JP5304424B2 - 走行ルート提示装置及びプログラム - Google Patents

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本発明は、走行ルート提示装置に関する。特に、本発明は、大気汚染物質をより多く吸収可能な走行ルートを提示する走行ルート提示装置に関する。
近年、環境保全に対する意識の高まりから、車両から排出される排気ガスの排出量を減らすための種々の対策が採られている。例えば、モータとエンジンとを備えたハイブリッド車が開発され、燃料電池を使用した燃料電池車の開発も進められている。また、車両には、燃費のよい走行ができるようにドライバの運転を補助する表示等も搭載されるようになってきた。
ナビゲーション装置等の目的地までの走行ルートを検出して案内する走行ルート提示装置においても、発生している渋滞を事前にドライバに通知して渋滞を回避させることで、燃費の向上を図っている。
特許文献1には、オフロードや自然景観に優れた道路を含んだルートを優先的に探索するルート探索方法が開示されている。
特開2005−337916号公報
走行ルート提示装置における環境保全への対策として、車から排出される大気汚染物質の吸収能力が高いルートを選択できるようになれば、環境負荷をさらに低減することができる。例えば、草木の繁った緑地には、大気汚染物質を吸収する能力が備わっている。また、大気汚染物質を吸収する機能を備えた人工物の開発も進められている。以下では、これらを総称して大気浄化物と呼ぶ。これら大気浄化物の近くを走行可能なルートを走行ルート提示装置が選択できれば、車両から排出される排気ガスによる環境への影響を軽減することができる。
しかしながら、車両の総排気量は約50[cc]のものから6000[cc]程度のものまであり、単位時間当たりに排出される排気ガスの量や、排気ガスが拡散する範囲は総排気量に応じて異なる。したがって、特許文献1のように、総排気量にかかわらずどの車両でも同様の案内ルートを提示したのでは、排気ガスの環境への影響を軽減できない場合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、走行車両の総排気量に応じて、車両から排出される大気汚染物質による環境への影響を軽減可能な最適な走行ルートを提示する走行ルート提示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
本明細書に開示の走行ルート提示装置は、地図データベースを参照して、入力された目的地に到達可能な複数の走行候補ルートを抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出された前記走行候補ルートごとに、車両から排出される大気汚染物質を吸収する能力を備えた大気浄化物の存在場所を示す大気浄化物データベースを参照して、該走行候補ルート周辺の、車両の排気量に応じて定まる所定距離内に存在する大気浄化物の量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記大気浄化物の量に基づいて、前記複数の走行候補ルートの中から前記車両の走行を案内する走行ルートを選択して出力するルート出力手段とを備えている。
また、本明細書に開示の走行ルート提示装置は、地図データベースを参照して、入力された目的地に到達可能な複数の走行候補ルートを抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出された前記走行候補ルートごとに、車両から排出される大気汚染物質を吸収する能力を備えた大気浄化物の存在場所を示す大気浄化物データベースを参照して、該走行候補ルート周辺の、車両の排気量に応じて定まる所定距離内に存在する大気浄化物の量を算出する第1の算出手段と、前記第1の算出手段により算出された前記大気浄化物の量に基づいて、前記各走行候補ルートを前記車両が走行した場合に該走行候補ルート周辺の該大気浄化物によって吸収される大気汚染物質の吸収量を算出する第2の算出手段と、前記第2の算出手段により算出された吸収量に基づいて、前記複数の走行候補ルートの中から前記車両の走行を案内する走行ルートを選択して出力するルート出力手段とを備えている。
本明細書に開示の走行ルート提示装置によれば、車両から排出される大気汚染物質による環境への影響を軽減可能な走行ルートを検出することができる。
ナビゲーション装置の構成を示す図である。 大気浄化物データベースの構成を示す図である。 道路区分データベースの構成を示す図である。 ハードウェアとプログラムとの協働によって実現される制御部の機能ブロックの構成を示す図である。 実施例1の制御部の処理手順の全体像を示すフローチャートである。 走行候補ルートごとに大気汚染物質の吸収量を算出する処理手順を示すフローチャートである。 道路区分を説明するための図である。 道路区分における大気汚染物質の吸収量を算出する手順を示すフローチャートである。 道路区分に設定される拡散空間を説明するための図である。 道路区分に設定される他の拡散空間を説明するための図である。 (A)は、走行候補ルートを示す図であり、(B)は、各道路区分の道路区分データを示す図である。 実施例2の制御部の処理手順の全体像を示すフローチャートである。 全道路区分の大気汚染物質吸収量を算出する手順を示すフローチャートである。 車両から排出された大気汚染物質が拡散する予測空間と、緑地の樹木との重なる空間を説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
まず、図1を参照しながら本実施例の構成を説明する。図1には、本発明を車両に搭載されるナビゲーション装置に適用した実施を示す。
ナビゲーション装置100は、GPS受信機13、VICS(登録商標)情報受信機14、通信機15、制御部110、操作部120、スピーカ130、ディスプレイ140を備えている。
