JP5303837B2 - 鉛蓄電池用正極集電体、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チタン又はチタン合金の集電体基材の表面に導電性セラミックス層が形成された正極集電体、及びその製造方法に関する。
鉛蓄電池用正極集電体に用いられる鉛又は鉛合金に代わる新たな材料が研究されている。その材料には、高い導電性、電解液に対する不溶性、電解液中での電気化学安定性、及び高い酸素過電圧などが要求される。この要求を満足するものとして、金属酸化物や金属珪化物等からなる導電性セラミックスが知られている。例えば、SnO、TiTa(1−x)、TiSi、TiSi、TaSi、TaSi、NbSi、NbSi、Tiなどがある。
しかし、これらの導電性セラミックスの材料のみによっては、正極集電体は製造されえない。なぜなら、このような導電性セラミックスの体積固有抵抗は10Ω・cm以下であるものの、一般の金属のそれ(体積固有抵抗が10−6〜10−5Ω・cm以下)に比べれば大きすぎるからである。
そこで、チタン又はチタン合金の集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成して鉛蓄電池用正極集電体とする提案がある(例えば、非特許文献1及び2)。これらの正極集電体は、チタンの表面に、SnO(Sbドープ)、PtO、IrO、RuOなどからなる導電性セラミックスが被覆され、その表面にさらにβ−PbOが被覆されている。
また、チタン又はチタン合金の集電体基材の表面がPtOからなる導電性セラミックスで被覆され、さらにα−PbOとβ−PbOで被覆されることによって製造された電解用DSA電極に用いられる二酸化鉛電極も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
これらの文献に示されるように、その表面に導電性セラミックス層を備えたチタンを正極集電体に使用した場合、チタンの導電性が導電性セラミックスのそれに比べて十分に高いので、正極集電体の導電性は確保される。また、チタンは耐食性が高いので、鉛蓄電池の電解液である希硫酸には、元来、溶解しにくい。しかも、導電性セラミックス層を備えさせれば、チタンの溶解が問題となることも無い。また、チタンの融点が高いので、導電性セラミックス層を備えさせる工程において500℃前後の高温にまで耐える。また、チタンは不働態化する性質を有するところ、チタンを導電性セラミックス層で覆うことによってチタンの不働態化が防止されるので、チタンの不働態化が問題となることもない。さらに、チタンは導電性セラミックスより安価であるので、材料コストも低減することができる。
以上の理由によって、導電性セラミックスをその表面に備えたチタン又はチタン合金の研究が進められてきていた。
「電気化学会誌」第47巻(668)社団法人電気化学会 1979年 「電気化学会誌」第48巻(384)社団法人電気化学会 1980年 特開昭63−57791号公報
ところが、チタン又はチタン合金の集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成した鉛蓄電池用正極集電体を使用して鉛蓄電池を製造した場合、その鉛蓄電池の内部抵抗が大きいという問題があった。そのため、その鉛蓄電池の高率放電性能が優れないという問題があった。
本願発明者が前記問題の原因を調査したところ、チタン又はチタン合金の集電体基材と導電性セラミックス層との間の酸化チタンの被膜が原因であることが明らかとなった。すなわち、チタン又はチタン合金の集電体基材と導電性セラミックス層との間に導電性の低い酸化チタンが存在するため、正極集電体の抵抗が大きくなり、ひいては鉛蓄電池の内部抵抗も大きくなっていたのである。なお、この酸化チタンの被膜は、チタン又はチタン合金の集電体基材の表面に導電性セラミックス層を備えさせる工程で焼成がおこなわれる時に、チタン又はチタン合金の集電体基材の表層部が酸化されることによって生成すると考えられている。
以上の問題および原因に鑑み、本願発明がなされた。
(A)本願発明は、
チタン又はチタン合金の集電体基材を真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍する第1の工程、及び前記第1の工程を経た集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成する第2の工程 を備える製造方法によって作製され、
チタン又はチタン合金の集電体基材と、前記集電体基材の表面に備られた酸化チタンの被膜と、及び前記被膜の表面に備えられた導電性セラミックス層とを備えた鉛蓄電池用正極集電体において、前記被膜の厚さが0.09μm以下であることを特徴とする。
