状の主体金具120を有する。この主体金具120は、先端側に位置し、セラミックヒータ101を保持するヒータ保持部材123と、このヒータ保持部材123の基端側に位置する主体金具本体121とから構成されている。
このうち主体金具本体121は、軸線AX方向に基端部121kから先端部121sまで延びる筒状をなしている。主体金具本体121の基端部121kには、このグロープラグ100をディーゼルエンジンに取り付けるに際して、トルクレンチ等の工具を係合させるための六角断面形状の工具係合部121eが形成されている。また、主体金具本体121のうち、工具係合部121eよりも先端側の外周には、取付用のねじ部121fが形成されている。
この主体金具本体121の内側には、その基端側から、セラミックヒータ101に電力を供給するための棒状の金属端子軸125が、主体金具本体121と電気的に絶縁した状態で配置されている。主体金具本体121と金属端子軸125との間には、主体金具本体121の内周に形成された棚部121gの基端側に、気密封止及び水密封止のためのOリング127が配置されている。また、主体金具本体121と金属端子軸125との間のうち、Oリング127の基端側には、通電端子軸125が挿通する筒状の絶縁ブッシュ129が配置されている。この絶縁ブッシュ129は、後述する端子金具133によって先端側に押圧され、Oリング127を棚部121gとの間で圧縮している。
ヒータ保持部材123は、筒状をなし、その基端部123kが主体金具本体121の先端部121sに溶接されている。このヒータ保持部材123には、前述のセラミックヒータ101の基端側部分が挿入され固定されている。具体的には、セラミックヒータ101は、先端部101s及び基端部101kがそれぞれ突出するようにして、ヒータ保持部材123内に圧入されて、これに保持されている。
主体金具本体121に挿通された金属端子軸125の基端部125kは、主体金具本体121よりも基端側に突出している。そして、この基端部125kには、上記の絶縁ブッシュ129を介して端子金具133が取り付けられている。
一方、金属端子軸125の先端部125sは、筒状の接続リング135に挿入されて、これに溶接されている。また、この接続リング135には、他方でセラミックヒータ101の基端部101kが圧入され、基端部101kに設けられた一方の電極部105rd1(図1では不図示)が、接続リング135に電気的に接続されている。これにより、セラミックヒータ101の一方の電極部105rd1と、金属端子軸125とが電気的に接続されている。なお、セラミックヒータ101のもう一方の電極部105rd2(図1では不図示)は、セラミックヒータ101を保持するヒータ保持部材123、従って、主体金具120に電気的に接続されている。
次に、上記セラミックヒータ101及び上記グロープラグ100の製造方法について説明する。まず、セラミックヒータ100の製造方法について説明する(図8〜図18参照)。
まず、第1未焼成基体形成工程において、絶縁性セラミック粉末、バインダ等を含有するセラミック粒子を、金型でプレス成型して、焼成後に絶縁基体103の一部となる第1未焼成絶縁基体151を形成する(図8及び図9参照)。
この第1未焼成絶縁基体151は、絶縁基体103を、図2に示した縦断面図が見られるように軸線AX方向に沿って二分割したものの一方に対応する形状をなす。具体的には、図8及び図9に示すように、この第1未焼成絶縁基体151は、第1主面151aを有する概略半円柱状をなす。そして、この第1主面151aには、発熱抵抗体105に対応した形状をなす第1抵抗体対応凹部151jが凹設されている。この第1抵抗体対応凹部151jは、発熱抵抗体105の発熱部105hに対応した開口形状をなす第1発熱部対応凹部151jaと、リード部105r1,105r2に対応した開口形状をなす第1リード対応凹部151jbとからなる。この第1抵抗体対応凹部151jの最大深さ(第1リード対応凹部151jbにおける最大深さF1)は、1.2mmである。
なお、第1抵抗体対応凹部151jの深さFAは、適宜変更できるが、第1発熱部対応凹部151jaにおける最大深さF3を40μm〜1mm程度、第1リード対応凹部151jbにおける最大深さF1を0.5mm〜2mm程度とするのが好ましい。
次に、第1透孔TC1を有する第1メタルマスクMM1を用意する(図10参照)。この第1メタルマスクMM1は、本発明の第1リード対応メタルマスクに相当する。この第1メタルマスクMM1の厚みE1は150μmである。従って、この厚みE1は、第1リード対応凹部151jbの最大深さF1(=1.2mm)よりも小さい。
