JP2000354966A - 研磨用成形体及びそれを用いた研磨用定盤 - Google Patents

研磨用成形体及びそれを用いた研磨用定盤

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JP2000354966A
JP2000354966A JP2000106708A JP2000106708A JP2000354966A JP 2000354966 A JP2000354966 A JP 2000354966A JP 2000106708 A JP2000106708 A JP 2000106708A JP 2000106708 A JP2000106708 A JP 2000106708A JP 2000354966 A JP2000354966 A JP 2000354966A
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Toshihito Kuramochi
豪人 倉持
Shuji Takato
修二 高東
Yoshitaka Kubota
吉孝 窪田
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】廃液の問題を軽減し、従来の研磨布を用いた方
法と同程度以上の研磨仕上げで、被研磨材料を一層効率
よく研磨でき、殊に被研磨材料としてビッカース硬度が
650kg/mm2以上の硬い材料に対しても有効に研
磨できる研磨用成形体及びそれを用いた研磨用定盤を提
供する。 【解決の手段】主としてジルコニア成分からなり、かさ
密度が0.5〜5.2g/cm3、BET比表面積が
0.1〜100m2/g、かつ平均粒子径が0.005
〜50μmである研磨用成形体それを用いた研磨用定盤
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンウエハ、
酸化物基板、化合物半導体基板、ガラス基板、セラミッ
クス基板等の基板材料や光学材料などを研磨する加工プ
ロセスや化学的機械的研磨(Chemical Mec
hanical Polishing、以下「CMP」
という)プロセスで使用される研磨用成形体及びそれを
用いた研磨用定盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学、エレクトロニクスなどの産業の進
展に伴い、磁気ディスク、半導体基板、単結晶材料、光
学材料等の加工に対する要求は非常に厳しくなってきて
おり、電子関係部品の仕上げ加工では材料表面を研磨加
工して表面を平滑、平坦にする必要があった。このた
め、従来より、材料表面に遊離砥粒を含有した研磨液を
連続的に流しながら不織布タイプやスウェードタイプ等
のポリッシングパッド(研磨布)で磨くという研磨処理
が行われており、この際に使用される遊離砥粒として
は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸
化ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、
炭化ケイ素などが用いられていた。
【0003】しかしながら、このような遊離砥粒を用い
た方法により研磨処理すると、用いられる研磨布の表面
が柔らかいために研磨対象の材料(以下、「被研磨材
料」という)の端部などが研磨中に研磨され過ぎ、被研
磨材料の全面を一様に研磨できないという欠点があっ
た。
【0004】また、研磨布を用いた従来の研磨方法で
は、遊離砥粒を含まない研磨液、例えばpHを調整した
水等を用いることがほとんどの場合でできないために、
遊離砥粒を含む研磨液を大量に使用する必要があり、そ
の結果、遊離砥粒を大量に含有する研磨廃液が生じ、そ
の処理等については研磨処理の効率、廃液処理の設備
面、環境への影響を考慮すると改善されるべきものであ
った。
【0005】このような課題に対し、例えば特開平4−
256581号公報には砥粒粒子を合成樹脂で結合した
合成砥石を研磨用として用いる固定方式の研磨方法が提
案されている。これによれば、合成砥石を用いるために
研磨布を用いた従来の研磨方法で生じていた被研磨材料
