JP5307332B2 - 繊維製品用液体処理剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維製品用液体処理剤組成物及び該組成物をトリガースプレー容器又はフィンガースプレー容器に充填してなる繊維製品用液体処理剤物品に関する。詳しくは、衣類等の繊維製品に、優れた紫外線遮断効果及びその均一性並びに滑り性を付与できる繊維製品用液体処理剤組成物及び繊維製品用液体処理剤物品を提供する。
近年オゾン層の破壊により一層紫外線が地表に届きやすく、強いエネルギーを持った紫外線が増加している。このような紫外線被曝により肌は赤みを帯びる、またひどくなると水泡が生じ、さらに繰り返し持続して紫外線を浴び続けるとしわやしみ等の皮膚トラブルの原因となる。
紫外線を防ぐ手段として、これまでにサンスクリーニング剤を肌に直接塗布することや、日傘や帽子が使用されている。しかしながら、太陽から直接受ける紫外線を防ぐことはできるものの、これらの方法だけでは効果が不十分、または、地表からあるいは壁等から反射して受ける紫外線に対しては無防備である。さらに、室内においてもガラスを通過して入ってくる紫外線なども最近では問題となってきている。
このような状況から、衣類にも紫外線防御効果を持たせる技術開発が以前より行なわれている(特許文献1、2及び3)。しかしながら、これらは工業的に繊維処理を行うものであり、お気に入りの服を家庭で処理する一般向けではない。
一方、一般向けとしては、柔軟剤組成物中に紫外線吸収効果のある基材を添加し、紫外線を吸収するという技術が出願されている(特許文献4〜6)。しかし、これらは洗濯のすすぎ工程で使用されているため、紫外線吸収剤の吸着にムラがあり紫外線吸収効果が高いか或いは低い部位が存在し、吸収効果の高い部位では紫外線防御効果はあったとしても、低い部位では紫外線防御効果が弱いことが懸念され、より均一に紫外線吸収剤を付着あるいは吸着させる技術が求められている。
特開2003−147617号公報(グンゼ) 特開平5−179568号公報(テイカ) 特開平8−92874号公報(チバ・ガイギー) 特開2003−301374号公報(ニッサン石鹸) 特開2002−161476号公報(花王) 特開2002−161475号公報(花王)
従って、本発明は、紫外線吸収剤を繊維の表面上へできるだけ均一に適用できる繊維製品用液体処理剤組成物及び該組成物を充填してなる液体処理剤物品を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、紫外線吸収剤(A)を均一に吸着させるために、特定の溶剤(B)を併用した組成物を適用することで紫外線吸収剤が衣類等の繊維製品表面上に均一に付着させることが可能となる組成物が得られることを見出した。すなわち、本発明は、下記(A)成分と(B)成分とを含有する繊維製品用液体処理剤組成物を提供する。
(A)紫外線吸収剤、
(B)炭素数2〜6の一価アルコール、炭素数4〜6の多価アルコール、又は下記一般式(I)もしくは(II)で表わされるグリコールエーテル化合物
1−O−(R2O)m−H (I)
[式中、R1は、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、mは、平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
3−O−(R2O)n−R4 (II)
[式中、R3, R4は、炭素数1又は2のアルキル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、nは、平均付加モル数を表し、1〜3の数である。]
本発明者らはまた、上記組成物をトリガースプレー容器もしくはフィンガースプレー容器を用いて繊維製品表面に噴霧塗布すると、均一に付着させることができることを見出した。すなわち、本発明はまた、上記組成物をトリガースプレー容器もしくはフィンガースプレー容器に充填してなる繊維製品用液体処理剤物品を提供する。
本発明の処理剤組成物又は物品で繊維製品を処理すると、紫外線吸収剤を繊維製品上に均一に付着させることができるため、一般家庭でも簡便かつ効果的に衣類等の繊維製品に対して紫外線防御処理をすることができる。本発明の組成物又は物品で処理した繊維製品はまた、皮膚上での滑り性も良好であることから、衣類等の摩擦による乾燥や掻痒を効果的に防ぐことができる。
[(A)成分:紫外線吸収剤]
本発明で用いる(A)成分は、紫外線を吸収する効果のあるものを用いることができ、紫外線が皮膚に到達するのを防ぐ効果が期待できる。
紫外線を防御する効果のあるものとしては一般的に、無機粉体である紫外線散乱剤と有機化合物である紫外線吸収剤とに大別できる。無機粉体は、主として散乱・遮断という物理的機構により効果を発揮する。それに対して、有機化合物である紫外線吸収剤は、吸収した光エネルギーをほかのエネルギーに効率的に転換する機構により効果を発揮する。紫外線を防御できる充分な濃度で使用すれば、上記の両基材の紫外線遮断効果は発現する。
