以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
すなわち、本明細書では、レーザ加工装置の一例としてレーザマーカについて説明するが、ここに開示する技術は、レーザ加工装置という名称に拘わらず、レーザ応用機器一般に利用することができる。
また、本明細書においては加工の代表例として印字について説明するが、印字加工に限られず、レーザ光を使ったあらゆる加工処理においても利用できる。
<レーザ加工装置Lの全体構成>
図1は、レーザ加工装置Lの概略構成を例示するブロック図である。図1に示すレーザ加工装置Lは、マーカヘッド1から出射されたレーザ光を、被加工物としてのワークWへと照射するととともに、そのワークWの表面上で3次元走査することによって加工を行うものである。
特に、ここに開示するレーザ加工装置Lは、UVレーザ光をパルス発振することができるように構成されている。
図1に示すように、レーザ加工装置Lは、各種装置を制御するためのマーカコントローラ100と、レーザ光を出射するためのマーカヘッド1とによって構成することができるが、マーカコントローラ100及びマーカヘッド1の一方を他方へと組み込んで一体化することができる。
マーカコントローラ100及びマーカヘッド1は、この実施形態においては別体とされており、電気配線を介して電気的に接続されている一方、光ファイバーケーブルを介して光学的に結合されている。なお、マーカコントローラ100及びマーカヘッド1を一体化した場合には、光ファイバーケーブルを介さずとも、空間を介して結合することができる。
また、マーカコントローラ100には、印字設定など、種々の加工条件を設定するための操作用端末(設定部)200を接続することができる。操作用端末200は、液晶ディスプレイ等、使用者に対して情報を表示するための表示部201と、キーボードやマウス等、使用者による操作入力を受け付ける操作部202と、HDD等、情報を記憶するための記憶装置203を備えて成る。操作用端末200は、例えばマーカコントローラ100に組み込んで一体化することができる。この場合は、「操作用端末」ではなく、コントロールユニット等の呼称を用いることもできるが、少なくともこの実施形態においては、互いに別体とされている。
この実施形態に係る操作用端末200を用いた場合、使用者は、操作部202を介して操作入力を行うことにより、印字の内容(マーキングパターン)を決定したり、レーザ光に求める出力(目標出力)や、その走査速度(スキャンスピード)や、1秒間あたりにパルス発振を行う回数(パルス周波数)など、ワークWに対して所望の加工を行うための加工条件を設定したりすることができる。そうして設定された加工条件は、マーカコントローラ100へと出力されて、その条件設定記憶部102において記憶されるようになっている。必要に応じて、操作用端末200の記憶装置203が加工条件を保存してもよい。
そうして設定された加工条件は、マーカコントローラ100へと出力されて、その条件設定記憶部102において記憶されるようになっている。
レーザ加工装置Lには、上述した機器や装置以外にも、操作や制御を行うための装置、その他の各種処理を行うためのコンピュータ、記憶装置、周辺機器等を接続することもできる。この場合の接続は、例えば、IEEE1394、RS-232xやRS-422、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T等のネットワークを介して電気的、あるいは磁気的、光学的に接続する方法等を挙げることができる。また、有線接続以外にも、IEEE802.x等の無線LANやBluetooth(登録商標)等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらにデータの交換や各種設定の保存等を行うための記憶装置に用いる記憶媒体としては、例えば、各種メモリカードや磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等を利用することができる。
なお、レーザ加工装置Lは、マーカコントローラ100、マーカヘッド1及び操作用端末200と、それら以外の各種ユニットや装置、機器を組み合わせたレーザ加工システムとすることもできる。
以下、マーカコントローラ100及びマーカヘッド1それぞれのハード構成について詳細に説明した後に、マーカコントローラ100によるマーカヘッド1の制御に関連した構成について説明する。
<マーカコントローラ100>
マーカコントローラ100は、加工条件を記憶するための条件設定記憶部102と、その加工条件に基づいてマーカヘッド1を制御するための制御部101と、レーザ励起光(励起光)を生成するための励起光生成部110と、を備えている。
(条件設定記憶部102)
条件設定記憶部102は、操作用端末200を介して設定された加工条件を記憶するとともに、必要に応じて、記憶された加工条件を制御部101へと出力するようになっている。
具体的に、条件設定記憶部102は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD等を用いて構成されており、加工条件を示す情報を一時的または継続的に記憶することができる。特に、操作用端末200をマーカコントローラ100に組み込んだ場合には、記憶装置203が、条件設定記憶部102を兼用するように構成することもできる。
(制御部101)
制御部101は、条件設定記憶部102に記憶された加工条件に基づいて、マーカコントローラ100の励起光生成部110や、レーザ光出力部2、レーザ光案内部及びレーザ光走査部4など、マーカヘッド1を成す各部を制御することにより、ワークWの加工を行うよう構成されている。
具体的に、制御部101は、プロセッサ、メモリ、入出力バス等から成り、操作用端末200を介して入力された情報を示す信号や、条件設定記憶部102から読み込んだ加工条件を示す信号に基づいて制御信号を生成するとともに、生成された制御信号をレーザ加工装置Lの各部へと出力することによって、ワークWの加工を制御する。
例えば、制御部101は、ワークWの加工を開始するときには、条件設定記憶部102に記憶された目標出力を読み込んで、その目標出力に関して生成された制御信号を励起光源駆動部112へと出力し、レーザ励起光の生成を制御する。
また、図1においては省略したが、制御部101は、条件設定記憶部102に記憶されたパルス周波数と、所定のデューティ比とに基づいて生成した制御信号を後述のQスイッチ23へと出力し、UVレーザ光のパルス発振を制御する。
(励起光生成部110)
励起光生成部110は、駆動電流に応じたレーザ励起光(励起光)を生成する励起光源111と、その励起光源111へと駆動電流を供給する励起光源駆動部(図1中では、「LD駆動部」と記載)112と、励起光源111に対して光学的に接合された励起光集光部113と、励起光源111へと供給するべき駆動電流を決定するためのテーブル記憶部(対応関係記憶部)114と、を備えている。励起光源111と励起光集光部113とは、不図示の励起ケーシング内に固定されており、光学的に結合されている。詳細は省略するが、この励起ケーシングは、熱伝導性に優れた銅等の金属で構成されており、励起光源111を効率良く放熱することができる。
また、励起光生成部110は、前述の加工条件の一として設定されるUVレーザ光の目標出力と、励起光源111へと供給するべき駆動電力との間の対応関係を記憶したテーブル記憶部114(対応関係記憶部)も備えている。この実施形態では、テーブル記憶部114は励起光源駆動部112に対して電気信号を送受するように接続されているが、制御部101との間で信号を送受するように構成してもよい。
以下、励起光生成部110の各部について順番に説明をする。
励起光源駆動部112は、制御部101から出力された制御信号に基づいて、励起光源111へと駆動電流を供給する。詳細なフローについては後述するが、励起光源駆動部112は、制御部101が決定した目標出力と、テーブル記憶部114に記憶された対応関係とを用いることにより、励起光生成部110へと供給するべき駆動電流を決定する。励起光源駆動部112は、そうして決定された駆動電流を励起光源111へと供給するようになっている。なお、テーブル記憶部114を制御部101に対して接続した場合、駆動電流を決定する処理は、励起光源駆動部112ではなく、制御部101が行うようにしてもよい。
励起光源111は、励起光源駆動部112から駆動電流が供給されるとともに、その駆動電流に応じた励起光を生成するように構成されている。励起光源111によって生成される励起光の出力は、駆動電流が大きくなるにしたがい増加する。具体的に、励起光源111は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等で構成されており、複数のLD素子を直線状に並べたLDアレイやLDバーを使用することができる。励起光源111としてLDアレイやLDバーを用いた場合、各素子からのレーザ発振は、ライン状に出力されて、励起光集光部113へと入射される。
励起光集光部113は、励起光源111から出力されたレーザを集光するとともに、レ-ザ励起光(励起光)として出力するように構成されている。具体的に、励起光集光部113は、フォーカシングレンズ等で構成可能とされており、レーザ発振が入射する入射面と、レ-ザ励起光を出力する出射面と、を有している。励起光集光部113は、マーカヘッド1に対し、前述の光ファイバーケーブルを介して光学的に結合されている。よって、励起光集光部113から出力されたレーザ励起光は、その光ファイバーケーブルを通じてマーカヘッド1へと導かれるようになっている。
テーブル記憶部114は、加工条件の一として設定される目標出力と、励起光源111へと供給するべき駆動電流との間の対応関係を記憶するように構成されている。具体的に、テーブル記憶部114には、目標出力と、駆動電流との間の対応関係を記憶した電流テーブルが記憶されており、励起光源駆動部112が目標出力に対応した駆動電流を読み込むことで、励起光源111へと供給する駆動電流を決定するよう構成されている。
なお、テーブル記憶部114に代えて、目標出力を引数として駆動電流を算出するような計算式を記憶させる計算式記憶部を設けてもよい。そうした計算式記憶部とテーブル記憶部114とは、目標出力と駆動電流との対応関係を記憶しているという点で、双方とも対応関係記憶部を例示している。
励起光生成部110は、励起光源駆動部112、励起光源111、励起光集光部113及びテーブル記憶部114のような部材を予め組み込んだLDユニット或いはLDモジュールとすることができる。また、励起光生成部110から出射される励起光(具体的には、励起光集光部113から出力されるレーザ励起光)は、無偏光とすることができ、これにより偏光状態の変化を考慮する必要が無く、設計上有利となる。特に、励起光源111周辺の構成については、複数のLD素子を数十個配列したLDアレイから各々得られる光を光ファイバーでバンドルして出力するLDユニット自体に出力光を無偏光とする機構を備えることが好ましい。
<マーカヘッド1>
前記のように、励起光生成部110により生成されたレーザ励起光は、光ファイバーケーブルを通じてマーカヘッド1へと導かれる。マーカヘッド1は、レーザ励起光に基づいて、UVレーザ光を生成して出力するレーザ光出力部2と、レーザ光出力部2から出力されたUVレーザ光をワークWの表面へと照射して2次元走査を行うレーザ光走査部4と、レーザ光出力部2からレーザ光走査部4へと至る光路を構成するレーザ光案内部3と、を備えた構成とされている。
図2~図3は、マーカヘッド1の外観を例示する斜視図である。図2~図3に示すように、マーカヘッド1は、レーザ光出力部2、レーザ光案内部3及びレーザ光走査部4等を固定するための筐体10を備えている。この筐体10は、図2~図3に示すような略直方状の外観を有しており、その短手方向の一側面には、後述の乾燥剤Dmを交換するための交換用蓋部18が着脱可能に取り付けられている。対して、図2に示すように、筐体10の下面には、マーカヘッド1からUVレーザ光を出射するための出射窓部19が設けられている。交換用蓋部18と出射窓部19の構成については後述する。
図4は、マーカヘッド1の内部構造を示す図である。筐体10の内部には、図4に示すような仕切部11が設けられている(図21及び図29も参照)。筐体10の内部空間は、その仕切部11によって長手方向の一側と他側とに仕切られている。
なお、以下の記載において、「筐体10の長手方向」とは、図4の紙面左右方向を指し、図4の紙面左側を「長手方向一側」と呼称する一方、同図の紙面右側を「長手方向他側」と呼称する。同様に、「筐体10の短手方向」とは、図4の紙面に面直な方向を指し、図4の紙面手前側を「短手方向一側」と呼称する一方、同図の紙面奥側を「短手方向他側」と呼称する。
また、以下の記載において、「筐体10の長手方向(短手方向)」を単に「長手方向(短手方向)」と呼称したり、図2に示すように、他の図においても、これらに対応する方向を「長手方向」又は「短手方向」と呼称したりする場合がある。
また、以下の記載において、「上下方向」とは、図4の紙面上下方向に等しい。他の図においても、これに対応する方向を「上下方向」と呼称する場合がある。
具体的に、仕切部11は、筐体10の長手方向に対して垂直な方向へと延びる平板状に形成されている。また、仕切部11は、筐体10の長手方向においては、同方向の中央部よりも一側(図4の紙面左側)に寄せた配置とされている。よって、筐体10の長手方向一側に仕切られるスペースは、仕切部11の配置を一側に偏らせた分だけ、その他側に仕切られるスペースよりも、長手方向の寸法が短くなっている。以下、後者のスペースを第1スペースS1と呼称する一方、前者のスペースを第2スペースS2と呼称する。
この実施形態では、第1スペースS1の内部にはレーザ光出力部2とレーザ光走査部4が固定されている一方、第2スペースS2の内部にはレーザ光案内部3が固定されている。
詳しくは、第1スペースS1は、略平板状のベースプレート12によって、短手方向の一側と他側とに仕切られている。レーザ光出力部2の構成要素は、主に、ベースプレート12に対して短手方向一側の空間に配置可能とされている。
さらに詳しくは、この実施形態では、レーザ光出力部2を構成する部品のうち、凹レンズ28bや、波長変換素子を成す光学結晶など、可能な限り気密状に密閉することが求められる光学部品については、仕切り部11やベースプレート12等によって包囲された収容空間(具体的には、波長変換部2Bの内部空間)において、密閉状態で収容されている。対して、電気配線やヒートシンク(不図示)など、必ずしも密閉することが求められない部品については、ベースプレート12を挟んで短手方向他側に配置されている。
また、図4に示すように、レーザ光走査部4は、レーザ光出力部2を成す光学部品と同様に、短手方向の一側に配置することができる(図21も参照)。具体的に、この実施形態に係るレーザ光走査部4は、長手方向においては前述の仕切部11に隣接するとともに、上下方向においては筐体10の内底面の上に配置されている。