の全面を一様に研磨できないという課題に対して効果的
であることが示されている。
【0006】しかしながら、このような砥石では結合剤
として使用している合成樹脂の樹脂分が研磨に携わる面
にも存在するためにいわゆる目詰まりと同じ状況を発生
しやすく、研磨効率、生産性が低くなってしまってい
た。また、結合剤に合成樹脂を使用しているため、研磨
加工条件に依っては研磨加工プロセスでの被研磨材料へ
の合成砥石からの不純物混入の影響も懸念されていた。
【0007】そこで、本発明者らは、例えば特開平10
−264015号公報に開示されるように、研磨砥粒で
あるシリカを主成分とする研磨用成形体が研磨加工プロ
セスに適用できることを見い出し、前記課題を解決する
べく検討し、その結果、以下の知見を見い出した。
【0008】1)研磨用成形体の弾性率が研磨布と比較
して大きいため、被研磨材料の端部等の角が研磨中に研
磨され過ぎることが非常に少なくなり、被研磨材料の全
面を一様に研磨することができる。
【0009】2)研磨に携さわる研磨用成形体の表面
が、その原料であるシリカ粉末により粗面となっていて
シリカ粒子間に多数の細孔が存在するため、研磨加工に
おけるいわゆる目詰まりの発生を抑制することができ
る。
【0010】3)研磨用成形体に樹脂分を含まないので
研磨加工プロセスにおいても耐熱性、耐薬品性、耐水性
等があり、そのため研磨液をその沸点付近の温度までの
範囲で使用することやその種類等を適宜選択して最適な
研磨加工プロセスとすることで、研磨効率を高めること
ができる。
【0011】4)研磨用成形体が砥粒として用いられる
シリカから構成されており、研磨加工プロセスにおい
て、研磨用成形体に起因する被研磨材料への不純物の影
響を抑制することができる。
【0012】5)研磨された被研磨材料の仕上がりが従
来の研磨布を用いた方法と同程度であり、研磨速度の面
でも同等以上であって、さらに研磨加工中においても研
磨性能の経時的な劣化が少ない。
【0013】6)研磨に携さわる研磨用成形体の表面
が、その原料であるシリカ粉末により粗面となってお
り、これと被研磨材料とが直接接触するために、遊離砥
粒を含まない研磨液を使用して基板材料等の研磨加工プ
ロセスへの適用も可能となる。
【0014】7)たとえ遊離砥粒を含有する研磨剤、例
えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、
酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、酸化鉄、酸化クロム、炭化ケイ素等の1種
あるいはそれらの混合物など通常用いられているものを
用いた場合でも、従来の研磨布を用いた方法よりも希薄
な遊離砥粒濃度で十分に速い研磨速度となる。
【0015】このように本発明者らが特開平10−26
4015号公報に開示された研磨用成形体はシリコンウ
エハ、酸化物基板、化合物半導体基板、ガラス基板、セ
ラミックス基板等の基板材料や光学材料などを研磨する
加工プロセスやCMPプロセスに対して非常に好適なも
のであるが、被研磨材料が硬質になるほど研磨速度が小
さくなる傾向があり、特にビッカース硬度が650kg
/mm2以上の硬い材料に対しては研磨速度を高めるこ
とのできる研磨用成形体が望まれていた。
【0016】また、特開平10−337669号公報に
は無機砥粒を焼成して得られる砥石が開示されている。
本公報では、砥石を構成する材質や粒径、気孔率、吸水
率について記載されており、前記した特開平10−26
4015号公報と同様の効果が得られることが示されて
いるが、被研磨材料として例示されているシリコンウエ
ハの表面精度は中心線平均粗さで3nm程度であり、ま
た、研磨速度に関しては言及されていない。
【0017】これに対し、先の特開平10−26401
5号公報では、シリコンウエハの表面精度を万能表面形
状測定器を用いて測定した結果が示されているが、装置
の測定限界にあるため、本発明者らはより精度良く測定
するため、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた測定も行