GPS(Global Positioning System)受信機13は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信する。GPS受信機13は、受信したGPS信号を制御部110に出力する。
VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信機14は、VICSセンタから光ビーコンや電波ビーコンなどを介して提供される交通情報を受信する。VICS情報受信機14は、受信した交通情報を制御部110に出力する。
通信機15は、道路等の路側に設けられた通信装置(以下、路側通信装置と呼ぶ(不図示))と無線通信によって情報の送受信を行う。路側通信装置には、電波ビーコン、光ビーコン、FM放送等の放送装置、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)を搭載した通信機などが含まれる。
制御部110は、GPS受信機13から受信したGPS信号に基づいて、ナビゲーション装置100の搭載された車両(以下、自車両と呼ぶ)の現在位置を特定する。また、制御部110は、操作部120で入力された目的地の設定を入力して、現在位置から目的地に到達可能な走行ルートを抽出する。制御部110は、抽出した走行ルートの中から、自車両の排出量から大気浄化物による吸収量を差し引いた量が小さく、環境負荷量が小さいルート(以下、エコルートと呼ぶ)を選択して、これを表示制御部118によりディスプレイ140に表示させる(エコルートの選択手順については後述する)。
以下、制御部110の構成について説明する。制御部110は、通信インターフェース111、入力インターフェース112、入力部113、ROM114、RAM115、CPU116、再生制御部117、表示制御部118、記憶装置119を備えている。
通信インターフェース111は、GPS受信機13、VICS情報受信機14、通信機15に接続する。通信インターフェース111は、GPS受信機13、VICS情報受信機14、通信機15で受信した情報をCPU116に出力する。また、通信インターフェース111は、CPU116から取得した車両の現在位置情報等の情報を通信機15に出力する。
入力インターフェース112は、操作部120に接続している。操作部120は、ナビゲーションの目的地の設定や、ナビゲーションのための条件設定などの入力を受け付ける。入力インターフェース112は、操作部120で受け付けた設定情報をCPU116に出力する。
入力部113は、車両に搭載された車速センサ11、ジャイロセンサ12に接続している。車速センサ11は、車両の走行速度を検出するセンサである。車速センサ11は、検出した車両の走行速度を示す速度情報を制御部110に出力する。ジャイロセンサ12は、車両の進行方向の方位を測定する。ジャイロセンサ12は、測定した進行方向の方位を示す方位情報を制御部110に出力する。入力部113は、車速センサ11、ジャイロセンサ12で測定された情報を入力してCPU116に出力する。
ROM114には、CPU116を制御するプログラムが記録されている。CPU116は、ROM114に記録されたプログラムを読み込んで、読み込んだプログラムに従った演算を行う。CPU116、RAM115などのハードウェアと、ROM114に格納されたプログラムとの協働によって実現される制御部110の機能ブロックについては図4を参照しながら後ほど説明する。また、RAM115には、CPU116による演算途中のデータや、演算後のデータが記録される。例えば、車速センサ11で測定された車速情報、ジャイロセンサ12で測定された車両の進行方向の方位情報や、GPS受信機13、VICS情報受信機14、通信機15で受信した情報がRAM115に記録される。
再生制御部117は、CPU116によって記憶装置119から取り出された走行ルートの誘導情報を音声信号に変換して、スピーカ130から出力する。
表示制御部118は、CPU116から出力される画像データに基づいて、自車周辺の地図画像を車両位置マークや目的地マークなどと共にディスプレイ140に表示する。また、表示制御部118は、CPU116から出力される画像データに基づいて、地図画像上に案内ルートや迂回ルート等の誘導ルートを地図画像に重畳してディスプレイ140に表示する。
記憶装置119には、ナビゲーションに使用する地図画像データを含む地図データベースの他に、図2に示す大気浄化物データベース、図3に示す道路区分データベース、大気汚染物質名等が記憶されている。
大気浄化物データベースには、大気を浄化する浄化物を識別するIDに、大気浄化物の所在位置を示す位置座標と、純生産量[t/ha/yr]とが関連付けて記憶されている。なお、本実施例では、上記の位置座標は、大気浄化物が存在する領域の中心座標として記憶ているが、四角形の領域であればその四隅の角の座標として記憶するなど、該領域の角の各座標として記憶することともできる。また、純生産量とは、二酸化炭素の吸収する能力を示す値であり、厳密には、総生産量(光合成によって生産された有機物(糖類)の量)−呼吸によって消費される量を示す。さらに、大気浄化物とは、大気汚染物質を吸収する能力を備えたものであり、具体的には、草木の繁った緑地や、大気汚染物質を吸収する機能を備えた人工物などが挙げられる。
道路区分データベースには、各道路区分を識別する道路区分IDに、道路区分の位置座標、道路長、制限速度などが関連付けて記憶されている。道路区分の位置座標は、本実施例では、道路区分の中心位置を示している。この他に、道路区分の位置座標として、例えば、道路の終端の位置座標であってもよい。
また、記憶装置119に記憶される大気汚染物質の名称には、例えば、二酸化炭素、二酸化窒素、二酸化硫黄、一酸化窒素、炭化水素、一酸化炭素などが含まれる。
図4に、CPU116、RAM115などのハードウェアと、ROM114に格納されたプログラムとの協働によって実現される制御部110の機能ブロックの構成を示す。プログラムに従った制御をCPU116が実行することで、走行候補ルート抽出部151、大気汚染物質吸収量算出部152、エコルート選択部153が実現される。
