次に、発明を実施するための最良な形態について図面を参照して詳細に説明する。
[概要]
従来から、半導体集積回路(LSI)の電源端子間にダンピング要素を挿入することにより、電源配線で発生する共振によるノイズの発生を抑制することが行われている。また、デカップリングコンデンサを配置する領域と、このコンデンサに直列に接続された抵抗値を可変にすることで、共振のQ値(共振のピークの鋭さを表す値)を変え、インピーダンスを変更することも行なわれている。
これに対して、本発明では、“LSIの複数の電源端子(基本的には、電源供給端子とグランド端子間)間に、または、その電源端子間の近傍に後から抵抗素子を付加する抵抗素子付加領域を設けておく”という点に特徴があり、予め抵抗素子付加領域を設けておくことにより、電源のノイズによりエラーが出る場合には、抵抗素子を付加する処理を行えるようにする。
また、電源端子間に抵抗素子を付加する領域を設けたLSIに対するプリント配線基板設計装置を提供するものであり、電源端子間に抵抗素子を付加する領域を設けたLSIが実装されたPCBに対して、電源回路が電源ノイズに対して安定(LSIの動作が電源ノイズに対して安定)であるか判定し、安定でなかったと判定された場合、PCBの電源回路構造を変更して、再度判定を行う。また、電源回路構造の変更には、前述の抵抗素子付加領域への「抵抗素子付加」と、電源回路への「容量素子付加」の両者が含まれる。
[第1の実施の形態]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路の例を示す図である。図1に示す例は、電源端子間に抵抗素子を挿入可能な抵抗素子付加領域を設けたLSIの構造を示したものである。
図1(a),(b)に示すように、LSI1の電源端子間(ex.電源供給端子(V)2とグランド端子(G)3)間に、LSI1の回路ブロックと並列に抵抗素子4を接続する(後から挿入する)領域を設ける。
LSI1の回路ブロックの電源端子2,3での電源ノイズは、主にLSI電源回路の共振周波数付近のインピーダンスのため大きくなるが、図1(b)に示すように、LSI1の複数の電源端子2−3間に抵抗素子4を挿入することによりその共振のQ値を下げる効果があり、LSI電源回路共振周波数付近でのインピーダンスを下げて電源ノイズを抑制することが可能になる。
図1(c)はLSIの回路ブロックの模式図である。LSIの第1の電源端子(V)2と第2の電源端子(G)3との間に接続されているLSI回路ブロック5の電源端子を流れる電源電流Icによって、ノードVC1及びVC2には電源ノイズが発生し、この電源ノイズによりLSI回路ブロック5が安定に動作するかが決まる。
このとき、図1(d)にはこの第1の電源端子2と第2の電源端子3間に構成される電源回路におけるLSI−基板インピーダンス特性を示したものであるが、抵抗素子4が電源回路に挿入されていないときのLSI−基板インピーダンス特性Aは、LSI電源共振によるピーク値ZPを持ち、このLSI電源共振周波数付近での周波数成分を持つ電源ノイズが大きくなってしまう。しかし、寄生インダクタンス成分7を持った抵抗素子4を、第1の電源端子2と第2の電源端子3間に挿入することにより、LSI電源回路共振のQを下げることが出来る。その結果、LSI−基板インピーダンス特性Bは図に示すように変動し、LSI電源回路共振のピーク値はZP´になり、このLSI電源共振周波数付近での周波数成分を持つ電源ノイズを抑制することが可能になる。
LSI−基板インピーダンス特性の低減効果は、抵抗素子4の抵抗成分6と寄生インダクタンス成分7によって決定されるので、LSIの回路ブロック5と抵抗成分6を挿入する領域間に存在してしまう寄生インダクタンス成分7の値を考慮して、抵抗素子4の値を調整することにより、LSI電源回路が電源ノイズに対し安定に動作するようなLSIを実装したPCBの構造を作成することが可能になる。
また、抵抗素子をLSIの電源端子間に挿入した場合、電源回路に抵抗成分が挿入されることになるので、挿入する抵抗素子の値によっては、低周波領域でのLSI−基板インピーダンス特性が悪化する可能性もある。しかし低周波領域では、寄生インダクタンスによるインピーダンスが大きくないので、デカップリングコンデンサの数を増やすことにより電源系のインピーダンス特性を低減することが出来る。従って、LSIの複数の電源端子に抵抗を挿入し、基板上のデカップリングコンデンサを追加することで、LSI−基板インピーダンス特性を低周波からLSI電源回路共振周波数付近に渡る広範囲で低減することが出来、幅広い周波数帯での電源ノイズの低減が可能である。
なお、前述の電源端子には、LSIに対して共通電位を与える電源端子(例えば、図1のグランド端子G)と、共通電位に対して正電位を与える電源端子(例えば、図1の電源供給端子V)があり、電源端子間と呼ぶ場合は、共通電位の電源端子Gと正電位の電源端子Vの電源端子間を基本とする。また、LSIに負電位が供給される場合は、共通電位の電源端子と負電位の電源端子との間に抵抗素子を付加する領域を設けるようにしてもよく、さらに、所望の場合には、正電位の電源端子と負電位の電源端子との間に抵抗素子を付加する領域を設けるようにしてもよい。
また、1つの電源端子が多端子で構成される場合(例えば、電源端子Vが複数の端子に分かれて構成される場合)は、複数の端子のうちの所定の端子に対して、抵抗素子を付加する領域を設けることができる。また、抵抗素子をLSIの電源端子に直接接続する場合に限定されず、抵抗素子の接続のための専用の接続パッド(端子)を設けるようにしてもよい。またさらに、LSIの電源端子に直接に抵抗素子を付加することに限定されず、LSIの電源端子の近傍、すなわち、LSIの電源端子に接続されるプリント配線基板の電源回路の配線パターン上に抵抗素子を付加する領域を設けるようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線基板設計装置のシステム構成を示す図である。図2に示すプリント配線基板設計装置においては、入力装置11から、電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIを実装したPCBを構成する回路の設計情報と、データベースの情報とを含む入力情報が、電源ノイズ特性導出部12に入力される。
そして、電源ノイズ特性導出部12において、LSIの電源端子で生じる電源ノイズの特性が導出される。次に、電源ノイズ判定部13において、このLSIの実装されたPCBの電源回路が電源ノイズに対して安定に設計されているかが自動的に判定される。具体的には、電源ノイズ特性導出部12において導出された電源ノイズ特性と、判定基準データベース14に含まれる電源ノイズ条件(LSIが電源ノイズに対し安定であるかどうかの判定基準条件)とを比較し、電源ノイズ特性が電源ノイズ条件を満たしているかどうかが判定される。
電源ノイズ特性として挙げられるものは、電源電圧の変動特性、電源を流れる電流量の特性、電源から発生する電磁界放射特性等があり、電源ノイズ特性導出部12ではそれらの特性のうち、いずれか一つの特性を求めるだけで良い。また、判定基準データベース14に保存されている電源ノイズ条件とは、求められた特性における限界値を示すような条件であれば良い。あらかじめ複数の電源ノイズ条件の特性が判定基準データベース14に保存されていれば、電源ノイズ特性導出部12で求めた特性と、ふさわしい電源ノイズ条件とが比較されるようにしてもよい。そして、電源ノイズ判定部13においてこのPCBの電源回路が、電源ノイズ条件を満たすかどうかの判定結果が、出力装置15に出力され、システムでの処理は完了する。
なお、図2に示すプリント配線基板電源回路設計装置は、内部に図示しないコンピュータシステムを有して構成されるものである。そして、各部における一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。すなわち、電源ノイズ特性導出部12、および電源ノイズ判定部13等における、各処理は、CPU等の中央演算処理装置がROMやRAM等の主記憶装置に上記プログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるものである。また、後述する図3、図4、図5、および図6に示すプリント配線基板電源回路設計装置においても同様である。
図7は、第2の実施形態のプリント配線基板電源回路設計装置における処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、回路設計情報の入力処理(ステップS1)から始まる。ここで入力される情報は、図23に示されるような複数の電源端子間に抵抗が挿入される領域を有するLSI62及びその他部品が実装されて電源回路を構成しているPCB(プリント配線基板)61を例に取ると、そのレイアウトや実装されるLSIその他の部品の情報等、電源回路における電圧変動特性を導出するのに必要な情報である。これらの情報は、図2の入力装置11より入力される。
次に、入力された回路設計情報から、電源ノイズ特性導出処理(ステップS2)が行われる。この処理は、図2の電源ノイズ特性導出部12において行われる。この処理により、このLSIの電源端子における電源ノイズ特性が導出される。
次に、導出された電源ノイズ特性と判定基準との比較処理である電源ノイズ特性判定処理(ステップS3)が行われる。この処理は、図2の電源ノイズ判定部13において行われる。ここで、判定基準データベース14内に保存された電源ノイズ条件と求められた電源ノイズ特性との比較処理が行われ、PCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかが判定される。
次に結果出力処理(ステップS5)が行われ、フローは終了する。この処理は判定された結果を出力する処理であり、この処理によりPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかの判定結果が、図2の出力装置15に出力される。この時出力される結果としては、PCBの電源回路がノイズに対し安定に設計されているかどうかの判定結果のみでなく、導出された電源ノイズ特性、及び電源ノイズ条件、さらにその両者の比較が図示された結果等が含まれていても良い。これらの結果により、どれだけのマージンを持った設計となっているか、どの周波数帯での電源ノイズで問題があるか等を絶対量で評価することが可能となる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の第3の実施の形態に係るプリント配線基板設計装置のシステム構成を示す図である。本実施形態は、図2における電源ノイズ特性導出部12として、電源ノイズ解析回路モデル生成部16と、演算部17を有するシステム構成である。他の構成は図2に示すプリント配線基板設計装置と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付している。
図3に示す電源ノイズ解析回路モデル生成部16においては、入力装置11から入力される回路の設計情報から、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIを実装したPCBの電源回路の等価回路モデルを生成し、演算部17では、作成された等価回路モデルを用いて電源ノイズ特性を解析により導出する。
電源ノイズ解析回路モデル生成部16は、大きく分けて2種類の処理部を備える。そのうち一方の処理部は、PCBのレイアウト及び断面構造、及び実装される部品の情報等である基板の設計情報及び部品データベースからプリント基板の電源回路の等価回路モデル(以下、「基板等価回路モデル」とも記述)を作成する基板等価回路モデル作成部16Aである。この基板等価回路モデル作成部16Aには、基板の断面構造や材質、レイアウト等の情報を入力することによって、基板のベタ層や配線等の等価回路モデルを作成することが可能である、フィールドソルバを備えていても良い。
もう一方の処理部は、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIの全回路接続情報やレイアウト情報、LSIの動作情報等の設計情報、及びLSIの内部を構成している部品のデータベースから、後述する図17(a)または図17(b)に示されるようなLSIの電源回路の等価回路モデル(以下、「LSI等価回路モデル」とも記述)を作成するLSI等価回路モデル作成部16Bである。このLSI等価回路モデル作成部16Bには、前述の特許文献3や特許文献4に記述されるようなモデル生成方法、例えば、LSIの全回路接続情報からLSIの等価回路モデルを自動的に作成する手段を備えていても良い。また演算部17には、SPICEに代表されるような回路解析エンジンや、電磁界解析エンジン等が備えられているとしてよく、必要な電源ノイズ特性の解析が実行される。