った。その結果、中心線平均粗さは0.6〜1nmであ
り、極めて優れた表面精度を得ることが可能であること
が明らかとなった。
【0018】しかしながら、これらの例はシリコンウエ
ハの研磨を主たる目的とするものであり、硬質の被研磨
材料、特にビッカース硬度が650kg/mm2以上と
いう硬い材料に対して実用的となるような、高精度な被
研磨材料表面を高速に研磨できる性能を有した研磨用成
形体が望まれていたのである。このような硬質の研磨材
料を研磨し、極めて平滑かつ平坦な研磨面を工業的に得
ることができれば、電子材料用基板や光学材料用基板へ
の適用が可能となるのである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課
題に鑑みてなされたものであり、その目的は半導体基
板、酸化物基板、ガラス基板などの基板材料や精密加工
を要する光学材料などを研磨する加工プロセスやCMP
プロセスに適用できる、すなわち、遊離砥粒を含まない
か少量の遊離砥粒を含む研磨液を使用するだけで有効に
研磨できるために廃液の問題を軽減し、従来の研磨布を
用いた方法と同程度以上の研磨仕上げで、被研磨材料を
一層効率よく研磨でき、かつ研磨処理における研磨用成
形体の耐久性もあるために研磨作業を効率化でき、殊に
被研磨材料としてビッカース硬度が650kg/mm2
以上の硬い材料に対しても有効に研磨できる研磨用成形
体及びそれを用いた研磨用定盤を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、被研磨材料がビ
ッカース硬度で650kg/mm2以上という硬質材料
に対して、従来の方法と同程度以上の仕上げ面をより速
い研磨速度で得るために、主として研磨砥粒であるジル
コニア成分からなる粉末を用いて成形した成形体を加工
して、かさ密度が0.5〜5.2g/cm3、BET比
表面積が0.1〜100m2/g、かつ平均粒子径が
0.005〜50μmである研磨用成形体とし、研磨加
工プロセス、殊にCMPプロセスに用いることが必要で
あることを見い出した。さらに、このような研磨用成形
体を研磨用定盤として研磨装置に組み込むことで、研磨
作業を効率化できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0021】以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】<研磨用成形体の特性>本発明の研磨用成
形体は、主としてジルコニア成分からなり、かさ密度が
0.5〜5.2g/cm3、BET比表面積が0.1〜
100m2/g、かつ平均粒子径が0.005〜50μ
mである。
【0023】ここで、本発明の研磨用成形体の成分は主
としてジルコニア成分からなっており、ジルコニア成分
が研磨用成形体の全重量に対して90重量%以上含まれ
るものが好ましく用いられる。ジルコニア成分として
は、粉状であって、本発明の研磨用成形体へと加工でき
るものであれば特に限定されず、また、ジルコニア成分
とは、酸化ジルコニウム、あるいは安定化剤を含む酸化
ジルコニウムのことをいう。
【0024】安定化剤を含む酸化ジルコニウムにおいて
用いられる安定化剤とは、酸化ジルコニウムに固溶さ
せ、室温近傍の温度においても正方晶構造や立方晶構造
を維持できる特性を有したものをいい、例えば酸化カル
シウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化イ
ンジウム、酸化スカンジウムや、酸化セリウム、酸化ネ
オジミウム、酸化ガドリニウム、酸化イットリビウム等
の希土類酸化物等が挙げられるが、これら酸化物以外に
も通常ジルコニアを安定化させることのできる物質であ
れば特に限定されるものではない。さらに、安定化剤
は、1種単独のみならず2種以上を用いることもでき
る。
【0025】用いられる安定化剤の量としては、酸化ジ
ルコニウムのモル数をA(モル)、安定化剤のモル数を
B(モル)としたとき、下式(1)の範囲にあること
で、酸化ジルコニウムの安定性をさらに向上させること
ができるため好ましい。
【0026】0<B/(A+B)≦0.2 (1) 尚、本明細書において、ジルコニア成分の量とはジルコ