前述のように、レーザ光案内部3は、第2スペースS2に配置されている。この実施形態では、レーザ光案内部3を構成する部品のうち、第1ベンドミラー32など、密閉することが求められる光学部品については、仕切部11とZ室カバー31により包囲されたZ室Szによって気密状に収容されている。対して、ガイド光源35やカメラ36など、必ずしも密閉することが求められない部品については、そのZ室Szの外部に配置されている。
また、筐体10の後面には前述の光ファイバーケーブルが接続されており、この光ファイバーケーブルは、第1スペースS1内に配置されたレーザ光出力部2へと繋がっている。
以下、レーザ光出力部2、レーザ光案内部3及びレーザ光走査部4の構成について順番に説明をする。
(レーザ光出力部2)
レーザ光出力部2は、励起光生成部110により生成されたレーザ励起光に基づいてUVレーザ光を生成するとともに、そのUVレーザ光をレーザ光案内部3へと出射するように構成されている。
図5は、レーザ光出力部2の構成を例示する図であり、図6は、レーザ光出力部2における光学部品のレイアウトを例示する図である。図5~図6に示すように、本実施形態に係るレーザ光出力部2は、主として、レーザ励起光に基づいて生成された基本波をパルス発振可能なQスイッチ収容部2Aと、Qスイッチ収容部2Aから出力された基本波を波長変換するための波長変換部2Bと、を含んだ構成とされている。
また、レーザ光の増幅に用いられる共振器は、Qスイッチ収容部2Aに収容された第1反射ミラー(第1ミラー、反射ミラー)21と、波長変換部2Bに収容された第2反射ミラー(第2ミラー、反射ミラー)22とによって構成することができる。つまり、この実施形態においては、レーザ光を増幅するための共振光路は、Qスイッチ収容部2Aから波長変換部2Bにわたって構成されている。
Qスイッチ収容部2A及び波長変換部2Bは、双方とも、ベースプレート12と、そのベースプレート12に立設された側壁部13と、ベースプレート12及び側壁部13によって囲われた空間を閉じる蓋部14と、によって包囲されている。なお、蓋部14は、本実施形態では、Qスイッチ収容部2Aを覆う部分と、波長変換部2Bを覆う部分とが別体で構成されているが、両部分が一体で構成されてもよい。
具体的に、ベースプレート12は、後述の各種部品を取り付けるための支持面を構成している。側壁部13は、そのベースプレート12に対して面直に立設されており、ベースプレート12に取り付けられた部品を側方から取り囲むように形成されている。特に、図5に示す側壁部13は、Qスイッチ収容部2Aに収容された部品と、波長変換部2Bに収容された部品とを互いに隔てるような形状とされている。すなわち、同図に示すように、Qスイッチ収容部2Aは、長手方向の他側(図5の紙面右側)に区画されている一方、波長変換部2Bは、長手方向の一側(図5の紙面左側)に区画されている。側壁部13のうち、長手方向の略中央部に立設された部位は、略上下方向に沿って延びており、Qスイッチ収容部2Aと波長変換部2Bとによって共有されている。
この実施形態では、図5に示すように、ベースプレート12と側壁部13とによって、短手方向の一側に向かって開放した空間が区画されるようになっている。その空間は、蓋部14によって閉塞可能とされている(図4を参照)。この蓋部14は、少なくとも波長変換部2Bを密閉するようになっており、図4~図6に示す例では、波長変換部2BとQスイッチ収容部2Aをそれぞれ別部材で密閉するようになっている。
波長変換部2Bを密閉するべく、図5に示す実施形態では、ベースプレート12と側壁部13とによって囲われた空間の開口縁には、樹脂等から成るシール部材20aが設けられている。このシール部材20aは、側壁部13と蓋部14によって挟持可能とされており、シール部材20aに対して蓋部14を密着させることで、ハウジング20の内部空間を密閉することができる。Qスイッチ収容部2Aの開口縁にも、同様に密閉するためのシール部材20bが設けられている。
Qスイッチ収容部2Aは、励起光生成部110により生成された励起光が入射可能な入射部24を有するとともに、少なくともQスイッチ23および第1反射ミラー21を収容することができる。
具体的に、この実施形態に係るQスイッチ収容部2Aは、励起光生成部110により生成されたレーザ励起光が入射可能な入射部24と、そのレーザ励起光に基づいて基本波を生成するレーザ媒質25と、マーカコントローラ100から入力される制御信号に基づいて、レーザ媒質25にて生成された基本波をパルス発振させるQスイッチ23と、レーザ媒質25により生成された基本波を反射するための第1反射ミラー21と、を気密状に収容して成る。これらの部品のうち、少なくともレーザ媒質25については、Qスイッチ収容部2A及び波長変換部2Bのいずれかに収容すればよい。
対して、波長変換部2Bは、レーザ媒質25により生成された基本波を透過可能な透過窓部15と、この波長変換部2Bにおいて生成されたUVレーザ光を出射可能な出力窓部16とが形成されたハウジング20を有する。波長変換部2Bは、そのハウジング20によって包囲される内部空間により、少なくとも、レーザ媒質25により生成された基本波が入射されるとともに、該基本波の波長よりも高い波長を有する第2高調波を生成する第1波長変換部(第1波長変換素子)26と、その第2高調波よりも高い波長を有する第3高調波を生成する第2波長変換部(第2波長変換素子)27と、第2高調波及び前記第3高調波のうちの少なくとも一方を反射するための第2反射ミラー22とを気密状に収容して成る。
具体的に、図4~図6に示す実施形態では、ハウジング20は、前述のベースプレート12と、側壁部13と、蓋部14とによって構成されており、透過窓部15と出力窓部16は、双方とも側壁部13に設けられている。
前述のように、Qスイッチ収容部2Aと波長変換部2Bとは側壁部13によって隔てられているため、その側壁部13に透過窓部15を設けることで、Qスイッチ収容部2Aにおける第1反射ミラー21と波長変換部2Bにおける第2反射ミラー22とによって構成される共振器は、その透過窓部15を経由するような共振光路を成すようになっている。
また、波長変換部2Bは、そうしたハウジング20が成す内部空間によって、少なくとも第3高調波を共振光路から分離させるためのレーザ光分離部28と、ビームエキスパンダ29とを密閉することもできる。
特に、図6に示す例では、レーザ光出力部2は、いわゆるイントラキャビティ式のレーザ発振器として構成されている。すなわち、第1反射ミラー21から第2反射ミラー22へと至る途中には、Qスイッチ23と、入射部24を成す折返ミラー24bと、レーザ媒質25と、透過窓部15と、レーザ光分離部28を成す第1セパレータ28aと、第2波長変換素子27と、第1波長変換素子26とが順番に配置されている。
ここで、折返ミラー24bは、励起光生成部110によって生成された励起光の光軸と、共振光路の光軸とを合流させるように配置されている。また、第1セパレータ28aは、少なくとも第3高調波を含んだレーザ光を、第1反射ミラー21と第2反射ミラー22とを結んだ共振光路から分離させるように配置されている。
以下、レーザ光出力部2に関連した構成について順番に説明する。
-第1反射ミラー21-
第1反射ミラー21は、Qスイッチ収容部2Aに収容されており、少なくとも基本波を反射するように構成されている。前述の如く、この第1反射ミラー21は、第2反射ミラー22とともに共振器を構成している。なお、この実施形態では、第1反射ミラー21は、基本波を反射するような全反射ミラーとされている。
-第2反射ミラー22-
第2反射ミラー22は、波長変換部2Bに収容されており、少なくとも基本波を反射するように構成されている。第2反射ミラー22は、第1反射ミラー21とともに共振器を構成している。なお、この実施形態では、第2反射ミラー22は、基本波ばかりでなく、第2高調波と第3高調波も反射するような全反射ミラーとされている。
-Qスイッチ23-
Qスイッチ23は、Qスイッチ収容部2Aに収容されており、レーザ媒質25にて生成された基本波をパルス発振させるよう構成されている。具体的に、Qスイッチ23は、共振光路の光軸上に位置するように配設されており、レーザ媒質25と第1反射ミラー21との間に介在している。Qスイッチ23を用いることで、連続発振を尖頭出力値(ピーク値)の高い高速繰返しパルス発振に変えることが可能となる。また、Qスイッチ23には、これに印加するRF信号を生成するQスイッチ制御回路が接続されている。このレーザ光出力部2は、レーザ媒質25から誘導放出された光子から成るレーザ光を、第1反射ミラー21と第2反射ミラー22との間で多重反射により増幅して、レーザ光分離部28を経てレーザ光を出力する。
すなわち、Qスイッチ23を仮にオン状態にすると、Qスイッチ23へ入射したレーザ光は、偏向されて共振光路から分離される。この場合、レーザ光の多重反射が規制された結果、後記レーザ媒質25において反転分布の生成が促される。
そして、Qスイッチ23を所定期間にわたってオン状態にしてからオフ状態に切り替えると、レーザ光は、多重反射により増幅される。この場合、高出力なレーザ光がパルス発振することになる。
こうして、Qスイッチ23のオンオフを周期的に切り替えることにより、前述の如き高速繰り返しパルス発振を行うことができる。そうしたパルス発振を制御するための制御量としては、例えば、Qスイッチ23をオン状態にする期間(オン時間)と、オフ状態にする期間(オフ時間)との比率に関連したデューティ比が挙げられる。このデューティ比が大きいときには、小さいときよりもQスイッチ23をオン状態にする期間が長くなる。この場合、反転分布の生成が促進されて、パルス発振の出力値(例えば、レーザ光のパルスエネルギー)が大きくなる。また、パルス発振を制御するための別の制御量としては、Qスイッチがオンオフを繰り返す頻度を示すQスイッチ周波数が挙げられる。Qスイッチ周波数を高めることで、単位時間当たりに出射されるパルス発振の個数が増大することになる。
-入射部24-
入射部24には、励起光生成部110か延びる光ファイバーケーブルが接続されている。すなわち、この光ファイバーケーブルの一端部は、励起光集光部113に接続されている一方、その他端部は、Qスイッチ収容部2Aに収容された入射部24に接続されている。入射部24から入射したレーザ励起光は、レーザ媒質25へと至るようになっている。
ここで、図5~図6に示す例では、入射部24とレーザ媒質25との間には、集光部24aと折返ミラー24bとが介在している。集光部24aは、2枚一組の光学レンズによって構成されており、光ファイバーケーブルを伝搬して入射したレーザ励起光を集光して折返ミラー24bへと導くようになっている。
対して、折返ミラー24bは、いわゆるハーフミラーとして構成されており、入射部24から集光部24aを経てレーザ媒質25へと至る方向に伝搬するレーザ光(具体的には、レーザ励起光)については透過させる一方、それとは逆向きに伝搬するレーザ光(具体的には、基本波)については全反射するようになっている。折返ミラーにより全反射されたレーザ光は、後述の如く、Qスイッチ23(具体的には、オフ状態とされたQスイッチ23)を通過して第1反射ミラー21へと至る。
-レーザ媒質25-
レーザ媒質25は、反転分布を形成可能なレーザ媒質とされており、その媒質にレーザ励起光が入射したときに、入射したレーザ励起光に対応した誘導放出を行うように構成されている。誘導放出によって放出される光子の波長(いわゆる基本波長)は、レーザ媒質25の構成に応じて増減するものの、この例では1μm前後の赤外域にある。
この実施形態では、レーザ媒質25としてロッド状のNd:YVO4(イットリウム・バナデイト)を用いた。ロッド状とされたレーザ媒質25の一端面からレーザ励起光が入射するとともに、その他端面から基本波長を有するレーザ光(いわゆる基本波)を出射するようになっている(いわゆるエンドポンピングによる1方向励起方式)。この例では、基本波長は1064nmに設定されている。一方、レーザ励起光の波長は、誘導放出を促すべく、Nd:YVO4の吸収スペクトラムの中心波長付近に設定されている。ただし、この例に限らず、他のレーザ媒質として、例えば希土類をドープしたYAG、YLF、GdVO4等を用いることもできる。レーザ加工装置Lの用途に応じて、様々な固体レーザ媒質を用いることができる。
また、固体レーザ媒質に波長変換素子を組み合わせて、出力されるレーザ光の波長を任意の波長に変換することもできる。その場合、図6とは異なり、レーザ媒質25は、波長変換部2Bに収容されてもよい。また、固体レーザ媒質としてバルクに代わってファイバーを発振器として利用した、いわゆるファイバーレーザを利用してもよい。
さらにまた、マーカヘッド1は、固体レーザに限られず、CO2やヘリウム-ネオン、アルゴン、窒素等の気体を媒質としても用いる気体レーザを利用してもよい。例えば、炭酸ガスレーザを用いた場合のレーザ媒質は、その内部に炭酸ガス(CO2)が充填され、電極を内蔵しており、レーザ制御装置から入力された印字信号に基づいて炭酸ガスを励起することにより、レーザを発振する。
さらにまた、レーザ光出力部2は、固体レーザ媒質を用いた励起方式として、前述の1方向励起方式にかえて、固体レーザ媒質の前後の各端面から励起光照射する2方向励起方式を利用することもできる。
-第1波長変換素子26-
第1波長変換素子26は、第2高調波を生成可能な非線形光学結晶とされており、基本波が入射したときに、その基本波の周波数を2倍にして第2高調波として出射する(Second Harmonic Generation:SHG)ように構成されている。すなわち、第1波長変換素子26に対して基本波を入射させたときに生成されるレーザ光の波長は、500nm前後の可視光域にある。特に本実施形態では、第2高調波の波長は532nmに設定されている。
一般に、第1波長変換素子26による基本波の変換効率は100%を下回る。そのため、第1波長変換素子26に入射した基本波の少なくとも一部は、第1波長変換素子26によって変換されずに出射される。したがって、第1波長変換素子26に基本波を入射させると、基本波と第2高調波を含んだレーザ光が出射されるようになっている。
なお、この実施形態では、第1波長変換素子26としてLBO(LiB3O3)を用いた。ただし、この例に限らず、第1波長変換素子26として、KTP(KTiPO4)、有機非線形光学材料や、他の無機非線形光学材料、例えばKN(KNbO3)、KAP(KAsPO4)、BBO(β-BaB2O4)、LBO(LiB3O5)や、バルク型の分極反転素子(LiNbO3(Periodically Polled Lithium Niobate:PPLN)、LiTaO3等)を利用してもよい。また、Ho、Er、Tm、Sm、Nd等の希土類をドープしたフッ化物ファイバを用いたアップコンバージョンによるレーザの励起光源用半導体レーザを用いることもできる。このように、本実施形態においては、様々なタイプの光学材料を利用することができる。