無機粉体である紫外線散乱剤としては、安全性の高い無機顔料の酸化チタンや酸化亜鉛などが使用され、光の散乱や遮断という機構から紫外線の波長全域に効果がある。しかしながら、効果発現可能なレベルの量を配合すると、スプレー時に粉体が管に詰まり易くなるばかりか、衣類表面が白化してしまう可能性がある。
一方、有機化合物である紫外線吸収剤はカルボニル基をもつ芳香族化合物であり、短波長で高エネルギーの紫外線を吸収し、長波長の無害な低エネルギーの光線に変換して放出する。少量でも高い紫外線吸収効果を示し、無機粉体のようにスプレー時の目詰まりや、繊維製品上での白化などのトラブルを起こさない。
本発明で用いることのできる好ましい紫外線吸収剤は、スチルベン、ベンゾフェノンまたはベンゾトリアゾールの誘導体化合物である。特に、スチルベン誘導体が好ましい。
スチルベン誘導体は、下記一般式(III)〜(VI)で示されるスチルベン構造を有する化合物である。
Figure 0005307332
(式中、Mは水素、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンから形成される陽イオンであり、R1は水素又はヒドロキシ基であり、R2はC1〜C4アルキル基又はフェニル基であり、Yは−C(=O)−NR3R4(R3及びR4は、互いに独立に水素又はC1〜C4アルキル基である)、−SO2−NR3R4、−C(=O)−NR2又は−C(=O)−OMであり、XはNH、Oであるか又はR2と一緒になってモルホリノ基を示す。)
Figure 0005307332
(式中、Mは水素、アルカリ金属原子、アンモニウムまたはアミンから形成された陽イオンであり、R1は置換されたアリール基、R2は水素、場合によっては置換されたアリール基、モルホリン基、アルキルアミン基、ハイドロキシ基、n1とn2は互いに独立的に0または1である。)
Figure 0005307332
(式中、Mは水素、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンから形成される陽イオンであり、R1は下記で表される基である。
Figure 0005307332
(式中、R2はNH2、N(CH2CH2OH)2など、R3はNR4R5など、R4R5は水素、アルキル基などを示す。))
Figure 0005307332
(式中、R1、R2、R3、R4は、−NR5R6で示される基であり、これらは同一又は異なっていても良い。ここで、R5、R6は、同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子、C1〜C3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基、あるいはR5、R6がヘテロ原子を介在して連結した複素環を形成していても良い。Mは有機又は無機の陽イオンである。)
このうち、式(III)で表されるスチルベン誘導体が好ましい。
本発明において用いることのできるスチルベン誘導体紫外線吸収剤は、具体的には特開平9−3052号公報、特開平10−81672号公報、特開平10−87638号公報の実施例中に記載の化合物があげられる。これらの中でも、チバスペシャリティケミカルズ社製の商品名Tinosorb FD及びTinosorb FRが好ましく、特に好ましくはTinosorb FDである。
ベンゾフェノン誘導体は、下記一般式(VII)で示される重合性ビニルモノマーの単独または共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合物である。
Figure 0005307332
(式中、Rは水素またはメチル基、Xは、−O−、−OCH2CH2O−又は−OCH2CHCH3HO−を示す。)
本発明で用いることのできるベンゾフェノン誘導体としては、一方社油脂工業株式会社から市販されているULS−700等があげられる。
ベンゾトリアゾール誘導体は下記一般式(VIII)で示される重合性ビニルモノマーの単独または共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合物である。
Figure 0005307332
(式中、Yは水素、ハロゲン又はメチル基、R1は水素又はC1〜C6のアルキル基、R2はC1〜C6の直鎖又は分岐状のアルキレン基、R3は水素又はメチル基を示す。)
本発明で用いることのできるベンゾトリアゾール誘導体としては、ULS−1700(一方社油脂工業株式会社)やNCI−905−20EM(株式会社ニッコー化学研究所)等があげられる。
本発明ではまた、ポリアミド−2誘導体も紫外線吸収剤として使用することができる。本発明で用いることのできるポリアミド−2誘導体としては、NALCO社から市販されているSolamer GR8等があげられる。
