JP5303228B2 - Yag多結晶基板の研磨方法 - Google Patents

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この発明はYAG多結晶体基板およびその研磨方法に関するものである。
Al12(YAG)はその優れた耐薬品性、耐プラズマ性、良好な透明性などから半導体用途や光学的用途などに使用されている。また、YAGにNdやYbなどのランタノイド系やCr,Tiの元素を添加したものはレーザ媒体や光学素子として使用することができる。
従来、YAGは単結晶YAGが幅広い分野で使用されているが、多結晶YAGは研磨加工性などに問題があってこれを容易に利用することはできなかった。特に、光学分野で使用する場合は、多結晶YAGをキズの無いものに研磨加工しようとすると、単位結晶粒子ごとに5nm〜100nm程度の高低差ができるので表面が凹凸になるといった問題があった。また、多結晶体の場合には結晶粒界が選択的に加工されて、粒界に沿って凹んだ部分が発生するなどの問題が生じていた。特に、不純物の量が多い多結晶体は粒界に不純物を含んだ相が集合するので、粒界が著しく加工されてしまう傾向がある。また、多結晶体中に含まれる気孔(泡)が多いと平滑な面を得ることは難しいなどの問題があった。
こうしたことで、従来は平滑な多結晶YAGを得ることは難しかったが、反対に平滑な多結晶体YAGが得られるようになれば、それは光学的な分野などで幅広く用いることが出来る。また、多結晶体の特徴として、単結晶では作製が困難な大型の素材を作製できたり、単結晶では添加量が制限されるNdやYbのような元素を高濃度でかつ均質性に優れた素材を作製でき、高出力用のレーザ媒体としても期待されているので、平滑な多結晶体YAGが得られるようになることが求められていた。また、高純度で平滑な多結晶体YAGが得られるならば半導体分野で使用されるプラズマ処理装置用の部材としても、選択的にプラズマなどで腐食される部分が少なくなり従来品よりも劣化の少ない部材として利用することが可能であった。
単結晶YAGを光学的な分野などに使用する場合では、素材表面をキズのない平滑な面にするために、一般的にはダイヤモンドなどの硬い材質の砥粒で研磨した後に、コロイダルシリカなどの素材よりも軟らかく素材表面にメカノケミカル反応のような化学的作用を付与する砥粒を用いて研磨加工していた。このように化学的作用を付与した研磨加工を行うとダイヤモンド砥粒で研磨加工するときに発生するキズは無くなり、加工キズのない算術平均粗さRaが1nm未満の平滑な面を容易に得ることが可能である。
しかし、この方法は単結晶のように結晶方位が単一である面を研磨するときには有効な方法であるが、数μmから100μmの結晶粒子が集合して大きな面を構成している多結晶体では構成している結晶粒子の方位がそれぞれ異なるので、化学的作用を用いた研磨を行うと化学的な反応速度が結晶方位により異なるので、結晶粒子ごとに研磨速度に差が生じて結晶粒子単位ごとに面内に凹凸ができる。即ち、研磨した面に数μm〜100μmの結晶粒子単位ごとに凹になる箇所と凸となる箇所ができるので、面内にクレーター状の凹みが生じることになり、その高低差は結晶粒子間で100nm程度になることもあった。このために、多結晶体の研磨ではキズのない平滑面を得ることは困難であった。
多結晶体は原料をプレスなどで成形したのち焼結して作製されるが、多結晶体中の不純物は焼結により粒界に集合するので、不純物を含んだ異相が粒界部に生ずる。通常、不純物を含んだ相は構成相よりも化学的反応に敏感で硬度も軟らかいために研磨加工に際して選択的に除去されて粒界部に凹んだ部分が生じてしまい、粒界に沿って大きく凹んだキズが発生したり、円形状などの窪みが発生する。また、多結晶体中に気孔が多数あると、表面に数十μm程度の窪みが発生する原因となったり、選択的に加工されて多結晶体を構成している粒子の脱落などが発生しやすくなり、その粒子が面内を傷つけて、数十μm幅と大きなキズの原因となることもある。このように、多結晶体の研磨ではキズや窪み、結晶粒子単位ごとの高低差がなく算術平均粗さRaが1nm未満となる平滑な面を得ることが困難であった。
しかしながら、キズや窪み、結晶粒子単位ごとの段差が無く算術平均粗さが1nm未満の平滑な面状態で、さらに100nm未満の平坦度のある面とすることはYAG結晶体を光学分野で利用する場合には必要である。特に、ランタノイド系元素であるNdを添加したYAG多結晶体はレーザー媒質として利用される。