ニア成分を主成分とした研磨用成形体の原料粉末全量よ
り水分を除いた残りの分を基準として計算されるもので
あり、原料粉末中の不純分としては灼熱減量等がある。
また、上記の安定化剤は、酸化ジルコニウムに固溶して
ジルコニアを安定化するものであり、その量はジルコニ
ア成分として計算される。
【0027】また、研磨の目的により、本発明の研磨用
成形体の細孔等にあえて有機物を導入することもある
が、その場合、有機物を除いたものとして、かさ密度、
BET比表面積、平均粒子径が前記した範囲にあればよ
い。
【0028】さらに、本発明の研磨用成形体の結晶相
は、ジルコニア成分における単斜晶構造、正方晶構造、
立方晶構造のいずれかの結晶構造の単一相あるいはそれ
らの混合相でもよく、または非晶質相が含まれていても
よい。
【0029】本発明の研磨用成形体は、その用途面か
ら、十分な強度、硬さを有していることが重要であると
共に、構成している個々の粒子の強度や硬さも考慮しな
ければならず、ジルコニア成分を主成分とすることが必
須である。本発明においては、研磨用成形体を構成して
いる個々の粒子の硬さの指標として、その成分の相対密
度99%以上となる緻密な焼結体を作製し、そのビッカ
ース硬度を測定しているが、例えば、3モル%のイット
リアを含む安定化ジルコニアのビッカース硬度は、JI
S−R−1610の方法に準拠し、10kg負荷を10
秒間かけた場合には1250kg/mm2程度である。
この硬度よりもビッカース硬度の高い素材としては、ア
ルミナ(酸化アルミニウム)や炭化ケイ素などがあり、
これらの素材も硬質材料の研磨に適用できる可能性はあ
るものの、ジルコニア成分に比較して靱性に劣るため、
研磨中での破損の頻度がジルコニア成分に比較して多く
なりやすく、好ましくない。
【0030】このように、本発明の研磨用成形体はその
組成としてジルコニア成分を含むものであるが、単にジ
ルコニア成分を含んでいるだけでは研磨効率や成形体の
耐久性、被研磨材料の仕上がりといった面で十分なもの
とはいえず、本発明では、研磨用成形体の緻密性や細孔
構造を一定範囲のものとすることで、その性能の向上を
図っている。
【0031】すなわち、本発明の研磨用成形体のかさ密
度の範囲としては、研磨中における研磨用成形体の形状
を保持し、効率的に被研磨材料の平滑な面を得るために
0.5〜5.2g/cm3の範囲が好ましく、さらに
0.8〜4.5g/cm3の範囲が好ましい。かさ密度
が0.5g/cm3を下回るとその形状を保てないほど
形状保持性が悪くなるために研磨中に成形体自身が磨耗
しやすくなり好ましくない。また、5.2g/cm3
上回ると、逆に成形体自身の強度が高くなり過ぎ、被研
磨材料が研磨中に損傷したり、研磨により研磨用成形体
の表面が滑らかになり過ぎて研磨速度が低下するため好
ましくない。
【0032】本発明の研磨用成形体のBET比表面積の
範囲としては、研磨中における研磨用成形体の形状を保
持し、被研磨材料の平滑な面を得るために0.1〜10
0m2/gの範囲が好ましい。BET比表面積が100
2/gを超えると研磨用成形体の形状を保てないほど
形状保持性が悪くなるために研磨中に成形体自身が磨耗
しやすくなり好ましくない。また、0.1m2/gを下
回ると、逆に成形体自身の強度が高くなり過ぎ、被研磨
材料が研磨中に損傷したり、研磨により研磨用成形体の
表面が滑らかになり過ぎて研磨速度が低下するため好ま
しくない。
【0033】研磨用成形体の平均粒子径の範囲として
は、研磨用成形体の原料粉末より多孔体へ加工する成形
処理が容易となり、また、得られる研磨用成形体を用い
て研磨する際に、被研磨材料の平滑な面を得ることがで
きるように、0.005〜50μm、さらに0.005
〜10μmの範囲が好ましい。この理由は、多くの場
合、研磨用成形体の平均粒子径は小さいほど被研磨材料
の表面精度は良くなる傾向にあるが、原料となるジルコ
ニア成分よりなる粉末の1次粒子径が0.005μmよ
りも小さい粉末が得られにくいことから、実際上0.0
05μmよりも小さい平均粒子径の研磨用成形体も得ら
れにくく、また、平均粒子径が50μmよりも大きくな
