JP4145061B2 - リチウム二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リチウム二次電池用電極の製造方法に関し、より特定的には、集電体上に活物質層を形成するリチウム二次電池用電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、盛んに研究開発が行われているリチウム二次電池は、用いる電極によって、充放電特性、充放電サイクル特性および保存特性などの電池特性が大きく左右される。このため、電極に用いる活物質を改善することにより、電池特性の改善および向上が図られている。従来のリチウム二次電池の正極には、LiCoO2が用いられている。従来のリチウム二次電池用正極であるLiCoO2は、導電性が十分でなく、かつ、集電体に接着させる必要がある。このため、従来では、LiCoO2の粉体に導電材および結着材を加えたものを集電体上に塗布することによって、集電体上にLiCoO2を含む正極活物質層を形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のリチウム二次電池の正極では、導電材や結着材などの充放電に寄与しない材料が正極に含まれるため、正極の重量あたりまたは体積あたりのエネルギ密度が低下してしまうという問題点があった。
【0004】
そこで、本願発明者らは、特願2002−008120号において、スパッタリング法を用いて集電体上にLi−Co−O層を形成する方法を提案している。このように、スパッタリング法を用いて集電体上にLi−Co−O層を形成することにより、導電材・結着材を含まないエネルギ密度のより高いリチウム二次電池用正極を形成することが可能になった。また、スパッタリング法を用いて集電体上にLi−Co−O層を形成することにより、LiCoO2の粉体塗布による場合とほぼ同等の充放電サイクル特性を得ることができた。
【0005】
その一方、従来では、充放電サイクル特性のさらなる向上が求められている。しかし、充放電サイクル特性をより向上するのは困難であった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、スパッタリング法を用いてLi−Co−O層を含む正極活物質層を形成する場合に、充放電サイクル特性をより向上することが可能なリチウム二次電池用電極の製造方法を提供することである。
【0007】
この発明のもう1つの目的は、上記のリチウム二次電池用電極の製造方法において、集電体と正極活物質層との密着性をより向上させることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、集電体の電位が実質的に負電位になるように集電体に電圧を印加した状態で、スパッタリング法を用いて、正イオンになる元素を含む雰囲気下で、集電体上に、Li−Co−O層を含む正極活物質層を形成する工程を備え、集電体には、−50V以上−10V以下の負電位が印加される。
【0009】
この一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法では、上記のように、集電体の電位が実質的に負電位になるように集電体に電圧を印加した状態で、スパッタリング法を用いて、正イオンになる元素を含む雰囲気下で、集電体上に、Li−Co−O層を含む正極活物質層を形成することによって、スパッタ時に正イオンになる元素が、通常より負電位に帯電した集電体に強く引き寄せられるので、この正イオンになる元素を、スパッタリングにより形成されるLi−Co−O層に強く衝突させることができる。このように、正イオンになる元素が衝突することにより、通常のスパッタリングよりも多くのエネルギが加えられた状態でLi−Co−O層からなる正極活物質層が形成されるので、スパッタ時に集電体に負電位を印加しないで形成された従来のLi−Co−O層と異なる結晶性(結晶状態)を有するLi−Co−O層を形成することができる。本願発明者らは、この従来と異なる結晶性(結晶状態)を有するLi−Co−O層からなる正極活物質層を含む電極が、優れた充放電サイクル特性を有することを見出した。また、スパッタ時に正イオンになる元素が集電体の表面にも強く衝突するので、集電体の表面温度が上昇する。これにより、集電体材料の正極活物質層への拡散が促進されると考えられるので、正極活物質層と集電体材料との密着性をより向上させることができると考えられる。これによっても、充放電サイクル特性を向上させることができると考えられる。
【0010】
上記一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、正イオンになる元素は、Arを含む。Arを含む雰囲気を用いて集電体に負電位を印加すれば、充放電サイクル特性を向上することができることが実験により確認されているので、Arを用いれば、確実に充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0012】