第1透孔TC1は、第1未焼成絶縁基体151の第1抵抗体対応凹部151jの全体に対応した開口形状をなす。具体的には、第1透孔TC1は、第1抵抗体対応凹部151jの第1発熱部対応凹部151jaに対応した開口形状をなす第1発熱部対応孔部TC1aと、第1抵抗体対応凹部151jの第1リード対応凹部151jbに対応した開口形状をなす第1リード対応孔部TC1bとからなる。
また、第1透孔TC1は、この第1メタルマスクMM1を、図10のように第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に重ね、この第1透孔TC1を第1抵抗体対応凹部151j上に位置合わせをして重ねたときに、第1透孔TC1に沿って、かつ、第1透孔TC1よりも内側に、第1抵抗体対応凹部151jの開口縁151jf全体が露出する形態とされている。
より具体的には、第1透孔TC1の第1発熱部対応孔部TC1aを第1抵抗体対応凹部151jの第1発熱部対応凹部151ja上に重ねたときに、第1発熱部対応孔部TC1aに沿って、かつ、第1発熱部対応孔部TC1aよりも内側に、第1発熱部対応凹部151jaの開口縁151ja全体が露出する形態とされている。また、第1透孔TC1の第1リード対応孔部TC1bを第1抵抗体対応凹部151jの第1リード対応凹部151jb上に重ねたときに、第1リード対応孔部TC1bに沿って、かつ、第1リード対応孔部TC1bよりも内側に、第1リード対応凹部151jbの開口縁151jbf全体が露出する形態とされている。
更に詳細には、この第1透孔TC1は、第1抵抗体対応凹部151jの開口縁151jfよりも幅H1=50μm分だけ、全体的に大きく形成されている。そして、第1発熱部対応孔部TC1aは、第1発熱部対応凹部151jaの開口縁151jafよりも幅H1=50μm分だけ、全体的に大きく形成されている。また、第1リード対応孔部TC1bは、第1リード対応凹部151jbの開口縁151jbfよりも幅H1=50μm分だけ、全体的に大きく形成されている。
なお、上記厚みE1は適宜設計変更できるが、20μm〜300μm程度とするのが好ましい。また、上記幅H1も適宜設計変更できるが、20μm〜500μm程度とするのが好ましい。
そして、第1印刷工程において、この第1メタルマスクMM1を第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に位置合わせをして載置する。その後、スキージSKにより、第1未焼成導電性セラミックペーストDP1を第1抵抗体対応凹部151j内及び第1透孔TC1内に印刷充填する(図11も参照)。これにより、焼成後に発熱抵抗体105の一部となる第1未焼成発熱抵抗体161を形成する。この第1未焼成発熱抵抗体161は、焼成後に発熱部105hとなる未焼成発熱部161hと、焼成後にリード部105r1,105r2の一部となる第1未焼成リード部161rとからなる。なお、第1未焼成導電性セラミックペーストDP1は、導電性セラミック粉末70重量%、絶縁性セラミック粉末30重量%からなるセラミック粉末、バインダ、溶媒等から作られる。
この一方で、第2未焼成基体形成工程において、絶縁性セラミック粉末、バインダ等を含有するセラミック粒子を、金型でプレス成型して、焼成後に絶縁基体103の残部となる第2未焼成絶縁基体153を形成する(図12及び図13参照)。
この第2未焼成絶縁基体153は、絶縁基体103を、図2に示した断面図が見られるように軸線AX方向に沿って二分割したもののもう一方に対応する形状を有する。具体的には、図12及び図13に示すように、第2未焼成絶縁基体153は、第2主面153aを有する概略半円柱状をなす。そして、この第2主面153aには、発熱抵抗体105に対応した形状をなす第2抵抗体対応凹部153jが凹設されている。この第2抵抗体対応凹部153jは、発熱抵抗体105のリード部105r1,105r2に対応した開口形状をなす第2リード対応凹部153jbのみからなり、発熱部105hに対応した部分は有しない。
なお、この第2リード対応凹部153jbの深さFBも適宜変更できるが、最大深さF2を0.5mm〜2mm程度とするのが好ましい。
次に、第2透孔TC2を有する第2メタルマスクMM2を用意する(図14参照)。この第2メタルマスクMM2は、本発明の第2リード対応メタルマスクに相当する。この第2メタルマスクMM2の厚みE2は150μmである。従って、この厚みE2は、第2リード対応凹部153jbの最大深さF2よりも小さい。第2透孔TC2は、第2未焼成絶縁基体153の第2抵抗体対応凹部153jの全体に対応した開口形状をなす。第2抵抗体対応凹部153jは、第2リード対応凹部153jbのみからなるので、この第2透孔TC2は、第2リード対応凹部153jbに対応した開口形状をなす第2リード対応孔部TC2bのみからなる。