ると被研磨材料に欠陥を生じる等の問題が生じることが
あるからである。尚、ここでいう平均粒子径とは、研磨
用成形体表面のジルコニア成分粒子の粒子径を意味して
おり、例えば実施例に記載の通り、走査型電子顕微鏡
(SEM)などにより測定できる。
【0034】さらに、このような特性を有する研磨用成
形体の細孔径分布としては、例えば、実施例にも示され
るような方法により得られ、以下に示すような細孔径分
布となっていることが好ましい。
【0035】まず、細孔径が0.01〜1μmの細孔の
積算容積が研磨用成形体の細孔の積算総容積の20%以
上であることが好ましい。これは、細孔径分布がこの範
囲にあれば、研磨速度が速く、研磨効率の持続性が高く
なるからである。
【0036】さらに、このような研磨用成形体におい
て、細孔径が1〜360μmの細孔の積算容積が研磨用
成形体の細孔の積算総容積の10〜70%であることが
好ましい。これは、研磨加工中の目詰まり等の現象が生
じる頻度をより抑えることができるからである。
【0037】このような研磨用成形体の圧縮強度は自ず
と1kg/cm2以上となる。
【0038】以上に記載した本発明の研磨用成形体はそ
のまま硬質の被研磨材料の研磨加工に用いることができ
るが、さらに、研磨に先立って、研磨用成形体の細孔中
に存在する開放気孔に研磨液に対して可溶性の物質(以
下「可溶性固形物」という)を充填しておいてもよい。
【0039】可溶性固形物としては、実際の研磨加工に
用いる研磨液に可溶性の無機化合物、有機化合物であ
り、研磨用成形体に充填・固化でき、研磨加工プロセス
において研磨液に接する部分より徐々に溶解し、被研磨
材料中に不純物として残留しないものが好ましい。さら
に、実用上は水系の研磨液を用いることが多く、目詰ま
り等を避けるために水に可溶性の固形物を用いることが
好ましい。
【0040】その具体的な例としては、以下のものが挙
げられる。
【0041】先ず、KOH、NaOH、LiOHのよう
なアルカリ金属の水酸化物や、Mg(OH)2、Ca
(OH)2のようなアルカリ土類金属の水酸化物といっ
たアルカリが挙げられ、これらは基材となる研磨用成形
体の耐久性を向上させるのみならず、研磨加工中にアル
カリ成分を溶出させることで、例えばシリコンウエハを
研磨する場合にはエッチングの効果も期待でき、そのた
め研磨液として蒸留水等のアルカリ分を含まないもので
あっても研磨が可能となる、という優れた効果を奏する
ことができる。
【0042】また、LiF、NaCl、KClのような
アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の塩及びこれら
の水和物などが挙げられ、これらは基材の研磨用成形体
の耐久性を向上させるのみならず、被研磨材料がガラス
基板等の場合には可溶性固形物より溶解する金属イオン
がメカノケミカル作用に寄与することが期待でき、その
ため研磨液として遊離砥粒を用いなくとも十分に研磨で
きる。
【0043】熱硬化性、嫌気硬化性、紫外線硬化性、熱
可塑性などのエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂等の樹脂類や、瞬間硬化性、接触硬化
性、紫外線硬化性、嫌気硬化性などの瞬間系接着剤、弾
性系接着剤、ホットメルト系接着剤、エラストマー系接
着剤、エマルジョン系接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、
熱可塑性樹脂系接着剤等の接着剤が挙げられ、これらは
基材となる成形体の耐久性を向上させることができる。
【0044】水溶性ワックスなどのワックス類等が挙げ
られ、これらは基材となる成形体の耐久性を向上させる
ことができる。
【0045】尿素などのアミン類、シュウ酸、マロン
酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸などの有機酸類
といった有機物が挙げられ、これらは基材の研磨用成形
体の耐久性を向上させるのみならず、研磨速度を向上さ
せることもできる。
【0046】これらの、研磨液に可溶性の無機化合物、
有機化合物は、一種単独にて用いることができるが、2