上記のリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、集電体は、Alを含む。このように集電体として、安価で、かつ、電解液中に溶出しにくいAlを用いれば、良好な電池特性を得ることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0013】
上記のリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、正極活物質層を形成した後、正極活物質を650℃以下の温度で熱処理する工程をさらに備える。このように、正極活物質をAlの融点(660.5℃)よりも低い650℃以下の温度で熱処理することによって、正極活物質の結晶性を向上させることができるとともに、集電体として、安価で、かつ、電解液中に溶出しにくいAlを用いることができる。
【0014】
【実施例】
まず、本発明のリチウム二次電池用電極の製造方法の実施例を説明する前に、実施例で用いたスパッタ装置について説明する。図1は、本発明の実施例で用いたスパッタ装置の全体構成を示した概略図である。このスパッタ装置1は、図1に示すように、チャンバ2と、平板3と、カソード4と、バッキングプレート5とを備えている。カソード4には、RF電源6が接続されている。カソード4上に固定されたバッキングプレート5は、平板3と対向するように配置されている。バッキングプレート5上には、ターゲット9が固定される。平板3上には、試料となる集電体8が固定される。また、平板3には、スパッタ時に平板3を介して集電体8に負電位を印加するためのRF電源7が接続されている。
【0015】
上記したスパッタ装置1を用いて、以下の実施例1〜3による電極a1〜a3および比較例1による電極b1を作製した。
【0016】
(実施例1)
まず、実施例1の電極a1の集電体8として、20μmの厚みを有する圧延Al箔を準備した。そして、以下の表1に示す成膜条件でスパッタリングを行うことによって、集電体8上に、Li−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。
【0017】
【表1】
Figure 0004145061
具体的な作製プロセスとしては、図1に示したスパッタ装置1のバッキングプレート5上に、LiCoO2からなる円形状(直径;10.16cm(4インチ),厚み;5mm)のターゲット9を固定するとともに、平板3に、上記した圧延Al箔からなる集電体8を固定した。この状態で、上記表1に示した条件下で、集電体8の表面上に、Li−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。すなわち、RF電源7により、平板3を介して−50V(RF電源7による印加電圧の平均値が−50V)の負電位を集電体8に印加した状態で、RF電源6のRF電力;350W(電力密度4.32W/cm2)、チャンバ2内のArガス流量;100sccm、ガス圧;0.10Pa、基板(集電体8)の温度;室温の条件下でスパッタリングを行った。これにより、集電体8上に、0.5μmの厚みを有するLi−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。なお、実施例1では、正極活物質層形成前の基板(集電体8)の前処理は行わなかった。
【0018】
次に、正極活物質層と集電体8とに対して、600℃の大気中で2時間のアニール処理(熱処理)を行った。
【0019】
最後に、上記のように形成した正極活物質層と集電体8とを、2cm×2cmの大きさに切断することによって、実施例1の電極a1を作製した。
【0020】
(実施例2)
実施例2の電極a2の集電体8として、実施例1と同様、約20μmの厚みを有する圧延Al箔を準備した。そして、以下の表2に示す成膜条件でスパッタリングを行うことによって、集電体8上に、Li−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。なお、この実施例2では、実施例1と異なり、スパッタ時に、−10Vの負電位を集電体8に印加した。
【0021】
【表2】
Figure 0004145061
具体的な作製プロセスとしては、図1に示したスパッタ装置1のバッキングプレート5上に、LiCoO2からなる円形状(直径;10.16cm,厚み;5mm)のターゲット9を固定するとともに、平板3上に、上記した圧延Al箔からなる集電体8を固定した。この状態で、上記表2に示した条件下で、集電体8の表面上に、Li−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。すなわち、RF電源7により平板3を介して−10V(RF電源7による印加電圧の平均値が−10V)の負電位を集電体8に印加した状態で、RF電源6のRF電力;350W(電力密度4.32W/cm2)、チャンバ2内のArガス流量;100sccm、ガス圧;0.10Pa、基板(集電体8)の温度;室温の条件下でスパッタリングを行った。これにより、集電体8上に、2.3μmの厚みを有するLi−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。なお、実施例2では、正極活物質層形成前の基板(集電体8)の前処理は行わなかった。
【0022】