図8は、第3の実施の形態のプリント配線基板設計装置における処理の流れを示したフローチャートである。このフローチャートは、図7に示された電源ノイズ特性導出処理(ステップS2)として、等価回路モデル生成処理(ステップS5)と回路解析処理(ステップS6)が行われる。このうち等価回路モデル生成処理(ステップS5)は、図3における電源ノイズ解析回路モデル生成部16において行われる。一方、回路解析処理(ステップS6)は、図3における演算部17において行われる。
等価回路モデル生成処理(ステップS5)とは、図3における入力装置11から入力された回路設計情報から、複数の電源端子(例えば、図1の電源供給端子Vとグランド端子G)間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源系全体を示す等価回路モデル(以下、「電源系等価回路モデル」)を作成する処理である。また、回路解析処理(ステップS6)とは、作成された電源系等価回路モデルを用いて電源ノイズ特性を解析する処理であり、この処理により、電源ノイズ特性が導出される。
図10は、等価回路モデル生成処理(ステップS5)における処理の詳細を示すフローチャートである。
図10に示すフローチャートにおいて、まず、基板情報入力処理(ステップS12)により、PCBのレイアウト及び断面構造、及び実装される部品の情報等である基板の設計情報及び部品データベースが、図3に示す入力装置11から入力される。
次に、基板等価回路モデル生成処理(ステップS13)が行われ、LSIを除く、実装される受動部品を含めた基板等価回路モデルが、図3における電源ノイズ解析回路モデル生成部16(基板等価回路モデル作成部16A)において生成される。
次に、LSI情報入力処理(ステップS14)により、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIの全回路接続情報やレイアウト情報、LSIの動作情報等の設計情報、及びLSIの内部を構成している部品のデータベースの情報等が、図3に示す入力装置11から入力される。
次に、LSI等価回路モデル生成処理(ステップS15)により、入力された情報からLSIの電源に流れる電源電流や等価アドミタンス、LSI電源配線のインピーダンス等、LSIの電源系の特性を見積もったLSI等価回路モデルが、図3に示す電源ノイズ解析回路モデル生成部16(LSI等価回路モデル作成部16B)において生成される。
このとき、LSI等価回路モデルとしては、図18(a)に示したような簡易構成のモデルと、図18(b)に示したような位置情報や解析する周波数範囲を考慮して分割されたLSI内を分割したモデル等が考えられるが、その構造の選択もデータベース14内に記されているとする。
次に、電源系等価回路モデル生成処理(ステップS16)により、生成された基板等価回路モデルとLSI等価回路モデルが結合されて、電源系等価回路モデルが、図3に示す電源ノイズ解析回路モデル生成部16において生成され、この処理は終了する。
ここで、基板等価回路モデルの生成(ステップS12→S13)と、LSI等価回路モデルの生成(ステップS14→S15)の処理の順序は逆になっても良い。また、先に基板情報入力処理(ステップS12)とLSI情報入力処理(ステップS14)が行われてから、基板等価回路モデル生成処理(ステップS13)とLSI等価回路モデル生成処理(ステップS16)が行われるような順序を選択しても良い。
図11は、図3の電源ノイズ解析回路モデル生成部16内の、基板等価回路モデルを作成する基板等価回路モデル作成部16Aの内部に、フィールドソルバが備えられている場合の、図10における基板等価回路モデル生成処理(ステップS12→S13)の具体的処理を示したフローチャートである。
図11に示すフローチャートにおいて、まず、基板電源系の構造情報の入力処理(ステップS17)が行われ、求めるプリント基板における基板の電源系の構造情報が図3に示す入力装置11から入力される。
ここで入力される具体的な情報は、図23に示すような複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSI、及びその他部品が実装されて電源供給系回路を構成しているPCBを例に取ると、この場合は電源がベタプレーン構造をしているため、その基板電源構造のレイアウト情報に加え、図15(a)に例示するような基板の電源層31、グランド層32、絶縁層33の層構成34と寸法、及びそれぞれの導電率(σ)や比誘電率(εr) 、誘電正接(tanΔ)などの構造、材料特性に関する数値である。なお、図15において、符号t−vccは電源層31の厚み寸法を示し、符号t−gndはグランド層32の厚み寸法を示し、符号t−inは絶縁層33の厚み寸法を示し、符号t−liは電源メタル配線35の厚み寸法を示している。また、符号Wは、電源メタル配線の線幅を示している。
一方、図15(b)に示されるように電源がマイクロストリップ配線の構造をしていた場合でも同様に、層構成34及び線幅W、線長を含めた各部の寸法と、それぞれの材料特性に関する数値である。層構成及び各部の寸法は、プリント配線基板の設計CADシステムで持っている情報から抽出することが可能である。また、図15で例示されているのはある配線パターンの基板の構成(断面図)であるが、ここで材料定数の代わりに例えば銅などの材料名を入力し、内部のデータベースから導電率に置き換えるなどの処理を行うことも可能である。こうして、基板の電源回路の電気的等価回路を求めるのに必要な各部のパラメータ、及び部品のデータベースが入力される。
次にソルバ処理(ステップS18)が実行され、基板電源系の等価回路モデルの作成が行われる。この処理は、図3の電源ノイズ解析回路モデル生成部16内に備えられたフィールドソルバによって行われる。ここで行われる処理とは、プリント配線基板における配線パターンの物理的な寸法、材料定数及び層構成等のパラメータをもとに、SPICEなどの回路シミュレータで使用するための、抵抗、インダクタンス、キャパシタス、コンダクタンスで表した単位長さあたりの集中定数もしくは分布定数で表現された等価回路モデルを作成する処理である。
このフィールドソルバとして、PEEC(Partial Element Equivalent Circuit)法やFEM(Finite Element Method)法等を適用した電磁界解析エンジンが備えられているとしてよい。この処理が行われ得られた単位長さ辺りの等価回路モデルの一例を図16(a)に示す。このモデルは集中定数で定義されており、配線の単位長さ辺りの抵抗、インダクタンス、容量、コンダクタンスの値はそれぞれ、RU、LU、CU、GUとなっている。
またRU及びLUはモデルの単位長さ辺りのインピーダンスZUを表し、CU及び1/GUはモデルの単位長さ辺りのアドミタンスYUを表している。もし図15(a)のように電源がベタプレーン構造をしていた場合には、この単位長さ辺りのモデルを図16(b)のように組み合わせ、ベタプレーン構造を表現する。一方、図15(b)のように電源が配線構造をしていた場合、この単位長さ辺りのモデルを図16(c)のようにラダー状に組み合わせ、配線構造を表現する。このように記述された単位長さ辺りのモデルが寸法分接続されることにより、基板の電源の等価回路モデルが生成されるが、勿論集中定数記述では無く分布定数記述で表現されていても構わない。
次に、部品データ入力処理(ステップS19)が行われ、実装されているLSI以外の部品のデータベースが図3に示す入力装置11から入力される。ここで入力される具体的な情報は、図23に示されるPCBを例にとると、直流電源(レギュレータ)63及び対策部品(チップコンデンサ65及び電源安定化用コンデンサ64)のデータベースであり、ここではデータベース内に各部品の等価回路モデルが入力されるとする。次に、モデル結合処理(ステップS20)により、ソルバ処理(ステップS18)により生成された基板電源における基板単体の等価回路モデルと、各部品の等価回路モデルが、実際のPCBのレイアウトに合わせ、図3の電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で結合され、この処理は終了する。
こうして、PCBにおける基板等価回路モデルが生成される。なお、処理の順番としては、部品データ入力処理(ステップS19)が最初に行われた後、基板電源系の構造情報の入力処理(ステップS17)とソルバ処理(ステップS18)が行われても良く、先に基板電源系の構造情報の入力処理(ステップS17)と部品データ入力処理(ステップS19)が同時に行われた後にソルバ処理(ステップS18)が行われても良い。
図12は、図10におけるLSI等価回路モデルの生成処理(ステップS14→S15)の具体的な処理を示したフローチャートである。このとき、図3の電源ノイズ解析回路モデル生成部16内のLSI等価回路モデルの作成部16Bとして、前述の特許文献3や特許文献4に記述されているようなモデル生成方法、例えば、LSIの全回路接続情報からLSIの等価回路モデルを自動的に作成するような、LSI等価回路モデル作成システムが備えてあるものとする。
図12に示すフローチャートにおいては、まず、図11に示すフローチャートにおける処理と同様に、LSI情報入力処理(ステップS21)により、LSIの全回路接続情報やレイアウト情報、LSIの動作情報等の設計情報、及びLSIの内部を構成している部品のデータベース等が、図3に示す入力装置11から入力される。
次に、動作部分モデル生成処理 (ステップS22)により、LSIの設計情報からLSIの電源端子に流れる電流を等価的に流せるように記述されたLSIの動作部分が、図3に示す電源ノイズ解析回路モデル生成部16において生成される。
ここで生成されるLSIの動作部分のモデルは、図17(a)に記述されているように電流源41で記述することも可能であるが、同等の電流を流すトランジスタで記述することも可能であり、それらのモデルは、例えば、前述の特許文献3や特許文献4に示されるモデル生成方法によって、設計情報から自動的に生成が可能である。
ここで、LSIの動作部分のモデルに記述される、もしくはトランジスタ記述されたモデルで等価的に流れる電源電流の波形の一例を図19(a)に示す。この波形は周期Tで繰り返す時間変動する電流波形を表したもので、あるが、必要に応じて、図19(b)に記述されたような周波数特性を示す波形に変換しても良い。これらの波形の変換は、周期Tによる時間特性のフーリエ変換、もしくは周波数F(F=1/T)による周波数特性の逆フーリエ変換によって容易に変換は可能である。また電源回路の電圧の周波数特性を求める場合には、必要に応じて、簡単のため周波数が変動しても一定の振幅を示す交流電源波形に置き換えても良い。
次に、アドミタンスモデル生成処理(ステップS23)により、LSI内の等価的なアドミタンスを表現したアドミタンスモデルが、図3に示す電源ノイズ解析回路モデル生成部16において生成される。ここで生成される図17(a)に例示したLSIのアドミタンスモデル(Y)42は、容量や抵抗で構成されたモデルで記述可能であるが、等価的なトランジスタの構造のモデルで記述することも可能であり、それらのモデルも特許文献3や特許文献4に示されるモデル方法によって設計情報から自動的に生成が可能である。
次に、電源分配回路モデル生成処理(ステップS24)により、LSIの電源分配回路モデルが、図3に示す電源ノイズ解析回路モデル生成部16において生成される。ここで生成される電源分配回路モデルは、LSIの動作部分モデルとアドミタンスモデルとを合わせたLSI等価回路モデルと、LSIの2種類の電源端子(電源供給端子−GND端子)間に接続されるモデルであり、図23に例示したPCBにおいては、LSI内の電源配線のモデルだけではなく、パッケージのモデルを含むものとしても良い。
この電源分配回路モデルの構造としては、図17(a)に例示したように簡単なインピーダンス(Z)のモデル43で記述しても良いが、状況に応じて図17(b)に例示したように複数の回路ブロックが結合して構成される等価回路46によって構造された記述でも良い。この電源分配回路のモデルは、データベース内に等価回路モデルを用意しておいてそれを読み込んでも良いが、特許文献4に記述のモデル方法から作成する、もしくは構造や材料定数と言ったパラメータである入力情報から、図3の電源ノイズ解析回路モデル生成部16内に備えられたフィールドソルバによるソルバ処理によって作成するような方法を選択しても良い。