さらに本発明では、シリコーン誘導体紫外線吸収剤を使用することができる。本発明で用いることのできるシリコーン誘導体紫外線吸収剤としては、DSM社から市販されているPARSOL SLXがあげられる。
(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量% 配合することができる。(A)成分の量がこのような範囲にあると、紫外線吸収効果および経済的な面で好ましい。
[(B)成分:一価アルコールもしくは多価アルコール、グリコールエーテル化合物]
(B)成分は、(A)成分の紫外線吸収剤を均一に適用するために必須である。Daviesの式で表されるHLBが6.5以上9.0未満であるものが好ましく、7.0〜8.0であるものがより好ましい。該HLBがこの範囲内において、紫外線吸収剤の均一塗布性が一層良好である。尚、上記一般式(I)において、R1:2〜4、R2:エチレン基、m=1であるところの所謂セロソルブ類は、危険有害性の点から化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)に基づき、表示対象物質となっているので、好ましくない。一方、mが4以上の場合は上記のHLB範囲をはずれるので、好ましくない。
「Daviesの式で表されるHLB」とは、溶剤の分子を原子団(あるいは官能基)に分割して考え、それぞれの原子団の種類に特有の数値(基数)を加え合わせて計算される親水親油バランスを示し、次式により求められる値を示す。(「油化学辞典」P.372(社団法人・日本油化学会編、丸善(株)、2006年5月30日)から引用)
HLB=Σ(親水基の基数)−Σ(疎水基の基数)+7
以下に、各原子団に特有の基数を例示する(原子団:基数)。
[親水基の例]
−OH:1.9,−O−:1.3,−CH2CH2O−:0.33,−COOH:
2.1
[疎水基の例]
−CH2−,CH3−及び=CH−:0.475
−CH2CH2CH2O−:0.15
(B)成分としては、炭素数2〜6の一価アルコール及び式(I)で表されるグリコールエーテル化合物が好ましい。一価アルコールとしては、炭素数2〜4のものがより好ましい。式(I)で表されるグリコールエーテル化合物としては、R1が炭素数2〜6のアルキル基である化合物がより好ましい。具体的には、Davies式のHLBが上記の好適な範囲に入る水溶性溶剤である、エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘキシレングリコール等が挙げられ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エタノールがより好ましい。
(B)成分の含有量は、組成物全量に対して、通常0.1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%配合することができる。(B)成分の量がこのような範囲にあると、紫外線吸収剤の溶解性および保存安定性の点で好ましい。
[(C)成分:シリコーン化合物]
本発明の組成物は、さらに、(C)シリコーン化合物を含有することができる。
該(C)成分は、(A)成分の均一塗布性を更に向上させると共に、繊維製品に吸着した後に、滑らかさを付与することが可能なシリコーン化合物であれば特に限定されない。一般的に繊維処理に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
該シリコーン化合物の分子構造は直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
該シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。
特にポリエーテル変性シリコーンが(A)成分の均一塗布性および滑り性を向上させる点で好ましい。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして下記一般式(IX)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005307332
式中、−Zは、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hであり、Rは同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基である。−Z としては、−R、−OHが好ましく、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
Xはポリオキシアルキレン基である。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン基等があげられ、これらのうちの1 種が付加したものであってもよく、あるいはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位などの異なった種類のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、いずれの場合であっても、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20 〜35質量%である。