この発明によれば、集電体基材と導電性セラミックス層との間に形成される酸化チタンの被膜が十分に薄い。そのため、電気抵抗が低減する。よって、この正極集電体を使用して鉛蓄電池が製造された場合、その鉛蓄電池の高率放電性能が優れる。
ここで、一般に、酸化チタンの化学式はTiOと表される。しかし、本願で記載された酸化チタンにおいては、チタンと酸素との化学量論比が必ずしも1:2であるとは限らない。そのため、被膜の成分である酸化チタンを本願では、TiOと表す。この場合において、xは、0より大きく、2以下である。
酸化チタンの被膜の厚みは、マーカス型高周波グロー放電発光表面分析(以下、GD−OES分析という。)により測定される。測定の具体的方法や条件は、本願図3とともに、実施の形態の(2.1.4)において説明する。
なお、酸化チタンの被膜の厚さが0.09μm以下である場合において、この厚さがさらに小さければ小さいほど電気抵抗が小さくなることは、当業者にとって当然に予想される。
導電性セラミックスとは、金属酸化物又は金属珪化物等の金属化合物を高温で焼成したセラミックスであって、体積固有抵抗は10Ω・cm以下のものをいう。導電性セラミックス層は、ひとつの層のみからなっていてもよいし、当該ひとつの層の表面にさらにα−PbOとβ−PbO等の別の層を形成してもよい。このような場合であっても、本願発明における高率放電性能の向上という効果は得られる。
(B)本願発明は、鉛蓄電池用正極集電体の製造方法において、その製造方法は、チタン又はチタン合金の集電体基材を真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍する第1の工程、及び前記第1の工程を経た集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成する第2の工程を備えることを特徴とする。
この発明により、前述(A)のように、被膜の厚さが0.09μm以下である鉛蓄電池用正極集電体を製造することができる。すなわち、チタン又はチタン合金の集電体基材に導電性セラミックス層が形成されるより前に、チタン又はチタン合金の集電体基材が真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍される。そのため、焼鈍に伴う再結晶化によって、チタン又はチタン合金の結晶歪みが除去され、チタン又はチタン合金の結晶性が高くなる。
従って、集電体基材に導電性セラミックス層を形成する過程で高温(たとえば500℃)に加熱されても、チタン又はチタン合金に酸化チタンの被膜が形成されにくい。その結果、集電体基材と導電性セラミックス層との間の電気抵抗が低減する。そして、この集電体基材を使用して鉛蓄電池が製造された場合、鉛蓄電池の高率放電性能が優れる。
ここで、真空中とは、焼鈍の際に、チタン又はチタン合金に酸化チタンの被膜がほとんど形成されない程度の真空をいう。したがって、ここでいう真空は高真空であることが好ましいが、必ずしもこれを必要とするものではない。なお、本願の実施例においては、後述するように1×10−4Paの低真空とした。不活性雰囲気中とは、チタン又はチタン合金と反応して酸化被膜が形成されることがないガスで満たした雰囲気、又はそのようなガスを十分に流通させた雰囲気をいう。
焼鈍の温度は、集電体基材の結晶歪みを除去できる温度であれば良いので、温度は限定されない。さらに、焼鈍する工程において、時間とともに焼鈍の温度を変化させるようなプロセスを経るものであってもよい。なお、本願の実施の形態においては、700℃で12時間のあいだ焼鈍した例が主に示されている。
ここで、第2の工程には、焼成の工程が含まれる。すなわち、導電性セラミックス層を形成する第2の工程は、ディップコーティング法又はスプレー熱分解法などのように、集電体基材が焼成される工程が含まれる。これらのディップコーティング法又はスプレー熱分解法の詳細は、後述する。
(C)本願発明は、前述のような製造方法において、前記第1の工程によって、前記チタン又は前記チタン合金のXRDパターンにおいて、強度が最大となるピークの半価幅を0.38°以下にすることを特徴とする。また、前述のような製造方法において、前記第1の工程によって、前記チタン又は前記チタン合金のXRDパターンにおいて、強度の大きな順にピークを4つ選択したときの当該4つのピークの強度の合計値を、すべてのピークの強度の合計値の85%以上にすることを特徴とする。
これらの発明によれば、集電体基材の表面の結晶性が十分に高く、結晶歪みが確実に除去される。従って、集電体基材が導電性セラミックス層の形成のために高温で加熱されても、酸化チタンの被膜が形成されにくい。そして、集電体基材と導電性セラミックス層との間の電気抵抗が低減する。