次に、モデル結合処理(ステップS25)により、作成されたLSIの動作部分モデルとアドミタンスモデルと電源分配回路モデルを結合させ、図17(a),(b)に例示されるようなLSIの等価回路モデルが生成され、この処理は終了する。こうして、PCBに実装されるLSIの等価回路モデルが生成される。なお、各モデルの作成処理(ステップS22、S23、S24)の順番は、適宜前後させることも可能である。
こうした過程を経て、図8における等価回路モデル生成処理(ステップS5)により、図23のPCBの電源回路モデルの一例は、図27のようになる。図10における基板等価回路モデルの生成(ステップS12→S13)の処理により、プリント配線基板の基板電源配線モデル71、直流電源モデル73、チップコンデンサモデル75、電源安定化用コンデンサモデル74が作成される。また図10におけるLSI等価回路モデルの生成(ステップS14→S15)により、電源分配回路モデル78及びパッケージモデル79を含めたLSI等価回路モデル72が作成され、図10の電源系等価回路モデル生成処理(ステップS16)により、これらのモデルが結合され、PCBの電源系等価回路モデルが生成される。
図20は、図27で例示されたようなPCBの電源系等価回路モデルを用いて、図8の回路解析処理(ステップS6)として回路の過渡解析を行い、電源ノイズ特性として電源電圧変動特性を求めた場合の一例である。
この電圧変動特性A,Bが、図3の判定基準データベース14内より読み込まれる電源ノイズ条件を満たしているか、図3の電源ノイズ判定部13内で自動判定が行われることになる。ここで電源ノイズ条件の一例としては、電源ノイズ特性の大きさ(以下、「電源ノイズ量」とも記述)や安定動作を行うための許容値(以下、「安定動作許容値」とも記述)等の条件が挙げられ、電源ノイズ量の条件としては、電圧の最大値から最小値までのΔVAの大きさがΔVMAXという設定値以下であり、安定動作許容値の条件としては、電圧波形の最小値VMINが電圧降下の閾値VTH以上である、というもので良い。そして、判定結果の一例としては、LSIの電源端子の観測点における電源電圧の時間変動特性は、電源ノイズ量の条件である「ΔVA ≦ΔVMAX」という条件は満たしているが、安定動作許容値の条件である「VMIN≧VTH」という条件を満たさないので、この電源電圧波形Aが生じる回路では、PCBの電源回路はノイズに対し安定でない、といったものになる。
なお、ここでは電源ノイズ条件として電源ノイズ量及び安定動作許容値の両方を検討することにしているが、電源ノイズ量か安定動作許容値の片方だけを検討、もしくはそれ以上の判定条件がある場合も考えられる。また、図23で例示されたようなPCBの電源系等価回路モデルである図27の等価回路モデルにおいて、電源電圧の時間変動特性として図示されたC点(この場合はLSIの直下である符号76で示す電源電圧特性)での電圧値をモニターしているが、別のモニター点(例えば電源プレーンの端における電源−グランド間の電圧)での電圧値の特性において、電源ノイズ条件が設定されていても良い。
こうして、図23で例示されたようなPCBの電源系等価回路モデルを図8の回路解析処理(ステップS6)を行った結果より、電源ノイズ特性比較処理(ステップS3)が、図3に示す電源ノイズ判定部13内で実行される。
ここで、図3における判定基準データベース14内には複数の電源ノイズ条件が用意されており、図8における電源ノイズ特性比較処理(ステップS3)では、電源ノイズ特性導出処理(ステップS2)において得られる電源ノイズ特性に対応した電源ノイズ条件を自動的に選択して読み込み、電源ノイズ特性の比較処理及び条件を満たしているかの判定処理を行なう、というようなシステム構成とすることも可能である。
例えば判定基準データベース14内に、電源電圧の時間変動特性に対するノイズ条件と電源電圧の周波数特性に対するノイズ条件が用意されているとする。ここでLSI等価回路のモデルとして、図19(a)に示したような電源電流の時間波形を出力するモデルを用い、電源ノイズ特性導出処理(ステップS2)において電源ノイズ特性として電源電圧の時間変動特性を求めた場合、それに対応する電源ノイズ条件としては、電源電圧の時間変動に対するものとなるので、判定基準データベース14内から電源電圧の時間変動に対するノイズ条件が自動的に選択されて読み込まれる。
また、図19(b)に示したような電源電流の周波数特性を出力するモデルを用い、電源ノイズ特性導出処理(ステップS2)において電源ノイズ特性として図21に示すような電源電圧の周波数変動特性A,Bを求めた場合、それに対応する電源ノイズ条件としては、電源電圧の周波数変動に対するものとなるので、判定基準データベース14内から電源電圧の周波数変動に対するノイズ条件が自動的に選択されて読み込まれることになる。
ここで、用意される電源ノイズ条件としては電源電圧の時間変動特性または周波数特性だけではなく、例えばLSIの電源端子電流の時間変動特性または周波数特性等が用意されていても良い。この場合でも、電源ノイズ特性としてLSIの電源端子電流の時間変動特性が得られた場合には、判定基準データベース14内から電源端子電流の時間変動特性が、電源端子電流の周波数変動特性が得られた場合には電源端子電流の周波数変動特性がそれぞれ自動的に選択されることになる。
この図8における電源ノイズ特性比較処理(ステップS3)による判定結果が、図3の出力装置15に、出力されることになる。この時出力される結果としては、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかの判定結果のみでなく、導出された電源ノイズ特性、電源ノイズ特性を導出するために使用した電源系等価回路モデル、電源ノイズ条件、さらにその両者の比較が図示された結果等が含まれていても良い。これらの結果により、どれだけのマージンを持った設計となっているか、どの周波数帯での電源ノイズで問題があるか等を絶対量で評価することが可能となる。
本実施の形態において、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源回路の等価回路モデルの生成処理、電源ノイズ特性の解析処理、及びLSIが安定に動作するように設計されているかどうかの判定処理は入力したデータに対し一定の処理を行わせるだけであるので、自動化が可能であり、LSIやプリント基板配線について深い知識を有さない人間でも、容易に電源回路が安定かつ低ノイズに設計されているかどうかの判定を行うことが出来る。また、LSIの等価回路モデルの作成手法及び装置は、既存の技術を流用することが可能であり、基板の等価回路モデル作成用のフィールドソルバや回路解析ツールも市販のものを流用することが可能であるので、本発明のシステムは容易に構築すること可能である。
また、このようにPCB上の一種類の電源系においてその電源回路が安定に設計されているかどうかを自動的に判定することが出来るので、順次、他の電源系にも同じ処理を繰り返すことで、PCB上の電源系全てが構成する電源回路が安定に設計されているかどうかを自動的に判定することも可能になる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の第4の実施の形態に係るプリント配線基板設計装置のシステム構成を示す図である。本実施の形態は、図3に示す第3の実施の形態のシステム構成に、回路構造変更部18を備えた構成になっている。他の構成は図3に示すプリント配線基板設計装置と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付している。
図4に示すプリント配線基板設計装置において、回路構造変更部18は、電源ノイズ判定部13で、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源回路における電源ノイズ特性が電源ノイズ条件を満たさないと判定されたときには、入力装置11から入力される複数の電源端子間に挿入される抵抗素子の情報、またはそれに伴い基板上に実装される容量素子の情報から、PCBの電源回路の構造情報の変更を行い、変更された回路記述の情報を電源ノイズ特性導出部12内に入力する処理部である。この回路構造変更部18を備えることにより、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源回路を安定な構造に設計し直すことが可能になる。
図9は、第4の実施の形態のプリント配線基板設計装置における処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、図8の第3の実施の形態における処理の流れを示すフローチャートと同様に、電源ノイズ特性と判定基準との比較処理(ステップS3)を行う。そして、判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)を行って判定条件を満たさなかった場合(ステップS7:No)、LSIの複数の電源端子間に抵抗素子を付加する抵抗素子付加変更処理(ステップS10)または基板上に容量素子を付加する容量素子付加変更処理(ステップS11)を行い、電源回路の構造を変更して再度入力する処理が備えられたフローチャートである。
また、抵抗素子付加変更処理(ステップS10)を行うか、容量素子付加変更処理(ステップS11)のどちらを行うかは、電源ノイズ特性と判定基準との比較処理(ステップS3)において判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7:No)の後に、電源ノイズ量が判定基準を満たしていないかの判定処理(ステップS9)を行う。そして、電源ノイズ量が判定基準を満たさない場合(ステップS9:Yes)、抵抗素子付加変更処理(ステップS10)を行う。また、電源ノイズ量が判定基準を満たす場合(ステップS9:No)、容量素子付加変更処理(ステップS11)を選択するという処理を追加して対応している。
図9に示すフローチャートは、図8のフローチャートと同様、図4の入力装置11から回路情報の入力処理(ステップS1)が行われ、図3の電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で入力された情報から複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源系等価回路モデルの生成処理(ステップS5)が行われる。
そして、図4の演算部17内で電源系等価回路モデルを用いた回路解析処理(ステップS6)が行われ、図4の電源ノイズ判定部13において、解析された電源ノイズ特性と図4の判定基準データベース14から読み込まれる電源ノイズ条件との比較処理(ステップS3)が行われた後、電源ノイズ条件を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)が行われる。この処理で判定基準を満たさない場合、図4の回路構造変更部18内で、判定基準を満たさなかったのが電源ノイズ量かどうかの判定処理(ステップS9)を行う。
このステップS9における判定結果がYesなら(ステップS9:Yes)、抵抗素子付加変更処理(ステップS10)として、LSIの複数の電源端子間の領域に抵抗素子を付加して回路構造を変更する処理が、図4の回路構造変更部18内で行われる。
一方、ステップS9における判定結果がNoなら(ステップS9:No)、容量素子付加変更処理(ステップS11)として、基板上の領域に容量素子を付加して回路構造を変更する処理が、図4の回路構造変更部18内で行われる。
そして、抵抗素子付加変更処理(ステップS10) または容量素子付加変更処理(ステップS11)が行われて変更された回路構造情報が、再び図4の電源ノイズ特性導出部12に入力され、等価回路モデル生成処理(ステップS5)が再度行われ、一連の処理を繰り返す。ここで、等価回路モデル生成処理(ステップS5)において、前のステップで作成された電源系等価回路モデルを構成する各要素モデルは既に存在しているので、図10における電源系等価回路モデルの構造を変更して再度モデルを生成する処理(ステップS12〜S16)を行う際に、入力される情報が変更される部分だけを変更するだけにする、としても良く、その方が現実的である。
図13は、図9における抵抗素子付加変更処理(ステップS10)の具体的処理を示したフローチャートである。まず変更指針に従い、電源ノイズ量が判定を満たさなかった場合にどのような抵抗値を持つ抵抗素子をLSIの複数の電源間に挿入するかどうかを決定する抵抗素子決定処理(ステップS26)が、図4の回路構造変更部18内で行われる。