また、耐食性のあるYAG多結晶体は、プラズマ装置や高温処理装置などの反応容器の構成部材や窓などに利用でき、平滑であれば選択的に腐食される箇所がなくなり装置の高寿命化や、観察窓に使用した場合は反応の様子などを明確に観察撮影することが出来たりして光学的に高度な計測ができるものである。
多結晶体を研磨する先行技術としては、多結晶セラミックスよりも柔らかい砥粒と、この砥粒よりも硬い砥粒とからなる混合砥粒を押し付けてこれらを相対移動させる研磨方法が公知である(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−131662公報(特許請求の範囲、請求項2) また、SiO2,MgO,CeO2の中から選ばれる1種以上の砥粒を含有するとともにpHが2以上9未満に調整された研磨液を用いたメカノケミカル研磨法によって多結晶セラミックスを研磨する方法が公知である(例えば、特許文献2参照。)。 特開2003−117806公報(特許請求の範囲、請求項1)
しかしながら、この特許文献1および2の技術は、粒子単位の段差などは考慮されておらず、また表面粗さもnmオーダー以下の高精度ではなく光学的な分野で利用することができる多結晶体YAGを研磨する方法には適さないものであった。さらに微小な範囲の平滑性のみを考慮しており、基板全面の平坦性も考慮されていない。
この発明は、Y、Al、O以外の不純物濃度が元素換算して3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満で算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズと直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差が5nm以下の多結晶体基板を得ようとするものである。さらにYAG多結晶体基板全面の平坦度も100nm未満に容易に加工することができる。これによってYAG多結晶体を光学的用途で広く利用できるようにする。
この発明は、YAl12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、ブリネル硬度40以下の定盤と、研磨材としてアルミナまたはアルミナを主成分とした混合砥粒であってα−アルミナとダイヤモンドからなり、溶媒を除いたα−アルミナとダイヤモンドの重量比がα−アルミナ:ダイヤモンド=10−X:X(0≦X<5)である混合砥粒を用いて研磨して、算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下とするYAG多結晶体基板の研磨方法(請求項1)、YAl12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、ブリネル硬度40以下の定盤と、研磨材としてアルミナまたはアルミナを主成分とした混合砥粒であってα−アルミナとダイヤモンドからなり、溶媒を除いたα−アルミナとダイヤモンドの重量比がα−アルミナ:ダイヤモンド=10−X:X(0≦X<5)である混合砥粒を用いて研磨して、算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下とするYAG多結晶体基板の研磨方法(請求項2)、前記ブリネル硬度40以下の定盤が、銅または錫、或いはそれらを主成分とした合金さらにこれに樹脂を混合したものである請求項1または2記載のYAG多結晶体基板の研磨方法(請求項3)および前記ブリネル硬度40以下の定盤が、銅または錫、或いはそれらを主成分とした合金さらにこれに樹脂を混合したものである請求項1または2記載のYAG多結晶体基板の研磨方法(請求項4)である。
この発明によると、基板面の算術表面粗さRaが1nm未満でかつ5μm幅以上のキズと直径5μm以上の窪みが無く、構成している単位結晶粒子間の高低差が5nm以下で平坦度が100nm未満の多結晶体基板が得られる。従って、これらをプラズマ処理装置や高温処理装置などの反応容器の構成部材や窓などに使用することができ、その場合にキズや窪みがなく平滑でかつ高平坦度な基板なので、選択的に腐食される箇所がなくなるので装置の高寿命化や観察窓を通して反応の様子を明確に観察することができ光学的に高精度な計測が可能となるものである。またランタノイド系元素であるNdを添加したYAG多結晶体はレーザ媒質として利用することができる。