次に、正極活物質層と集電体8とに対して、600℃の大気中で2時間のアニール処理(熱処理)を行った。
【0023】
最後に、上記のように形成した正極活物質層と集電体8とを2cm×2cmの大きさに切断することによって、実施例2の電極a2を作製した。
【0024】
参考例3)
参考例3の電極a3の集電体8として、実施例1と同様、約20μmの厚みを有する圧延Al箔を準備した。そして、以下の表3に示す成膜条件で、スパッタリングを行った。なお、この参考例3では、スパッタ時に、−200Vの負電位を集電体8に印加した。
【0025】
【表3】
Figure 0004145061
具体的な作製プロセスとしては、図1に示したスパッタ装置1のバッキングプレート5上に、LiCoOからなる円形状(直径;10.16cm,厚み;5mm)のターゲット9を固定するとともに、平板3上に、上記した圧延Al箔からなる集電体8を固定した。この状態で、上記表3に示した条件下で、スパッタリングを行った。すなわち、RF電源7により平板3を介して−200Vの負電位(RF電源7による印加電圧の平均値が−200V)を集電体8に印加した状態で、RF電源6のRF電力;350W(電力密度4.32W/cm)、チャンバ2内のArガス流量;100sccm、ガス圧;0.10Pa、基板(集電体8)の温度;室温の条件下でスパッタリングを行った。この場合、集電体8上に、Li−Co−O層からなる正極活物質層は形成されなかった。なお、参考例3では、正極活物質層形成前の基板(集電体8)の前処理は行わなかった。また、参考例3では、正極活物質層が形成されなかったので、スパッタリング工程以降の電極作製プロセスは行わなかった。このため、後述する電池の作製および評価試験も行っていない。
【0026】
(比較例1)
まず、比較例1の電極b1の集電体8として、実施例1と同様、約20μmの厚みを有する圧延Al箔を準備した。そして、以下の表4に示す成膜条件でスパッタリングを行うことによって、集電体8上に、Li−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。なお、比較例1では、実施例1、実施例2および参考例3と異なり、スパッタ時に負電位を集電体8に印加していない。比較例1のその他の作製プロセスは、実施例1と同様である。
【0027】
【表4】
Figure 0004145061
具体的な作製プロセスとしては、図1に示したスパッタ装置1のバッキングプレート5上に、LiCoO2からなる円形状(直径;10.16cm,厚み;5mm)のターゲット9を固定するとともに、平板3上に、上記した圧延Al箔からなる集電体8を固定した。この状態で、上記表4に示した条件下で、集電体8の表面上に、Li−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。すなわち、RF電源6のRF電力;350W(電力密度4.32W/cm2)、チャンバ2内のArガス流量;100sccm、ガス圧;0.10Pa、基板(集電体8)の温度;室温の条件下でスパッタリングを行った。これにより、集電体8上に、0.5μmの厚みを有するLi−Co−O層からなる正極活物質層を形成した。なお、比較例1では、正極活物質層形成前の基板(集電体8)の前処理は行わなかった。
【0028】
次に、正極活物質層と集電体8とに対して、600℃の大気中で2時間のアニール処理を行った。
【0029】
最後に、上記のように形成した正極活物質層と集電体8とを、2cm×2cmの大きさに切断することによって、比較例1の電極b1を作製した。
【0030】
[電池(三極式セル)の作製]
上記した実施例1および2による電極a1およびa2と、比較例1による電極b1とを用いて電池(三極式セル)を作製した。図2は、本発明の実施例1および2による電極a1およびa2と、比較例1による電極b1との充放電サイクル特性を評価するために作製した電池(三極式セル)の全体構成を示した概略図である。電池(三極式セル)10は、ビーカーセル11と、電解液12と、対極(負極)13と、作用極(正極)14と、参照極15とから構成されている。電解液12は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの等体積混合溶媒にLiPF6を1モル/リットル溶解することによって作製した。対極(負極)13および参照極15にはリチウム金属からなる電極を使用した。また、作用極(正極)14には、上記実施例1、2および比較例1で作製した電極(正極)a1、a2および電極b1をそれぞれ使用した。
【0031】
[充放電サイクル特性評価試験]
上記した電池(三極式セル)10を用いて、実施例1および2による電極a1およびa2と、比較例1による電極b1との充放電サイクル特性評価試験を行った。具体的な実験方法は次の通りである。まず、25℃の温度条件下で、0.1mAの定電流充電によって、参照極15を基準電位とする作用極14の電位が4.2Vになるまで充電した。その後、0.1mAの定電流放電によって、参照極15を基準電位とする作用極14の電位が2.5Vになるまで放電を行った。これを1サイクルとして、10サイクル目(電極b1では7サイクル目)までの充放電サイクル特性評価試験を行った。これにより、10サイクル目(電極b1では7サイクル目)までの放電容量と充放電効率とを測定した。また、この測定結果を用いて、10サイクル目(電極b1では7サイクル目)の容量維持率を算出した。なお、1サイクル目の充放電効率、10サイクル目の充放電効率、および、nサイクル目(1≦n≦10)の容量維持率はそれぞれ以下の式で定義される。