走行候補ルート抽出部151は、GPS受信部13で受信したGPS信号に基づいて車両の現在位置を特定する。また、走行候補ルート抽出部151は、操作部120により目的地の設定が入力されると、記憶装置119に記憶された地図データベースを参照して、特定した現在位置から目的地に到達できる走行ルートの候補を抽出する(以下、走行候補ルートと呼ぶ)。走行候補ルート抽出部151は、抽出した走行候補ルートを大気汚染物質吸収量算出部152に出力する。
大気汚染物質吸収量算出部152は、走行候補ルート抽出部151から走行候補ルートの情報を取得する。大気汚染物質吸収量算出部152は、走行候補ルート抽出部151で抽出した各走行候補ルートの大気汚染物質吸収量を記憶装置119に記憶された地図データベースを参照して算出する。大気汚染物質吸収量算出部152は、走行候補ルートの情報と、算出した走行候補ルートごとの大気汚染物質吸収量とをエコルート選択部153に出力する。
エコルート選択部153は、走行候補ルートの走行時間に基づいて自車両から排出される大気汚染物質の排出量を算出する。また、エコルート選択部153は、算出した大気汚染物質の排出量から大気汚染物質吸収量を減算して求められる値が最も小さい走行候補ルートを、環境負荷量が最も小さい走行候補ルート(エコルート)として選択する。エコルート選択部153は、選択したエコルートを表示制御部118に出力する。表示制御部118は、エコルートを地図画像に重ねてディスプレイ140に表示する。
次に、フローチャートを参照しながら制御部110の処理手順を詳細に説明する。
まず、図5を参照しながら制御部110による処理の全体の流れを説明する。
制御部110は、まず、利用者が操作部120から目的地を入力したか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1の判定がYESの場合、制御部110は、入力された目的地を受け付けて、現在位置から目的地まで走行可能な走行候補ルートを複数選出する(ステップS2)。
なお、制御部110は、GPS衛星から送信されるGPS信号をGPS受信機13で定期的に受信し、受信したGPS信号に基づいて自車両の現在位置を算出している。また、制御部110は、道路側に設けられた路側通信装置と路車間通信を行って、路側通信装置から取得した情報に基づき自車位置を特定する。
次に、制御部110は、選出した走行候補ルートごとに、大気汚染物質の吸収量を算出する(ステップS3)。この処理の詳細については後述する。次に、制御部110は各走行候補ルートごとに、各走行候補ルートを走行した場合に排出される大気汚染物質の排出量を算出する。そして、制御部110は、走行候補ルートごとに、大気汚染物質排出量から大気汚染物質吸収量を減算して、各走行候補ルートの最終的な大気汚染物質排出量を算出する。制御部110は、環境負荷の最も小さい走行候補ルートをエコルートとして選択する(ステップS4)。制御部110は、エコルートとして選択した走行ルートに、記憶装置119から読み出した地図画像を重ねて車両の誘導経路としてディスプレイ140に表示する(ステップS5)。
次に、大気汚染物質の吸収量を走行候補ルートごとに算出するステップS3の詳細について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
制御部110は、まず、ステップS2で選出した複数の走行候補ルートの中から処理対象のルートを1つを選択する(ステップS11)。以下では、選択した走行候補ルートを選択走行候補ルートと呼ぶ。次に、制御部110は、選択走行候補ルートの全道路区分データを記憶装置119を参照して取得する(ステップS12)。走行候補ルートは、例えば、道路の種類、計画交通量、地形や地形の状況といった情報によって、図7に示すように複数の道路区分で区分けされている。制御部110は、選択走行候補ルートに含まれる道路区分データを記憶装置119に記憶された道路区分データベースから取得する。
次に、制御部110は、走行候補ルートに含まれる道路区分の中から処理を行う道路区分を1つ選択する(ステップS13)。また、制御部110は、吸収量を算出する大気汚染物質を選択する(ステップS14)。例えば、記憶装置119には、吸収量を算出する大気汚染物質の一覧が記録されており、制御部110は、記憶装置119に記録された大気汚染物質を1つずつ選択する。道路区分と大気汚染物質とを選択すると、制御部110は選択した道路区分における選択した大気汚染物質の吸収量を算出する(ステップS15)。なお、この処理の詳細については後述する。
次に、制御部110は、記憶装置119に記憶した全ての大気汚染物質について、選択した道路区分における大気汚染物質吸収量を算出したか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16の判定がNOの場合には、制御部110は、記憶装置119から大気汚染物質を選択し(ステップS14)、選択した大気汚染物質の吸収量を算出する(ステップS15)。また、ステップS16の判定がYESの場合には、制御部110は、走行候補ルートのすべての道路区分で大気汚染物質の吸収量を算出したか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17の判定がNOの場合には、制御部110は、処理を行う道路区分を選択すると共に(ステップS13)、吸収量を算出する大気汚染物質を選択する(ステップS14)。そして、制御部110は、選択した道路区分における選択した大気汚染物質の吸収量を算出する(ステップS15)。またステップS17の判定がYESの場合には、制御部110は、算出した全道路区分での大気汚染物質吸収量の総和を、選択走行候補ルートにおける大気汚染物質吸収量として求める(ステップS18)。なお、全道路区分における大気汚染物質の吸収量の総和は、大気汚染物質ごとに算出してもよいし、全大気汚染物質の吸収量の総和を求めてもよい。