ここで、本願の請求の範囲でいう「すべてのピーク」とは、集電体基材がチタンの場合においては、チタンの(100)面、(002)面、(101)面、(102)面、(110)面、(103)面、(200)面、(112)面、及び(201)面に帰属する回折ピークと定義する。これらは、XRD測定において、2θを20°から80°まで走査した場合に現れる回折ピークである。また、集電体基材がチタン合金の場合においては、XRD測定において、2θを20°から80°まで走査した場合に現れる回折ピークであって、最大強度を有するピークに対して強度比が1%以上のもの(最大強度を有するピークを含む)をいう。
(D)本願発明は、
チタン又はチタン合金の集電体基材を真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍する第1の工程、及び前記第1の工程を経た集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成する第2の工程 を備える製造方法によって作製され、前記正極集電体のXRDパターンにおいて、チタン又はチタン合金のピークの中で強度が最大となるピークの半価幅が0.38°以下であることを特徴とする、チタン又はチタン合金の集電体基材と、前記集電体基材の表面に備えられた酸化チタンの被膜と、及び前記被膜の表面に備えられた導電性セラミックス層とを備えた鉛蓄電池用正極集電体である。
また、本願発明は、チタン又はチタン合金の集電体基材を真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍する第1の工程、及び前記第1の工程を経た集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成する第2の工程 を備える製造方法によって作製され、
前記正極集電体のXRDパターンにおいて、チタン又はチタン合金のピークの中で強度の大きな順にピークを4つ選択したときの当該4つのピークの強度の合計値が、すべてのピークの強度の合計値に対して85%より大きいことを特徴とする、チタン又はチタン合金の集電体基材と、前記集電体基材の表面に備えられた酸化チタンの被膜と、及び前記被膜の表面に備えられた導電性セラミックス層とを備えた鉛蓄電池用正極集電体である。
これらの発明によれば、正極集電体において、集電体基材と導電性セラミックス層との間には、厚い酸化チタンの被膜が形成されていない。よって、集電体基材と導電性セラミックス層との間の電気抵抗が低減する。
(E)本願発明は、鉛蓄電池に前述のような正極集電体を備えさせることを特徴とする。また、本願発明は、無停電電源装置に、前述のような正極集電体を備えた鉛蓄電池を搭載することを特徴とする。
これらの発明により、当該鉛蓄電池および無停電電源装置の高率放電性能が優れる。
(F)本願発明は、正極集電体を備えた鉛蓄電池の製造方法において、前記正極集電体の製造方法が、前述のような製造方法であることを特徴とする。本願発明は、正極集電体を備えた鉛蓄電池を搭載した無停電電源装置の製造方法において、前記正極集電体の製造方法が、前述のような製造方法であることを特徴とする。
これらの発明により製造された鉛蓄電池の高率放電性能が優れる。また、これらの発明により製造された無停電電源装置の高率放電性能が優れる。
(G)本願発明は、チタン又はチタン合金の集電体基材を真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍する第1の工程、及び前記第1の工程を経た集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成する第2の工程 を備える製造方法によって作製され、
チタン又はチタン合金の結晶が4種類以下の結晶面に選択的に配向していることを特徴とする、チタン又はチタン合金の集電体基材と、前記集電体基材の表面に備えられた酸化チタンの被膜と、及び前記被膜の表面に備えられた導電性セラミックス層とを備えた鉛蓄電池用正極集電体である。
本願明細書において、「4種類以下の結晶面に選択的に配向している」とは、XRDパターンにおいて、強度が大きい順にピークを選択し、その選択したピークの強度の合計値が、全ピークの強度の合計値の85%以上に最初に達したときの選択数が4つ以下である場合(4つである場合を含む)をいう。言換えると、強度が大きい順にピークを4つ選択したとしても、当該4つのピークの強度の合計値が、全ピークの強度の合計値の85%に達しない場合、そのXRDパターンを有する集電体基材は「4種類以下の結晶面に選択的に配向されている」とは言わない。
この発明よれば、集電体基材の結晶歪みが除去されているため、集電体基材を導電性セラミックス層との間に、厚い酸化チタンの被膜が形成されていない。よって、集電体基材と導電性セラミックス層との間の電気抵抗が低減する。