また、この第2メタルマスクMM2を、図14のように第2未焼成絶縁基体153の第2主面153a上に重ね、この第2透孔TC2(第2リード対応孔部TC2b)を第2抵抗体対応凹部153j(第2リード対応孔部153jb)上に位置合わせをして重ねる。このとき、第2透孔TC2は、第2透孔TC2(第2リード対応孔部TC2b)に沿って、かつ、第2透孔TC2(第2リード対応孔部TC2b)よりも内側に、第2抵抗体対応凹部153jの開口縁153jf全体(第2リード対応凹部153jbの開口縁153jbf全体)が露出する形態とされている。
更に詳細には、この第2透孔TC2(第2リード対応孔部TC2b)は、第2抵抗体対応凹部153jの開口縁153jf(第2リード対応凹部153jbの開口縁153jbf)よりも幅H2=50μm分だけ、全体的に大きく形成されている。
なお、上記厚みE2も適宜設計変更できるが、20μm〜300μm程度とするのが好ましい。また、上記幅H2も適宜設計変更できるが、20μm〜500μm程度とするのが好ましい。
そして、第2印刷工程において、この第2メタルマスクMM2を第2未焼成絶縁基体153の第2主面153a上に位置合わせをして載置する。その後、スキージSKにより、第2未焼成導電性セラミックペーストDP2を第2抵抗体対応凹部153j及び第2透孔TC2内に印刷充填する(図15も参照)。これにより、焼成後に発熱抵抗体105の残部となる第2未焼成発熱抵抗体163を形成する。この第2未焼成発熱抵抗体163は、焼成後にリード部105r1,105r2の残部となる第2未焼成リード部163rのみからなり、焼成後の発熱部105hに相当する部分は存在しない。なお、本実施形態1では、第2未焼成導電性セラミックペーストDP2に前述の第1未焼成導電性セラミックペーストDP1と同じものを用いる。
次に、焼成工程において、まず、第1印刷工程後の第1未焼成絶縁基体151の第1主面151aと、第2印刷工程後の第2未焼成絶縁基体153の第2主面153aとを合わせて、焼成後にセラミックヒータ101となる未焼成セラミックヒータ170を形成する(図16〜図18参照)。具体的には、第1未焼成絶縁基体151と第2未焼成絶縁基体153とを金型を用いてプレスして一体化することにより、未焼成セラミックヒータ170を形成する。これにより、第1未焼成絶縁基体151と第2未焼成絶縁基体153とから、焼成後に絶縁基体103となる未焼成絶縁基体171が形成される。また、第1未焼成発熱抵抗体161と第2未焼成発熱抵抗体163とから、焼成後の発熱部105hに対応した未焼成発熱部173h及び焼成後のリード部105r1,105r2に対応した未焼成リード部173rからなる未焼成発熱抵抗体173が形成される。
続いて、未焼成セラミックヒータ170からバインダ成分等を除去するために、未焼成セラミックヒータ170を窒素雰囲気下で所定温度(例えば800℃)で仮焼成する。その後、窒素雰囲気下で所定温度(例えば1800℃)でホットプレス焼成を行うことにより、セラミックヒータ101を得る。その後は、このセラミックヒータ101に研磨等の加工を施して、図2に示したセラミックヒータ101を完成させる。
以上で説明したように、本実施形態1のセラミックヒータ101の製造方法では、リード部105r1,105r2に対応した開口形状をなす第1リード対応凹部151jbを含む、発熱抵抗体105に対応した開口形状をなす第1抵抗体対応凹部151jを有する第1未焼成絶縁基体151を形成する(第1未焼成基体形成工程)。そして、第1メタルマスクMM1を用いたスクリーン印刷により、この第1未焼成絶縁基体151に、焼成後に発熱抵抗体105の一部となる第1未焼成発熱抵抗体161を形成する(第1印刷工程)。
またその一方で、リード部105r1,105r2に対応した開口形状をなす第2リード対応凹部153jbからなる、発熱抵抗体105に対応した開口形状をなす第2抵抗体対応凹部153jを有する第2未焼成絶縁基体153を形成する(第2未焼成基体形成工程)。そして、第2メタルマスクMM2を用いたスクリーン印刷により、この第2未焼成絶縁基体153に、焼成後に発熱抵抗体105の残部となる第2未焼成発熱抵抗体153を形成する(第2印刷工程)。
このような方法では、第1,第2未焼成絶縁基体151,153の第1,第2抵抗体対応凹部151j,153jの深さ、より具体的には、第1,第2リード対応凹部151jb,153jbの深さF1,F2を適宜変更するだけで、発熱抵抗体105のリード部105r1,105r2の厚み、更にはリード部105r1,105r2の断面積を容易に変更できる。このため、従来の発熱抵抗体を印刷形成する方法に比して、発熱抵抗体の105のリード部105r1,105r2の断面積を容易に大きくできる。従って、リード部105r1,105r2にタングステン線などの金属材料を用いなくても、リード部105r1,105r2の抵抗を小さくでき、発熱抵抗体105の消費電力を小さくできる。