次に、制御部110は、全ての走行候補ルートで大気汚染物質吸収量を算出したか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19の判定がNOの場合には、制御部110は、ステップS11に戻って走行候補ルートを選択し、前述した処理を繰り返し行う。またステップS19の判定がYESの場合には、制御部110は、この処理を終了する。
次に、前記ステップS15における選択した道路区分における大気汚染物質の吸収量を算出する手順を図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
制御部110は、ステップS13で選択した処理を行う道路区分の道路区分データから位置座標の情報を取り出す。道路区分データには、位置座標として該当道路区分の中心点の位置座標が記録されている。制御部110は、図9に示すように取り出した位置座標(中心点)を中心とした半球を設定(以下、拡散空間と呼ぶ)する。拡散空間の半径(=高さ)は、総排気量に応じた拡散空間の半径の値を定めた排気量−拡散空間半径対応表(不図示)を参照することによって、設定される(ステップS20)。例えば、走行車両の総排気量が3000[cc]の場合、半径20メートルが設定される。
ここで、総排気量3000[cc]の場合に、拡散空間の半径を20mと設定したのは、排出される大気汚染物質が時間の経過に伴い徐々に拡散する過程等を考慮する必要をなくして計算の簡略化を図る必要があるところ、四輪車の平均的な総排気量である3000[cc]の場合には、排出される大気汚染物質が一瞬で半径20mの範囲に拡散すると仮定することにより、実際の大気汚染物質濃度の近似値が簡易に求められると考えられるからである。
しかし、車両の総排気量は、約50[cc]から6,000[cc]程度まで存在するところ、その総排気量が大きくなるのに応じて、単位時間当たりに排出される大気汚染物質の量が増加し拡散する範囲も広くなる。したがって、総排気量に比例させて、排出された大気汚染物質の吸収に関与する拡散空間の大きさを大きく設定する必要がある。
そこで、前記排気量−拡散空間半径対応表には、走行車両の総排気量の大小に応じた拡散空間の半径を保持している。そして、制御部110は、自車両が対象の道路区分を制限速度で走行したときに、自車両から排出される大気汚染物質によって変化する拡散空間内の大気汚染物質の濃度を算出する(ステップS21)。この処理については後ほど詳細に説明する。
次に、制御部110は、大気汚染物質を吸収する大気浄化物を選択し(ステップS22)、選択した大気浄化物によって吸収される大気汚染物質の吸収量を求める。まず、制御部110は、ユーザにより入力されたあるいは予めRAM115またはROM114に格納された走行車両の総排気量に基づいて、前記排気量−拡散空間半径対応表を参照することにより、拡散空間の半径をたとえば20mと設定する(総排気量3000[cc]の場合)。次に、半径20mの半球(拡散空間)の底面、すなわち、半径20mの円内に含まれる大気浄化物の面積(被覆面積)を求める(ステップS23)。次に、制御部110は、算出した大気汚染物質濃度と、大気浄化物の被覆面積と、大気浄化物の純生産量とに基づいて、選択した大気浄化物におる大気汚染物質の吸収量を算出する(ステップS24)。この処理の詳細についても後述する。
次に、制御部110は、全ての大気浄化物で大気汚染物質の吸収量を算出したか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25の判定がNOの場合には、制御部110は、次の大気浄化物を選択し(ステップS22)、選択した大気浄化物による大気汚染物質の吸収量を算出する(ステップS23、24)。また、ステップS25の判定がYESの場合には、制御部110は、全ての大気浄化物による大気汚染物質吸収量を加算し、選択した道路区分における大気汚染物質の吸収量を求める(ステップS26)。
選択した道路区分における大気汚染物質の吸収量を算出する手順について具体的に説明する。なお、以下の計算例では、車両から排出される大気汚染物質としてCOを例に挙げて説明する。
制御部110は、選択走行候補ルートに含まれる道路区分を選択すると、選択した道路区分の道路区分データから位置座標のデータを取り出す。次に、制御部110は、取り出した位置座標を中心とした半径20m、高さ20mの半球を拡散空間として設定する。そして、制御部110は、自車両が選択した道路区分を制限速度で走行したときに、自車両によって排出される大気汚染物質によって変化する拡散空間内での大気汚染物質の濃度を算出する。この計算手順について以下に具体的に説明する。なお、以下の計算例では、計算を簡略化するため、車両から排出されたCOは、一瞬で半径20[m]に拡散し、半径20[m]の半球内に留まると仮定して大気汚染物質濃度の計算を行う。また、車両が走行していない定常時の大気汚染物質(CO)の濃度は、370[ppm]であるとする。また、計算に使用する車両の燃費は、時速40[km/h]のときに17.2[km/L]であると仮定する。この燃費から1秒当たりのガソリン消費量は、0.37[g/s]と計算できる。
車両走行時のCO排出量は、以下に示す式(1)で算出される。
CO排出量=(1/燃費)×2.32[kg−CO/L]・・・(1)
制御部110は、式(1)に自車両の燃費を代入して、走行距離当たりのCO排出量を算出する。制御部110は、式(1)の燃費に17.2[km/L]を代入して、135[g−CO/km]の計算結果を得る。また、走行距離当たりのCO排出量から1秒当たりのCO排出量は、0.85[g−CO/s]と計算できる。
さらに、制限速度の時速40[km/h]で走行した場合、車両は道路区間の全長である80mの走行に7.2[sec]かかる。従って、7.2[sec]でのCO排出量は、6.13[g−CO]と計算できる。
また、半径20m、高さ20mの半球(拡散空間)の体積Wは、1.7×10[m]となる。また、拡散空間における大気汚染物質濃度は、以下に示す式(2)で算出できる。