なお、集電体基材がチタンである場合においては、チタンの結晶が(101)面、(102)面、及び(103)面の3つに選択的に配向されていることが好ましい。これら3種類の結晶面は、高率放電特性を確実に向上させることができる結晶面の一例である。
(H)本出願は、2005年8月8日に日本国特許庁に出願された特許出願(特願2005−229826)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
焼鈍処理を行う前におけるチタンの集電体基材SのXRDパターンである。 集電体基材Sに焼鈍処理を行った集電体基材SのXRDパターンである。 正極集電体U及びUの表面分析の結果を示す図である。 実施の形態1において、強度が最大となるピークの半価幅と電圧降下の関係を示す図である。 チタン又はチタン合金の集電体基材を正極板に用いた制御弁式鉛蓄電池の単電池の構造を示す縦断面図である。 単電池が4個組み合わせられた鉛蓄電池の構造を示す縦断面図である。 本発明の実施例となる単電池(B、B、及びB)、及び比較例となる単電池(B)の高率放電性能を示す図である。 実施の形態2における集電体基材SのXRDパターンである。 実施の形態2における集電体基材SのXRDパターンである。
(1)はじめに、集電体基材となるチタン又はチタン合金の分析方法について述べる。
チタン又はチタン合金の結晶状態(表面の配向状態やピークの半価幅)は、CuKα線を用いたX線回折装置によって分析された。具体的には、チタン又はチタン合金に所定波長のX線を入射角θで照射しながら2θを20°〜80°まで走査し、この間に回折したX線の強度が計数された。横軸に2θを、縦軸にX線の強度をとってプロットすることによって、いわゆるX線回折パターン(XRDパターン)が得られる。これによれば、チタンの結晶構造と照射するX線の波長に基づき、X線回折強度のピークが現れた回折角2θに対応する結晶面の種類を特定することができる。
なお、参考として、XRDのデータ集であるICDD(International Center for Diffraction Data)カードに基づいて、チタンにおける回折角2θと結晶面との対応を表1に示しておく。
Figure 0005303837
(2)以下、本発明の実施の形態1及び2について、図1〜図9を参照して説明する。
(2.1)実施の形態1
(2.1.1)圧延
実施の形態1では、集電体基材として純チタン(JIS1種)が使用された。板状の純チタンが冷間圧延されることによって、厚さ0.1mmの板状にされた。冷間圧延とは、金属の再結晶温度以下(一般には、常温)で行う圧延のこという。なお、この実施の形態1においては冷間圧延を示すが、これは一例に過ぎない。よって、加工方法は、他の方法による圧延でも良いし、圧延以外の方法であってもよい。また、この実施の形態1においては集電体基材が板状である例を示すが、これは一例に過ぎない。集電体基材の構造は任意であり、例えば格子状であってもよい。
冷間圧延後の集電体基材(以下、集電体基材Sと呼ぶ。)のXRD測定がおこなわれた。測定によるXRDパターンを図1に示す。図1と表1とを対照させることにより、Sのチタンには、(100)面、(002)面、(101)面、(102)面、(110)面、(103)面、及び(112)面の合計7つの結晶面が確認された。図1のXRDパターンには多数のピークが存在することから、Sのチタンは多種類の結晶面に配向し、チタンの結晶方位が不均一である。また、ピークの強度は比較的小さく且つ半価幅も大きいため、集電体基材Sの表面の結晶性は低い。冷間圧延加工時の結晶歪みが多く残っているためと考えられる。
(2.1.2)焼鈍
集電体基材Sが、1×10−4Paの圧力(低真空)及び700℃のもとで、焼鈍された。焼鈍の時間は、それぞれ3時間、6時間、及び12時間とした。得られた集電体基材を、それぞれ集電体基材S、S、及びSと呼ぶ。なお、焼鈍は低真空下で行われるので、焼鈍の際にはチタンが酸化されない。
集電体基材S、S、及びSについてXRD測定がおこなわれた。それぞれのXRDパターンにおいて、強度が最大となるピークの面指数、及びそのピークの半価幅を表2に示す。表2には、焼鈍処理時間が0時間である集電体基材S(これは比較例に対応する。)の結果も掲げた。
Figure 0005303837
焼鈍によって、強度が最大であるピークの半価幅が小さくなった。また、焼鈍の時間が長くなればなるほど、当該ピークの半価幅が小さくなった。これらのことから、焼鈍時の再結晶によって集電体基材Sに存在した結晶歪みが除去されること、及び焼鈍時間の長さに応じて当該歪みの除去が進むことがわかった。また、強度が最大となるピークの半価幅を調整したい場合、焼鈍の時間や温度を調整すれば良い。たとえば、半価幅を小さくする場合には、焼鈍の時間を長くすれば良い。
