JP5305823B2 - 温調装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば共振器を備える光学機器や温度に応じて出力特性が変化する発熱素子を備える電子機器の温度調節に用いるのに好適する温調装置に関する。
一般に、光学機器や電子機器においては、発熱素子である電子部品が多数搭載され、この電子部品の性能を確保するために、電子部品を温度制御する各種の冷却構造が備えられている。そして、このような冷却構造としては、最近の電子部品の性能効率の向上と共に、電子部品の使用形態の多様化等により、これに対応可能な各種の構成のものが提案されている。
このような冷却構造には、発熱素子である電子部品、例えば半導体レーザ等の複数の被温度制御物体を周知のペルチェ素子を用いて高効率な温度制御を実行する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この複数の被温度制御物体は、それぞれペルチェ素子の一方の面に熱的に結合されて配される。そして、この被温度制御物体がそれぞれ熱的に結合された複数のペルチェ素子は、その他方の面が、同一のヒートシンク部材上に熱的に結合されて配置される。
このように、複数の被温度制御物体は、それぞれペルチェ素子を介して独立にヒートシンク部材に熱的に結合されて配置される。この複数のペルチェ素子は、その一方の面に配した温度センサの検出信号に応じて通電状態が可変制御されて、ヒートシンク部材と協働して複数の被温度制御物体を予め定めた温度プロフィルに基づいて大きな熱流束で温度制御を実行する。
特開平8−186205号公報
しかしながら、上記冷却構造では、被温度制御物体毎に独立してペルチェ素子を備える構成上、部品点数が多くなるために、構成が複雑となり、大形となるという不都合を有する。
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、構成簡易にして、発熱素子の安定した迅速な立ち上がり始動を実現し得るようにした温調装置を提供することを目的とする。
この発明は、取付ベースに対してホルダー部材を介して熱的に結合されて配置される発熱素子と、この発熱素子を挟んで同一光学軸上に対向配置され、前記取付ベースに対してホルダー部材を介して熱的に結合されて、前記発熱素子と協働して共振器を構成する第1及び第2の光学部品と、前記発熱素子、前記第1及び第2の光学部品の各ホルダー部材に対して熱的に結合されて配置され、該ホルダー部材をそれぞれ加熱制御する加熱手段と、前記取付ベースを冷却する冷却手段と、この冷却手段を、前記ホルダー部材の少なくとも一つの温度に応じて駆動して前記取付ベースを温度制御する温調制御手段と、前記発熱素子、前記第1及び第2の光学部品の非動状態で、前記加熱手段を駆動制御して前記発熱素子、第1及び第2の光学部品の各ホルダー部材を加熱し発熱素子、前記第1及び第2の光学部品動に応動して前記加熱手段の駆動を停止する発熱制御手段とを備えて温調装置を構成した。
上記構成によれば、取付ベースは、発熱素子、第1及び第2の光学部品の非動状態において、加熱手段により発熱素子、第1及び第2の光学部品各ホルダー部材を介して加熱されると共に、冷却手段により温度制御されることにより、発熱素子、第1及び第2の光学部品の作動時における定常温度状態が維持され、発熱素子、第1及び第2の光学部品動され、これに応動して、加熱手段の駆動が停止されて発熱素子、第1及び第2の光学部品が発熱されると共に、冷却手段による温度制御が行われることにより、取付ベースを含む共振器全体において作動時と同様の定常温度状態が維持される。従って、発熱素子、第1及び第2の光学部品(共振器)の安定した迅速な立ち上り始動が実現されると共に、発熱素子、第1及び第2の光学部品の高効率な熱制御を実現することが可能となる。
以上述べたように、この発明によれば、構成簡易にして、発熱素子の安定した迅速な立ち上がり始動を実現し得るようにした温調装置を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る温調装置を示すもので、取付ベース10には、その一方の面に、例えば共振器を構成する発熱素子である結晶11を挟んで、光学部品である第1及び第2のハーフミラー12,13が、それぞれ結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を介して光学軸を同一にして所定の間隔を有して対向配置されている。この結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13は、それぞれ結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を介して取付ベース10と熱的に結合される。
そして、この結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16には、加熱手段を構成する加熱ヒータ17,18,19がそれぞれ熱的に結合されて取付けられている。この加熱ヒータ17,18,19は、例えば結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13の駆動に伴う熱量と略同等の発熱量を有し、その各信号入力端には、発熱制御手段を構成するヒータ駆動部20が接続されている。
ここで、加熱ヒータ17,18,19は、例えば結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16上に配置したり、結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16の周囲の取付ベース10に配置したり、結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16と取付ベース10の間に挟装配置され、上記結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13に対して熱的に近接させて配置することが好ましい。