大気汚染物質濃度=370+0.57×10×CO排出量/W[ppm]・・・(2)
従って、制御部110は、式(2)に従って、大気汚染物質濃度を370.21[ppm]と計算する。
次に、制御部110は、大気汚染物質吸収量を算出する大気浄化物を選択する。ここでは、制御部110は、例えば、緑地を選択したものとする。記憶装置119には、大気浄化物(例えば、緑地、森林や人工浄化物)を識別するIDに、該当大気浄化物の位置座標と、該当大気浄化物の純生産量[t/ha/yr]とを関連付けて記録している。
次に、制御部110は、前述の半径20mの半球の底面、すなわち、半径20mの円内に含まれる大気浄化物の面積(被覆面積)を求める。なお、図9に示すように半径20mの円のうち、道路で分割された下側の部分をS1と呼び、分割された上側の部分をS2と呼ぶ。なお、ここでは計算簡易化のため、道路の面積を無視し、S1とS2の被覆面積はそれぞれ628.3[m]とする。また面積S1を被覆する大気浄化物と、面積S2を被覆する大気浄化物とは異なり、面積S1を被覆する大気浄化物(ID=1)の純生産量は、23[t/ha/yr]とする。また、面積S2を被覆する大気浄化物(ID=2)の純生産量は、18[t/ha/yr]であるとする。なお、ここでは、道路の面積をないものとしてS1、S2の面積を求めていたが、道路の面積を考慮にいれて厳密に被覆面積を求めてもよい。
次に、制御部110は、算出した大気汚染物質濃度と、大気浄化物被覆面積と、純生産量とに基づいて、選択した大気浄化物による大気汚染物質吸収量を算出する。
まず、算出した被覆面積の大気浄化物が定常時(CO濃度370[ppm]のとき)に吸収できるCOの吸収量(以下、定常CO吸収量と呼ぶ)を算出する。
定常CO吸収量は、例えば、公害健康被害補償予防協会発行の大気浄化植樹マニュアルによれば、以下に示す式(3)で求めることができる。
定常CO吸収量[g−CO/s]=m×Pn×r×S・・・(3)
なお、mは、植物の二酸化炭素固定量を示し、m=1.63とする。なお、二酸化炭素固定量とは、植物が光合成により二酸化炭素を吸収して、酸素を放出するときに、植物が炭素を蓄積できるかを示す値である。
Pnは、純生産量[t/ha/ya]を示す。
rは、単位調整係数(r=1×10[g−CO/t]×(365×24×3600)−1[s/yr]×(1×10−1[m/ha]を示す。
Sは、大気浄化物(緑地)の面積を示す。
従って、式(3)により被覆面積S1の定常状態でのCO吸収量(Ts1)は、
s1=5.17×10−6×23×628.3[g−CO/s]
となる。同様にして、被覆面積S2の定常状態でのCO吸収量(Ts2)は、
s2=5.17×10−6×18×628.3[g−CO/s]
となる。
次に、制御部110は、大気汚染物質濃度が変化したときに、被覆面積S1の大気浄化物が余分に吸収できるCOの吸収量を算出する。植物は、植物の周囲の二酸化炭素濃度が変化すると、変化した濃度に合わせて二酸化炭素の吸収量を増加させるということが分かった。従って、被覆面積S1の大気浄化物が余分に吸収できるCOの吸収量(以下、Zと呼ぶ)は、定常状態でのCO吸収量に、二酸化炭素濃度の変化した割合を積算して、以下の式(4)となる。
Z=TS1×(CO濃度の増加量)・・・(4)
従って、被覆面積S1の大気浄化物が余分に吸収できるCOの吸収量ZS1は、
s1=5.17×10−6×23×628.3×{(370.21/370)−1}
となる。また、気体の拡散速度(3.766×10−2)[m/s]から、気体が20m拡散するのにかかる時間は、531.07[sec]となる。従って、被覆面積S1の大気浄化物が余分に吸収できるCOの吸収量ZS1に、気体が20[m]拡散するのにかかる時間をかけて、被覆面積S1の大気浄化物が余分に吸収できるCOの吸収量ZS1は、
S1=2.25×10−2[g−CO
となる。
同様にして、被覆面積S2の大気浄化物が余分に吸収できるCOの吸収量ZS2は、
S2=1.76×10−[g−CO
となる。なお、気体の拡散速度とは、濃度勾配により物質が移動する場合の速度を示し、数値(3.766×10−2)[m/s]については、www.s-ohe.com/bs_kakusan.htmを参考にした。
従って、選択した道路区分における大気汚染物質吸収量は、
S1+ZS2=4.01×10−2[g−CO
となる。
なお、上述した計算例では、半径20メートル、高さ20メートルの拡散空間を設定して、この半径20メートルの拡散空間の底面に含まれる大気浄化物の被覆面積を求めていた。これ以外に、図10に示すように半径20メートルの円を選択した道路区間の端から端まで描いてできる図形内に含まれる大気浄化物の被覆面積を算出し、この被覆面積を用いて大気浄化物の吸収量を算出してもよい。
なお、より計算を単純化するために、この被覆面積が大きいルートを、周辺に大気浄化物の量が多いエコルートとして選択することも可能である。
次に、図11に示す地点Aから地点Bに向かう走行候補ルートの中から、大気汚染物質吸収量を考慮した大気汚染物質排出量が最も少ない走行ルートを検出する手順を説明する。なお、以下の手順では、大気汚染物質としてCOを選択するものとする。また、各道路区分における位置座標と、道路長と、制限速度は、図11(B)に示す通りである。なお、車両の燃費を、制限速度が60km/hのときに25[km/L]とし、制限速度が40km/hのときに17.2[km/L]とする。また、制限速度が60[km/h]の場合、1[sec]当たりのガソリン消費量は、0.44[g/s]となる。また、60[km/h]で走行時の走行距離当たりのCO排出量は、式(1)に代入して92.8[g−CO/km]と計算できる。また、1秒当たりのCO排出量は、0.85[g−CO/s]となる。また、図11(A)に示す緑地S1とS2の大気浄化物は、同一の大気浄化物IDで示される浄化物で、純生産量は23[t/ha/yr]とする。
大気浄化物の被覆面積の算出方法として、図10に示すに半径20メートルの円を選択した道路区間の端から端まで描いてできる図形内に含まれる大気浄化物の被覆面積とする。