【0032】
1サイクル目の充放電効率(%)=〔1サイクル目の放電容量(mAh/g)〕/〔1サイクル目の充電容量(mAh/g)〕×100
10サイクル目の充放電効率(%)=〔10サイクル目の放電容量(mAh/g)〕/〔10サイクル目の充電容量(mAh/g)〕×100
nサイクル目の容量維持率(%)=〔nサイクル目の放電容量(mAh/g)〕/〔1サイクル目の放電容量(mAh/g)〕×100(1≦n≦10)
このようにして測定された実験結果を以下の表5に示す。なお、比較例1による電極b1では、容量維持率が7サイクル目に大きく低下したので、7サイクル目で実験を中断した。このため、比較例1による電極b1に関しては、7サイクル目の実験結果を10サイクル目の実験結果の欄に記入している。
【0033】
【表5】
Figure 0004145061
上記表5を参照して、本発明の実施例1および実施例2による電極a1および電極a2の10サイクル目の放電容量、充放電効率および容量維持率は、従来の比較例1による電極b1の7サイクル目の放電容量、充放電効率および容量維持率よりも大きいことがわかった。具体的には、従来の比較例1による電極b1では、7サイクル目の放電容量が86mAh/g、7サイクル目の充放電効率が56.0%にまで低下したのに対し、本発明の実施例1および実施例2による電極a1および電極a2では、10サイクル目の放電容量が約130mAh/g、10サイクル目の充放電効率がほぼ100%となった。また、容量維持率に関しても、従来の比較例1による電極b1では、7サイクル目の容量維持率が52.4%にまで低下したのに対し、本発明の実施例1による電極a1では、10サイクル目の容量維持率が76.0%となり、実施例2による電極a2では、10サイクル目の容量維持率が84.6%となった。
【0034】
また、上記した充放電サイクル特性評価試験結果を用いて、実施例1および2による電極a1およびa2と、比較例1による電極b1との10サイクル目までの容量維持率(電極b1については7サイクル目まで)を算出した。図3は、実施例1および2による電極a1およびa2と、比較例1による電極b1との10サイクル目までの容量維持率(電極b1については7サイクル目まで)の変化を示した特性図である。図3を参照して、従来の比較例1による電極b1では、6サイクル目から7サイクル目で容量維持率は大きく低下したのに対し、本発明の実施例1による電極a1および実施例2による電極a2では、10サイクル目でも容量維持率は大きく低下しなかった。
【0035】
[X線回折法による組成分析]
実施例1による電極a1および比較例1による電極b1の正極活物質層を、CuKα線を用いたX線回折法により評価した。図4は、本発明の実施例1による電極a1の正極活物質層のX線回折法による測定結果を示した特性図である。図5は、従来の比較例1による電極b1の正極活物質層のX線回折法による測定結果を示した特性図である。
【0036】
図4および図5を参照して、従来の比較例1による電極b1では、2θ=65.9°付近に、正極活物質層のLi−Co−O層のものと思われる明瞭なピークが検出された。これに対して、本発明の実施例1による電極a1では、2θ=65.9°付近のピークは検出されなかった。これにより、本発明の実施例1による電極a1のLi−Co−O層からなる正極活物質層は、従来の比較例1による電極b1のLi−Co−O層からなる正極活物質層とは異なる結晶性(結晶状態)を有していることが判明した。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、実施例1による電極a1では、集電体8に−50Vの電圧を印加した状態で、スパッタリングを行うことによって、図1に示したように、スパッタ時に正イオンになるAr元素が、通常より負電位に帯電した集電体8に強く引き寄せられる。これにより、Ar元素が、スパッタリングにより形成されるLi−Co−O層に衝突するので、通常のスパッタ時よりも多くのエネルギが加えられた状態でLi−Co−O層からなる正極活物質層が形成される。その結果、実施例1によるLi−Co−O層からなる正極活物質層は、従来の比較例1による電極b1の正極活物質層に比べて、より安定な結晶状態になっていると考えられる。
【0037】
また、実施例1および実施例2では、上記したように、スパッタ時に正イオンになるAr元素が集電体8の表面にも強く衝突するので、集電体8の表面温度が上昇する。これにより、集電体8の表面付近の材料の正極活物質層への拡散が促進されると考えられるので、正極活物質層と集電体8との密着性をより向上させることができると考えられる。これによっても、充放電サイクル特性を向上させることができると考えられる。
【0038】