-第2波長変換素子27-
第2波長変換素子27は、第3高調波を生成可能な非線形光学結晶とされており、基本波と第2高調波とが入射したとき(特に、基本波と第2高調波の伝搬方向が等しいとき)に、その基本波の3倍の周波数を有する第3高調波に変換して出射する(Third Harmonic Generation:THG)ように構成されている。すなわち、第2波長変換素子27に対して基本波と第2高調波を入射させたときに生成されるレーザ光の波長は、350nm前後の紫外域(具体的には、可視光域と紫外域との境界付近)にある。特に本実施形態では、第3高調波の波長は355nmに設定されている。
一般に、第2波長変換素子27による基本波の変換効率は100%を下回る。そのため、第2波長変換素子27に入射した基本波と第2高調波それぞれの少なくとも一部は、第2波長変換素子27によって変換されずに出射される。したがって、第2波長変換素子27に基本波と第2高調波を入射すると、基本波と第2高調波と第3高調波が混在したレーザ光が出射されるようになっている。
なお、この実施形態では、第2波長変換素子27としてLBO(LiB3O3)を用いた。ただし、この例に限らず、第1波長変換素子26として、KTP(KTiPO4)、有機非線形光学材料や、他の無機非線形光学材料など、様々なタイプの光学材料を利用することができる。
-レーザ光分離部28-
レーザ光分離部28は、波長変換部2Bに収容されており、レーザ光の共振光路から第3高調波を分離して、レーザ光出力部2から出射させるように構成されている。
図5~図6に示すように、この実施形態におけるレーザ光分離部28は、複数の光学部品から構成されており、レーザ光から第2及び第3高調波をレーザ光分離部28抽出するための第1セパレータ(出力ミラー)28aと、第2及び第3高調波から成るレーザ光のビーム径を整えるための凹レンズ28bと、レーザ光から第3高調波を抽出するための第2セパレータ(反射ミラー)28cと、不要な第2高調波を減衰させるための減衰部28dとを含んだ構成とすることができる(図9も参照)。
第1セパレータ28aは、いわゆるビームスプリッターであって、基本波を透過させる一方で、第2高調波と第3高調波を反射するように構成されている。この第1セパレータ28aは、第1反射ミラー21と第2反射ミラー22とを結んだ共振光路の光軸と交わるように配置されており、その光軸に対して、略45度傾斜した姿勢とされている。
凹レンズ28bは、第1セパレータ28aによって反射されたレーザ光、つまり、共振光路から分離したレーザ光を透過させることにより、その透過したレーザ光のビーム径を拡大させるように構成されている。この構成例では、凹レンズ28bは、第1セパレータ28aと第2セパレータ28cとの間に介在しているものの、そのような配置には限定されない。例えば、第2セパレータ28cを透過した後のレーザ光が通過するように配置してもよい。
第2セパレータ28cは、第1セパレータ28aに類似したビームスプリッターであって、第2高調波を透過させる一方で、第3高調波を反射するように構成されている。この第2セパレータ28cは、凹レンズ28bを通過したレーザ光の光軸と交わるように配置されており、その光軸に対して、略45度傾斜した姿勢とされている。
減衰部28dは、第2セパレータ28cを透過したレーザ光、つまり、第2高調波を減衰させるように構成されている。この構成例では、減衰部28dは、第2高調波を多重反射によって減衰させる。
-ビームエキスパンダ29-
ビームエキスパンダ29は、複数枚の光学レンズによって構成されており、第2セパレータ28cによって反射された第3高調波を入射させるとともに、後述のZスキャナ33へ入射するのに適するように、レーザ光のビーム径を整えるように構成されている。
また、この構成例では、第2セパレータ28cと、ビームエキスパンダ29を成す2枚の光学レンズと、ハウジング20の出力窓部16とは、第2セパレータ28cによって反射された第3高調波が成す光路上において、この順番で配置されている。これらの構成要素は、筐体10の上下方向においては、若干、上側に配置されている。
なお、詳細は省略するが、ビームエキスパンダ29と出力窓部16との間には、レーザ光の一部を分離させるためのビームサンプラーが配置されている。このビームサンプラーの下流には、レーザ光の出力を検出するパワーモニタが設けられており、その検出信号がマーカコントローラ100の制御部101へと出力されるようになっている。
なお、レーザ光のビーム径を拡大する必要がない場合は、ビームエキスパンダ29を省略することもできる。
(レーザ共振)
図5~図6に示すように、入射部24から入射したレーザ励起光は、Qスイッチ収容部2Aにおいて、折返ミラー24bを透過してレーザ媒質25の一端面へと入射する。そして、そのレーザ励起光に基づき出射された基本波は、透過窓部15を透過して波長変換部2Bへと入射する。
続いて、波長変換部2Bへと入射した基本波は、第1セパレータ28aを透過した後、第2波長変換素子27を素通りして、第1波長変換素子26へと入射する。第1波長変換素子26において、基本波の一部が第2高調波へと変換される。よって、第1波長変換素子26は、基本波と第2高調波とが混在したレーザ光を出射する。そのレーザ光は、第2反射ミラーにおいて全反射されて、ここまでの光路を逆向きに辿る。
そうして、再び第1波長変換素子26へと入射したレーザ光は、第1波長変換素子26において第2高調波が再度生成された後、第2波長変換素子27へと入射する。第2波長変換素子27において、基本波と第2高調波の一部が第3高調波へと変換される。よって、第2波長変換素子27は、基本波と第2高調波と第3高調波とが混在したレーザ光を出射する。そのレーザ光が第1セパレータ28aへ至ると、第2高調波と第3高調波は、その第1セパレータ28aにより反射されて共振光路から分離する一方、基本波は、第1セパレータ28aを透過して透過窓部15へと至る。
ここで、第1セパレータ28aによって分離された第2及び第3高調波は、凹レンズ28bを通過した後、第2セパレータ28cへと至る。第2セパレータ28cは、第2高調波を透過させて減衰部28dへと導く一方、第3高調波を反射してビームエキスパンダ29へと導く。ビームエキスパンダ29へと導かれた第3高調波は、そのビーム径が整えられた上で、出力窓部16を介してUVレーザ光として出射される。
一方で、第1セパレータ28aを透過して透過窓部15へと至った基本波は、その透過窓部15を通過した後、レーザ媒質25を介して折返ミラー24bへと至る。前述の如く、折返ミラー24bは、このようにして伝搬した基本波を反射してQスイッチ23へと導く。Qスイッチ23へと導かれた基本波は、そのQスイッチ23がオン状態にあるときには、偏向されて共振光路から分離される。前述のように、この場合には、出力ゼロ、又は極低出力の連続波(Continuous Wave:CW)が発振することになる。
対して、Qスイッチ23がオフ状態にあるときには、Qスイッチ23を通過して第1反射ミラー21へと至る。第1反射ミラー21において反射された基本波は、Qスイッチ23を再度通過した後、折返ミラー24bによって反射されてレーザ媒質25へと入射する。レーザ媒質25へと入射した基本波は、再び波長変換部2Bへと入射することになる。
このような行程を繰り返すことにより、第1反射ミラー21と第2反射ミラー22との間で基本波が多重反射した結果、レーザ光が増幅されることになり、Qスイッチ23のオンオフ制御と相俟って、高出力のUVレーザが断続的にパルス発振することになる。
(光学部品の温調に関連した構成)
ところで、第1波長変換素子26と第2波長変換素子27によるレーザ光の変換効率を確保するためには、それらを適切に温調することが求められる。
そこで、レーザ光出力部2は、マーカコントローラ100から入力される制御信号に基づいて、第1及び第2波長変換素子26、27が所定の目標温度に保たれるように、第1及び第2波長変換素子26、27の温度を調節する素子側温調部を備えている。
具体的に、素子側温調部は、第1波長変換素子26の温度を調節可能な第1温調部5と、第2波長変換素子27の温度を調節可能な第2温調部6と、を有して成る。第1温調部5と第2温調部6は、双方とも、ハウジング20の外部(すなわち、ハウジング20によって包囲された内部空間の外部)に配置されている。
第1温調部5と、第2温調部6とは、互いに独立して制御されるように構成されている。すなわち、第1温調部5及び第2温調部6の各々には、ペルチェ素子など、温度を調節するための部材が個別に設けられており、そうした部材に対して別々の制御信号(ペルチェ素子を用いた場合は電流(制御電流))を送ることができる。
特に、この実施形態においては、第1波長変換素子26と第1温調部5とがユニット化されている一方、第2波長変換素子27と第2温調部6とがユニット化されている。以下の記載では、前者を「SHGユニット」と呼称する一方、後者を「THGユニット」と呼称する。
また、第1及び第2波長変換素子26、27と、レーザ光分離部28における第1及び第2セパレータ28a、28cとの温度差を低減するという観点から、レーザ光分離部28を温調することも求められる。
そこで、レーザ光出力部2は、マーカコントローラ100から入力される制御信号に基づいて、第1及び第2波長変換素子26、27の目標温度に応じて規定された所定の温度範囲に収まるように、レーザ光分離部28において少なくとも第1セパレータ28aの温度を調節する出力ミラー温調部7を備えている。
具体的に、この実施形態では、出力ミラー温調部7は、レーザ光分離部28を構成する光学部品のうち、第1セパレータ28a、凹レンズ28b及び第2セパレータ28cの温度をまとめて調節するように構成されている。なお、これらの温度を個別に調整してもよい。
特に、この実施形態では、レーザ光分離部28と出力ミラー温調部7とがユニット化されている。以下の記載では、このユニットを「レーザ光分離ユニット」と呼称する。
以下、SHGユニット、THGユニット及びレーザ光分離ユニットの構成について、順番に説明をする。
-SHGユニット-
図7は、SHGユニットの構成を例示する断面図である。同図に示すように、このSHGユニットは、ベースプレート12の上に支持されたペルチェベース51と、そのペルチェベース51に対して複数の位置決めピン(不図示)を介して支持された結晶保持部材53と、結晶保持部材53の上に載置された第1波長変換素子26と、結晶保持部材53に対して第1波長変換素子26を固定するための結晶押え部材54とによって構成されている。第1温調部5は、ペルチェベース51と、前記結晶保持部材53との間に挟持されている。また、第1温調部5に接続されるハーネス56は、ペルチェベース51とベースプレート12に設けられた貫通孔51a,12aを介して、ハウジング20の外部から接続されている。
なお、SHGユニットに関連した説明において、“上”とは、図7の紙面上での“上”に相当する。ここでいうところの上側は、前述の短手方向一側に等しい。
ペルチェベース51は、矩形板状に形成されており、ネジ等によって、ベースプレート12の上に固定されている。このペルチェベース51の上面に、ペルチェ素子から成る第1温調部5が載置されている。ペルチェベース51の上面には、前述の複数の位置決めピンも挿入されており、それらの位置決めピンを介して結晶保持部材53が支持されている。
このように位置決めピンを介した支持構造を用いることで、ペルチェベース51と結晶保持部材53との接触面積を低減し、ひいては両部材間の熱伝達を抑制する上で有利になる。
結晶保持部材53は、ペルチェベース51よりも寸法の小さい板状に形成されており、位置決めピンを介してペルチェベース51に固定されている。結晶保持部材53の下面と、ペルチェベース51の上面との間には、Oリング等、樹脂製のシール部材57が挟持されている。詳細は省略するが、このシール部材57は、第1温調部5を側方から取り囲むような形状とすることができる。
結晶保持部材53の下面と、ペルチェベース51の上面と、シール部材57とによって包囲される空間は、ベースプレート12に設けた貫通孔12aを通じてハウジング20の外部に通じているとともに、ハウジング20によって包囲される空間に対しては、シール部材57を挟持させたことによって気密状に隔絶されている。
第1温調部5は、そのようにして隔絶された空間に配置されている。具体的に、本実施形態に係る第1温調部5は、略薄板状のペルチェ素子から成り、ペルチェベース51の上面と、結晶保持部材53との間に挟持されている。第1温調部5の側部には、このペルチェ素子に対して電流を供給するためのハーネス56が接続されている。このハーネス56は、前述の如く、ベースプレート12の貫通孔12aを介して外部へと繰り出されている。
また、結晶保持部材53には、第1温調部5の温度を検出するための温度センサ58が挿入されている。この温度センサ58は、略棒状に形成されており、結晶保持部材53の下面から上方に向かって挿入されている。詳細は省略するが、温度センサ58による検出信号を出力するための配線類は、第1温調部5に接続されるハーネス56と同様に、ベースプレート12の貫通孔12aを介して外部へと繰り出されている。
また、結晶保持部材53は、略L字を左右に反転させた断面形状を有しており、第1波長変換素子26は、そのL字の角部付近の上面に載置されている。
結晶押え部材54は、結晶保持部材53の上面に固定されており、その結晶保持部材53とともに第1波長変換素子26を保持している。
第1温調部5に対して電流を供給すると、その電流の大きさに応じて第1温調部5(具体的には、第1温調部5における結晶保持部材53側の面)が発熱する。その熱は、結晶保持部材53を介して第1波長変換素子26へと伝達する。そうして、第1波長変換素子26は、所定の目標温度T1を保つように調温される。この目標温度T1は、光学系の設計等に応じて適宜変更可能であるが、この実施形態では50-100℃の範囲内に設定されている。
また、第1温調部5と、その第1温調部5に接続されるハーネス56と、温度センサ58が収容された空間は、ハウジング20によって包囲された空間に対して気密状に隔絶されている。仮に、これらの部品において合成樹脂等が気化して不純物が発生したとしても、そうした不純物が、ハウジング20によって包囲された空間、すなわち波長変換部2Bの内部へと侵入するのを抑制することができる。そのことで、第1波長変換素子26や第1セパレータ28aなど、各種光学部品に不純物が付着するのを抑制する上で有利になる。
-THGユニット-