例えば、道路区間ACでの大気浄化物の被覆面積は、
{(20×20)π+40×90}/2=2428.3[m
従って、道路区分ACにおける定常的な大気汚染物質吸収量ZS1_ACは、
S1_AC=5.17×10−6×23×2428.3=0.289[g−CO
となる。なお、道路区分ACを走行した場合、半径20mの円内に含まれる大気浄化物は緑地S1だけであるので、大気浄化物として緑地S1の大気浄化物だけを選択している。
同様にして他の道路区分における定常的の大気浄化物吸収量は、以下のようになる。
S1_AD=0.217[g−CO
S1_CF=0.336[g−CO
S1_DE=0.146[g−CO
S1_EF+ZS2_EF=0.303[g−CO
S2_BE=0.17[g−CO
S2_BF=0.114[g−CO
なお、道路区分EFを走行した場合、緑地S1と緑地S2の両方の大気浄化物の影響を受けるため、緑地S1と緑地S2の両方の大気浄化物の定常的吸収量を算出する。
例えば、現在位置である地点Aから目的地である地点Bまで向かう走行候補ルートには、(A⇒C⇒F⇒B),(A⇒D⇒E⇒B),(A⇒D⇒E⇒F⇒B),(A⇒C⇒F⇒E⇒B)の4つのルートがある。
A⇒C⇒F⇒Bのルートの場合に、車両から排出されるCO量は、
1.03[g−CO]×(130+150+70)/16.67[m/s]=21.63[g−CO]となる。
同様に、A⇒D⇒E⇒Bのルートの場合に、車両から排出されるCO量は、
0.85[g−CO]×(100+70+100)/11.11[m/s]
=20.67[g−CO]となる。
同様に、A⇒D⇒E⇒F⇒Bのルートの場合に、車両から排出されるCO量は、
0.85[g−CO]×(100+70+80)/11.11[m/s]+1.03[g−CO]×(70)/16.67[m/s]
=23.46[g−CO]となる。
同様に(A⇒C⇒F⇒E⇒B)のルートの場合に、車両から排出されるCO量は、
1.03[g−CO]×(130+150)/16.67[m/s]+0.85[g−CO]×(80+100)/11.11[m/s]=31.07[g−CO]となる。
制御部110は、各走行候補ルートを走行したときに排出される大気汚染物質量から上述した各道路区分での大気汚染物質吸収量を減算して、大気汚染物質吸収量を考慮した環境負荷量を算出する。
A⇒C⇒F⇒Bのルートの場合の環境負荷量は、
21.63−0.74=20.89[g−CO]となる。
A⇒D⇒E⇒Bのルートの場合の環境負荷量は、
20.67−0.53=20.14[g−CO
A⇒D⇒E⇒F⇒Bのルートの場合の環境負荷量は、
23.46−0.78=22.68[g−CO]となる。
A⇒C⇒F⇒E⇒Bのルートの場合の環境負荷量は、
31.07−1.1=29.97[g−CO
従って、制御部110は、環境負荷量が最も少ないA⇒D⇒E⇒Bのルートをエコルートとして選択する。なお、制御部110は、大気汚染物質吸収量の最も多いA⇒C⇒F⇒E⇒Bのルートをエコルートとして選択してもよい。
なお、上述した実施例では、大気汚染物質吸収量を考慮した環境負荷量を算出してエコルートを選択していたが、走行候補ルート周辺の、車両の排気量に応じて定まる所定距離内に存在する大気浄化物の量を算出し、算出した大気浄化物の量に基づいてエコルートを選択してもよい。例えば、車両の排気量が3000[cc]であれば、走行候補ルートの各道路区分ごとに半径20mの円内に含まれる大気浄化物の面積を求めて、求めた面積の値が最も大きい走行候補ルートをエコルートとして選択する。
添付図面を参照しながら本発明の第2実施例を説明する。
上述した実施例1では、図5のフローチャートに示すように、制御部110が、まず、目的地に到達可能な走行候補ルートを検出し、その中から最も大気汚染物質の排出量が少ないルートをエコルートとして選択する手順を示した。
本実施例のナビゲーション装置100は、全道路区分の大気汚染物質吸収量を算出してから、目的地に到達可能な走行ルートを抽出し、抽出した走行ルートにおける大気汚染物質吸収量を計算する。ナビゲーション装置は、抽出した走行ルートの中から環境負荷量が最も小さいルートをエコルートとして選択する。
図12に示すフローチャートを参照しながら本実施例の制御部110の処理手順を説明する。
制御部110は、まず、全道路区分の大気汚染物質吸収量を算出する(ステップS31)。大気汚染物質吸収量の算出手順は、図8のフローに示す通りであるので説明を省略する。
なお、このステップS31の処理は、全道路区分の大気汚染物質吸収量を予め計算して記憶装置119に記憶しておき、制御部110は記憶装置119から各道路区分の大気汚染物質吸収量を読み出してもよい。
次に、制御部110は、目的地が入力されると(ステップS32/YES)、GPS信号に基づいて車両の現在位置を算出し、現在位置から目的地に到達可能な走行候補ルートを複数抽出する(ステップS33)。そして、制御部110は、各走行候補ルートごとに、走行候補ルートに含まれる全道路区分を検出し、これらの道路区分での大気汚染物質吸収量の総和を求める(ステップS34)。
また、制御部110は、各走行候補ルートを走行することによって車両から排出される大気汚染物質の排出量を計算する。制御部110は、各走行候補ルートごとに、各走行候補ルートの大気汚染物質排出量から大気汚染物質吸収量を減算して、大気汚染物質吸収量を考慮した大気汚染物質排出量を計算する(ステップS35)。制御部110は、この大気汚染物質吸収量を考慮した大気汚染物質排出量に基づいて、エコルートを選択する(ステップS35)。また、制御部110は、選択したエコルートを表示制御部118に出力する(ステップS36)。表示制御部118は、取得したエコルートを地図画像に重ねてディスプレイ140に表示させる(ステップS36)。