本発明で用いることができるポリエーテル変性シリコーンとして商業的に入手可能な具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
[任意成分:非イオン性界面活性剤]
さらに本発明の組成物には、組成物を安定な状態を保持するため、上記成分に加えて、非イオン性界面活性剤を用いることができ、下記一般式(X)もしくは(XI)で表される非イオン性界面活性剤が好ましい。
5−O−(AO)s−R6 (X)
(式中、R5:前記と同じ意味、AO:オキシエチレン基又はオキシプロピレン基、s:AOの平均付加モル数で、s:2〜100、好ましくは20〜80の数であり、その内、オキシプロピレン基は0もしくは1〜5、の数である。エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム又はブロック付加体の何れであってもよい。R6:Hもしくは炭素数1〜3のアルキル基。)
例えば、炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、オキシエチレン基が平均20〜80モル付加されたものが特に好ましい。
Figure 0005307332
(式中、R5:前記と同じ意味、AO:オキシエチレン基又はオキシプロピレン基、t,u:AOの平均付加モル数で、t+u=2〜100、好ましくは20〜80の数であり、その内、オキシプロピレン基は0もしくは1〜5、の数である。エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム又はブロック付加体の何れであってもよい。)
例えば、炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ有するポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましく、オキシエチレン基が平均20〜80モル付加されたものが特に好ましい。
非イオン性活性剤を含有することにより、保存安定性が一層向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量を基準として、0.01〜20質量%とするのが好ましく、特に0.5〜15質量%、更に1〜10質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を十分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となる。
[任意成分:水]
本発明の組成物を調製するのに使用できる水としては、たとえば水道水、イオン交換水、純水、蒸留水などのいずれも用いることができる。なかでも、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、コスト面も有利なことからイオン交換水が最も好ましい。
[任意成分:香料組成物]
本発明の組成物を調製するのに使用できる香料としては特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
[任意成分:角質水分量増加剤又は経表皮水分損失抑制剤]
肌の保湿効果を高める目的のため、セラミド、尿素などのNMF、ヒアルロン酸、グルコサミノグルカンなどの多糖類、アロエエキスベラなど植物抽出物等を本発明の組成物に添加することができる。配合量は、組成物の全量に対して0.0001〜10質量%であるのが好ましい。
[任意成分:酸化防止剤]
本発明の組成物は、組成物の香気安定性や色調安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、乳濁型液体柔軟剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましく、該酸化防止剤の配合量は、0.01〜1質量%の範囲で使用されることが好ましい。
[任意成分:防腐剤]
防腐剤は、主に長期保存中の組成物の防腐性を保つために使用し、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、0.0001〜1質量%である。
[任意成分:消泡剤、その他添加成分]
本発明の組成物を調製するのに使用できる消泡剤としては、例えば、シリカ等の微粉を含有するジメチルシリコーン等のシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられる。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤、固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準として、0.1ppm〜1質量%とすることができ、さらに好ましくは1ppm〜0.05質量%とすることができる。その他の添加剤として、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、蛍光増白剤、pH調整剤等が挙げられる。