変更指針は、予め判定基準データベース内に記録されていて、抵抗素子決定処理(ステップS26)はその変更指針に自動的に従うとしても良い。次に、抵抗素子を挿入した場合の回路構造を変更するレイアウト変更処理(ステップS27)が、図4の回路構造変更部18内で行われ、抵抗素子付加変更処理(ステップS10)は終了する。
また、一度抵抗素子付加変更処理(ステップS10)を行って一連の処理を繰り返しても、再び、判定基準を満たさなかったのが電源ノイズ量かどうかの判定処理(ステップS9)でyeSと選択された場合は再び抵抗素子付加変更処理(ステップS10)を行うことになるが、前処理で変更しても電源ノイズ量が判定を満たさなかった場合の変更指針に従い、再度抵抗素子決定処理(ステップS26)を行う。この場合の変更指針も、予め判定基準データベース内に記録されていて、抵抗素子決定処理(ステップS26)はその変更指針に自動的に従うとしても良い。
抵抗素子変更処理を行った前後の電源ノイズは、図20に例示したような電源電圧の時間波形においては、電源電圧波形Aから電源電圧波形Bのように、電源ノイズ量ΔVAからΔVBへと振動の振幅が低減し、図21に例示したような電源電流の周波数特性については、特性Aから特性Bのように電源ノイズ量として大きな値である動作周波数の高調波での値が低減するようなものになる。
これは、図22に例示するLSI−基板インピーダンス特性において、抵抗素子を複数の電源端子間に挿入したことにより、LSI電源回路共振のQが低下し、LSI−基板インピーダンス特性Aが特性Bに示したものに代わり、LSI電源回路共振によって生じたピーク値ZPAをZPBに低減することで、図21に例示したような電源電流の周波数特性ではLSI電源回路共振周波数付近でのノイズ量が低減され、図20に例示したような電源電圧の時間波形においてはLSI電源回路共振周波数付近の成分を持つ波形の振動成分が低減されている。
ただし、ここで注意する必要があるのは、LSIの複数の電源端子間に抵抗素子を挿入しているため、直流成分での特性は逆に悪化してしまう可能性がある。図20に例示したように、波形Aと波形Bでは電源ノイズ量は低減しているが、振動の中心電圧であるVDCAがVDCBに降下してしまうため、抵抗素子をLSIの複数の電源端子間に挿入しただけだと、電源ノイズ量での条件は満たしても、安定動作許容値の条件は満たさない可能性もある。
図14は、図9における容量素子付加変更処理(ステップS11)の具体的処理を示したフローチャートである。まず変更指針に従い、電源ノイズ特性が判定を満たさなかった場合にどのような容量値を持つ容量素子を、数量も含め、基板上のどの位置に追加実装するかどうかを決定する容量素子決定処理(ステップS28)が、図4の回路構造変更部18内で行われる。
変更指針は、予め判定基準データベース内に記録されていて、容量素子決定処理(ステップS28)はその変更指針に自動的に従うとしても良い。次に、容量素子を追加実装した場合の回路構造を変更するレイアウト変更処理(ステップS29)が、図4の回路構造変更部18内で行われ、容量素子付加変更処理(ステップS11)は終了する。ま
また、一度容量素子付加変更処理(ステップS11)を行って一連の処理を繰り返しても、再び、判定基準を満たさなかったのが電源ノイズ量であったかどうかの判定処理(ステップS9)でnoと判定された場合は、電源ノイズ量が判定を満たしているが安定動作許容値のようなその他の判定基準を満たさなかった場合の変更指針に従い、再度容量素子決定処理(ステップS28)を行う。この場合の変更指針も、予め判定基準データベース内に記録されていて、容量素子決定処理(ステップS29)はその変更指針に自動的に従うとしても良い。
一方、図9の電源ノイズ条件を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)で判定基準を満たした場合、回路構造及び特性出力処理(ステップS8)が行われ、図4の出力装置に、判定基準を満たした電源回路の構造とそのときの電源ノイズの特性が出力され、一連の処理が終了する。
この際、出力される情報としては、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計された場合の回路構造及びそのときの電源ノイズ特性だけではなく、電源ノイズ特性に対し安定に設計されていなかったときの構造と設計されたときの構造のそれぞれの電源ノイズ特性、及びそれぞれの電源系等価回路モデル、電源ノイズ条件との比較が図示された結果等が含まれていても良い。これらの結果により、どれだけのマージンを持った設計となっているか、どの周波数範囲で問題があるか等を絶対量で評価することが可能となる。
本実施形態により、安定に設計された電源回路を有する、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの構造が得られ、その電源ノイズ特性も求めることが出来る。また図4の判定基準データベース14内に、電源ノイズ条件を満たさない場合における、LSI及びプリント基板構造変更のための変更指針が予め用意されていれば、自動的にPCBの電源回路が電源ノイズ条件を満たすように構造が変更される。
また、電源系等価回路モデルの生成処理、電源ノイズ特性の解析処理、及びPCBのLSIが電源ノイズに対して安定かどうかの判定処理は入力したデータに対し一定の処理を行わせるだけであるので、自動化が可能であり、LSIやプリント基板配線について深い知識を有さない人間でも、容易に安定に設計された電源回路を有するPCBを設計することが可能になる。また、LSIの等価回路モデルの作成手法及び装置は、既存の技術を流用することが可能であり、基板の等価回路モデル作成用のフィールドソルバや回路解析ツールも市販のものを流用することが可能であるので、本発明のシステムは容易に構築すること可能である。
また、このようにPCB上の一種類の電源系においてその電源回路が安定に設計されているかどうかの判定、もしくはLSIの複数の電源端子間に抵抗素子を挿入する処理と基板上に容量素子を追加実装して電源ノイズに対し安定な構造への変更を、自動的に実行することが可能になるので、順次、他の電源系にも同じ処理を繰り返すことで、PCB上の電源系全てにおいて、電源回路が安定に設計されているかどうかの判定、LSIの複数の電源端子間に抵抗素子を挿入する処理と基板上に容量素子を追加実装して電源ノイズに対し安定な構造への変更を、自動的に実行することも可能になる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図5は、本発明の第5の実施の形態に係るプリント配線基板設計装置のシステム構成を示す図である。本実施の形態は、図3に示された第3の実施の形態のプリント配線基板設計装置に、各入力情報及びデータベースが記憶された記憶装置21が備えられたシステムである。他の構成は図3に示すプリント配線基板設計装置と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
記憶装置21内には、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIの全回路接続情報やレイアウト情報、LSIの動作情報等の設計情報、及びLSIを構成している部品のデータベース等である、LSI設計情報及びLSIデータベース23が記憶されている。また、PCBのレイアウト及び断面構造、及び実装される部品の情報等である基板の設計情報であるCADデータ及び部品データベース22と、判定基準データベース14が記憶されている。
このシステムにおいて、図8のフローチャートにおける基板等価回路モデルを生成するための回路の設計情報を、図3の入力装置1によって入力する代わりに、必要に応じて記憶装置21内にあるCADデータ及び部品データベース22から必要なデータを自動的に抽出させることが可能である。
ここで述べているCADデータにおける電源等の配線情報には、一般的に、配線幅や、配線ルートのXY2軸座標によるルート指定や、配線全長等の情報が含まれ、さらには、接続先の部品名称や型番などの情報を含んでいる。従って、接続先の部品名称から、部品データベースの中でその部品の等価回路モデルを探索し、モデルを選択するという方法を行うことも可能であり、またより実際的である。
またこのとき、入力されたCADデータと連動し、記憶装置21内にある複数のLSIの設計情報及びLSIデータベース23、及び複数の判定基準データベース14から、必要なLSIのデータ及び電源ノイズ特性のデータを抽出することも可能であり、またより実際的である。具体的には、CADデータから電源回路に接続されるLSIの名称及びパッケージのデータ等を自動的に抽出し、必要なLSIの全回設計情報とパッケージや電源分配回路の情報、LSIを構成している部品のデータ等が含まれたLSIデータベース、及びその電源回路における電源ノイズ条件の情報が自動的に選択され入力されるような方法である。このとき、入力装置1は使用しなくても良いし、入力を開始するためのアクションを入力するためだけに使用しても良い。この処理は、図11におけるS103とS104、及び図12におけるS105に相当する。
さらに、図5の電源ノイズ判定部13によって得られた結果を、記憶装置21内にある、CADデータ(CADデータ及び部品データベース22)及びLSI設計情報(LSI設計情報及びLSIデータベース23)の中に出力することも可能である。この処理は図8におけるS101及びS102である。CADデータ22に関しての具体例としては、CAD上に表示されたPCBの電源回路における基板の電源配線や、接続されている対策部品の情報にエラーが書き込まれる。例えばCADデータを図として表示した場合、その電源回路を構成する部分の色が変わっている等のアラームが出力されるような構造にすれば、ユーザがその電源回路が電源ノイズ対し安定に設計されておらず、対策を行う必要が一目で判るようになる。
また、LSI設計情報23に関しての具体例としては、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIの設計情報の中に、電源ノイズ量が大きく判定基準を満たさなかったため、抵抗素子を複数の電源端子間に挿入する必要があるといった情報が追加される、といった例が挙げられる。このように情報が書き変えられることにより、設計者側がどのような対策を行えば良いかの指針も得られることになる。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図6は、本発明の第6の実施の形態に係るプリント配線基板設計装置のシステム構成を示す図である。本実施の形態は、図4に示された第4の実施の形態のプリント配線基板設計装置に、各入力情報及びデータベースが記憶された記憶装置21が備えられたシステムである。他の構成は図4に示す第4の実施の形態のプリント配線基板設計装置と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付している。
図6に示すプリント配線基板設計装置において、記憶装置21内には、第4の実施の形態と同様、複数の電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIの全回路接続情報やレイアウト情報、LSIの動作情報等の設計情報、及びLSIを構成している部品のデータベース等である、LSI設計情報及びLSIデータベース23が記憶されている。また、PCBのレイアウト及び断面構造、及び実装される部品の情報等である基板の設計情報であるCADデータ及び部品データベース22と、判定基準データベース14が記憶されている。
このシステムにおいて、図9のフローチャートにおける基板等価回路モデルを生成するための回路の設計情報を図4の入力装置1によって入力する代わりに、必要に応じて記憶装置21内にあるCADデータ及び部品データベース22から必要なデータを自動的に抽出させることが可能である。CADデータにおける基板の電源系において、接続先の部品名称から、部品データベースの中でその部品の等価回路モデルを探索し、モデルを選択するという方法を行うことも可能であり、またより実際的である。