なお、ステップS31の処理手順は、図8に示すフローと同一であってもよいし、図8に示す処理手順とは別の手順であってもよい。この別の処理手順について図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、制御部110は、選択した道路区分(以下、選択道路区分と呼ぶ)の現在と過去の道路状況情報に基づいて、選択道路区分の始点から終点に到達する時間(以下、到達予測時間Tと呼ぶ)を算出する(ステップS41)。道路状況情報には、選択した道路区分の道路を走行している車両の車種や走行車両の台数が含まれる。なお、道路状況情報は、路車間通信によって、例えば、路側に設けられたサーバ装置等(不図示)から制御部110が取得する。
道路上に設けられた路側通信装置(不図示)は、車両と通信を行ってこの路側通信装置が担当する道路区分の道路を走行する車両の車種情報等を取得する。車種情報とは、車両が排気ガスの排出量の多い大型車なのか、普通車なのかを示す情報であればよい。各路側通信装置によって集められた車種情報は、サーバ装置に集められる。サーバ装置は、各路側通信装置から送信された車種情報に基づいて、車両の通行台数と、車種情報とを各道路区分ごとに集計する。より詳細には、サーバ装置は、例えば、曜日や時間帯ごとに、各道路区分を通行した車両の通行台数の情報や、車種情報を算出する。
制御部110は、路車間通信可能な路側通信装置に接続して、サーバ装置で集計された各道路区分の道路状況情報を取得する。道路状況情報を取得した制御部110は、この道路状況情報に基づいて選択した道路区分の終点に到達する予測時間Tを算出する。
次に、制御部110は、選択した道路区分のt(0<t≦T)秒後における環境値を現在の環境値に基づいて予測する(ステップS42)。なお、環境値には、光強度、温度、湿度、風向、風速等が挙げられる。例えば、制御部110は、路側通信装置と路車間通信を行って、選択道路区分の現在の環境値を取得する。そして、制御部110は、取得した環境値に基づいて選択道路区分のt秒後の環境値を予測する。なお、光強度、温度、湿度など変動の少ないものに関しては、サーバ装置から取得したものをそのまま使用してもよい。
次に、制御部110は、自車両及び選択道路区分の道路を走行しているであろう台数の車両から排出される大気汚染物質がt秒の間に拡散する空間W(体積、位置)を気体の拡散速度を用いて予測する(ステップS43)。また、制御部110は、ステップS42で取得した環境値に基づいて、求めた空間Wの体積、位置を補正する。例えば、記憶装置119には、風向、風速に基づいた補正値が記録されており、制御部110は、この補正値を参照して空間Wの体積や位置を補正する(ステップS43)。
次に、制御部110は、記憶装置119に記憶した車種ごとの車両の燃費情報を取得し、t秒後における空間Wの大気汚染物質濃度を予測する(ステップS44)。記憶装置119には、例えば、大型車両、普通車の燃費情報が記録されている。制御部110は、上述した式(1)、(2)に基づいて、自車両及び選択道路区分を走行しているであろう台数の車両から排出される大気汚染物質による空間Wの大気汚染物質濃度を算出する。なお、選択道路区分を走行しているであろうと予測される車両の台数は、制御部110が道路状況情報に基づいて予測する。例えば、選択道路区分の現在の道路状況と、自車両が選択道路区分を走行する予定時間帯における道路状況とに基づいて車両の走行台数を予測する。
次に、制御部110は、予測した大気汚染物質濃度の予測値を光強度、温度、湿度等に基づいて補正する(ステップS44)。例えば、記憶装置119には、光強度、温度、湿度に基づいた補正値が記録されており、制御部110は、この補正値を参照して予測した大気汚染物質濃度の予測値を補正する。
次に、制御部110は、記憶装置119から例えば、樹木の生えた緑地(大気浄化物)の位置座標と、この樹林の樹高とを取得し、これらを用いて緑地の全体空間Xを求める。次に、制御部110は、求めた緑地の全体空間Xのうち、空間Wと重なる空間Yの体積を求める(図14参照)(ステップS45)。
すなわち、制御部110は、選択した道路区分を走行することによって排出された大気汚染物質がt秒の間に拡散する空間Wと、緑地空間Xとの重なる空間Yの体積を求める。
次に、制御部110は、空間Yの定常状態における大気汚染物質吸収量を算出する(ステップS46)。定常状態における大気汚染物質吸収量は、上述した式(3)で求めることができる。
次に、制御部110は、t秒後の空間Yの大気汚染物質濃度と、前回算出済みのt−1秒後の空間Yの大気汚染物質濃度との差分を求める。すなわち、時間経過によって空間Yの大気汚染物質濃度にどれだけの変化が生じたのかを判定する。なお、空間Yのt秒後の大気汚染物質濃度は、ステップS44で算出した空間Wのt秒後の大気汚染物質濃度とイコールである。同様に、空間Yのt−1秒後の大気汚染物質濃度は、空間Wのt−1秒後の大気汚染物質濃度とイコールである。
制御部110は、求めた差分値と、t秒後の空間Yの定常状態における大気汚染物質吸収量とに基づいて、t秒後の空間Yにおける大気汚染物質の吸収量を求める(ステップS47)。算出式は、以下のようになる。
t秒後の空間Yにおける大気汚染物質の吸収量=t秒後の空間Yの定常状態における大気汚染物質吸収量×{(予測したt秒後の空間Yの大気汚染物質濃度/t−1秒後の空間Yにおける大気汚染物質濃度)−1}
次に、制御部110は、tの値が到達予測時間Tに一致したか否かを求める(ステップS48)。ステップS48の判定がNOの場合には、制御部110は、tの値を1加算して、t+1秒後の大気汚染物質の吸収量を求める。また、ステップS48の判定がYESの場合、制御部110は、ステップS47で求めたt秒後の空間Yにおける大気汚染物質の吸収量を、車両が選択道路区分の終点に到達したときに大気浄化物によって吸収される大気汚染物質の吸収量として出力する。
なお、図2に示した大気浄化物データベースには、大気浄化物IDごとに純生産量の値として1つの値が保持されているが、各大気浄化物の純生産量は、季節ごとにあるいは日照の有無によって変動する。したがって、この大気浄化物データベースにおいて、大気浄化物IDごとに、季節ごとの純生産量の値を保持させたり、日中の純生産量の値と夜間の純生産量の値とを保持させるようにするのが好ましい。