[製造方法]
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、常法に準じて製造することができる。
その一例として、上記の(A)、(B)成分と、好ましくは(C)成分と、任意成分とを、それぞれ所望の配合量になるように、たとえば常温のイオン交換水に溶解し、混合して製造することができる。
[容器]
本発明の組成物を対象となる繊維製品に使用する使用方法としては、特に限定はされないが、家庭においても手軽に実施できる簡便性や、必要量の組成物を繊維製品の必要な部位に重点的に作用できるという経済性の点から、組成物をスプレー容器に収納し、繊維製品に噴霧して使用する方法が好ましい。
スプレー容器としては、エアゾールスプレー容器、トリガースプレー容器(直圧型あるいは蓄圧型)、フィンガースプレー容器等が挙げられるが、後の二者が好ましく、トリガースプレー容器が最も好ましい。トリガースプレー容器の例としては、特開平9−268473号公報(図1)、特開平9−256272号公報(図1)、特開平10−76196号公報(図1)等に記載のものが挙げられる。フィンガースプレー容器の例としては、特開平9−256272号公報(図11)等に記載のものが挙げられる。
また、本発明の組成物は、プラスチック製容器に収納することができる。プラスチック製容器としては、ボトル容器や詰替え用のスタンディングパウチ等が挙げられる。スタンディングパウチとしては、例えば、特開2000−72181号公報に記載のものが挙げられるが、材質としては、内層に100〜250μmの線状低密度ポリエチレン、外層に15〜30μmの延伸ナイロンの二層構造又は15μmの延伸ナイロンを中間層、15μmの延伸ナイロンを外層にした三層構造のスタンディングパウチが保存安定性の点から好ましい。
[使用量]
本発明の組成物を対象となる繊維製品に噴霧して使用する場合の使用量は、繊維製品の質量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。使用量がこの範囲内にあると、紫外線遮断効果とその均一性、及び経済性に優れるので好ましい。
[対象とする繊維製品]
本発明の組成物を使用する対象の繊維製品としては、特に限定されないが、例えば、スポーツウエア、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、等が挙げられる。また、対象とする繊維製品の素材も、特に限定されないが、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
以下に示す原料を用い、各例の繊維製品用水性液体処理剤組成物を配合し、評価した結果を表に示す。但し、表中の配合量は純分換算量を示す。また、イオン交換水の量(残部)は、総量が100%となるように調整した。
Figure 0005307332
Figure 0005307332
Figure 0005307332
Figure 0005307332
<(C−1)の製造方法>
(CH3)3SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し、5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。
[共通成分]
・香料組成物(組成は表4記載):0.01%、
・アロエエキスベラ(一丸ファルコス社製):0.01%
(A)〜(C)成分及び共通成分を用い、表5に示す組成により、また前記した配合方法に従って処理剤組成物を配合した。該処理剤組成物を用いて繊維製品の処理処理を行ったときの、紫外線遮断効果(UPF値)、及びその均一性、滑り性を下記の方法で評価した。
紫外線遮断効果(UPF)及びその均一性の評価
本発明の処理剤組成物を、トリガー容器に充填し処理を行った。トリガー容器は、特開平10−76196号公報等に基本機構が記載されているトリガースプレイヤーを有する花粉ガード(商品名、ライオン株式会社製)を用い、中身を取り出し、よく洗浄し、しっかりと水分を乾かした後に用いた。処理布には30cm四方に裁断した評価布(テスト布 型番437W、テストファブリック社製)を用いた。処理方法としては、洗濯ばさみ2個を用い広げて吊り下げた布に、均一になるよう50% o.w.f.(o.w.f.=処理剤の重量(g)/布の重量(g)×100)噴霧処理を施した。次いで、温度20℃、湿度50%にて12時間乾燥させたのちに、UVメーター(ISO-MET(登録商標))を用いて、布のUPFを測定した。測定は、処理布表面上の異なる部位4箇所(評価布を4等分した夫々の中心部)で行った。尚あらかじめ噴霧前の布のUPFも測定しておき、以下に示す式を用いてΔUPFを算出し、4箇所の平均値を求めた。