集電体基材S、S、及びSの代表として、集電体基材SのXRDパターンを図2に示す。図2では、(101)面、(102)面、及び(103)面の3つのXRDピークが認められた。ピークの強度は十分に大きく、半価幅が十分に小さいことから、集電体基材Sに存在していた結晶歪みが、ほとんど除去されたと考えられる。
(2.1.3)導電性セラミックス層の形成
集電体基材S、S、S、及びSが、二酸化スズ(SnO)のコーティング溶液に浸漬された後、30cm/minの速度で引き上げられた。ここで、コーティング溶液とは、四塩化スズ(0.1モル)、三塩化アンチモン(0.03モル)、及び少量の塩酸が、プロパノールに溶解された溶液である。その後、15分間のあいだ室温で乾燥がおこなわれた。乾燥した集電体基材S、S、S、及びSが500℃の温度の電気炉内に30分間放置された。放置時の雰囲気は大気中とされた。以上により、集電体基材S、S、S、及びSの表面に、二酸化スズの導電性セラミックス層が形成された。これらが正極集電体である。集電体基材S、S、S、及びSに二酸化スズの導電性セラミックス層が形成された後の正極集電体を、それぞれ正極集電体U、U、U、及びUと呼ぶ。
なお、上記のような方法をディップコーティング法という。実施の形態1では、このディップコーティング法によって導電性セラミックス層を形成する例を示したが、本願発明はこれに限定されない。チタンの表面に原料溶液を噴霧するスプレー熱分解法(Spray Pyrolysis method)その他の方法によって導電性セラミックス層が形成されてもよい。
(2.1.4)正極集電体の評価
正極集電体U及びUがGD−OES分析された。分析に使用された装置の機種は、堀場製作所製のマーカス型高周波グロー放電発光表面分析装置(JY−5000RF)である。測定の条件については、分析モードがスパッタリングレート、RF出力が20W、ガス圧力が400Pa、及びアノード径が4mmである。
GD−OES分析の結果を図3に示す。図3において、横軸はそれぞれの正極集電体の表面からの深さを示す。縦軸は、当該表面からの深さにおいて検出された元素の量(mass%)を示す。
正極集電体U及びUのいずれにおいても、3つの層が確認された。最も表面にある第1の層が、二酸化スズの導電性セラミックス層である。スズの量が多いことから確認される。第2の層が、酸化チタン(TiO)の層である。Snの量が急減すること、及び酸素の量が急増することから確認される。第1の層と第2の層との境界は、図3におけるスズ及び酸素の曲線の変曲点から求めている。第3の層が、チタンの集電体基材である。酸素の量が減少すること、及び検出される元素が、ほぼチタンのみであることから確認される。第2の層と第3の層との境界は、図3における酸素の曲線の微分係数がほぼゼロになる点から求めている。
図3によれば、正極集電体Uにおける酸化チタンの被膜の厚みは、0.07μmであった。これは、正極集電体Uの厚みである0.11μmより小さかった。この図3は、本願発明によって得られる効果を明確に示しているといえる。なお、酸化チタンの被膜の厚みを0.07μmよりさらに小さくする場合には、集電体基材であるチタン又はチタン合金の結晶性を及び配向性をより高くしておけば良い。
同様に、正極集電体U及びUを分析した結果、正極集電体U及びUの酸化チタンの被膜の厚さは、それぞれ0.09μm及び0.08μmであった。
つぎに、正極集電体U及びUのXRD測定がおこなわれた。その結果、正極集電体UのXRDパターンは、集電体基材Sのそれと大きく変わらなかった。導電性セラミックス層及び酸化チタンの層が極めて薄いことから、導電性セラミックス層や酸化チタンに帰属するXRDピークの強度がチタンに帰属するXRDピークの強度にくらべて極めて弱いためである。正極集電体Uにおいても、同様であった。
(2.1.5)電圧降下試験とその結果
正極集電体U、U、U、及びUのそれぞれが30mm×30mmの銅板の間に挟まれ、さらに50kPaの圧力で圧迫された。その状態を保ちながら、0.4Aの電流が2つの銅板のあいだに流された。そして、その電流を流しているときの電圧降下が測定された。測定結果から、単位面積あたりの抵抗値が計算された。結果を表3に示す。
Figure 0005303837
正極集電体Uの電圧降下、及び抵抗値は大きかった。集電体基材Sと導電性セラミックス層とのあいだに存在する酸化チタンの被膜が影響を及ぼしていると考えられる。一方、正極集電体U、U、及びUの場合は、電圧降下、及び抵抗値が小さかった。また、焼鈍の時間が長くなればなるほど、電圧降下、及び抵抗値が小さかった。