本実施例で説明したエコルートの選択にあたっては、ルート検索時あるいは走行予定時の季節や時刻に応じて、前記大気浄化物データベースに保持された複数の純生産量のうち、当該季節や時刻に対応する純生産量の値を参照することによって、季節や日照の有無に応じたエコルートの表示を行うことができる。
以上のように本実施例によれば、排気ガスに含まれる大気汚染物質を吸収できる大気浄化物の近くを走行する走行ルートを選択して、車両から排出される排気ガスによる環境への影響を軽減することができる。
なお、上述した実施例では、樹木を含む緑地を大気浄化物の例として計算したが、人工的に作られた人工物であっても同様の効果を得られる。
また、上述した実施例では、二酸化炭素の吸収量を算出する例を示したが、二酸化窒素、二酸化窒素の場合には、以下に示す式(5)、(6)を用いて定常状態におけるNO吸収量、SO吸収量を求めることになる。
NO吸収量=15.5×大気中のNO濃度(μg/cm)×総生産量×S・・・(5)
SO吸収量=20.7×大気中のSO濃度(μg/cm)×総生産量×S・・・(6)
なお、総生産量は、「光合成により生産された有機物の総量」を示し、純生産量は「総生産量から呼吸消費量を引いた植物体としての固定量」(ここでの固定量とは二酸化炭素の固定量)を表す。また、Sは、大気浄化物(緑地)の面積を示す。
100 ナビゲーション装置
110 制御部
114 ROM
115 RAM
116 CPU
119 記憶装置
120 操作部
151 走行候補ルート抽出部
152 大気汚染物質吸収量算出部
153 エコルート選択部

Claims (5)

  1. 地図データベースを参照して、入力された目的地に到達可能な複数の走行候補ルートを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段で抽出された前記走行候補ルートごとに、車両から排出される大気汚染物質を吸収する能力を備えた大気浄化物の存在場所を示す大気浄化物データベースを参照して、該走行候補ルート周辺の、車両の排気量に応じて定まる所定距離内に存在する大気浄化物の量を算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された前記大気浄化物の量に基づいて、前記複数の走行候補ルートの中から前記車両の走行を案内する走行ルートを選択して出力するルート出力手段と、
    を備える走行ルート提示装置。
  2. 地図データベースを参照して、入力された目的地に到達可能な複数の走行候補ルートを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段で抽出された前記走行候補ルートごとに、車両から排出される大気汚染物質を吸収する能力を備えた大気浄化物の存在場所を示す大気浄化物データベースを参照して、該走行候補ルート周辺の、車両の排気量に応じて定まる所定距離内に存在する大気浄化物の量を算出する第1の算出手段と、
    前記第1の算出手段により算出された前記大気浄化物の量に基づいて、前記各走行候補ルートを前記車両が走行した場合に該走行候補ルート周辺の該大気浄化物によって吸収される大気汚染物質の吸収量を算出する第2の算出手段と、
    前記第2の算出手段により算出された吸収量に基づいて、前記複数の走行候補ルートの中から前記車両の走行を案内する走行ルートを選択して出力するルート出力手段と、
    を備える走行ルート提示装置。
  3. 前記第2の算出手段は、前記走行候補ルート周辺の、前記所定距離内にある前記大気浄化物を含んだ所定の大きさの空間を設定し、該車両が走行した場合の該空間の大気汚染物質濃度と該車両が走行していない定常状態における該空間の大気汚染物質濃度との比と、該定常状態において該大気浄化物が吸収する前記大気汚染物質の吸収量とに基づいて、該車両が走行した場合の該空間内における該大気汚染物質の吸収量を算出する、請求項2記載の走行ルート提示装置。
  4. コンピュータを、
    地図データベースを参照して、入力された目的地に到達可能な複数の走行候補ルートを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段で抽出された前記走行候補ルートごとに、車両から排出される大気汚染物質を吸収する能力を備えた大気浄化物の存在場所を示す大気浄化物データベースを参照して、該走行候補ルート周辺の、車両の排気量に応じて定まる所定距離内に存在する大気浄化物の量を算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された前記大気浄化物の量に基づいて、前記複数の走行候補ルートの中から前記車両の走行を案内する走行ルートを選択して出力するルート出力手段として機能させるためのプログラム。
  5. コンピュータを、
    地図データベースを参照して、入力された目的地に到達可能な複数の走行候補ルートを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段で抽出された前記走行候補ルートごとに、車両から排出される大気汚染物質を吸収する能力を備えた大気浄化物の存在場所を示す大気浄化物データベースを参照して、該走行候補ルート周辺の、車両の排気量に応じて定まる所定距離内に存在する大気浄化物の量を算出する第1の算出手段と、
    前記第1の算出手段により算出された前記大気浄化物の量に基づいて、前記各走行候補ルートを前記車両が走行した場合に該走行候補ルート周辺の該大気浄化物によって吸収される大気汚染物質の吸収量を算出する第2の算出手段と、
    前記第2の算出手段により算出された吸収量に基づいて、前記複数の走行候補ルートの中から前記車両の走行を案内する走行ルートを選択して出力するルート出力手段として機能させるためのプログラム。
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