この発明のYAG多結晶体は、Y,Al,O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、多結晶体中の気孔体積量が100ppm未満とする。上記の不純物濃度が3000ppmを超えると粒界に生ずる異相量が多くなり、研磨加工すると粒界に沿って5μm幅以上の凹みが生ずる。また、粒界や粒内に残留した気孔体積量が100ppm以上になると、粒界部分に5μm幅以上のキズのような凹みが生じたり、気孔が選択的に加工されたりして窪みの径が大きくなり5μm幅以上になったり、5μm幅以上のキズが発生しやすくなったりする。
また、Y,Al,O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下で、多結晶体中の気孔体積量が100ppm未満の多結晶体を用いても、算術表面粗さRaを1nm未満でかつ5μm幅のキズと直径5μm以上の窪みが無いYAG多結晶体基板を研磨加工で得ることは困難である。つまり、細かい粒径のダイヤモンド砥粒で研磨すると、算術平均粗さRaが1nm未満になることはあるが、5〜10μm幅のキズが研磨面に残り、そのキズが消えることは無い。
そのために、ダイヤモンド研磨工程の後に、研磨材にアルミナ或いはアルミナとダイヤモンドの混合砥粒を用いて研磨する。しかしながら、アルミナの砥粒径が1μmよりも大きい場合は多結晶基板の表面粗さRaを1nm未満にしかつ5μm幅以上のキズを除去することは困難である。その理由はアルミナ粒径が1μmより大きくなると固層反応(メカノケミカル)よりもメカニカル(機械的)に面を加工する作用が強く働き表面のキズを除去するのには適しなくなると考えられるからである。粒径が1μm以下のアルミナはYAG多結晶体と固層反応(メカノケミカル)により研磨が進行するとともに、メカニカル的な効果の面でも研磨が行われるので5μm幅以上のキズを無くしながら結晶粒子単位の高低差も5nm以下の研磨面を得ることができると考えられる。また、アルミナはアルミナの中でも硬いα結晶であることが好ましい。γ−アルミナは、α−アルミナと比較するとメカニカル的な効果が弱いのでケミカル的な効果がより強く作用するため、結晶粒子単位の高低差が5nm以上に大きくなることがあるためである。
従来は、ダイヤモンド研磨工程の後にキズを除去する目的で、コロイダルシリカによる研磨が行われていたが、コロイダルシリカは結晶粒子単位の段差が発生してしまい良好な研磨は得られない。他の研磨砥粒、例えば酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムなどの研磨でも良好な面は得られなかった。しかるに、上記のアルミナ砥粒を用いると良好な面を得ることができる。
アルミナとダイヤモンドとの混合砥粒を用いる場合は、アルミナ砥粒量をダイヤモンド砥粒量よりも重量比で多いことが必要である。その比はアルミナ対ダイヤモンド比を、10−x:x(0≦x<5)とする。さらに良好な割合は3:2〜2:1の重量比で、この割合で混合したものを任意の溶媒に投入して使用する。溶媒は純水或いは純水中に分散剤やpH調整剤などを混入したものが用いられる。また、溶媒量は混合砥粒濃度が20重量%程度に調整したものがよいが、砥粒濃度は研磨速度を考慮して調整するとよい。
ダイヤモンド砥粒がアルミナ砥粒よりも重量比で多いと、砥粒径が小さいダイヤモンド砥粒を用いても面を傷つけるのでキズを除去することが困難であり、また粒径を小さくしすぎると研磨速度が著しく低下して、前加工で発生している加工キズを除去しきれないなどの問題があった。また、ダイヤモンド砥粒の粒径はアルミナ砥粒の粒径よりも小さいことが必要である。ダイヤモンド砥粒の粒径がアルミナ砥粒よりも大きいと、加工中にキズが発生する原因となる。良好な条件は、例えばアルミナ砥粒が1μmの場合にダイヤモンド砥粒の粒径が0.5μmである。研磨砥粒は、モース硬度8.5〜10の範囲に属する2種以上の組み合わせであることが好ましい。また、その硬度差はできるだけ開いている方が好ましい。
また、コロイダルシリカなどの砥粒を用いてキズを除去する場合は定盤にはスエード製のパッドやウレタン製のパッドを用いていた。しかし、これらのパッドは弾性変形するのでYAG多結晶体を研磨する際には結晶粒子単位の高低差を大きくする作用がある。また、これらのパットは弾性変形することにより、試料の端部が選択的に研磨されるので基板全面を100nm以下の高平坦度にすることが困難である。さらにパット自身も偏磨耗し易いので、短い期間で定盤面の平坦性が悪化し、高平坦度な研磨加工をするために必要な定盤の平坦性を維持管理することが難しい。
こうしたことで、この発明では定盤にブリネル硬度40以下の軟らかい金属を用いる。これらの金属のとしては銅、錫、これらを主成分とする合金で、またはこれらと樹脂の混合品でもよい。これらの定盤を用いて研磨すると弾性変形がほとんど起こらないので、YAG多結晶体の結晶粒子単位の段差が少なく、またキズや窪みがなくて、平坦度が100nm以下の面を容易に得ることが可能となるものである。