表3の半価幅と電圧降下との関係を、図4に示す。強度が最大となるピークの半価幅が0.38°以下の場合、集電体基材と導電性セラミックス層との間の電圧降下が急激に小さくなっている。すなわち、0.38°の半価幅を境界として、効果に顕著な差が認められる。すなわち、酸化チタンの被膜の厚さが、0.07μm以下の場合に、効果が顕著に現れている。このような顕著な差は、本願発明の当業者に予測されない。
(2.1.6)制御弁式鉛蓄電池の単電池の製造
制御弁式鉛蓄電池の単電池1の構造を図5に示す。
電池ケース4は、正極活物質5、セパレータ6、及び負極活物質7を密閉収納するための絶縁性の枠体であり、正極集電体2及び負極集電体3によって挟持されている。電池ケース4は、外部に通じる排気口4aを備える。排気口4aの開口部は、制御弁8を備える。電池ケース4の内部には、正極活物質5、セパレータ6、及び負極活物質7が配置される。正極活物質5、セパレータ6、及び負極活物質7には、希硫酸を主成分とする電解液が含浸される。
本願発明者は、以上のような構造を有する制御弁式鉛蓄電池を製造した。具体的な製造方法は次のとおりである。
正極集電体2には、二酸化スズの導電性セラミックス層が形成された前記の正極集電体U、U、U、及びUが使用された。正極集電体2に正極活物質5を備えさせることによって、正極板が製造された。ここで、正極活物質5は、二酸化鉛(PbO)を主体とした板状の活物質である。負極集電体3は、鉛メッキ(厚さ:20〜30μm)された銅板(厚さ0.1mm)である。負極集電体3に負極活物質7を備えさせることによって、負極板が製造された。ここで、負極活物質7は、海綿状金属鉛を主体とした板状の活物質である。セパレータ6は、ガラス繊維をマット状にしたものである。正極板と負極板とがセパレータを介して積層され、電槽に収納された。電槽が蓋で覆われ、電解液を注入することにより制御弁式鉛蓄電池が製造された。
(2.1.7)制御弁式鉛蓄電池の単電池の性能評価
正極集電体U、U、U、及びUを正極集電体2に用いた単電池1(公称電圧2V、定格容量2.3Ah)をそれぞれ単電池B、B、B、及びBと呼ぶ。単電池B、B、B、及びBを満充電した後に、6A(3CA相当)の高率放電を行ったときの端子電圧の変化を測定した。その結果を図7に示す。この場合において、放電終止電圧は1.6Vとした。
参考のための放電曲線として、正極集電体がチタンではなく鉛である制御弁式鉛蓄電池(公称電圧12V、定格容量2.3Ah)である電池Brefも併せて示す。ただし、Brefの結果を、B、B、B、及びBの結果と比較する必要は無い。
図7のように、単電池B(比較例)では、放電初期に端子電圧が急激に低下した。その後、端子電圧は短時間で1.6V以下にまで下がった。集電体基材Sと導電性セラミックス層との間の厚い酸化チタンの被膜が影響を及ぼしている。
単電池B、B、及びBの高率放電性能は、単電池Bのそれより優れていた。集電体基材と導電性セラミックス層との間の酸化チタンの被膜の影響が小さいためと考えられる。
単電池BおよびBの高率放電性能は、単電池Bのそれより優れていた。高率放電性能の向上の程度に差が認められたのは、集電体基材Sの焼鈍時間が3時間であるため、強度が最大となるピークの半価幅は、0.38°よりも大きいのに対し、集電体基材S及びSの焼鈍時間は、それぞれ、6時間及び12時間であるため、強度が最大となるピークの半価幅が0.38°以下であるためと考えられる。すなわち、単電池を構成した際においても、0.38°を境界として、効果に顕著な差が認められた。本願発明においては、酸化チタンの被膜の厚さが0.07μm以下である場合、特に好ましいと考えられる。
(2.1.8)無停電電源装置用鉛蓄電池
図6に、4つの単電池が組み合わせられた鉛蓄電池の構成を示す。この鉛蓄電池は、無停電電源装置用鉛蓄電池(以下、UPS用鉛蓄電池という。UPSは、Uninterruptible Power Supplyの略である。)である。単電池1の負極集電体3は、別の単電池1の正極集電体2の上に載置されるようにして、4つの単電池1が直列に積層接続された。4つの単電池1の上と下には、金属板等の導電材料からなる圧迫部材9、10が配置された。単電池1の周囲は、樹脂等の絶縁材料からなる補助枠材11によって囲まれた。圧迫部材9、10をそれぞれ複数本のネジ12で補助枠材11の上下端面に固着することにより、4個の単電池1が強く圧迫され挟持固定された。
ここで、挟持固定された各単電池1においては、セパレータ6が圧縮された状態となる。この反発力によって、ゲージ圧で250kPa前後の圧力で正極活物質5を正極集電体2に押圧し、また、負極活物質7を負極集電体3に押圧する。セパレータ6によって押圧力を得るためには、セパレータ6の材質と厚さを適度に調整すればよい。押圧力は、単電池1の構造、容量、大きさ等に応じて適宜変更し得る。一般的には、ゲージ圧で100〜400kPa程度の圧力が加わることにより、充放電性能は安定化する。