また、実施例1および実施例2では、上記したように、650℃以下(600℃)の熱処理により、電極a1および電極a2の充放電サイクル特性を向上させることができるので、集電体8として、安価で、かつ、電解液中に溶出しにくいAl(融点:660.5℃)を用いることができる。これにより、良好な電池特性を有するリチウム二次電池用電極を得ることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0039】
なお、参考例3では、上記したように、正極活物質層を形成することができなかった。これは、集電体8に大きな負の電圧(−200V)を加えたことによって、スパッタ時に正イオンになるAr元素が、集電体8上のLi−Co−O層に激しく衝突したため、集電体8上のLi−Co−O層がスパッタされる逆スパッタ現象が起こったためであると考えられる。本願発明者らの検討によると、スパッタ時に集電体8に印加される負電位は−100V以上−10V以下の範囲内であるのが好ましいと考えられる。
【0040】
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
たとえば、上記実施例では、スパッタ時に正イオンになる元素としてArガスを用いたが、本発明はこれに限らず、他の元素からなるガスを用いてもよい。たとえば、He、NeまたはKrなどの他の希ガス元素からなるガスを用いてもよい。さらに、希ガス以外のスパッタ時に正イオンになる元素を用いてもよい。
【0042】
また、上記実施例では、スパッタ時の集電体8に、RF電源7を用いて集電体8に負電位を印加したが、本発明はこれに限らず、RF電源以外の電源を用いて負電位を印加してもよい。たとえば、DCパルス電源を用いてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、Alからなる集電体8を用いたが、本発明はこれに限らず、他の材料からなる集電体8を用いてもよい。たとえば、Al合金からなる集電体8を用いてもよい。
【0044】
また、上記実施例では、集電体8に正極活物質を形成した後、600℃の大気中でアニール処理(熱処理)を行ったが、本発明はこれに限らず、アニール温度は集電体8として用いたAlの融点(660.5℃)以下の温度であればよい。なお、アニール処理による効果を得るためには、400℃以上の温度で行うのが好ましい。また、大気以外の雰囲気中でアニール処理を行っても同様の効果を得ることができる。たとえば、真空中または酸素雰囲気中で行ってもよい。
【0045】
なお、上記実施例では、集電体8上にスパッタリングにより正極活物質層を形成したが、スパッタ時にイオンビームなどを集電体8に照射することによって、正極活物質層の結晶構造を乱すようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、スパッタリング法を用いてLi−Co−O層を含む正極活物質層を形成する場合に、充放電サイクル特性をより向上することが可能なリチウム二次電池用電極の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いたスパッタ装置の全体構成を示した概略図である。
【図2】本発明の実施例1および2による電極a1およびa2と、比較例1による電極b1との充放電サイクル特性を評価するために作製した電池(三極式セル)の全体構成を示した概略図である。
【図3】実施例1および2による電極a1およびa2と、比較例1による電極b1との10サイクル目までの容量維持率(電極b1については7サイクル目まで)の変化を示した特性図である。
【図4】本発明の実施例1による電極a1の正極活物質層のX線回折法による測定結果を示した特性図である。
【図5】従来の比較例1による電極b1の正極活物質層のX線回折法による測定結果を示した特性図である。
【符号の説明】
7 RF電源
8 集電体

Claims (4)

  1. 集電体の電位が実質的に負電位になるように前記集電体に電圧を印加した状態で、スパッタリング法を用いて、正イオンになる元素を含む雰囲気下で、前記集電体上に、Li−Co−O層を含む正極活物質層を形成する工程を備え
    前記集電体には、−50V以上−10V以下の負電位が印加される、リチウム二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記正イオンになる元素は、Arを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記集電体は、Alを含む、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極。
  4. 前記正極活物質層を形成した後、前記正極活物質を650℃以下の温度で熱処理する工程をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
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CN102942510B (zh) * 2012-12-06 2014-08-27 科迈化工股份有限公司 一种4,4′-二羟基二苯砜的制备方法

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