特に本実施形態1では、第1,第2未焼成絶縁基体151,153の両方に未焼成発熱抵抗体161,163を形成しているので、第1,第2抵抗体対応凹部151j,153j(第1,第2リード対応凹部151jb,153jb)の深さ(F1,F2)をそれぞれ浅めにしても、焼成後のリード部105r1,105r2の断面積を容易に大きくできる。一方、未焼成導電性セラミックペーストDP1,DP2は、第1,第2抵抗体対応凹部151j,153j(第1,第2リード対応凹部151jb,153jb)の深さが浅いほど確実に充填しやすいので、第1,第2未焼成発熱抵抗体161,163(第1,第2未焼成リード部161r,163r)の断面積バラツキを小さくできる。従って、焼成後のリード部105r1,105r2の抵抗を小さくすると共に、発熱抵抗体105(リード部105r1,105r2)の抵抗値バラツキを小さくできる。
また、第1,第2未焼成発熱抵抗体161,163をスクリーン印刷により形成しているので、発熱部105hの断面積を容易に小さくできる。また、第1,第2未焼成発熱抵抗体161,163は第1,第2未焼成絶縁基体151,153に印刷形成しているので、別途、第1,第2未焼成発熱抵抗体161,163のみを形成する従来の射出成形による方法に比して、未焼成発熱部161hの断面積を小さくしても、折損等が生じにくく、取り扱いが容易で、生産性を向上させることができる。
よって、発熱部105hの抵抗を大きく、また、リード部105r1,105r2の抵抗を小さくして、発熱部105hでより集中して発熱させることができる。また、生産性を向上させることができる。
更に本実施形態1では、第1未焼成発熱抵抗体161の第1未焼成リード部161rを、第1リード対応凹部151jbの最大深さF1よりも厚みE1を小さくした第1メタルマスクMM1を用いて印刷形成する(第1印刷工程)。このようにすることにより、印刷後に第1メタルマスクMM1を剥がしたときに、第1未焼成絶縁基体151の第1主面151aから膨出する第1未焼成導電性セラミックペーストDP1の体積が、第1リード対応凹部151jb内に充填される第1未焼成導電性セラミックペーストDP1の体積に比して、小さくなる。第1主面151aから膨出する第1未焼成導電性セラミックペーストDP1の体積はバラツキやすい傾向にあるので、この体積割合を小さくすれば、第1未焼成リード部161rを全体で見たときの断面積バラツキも小さくできる。
同様に、第2未焼成発熱抵抗体163の第2未焼成リード部163rを、第2リード対応凹部153jbの最大深さF2よりも厚みE2を小さくした第2メタルマスクMM2を用いて印刷形成する(第2印刷工程)。このようにすることにより、印刷後に第2メタルマスクMM2を剥がしたときに、第2未焼成絶縁基体153の第2主面153aから膨出する第2未焼成導電性セラミックペーストDP2の体積が、第2リード対応凹部153jb内に充填される第2未焼成導電性セラミックペーストDP2の体積に比して、小さくなる。第2主面153aから膨出する第2未焼成導電性セラミックペーストDP2の体積はバラツキやすい傾向にあるので、この体積割合を小さくすれば、第2未焼成リード部163rを全体で見たときの断面積バラツキも小さくできる。
また、第1未焼成絶縁基体151の第1主面151aと第2未焼成絶縁基体153の第2主面153aを合わせて一体化して、未焼成セラミックヒータ170を形成する際に、第1,第2主面151a,153aから膨出する第1,第2未焼成導電性セラミックペーストDP1,DP2の体積を小さくすれば、第1,第2未焼成リード部161r,163rを一体化して形成する未焼成リード部173rの形状バラツキも小さくできる。
従って、第1,第2未焼成リード部161r,163rの断面積を安定化できると共に、これらを一体化した未焼成リード部173rの形状も安定化できるので、焼成後のリード部105r1,105r2の抵抗値バラツキも抑制できる。よって、発熱抵抗体105の抵抗値バラツキが少ないセラミックヒータ101を容易に製造できる。
また本実施形態1では、第1メタルマスクMM1の第1透孔TC1は、この第1透孔TC1を第1未焼成絶縁基体151の第1抵抗体対応凹部151j上に重ねたときに、この第1透孔TC1に沿って、かつ、この第1透孔TC1よりも内側に、第1抵抗体対応凹部151jの開口縁151jf全体が露出する形態とされている。このため、第1印刷工程において、第1メタルマスクMM1を第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に載置したときに、第1透孔TC1が第1抵抗体対応凹部151jから若干ズレたとしても、第1未焼成導電性セラミックペーストDP1を第1抵抗体対応凹部151j内に確実に充填できる。