図8は、THGユニットの構成を例示する断面図である。THGユニットは、一部構成を除いてSHGユニットと略同様に構成されている。すなわち、図8に示すように、THGユニットは、ベースプレート12の上に支持されたペルチェベース61と、そのペルチェベース61に対して支持された結晶保持部材63と、結晶保持部材63の上に載置された第2波長変換素子27と、結晶保持部材63に対して第2波長変換素子27を固定するための結晶押え部材64とによって構成されている。ここで、第2温調部6は、ペルチェベース61と、前記結晶保持部材63との間に挟持されている。また、第2温調部6に接続されるハーネス66は、ペルチェベース61に設けられた貫通孔61aを介して、ハウジング20の外部から接続されている。
第2温調部6は、そのようにして隔絶された空間に配置されている。具体的に、本実施形態に係る第2温調部6は、略薄板状のペルチェ素子から成り、ペルチェベース61の上面と、結晶保持部材63との間に挟持されている。第2温調部6の側部には、このペルチェ素子に対して電流を供給するためのハーネス66が接続されている。このハーネス66は、ペルチェベース61に設けられた貫通孔61aを介して外部へと繰り出されている。
また、結晶保持部材63の下面と、ペルチェベース61の上面との間には、Oリング等、樹脂製のシール部材67が挟持されている。SHGユニットにおけるシール部材57と同様に、このシール部材67は、第2温調部6を側方から取り囲むような形状とすることができる。
また、結晶保持部材63には、第2温調部6の温度を検出するための温度センサ68が挿入されている。詳細は省略するが、温度センサ68による検出信号を出力するための配線類は、第2温調部6に接続されるハーネス66と同様に、ペルチェベース61の貫通孔61aを介して外部へと繰り出されている。
第2温調部6に対して電流を供給すると、その電流の大きさに応じて第2温調部6(具体的には、第2温調部6における結晶保持部材63側の面)が発熱する。その熱は、結晶保持部材63を介して第2波長変換素子27へと伝達する。そうして、第2波長変換素子27は、所定の目標温度T2を保つように調温される。この目標温度T2は、光学系の設計等に応じて適宜変更可能であるが、この実施形態では、第1波長変換素子26の目標温度T1と略同一に設定されている。
また、第2温調部6と、その第2温調部6に接続されるハーネス66と、温度センサ68が収容された空間は、ハウジング20によって包囲された空間に対して気密状に隔絶されている。仮に、これらの部品において合成樹脂等が気化して不純物が発生したとしても、そうした不純物が、ハウジング20によって包囲された空間、すなわち波長変換部2Bの内部へと侵入するのを抑制することができる。そのことで、第2波長変換素子27や第1セパレータ28aなど、各種光学部品に不純物が付着するのを抑制する上で有利になる。
-レーザ光分離ユニット-
図9はレーザ光分離ユニットの構成を例示する斜視図であり、図10は図9に例示した構成を一部省略して示す斜視図である。図9~図10に示すレーザ光分離ユニットは、ベースプレート12に対して略平行に延びるセパレータベース(ベースプレート)71を備えて成り、そのセパレータベース71によって、前述の第1セパレータ28a、凹レンズ28b、第2セパレータ28c及び減衰部28dが支持されている。
図9~図10に示すセパレータベース71は、筐体10の上下方向に沿って延びる略矩形板状に形成されており、ハウジング20によって包囲された内部空間に収容されている。このセパレータベース71は、ハウジング20によって包囲された内部空間を区画する一内壁13aに対して一体的に設けられているともに、当該一内壁13aから内部空間の内方に向かって延びている。
すなわち、既に説明したように、ハウジング20の内部空間は、ベースプレート12と、側壁部13と、蓋部14とによって区画されている。セパレータベース71は、側壁部13における一内壁13aと、その一内壁13aに対して直交する他内壁13bとが交わる角部の内側に配置されており、ベースプレート12と略平行な姿勢を保ちつつ、その一内壁13aから略面直に、かつ、他内壁13bに対して略平行な方向に向かって延びている。
また、セパレータベース71の長手方向一端部には、ハウジング20の一内壁13aに対して一体とされた第1接続部71aが設けられている。図9~図10から見て取れるように、この第1接続部71aは、セパレータベース71の長手方向に延設されており、第1セパレータ28a、凹レンズ28b、第2セパレータ28c及び減衰部28dを支持可能とする部位よりも幅狭に形成されている。
一方、セパレータベース71の長手方向他端部には、ハウジング20の他内壁13bに対して一体とされた第2接続部71bが設けられている。図9~図10から見て取れるように、この第2接続部71bは、セパレータベース71の短手方向に延設されており、第1接続部71aよりも幅狭に形成されている。
このように、セパレータベース71は、長手方向の一端と他端とに接続部71a、71bを設けることで、ハウジング20を構成する内壁13a、13bに対して一体に支持されるよう構成されている。
また、セパレータベース71とベースプレート12との間には、筒状かつ複数の位置決めピンが介在している。位置決めピンを介在させることで、セパレータベース71とベースプレート12との間の熱的な結合を抑制することが可能となる。
そして、図10に示すように、セパレータベース71には、出力ミラー温調部7を挿入可能とする第1挿入穴(挿入穴)72が設けられている。この第1挿入穴72は、セパレータベース71の長手方向に沿って細穴状に延びており、第1接続部71aを介して側壁部13の外面にて開口している。出力ミラー温調部7は、棒状に形成されており、その開口から挿入されるようになっている。第1挿入穴72の終端部は、セパレータベース71の他端部付近まで延びている一方、その始端部は、ハウジング20の外部空間へと通じている。
出力ミラー温調部7は、この実施形態では、ニクロム線をはじめとする電熱線によって構成されており、第1挿入穴72に挿入されているとともに、外部から供給された電流に応じて発熱するようになっている。
さらに、図10に示すように、セパレータベース71には、温度センサ75を挿入可能とする第2挿入穴73も設けられている。この第2挿入穴73は、第1挿入穴72と同様に、セパレータベース71の長手方向に沿って細穴状に延びており、第1接続部71aを介して側壁部13の外面にて開口している。第2挿入穴73の終端部は、セパレータベース71の長手方向略中央部まで延びている一方、その始端部は、ハウジング20の外部空間へと通じている。
温度センサ75は、この実施形態では、細長い棒状に形成されており、第2挿入穴73に挿入されているとともに、その検出結果を示す検出信号を出力するようになっている。
出力ミラー温調部7に対して電流を供給すると、その電流の大きさに応じて出力ミラー温調部7が発熱する。その熱は、セパレータベース71を介して第1セパレータ28a、凹レンズ28b、第2セパレータ28c及び減衰部28dへと伝達する。そうして、各光学部品は、所定の温度範囲T3に収まるように調温される。
ここで、出力ミラー温調部7において制御目標となる温度範囲T3は、第1及び第2温調部5、6における目標温度T1、T2に応じて規定されている。目標温度T1とT2を同一とした場合には、温度範囲T3は、その目標温度T1に対して好ましくは±10℃、より好ましくは±5℃の範囲とすればよい。
<レーザ光の出力低下の抑制(レーザ光出力部2)>
一般に、レーザ光の出力低下の抑制という観点から、各種の光学部品に対して不純物が付着しないようにすることが求められる。図11~図12に示すように、そうした不純物は、いわゆる光集塵効果によってレーザ光へと集まるようになっており、レーザ光の光軸上に配置された光学部品に対し、不純物(コンタミ)が付着して凝結する可能性がある。その結果、レーザ光の透過ロスや反射ロスが発生してしまい、結果的に出力低下を招く可能性がある。
対して、この実施形態では、図5~図6に示すように、Qスイッチ23を収容して成るQスイッチ収容部2Aとは別に、第1及び第2波長変換素子26,27を収容して成る波長変換部2Bを設けるとともに、Qスイッチ収容部2Aに収容した第1反射ミラー21と、波長変換部2Bに収容した第2反射ミラー22とによって、レーザ光を増幅するための共振器を構成した。波長変換部2Bは、Qスイッチ収容部2Aとは独立した内部空間を有するとともに、第1及び第2波長変換素子26,27を気密状に密閉することができるから、仮に、Qスイッチ23において生じた不純物が筐体10内部の空気中へと放出されたとしても、第1及び第2波長変換素子26,27に付着しないようにすることが可能となる。そのことで、レーザ光の出力低下を抑制することができる。
また、図9に示すように、第1及び第2波長変換素子26,27の温度を調整するばかりでなく、出力ミラーとしての第1セパレータ28aの温度も調整することができる。第1セパレータ28aが目標とする温度範囲T3を、第1及び第2波長変換素子26,27の目標温度T1,T2に応じて規定することで、各波長変換素子26,27と、第1セパレータ28aとの間の温度差を低減することができる。そのことで、第1セパレータ2-aに不純物が付着するのを抑制することができ、ひいては、レーザ光の出力低下を抑制することが可能になる。
-出力低下の抑制に関連した変形例-
前記実施形態では、出力ミラーとしての第1セパレータ28aと、第1及び第2反射ミラー21,22を別体の光学部品として構成したが、その構成には限られない。例えば、第1及び第2反射ミラー21,22のうちの一方を、第3高調波を透過するようなハーフミラーとしてもよい。
また、共振器の構成は、イントラキャビティ式(波長変換素子を共振器の内部に配置する方式)のものに限られない。例えば第1反射ミラー21を波長変換部2Bに配置した場合には、エクストラキャビティ式(波長変換素子を共振器の外部に配置する方式)に構成することもできる。
(光学部品の温調に関連した構成の変形例)
この実施形態では、第1及び第2温調部5,6と、出力ミラー温調部7とを備えた構成について例示したが、この構成には限られない。例えば、レーザ光出力部2は、制御部101からの制御信号に基づいて、目標温度T1に応じて規定される所定の温度範囲T4に収まるように、ビームエキスパンダ29の温度を調節する第3温度調節部を備える、としてもよい。ここでの温度範囲T4は、出力ミラー温調部7に係る温度範囲T3と同様に、目標温度T1に対して好ましくは±10℃、より好ましくは±5℃の範囲とすればよい。
(レーザ光案内部3)
レーザ光案内部3は、レーザ光出力部2から出射されたレーザ光(UVレーザ光)を折り曲げて、レーザ光走査部4へと案内するための光路を成すように構成されている。
図13は、マーカヘッド1から前面側の外装カバー17(図2~図4を参照)を取り外した状態を例示する正面図であり、図14は、図13に例示した構成を斜め前方から見て示す図であり、図15は、図13に例示した構成を一部省略して示す図である。そして、図16は、マーカヘッド1からZ室カバー31を取り外した状態を例示する図であり、図17は、ガイド光源(ガイド光出射装置)35周辺の構成を例示する横断面図であり、図18は、レーザ光案内部3の縦断面を例示する図である。
レーザ光案内部3は、第1及び第2ベンドミラー32,34をはじめとする光学部品や、Zスキャナ33等を密閉するためのZ室(密閉空間)Szを備えている。このZ室Szは、前述の仕切部11と、図13~図15に示すZ室カバー31とによって構成されており、前述の出力窓部16を介することにより、レーザ光出力部2における波長変換部2Bに対して光学的に結合している。
具体的に、Z室カバー31は、仕切部11に向かって開口した浅箱状に形成されており、仕切部11に密着させることで、第1ベンドミラー32、Zスキャナ33及び第2ベンドミラー34など、不純物の付着を避けるべき部品を仕切部11とともに取り囲むような形状とされている。
また、Z室カバー31の側壁部には、所定の光を透過させる透過窓部が設けられているとともに、Z室Szの内側には、レーザ光出力部2から出射されたUVレーザ光の光路と、その透過窓部を透過した透過光の光路とを交わらせるように配置された光学部品が設けられている。
対して、Z室Szの外側には、UVレーザ光の走査位置を可視化するためのガイド光を出射可能なガイド光源(ガイド光出射装置)35と、ワークWを撮像するためのカメラ(撮像装置)36との両方が配設されている。ガイド光源35は、透過窓部(第1透過窓部31c)へ向けてガイド光を出射する一方、カメラ36は、透過窓部(第2透過窓部31d)を介してワークWを撮像するための光を受光するようになっている。すなわち、カメラ36は、第2ベンドミラー34によって、その撮像軸(受光軸)がUVレーザ光の光軸と同軸となるように配設されている。
以下、レーザ光案内部3に関連した構成について順番に説明をする。
-ガイド光源35-
ガイド光源35は、Z室Szの外側に配置されており、透過窓部を構成可能な第1透過窓部31cへ向けてガイド光を出射する。この第1透過窓部31cは、出力窓部16及び第1ベンドミラー32と略同じ高さに配置されており、筐体10の上下方向中央部よりもやや上方に位置している。
ガイド光源35は、図15等に示すように、そうした第1透過窓部31cと略同じ高さに配置されており、筐体10の短手方向の内側に向かってガイド光を出射する。そのガイド光の光軸は、第1透過窓部31cと、第1ベンドミラー32との両方に交わるようになっている。
よって、UVレーザ光の走査位置を可視化するべく、ガイド光源35からガイド光を出射すると、そのガイド光は、第1透過窓部31cへと至る。第1透過窓部31cは、そのガイド光を透過させて、透過光として第1ベンドミラー32へと導く。その透過光が成す光路は、第1ベンドミラー32を透過することにより、第1ベンドミラー32において反射されたUVレーザ光の光路に合流するようになっている。
なお、詳細は省略するが、ガイド光源35に接続された回路基板もまた、ガイド光源35と同様にZ室Szの外側に配置されている。
-第1ベンドミラー32-
この実施形態では、光学部品(第1光学部品)を構成可能な第1ベンドミラー32は、Z室Szの内側に配設されており、図16~図17に示すように、第1ミラー32aと、第2ミラー32bとから構成されている。
このうち、第1ミラー32aは、ガイド光源35から出射されたガイド光と、レーザ光出力部2から出力されたUVレーザ光と、のうちの一方を透過させるとともに、その他方を反射することにより、各々の光路を相互に交わらせるように構成されている。
具体的に、第1ミラー32aは、いわゆるハーフミラーとして構成されており、ガイド光源35から出射されて第1透過窓部31cを通過したガイド光を一面側から透過させる一方で、出力窓部16を介して入射したUVレーザ光(特に、第1方向としての前後方向の前側に向かって伝搬したUVレーザ光)を、ガイド光を透過させる一面とは反対側の他面によって反射するような姿勢で固定されている。
これにより、第1ミラー32aを透過したガイド光の光路と、その第1ミラー32aによって反射されたUVレーザ光の光路とが合流することとなり、双方とも第2ミラー32bへ至る。