以上により、UPS用鉛蓄電池が製造された。なお、UPS用鉛蓄電池の質量エネルギー密度及び体積エネルギー密度は、正極板にチタンではなく鉛が使用された制御弁式鉛蓄電池のそれらを100%とした場合に、それぞれ160%及び140%であった。
次に、UPS用鉛蓄電池が、無停電電源装置に搭載された。この無停電電源装置の性能を評価した結果、単電池B、B、及びBをそれぞれ使用して製造された3種のUPS用鉛蓄電池の高率放電性能は、単電池Bを使用して製造されたUPS用鉛蓄電池のそれより優れていた。
(2.1.9)その他
以上のように、実施の形態1においては、集電体基材として純チタン(JIS1種)を使用した場合についての説明をおこなった。本願発明者が、この純チタン(JIS1種)に代えて、チタン合金(具体的には、Ti−5Al−2.5V、Ti−3Al−2.5V、及びTi−6Al−4Vの3種)を使用して、実施の形態1と同様の試験をおこなったところ、実施の形態1と同様の結果が得られた。
すなわち、これらの3種のチタン合金を使用した場合においても、焼鈍により強度が最大となるピークの半価幅が小さくなった。焼鈍の時間が長ければ長いほど、当該ピークの半価幅が小さくなった。そして、焼鈍の時間が長ければ長いほど、チタン合金と導電性セラミックス層との間に生成する酸化チタンの被膜の厚さを小さくすることができた。酸化チタンの被膜の厚さを小さくすることによって、高率放電性能を向上させることができた。特に、ピークの半価幅が0.38°以下になった場合に、顕著な効果が認められた。
(2.2)実施の形態2
(2.2.1)圧延
実施の形態2では、集電体基材として種々の純チタン(5種類)が使用された。これら5種類の純チタンの製造過程は、実施の形態1で用いられた純チタンのそれとは異なる。そのため、実施の形態2で用いられる5種類の純チタン(JIS1種)のXRDパターンは、実施の形態1のそれらとは異なる。5種類の純チタンの板が冷間圧延されることによって、厚さ0.1mmの板状にされた。
(2.2.2)焼鈍
5種類の板状の純チタンが、1×10−4Paの圧力(低真空)のもとで、700℃に焼鈍された。焼鈍の時間は12時間とした。焼鈍した後の7種類の集電体基材を、それぞれ集電体基材S、S、S、S、及びSと呼ぶ。
集電体基材S、S、S、S、及びSのXRDパターンにおける各面指数に対応するXRDピークの強度を、表5にまとめた。表5中の数字の単位は、「count/second」である。表5には、実施の形態1で用いられたS及びSのデータも掲載された。なお、表5の最下行には、それぞれのXRDパターンにおいて現れるピークの強度の合計値を示している。参考として、S及びSのXRDパターンを図8及び図9にそれぞれ示す。
Figure 0005303837
つぎに、表4における各集電体基材S、S、S、S、S、S、及びSのXRDパターンのそれぞれに関して、強度が大きい順に2つのピークが選択され、全ピークの強度の合計値に対する選択された当該2つのピークの強度の合計値の割合が調査された。同様に、3つのピークを選択した場合、及び4つのピークを選択した場合の割合についても調査された。
分かりやすいように、集電体基材Sの場合を例に具体的に説明する。表5に基づき、集電体基材Sの強度が大きい順に2つのピークを選択すると、それは(103)面と(101)面である。これら2つのピークの強度の合計値は「2462(=1598+864)」である。この値は、全ピークの強度の合計値である「3431」に対して、約71.8%となる。同様に、強度が大きい順に3つのピークを選択すると、それは(103)面と(101)面と(102)面である。これら3つのピークの強度の合計値は「3205(=1598+864+743)」である。この値は、全ピークの強度の合計値である「3431」に対して約93.4%である。
以上の調査結果を、表5に示した。
Figure 0005303837
表5によれば、集電体基材Sにおいては、強度の大きい順にピークを4つ選択しても、選択した当該4つのピークの強度の合計値が、全ピークの強度の合計値に対して73.9%であって、85%以上ではない。強度の大きい順にピークを5つ選択した場合に、選択した当該5つのピークの強度の合計値が、全ピークの合計値に対して85%以上となった。したがって、本願明細書では、集電体基材Sの配向数を5と数える。
一方、集電体基材S、S、S、S、S、及びSは、ピークを2つ、3つ、及び4つ選択した場合のいずれかの場合に、強度の合計値が全ピークの強度の合計値の85%以上となった。
(2.2.3)導電性セラミックス層の形成
集電体基材S、S、S、S、及びSのそれぞれに、導電性セラミックス層が形成された。方法は、前述の(2.1.3)と同様である。集電体基材S、S、S、S、及びSに二酸化スズの導電性セラミックス層が形成された後の正極集電体を、それぞれ正極集電体U、U、U、U、及びUと呼ぶ。