また、第2メタルマスクMM2の第2透孔TC2は、この第2透孔TC2を第2未焼成絶縁基体153の第2抵抗体対応凹部153j上に重ねたときに、この第2透孔TC2に沿って、かつ、この第2透孔TC2よりも内側に、第2抵抗体対応凹部153jの開口縁153jf全体が露出する形態とされている。このため、第2印刷工程において、第2メタルマスクMM2を第2未焼成絶縁基体153の第2主面153a上に載置したときに、第2透孔TC2が第2抵抗体対応凹部153jから若干ズレたとしても、第2未焼成導電性セラミックペーストDP2を第2抵抗体対応凹部153j内に確実に充填できる。
従って、第1,第2未焼成発熱抵抗体161,163の断面積にバラツキが生じることを抑制し、焼成後の発熱抵抗体105の抵抗値バラツキを抑制できる。
また本実施形態1では、第1印刷工程において、リード部105r1,105r2の一部となる第1未焼成リード部161rを形成すると共に、第2印刷工程において、リード部105r1,105r2の残部となる第2未焼成リード部163rを形成しているので、断面積の大きなリード部105r1,105r2を容易に形成できる。一方、焼成後に発熱部105hとなる未焼成発熱部161hは、第1印刷工程でのみ形成し、第2印刷工程では形成しないので、断面積の小さな発熱部105hを容易に形成できる。
次いで、上記グロープラグ100の製造方法について説明する。まず、セラミックヒータ101を上記の製造方法により製造する(ヒータ製造工程)。また、主体金具本体121やヒータ保持部材123、接続リング135、金属端子軸125、Oリング127、絶縁ブッシュ129、端子金具133など、グロープラグ100を構成するその他の部材も用意する。次に、これらの部材を用いてグロープラグ100を組み立てて、図1に示したグロープラグ100を得る(プラグ組立工程)。
ヒータ製造工程においては、前述したように、リード部105r1,105r2の抵抗を小さく、発熱部105hの抵抗を大きくできると共に、セラミックヒータ101の生産性を向上させることもできる。従って、このセラミックヒータ101を用いてグロープラグ100を組み立てれば、リード部105r1,105r2の抵抗を小さく、発熱部105hの抵抗を大きくしたグロープラグ100を製造できる。また、グロープラグ100の生産性を向上させることができる。
(実施形態2)
次いで、第2の実施形態について説明する。上記実施形態1のセラミックヒータ101の製造方法では、第1印刷工程で用いる第1未焼成導電性セラミックペーストDP1と、第2印刷工程で用いる第2未焼成導電性セラミックペーストDP2を同じものとした。これに対し、本実施形態2では、第1印刷工程で用いる第1未焼成導電性セラミックペーストDP1と、第2印刷工程で用いる第2未焼成導電性セラミックペーストDP3を異なるものとする。それ以外は、上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
本実施形態2のセラミックヒータ201の製造方法では、まず、上記実施形態1と同様に第1未焼成基体形成工程を行い、第1未焼成絶縁基体151を形成する(図8及び図9参照)。その後、第1印刷工程を行い、焼成後に発熱抵抗体205の一部となる第1未焼成発熱抵抗体261を形成する(図10及び図11参照)。
その際、本実施形態2では、第1未焼成導電性セラミックペーストDP3として、上記実施形態1よりも焼成後に高抵抗となる未焼成導電性セラミックペーストを用いる。具体的には、第1未焼成導電性セラミックペーストDP3として、導電性セラミック粉末64重量%、絶縁性セラミック粉末36重量%からなるセラミック粉末、バインダ等からなる未焼成導電性セラミックペーストを用いる。これにより、未焼成発熱部261hと第1未焼成リード部261rとからなる第1未焼成発熱抵抗体261は、焼成すると、上記実施形態1よりも(導電性が低く)高抵抗なものとなる(図19参照)。
次に、上記実施形態1と同様に、第2未焼成基体形成工程を行い、続いて第2印刷工程を行う(図12〜図15参照)。第2印刷工程で用いる第2未焼成導電性セラミックペーストDP2は、上記実施形態1と同様である。従って、これにより作られる第2未焼成発熱抵抗体163は、焼成すると、上記実施形態1と同様に(導電性が高く)低抵抗なものとなり、本実施形態2の第1未焼成発熱抵抗体261を焼成したものよりも低抵抗となる。