一方、第2ミラー32bは、UVレーザ光の光路を折り曲げることにより、その光路を前記第1方向に対して略直交する第2方向(この例では、略上下方向に等しい)に沿わせるよう構成されている。
第2ミラー32bによって折り曲げられたUVレーザ光及びガイド光は、下方(詳しくは、筐体10の上下方向の下方)に向かって伝搬し、Zスキャナ33を経由して第2ベンドミラー34へと至る。
-Zスキャナ33-
Z室Szの内側には、レーザ光出力部2から出力されたUVレーザ光の焦点距離を調整する焦点調整機構を配置することができる。そうした焦点調整機構として、この実施形態では、図16及び図18に示すようなZスキャナ33が設けられている。
具体的に、Zスキャナ33は、第1ベンドミラー32から第2ベンドミラー34へと至る光路の途中(詳しくは、筐体10の上下方向における中央部付近)に設けられており、UVレーザ光の焦点距離を調整することができる。
なお、第1ベンドミラー32から第2ベンドミラー34へと至る光路は、ガイド光源35から出射されたガイド光も伝搬させるようになっているため、Zスキャナ33を作動させることにより、UVレーザ光ばかりでなく、ガイド光の焦点距離も併せて調整することができる。
-カメラ36-
カメラ36は、ガイド光源35と同様にZ室Szの外側に配置されており、透過窓部を構成可能な第2透過窓部31dを透過した光を受光する。図18に示すように、この第2透過窓部31dは、第2ベンドミラー34と略同じ高さに配置されており、筐体10の上下方向中央部よりもやや下方に位置している。
カメラ36は、図13~図15等に示すように、そうした第2透過窓部31dと略同じ高さに配置されており、前述の如く、第2透過窓部31dを透過した光を受光する。詳しくは、その光は、レーザ光走査部4からレーザ光案内部3へと入射した反射光であり、筐体10の長手方向の前側に向かって伝搬して、第2ベンドミラー34と第2透過窓部31dを順番に透過する。その後、カメラ用折返しミラー37によって反射されて、その反射光が、筐体10の短手方向の他側に向かって伝搬してカメラ36へと至るようになっている。この反射光の光軸は、第2透過窓部31dと、第2ベンドミラー34との両方に交わるようになっている。
すなわち、例えば、ワークWの印字点において反射された反射光が、第2ベンドミラー34を透過して第2透過窓部31dへと至ると、第2透過窓部31dは、その反射光を透過させて、透過光としてカメラ用折返しミラー37へと導く。その透過光が成す光路は、第2ベンドミラー34を透過することにより、その第2ベンドミラー34によって反射されたUVレーザ光及びガイド光の光路に交わるようになっている。
なお、詳細は省略するが、カメラ36に接続された回路基板もまた、カメラ36と同様にZ室Szの外側に配置されている。
-第2ベンドミラー34-
この実施形態では、光学部品(第2光学部品)を構成可能な第2ベンドミラー34は、第1ベンドミラー32と同様にZ室Szの内側に配設されており、カメラ36が受光する光と、レーザ光出力部2から出力されたUVレーザ光と、のうちの一方を透過させるとともに、その他方を反射することにより、各々の光路を相互に交わらせるように構成されている。
具体的に、第2ベンドミラー34は、いわゆるハーフミラーとして構成されており、カメラ36によって受光される光を透過させる一方、第1ベンドミラー32によって反射されてZスキャナ33を通過したUVレーザ光及びガイド光を反射するように構成されている。
これにより、前述のように、第2ベンドミラー34を透過する光の光路と、その第2ベンドミラー34によって反射されたUVレーザ光及びガイド光の光路とが交わる。
さらに、この実施形態における第2ベンドミラー34は、第1ベンドミラー32により折り曲げられた光路を再び折り曲げることにより、その光路を前後方向の後側へと指向させるようになっている。
詳しくは、図16及び図18等に示すように、第2ベンドミラー34は、その反射面を斜め上後方へ向けた姿勢で固定されており、その上端から下方へ向かうに従って、前方から後方へと向かうように傾斜している。よって、上方から下方へ向かって伝搬してきたレーザ光が第2ベンドミラー34によって反射されると、その伝搬方向は、後方を指向することになる。
第2ベンドミラー34において合流したUVレーザ光及びガイド光は、そのようにして後方へ向かって伝搬することにより、仕切部11に設けられた下流側窓部11bを介して第2スペースS2から第1スペースS1へと入射する。そうして、レーザ光案内部3からレーザ光走査部4へと至る。
-乾燥剤Dm-
また、図18に示すように、Z室Szの内側には収容室Sdzが設けられており、その収容室Sdzには乾燥剤が収容されている。詳細は省略するが、この収容室Sdzは、Z室Szに連通しており、収容室Sdzに収容された乾燥剤によって、Z室Szから湿気を除去することができる。
<レーザ光の出力低下の抑制(レーザ光案内部2)>
図13,16等に示すように、第1及び第2ベンドミラー32,34等、レーザ光の透過ロスや反射ロスが懸念される光学部品については、気密状のZ室Szに収容する一方、不純物の発生が懸念されるガイド光源35やカメラ36については、そのZ室Szの外側に配置する。このような構成とすることで、仮に、ガイド光源35やカメラ36において不純物が発生したとしても、光学部品への付着を抑制することが可能となる。これにより、レーザ光の出力低下を抑制することが可能となる。
また一般に、いわゆる光集塵効果は、レーザ光の波長が短くなるにしたがって、より顕著となる。光集塵効果が顕著になると、光学部品に対する不純物の付着がより一層懸念される。このことを考慮すると、ここに開示するレーザ加工装置Lのように、UVレーザ光を出射可能な装置に適用することは、レーザ光の出力低下を抑制する上で、取り分け有効となる。
(レーザ光案内部3の変形例)
また、前記実施形態では、Z室Szの室内に第1ベンドミラー32、Zスキャナ33及び第2ベンドミラー32,34を配置する一方、Z室Szの室外にガイド光源35とカメラ36を配置するように構成されていたが、この構成には限られない。
図19は、レーザ光案内部3の第1~第3変形例を示す図である。同図に示すように、Zスキャナ33を省略したり(第1変形例)、ガイド光源35を省略したり(第2変形例)、カメラ36を省略したり(第3変形例)、してもよい。
また、レーザ光案内部3における光路の構成についても、適宜、変更することができる。図20は、レーザ光案内部3の第4変形例を示す図である。同図に示すように、第1及び第2ベンドミラー34は、レーザ光出力部2から出射されたレーザ光を透過させるとともに、ガイド光源35から発せられた光や、カメラ36において受光される光を反射するように構成してもよい。また、この第4変形例においてさらに、例えばガイド光源35と第1ベンドミラー32を省略したり、カメラ36と第2ベンドミラー34を省略したり、することもできる。
(レーザ光走査部4)
レーザ光走査部4は、レーザ光出力部2から出射されて、レーザ光案内部3により案内されたレーザ光(UVレーザ光)を、ワークWの表面上で2次元走査するように構成されている。
図21~図22は、レーザ光走査部4の外観を例示する斜視図であり、図23は、図22に例示した構成を下方から見て示す図である。また、図24は、Xスキャナ8の構成を例示する縦断面図であり、図25は、Yスキャナ9の構成を例示する縦断面図である。
図21~図25に示す例では、レーザ光走査部4は、いわゆる2軸(X軸、Y軸)式のガルバノスキャナとして構成されている。すなわち、このレーザ光走査部4は、X方向にレーザ光を走査するためのXスキャナ8と、Y方向にレーザ光を走査するためのYスキャナ9と、Xスキャナ8用の第1スキャナミラー(以下、単に「Xミラー」と呼称する)81及びYスキャナ9用の第2スキャナミラー(以下、単に「Yミラー」と呼称する)91の双方を収容するためのスキャナ用ハウジング(収容部材)40と、を備えて成る。
ここで、スキャナ用ハウジング40と、筐体10の内底面とによって、Xミラー81及びYミラー91を収容するためのスキャナ室Sxyが構成されている。このスキャナ室Sxyは、レーザ光案内部3の下流端部(具体的には、前述の下流側窓部11b)に対し、スキャナ用ハウジング40の一側部に設けられた入射窓部41を介して光学的に結合している。スキャナ室Sxyはまた、筐体10の底部に設けられた出射窓部19、ひいては筐体10外部の空間に対し、スキャナ用ハウジング40の底部に設けられた開口部43を介して光学的に結合している。
よって、図23の黒矢印に示すように、入射窓部41からスキャナ室Sxyの室内へとUVレーザ光が入射すると、そのUVレーザ光は、Xミラー81とYミラー91とによって反射されて(この例では、Xミラー81によって反射された後に、Yミラー91によって反射されるようになっている)、開口部43からスキャナ室Sxyの室外へと出射するようになっている。
そのときに、Xミラー81及びYミラー91を作動させて、各ミラーとUVレーザ光とが成す角度を調節することで、例えばワークWの表面上において、UVレーザ光を2次元走査することが可能となる。
また、Xミラー81及びYミラー91によるレーザ光の反射率を保持するためには、スキャナ室Sxyの気密性を保ち、その室内へと不純物が侵入しないようにすることが求められる。
また、結露に起因したUVレーザ光の散乱を抑制するためには、スキャナ室Sxyから湿気を取り除くことも求められる。
そこで、この実施形態に係るレーザ光走査部4は、Xスキャナ8及びYスキャナ9の支持構造に工夫を凝らしたり、スキャナ室Sxyの内外いずれかに乾燥剤Dmを配置したりすることで、前述の如き要求に応えるように構成されている。
以下、レーザ光走査部4に関連した構成について、前記要求との対応関係に焦点を当てて説明する。
-スキャナ用ハウジング40-
この実施形態において、スキャナ用ハウジング40は、略立方状の箱形とされており、図4及び図21等に示すように、第1スペースS1において、筐体10の下面と仕切り部11とが交わる角部の周辺に配置可能とされている。スキャナ用ハウジング40の各面は、Xスキャナ8を保持したり、UVレーザ光を出射したりするために、様々な機能を発揮するような構成となっている。
すなわち、スキャナ用ハウジング40の上面は、Xスキャナ8を成す第1駆動モータ82を挿入可能な開口を有する第1保持部(保持部)40aを構成しており、その第1保持部40aは、挿入された第1駆動モータ82の外周面を保持するようになっている(図24を参照)。
一方、スキャナ用ハウジング40の後面は、Yスキャナ9を成す第2駆動モータ92を挿入可能な開口を有する第2保持部(保持部)40bを構成しており、その第2保持部40bは、挿入されたガルバノモータ92の外周面を保持するようになっている。
また、スキャナ用ハウジング40の前面(図22における紙面左側の一面)は、前述の入射窓部41を構成しており、レーザ光出力部2から出射されてレーザ光案内部3を通過したレーザ光をスキャナ室Sxyの室内へと入射することができるようになっている。
また、スキャナ用ハウジング40の下面は、前述の開口部43を有している。この開口部43は、筐体10の底部に設けられた開口部(筐体側出射部)19a、及び、その開口部19aに嵌め込まれたレーザ光を透過可能な透過性部材19bとともに、出射窓部19を構成している(図24~図25を参照)。この出射窓部19は、入射窓部41を介して入射したUVレーザ光を、筐体10の外部へと出射することができるようになっている。
スキャナ用ハウジング40の内側に構成されるスキャナ室Sxyは、こうした第1保持部40a、第2保持部40b、入射窓部41及び出射窓部19によって包囲されるとともに密閉されており、その室内には、前述のXミラー81とYミラー91を収容することができる。
また、スキャナ用ハウジング40を成す他の2面のうち、図22における紙面手前側の一面は、乾燥用貫通部42を構成している。この乾燥用貫通部42は、乾燥剤Dmを以てスキャナ室Sxyを乾燥するための貫通孔42aを有しており、第1保持部40a、第2保持部40b、入射窓部41及び出射窓部19とともにスキャナ室Sxyを包囲し、かつ密閉している。
詳しくは後述するが、ここに開示する乾燥剤Dmは、スキャナ室Sxyの室内、又は、以下で詳述するような、スキャナ室Sxyに連通する収容室Sdの室内に配置することができる。
-Xスキャナ8-
Xスキャナ8は、ワークWの表面上においてUVレーザ光の光軸と交差するX方向(第1の方向)にUVレーザ光を走査するためのXミラー81と、Xミラー81を回動可能に支持する第1駆動モータ82と、第1駆動モータ82の外周面の一部と当接することにより、第1駆動モータ82を保持するモータ保持部材83と、を備えて成る。
Xミラー81は、いわゆるガルバノミラーとして構成されており、図23に示すように、入射窓部41から入射したUVレーザ光を反射してYミラー91へと導くようになっている。
具体的に、Xミラー81は、略矩形板状の全反射ミラーであって、ミラー基部82eによって支持された状態で、スキャナ室Sxyの室内に収容されている。Xミラー81は、ミラー基部82e、ひいては第1駆動モータ82のロータ82aと一体的に動作するようになっており、所定の回転軸Oxまわりに回動することができる。
第1駆動モータ82は、直流モータから成るガルバノモータであって、回転軸Oxをまわりに回転可能に構成され、回転軸Ox方向の一端にてXミラー81を支持するロータ82aと、そのロータ82aを収容するモータケース82bと、ロータ82a及びモータケース82bの間に介設され、モータケース82bに対してロータ82aを軸支するためのベアリング82c,82dと、を有している。
ロータ82aは、電流を受けて回転するように構成されており、その回転軸Oxに沿って略円柱状に延設されている。この回転軸Ox方向における一端部(スキャナ室Sxy側の先端)は、モータケース82bから突出してスキャナ室Sxyの室内まで延びており、略筒状のミラー基部82eに挿入されている。対して、その一端部とは反対側に位置する他端部(反スキャナ室Sxy側の先端)は、モータケース82bの内部に没入している。
モータケース82bは、回転軸Ox方向に延び、かつ同方向における両端が開口した略円筒状に形成されており、その内側にロータ82aを挿入することができるようになっている。モータケース82bの先端(開口端)は、スキャナ用ハウジング40の第1保持部40aに挿入されている。これにより、モータケース82bの外周面のうち第1保持部40aに挿入された部分が、第1保持部40aによって保持されることになる。
また、モータケース82bのうち、第1保持部40aに挿入された部分とは反対側の開口端は、略鍔状に拡径している。そうして拡径した部分は、第1駆動モータ82のための回路基板85を載置した状態で、その回路基板85とともにキャップ状のスキャナカバー84によって覆われている。