またこのとき、入力されたCADデータ22と連動させ、記憶装置21内にある複数のLSIの設計情報及びLSIデータベース23、及び複数の判定基準データベース14から、必要なLSIのデータ、電源ノイズ特性とその判定結果とリンクした回路構造の変更指針のデータを抽出することも可能であり、またより実際的である。具体的には、CADデータ22から電源回路に接続されるLSIの名称及びパッケージのデータ等を自動的に抽出し、必要なLSIの全回設計情報とパッケージや電源分配回路の情報が含まれたLSIデータベース、及びその電源回路における電圧ノイズ条件の情報、及び判定基準を満たさなかった場合の回路構造の変更指針が自動的に選択され入力されるような方法である。このとき、第5の実施形態と同様、入力装置1は使用しなくても良いし、入力を開始するためのアクションを入力するためだけに使用しても良い。
そして、図9のフローチャートにおいて抵抗素子変更処理(ステップS10)を行う際には、図6の記憶装置21内にあるCADデータ及び部品データベース22、及びLSIの設計情報とLSIデータベース23に直接働き、LSIの複数の電源端子への抵抗素子挿入とそれに基づく構造の変更の処理が行われ、CADデータ22とLSIデータベース23がその処理によって記述が変更される。この処理は、図13におけるS106、S107に相当する。
また図9のフローチャートにおいて容量素子変更処理(ステップS11)を行う際には、図6の記憶装置21内にあるCADデータ及び部品データベース22に直接働きかけ、基板への容量素子の追加実装とそれに基づく構造の変更の処理が行われ、CADデータ22がその処理によって記述が変更される。この処理は、図14におけるS108に相当する。
従って、処理が終了した際には、自動的に電源ノイズに対して安定なPCBの電源回路が得られる、より実際的なシステム構成になっている。なお、このときCADデータにおける電源回路は、LSIの複数の電源端子間に抵抗を挿入したときにはLSIの色を変える、もしくは容量素子を追加実装した場合、追加した容量素子の色を変える、といった処理を行なうことで、設計者にとって、どのような処理が行われたかが一目で判るようにすることも可能である。
次に、具体的な実施例を用いて本発明のプリント配線基板電源回路設計装置の動作について説明する。
図23は、解析すべきPCB(プリント配線基板)61の一例であり、パッケージを含むLSI62がベタの電源層とグランド層間に実装され、LSI62の周辺の領域にはチップコンデンサ65が8個電源−グランド間に実装されている。また、電源安定化用コンデンサ64が4個、電源−グランド間に実装されている直流電源(レギュレータ)63からベタ電源層−グランド層間に直流電圧1.8Vが供給され、電源回路が構成されているという構造である。
このLSI62には、電源−グランド端子間に抵抗素子を追加出来る抵抗素子付加領域が設けられている。この電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかを、本発明のプリント配線基板電源回路設計装置を用いて検証を行う。また、このPCBの電源回路が安定に設計されていない場合、LSI62の電源−グランド端子間に抵抗素子を挿入する処理、及び基板上に容量を追加実装する処理を用いて、電源ノイズに対し安定に設計された構造に設計変更する操作を、本発明のプリント配線基板電源回路設計装置を用いて行う。
この場合に、プリント配線基板電源回路設計装置として、図5に示される第5の実施の形態のプリント配線基板電源回路設計装置を用い、図23に示すPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかを判定する。
そして、先ず、図8における回路設計情報の入力処理(ステップS1)が行われる。ここでは、入力装置11から入力情報を取り込むという信号を発生させ、記憶装置21内に記憶されたCADデータと部品データベース22から、図23に示されるPCBのCADデータ及び実装されている部品の等価回路を含んだデータベースが入力される。
そのCADデータと連動し、同時に記憶装置21内に記憶されたLSI設計情報とLSIデータベース23から、実装されているLSIの全回路設計情報を含んだ設計情報、LSIのレイアウト情報、LSIを構成している部品やパッケージの等価回路、及び追加される容量セルのレイアウトデータと等価回路モデル等を含んだデータベースが入力される。
また同時に、記憶装置21内に記憶された判定基準データベース14から、図23に示されるPCBの電源回路における電源ノイズの判定基準が入力される。この電源ノイズの判定基準には、観測点66の情報とその箇所での電圧の時間変動特性における判定条件が含まれているとし、観測点66は図23に示したように、LSIの直下の点であるとする。この処理が図8の回路設計情報入力処理(ステップS1)に相当する。またこの処理は図10におけるステップS12及びS14に相当し、さらに詳細に説明すると、CADデータの入力は図11のステップS103、部品データベースの入力は図11のステップS104、LSI設計情報とデータベースの入力は図12のステップS105の各処理に相当する。
次に、図8における等価回路モデル生成処理(ステップS5)が行われる。先ず、図10に示すステップS12,S13の一連の処理である、基板等価回路モデルの作成処理が電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で行われる。既に基板情報入力処理(ステップS12)、または図11における基板構造情報の入力処理(ステップS17)は、CADデータの入力処理(ステップS103)としてなされている。
その次のステップとして、基板等価回路モデル生成処理(ステップS13)が行われる。この処理において、図11におけるソルバ処理(ステップS18)が、電源ノイズ解析回路モデル生成部16内に備えられたフィールドソルバを用いて実行される。ここでフィールドソルバに入力される、PCBの基板構造の入力情報は、図15(a)または(b)に示されるような電源配線の形状、及び材料定数であり、CADデータからの入力処理(ステップS103)により得られている。この例では電源パターンは、図15(a)に示すように層構造になっており、電源基板における電源の水平面寸法、電源層31の厚みt−vcc、グランド層32の厚みt−gnd、各絶縁層33の厚みt−in、及び各同導電層の導電率σ、各絶縁層の比誘電率εr及び誘電正接tanΔの値より、図16(b)に示したようなメッシュ構造の等価回路モデルが作成されても良いが、ここではそれをさらに簡易的にした図16(a)のようなラダー構造のモデルが作成されたとする。
また、図16(a)に示す、インピーダンスZU及びYUのパラメータは、基板モデルの単位長に左右されるが、ここでは基板情報の入力の際に、“面のモデルを作成する際の単位メッシュ長は1[mm]×1[mm]とし、さらにその構造を電源からLSIへのラダー構造に修正する”という情報が同時に入力され、それに従い集中定数で記載されるモデルが作成されるとする。こうして具体的に、図27に示したような基板電源配線モデル71が作成される。
ここでの基板電源配線モデル71は、R=0.24[mΩ]、L=0.175[nH]が直列に接続されたモデルとし、キャパシタンスC及びコンダクタンスGの値は回路特性に対し殆ど影響が無いため無視されたものとする。また基板に実装された部品に関しての、部品データ入力処理理(ステップS19)もまた、部品データベースの入力処理(ステップS104)として既になされている。
次に、図11におけるモデル結合処理(ステップS20)が実行され、生成されている基板モデルと実装されているLSI以外の部品のモデルが結合される。この例では部品データベースからの入力処理(ステップS104)にて入力された直流電源及びチップコンデンサのモデルが、CADデータ上で直流電源、電源安定化用コンデンサ及びチップコンデンサが実装されている位置の基板のモデルに結合されるという処理が行われ、図27に示したような直流電源モデル73、電源安定化用コンデンサモデル74、チップコンデンサモデル75が基板電源配線モデル71に適切な場所で接続される。
ここでは、直流電源モデル73は、抵抗500[mΩ]とインダクタンス400[nH]が直列に接続された1.8Vの直流電源のモデルを、電源安定化用コンデンサモデル74は、抵抗20[mΩ]とインダクタンス1.2[nH]が直列に接続された470[μF]の容量を持つコンデンサモデルを4個並列に接続したモデル、チップコンデンサモデル75は、抵抗15[mΩ]とインダクタンス1.0[nH]が直列に接続された0.1[μF]の容量を持つコンデンサモデルを8個並列に接続したモデルとしている。こうして、基板等価回路モデルが、電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で作成される。
次に、図10に示すLSI等価回路モデル生成処理(ステップS15)が、電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で行われる。ここではパッケージも含めたLSIの等価回路モデルが、この処理で作成されるとする。既にLSI情報入力処理(ステップS14)または図12におけるLSI設計情報及びLSIデータベース入力処理(ステップS21)は、CADデータの入力に対応して記憶装置21内からのLSI設計情報とLSIデータベースの自動入力処理(ステップS105)としてなされている。
次に、図12における動作部分モデル生成処理(ステップS22)が行われ、入力されたLSI設計情報とLSIデータベースより、LSIの動作部分のモデルが生成される。ここでは、前述の特許文献3に記述されたモデル生成方法より、例えば、トランジスタ記述のゲート回路のモデルの形状で作成するとし、スイッチング動作を起こす周波数は100[MHz]とした動作部分のモデルが作成されたとする。また、LSIの電源端子を流れる電流を模示した動作部分モデルが生成されたとする。
次に、図12におけるLSIのアドミタンスモデル生成処理(ステップS23)が行われ、LSIの等価アドミタンスのモデルが生成される。ここでは、特許文献3に記述されたモデル生成方法を適用し、得られた回路の等価内部容量をまとめるという手法で生成されたとする。
次に、図12におけるLSIの電源分配回路モデル生成処理(ステップS24)が行われ、LSIのパッケージを含めた電源分配回路の等価回路モデルが生成される。ここでは、部品データベース内に電源分配回路モデル及びパッケージモデルが用意されていたとし、既にこの情報が入力されているので特に何も処理は行われないとする。もし、LSI内の電源配線等が、図15(b)における基板配線のような情報で記述されている場合は、電源ノイズ解析回路モデル生成部16内に備えられたフィールドソルバによるソルバ処理により、等価回路モデルが生成される必要がある。
次に、図12におけるモデル結合処理(ステップS25)が実行され、図27に示されたようなLSIの動作部分モデル、等価アドミタンスモデル、及び電源分配回路モデル78が結合されたLSI等価回路モデル72とパッケージモデル79が接続され、それらを含めたパッケージを含めたLSIの等価回路モデルが電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で作成される。ここでのパッケージモデル79としては、R=100[mΩ]、L=1.0[nH]が直列に接続されたモデルを6本並列に接続したモデルとし、キャパシタンスC及びコンダクタンスGの値は回路特性に対し殆ど影響が無いため無視したものとする。また、電源分配回路モデル78は、R=30[mΩ]L=0.4[nH]、C=20[pF]で組み上げられたモデルを6本並列に接続したモデルとし、コンダクタンスGの値は回路特性に対し殆ど影響が無いため無視したものとする。さらに、LSI等価回路モデル72内の等価アドミタンスモデルは、R=80[mΩ]、C=2000[pF]が直列に接続されたモデルとする。
次に、図10に示す電源系等価回路モデル生成処理(ステップS16)が、電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で行われる。生成された基板等価回路モデルとパッケージモデル79を含んだLSI等価回路モデルが、図23に示すPCB上のLSIの位置を反映して結合され、求めるべきPCBの電源回路の等価回路モデルが電源ノイズ解析回路モデル生成部16内で作成される。尚、図27は簡略化されたものとなっており、実際に接続されている各部分のモデルの数は実際と異なっている。
次に、図8に示す回路解析処理(ステップS6)が、演算部17内で実行される。ここで先の回路設計情報入力処理(ステップS1)で、電源ノイズの判定基準は、図23における観測点66における電圧の時間変動特性でのものとされているため、自動的に解析により求められる特性は、観測点66における電圧の時間変動特性となる。そこで、先の処理で生成されている図27に示される等価回路モデルを用いて、演算部17内に備えられた回路解析エンジンにより過渡解析され、観測点Cにおける電圧の時間変動特性(V)76が導出される。得られた電圧変動特性は図29(c)の“基本モデル”で示される時間波形となる。