上記ヒータ駆動部20には、レーザ発生器21が接続され、このレーザ発生器21からパワー信号が出力されていない非駆動状態(オフ状態)で、ヒータ駆動信号を上記加熱ヒータ17,18,19にそれぞれ選択的に供給する。加熱ヒータ17,18,19は、結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を、レーザ光供給時における結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13の発熱量と同等の熱量を発生するように加熱制御される。そして、レーザ発生器21からパワー信号が出力されると、ヒータ駆動部20は、例えばヒータ駆動電力の供給を停止する。
上記レーザ発生器21は、上記第1のハーフミラー12に対応して設けられ、図示しない制御部からの制御信号に応動して例えば波長Aのレーザ光を第1のハーフミラー12の光軸上に射出する。この波長Aのレーザ光は、第1のハーフミラー12を透過して結晶11に導かれて該結晶11で波長Bに変換されると共に、一部の波長Aのレーザ光が透過されて第2のハーフミラー13に導かれる。
この第2のハーフミラー13では、波長Aのレーザ光が全て反射されて波長Bのレーザ光の一部が出力される。そして、第2のハーフミラー13で反射された波長Aと波長Bの一部のレーザ光は、再び、結晶11を通って第1のハーフミラー12で全反射されて、結晶11、第2のハーフミラー13に順に導かれて、その度毎に、波長Bに変換されて、その一部の波長Bが第2のハーフミラー13から取り出されることで、波長変換の効率が高められる。
また、上記取付ベース10の他方の面には、冷却手段として、例えばペルチェ素子等で構成された冷却器22が熱的に結合されて配置され、この冷却器22には、温調制御手段である温調制御部23が接続されている。そして、この温調制御部23には、温度センサ24の出力端が接続されている。
温度センサ24は、例えば結晶ホルダー部材14に設けられ、該結晶ホルダー部材14の温度を検出して検出信号を上記温調制御部23に出力する。温調制御部23は、温度センサ24の検出信号に基づいて冷却器22を駆動制御して、取付ベース10を所望の温度に温度制御する。
上記構成において、温調制御部23は、レーザ発生器21からパワー信号が出力されていない共振器の非駆動状態で、温度センサ24の検出信号に基づいて冷却器22を駆動制御して、取付ベース10を所望の温度に温度制御し、定常温度状態に設定する。この定常温度状態で、ヒータ駆動部20は、ヒータ駆動電力を加熱ヒータ17,18,19にそれぞれ選択的に供給する。すると、加熱ヒータ17,18,19は、各結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を、レーザ光を供給した共振器の駆動(オン)状態における結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13の発熱量と同等の熱量を発生して、該結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を上記結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13が作動された状態と同様に加熱制御する。
この加熱ヒータ17,18,19の駆動状態において、上記温調制御部23は、温度センサ24の検出信号に基づいて冷却器22を駆動制御して、取付ベース10を、所望の温度に温度制御し、該取付ベース10を上記結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13の作動状態と同等の定常温度状態に設定して維持する。
この定常温度状態において、レーザ発生器21が駆動されて波長Aのレーザ光が出射され、該レーザ光が上述したように結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13に導かれて共振器が駆動される。同時に、レーザ発生器21から波長Aのレーザ光が出射されると、該レーザ発生器21は、パワー信号を、ヒータ駆動部20に出力する。ここで、ヒータ駆動部20は、入力したパワー信号に応動して例えば、加熱ヒータ17,18,19の駆動を停止させる。
このレーザ発生器21が駆動されて共振器が駆動され、加熱ヒータ17,18,19の駆動が停止された状態において、上記温調制御部23は、温度センサ24の検出信号に基づいて冷却器22を駆動して、上記取付ベース10を所望の温度に温度制御し、定常温度状態を維持する。
この定常温度状態において、例えばレーザ発生器21、結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13のアライメント調整が行われて、使用に供される。ここで、上記レーザ発生器21から出射されたレーザ光は、全てが第1のハーフミラー12を透過して結晶11を通過することで、一部が波長Bに変換されると共に、一部の波長Aのレーザ光が透過されて、第2のハーフミラー13に導かれる。この第2のハーフミラー13では、波長Aのレーザ光が全て反射されると共に、波長Bのレーザ光の一部が出力され、以後、結晶11、第1のハーフミラー12との間で同様の光伝送が繰返されて、その度毎に、波長Bに変換され、その一部の波長Bが取り出され、上述したように波長変換の効率が高められる。
このように、上記温調装置は、共振器を構成する結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13を、結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を介して取付ベース10に配置して、この結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16に加熱ヒータ17,18,19を熱的に結合して配置すると共に、取付ベース10に冷却器22を設け、レーザ光を照射していない共振器の非駆動状態で加熱ヒータ17,18,19を駆動して結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を加熱制御すると共に、冷却器22で取付ベース10を温度制御し、レーザ光を照射した共振器の駆動状態で、加熱ヒータ17,18,19の駆動が停止制御されて共振器が発熱されると共に、冷却器22による取付ベース10の温度制御を行うように構成した。