(2.2.4)正極集電体の評価
正極集電体U、U、U、U、及びUがGD−OES分析された。分析方法は、(2.1.4)と同様である。分析の結果、正極集電体U、U、U、U、及びUにおける酸化チタンの被膜の厚みは、それぞれ、0.04μm、0.06μm、0.05μm、0.06μm、及び0.03μmであった。
(2.2.5)電圧降下試験とその結果
正極集電体U、U、U、U、及びUについて、電圧降下試験がおこなわれた。試験方法は、前述の(2.1.5)と同様である。結果を表6に示す。
Figure 0005303837
(2.2.6)制御弁式鉛蓄電池の製造及び性能評価
正極集電体に、正極集電体U、U、U、U、及びUが使用され、前述の(2.1.6)と同様の方法により制御弁式鉛蓄電池が製造された。その制御弁式鉛蓄電池を、それぞれ単電池B、B、B、B、B、B、及びBと呼ぶ。これらの単電池を使用して、前述の(2.1.7)と同様の性能評価をおこなった。
単電池B(比較例)において、放電初期に端子電圧が急激に低下し、短時間で端子電圧が1.6Vに下がるのは、前述のとおりである。一方、単電池B、B、B、B、B、及びBの高率放電特性は、単電池Bのそれより優れていた。集電体基材と導電性セラミックス層との間で、酸化チタンの被膜の形成が抑制されたためと考えられる。
(2.2.7)その他
実施の形態2においては、集電体基材として種々の純チタン(JIS1種)を使用した場合についての説明をおこなった。本願発明者が、この純チタン(JIS1種)に代えて、チタン合金(具体的には、Ti−5Al−2.5V、Ti−3Al−2.5V、及びTi−6Al−4Vの3種)を使用して、実施の形態2と同様の評価をおこなったところ、実施の形態1と同様の結果が得られた。
本願発明は、産業上広く利用される鉛蓄電池に関する。本願発明は、その鉛蓄電池の内部抵抗を低減し、高率放電性能を向上させるものであるから、その産業上の価値は、きわめて大きい。

Claims (10)

  1. チタン又はチタン合金の集電体基材を真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍する第1の工程、及び前記第1の工程を経た集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成する第2の工程 を備える製造方法によって作製され、
    チタン又はチタン合金の集電体基材と、前記集電体基材の表面に備えられた酸化チタンの被膜と、及び前記被膜の表面に備えられた導電性セラミックス層とを備えた鉛蓄電池用正極集電体において、前記被膜の厚さが0.09μm以下であることを特徴とする。
  2. 鉛蓄電池用正極集電体の製造方法において、その製造方法は、
    チタン又はチタン合金の集電体基材を真空中又は不活性雰囲気中で焼鈍する第1の工程、
    及び
    前記第1の工程を経た集電体基材の表面に導電性セラミックス層を形成する第2の工程
    を備えることを特徴とする。
  3. 請求項2に記載された鉛蓄電池用正極集電体の製造方法において、前記第1の工程によって、前記チタン又は前記チタン合金のXRDパターンにおいて、強度が最大となるピークの半価幅を0.38°以下にすることを特徴とする。
  4. 請求項2に記載された鉛蓄電池用正極集電体の製造方法において、前記第1の工程によって、前記チタン又は前記チタン合金のXRDパターンにおいて、強度の大きな順にピークを4つ選択したときの当該4つのピークの強度の合計値を、すべてのピークの強度の合計値の85%以上にすることを特徴とする。
  5. 前記チタン又は前記チタン合金のXRDパターンにおいて、強度が最大となるピークの半価幅が0.38°以下であることを特徴とする、請求項1に記載された鉛蓄電池用正極集電体
  6. 前記チタン又は前記チタン合金のXRDパターンにおいて、強度の大きな順にピークを4つ選択したときの当該4つのピークの強度の合計値が、すべてのピークの強度の合計値に対して85%以上であることを特徴とする、請求項1、又は5に記載された鉛蓄電池用正極集電体
  7. 請求項1、5又は6に記載された正極集電体を備えた鉛蓄電池。
  8. 正極集電体を備えた鉛蓄電池の製造方法において、
    前記正極集電体の製造方法が、請求項2、3又は4に記載された製造方法である。
  9. 正極集電体を備えた鉛蓄電池を搭載した無停電電源装置の製造方法において、
    前記正極集電体の製造方法が、請求項2、3又は4に記載された製造方法である。
  10. 請求項7に記載された正極集電体を備えた鉛蓄電池を搭載した無停電電源装置。
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