次に、図8に示す電源ノイズ特性と判定基準との比較処理(ステップS3)が、電源ノイズ判定部13内で実行される。ここで、判定基準データベース14より入力された判定基準と、解析された電源ノイズ特性を比較し、電源ノイズ特性が判定基準を満たすかどうかを判定する。ここでは、観測点での電圧の時間変動特性が、下限電圧閾値VTH=1.35[V](25%の電圧降下)を一瞬でも下回った場合には判定基準を満たさない、という条件であったとする。図29(c)にはVTHの特性も併記したが、この図より、等価回路モデルを用いた過渡解析により導出された電圧の時間変動特性は、VTHを下回る時間が生じている為、判定基準を満たしていないと判定される。
次に、図8における結果出力処理(ステップS4)が行われ、電源ノイズ特性と判定基準との比較処理(ステップS3)における判定結果(判定基準を満たさない)が、出力装置15に出力され、一連の処理が終了する。ここでは同時に、図27に記述されたPCBの等価回路モデル、及びそのモデルを使用した解析比較結果である図29(c)に示された特性が出力されても良い。また同時に、図8におけるCADデータへの結果出力処理(ステップS101)が行われ、記憶装置21内のCADデータ22の記述が変更されるとする。ここでは、CADデータ内の基板電源配線に、判定基準を満たさないというメッセージが書き込まれ、図23のCADデータが図示された際、基板電源配線の色が例えば赤色に変化して、判定基準を満たしていないということがすぐ判るようになる。
また同時に、図8におけるLSI設計情報への結果出力処理(ステップS102)が行われ、記憶装置21内のLSI設計情報23の記述が変更されるとする。ここでは、LSI設計情報内に、この基板電源配線では判定基準を満たさないというメッセージが書き込まれ、本CADデータにリンクし、図23のCADデータが図示された際、LSIの色が例えば赤色に変化して、判定基準を満たしていないということがすぐ判るようになる。ここで、本実施例において、VTHの値が更に低い値(例えば30%の電圧降下までOKにするとVTH=1.26[V])であったとすると、図23のプリント回路基板の電源回路は、判定基準を満たすことになり、結果出力処理(ステップS4)において、出力装置15に、図23に示されたプリント回路基板の電源回路は、電源ノイズに対して安定に設計されている、という判定結果が出力されることになる。以上の処理により、図23に示されたPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかが自動的に判定される。
なお、補足として、図24に示すように、図23の基板上のチップコンデンサの数量を倍にしたときの例を示す。
この場合、図27の等価回路モデルでは、図23の基板における等価回路モデルに対し、チップコンデンサモデル75が16個並列に接続された等価回路モデルとなっているとする。この場合も、各部品のモデルの数は実際と異なっているため、チップコンデンサモデルの数は実際には増えているが、同じ図で表現している。このときの電源電圧特性76も図29(c)の“Dec(デカップリングコンデンサ)×2”で示される特性として併記してあるが、こちらの特性もVTHを下回る時間が存在し、図5に示されたプリント配線基板電源回路設計装置を用いて判定した場合には、PCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されていないと自動的に判定されてしまう。
これは、図29(a)に、図23及び図24のPCBの電源回路の等価回路モデルを用いてLSI−基板インピーダンス特性を解析したものを示すが(“基本モデル”が図23の基板における等価回路モデルでの特性、“Dec×2”が図24の基板における等価回路モデルでの特性を示す)、基板上のチップコンデンサの数を倍に増やしても、100[MHz]より上の周波数帯に存在するLSI−基板インピーダンス特性のピーク値が大きく変化しないため、このピーク値の影響の大きい図29(c)に示したような電源電圧の時間変動特性には大きく影響しない為である。
なお、図29(b)には、図27のLSI等価回路モデル72から観測点Cを流れる電源電流の周波数特性を示したが、図29(a)に示したLSI−基板インピーダンス特性が100[MHz]付近で大きく変動していないため、チップコンデンサを倍に増やしても、殆ど電源電流の値は変化しないという特性を示している。
次に、プリント配線基板電源回路設計装置として、図6に示される第6の実施の形態のプリント配線基板電源回路設計装置を用い、図23に示すPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかを判定し、安定に設計されていないと判定された場合、LSIの複数の電源端子間に抵抗素子を挿入する処理、及び基板上に容量素子を実装する処理により、PCBの電源回路を電源ノイズに対し安定な構造になるよう設計変更を行う例について説明する。
先ず、図9における回路設計情報の入力処理(ステップS1)が入力装置11により、等価回路モデル生成処理(ステップS5)が電源ノイズ解析回路モデル生成部16で、回路解析処理(ステップS6)が演算部17で続けて行われる。これらの処理の内容は、前述した実施例1における図8で示される回路設計情報入力処理(ステップS1)、等価回路モデル生成処理(ステップS5)、回路解析処理(ステップS6)のものと全く同じものである。従って、図23に示すPCBの電源回路は図27に示されるようになり、各モデルのパラメータも先述の通りである。また観測点Cでの電源ノイズであるところの電源電圧の時間変動特性は図30(c)の“基本モデル”の特性として示しているが、これは図29(c)の“基本モデル”の特性として示したものと同じものである。
次に、図9に示す電源ノイズ特性と判定基準との比較処理(ステップS3)、及び判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)が、電源ノイズ判定部13内で実行され、判定基準データベース14より入力された判定基準と、解析された電源ノイズ特性とを比較し、電源ノイズ特性が判定基準を満たすかどうかを判定する。
ここで用意される電源ノイズ条件としては、電源ノイズ量の条件として、観測点での電圧の時間変動特性におけるピーク差(電圧の時間変動特性の最大値と最小値の差)ΔV≦0.72[V](直流電圧1.8[V]の40%)を満たすとし、安定動作許容値の条件としては、観測点での電圧の時間変動特性が、下限電圧閾値VTH=1.35[V]を常に上回る、という2つの条件が用意され、この2つの条件を満たしたとき、判定基準を満たすという条件であったとする。従って、図30(c)の“基本モデル”での特性では、ΔV=0.903[V]となり、電源ノイズ量の条件を満たさず、電圧がVTHを下回る時間が存在している(電圧の最小値VMIN=1.34<VTH)ため、安定動作許容値の条件を満たさない為、判定基準が満たされていないと判定される。
次に、図9に示す電源ノイズ特性が判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)により判定基準が満たされていないと判定されたため、次に、図9に示す電源ノイズ量が判定基準を満たさないかどうかどうかの判定処理(ステップS9)が、電源ノイズ判定部13内で実行される。ここでは、「ΔV=0.903[V]>0.72[V]」であったため、電源ノイズ量が判定基準を満たさないと判定される。
次に、図9に示す電源ノイズ量が判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS9)により、電源ノイズ量が判定基準を満たさない、と判定されたため、図9に示す抵抗素子付加変更処理(ステップS10)が、回路構造変更部18内の抵抗素子付加部19内で行われる。
ここで、図13における抵抗素子決定処理(ステップS26)が、抵抗素子付加部19内で行われるが、ここでは、判定基準データベース14内に、“電源ノイズ量の条件を満たさない場合、LSIのV及びG端子(電源及びグランド端子)間に用意された領域に、1[Ω]の抵抗素子を挿入する”という変更指針が用意されているとし、その指針に従うことにする。従って、LSIのV及びG端子間に用意された領域に、決定された1[Ω]の抵抗素子を挿入するという処理を行う。
次に、図13におけるレイアウト変更処理(ステップS27)が行われ、図23に示されるPCBの電源回路構造を、LSIのV及びG端子間に用意された領域に抵抗素子が挿入された回路基板レイアウトに変更する。その処理を行った場合の基板構造は図25に示したようになり、LSIのV及びG端子間に抵抗素子67が、用意された接続パッド上に挿入されたレイアウトになる。
また、この処理と同時に、図13におけるCADデータへの結果出力処理(ステップS106)が行われ、記憶装置21内のCADデータ22の記述が変更されるとする。ここでは、CADデータ内のLSIのV及びG端子間に1[Ω]の抵抗素子が、用意された領域に挿入された、新たなレイアウト構造に変更される。また同時に、図13におけるLSI設計情報への結果出力処理(ステップS107)が行われ、図5の記憶装置21内のLSIの設計情報23の記述が変更されるとする。ここでは、LSIのV及びG端子間に1[Ω]の抵抗素子が接続パッドを含め接続された状態で設計される、という設計情報に変更されるとする。こうして、図9に示す抵抗素子付加変更処理(ステップS10)が終了する。
次に、図25に示した新たなPCBのレイアウト構造で、図9の等価回路モデル生成処理(ステップS5)が、電源ノイズ解析回路モデル生成部16において行われる。ここで、先程と同様、入力情報より最初から図25に示したPCBの電源回路の等価回路モデルを生成しても良いが、既に図23に示したPCBの電源回路の等価回路モデルとして、図27に示した等価回路モデルは生成されているので、ここでは新たにレイアウトに追加された、LSIのV及びG端子間に挿入された抵抗素子を、接続パッド部分を含んでモデル化し、図27の等価回路モデルに接続すればモデルは作成されるため、図11の部品データ入力処理(ステップS19)及びモデル結合処理(ステップS20)、及び図12のモデル結合処理(ステップS25)で挿入した抵抗素子のモデルを図27の等価回路モデルに接続する処理のみを行い、等価回路モデル生成処理(ステップS5)におけるその他の処理は以前のものをそのまま使用するため省略されたものとする。
こうして生成された図25のPCBの電源回路の等価回路モデルは図28に示したようになる。LSI等価回路モデル72、電源分配回路モデル78、パッケージモデル79、チップコンデンサモデル75、基板電源配線モデル71、電源安定化用コンデンサモデル74、直流電源モデル73は先程の実施例で求めたものと同様のパラメータになる。また、抵抗素子モデル77は、抵抗素子の抵抗成分Rdev=1[Ω]に、接続パッドのL=1.4[nH]、R=130[mΩ]が直列に接続されたモデルとなっている。尚、図28も図27と同様に簡略化されたものとなっており、実際に接続されている各部分のモデルの数は実際と異なっている。
次に、図9の回路解析処理(ステップS6)が、演算部17において行われる。ここで、図25のレイアウトから作成した電源回路の等価回路モデルでの観測点C(図28)においての電源電圧の時間変動特性(V)76を解析にて導出する。得られた電源電圧の時間変動特性は、図30(c)の“1Ω接続”の特性として示している。
次に、図9に示す電源ノイズ特性と判定基準との比較処理(ステップS3)、及び判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)が、電源ノイズ判定部13内で実行され、先程、判定基準データベース14より入力されている電源ノイズ量の条件と安定動作許容値の条件である判定基準と解析された電源ノイズ特性を比較し、電源ノイズ特性が判定基準を満たすかどうかを判定する。
今回は、図30(c)の“1Ω接続”の電源電圧の時間変動特性を見ると、「ΔV=0.702」となり、「ΔV≦0.72[V]」を満たすことになるので、電源ノイズ量の条件は満たすことになる。しかし、安定動作許容値の条件では、電圧がVTHを下回る時間が存在している(電圧の最小値VMIN=1.34[V]<VTH)ため、安定動作許容値の条件を満たさない為、判定基準が満たされていないと判定されることになる。