その後、焼成工程において、まず、上記実施形態1と同様にして、焼成後にセラミックヒータ201となる未焼成セラミックヒータ270を形成する(図20及び図21参照)。これにより、第1未焼成絶縁基体151と第2未焼成絶縁基体153とから、焼成後に絶縁基体103となる未焼成絶縁基体271ができる。また、第1未焼成発熱抵抗体261と第2未焼成発熱抵抗体163とから、焼成後に発熱抵抗体205となる未焼成発熱抵抗体273ができる。具体的には、焼成後に高抵抗となる第1未焼成導電性セラミックペーストDP3からなる未焼成発熱部261hから、焼成後に発熱部205hとなる未焼成発熱部273hが形成される。また、焼成後に高抵抗となる第1未焼成導電性セラミックペーストDP3からなる第1未焼成リード部261rと、焼成後に低抵抗となる第2未焼成導電性セラミックペーストDP2からなる第2未焼成発熱抵抗体163(第2未焼成リード部163r)とから、焼成後にリード部205r1,205r2となる未焼成リード部273rが形成される。
続いて、焼成を行い、上記実施形態1と同様に、セラミックヒータ201を完成させる。このようにして製造したセラミックヒータ201は、発熱抵抗体205の発熱部205hの形状が上記実施形態1と同じであるにも拘わらず、上記実施形態1に比して、抵抗が高い。一方、リード部205r1,205r2は、その約半分が上記実施形態1と同様に、焼成後に低抵抗となる第2未焼成導電性セラミックペーストDP2を用いて形成されている。このため、リード部205r1,205r2全体として見れば十分に導電性が高く、抵抗は十分に低い状態とし得る。このよう本実施形態2の製造方法では、2種類の未焼成導電性セラミックペーストDP1,DP3を用いることにより、発熱部205h及びリード部205r1,205r2の形状を変更することなく、発熱部205hの抵抗を大きく、また、リード部205r1,205r2の抵抗を小さくできる。よって、発熱部205hの抵抗分担率(発熱抵抗体205全体に占める発熱部205hの抵抗の割合)を更に向上させることができ、発熱部205hでより集中して発熱させることができる。その他、上記実施形態1と同様な部分は、上記実施形態1と同様な作用効果を奏する。
(実施形態3)
次いで、第3の実施形態について説明する。上記実施形態1では、第2未焼成基体形成工程を行って第2未焼成絶縁基体153を形成し、更に第2印刷工程を行って第2未焼成発熱抵抗体163を形成し、これらを第1未焼成絶縁基体151及び第1未焼成発熱抵抗体161に合わせて一体化し、未焼成セラミックヒータ170を形成している。これに対し、本実施形態3では、第2未焼成基体形成工程や第2印刷工程を行わずに、第1未焼成絶縁基体151及び第1未焼成発熱抵抗体161上に、未焼成絶縁基体371の残部を直接形成して、未焼成セラミックヒータ370を形成している。それ以外は、上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
本実施形態2のセラミックヒータ301の製造方法では、まず、上記実施形態1と同様に第1未焼成基体形成工程を行い、第1未焼成絶縁基体151を形成し(図8及び図9参照)、続いて第1印刷工程を行い、第1未焼成発熱抵抗体161を形成する(図10及び図11参照)。
その後は、第2未焼成基体形成工程及び第2印刷工程を行わずに、焼成工程に進む。そして、本実施形態3の焼成工程では、第1印刷工程後の第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に、絶縁性セラミック粉末、バインダ等を含有するセラミック粉末を載せて、プレス加工を行うことにより、未焼成絶縁基体371の残部を直接形成して、図22及び図23に示すように、未焼成セラミックヒータ370を形成する。
これにより、焼成後に絶縁基体303となる未焼成絶縁基体371ができる。また、焼成後に発熱抵抗体305となる未焼成発熱抵抗体373ができる。具体的には、第1未焼成発熱抵抗体161の未焼成発熱部161hから、焼成後に発熱部305hとなる未焼成発熱部373hが形成される。また、1未焼成発熱抵抗体161の第1未焼成リード部161rから、焼成後にリード部305r1,305r2となる未焼成リード部373rが形成される。
続いて、焼成を行い、上記実施形態1と同様に、セラミックヒータ301を完成させる。本実施形態2の製造方法では、上記のように第2未焼成基体形成工程及び第2印刷工程を行わないので、上記実施形態1等に比して、工数を減らすことができる。その他、上記実施形態1と同様な部分は、上記実施形態1と同様な作用効果を奏する。
(実施形態4)