ベアリング82c,82dは、ロータ82aの外周面と、モータケース82bの内周面との間に配置されており、ロータ82aの長手方向における両端を支承している。
モータ保持部材83は、回転軸Ox方向に延び、かつ同方向における両端が開口した略筒状に形成されており、その内側にモータケース82bを挿入することができるようになっている。モータ保持部材83の一開口端は、スキャナ用ハウジング40の第1保持部40aに対して上方から取り付けて固定することができるようになっている。
第1保持部40aに対してモータ保持部材83を固定すると、第1保持部40aの開口の内周面と、モータ保持部材83の内周面とが略一体となり、モータケース82bの収容スペースが区画される。その収容スペースに対して上方からモータケース82bを挿入すると、モータケース82bにおいて略鍔状に拡径した部分が、モータ保持部材83に対して上方から当接して抜け止めとなる。このとき、モータケース82bの先端付近の外周面は、第1保持部40aの開口に挿入された状態で、且つその開口によって保持される一方、その先端よりも反Xミラー81側に位置する外周面は、モータ保持部材83の内周面と当接するようになっている。すなわち、第1保持部40aは、モータ保持部材83に対して当接した部位よりもXミラー81側に位置する外周面を保持するようになっている。
スキャナカバー84は、有底円筒状に形成されており、モータ保持部材83における反Xミラー81側の先端が挿入されている。スキャナカバー84と、モータケース82bとによって、回路基板85の収容スペースが区画されている。
回路基板85は、第1駆動モータ82を回転駆動するための電気回路を構成しており、モータケース82bにおいて略鍔状に拡径した側の端面に固定されている。この回路基板85には2本のハーネス89が接続されており、スキャナカバー84に設けられた開口を介して外部に繰り出されている(図22を参照)。図示は省略するが、ハーネス89を繰り出すための開口の周縁には樹脂製のシール部材等、スキャナカバー84の内部を気密状に密閉するための部材が設けられている。
そして、第1駆動モータ82の外周面のうち、第1保持部40aにより保持された部位には、スキャナ室Sxyへの空気の流入を規制する第1シール部材(シール部材)86が設けられている。
具体的に、第1シール部材86は、樹脂製のOリングから成り、モータケース82bの外周面のうち、第1保持部40aの開口に挿入された部分の外周面を取り囲むように配置されている。このような配置とすることで、この第1シール部材86は、第1保持部40aの開口の内周面と、モータケース82bの外周面との間に挟持されることになる。
一方、そうした第1シール部材86とは別に、ロータ82aの外周面と、モータケース82bの内周面との隙間を介した空気の流入を規制する第2シール部材(第2のシール部材)87が設けられている。この実施形態に係る第2シール部材87は、第1駆動モータ82の外周面のうち、スキャナカバー84に挿入された部位に設けられている。
具体的に、第2シール部材87は、第1シール部材86と同様に樹脂製のOリングから成り、モータケース82bの外周面のうち、略鍔状に拡径した部分の外周面を取り囲むように配置されている。このような配置とすることで、この第2シール部材87は、スキャナカバー84の開口付近の内周面と、モータケース82bの外周面との間に挟持されることになる。
-Yスキャナ9-
Yスキャナ9は、ワークWの表面上において、UVレーザ光の光軸と交差するY方向(第2の方向)にUVレーザ光を走査するためのYミラー91と、Yミラー91を回動可能に支持する第2駆動モータ92と、第2駆動モータ92の外周面の一部と当接することにより、第2駆動モータ92を保持するモータ保持部材93と、を備えて成る。
Yミラー91は、いわゆるガルバノミラーとして構成されており、図23に示すように、Yミラー91によって反射されたUVレーザ光を反射して出射窓部19へと導くようになっている。
具体的に、Yミラー91は、略矩形板状の全反射ミラーであって、ミラー基部92eによって支持された状態で、スキャナ室Sxyの室内に収容されている。Yミラー91は、ミラー基部92e、ひいては第2駆動モータ92のロータ92aと一体的に動作するようになっており、所定の回転軸Oyまわりに回動することができる。
第2駆動モータ92は、直流モータから成るガルバノモータであって、回転軸Oyをまわりに回転可能に構成され、回転軸Oy方向の一端にてYミラー91を支持するロータ92aと、そのロータ92aを収容するモータケース92bと、ロータ92a及びモータケース92bの間に介設され、モータケース92bに対してロータ92aを軸支するためのベアリング92c,92dと、を有している。
ロータ92aは、電流を受けて回転するように構成されており、その回転軸Oyに沿って略円柱状に延設されている。この回転軸Oy方向における一端部(図23におけるスキャナ室Sxy側の先端)は、モータケース92bから突出してスキャナ室Sxyの室内まで延びており、略筒状のミラー基部92eに挿入されている。対して、その一端部とは反対側に位置する他端部(図25における反スキャナ室Sxy側の先端)は、モータケース92bの内部に没入している。
モータケース92bは、回転軸Oy方向に延び、かつ同方向における両端が開口した略円筒状に形成されており、その内側にロータ92aを挿入することができるようになっている。モータケース92bの先端(開口端)は、スキャナ用ハウジング40の第2保持部40bに挿入されている。これにより、モータケース92bの外周面のうち第2保持部40bに挿入された部分が、第2保持部40bによって保持されることになる。
また、モータケース92bのうち、第2保持部40bに挿入された部分とは反対側の開口端は、略鍔状に拡径している。そうして拡径した部分は、第2駆動モータ92のための回路基板95を取り付けた状態で、その回路基板95とともにキャップ状のスキャナカバー94によって覆われている。
ベアリング92c,92dは、ロータ92aの外周面と、モータケース92bの内周面との間に配置されており、ロータ92aの長手方向における両端を支承している。
モータ保持部材93は、回転軸Oy方向に延び、かつ同方向における両端が開口した略筒状に形成されており、その内側にモータケース92bを挿入することができるようになっている。モータ保持部材83の一開口端は、スキャナ用ハウジング40の第2保持部40bに対して側方から取り付けて固定することができるようになっている。
第2保持部40bに対してモータ保持部材93を固定すると、第2保持部40bの開口の内周面と、モータ保持部材93の内周面とが略一体となり、モータケース92bの収容スペースが区画される。その収容スペースに対して側方からモータケース92bを挿入すると、モータケース92bにおいて略鍔状に拡径した部分が、モータ保持部材93に対して側方から当接して抜け止めとなる。このとき、モータケース92bの先端付近の外周面は、第2保持部40bの開口に挿入された状態で、且つその開口によって保持される一方、その先端よりも反Yミラー91側に位置する外周面は、モータ保持部材93の内周面と当接するようになっている。すなわち、第2保持部40bは、モータ保持部材93に対して当接した部位よりもYミラー91側に位置する外周面を保持するようになっている。
スキャナカバー94は、有底円筒状に形成されており、モータ保持部材93における反Yミラー91側の先端が挿入されている。スキャナカバー94と、モータケース92bとによって、回路基板95の収容スペースが区画されている。
回路基板95は、第2駆動モータ92を回転駆動するための電気回路を構成しており、モータケース92bにおいて略鍔状に拡径した側の端面に固定されている。この回路基板95には2本のハーネス99が接続されており、スキャナカバー94に設けられた開口を介して外部に繰り出されている(図22を参照)。図示は省略するが、ハーネス99を繰り出すための開口の周縁には樹脂製のシール部材等、スキャナカバー94の内部を気密状に密閉するための部材が設けられている。
そして、第2駆動モータ92の外周面のうち、第2保持部40bにより保持された部位には、Xスキャナ8と同様に、スキャナ室Sxyへの空気の流入を規制する第1シール部材(シール部材)96が設けられている。
具体的に、Yスキャナ9用の第1シール部材96は、概ね、Xスキャナ8用の第1シール部材86と同様に構成されている。すなわち、Yスキャナ9用の第1シール部材96は、樹脂製のOリングから成り、モータケース92bの外周面のうち、第2保持部40bの開口に挿入された部分の外周面を取り囲むように配置されている。このような配置とすることで、この第1シール部材96は、第2保持部40bの開口の内周面と、モータケース92bの外周面との間に挟持されることになる。
一方、そうした第1シール部材96とは別に、ロータ92aの外周面と、モータケース92bの内周面との隙間を介した空気の流入を規制する第2シール部材(第2のシール部材)97が設けられている。この実施形態に係る第2シール部材97は、第2駆動モータ92の外周面のうち、スキャナカバー94に挿入された部位に設けられている。
具体的に、第2シール部材97は、第1シール部材96と同様に樹脂製のOリングから成り、モータケース92bの外周面のうち、略鍔状に拡径した部分の外周面を取り囲むように配置されている。このような配置とすることで、この第2シール部材97は、スキャナカバー94の開口付近の内周面と、モータケース92bの外周面との間に挟持されることになる。
<レーザ光の出力低下の抑制(レーザ光走査部4)>
図24~図25に示すように、第1及び第2駆動モータ82,92の外周面のうち、第1及び第2保持部40a,40bにより保持された部位には、僅かな隙間が生じ得る。そのため、図24~図25において矢印F1~F4に示すように、そうした隙間からスキャナ室Sxyへと不純物が侵入する可能性がある。
しかし、前記の構成によれば、そうした部位に第1及び第2シール部材86,87,96,97を設けることで、真空軸受けのような特殊部品を用いずとも、Xミラー81とYミラー91を回動させる空間であるスキャナ室Sxyへと不純物が侵入しないようにすることができる。これにより、製造コストを抑制しつつも、レーザ光の出力低下を抑制することが可能となる。
-ガルバノスキャナの変形例-
前記実施形態では、Xスキャナ8とYスキャナ9の各々に第1シール部材86,96と第2シール部材87,97を設けた構成について説明したが、各シール部材の構成については、下記の如く変形することができる。
以下、Yスキャナの変形例について説明をするが、ここに開示する変形例は、Xスキャナに対して適用することもできる。
図26は、Yスキャナの第1変形例を示す図25対応図である。図26に示すYスキャナ9’のように、第2保持部40bとモータケース92bとの間の隙間を、第1シール部材96’としての樹脂によって封止することができる。
図27は、Yスキャナの第2変形例を示す図25対応図である。図27に示すYスキャナ9’のように、スキャナカバーを設けることなく、ロータ92aとモータケース92bとの間の隙間を、第2シール部材としての樹脂によって封止してもよい。
またそもそも、前記実施形態では、スキャナ用ハウジング40に対してXスキャナ8とYスキャナ9の双方を取り付けた構成について説明したが、少なくとも前述の第1シール部材86,96や第2シール部材87,97を用いる上では、そうした構成には限られない。
例えば、スキャナ用ハウジング40に対し、Xスキャナ8とYスキャナ9の少なくとも一方を取り付けるとともに、その一方に対して第1シール部材を適用してもよい。
-スキャナ室Sxyの変形例-
前記実施形態では、スキャナ室Sxyは、第1保持部40a、第2保持部40b、入射窓部41、出射窓部19及び乾燥用貫通部42によって包囲されていた。ここで、出射窓部19は、スキャナ用ハウジング40の下面に設けた開口部43と、筐体10の底部に設けられた開口部19a、及び、その開口部19aに嵌め込まれた透過性部材19bによって構成されていたが、この構成には限られない。
図28は、スキャナ用ハウジングの変形例を示す図である。図28に示すように、スキャナ用ハウジング40の開口部43に対して透過性部材43aを嵌め込むことで、出射窓部19を構成してもよい。
-収容室Sd-
前述のように、外部から交換可能な乾燥剤Dmは、スキャナ室Sxy、又は、そのスキャナ室Sxyに連通する収容室Sdに配置することができる。以下に例示する実施形態では、スキャナ室Sxyの外部に収容室Sdを構成した場合について説明するが、後述の変形例のように、スキャナ室Sxyの内部に乾燥剤Dmを配置するためのスペース(以下、そうしたスペースに符号「Sd’」を付す)を構成することもできる。
図29は、乾燥剤用ハウジング45の配置を例示する斜視図であり、図30は、収容室Sdとスキャナ室Sxyの構成を例示する縦断面図である。また、図31は、乾燥剤用ハウジング45の外観を例示する斜視図であり、図32は、交換用蓋部18による封止構造について例示する説明図である。
この構成例では、収容室Sdとスキャナ室Sxyとは、筐体10内において互いに隣接しているとともに、前述の乾燥用貫通部42における貫通孔42aを通じてスキャナ室Sxyに連通している。収容室Sdは、その貫通孔42aとは別体の開口(後述の交換用開口部45c)を通じて乾燥剤Dmを交換するように構成されており、交換用蓋部18によって開放されるようになっている。
すなわち、図30に示すように、筐体10の左側面(図30における紙面左側の側面)と、ベースプレート12との間にスキャナ室Sxyが介在しており、収容室Sdは、そうしたスキャナ室Sxyと、筐体10の左側面との間に介在している。
具体的に、収容室Sdは、乾燥剤Dmを収容可能な乾燥剤用ハウジング45によって区画されている。この乾燥剤用ハウジング45は、矩形浅箱状に形成されており、第1スペースS1において、筐体10の下面と仕切り部11とが交わる角部に配置されている。
乾燥剤用ハウジング45の後面(前記短手方向における他側の面)には、図30に示すような貫通孔45bが開口している。乾燥剤用ハウジング45及びスキャナ用ハウジング40を双方とも筐体10に対して固定した状態にあっては、その貫通孔45bと、スキャナ用ハウジング40の貫通孔42aとが繋がって、収容室Sdとスキャナ室Sxyとが連通するようになる。
なお、スキャナ用ハウジング40の貫通孔42aにはフィルタ42bが取り付けられており、乾燥剤Dmから生じた不純物が収容室Sdからスキャナ室Sxyへと侵入するのを抑制することができる。
また、図22に示すように、スキャナ用ハウジング40の乾燥用貫通部42は、貫通孔42aの周囲を覆うように構成されたシール部材42cを有しており、スキャナ用ハウジング40の貫通孔42aと、乾燥剤用ハウジング45の貫通孔45bとの隙間を封止させることができる。