YAG多結晶体をレーザ媒体素子に使用する場合は、YAG結晶体中にランタノイド系元素或いはCr、Ti元素が1種以上添加されていることが必要である。これらの元素はYAG結晶中に固溶して存在させており、Siなどの不純物のように粒界集合して存在していないのでこの発明による研磨によっても良好な面を得ることが可能となりレーザ素子としても応用が可能となるものである。
(実施例1)
Si、Ca、K、Mg、Feなどの不純物の濃度が3000ppm以下、気孔体積量が100ppm以下のYAG多結晶体を15mm(縦)×15mm(横)×3mm(厚さ)の形状に加工した。これを錫合金製の定盤(エンギス社製)と0.5μmのダイヤモンド砥粒で片面研磨機(エンギス社製)を用いて研磨してYAG多結晶体基板を得た。この試料中心部の690μm×520μm四角形の範囲を走査型白色干渉顕微鏡(ザイゴ社製)で評価したところ、算術平均粗さRaは1.2nmで表面に幅10μm程度のキズが数多く確認された。
次いで、表面のキズを除去し表面粗さも良好にするために定盤に錫合金、研磨材に粒径0.8μmのアルミナを用いて研磨した。同様に、表面の状態と算術平均粗さを走査型白色干渉顕微鏡で、平坦度の測定はレーザ干渉計(フジノン社製)により測定した。その結果、算術平均粗さRaは0.62nmで、結晶粒子単位の段差は5nm以下で5μm幅のキズや直径5μm以上の窪みも無く平坦度も85nmと良好な面状態のYAG多結晶体基板を得た。
(比較例1)
実施例1で用いたのと同じYAG多結晶体基板を、定盤にスエード製パット((株)フジミインコーポレティド製品)を用い、研磨材にコロイダルシリカを用いて研磨した。加工面の評価は実施例1と同様にした。その結果、YAG多結晶体基板の面は、結晶粒子単位の高低差が80nmと大きな凹凸ができ、平坦度も800nmを超えるものであった。
(比較例2)
実施例1で用いたのと同じYAG多結晶体基板を、定盤にスエード製パット((株)フジミインコーポレティド製品)を用い、研磨材にアルミナ用いて研磨した。加工面の評価は実施例1と同様にした。その結果、YAG多結晶体基板の面は、結晶粒子単位の高低差が50nmと大きな凹凸ができ、平坦度も800nmを超えるものであった。
(比較例3)
実施例1で用いたのと同じYAG多結晶体基板を、定盤に錫合金を用い、研磨材にコロイダルシリカを用いて研磨した。加工面の評価は実施例1と同様にした。その結果、YAG多結晶体基板の面は、結晶粒子単位の高低差が42nmと依然として大きな凹凸ができ、平坦度も90nmであった。
(比較例4)
Si、Ca、K、Mg、Feなどの不純物の濃度が4000ppmであること以外は、実施例1で用いたのと同じYAG多結晶体基板を、定盤に錫合金を用い、研磨材にアルミナを用いて研磨した。加工面の評価は実施例1と同様にした。その結果、YAG多結晶体基板の面は、結晶粒子単位の高低差が5nm、平坦度は84nmであったが、5μm幅以上のキズや直径5μm以上の窪みが粒界部分にできた。
(比較例5)
気孔体積量が500ppmであること以外は、実施例1で用いたのと同じYAG多結晶体基板を、定盤に錫合金を用い、研磨材にアルミナを用いて研磨した。加工面の評価は実施例1と同様にした。その結果、YAG多結晶体基板の面は、結晶粒子単位の高低差は5nm、平坦度は87nmであったが、5μm幅以上のキズや直径5μm以上の窪みがあった。これらの結果を表1にまとめて示した。
Figure 0005303228
(実施例2)
実施例1と同様の15mm(縦)×15mm(横)×3mm(厚さ)のYAG多結晶体を用意した。これを定盤に錫合金、研磨材にアルミナとダイヤモンドの混合砥粒を用いて研磨した。この場合混合砥粒の濃度は純水により20%に調整した。アルミナ砥粒の粒径は0.8μm、ダイヤモンド砥粒の粒径は0.5μm、アルミナ:ダイヤモンドの重量比は2対1とした。このYAG多結晶体基板の面には、粒界部分の凹みや窪み、5μm幅以上のキズはなかった。また算術表面粗さRaは0.53nm、平坦度は60nmであった。
(実施例3)
実施例2と同様のサイズのYAG多結晶体を、実施例2と同じ定盤と混合砥粒を用いて実施例2と同じようにして研磨した。しかし、この場合はアルミナ:ダイヤモンドの重量比は9対1とした。このYAG多結晶体基板の面には、粒界部分の凹みや窪み、5μm幅以上のキズはなかった。算術表面粗さRaは0.48nm、平坦度は60nmであった。
(比較例6)