次いで、第4の実施形態について説明する。上記実施形態1では、第1印刷工程において、一回の印刷により第1未焼成発熱抵抗体161を形成している(図10及び図11参照)。これに対し、本実施形態4では、第1印刷工程において、複数回(具体的には二回)の印刷により、第1未焼成発熱抵抗体461を形成している(図24〜図27参照)。それ以外は、上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
本実施形態4のセラミックヒータ401の製造方法では、まず、上記実施形態1と同様に第1未焼成基体形成工程を行い、第1未焼成絶縁基体151を形成する(図8及び図9参照)。
次に、第1印刷工程を行い、焼成後に発熱抵抗体405となる第1未焼成発熱抵抗体461を形成する(図24〜図27参照)。具体的には、第1−1透孔TC11を有する第1−1メタルマスクMM11を用意する(図24参照)。なお、この第1−1メタルマスクMM11は、本発明の第1リード対応メタルマスクに相当する。
この第1−1メタルマスクMM11の厚みE3は150μmである。従って、この厚みE3は、第1リード対応凹部151jbの最大深さF1よりも小さい。第1−1透孔TC11は、第1未焼成絶縁基体151の第1抵抗体対応凹部151jのうち、第1リード対応凹部151jbに対応した開口形状をなす。つまり、第1−1透孔TC11は、第1リード対応凹部151jbに対応した開口形状をなす第1リード対応孔部TC11bのみからなる。
また、この第1−1メタルマスクMM11を、図24のように第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に重ね、この第1−1透孔TC11(第1リード対応孔部TC11b)を第1リード対応孔部151jb上に位置合わせをして重ねる。このとき、第1−1透孔TC11(第1リード対応孔部TC11b)は、第1リード対応孔部TC11bに沿って、かつ、第1リード対応孔部TC11bよりも内側に、第1リード対応孔部151jbの開口縁151jbf全体が露出する形態とされている。
更に詳細には、この第1−1透孔TC11(第1リード対応孔部TC11b)は、第1リード対応凹部151jbの開口縁151jbfよりも幅H3=50μm分だけ、全体的に大きく形成されている。
なお、上記厚みE3も適宜設計変更できるが、20μm〜300μm程度とするのが好ましい。また、上記幅H3も適宜設計変更できるが、20μm〜500μm程度とするのが好ましい。
そして、この第1−1メタルマスクMM11を第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に位置合わせをして載置する。その後、スキージSKにより、第1−1未焼成導電性セラミックペーストDP11を第1抵抗体対応凹部151jのうちの第1リード対応凹部151jb内及び第1−1透孔TC11内に印刷充填する(図25も参照)。この一度目の印刷により、第1未焼成発熱抵抗体461のうち、焼成後にリード部405r1,405r2の一部となる第1未焼成リード部461rが形成される。なお、第1−1未焼成導電性セラミックペーストDP11は、上記実施形態1で用いた第1未焼成導電性セラミックペーストDP1と同じである。
次に、第1−2透孔TC12を有する第1−2メタルマスクMM12を用意する(図26参照)。この第1−2メタルマスクMM12の厚みE4は150μmである。この第1−2透孔TC12は、第1未焼成絶縁基体151の第1抵抗体対応凹部151jのうち、第1発熱部対応凹部151jaに対応した開口形状をなす。つまり、第1−2透孔TC12は、第1発熱部対応凹部151jaに対応した開口形状をなす第1発熱部対応孔部TC12aのみからなる。
また、この第1−2メタルマスクMM12を、図26のように第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に重ね、この第1−2透孔TC12(第1発熱部対応孔部TC12a)を第1発熱部対応孔部151ja上に位置合わせをして重ねる。このとき、第1−2透孔TC12(第1発熱部対応孔部TC12a)は、第1発熱部対応孔部TC12aに沿って、かつ、第1発熱部対応孔部TC12aよりも内側に、第1発熱部対応孔部151jaの開口縁151jaf全体が露出する形態とされている。
更に詳細には、この第1−2透孔TC12(第1発熱部対応孔部TC12a)は、第1発熱部対応凹部151jaの開口縁151jafよりも幅H4=50μm分だけ、全体的に大きく形成されている。
なお、上記厚みE4も適宜設計変更できるが、20μm〜300μm程度とするのが好ましい。また、上記幅H4も適宜設計変更できるが、20μm〜500μm程度とするのが好ましい。