1)ΔUPF=噴霧後UPF値−噴霧前UPF値 ・・・・・(式1)
2)紫外線遮断効果の均一性の判定
4箇所測定した部位の変動係数を求め、以下に示す評価基準で判定した。
評価基準
Figure 0005307332
変動係数(CV%)=標準偏差(SD)/平均値
滑り性評価
本発明の処理剤組成物を、トリガー容器に充填し処理を行った。トリガー容器は、花粉ガード(商品名、ライオン株式会社製)を用い、中身を取り出し、よく洗浄し、しっかりと水分を乾かした後に用いた。処理布には30cm四方に裁断した評価布(ポリエステルサテン 谷頭製)を用いた。処理方法としては、洗濯ばさみ2個を用い広げて吊り下げた布に、均一になるよう50% o.w.f.(=処理剤の重量(g)/布の重量(g)×100)噴霧処理を施した。
滑り性の評価は、何も処理していない未処理布を対照として専門パネラー10人による官能一対比較を行い、以下に示す評価基準で評価を行った。
+2:対照よりはっきり良好
+1:対照よりややや良好
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がやや良好
−2:対照の方がはっきり良好
その評点の平均をとり、1.5〜2.0点を◎、1.0以上〜1.4点を○、0.5〜0.9点を△、0.4点以下を×とした。
Figure 0005307332
Figure 0005307332
Figure 0005307332

Claims (7)

  1. 下記(A)成分を0.1〜5質量%と、(B)成分を1〜20質量%とを含有する繊維製品用液体処理剤組成物を、トリガースプレー容器もしくはフィンガースプレー容器に充填してなる繊維製品用液体処理剤物品。
    (A)スチルベン誘導体化合物である紫外線吸収剤、
    (B)下記一般式(I)もしくは(II)で表わされるグリコールエーテル化合物
    1−O−(R2O)m−H (I)
    [式中、R1は、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、mは、平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
    3−O−(R2O)n−R4 (II)
    [式中、R3, R4は、炭素数1又は2のアルキル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、nは、平均付加モル数を表し、1〜3の数である。]
  2. 前記繊維製品用液体処理剤組成物が、さらに、(C)ポリエーテル変性シリコーンを含有する請求項1に記載の繊維製品用液体処理剤物品。
  3. (B)成分が、式(I)で表わされるグリコールエーテル化合物である請求項1又は2記載の繊維製品用液体処理剤物品。
  4. 下記(A)成分を0.1〜5質量%と(B)成分を1〜20質量%とを含有する繊維製品用液体処理剤組成物。
    (A)スチルベン誘導体化合物である紫外線吸収剤、
    (B)下記一般式(I)もしくは(II)で表わされるグリコールエーテル化合物
    1−O−(R2O)m−H (I)
    [式中、R1は、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、mは、平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
    3−O−(R2O)n−R4 (II)
    [式中、R3, R4は、炭素数1又は2のアルキル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、nは、平均付加モル数を表し、1〜3の数である。]
  5. 前記繊維製品用液体処理剤組成物が、さらに、(C)ポリエーテル変性シリコーンを含有する請求項4に記載の繊維製品用液体処理剤組成物。
  6. (B)成分が、式(I)で表わされるグリコールエーテル化合物である請求項4又は5記載の繊維製品用液体処理剤組成物。
  7. (A)成分が、式(III)で表される請求項4〜6のいずれか1項記載の繊維製品用液体処理剤組成物。
    Figure 0005307332
    (式中、Mは水素、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンから形成される陽イオンであり、R1は水素又はヒドロキシ基であり、R2はC1〜C4アルキル基又はフェニル基であり、Yは−C(=O)−NR3R4(R3及びR4は、互いに独立に水素又はC1〜C4アルキル基である)、−SO2−NR3R4、−C(=O)−NR2又は−C(=O)−OMであり、XはNH、Oであるか又はR2と一緒になってモルホリノ基を示す。)
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