次に、図9に示す電源ノイズ特性が判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)により判定基準が満たされていないと判定された為、次に、図9に示す電源ノイズ量が判定基準を満たさないかどうかどうかの判定処理(ステップS9)が、電源ノイズ判定部13内で実行される。ここでは、「ΔV=0.702[V]<0.72[V]」であったため、電源ノイズ量は判定基準を満たしていると判定される。
次に、図9に示す電源ノイズ量が判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS9)により、“電源ノイズ量は判定基準を満たす”と判定された為、図9に示す容量素子付加変更処理(ステップS11)が、回路構造変更部18内の容量素子付加部20内で行われる。ここで、図14における容量素子決定処理(ステップS28)が、容量素子付加部20内で行われるが、ここでは、判定基準データベース14内に、“安定動作許容値の条件を満たさない場合、基板上のチップコンデンサを追加出来る領域に、チップコンデンサ(既に実装されているものと同じもの)を8個追加実装する”という変更指針が用意されているとし、その指針に従うことにする。従って、PCBの基板上の容量素子が追加実装出来るよう用意された領域に、決定されたチップコンデンサ素子を追加実装するという処理を行う。
次に、図14におけるレイアウト変更処理(ステップS29)が行われ、図25に示されるPCBの電源回路構造を、基板上の用意された領域にチップコンデンサ素子が追加実装された回路基板レイアウトに変更する。その処理を行った場合の基板構造は図26に示したようになり、チップコンデンサ65が、用意された領域上に8個追加実装され、合計16個実装されたレイアウトになる。また、この処理と同時に、図14におけるCADデータへの結果出力処理(ステップS108)が行われ、記憶装置21内のCADデータ22の記述が変更されるとする。ここでは、CADデータ内の基板上の用意された領域に、チップコンデンサが8個追加実装された、新たなレイアウト構造に変更される。こうして、図9に示す容量素子付加変更処理(ステップS11)が終了する。
次に、図26に示した新たなPCBのレイアウト構造で、図9の等価回路モデル生成処理(ステップS5)が、電源ノイズ解析回路モデル生成部16において行われる。ここで、先程と同様、入力情報より最初から図26に示したPCBの電源回路の等価回路モデルを生成しても良いが、既に図25に示したPCBの電源回路の等価回路モデルとして、図28に示した等価回路モデルは生成されているので、ここでは新たにレイアウトに追加された、基板上に追加実装されたチップコンデンサ8個を、図28の等価回路モデルに接続すればモデルは作成されるため、図11の部品データ入力処理(ステップS19)及びモデル結合処理(ステップS20)、及び図12のモデル結合処理(ステップS25)で挿入したチップコンデンサのモデルを図28の等価回路モデルに接続する処理のみを行い、等価回路モデル生成処理(ステップS5)におけるその他の処理は以前のものをそのまま使用するため省略されたものとする。
こうして生成された図26のPCBの電源回路の等価回路モデルは図28に示した等価回路の中で、LSI等価回路モデル72、電源分配回路モデル78、パッケージモデル79、基板電源配線モデル71、電源安定化用コンデンサモデル74、直流電源モデル73、抵抗素子モデル77は、先程までの等価回路モデルと同じであり、チップコンデンサモデル75だけが、抵抗15[mΩ]とインダクタンス1.0[nH]が直列に接続された0.1[μF]の容量を持つコンデンサモデルを16個並列に接続したモデルに変更されているモデルとなっている。この場合も、各部品のモデルの数は実際と異なっているため、チップコンデンサモデルの数は実際には増えているが、同じ図28で表現している。
次に、図9の回路解析処理(ステップS6)が、演算部17において行われる。ここで、図26のレイアウトから作成した電源回路の等価回路モデルでの観測点C(図28)においての電源電圧の時間変動特性(V)76を解析にて導出する。得られた電源電圧の時間変動特性は、図30(d)の“1Ω接続+Dec×2”の特性として示している。ここでは“基本モデル”として、図23のレイアウトでの電源電圧の時間特性を併記しているが、図30(c)の“基本モデル“の特性と同じものである。
次に、図9に示す電源ノイズ特性と判定基準との比較処理(ステップS3)、及び判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)が、電源ノイズ判定部13内で実行され、先程、判定基準データベース14より入力されている電源ノイズ量の条件と安定動作許容値の条件である判定基準と解析された電源ノイズ特性を比較し、電源ノイズ特性が判定基準を満たすかどうかを判定する。今回は、図30(d)の“1Ω接続+Dec×2”の電源電圧の時間変動特性を見ると、「ΔV=0.644」となり、「ΔV≦0.72[V]」を満たすことになり、電源ノイズ量の条件は満たすことになる。そして、安定動作許容値の条件では、電圧値が常にVTHを上回っている(電圧の最小値VMIN=1.36[V]>VTH)ため、安定動作許容値の条件を満たすことになる。よって、電源ノイズ量の条件と安定動作許容値の条件を共に満たすため、判定基準を満たすと判定されることになる。
次に、図9に示す判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)により判定基準を満たすと判定されたため、図9に示す回路構造及び特性の出力処理(ステップS8)が行われ、出力装置15に、判定基準を満たした図26に示されるPCBの電源回路構造と、そのときの電源ノイズ特性である図30(d)に示した電源電圧の時間変動特性が出力され、一連の処理が終了する。
この際、一連の処理で得られた図23及び図25に示されるPCBの電源回路構造とそのときの電源ノイズ特性、各PCBの電源回路構造における電源系の等価回路モデル、及び各PCBの電源回路構造における電源ノイズ特性と電源ノイズ条件との比較結果を出力する。この比較結果の一例として、図23のレイアウトにおいては、図29(c)に示した“基本モデル”とVTHの比較結果、図25のレイアウトにおいては、図30(c)に示した“1Ω接続”とVTHの比較結果、図26のレイアウトにおいては、図30(d)に示した“1Ω接続+Dec×2”とVTHの比較結果、を出力しても良い。
また、記憶装置21におけるCADデータ22及びLSI設計情報23は、既に図13に示した抵抗素子付加変更処理(ステップS10)内のS106、S107の処理、及び図14に示した容量素子付加変更処理(ステップS11)内のS108の処理により、既に電源ノイズに対し安定な電源回路構造になるように、設計変更がされている。
こうして、このプリント配線基板電源回路設計装置を使用することにより、LSIが搭載されたPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかどうかを判定し、安定に設計されていないと判定された場合、電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIが実装されたPCBの電源回路が電源ノイズ特性に対し安定であるかどうかを自動的に判定し、安定でないと判断された場合、判断基準データベースに記載された変更指針に従い、LSIの電源端子間に抵抗素子を挿入する処理、及び基板上に容量素子を追加実装する処理を自動的に行い、電源ノイズに対し安定な構造になるよう設計変更されたPCBの電源回路構造を入手することが可能になる。
なお、補足として、図30(a)に、図23、図25、図26のPCBの電源回路の等価回路モデルを用いてLSI−基板インピーダンス特性を解析したものを示す。図において、“基本モデル”が図23の基板における等価回路モデルでの特性、“1Ω接続”が図25の基板における等価回路モデルでの特性、“1Ω接続+Dec×2”が図26の基板における等価回路モデルでの特性を示している。図に示すように、抵抗素子をLSIのV及びG端子間(電源およびグランド端子間)に挿入したことにより、100[MHz]より上の周波数帯に存在するLSI−基板インピーダンス特性のピーク値が大きく変化しており、このピーク値の影響の大きい図30(c)、(d)に示したような電源電圧の時間変動特性に影響して、電源ノイズ量ΔVの低減効果を生んでいることが判る。
また、図30(b)には、図23、図25、図26のPCBの電源回路の等価回路モデルにおいて、LSI等価回路モデル72から観測点C(図27および図28)を流れる電源電流の周波数特性を示したが、これも図30(a)に示したように、抵抗素子をLSIのV及びG端子間に挿入したことにより、LSI−基板インピーダンス特性のピーク値が大きく変化するため、“基本モデル”の特性と比較して、“1Ω接続”及び“1Ω接続+Dec×2”の特性は、100MHz及び200MHzの値が低減されていることが判る。
また、上記実施例では、図9の抵抗素子付加変更処理(ステップS10)において、判定基準データベース14内に記載された変更指針に従い、“1[Ω]の抵抗素子をLSIのV及びG端子間に挿入する”処理を行い、この処理により、電源ノイズ量の条件は満たされるようになったが、1[Ω]の抵抗素子を挿入する処理を行っても、電源ノイズ量の条件が満たされない場合も存在する可能性もある。この場合、判定基準データベース14内に“1[Ω]の抵抗素子を挿入しても電源ノイズ量の条件が満たされなかった場合、1[Ω]の抵抗素子の代わりに2[Ω]の抵抗素子を挿入する”といったような、前の処理で上手くいかなかった場合の変更指針が用意されており、電源ノイズ量の条件を満たすまで用意された変更指針に従い、図9に示された一連の処理を繰り返すことにより、電源ノイズ量の条件を満たすようなPCBの電源回路構造が得られるようになる。
同様に、上記実施例では、図9の容量素子付加変更処理(ステップS11)において、判定基準データベース14内に記載された変更指針に従い、“チップコンデンサ8個を基板上の用意された領域に追加実装する”処理を行い、この処理により、安定動作許容値の条件は満たされるようになったが、チップコンデンサ8個を基板上に追加実装しても、安定動作許容値の条件が満たされない場合も存在する可能性もある。この場合も、判定基準データベース14内に“チップコンデンサ8個を基板上に追加実装しても安定動作許容値の条件が満たされなかった場合、さらにチップコンデンサ4個を基板上の用意された領域に追加実装する”といったような、前の処理で上手くいかなかった場合の変更指針が用意されており、安定動作許容値の条件を満たすまで用意された変更指針に従い、図9に示された一連の処理を繰り返すことにより、安定動作許容値の条件を満たすようなPCBの電源回路構造が得られるようになる。このように判定基準データベース14内に用意された変更指針に従い、判定基準を満たすまでPCBの電源回路構造の設計変更を行わせることで、自動的に電源ノイズに対し安定に設計されたPCBの電源回路の構造を得ることが可能になる。
また、上記実施例で説明したようなプリント配線基板電源回路設計装置を用いることで、LSIベンダが、提供しようとしている、複数の電源端子間(基本的には電源供給端子とグランド端子間)に抵抗を挿入する領域を有するLSIに対し、予め対策ルールを定めておくことが可能になる。このとき、ユーザ側でどのようなPCBに、電源端子間に抵抗を挿入する領域を有するLSIを実装するかどうかが定かでない場合が存在する。そのような場合には、過去のPCBのデータや標準的なPCBのデータを代用品として使用することで対応すれば良い。
ここで標準的なPCBとしては、そのLSIの動作用途である機器内に実装される基板の代表的なものなどが考えられ、例えばPC(パーソナルコンピュータ)におけるマザーボード等があげられる。これらは、寸法がほぼ確定しており、メモリ等の他のICの数や実装されているチップコンデンサの数等も推測が容易であるので、このようなPCBのデータを用いれば、電源ノイズ条件はそれほど変化しないと推測される。こうして本発明のプリント配線基板電源回路設計装置を利用して、PCBの電源回路が電源ノイズに対し安定である為には、LSIの複数の端子間には、どのような抵抗を挿入すれば良いのか、基板上にはどのような対策を行えば良いのかを、LSIベンダからユーザに対し、ルールとして提供することが可能になる。ルールの一例としては、「LSIのV及びG端子間の領域には、1[Ω]の抵抗素子を挿入し、基板上のLSIから10mm以内の距離に0.1μFのチップコンデンサを12個配置する」といったものが挙げられる。