そして、この第1−2メタルマスクMM12を第1未焼成絶縁基体151の第1主面151a上に位置合わせをして載置する。その後、スキージSKにより、第1−2未焼成導電性セラミックペーストDP12を第1抵抗体対応凹部151jのうちの第1発熱部対応凹部151ja内及び第1−2透孔TC12内に印刷充填する(図27も参照)。この2度目の印刷により、第1未焼成発熱抵抗体461のうち、焼成後に発熱部405hとなる未焼成発熱部461hが形成される。なお、第1−2未焼成導電性セラミックペーストDP12は、上記実施形態2で用いた第1未焼成導電性セラミックペーストDP3と同じであり、上記の第1−1未焼成導電性セラミックペーストDP11よりも、焼成後に高抵抗となるものである。
このように本実施形態4では、第1−1,第1−2メタルマスクMM11,MM12と第1−1,第1−2未焼成導電性セラミックペーストDP11,DP12を変更して、二度印刷を行うことにより、第1未焼成発熱抵抗体461を形成する。
その後、上記実施形態1と同様に、第2未焼成基体形成工程と第2印刷工程を行う(図12〜図15参照)。
更に、上記実施形態1と同様に、焼成工程を行い、図28に示すように、焼成後にセラミックヒータ401となる未焼成セラミックヒータ470を形成する。これにより、第1未焼成絶縁基体151と第2未焼成絶縁基体153とから、焼成後に絶縁基体103となる未焼成絶縁基体471ができる。また、第1未焼成発熱抵抗体461と、第2未焼成発熱抵抗体163とから、焼成後に発熱抵抗体405となる未焼成発熱抵抗体473ができる。具体的には、第1未焼成発熱抵抗体461のうち、焼成後に高抵抗となる第1−2未焼成導電性セラミックペーストDP12からなる未焼成発熱部461hから、焼成後に発熱部405hとなる未焼成発熱部473hが形成される。また、第1未焼成発熱抵抗体461のうち、焼成後に低抵抗となる第1−1未焼成導電性セラミックペーストDP11からなる第1未焼成リード部461rと、同じく焼成後に低抵抗となる第2未焼成導電性セラミックペーストDP2からなる第2未焼成発熱抵抗体163(第2未焼成リード部163r)とから、焼成後にリード部405r1,405r2となる未焼成リード部473rが形成される。
続いて、焼成を行い、上記実施形態1と同様に、セラミックヒータ401を完成させる。
本実施形態4では、上記のように、第1印刷工程を、第1−1,第1−2メタルマスクMM11,MM12と第1−1,第1−2未焼成導電性セラミックペーストDP11,DP12を変更した二度の印刷により行っている。このため、第1未焼成発熱抵抗体461のうち、未焼成発熱部461hを構成する第1−2未焼成導電性セラミックペーストDP12と、第1未焼成リード部461rを構成する第1−1未焼成導電性セラミックペーストDP11とを異ならせることができる。これにより、未焼成発熱部461hの焼成後における導電性を低くする一方、第1未焼成リード部461rの焼成後における導電性を高くできる。従って、焼成後の発熱部405hの抵抗を高くできる一方で、焼成後のリード部405r1,405r2の抵抗を低くできるので、発熱抵抗体405の形状を変更することなく、発熱部405hの抵抗を大きく、また、リード部405r1,405r2の抵抗を小さくできる。よって、発熱部405hの抵抗分担率を容易に更に向上させることができ、発熱部405hでより集中して発熱させることができる。その他、上記実施形態1と同様な部分は、上記実施形態1と同様な作用効果を奏する。
以上において、本発明を実施形態1〜4に即して説明したが、本発明は上述の実施形態1〜4に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態1等では、第1未焼成絶縁基体151に、発熱抵抗体105の発熱部105hとリード部105r1,105r2とに対応した第1抵抗体対応凹部151jを設けている。しかし、図29に示すように、第1抵抗体対応凹部551jを、発熱抵抗体505のリード部505r1,505r2のみに対応した形状とすることもできる。
この場合、未焼成発熱部561hと第1未焼成リード部561rとからなる第1未焼成発熱抵抗体561のうちの未焼成発熱部561hは、第1未焼成絶縁基体551の第1主面551a上で、かつ、第1メタルマスクMM1の第1透孔内TC1に印刷充填される第1未焼成導電性セラミックペーストDP1によって形成される。従って、未焼成発熱部561hの厚み、従って断面積を更に小さくでき、焼成後の発熱部505hの断面積も更に小さくできる。よって、発熱部505hの抵抗分担率を容易に更に向上させることができ、発熱部505hでより集中して発熱させることができる。
また、上記実施形態1〜4では、セラミックヒータ101等の先端部101s(絶縁基体103等の先端部103s)を半球状とした。しかし、この先端部101s(103s)は、先端が尖った円錐状や角錐状としてもよいし、先端が平らな円柱状や角柱状などとしてもよい。