対して、乾燥剤用ハウジング45の前面は、図32に示すような交換用蓋部18によって開閉可能に封止されるようになっている。具体的に、乾燥剤用ハウジング45の前面(前記短手方向における一側の面)には、収容室Sdの室内へと通じる交換用開口部45cが穿孔されている。この交換用開口部45cは、略断面円形状の開口であって、その内周面(内面)の一部は、雌ねじ状にネジ切りされている。
そして、交換用蓋部18は、交換用開口部45cへと挿入することにより、その交換用開口部45cを閉塞可能な挿入部18aを有して成る。具体的に、挿入部18aは、略円筒状に形成されており、その外周面(外面)の一部は、交換用開口部45cにおいてネジ切りした部分と螺着するように形成されている。その挿入部18aのうち、螺着可能な部位に対して挿入方向(図32の矢印Diを参照)先端側に位置する部分の外面には、シール部材18bが設けられている。
ここで、シール部材18bは、樹脂製のOリングから成り、挿入部18aの外面に設けた円周状の溝部に嵌入されており、交換用蓋部18を交換用開口部45cから取り外した状態にあっては、その交換用開口部45cの内径よりも若干、大径となる。よって、このシール部材18bは、交換用蓋部18の挿入部18aを交換用開口部45cに対して挿入したときに、挿入方向Diに対して直交する外方(図32の黒矢印を参照)へ向かって膨らむことにより、その交換用開口部45cの内面に対して密着するようになっている。
乾燥剤Dmは、シリカゲルや石灰など、空気中の水分を吸着可能な物質を袋詰めして成り、収容室Sdの室内から湿気を除去するばかりでなく、乾燥用貫通部42を通じてスキャナ室Sxyの室内からも湿気を除去することができる。また、所定期間にわたって使用した結果、乾燥剤Dmによる湿気の除去性能が低下した場合には、交換用蓋部18を取り外すことにより、乾燥剤Dmを外部から交換することができる。
<結露に起因したレーザ光の出力低下の抑制>
図22に示すように、スキャナ用ハウジング40一面を乾燥用貫通部42とすることで、その貫通孔42aを介して収容室Sdとスキャナ室Sxyとを連通させたり、その貫通孔42aを介して乾燥剤Dmを出し入れしたり、することが可能となる。そのことで、スキャナ室Sxyの室内から湿気を取り除き、ひいては、結露に起因した、レーザ光の出力低下を抑制することが可能となる。
-乾燥剤Dmの収納に関連した変形例-
前記実施形態では、スキャナ室Sxyの室外に収容室Sdを設けるとともに、その収容室Sdの室内に乾燥剤Dmを収容する構成について説明した。この実施形態においては、スキャナ室Sxyを包囲する乾燥用貫通部42は、スキャナ室Sxyと収容室Sdとを連通させるために設けられていたが、収容室Sd及び乾燥用貫通部42の構成は、これに限られない。
例えば、スキャナ室Sxyの室内に収容室Sdに相当するスペースを設けてもよい。この場合、乾燥用貫通部42における貫通孔42aは、乾燥剤Dmを交換するための出入口として機能することになる。
また、スキャナ室Sxyの室外に収容室Sdを設ける場合であっても、乾燥剤Dmの収容方法については、例えば交換用蓋部の構造に工夫を凝らすことで、適宜、変更することができる。
図33は、交換用蓋部18’の変形例を示す図である。図33に示すように、交換用蓋部18’そのものを、収容室Sdを区画するための乾燥剤用ハウジング(ハウジング)として用いてもよい。この場合、乾燥剤Dmは、交換用蓋部18’ごと、筐体に対して着脱可能となる。
また、スキャナ室Sxyを包囲するよう構成された第1保持部40a、第2保持部40b、入射窓部41、出射窓部19のうちのいずれかを、乾燥用貫通部として用いてもよい。
図34は、スキャナ室Sxy周辺の変形例を示す図である。図34に示すように、スキャナ室Sxyの室内に収容室に相当するスペースSd’を設けるとともに、出射窓部19を外部から開閉可能に構成してもよい。
<マーカコントローラ100によるマーカヘッド1の制御>
以下、マーカコントローラ100によるマーカヘッド1の制御のうち、レーザ光の出力調整に関連した制御と、レーザ加工装置Lの停止時に行われる制御について、順番に説明をする。
(パルス周波数に応じた出力調整)
一般に、レーザ加工を行うときには、例えばレーザマーキングにおける印字の発色や、レーザ切断における切断速度等を調整するために、レーザ光の目標出力を変更する場合がある。
この場合、変更された目標出力を達成するための方法としては、励起光源111へと供給される駆動電流を調整することにより、基本波の出力を調整することが考えられる。
すなわち、例えば駆動電流の電流値を低下させると、励起光源111において生成される励起光の出力が低下して、レーザ媒質25において生成される基本波の出力も低下することになる。これにより、その基本波に基づき生成されるレーザ光の出力を低下させることが可能となる。
このように、駆動電流の大きさとレーザ光の出力との間には正の相関関係が存在することから、前述のテーブル記憶部114のように、レーザ光の目標出力と、励起光源111へと供給するべき駆動電流との間の対応関係を予め記憶させておくことで、使用者が望んだ出力に対応した駆動電流を、その対応関係を用いて決定することが可能となる。
ところで、この実施形態に係るレーザ光出力部2のように、Qスイッチ23を備えた構成とした場合、レーザ光の制御パラメータとしては、一秒間につきQスイッチ23のオンオフを切り替える回数、つまり単位時間あたりにパルス発振が成される回数を示すQスイッチ周波数(前述のパルス周波数)が存在する。
しかし、Qスイッチ周波数を変更すると、Qスイッチ23をオン状態とする期間が増減することになる。これにより、レーザ媒質25における反転分布の状態が変動することから、そのレーザ媒質25に励起光を入射したときに誘導放出される光子の数が増減してしまい、レーザ光の出力が変動することになる。そのため、前述のようにして駆動電流を決定するだけでは、適切な出力設定を行うには不十分である。
加えて、一般に、レーザ光の出力と、Qスイッチ周波数との関係は、励起光源111の仕様や、光学部品の状態等に応じて変るようになっているため、Qスイッチ周波数に起因した出力の変動には、レーザ加工装置ごとに個体差がある。
そこで、この実施形態に係る対応関係記憶部は、レーザ光の目標出力と、励起光源111へと供給するべき駆動電流との間の対応関係のみを記憶するばかりでなく、その対応関係をパルス周波数の大きさに関連付けて記憶する。
そして、励起光源駆動部112は、条件設定記憶部102に記憶された目標出力及びパルス周波数と、対応関係記憶部に記憶された対応関係とに基づいて、パルス周波数に対応した駆動電流を励起光源111へと供給する。
特に、図1に示す構成例のように、対応関係記憶部としてテーブル記憶部114を用いた場合、そのテーブル記憶部114は、異なるパルス周波数ごとに、目標出力と駆動電流とを紐付けた電流テーブルを記憶することができる。
この場合、使用者が、設定部としての操作用端末200を介して操作することにより、加工条件として、目標出力とパルス周波数との双方を設定すると、その設定が条件設定記憶部102に記憶される。そして、レーザ加工装置Lの作動に際し、励起光源駆動部112が、その目標出力とパルス周波数の各々に関して制御信号を受け取ると、テーブル記憶部114より、加工条件として設定されたパルス周波数に係る電流テーブルを読み込んで、目標出力と駆動電流との対応関係に基づいて駆動電流を決定する。
なお、「異なるパルス周波数ごとに電流テーブルを記憶する」、としたときのパルス周波数の個数としては、少なくとも2つ以上であればよい。この場合、電流テーブルに関連付けられて記憶されたもの以外のパルス周波数については、対応関係に関連付けられたパルス周波数に係る電流テーブルを用いて補完することができる。
また、制御部101は、前述のパワーモニタによる検出結果に基づいて、テーブル記憶部114に記憶された対応関係を較正してもよい。例えば、加工条件として設定された目標出力が、パワーモニタにより検出された出力の実測値よりも小さい場合には、目標出力に対応する駆動電流を増加させる。こうした較正は、レーザ加工装置Lを起動する度に行ってもよいし、所定期間ごとに行ってもよい。
(電流テーブルの使い分けの具体例)
図35は、目標出力と駆動電流との対応関係を例示する図であり、図36は、パルス周波数に応じた電流テーブルの使い分けについて例示したフローチャートである。なお、図35に示す例では、目標出力の単位として百分率を用いているが、それには限られない。例えば、レーザ光の電力(ワット)を直接的に用いてもよい。
図35に示すように、この実施形態に係るテーブル記憶部114には、2通りの電流テーブルが記憶されている。具体的に、その電流テーブルは、パルス周波数が40kHzと100kHzとの各々に関連付けられた状態で記憶されている。図35から見て取れるように、駆動電流(LD電流)は、パルス周波数が高いときには、低いときよりも大きくなっている。
図36に示すように、例えばレーザ加工装置Lを起動してワークWを加工しようとしたとき、制御部101は、操作用端末200を介して設定されたマーキングパターン、並びに、加工条件としての目標出力及びパルス周波数を含んで成る印字データを読み込む(ステップS101)。このときに読み込まれた印字データのうち、加工条件に係るデータについては、制御部101から励起光源駆動部112へと入力される。
その後、Zスキャナ33による焦点制御が行われる(ステップS102)と、励起光源駆動部112は、加工条件の一として設定されるパルス周波数が40kHz以下であるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、パルス周波数が40kHz以下の場合、励起光源駆動部112は、40kHzに関連付けて記憶された電流テーブルをテーブル記憶部114から読み込むとともに、加工条件の一として設定されるレーザ光の目標出力に基づいて、励起光源111へと供給するべき駆動電流を決定する(ステップS104)。
その後、励起光源駆動部112は、ステップS104において決定された駆動電流を励起光源111へと供給し(ステップS105)する。また、このステップS105に示す工程と並行して、制御部101が、ステップS101で読み込んだパルス周波数に基づいて生成した制御信号をQスイッチ23へと出力することにより、Qスイッチ23をオンオフ制御する。また、制御部101は、ステップS101で読み込んだマーキングパターンを実現するように、Xスキャナ8及びYスキャナ9を制御して2次元走査を実行する。
なお、ステップS105~ステップS107に示す処理は、便宜上、順番に実行されているように図示されているが、前述の如く、各処理を並行して行うようになっている。
一方、ステップS103においてパルス周波数が40kHzを上回ると判定された場合、今度は、パルス周波数が100kHz以上であるか否かを判定する(ステップS108)。ここで、パルス周波数が100kHz以上の場合、励起光源駆動部112は、100kHzに関連付けて記憶された電流テーブルをテーブル記憶部114から読み込むとともに、加工条件の一として設定されるレーザ光の目標出力に基づいて、励起光源111へと供給するべき駆動電流を決定する(ステップS109)。そして、前述のステップS105~ステップS107へと進み、各ステップに係る処理を実行する。
また、ステップS109においてパルス周波数が100kHz未満と判定された場合、すなわち、パルス周波数が40kHzを上回るものの100kHz未満であると判定された場合、励起光源駆動部112は、40kHzに関連付けて記憶された電流テーブルと、100kHzに関連付けて記憶された電流テーブルとをテーブル記憶部114から読み込むとともに、各電流テーブルの内容を補完することで、励起光源111へと供給するべき駆動電流を決定する(ステップS110)。そして、前述のステップS105~ステップS107へと進み、各ステップに係る処理を実行する。
具体的に、ステップS109へ進んだ場合、励起光源駆動部112は、40kHzに関連付けて記憶された電流テーブルに基づき決定された駆動電流と、100kHzに関連付けて記憶された電流テーブルに基づき決定された駆動電流とを、例えば、パルス周波数と駆動電流とを関連付けた1次関数で内挿するとともに、そうして得られた1次関数と、加工条件の一として設定されたパルス周波数とに基づいて駆動電流を決定する。
このように、対応関係記憶部としてのテーブル記憶部114は、レーザ光の目標出力と、駆動電流との間の対応関係を、加工条件の一として設定されるパルス周波数の大きさに関連付けて記憶する。これにより、パルス周波数の大きさに適した駆動電流を決定することができるから、レーザ光の出力設定を適切に実行することができ、ひいてはレーザ光の出力のバラツキを低減することが可能となる。
(パルス周波数に応じた出力調整の変形例)
なお、テーブル記憶部114に代えて、対応関係記憶部として、目標出力を引数として駆動電流を算出するような計算式を記憶させる計算式記憶部を設けた場合、例えば、目標出力と駆動電流とを関連付けた計算式に対して、さらなる引数として、パルス周波数との対応関係を含めればよい。
(目標出力の高低に応じた出力調整)
前述のように、駆動電流を通じてレーザ光の出力変更を行う場合、その目標出力が低くなり過ぎると、その出力に対応した駆動電流が過度に小さくなって、不安定となる虞がある。この場合、レーザ光の出力もまた不安定となる可能性があるため、低出力側の出力設定には改善の余地があった。
対して、公知のように、Qスイッチ23のデューティ比を調整することにより、レーザ光の出力を変更する方法も考えられる。
すなわち、例えばデューデュ比を小さくすると、前述の如くQスイッチ23をオン状態とする期間が短くなる分、レーザ媒質25から基本波として発振されるパルス波の出力が低下する。これにより、その基本波に基づき生成されるレーザ光の出力を低下させることが可能となる。
したがって、デューティ比を通じてレーザ光の出力変更を行う場合には、不安定化を招かないように、駆動電流を十分に大きく設定したまま、レーザ光の出力を低くすることが可能となる。
しかしながら、駆動電流を大きく保ちつつ、Qスイッチ23のデューティ比を調整するように構成した場合、低出力側の出力設定こそ改善されるものの、今度は、高出力側の出力設定に困難が生じることがわかった。
すなわち、レーザ光の出力を高くするべく、デューティ比を大きく設定すると、Qスイッチ23をオン状態とする期間が長くなる分、レーザ光を連続発振する期間が長くなる。そうすると、第1波長変換素子26や第2波長変換素子27が発熱してしまうことになる。そのことと、駆動電流を大きく保ったことによる基本波の出力増大とが相俟って、波長変換素子が過熱してしまい、熱レンズ等の影響に起因して、パルス発振直後の出力が不安定になるなど、レーザ特性が低下する可能性がある。
そこで、この実施形態に係る制御部101は、目標出力の高低に応じて、レーザ光の出力を変更するための方法を使い分けるようになっている。