さらに、対策の指針を導出するため、電源ノイズ量の条件、安定動作許容値の条件をそれぞれ変更していき、それぞれの結果で判断するといった用途にも使用出来る。例えば基板上にチップコンデンサを20個までしか追加実装する領域が用意出来ないとしたとき、安定動作許容値の条件としてVTHの値をいくらにすれば条件を満たすのか、といった条件は、本システムにおけるPCBのレイアウトにおいて、予め追加出来る限界である20個のチップコンデンサを追加実装したものに対して等価回路モデルを作成しておき、VTHの値を細かく振っていき、それぞれの値のときに本システムを実行させ、それぞれVTHのときの図9での判定基準を満たすかどうかの判定処理(ステップS7)の結果を得て、条件を満たさなくなったときのVTHの値を得ることで導出可能である。また、これらの一連の処理の結果から、判定基準データベース内の判定基準や変更指針を更新させて、以降の判定に反映させることも可能である。
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、図1〜図6に示すプリント配線基板設計装置は、内部にコンピュータシステムを有している。
そして、上述した処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
すなわち、プリント配線基板設計装置内における、各処理は、CPU等の中央演算処理装置がROMやRAM等の主記憶装置に上記プログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるものである。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当前記プログラムを実行するようにしても良い。
また、図1〜図6に示すプリント配線基板設計装置内の各処理部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、プリント基板電源回路設計装置の入力装置には、入力デバイス等が接続され、出力装置には表示装置等(いずれも表示せず)が接続されているものとする。ここで、入力デバイスとしては、キーボード、マウス等のことをいう。表示装置とは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。
以上説明したように、本発明の半導体集積回路およびプリント配線基板においては、LSIの複数の電源端子間(基本的には電源端子とグランド端子)間に、LSIの回路ブロックと並列に抵抗素子を接続する(後から付加する)領域を設ける。電源ノイズは、主にLSI電源回路共振周波数付近のインピーダンスのため大きくなるが、電源端子間に抵抗素子を挿入することによりその共振のQ値を下げる効果があり、LSI電源回路共振周波数付近でのインピーダンスを低減することが出来る。従って抵抗素子を複数の電源端子間に挿入することで、LSIの電源電流とLSI電源回路共振周波数付近でのインピーダンスが原因で生じる電源ノイズを抑制することが可能になる。
また抵抗素子を付加することにより、低周波数帯でのLSI−基板インピーダンス特性は悪化する可能性もある。しかし低周波数帯では、デカップリングコンデンサによるバイパス回路が高インピーダンスにならないので、基板上にデカップリングコンデンサを複数実装することによりインピーダンス特性を改善することが可能である。従って、低周波帯では基板上にデカップリングキャパシタを追加する、LSI電源回路共振周波数帯付近では抵抗素子を挿入することによってLSI−基板インピーダンス特性を低減することが可能であるため、総合的に広帯域での電源ノイズを抑制することが可能となる。
また、抵抗素子を後から挿入可能な構造にしておくことにより、LSI電源回路共振による電源ノイズが大きくなったときだけ、用意された領域に抵抗素子を挿入して対策出来るようにしておくことで、チップ内部の設計をし直す必要が無くなる。また抵抗を挿入したことによる低周波帯での特性の悪化は、基板上にデカップリングキャパシタを追加することで対応出来るため、設計の戻りコストを抑制することが出来る。
また、抵抗素子の挿入と、キャパシタの基板上の追加に関して、電源ノイズを基準にして判断するようなシステム(プリント配線基板電源回路設計装置)を構成することで、設計コストを含めた、最適なPCBの電源回路構成を自動的に得ることが可能となる。
また、本発明のプリント配線基板電源回路設計装置では、LSIに関してはLSIの全回路接続情報や内部レイアウト情報が含まれるLSIの設計情報、及び、LSIが電源ノイズに対して安定に動作する基準である電源ノイズ特性の許容値、チップサイズの情報、追加される容量セルのデータ等を含めたLSIデータベースを入力情報として用意する。また、PCB及び実装される部品に関しては、レイアウト情報であるプリント基板の構造の情報及び部品の等価回路の情報である部品データベースを入力情報として用意する。それらの入力情報から、電源ノイズ特性を導出する。そして、電源ノイズ特性とその許容値を比較し、その電源回路が安定かどうかの判定を行うことにより、LSIが実装されたPCBの電源回路が電源ノイズに対し安定に設計されているかを自動的に判定することが可能である。
また、このプリント配線基板電源回路設計装置において、定量的に電源ノイズ特性を導出するには、LSIが実装されたPCBの電源回路の特性を精度良く見積もった等価回路のモデルを解析するという手段を用いることで実現可能である。このとき、LSIの等価回路モデルの生成手法としては、LSIの設計情報から、LSIの電源端子に流れる電流を精度良く再現出来るモデルを自動的に生成する手法を選択することが可能である。また、PCB及び実装された部品のモデルについても、構造情報から特性を精度良く表したモデルを自動的に生成する手法、及び用意された等価回路のモデルを選択する手法を選択することが可能である。これらの手法を組み合わせることにより、LSIが実装されたPCBの電源回路の等価回路モデルを、入力情報から自動的に生成することが可能となる。
また、このプリント配線基板電源回路設計装置において、PCBの電源回路がノイズに対し安定でないと判定された場合、LSIの複数の電源端子間に抵抗素子を挿入して回路構造を変更するという手法を選択することが可能である。
具体的には、部品データベース内に用意された抵抗素子を、予め用意されたLSIの複数の電源端子間の領域に挿入してLSI及びPCBの構造を変更させる手法である。追加する抵抗素子の種類は、データベース内に記された指針に従って選択しても良いし、実際に抵抗素子を追加したLSIの等価回路モデルを使用した電源ノイズの解析を行って決定しても良い。
抵抗素子を挿入したことによるLSIの回路構造の処理は、LSI及びPCBの構造情報があればそれほど複雑では無く、変更された構造における回路モデルから再度電源ノイズ特性を導出し、電源ノイズ条件を満たすかどうかを判定することで追加される抵抗素子の値が決定される。その抵抗値の変更を行う指針についても、データベースの中に用意しておけば、自動的に抵抗値が最適な値になるまで繰り返し抵抗値の異なる抵抗素子を挿入するという変更作業を行うことが可能になる。電源ノイズ条件を満たす構造が作成されるまでこの操作を繰り返すことにより、自動的にノイズに対し安定であるLSI及びPCBの電源回路の構造を設計することが可能になる。
また、このプリント配線基板電源回路設計装置において、LSIの複数の電源端子に抵抗素子を挿入したことにより、低周波領域でのLSI−基板インピーダンス特性が悪化して電源ノイズ特性の許容値が満たされないときには、基板上に容量を追加して回路構造を変更するという手法を選択することが可能である。
具体的には、部品データベース内に用意された容量素子を、予め用意された基板の実装可能領域に挿入してPCBの構造を変更させる手法である。追加する容量素子の種類及び数は、データベース内に記された指針に従って選択しても良いし、実際に容量素子を追加したPCBの等価回路モデルを使用した電源ノイズの解析を行って決定しても良い。
容量素子を挿入したことによるPCBの回路構造の処理は、PCBの構造情報があればそれほど複雑では無く、変更された構造における回路モデルから再度電源ノイズ特性を導出し、電源ノイズ条件を満たすかどうかを判定することで追加される容量素子の値及び数量が決定される。
その容量素子の追加を行う指針についても、データベースの中に用意しておけば、自動的に追加容量値及び数量が最適な値になるまで繰り返し容量素子を追加するという変更作業を行うことが可能になる。電源ノイズ条件を満たす構造が作成されるまでこの操作を繰り返すことにより、自動的にノイズに対し安定であるPCBの電源回路の構造を設計することが可能になる。
さらに、上記手法を適用したプログラム及びシステムを実現することによって、入力情報及びデータベースから自動的に、PCBの電源回路が安定に設計されているかどうかの判定、及びPCB上で安定動作するように複数の電源端子間に抵抗素子が挿入されたLSIの構造、及び容量素子を追加したPCBの構造を作成することが出来る。また、基板レイアウトの入力情報としてCADデータを使用することにより、PCBの電源回路のデータとリンクさせて、容易にLSIの設計を行うことが出来る。
このように、本発明の半導体集積回路、およびプリント配線基板では、予めLSIの複数の電源端子間に抵抗素子を挿入する領域を設けておくことにより、LSIが電源ノイズ特性に対し不安定であるときに即対応が可能になるので、電源ノイズ特性に対し安定になるようにLSIを設計し直す必要が無くなり、設計の後戻りコストを削減出来るようになる。また、抵抗素子を挿入する領域は、通常は何も接続されていなくても、LSIの電源回路に殆ど影響を与えないため、使用するかどうかは動作条件や外部構造により選択可能であるため、量産性の向上につながる。
また、抵抗素子の挿入と、容量の基板上の追加に関して、電源ノイズを基準にして判断するようなシステムを構成することで、PCBの電源回路構造がノイズに対し安定に設計されているかの判断、及び電源ノイズに対し安定であるPCBの電源回路の設計が容易に出来るようになる。
また、プリント配線基板電源回路設計装置における入力情報として、LSIの設計情報と動作状態、挿入される抵抗素子のデータ、レイアウト、サイズ、等を含むLSIデータベース、PCBの配線のレイアウト情報等の構造情報と部品の等価回路等を含む部品のデータベース、及び電源ノイズ条件を含む判定基準のデータベースを用意することにより、LSIやPCBの電源回路の設計に対して深い知識を有していない者でも、PCBの電源回路が電源ノイズに対し安定であるかどうかの判定を行うことが可能になる。
また判定基準を満たさないPCBの電源回路が存在した場合、構造をどのように変更するかの変更指針を用意しておくことにより、判定基準を満たすように、LSIの複数の電源端子に抵抗素子を挿入する操作、及び基板上に容量素子を追加する操作を行い、自動的にノイズに対し安定であるように設計されたLSI及びPCBの電源回路の構造を得ることも可能になる。
さらに、LSI及びPCBの特性を再現した等価回路モデルを用いて解析を行うことにより、電源回路がノイズに対し安定に設計されているかどうかを、現実的な時間で容易に判定することが可能となる。また、電源ノイズ特性を絶対値で導出することが可能であり、定量的な評価及び対策を行うことが可能になる。
またLSIベンダが、ノイズに対してより安定なLSIを提供するために、本発明のプリント配線基板電源回路設計装置を利用することも可能である。ベンダ側としては、ユーザーが使用すると考えられるようなPCB、もしくは標準的なPCBのデータを用いて本発明のプリント配線基板電源回路設計装置を使用し、ノイズに対し安定に動作するように、複数の電源端子間に抵抗素子を挿入可能な構造をしたLSIの設計、及び挿入する抵抗素子の基準を作成しておくことにより、ユーザに電源ノイズに対し安定であるLSIとして提供することが可能になる。
さらにLSIベンダとしては、提供する複数の電源端子間に抵抗素子を挿入可能な構造のLSIに対し、実装するPCBのデータを複数種類用意し、それぞれのPCBのデータにおいて本発明のシステムを利用することにより、提供するLSIを実装するには、挿入する抵抗素子の種類とPCBとしてふさわしい構造を提案することも可能になる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のプリント配線基板電源回路設計装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。