これによれば、共振器の非駆動状態において、加熱ヒータ17,18,19により結晶ホルダー部材14,第1及び第2のミラーホルダー部材15,16が加熱されると共に、取付ベース10が冷却器22により温度制御されることにより、共振器の駆動時における定常温度状態が維持され、レーザ光が発信されて駆動が開始されると、加熱ヒータ17,18,19の駆動が停止制御されると共に、冷却器22による温度制御が継続されることにより、同様の定常温度状態が維持される。この結果、小形化を確保したうえで、温度の影響を受けることなく、共振器の安定した迅速な立ち上り始動が実現される。
なお、上記実施の形態では、共振器が非駆動状態から駆動状態に設定された状態で、加熱ヒータ17,18,19の駆動を停止させるように構成した場合について説明したが、これに限ることなく、その他、例えば図2及び図3に示すように加熱ヒータ17,18,19を駆動制御するように構成してもよく、さらに良好な効果が期待される。但し、この実施の形態の説明においては、上記図1と同一部分について同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
即ち、この実施の形態においては、ステップS1において、共振器の非駆動状態において、冷却器22を、図3に示す時間T1で駆動して取付ベース10を温度制御すると共に、加熱ヒータ17,18,19を駆動して結晶ホルダー部材14、第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を加熱制御して、取付ベース10を共振器の駆動状態と同様の定常温度状態に温度制御する(ステップS2)。そして、ステップS3において、レーザ発生器21が時間T2で駆動されて共振器が作動されると、該レーザ発生器21のパワー信号がヒータ駆動部20に入力される。
すると、ステップS4に移行して、ヒータ駆動部20は、加熱ヒータ17,18,19を、既知の結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13の各発熱量に基づいて上記時間T2から該結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13の発熱量との総発熱量が一定になるように駆動制御して、共振器の発熱量が最大となる時間T3で駆動を停止する(図3参照)。
この際、上記温調制御部23は、冷却器22を温度センサ24の検出信号に基づいて駆動制御して、取付ベース10を定常温度状態に設定する。これにより、さらに、共振器の非駆動状態から駆動状態に設定される切換時における取付ベース10の安定した高精度な温度制御を行うことが可能となる。
また、上記実施の形態では、発熱素子である結晶11を、結晶ホルダー部材14を用いて取付ベース10に配置し、光学部品である第1及び第2のハーフミラー12,13を第1及び第2のミラーホルダー部材15,16を用いて取付ベース10に配置するように構成した場合について説明したが、これに限ることなく、その他、例えば結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13を直接的に取付ベース10に取付け配置するように構成することも可能で、同様に有効な効果が期待される。この場合には、加熱ヒータ17,18,19を、例えば結晶11、第1及び第2のハーフミラー12,13に近接させて直接的に取付ベース10に取付け配置すると共に、取付ベース10の結晶11の近傍を、温度センサ24を用いて検出して、この検出信号に基づいて冷却器22を駆動して取付ベース10の温度制御を行うように構成される。
さらに、上記実施の形態では、発熱素子である結晶11と、光学部品である第1及び第2のハーフミラー12,13を用いて構成した共振器に適用した場合について説明したが、これに限ることなく、その他、発熱素子として、例えば出力特性が、温度に応じて変化するような電子部品の熱制御に適用するように構成してもよい。
この実施の形態においては、電子部品を、駆動前に、所望の出力を得ることのできる温度に設定しておくことができることで、電子部品の安定した立ち上がり始動と共に、容易に高効率な駆動制御が可能となるため、電子部品の有効利用を容易に実現することができる。
よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
例えば実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
この発明の一実施の形態に係る温調装置の構成を示したブロック図である。 この発明の他の実施の形態に係る温調装置の動作手順を説明するために示したフローチャートである。 図2における加熱ヒータ、発熱素子、冷却器の動作関係を説明するために示した特性図である。
符号の説明
10…取付ベース、11…結晶、12,13…第1及び第2のハーフミラー、14…結晶ホルダー部材、15,16…第1及び第2のミラーホルダー部材、17,18,19…加熱ヒータ、20…ヒータ駆動部、21…レーザ発生器、22…冷却器、23…温調制御部、24…温度センサ。

Claims (2)

  1. 取付ベースに対してホルダー部材を介して熱的に結合されて配置される発熱素子と、
    この発熱素子を挟んで同一光学軸上に対向配置され、前記取付ベースに対してホルダー部材を介して熱的に結合されて、前記発熱素子と協働して共振器を構成する第1及び第2の光学部品と、
    前記発熱素子、前記第1及び第2の光学部品の各ホルダー部材に対して熱的に結合されて配置され、該ホルダー部材をそれぞれ加熱制御する加熱手段と、
    前記取付ベースを冷却する冷却手段と、
    この冷却手段を、前記ホルダー部材の少なくとも一つの温度に応じて駆動して前記取付ベースを温度制御する温調制御手段と、
    前記発熱素子、前記第1及び第2の光学部品の非動状態で、前記加熱手段を駆動制御して前記発熱素子、第1及び第2の光学部品の各ホルダー部材を加熱し発熱素子、前記第1及び第2の光学部品動に応動して前記加熱手段の駆動を停止する発熱制御手段と、
    を具備することを特徴とする温調装置。
  2. 前記発熱制御手段は、前記取付ベースが前記発熱素子、前記第1及び第2の光学部品の作動状態と同等の定常温度状態において、前記発熱素子、前記第1及び第2の光学部品の作動に応動して前記加熱手段の駆動を停止制御することを特徴とする請求項1記載の温調装置。
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