具体的に、制御部101は、目標出力が所定の閾値を上回る場合には、励起光生成部110を介して励起光源111へと供給する駆動電流を変更することにより、レーザ光出力部2から出射されるレーザ光の出力を制御する一方、目標出力が、その閾値以下の場合には、励起光源111へと供給する駆動電流を略一定に保ちつつ、レーザ光出力部2を介してデューティ比を変更することにより、レーザ光出力部2から出射されるレーザ光の出力を制御する。
また、デューティ比の変更方法としては、目標出力とデューティ比とを関連付けたテーブルを用いてもよいし、目標出力とパルス周波数を引数としてデューティ比を算出するような計算式を用いてもよい。
なお、「駆動電流を略一定に保ちつつ」なる記載から見て取れるように、目標出力が閾値以下の場合であっても、駆動電流を一定に保つ必要はない。仮に、目標出力を、その閾値に対して1~2割ほど増減させたときの範囲内に収めればよい。例えば、目標出力の閾値を60%に設定した場合、目標出力が50%~70%のときの駆動電流とすればよい。
この制御態様は、前述のパルス周波数に応じた出力調整と併用可能であるとともに、いずれか一方の制御態様を用いることも可能である。
(目標出力の高低に応じた出力調整の具体例)
前述のように、この実施形態に係るテーブル記憶部114には、パルス周波数に応じた2通りの電流テーブルが記憶されている。図35に示すように、これら電流テーブルは、目標出力にとって閾値となる60%を境にして、駆動電流を通じた出力調整と、デューティ比を通じた出力調整を使い分けるようになっている。
具体的に、目標出力が60%を上回るときには、目標出力が高くなるにしたがい、駆動電流も単調に増加する。一方、目標出力が60%以下のときには、目標出力の高低に対して、駆動電流は略一定となる。この場合、目標出力が60%のときの駆動電流を用いることになる。また、後者の場合、目標出力が低くなるにしたがい、デューティ比は単調に減少することになる。
ここで、図37は、目標出力に応じた出力調整方法の使い分けについて例示したフローチャートである。簡単のため、図37においてはパルス周波数に応じた電流テーブルの使い分けについては省略したが、図35から見て取れるように、パルス周波数に応じた使い分けも同時に行うようになっている。
図37に示すように、例えばレーザ加工装置Lを起動してワークWを加工しようとしたとき、制御部101は、操作用端末200を介して設定されたマーキングパターン、並びに、加工条件としての目標出力及びパルス周波数を含んで成る印字データを読み込む(ステップS201)。このときに読み込まれた印字データのうち、加工条件に係るデータについては、制御部101から励起光源駆動部112へと入力される。
その後、加工条件の一として設定される目標出力が60%を上回るか否かを判定する(ステップS202)。ここで、目標出力が60%を上回る場合、励起光源駆動部112は、その目標出力に対応した電流テーブルをテーブル記憶部114から読み込む(ステップS203)とともに、その電流テーブルにしたがって駆動電流を決定する(ステップS204)。そして、デューティ比を最小値に維持しつつ(ステップS205)、図36に示すフローと同様の処理を実行して印字加工を行う(ステップS206~ステップS208)。
なお、ステップS206~ステップS208に示す処理は、便宜上、順番に実行されているように図示されているが、前述の如く、各処理を並行して行うようになっている。
一方、ステップS202において目標出力が60%以下であると判定された場合、励起光源駆動部112は、目標出力の高低にかかわらず、目標出力を60%としたときに対応した電流テーブルをテーブル記憶部114から読み込む(ステップS209)とともに、その電流テーブルにしたがって駆動電流を決定する(ステップS210)。そして、目標出力に応じてデューティ比を変更し(ステップS211)、図36に示すフローと同様の処理を実行して印字加工を行う(ステップS206~ステップS208)。
このように、目標出力が比較的高いときには、駆動電流を通じてレーザ光の出力を変更する一方、目標出力が比較的低いときには、駆動電流ではなくデューティ比を通じてレーザ光の出力を変更する。
目標出力の高低に応じて、レーザ光の出力の変更手段を切り替えることで、低出力側ではレーザ光の出力を安定させる一方で、高出力側ではレーザ特性が低下しないように構成することができる。そのことで、レーザ特性を低下させることなく、そのレーザ光の出力を適切に変更することが可能になる。
(レーザ加工装置Lの出力停止に関連した構成)
図38は、レーザ加工装置Lの電源周辺の構成について例示したブロック図である。なお、図38に示す構成要素のうち、これまでに説明したものと同様の要素ついては、同一の符号が付されている。そうした構成要素については、説明を適宜省略する。
図38に示すように、レーザ加工装置Lは、励起光生成部110、レーザ光出力部2及び制御部101へと電力を供給するための電源と、その電源を監視するための電源監視部(図38の紙面上では「電圧監視部」と記載)123を備えている。
詳しくは、レーザ加工装置Lは、レーザ光出力部2と制御部101へと電力を供給可能な第1電源部(電源)124を備えている。この第1電源部124は、いわゆるAC/DC電源によって構成されている。
同様に、レーザ加工装置Lは、励起光生成部110へと電力を供給可能な第2電源部(電源)125を備えている。この第2電源部125は、第1電源部124と同様に、一般的なAC/DC電源によって構成されている。
第1電源部124及び第2電源部125への電力供給は、メインスイッチ121とキースイッチ122によってオンオフされるようになっている。具体的に、メインスイッチ121は、キースイッチ122と第1電源部124とに接続されており、励起光生成部110以外のシステム起動を行うべく設けられている。メインスイッチ121をオン状態にすると、第1温調部5、第2温調部6及び制御部101へと電力を供給することができるようになる。
また、キースイッチ122は、レーザ光の出射を確実に停止するべく設けられており、キースイッチ122のオンオフと、レーザ光の出射のオンオフとが連動している。詳しくは、キースイッチ122をオフ状態にすると、第2電源部125から励起光生成部110へと至る電気回路が遮断されて、レーザ励起光の生成、ひいてはレーザ光の出射を確実に停止することができる。一方、キースイッチ122をオン状態にすると、第2電源部125から励起光生成部110へと至る電気回路が導通し、レーザ励起光の生成、ひいてはレーザ光の出射が許容される。
また、後述の制御を行うべく、レーザ加工装置Lは、少なくとも第2電源部125を監視する電源監視部123を備えている。この実施形態では、電源監視部123は、少なくとも第2電源部125への供給電圧を計測することにより、第2電源部125を監視するように構成されている。なお、この構成に代えて、電源監視部123は、第1電源部124への供給電圧のみを監視してもよい。あるいは、第1電源部124又は第2電源部125への供給電圧ではなく、第1電源部124又は第2電源部125から供給される電圧を監視してもよい。
また、詳細は省略するが、レーザ光出力部2は、前述の如く、イントラキャビティ式とされている。また、第1及び第2波長変換素子26、27の温度は、それぞれ、第1及び第2温調部(温度調整部)5,6によって調整されるようになっている。
ところで、こうしたレーザ加工装置Lにおいて、例えば停電やシャットダウンのために、その装置Lへの電力供給が停止されると、励起光生成部110による励起光の生成と、波長変換素子26,27の温調とが、電源用のキャパシタ等に残存した電荷量に応じて停止する。励起光生成部110による励起光の生成が停止すると、レーザ媒質25による基本波の生成が停止される。これまでは、基本波の生成と、波長変換素子26,27の温調とが、順不同で停止するようになっていた。
ここで、エクストラキャビティ式の構成とした場合、共振器において生成された基本波は、常時、共振器外へと出力される。そのため、仮に波長変換素子26,27の温調が停止した後に、基本波の生成が停止したとしても、共振器の内部には、基本波を含んだレーザ光のエネルギが溜らないようになっている。
ところが、ここに開示する実施形態のようにイントラキャビティ式の構成とした場合、一対のミラーの間に波長変換素子を配置することにより、その波長変換素子は、共振器の内側に位置することになる。このような構成では、波長変換素子により生成される高調波は、前述の温調が十分に機能している限り、ハーフミラー(例えば、前述の第1セパレータ28a)によって共振器の外部へと出力されることになる。
しかし、そうしたイントラキャビティ式の構成において、仮に、基本波の生成が停止する前に波長変換素子の温調が停止した場合には、生成された基本波が十分に波長変換されずに、共振器の内部にレーザ光のエネルギが蓄積する可能性がある。共振器内に配置された各種の光学部品が確実に損傷しないようにするためには、そうした状況に陥ることは望ましくない。
そこで、この実施形態に係る制御部101は、電源監視部123による監視結果に基づいて第1及び第2電源部124,125への電力供給が停止されると判断した場合、第1及び第2温調部5,6による温度調節が継続している状態で、基本波の生成が抑制されるよう、励起光生成部110及びQスイッチ23の少なくとも一方を制御するよう構成されている。
具体的に、制御部101は、第1及び第2電源部124,125の各々へと供給される電力が所定の閾値を下回ったときに、第1及び第2電源部124,125への電力供給が停止されると判断する。ここで、制御部101は、電力の大小に基づき判断してもよいし、電圧など、電力に関連した物理量に基づき判断してもよい。
そして、制御部101は、第1及び第2電源部124,125への電力供給が停止されると判断したときに、励起光生成部110への電力供給、特に励起光源駆動部112から励起光源111への駆動電流の供給を停止することにより、レーザ励起光の生成を停止する。これにより、レーザ励起光に基づく基本波の生成が停止するため、第1及び第2波長変換素子26,27への基本波の入射もまた停止することになる。
(レーザ加工装置Lの出力停止に関連した処理の具体例)
図39は、レーザ加工装置Lの出力停止に関連した処理について例示したフローチャートである。図39に示すように、レーザ加工装置Lの作動中、電源監視部123は、外部電源としての第2電源部125への電力供給をチェックするべく、第1及び第2電源部124,125の各々へと供給される電力の電圧を各々チェックする(ステップS301,S302)。
そして、制御部101は、電源監視部123によりチェックされた電圧が所定の閾値(規定値)未満であるか否かを判定し(ステップS303)、その電圧が閾値以上の場合には、ステップS302へと戻る。つまり、閾値以上の電圧が確保されている限り、制御部101は、ステップS302とステップS303に示す処理を繰り返す。
ここで、メインスイッチ121をオフ状態にしたり、第1又は第2電源部124,125への電力供給が意図的に或いは意図せずに絶たれた結果、電圧が閾値を下回った場合、制御部101は、ステップS303からステップS304へと進み、励起光生成部110において、励起光源駆動部112から励起光源111への電力供給を停止する。これにより、励起光源111においてレーザ励起光の生成が停止されるとともに、レーザ媒質25において基本波の生成も停止することになる(ステップS305)。その後、キャパシタ等に残存した電荷量に応じて第1及び第2温調部5,6による温調が自然に停止して(ステップS306)、レーザ加工装置Lは、シャットダウンすることになる(ステップS307)。
このように、制御部101は、温度調節部5,6による温度調節が継続している状態で、基本波の生成を抑制する。温度調節部5,6による温度調節が継続しているため、高調波の生成は促されたままとなる。よって、電力供給が停止されたときに、抑制されながらも生成されてしまった基本波は、高調波へとスムースに変換されることになるから、レーザ光のエネルギが蓄積しないようにすることができる。そのことで、光学部品が損傷しないようにすることが可能となる。
(レーザ加工装置Lの出力停止に関連した変形例)
前記実施形態では、電源監視部123は、第1及び第2電源部124,125の各々への供給電圧を計測することにより、第1及び第2電源部124,125を各々監視するように構成されていたが、そうした構成には限られない。
例えば、電源監視部123は、第2電源部125と、励起光生成部110との間の電気的な接続状態、又は、第1電源部124と、制御部101若しくはレーザ光出力部2との間の電気的な接続状態を監視するとともに、いずれかの接続が遮断されたと判断したときに、第1及び第2電源部125への電力供給が停止されると判断してもよい。
この場合、例えば、キースイッチ122をオン状態からオフ状態へと切り替えた結果、第2電源部125と励起光生成部110との間の電気的な接続が遮断された場合に、電源監視部123へと所定の電気信号を入力するように構成してもよい。この場合、電源監視部123は、そうした電気信号が入力されたときに、第2電源部125による電力供給が停止されたと判断することができる。
また、第1及び第2電源部124,125を設ける構成は、必須ではない。例えば、図40に示す変形例のように、1つの電源部126によって、制御部101、励起光生成部110、及び、レーザ光出力部2を制御するように構成してもよい。
また、レーザ加工装置Lへの入力電源をDC入力とした場合、第1及び第2電源部124,125のように、レーザ加工装置Lの内部に電源を設けなくてもよい。この場合、外部からのDC入力を電源監視部123によって監視すればよい。
また、前記実施形態では、制御部101は、励起光生成部110への電力供給を停止することにより、レーザ媒質25による基本波の生成を停止するように構成されていたが、そうした構成には限られない。
例えば、制御部101は、第2電源部125による電力供給が停止されると判断した場合、第1及び第2温調部5,6による温度調節が継続している状態で、Qスイッチ23をオフ状態に保持することにより基本波の生成を抑制する、としてもよい。この場合、第1及び第2波長変換素子26,27には、少なくともパルス発振された基本波が入射しないようになる。この場合、図37のステップS304に代えて、図41のステップS404に示すように、Qスイッチ23に関連した制御を停止すればよい。また、Qスイッチ23によるパルス発振の停止と、励起光生成部110への電力供給の停止と、を同時に行ってもよい。
また、レーザ光の出力停止に関連した処理を実現する上で、第1波長変換素子26と、第2波長変換素子27を設ける構成は必須ではない。例えば、波長変換素子を1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。
また、レーザ光の出力停止に関連した処理を実現する上で、Qスイッチ23は必須ではない。上記の構成は、Qスイッチ23を備えておらず、レーザ光を連続発振することのみが可能な装置に適用することもできる。