実施例2と同様のサイズのYAG多結晶体を、実施例2と同じ定盤と混合砥粒を用いて実施例2と同じようにして研磨した。しかし、この場合はアルミナ:ダイヤモンドの重量比は1対1とした。このYAG多結晶体基板の面には5μm幅以上のキズがあった。
(比較例7)
実施例2と同様のサイズのYAG多結晶体を、実施例2と同じ定盤と混合砥粒を用いて実施例2と同じようにして研磨した。しかし、この場合はアルミナ砥粒の粒径は0.5μm、ダイヤモンド砥粒の粒径は1μmでダイヤモンド砥粒の粒径の方がアルミナ砥粒の粒径よりも大きかった。またアルミナ砥粒:ダイヤモンド砥粒の重量比は9対1とした。このYAG多結晶体基板の面には、5μm幅以上のキズがあった。
(比較例8)
実施例2と同様のサイズのYAG多結晶体を、アルミナ砥粒だけの砥粒を用いて実施例2と同じようにして研磨した。この場合はアルミナ砥粒の粒径は1.5μmとした。このYAG多結晶体基板の面には、5μm幅以上のキズがあった。
これらの結果を表2にまとめて示した。
Figure 0005303228
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]YAl12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下としたYAG多結晶体基板。
[2]前記YAG多結晶体が、ランタノイド系元素またはCr,Ti元素が1種以上添加されていて、かつランタノイド系元素またはCr,Ti元素を除く不純物が3000ppm以下である[1]記載のYAG多結晶体基板。
[3]前記YAG多結晶体基板面の平坦度が100nm未満である[1]記載のYAG多結晶体基板。
[4]YAl12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、ブリネル硬度40以下の定盤と、研磨材としてアルミナまたはアルミナを主成分とした混合砥粒を用いて研磨して算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下とするYAG多結晶体基板の研磨方法。
[5]前記ブリネル硬度40以下の定盤が、銅または錫、或いはそれらを主成分とした合金さらにこれに樹脂を混合したものである[4]記載のYAG多結晶体基板の研磨方法。
[6]前記アルミナの粒子径が1μm以下である[4]記載のYAG多結晶体基板の研磨方法。
[7]前記アルミナを主成分とする混合砥粒が、α−アルミナとダイヤモンドからなり、溶媒を除いたα−アルミナとダイヤモンドの重量比がα−アルミナ:ダイヤモンド=10−X:X(0≦X<5)である[4]記載のYAG多結晶体基板の研磨方法。
[8]前記アルミナを主成分とする混合砥粒が、α−アルミナとダイヤモンドからなり、α−アルミナの平均粒径(Xμm)とダイヤモンド砥粒の平均粒径(Yμm)の関係がXμm>Yμmであり、α−アルミナ砥粒の平均粒子径が1μm以下である[4]記載のYAG多結晶体基板の研磨方法。

Claims (4)

  1. Al12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、ブリネル硬度40以下の定盤と、研磨材としてアルミナまたはアルミナを主成分とした混合砥粒であってα−アルミナとダイヤモンドからなり、溶媒を除いたα−アルミナとダイヤモンドの重量比がα−アルミナ:ダイヤモンド=10−X:X(0≦X<5)である混合砥粒を用いて研磨して、算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下とするYAG多結晶体基板の研磨方法。
  2. Al12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、ブリネル硬度40以下の定盤と、研磨材としてアルミナまたはアルミナを主成分とした混合砥粒であってα−アルミナとダイヤモンドからなり、溶媒を除いたα−アルミナとダイヤモンドの重量比がα−アルミナ:ダイヤモンド=10−X:X(0≦X<5)である混合砥粒を用いて研磨して、算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下とするYAG多結晶体基板の研磨方法。
  3. 前記ブリネル硬度40以下の定盤が、銅または錫、或いはそれらを主成分とした合金さらにこれに樹脂を混合したものである請求項1または2記載のYAG多結晶体基板の研磨方法。
  4. 前記アルミナの粒子径が1μm以下である請求項1または2記載のYAG多結晶体基板の研磨方法。
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