種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0047】研磨用成形体に充填される可溶性固形物の
量としては、研磨用成形体の開放気孔の全容積の10容
量%以上とすることが好ましい。可溶性固形物が10容
量%よりも少なく充填されていると、研磨加工中におけ
る成形体の耐久性向上や消耗抑制の効果が小さくなって
しまうことがある。
【0048】<研磨用成形体の製造法>本発明の研磨用
成形体の製造方法は前記特性を有する研磨用成形体を得
ることのできる方法であれば特に限定されるものではな
く、ジルコニア成分からなる粉末を用いて成形する、あ
るいは成形の後に焼成等の加工処理を行うなどの方法を
例示することができる。
【0049】さらに具体的に本発明の研磨用成形体の製
造法を示すと、原料粉末に圧力をかけて成形して適当な
形状、大きさの成形体とし、その後必要に応じて加工し
て研磨に用いられる成形体とするものである。
【0050】ここで、圧力をかけて成形する場合、例え
ばプレス成形等の成形法が例示でき、その圧力条件とし
ては、特に限定されるものではなく、公知の条件にて行
うことができる。また、鋳込み成形、射出成形、押し出
し成形なども適用できる。
【0051】さらに、成形する際に原料粉末の成形性を
向上させるために原料粉末に処理を施してもよい。その
具体的な処理の方法としては、例えば圧密する方法など
が挙げられるが、その条件は特に限定されるものではな
い。また、同様に原料粉末の成形性を向上させるため、
スプレードライ法や転動法などにより造粒したり、バイ
ンダー、ワックス等を添加してもよい。
【0052】また、原料粉末よりジルコニア成分からな
る成形体への成形性を向上させるために成形前に原料粉
末へワックスやバインダーなどの有機物を添加する場合
には、研磨用成形体への加工に際し、脱脂することが好
ましい。脱脂の方法は特に限定されるものではないが、
例えば大気雰囲気下での加熱による脱脂、又は窒素、ア
ルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気中での加熱脱脂な
どが挙げられる。この時の雰囲気ガスの圧力は加圧下又
は常圧下、場合によっては減圧下であってもよい。また
同様に、成形性を向上させるために、水分を添加し、そ
の後の焼成操作の前に乾燥させることもできる。
【0053】次に、成形体、殊にバインダーを取り除い
た成形体は、一般的には強度が脆く、その強度を上げ、
研磨加工に用いるためにその耐久性を向上させるため
に、得られた成形体に対して加熱による焼成等の加工を
行うことが好ましい。しかし、耐久性を向上させる方法
としては、加熱焼成に限定されるものではなく、例え
ば、成形体の細孔中に物質を導入する方法を採用するこ
ともできる。
【0054】加熱焼成の場合の焼成条件は特に限定され
るものではないが、焼成温度、焼成時間、焼成プログラ
ム、焼成雰囲気等を適宜選択すればよい。
【0055】このようにジルコニア成分からなる成形体
より研磨用成形体への加工方法としては、加熱脱脂、加
熱焼成、機械加工、化学処理、物理処理、あるいはこれ
らの組み合わせ等による方法が例示できるが、研磨用成
形体として研磨作業に使用できる強度を付与できる加工
方法であれば特に限定されるものではない。
【0056】<研磨用定盤の構成>次に、この研磨用成
形体を研磨用の定盤として組み込み、さらにこれを用い
て研磨する方法について説明する。
【0057】まず、研磨用成形体と研磨用の付帯部品と
を用いて研磨用定盤が形成される。
【0058】ここで、付帯部品とは研磨用定盤を構成す
る種々の材質、形状の構造体であり、この付帯部品に対
して研磨用成形体を以下に示される手法により配置し、
固定することで研磨用定盤が形成される。両者の固定の
方法としては、接着剤を用いて接着して固定する方法、
付帯部品に凹凸を形成させ、その固定場所へ埋め込む方
法など、本発明の目的を達成できる方法であれば制限な
く用いることができる。
【0059】研磨用成形体を研磨用の付帯部品へ固定す
る際の研磨用成形体の個数については、1個又は2個以
上用いればよく、さらに2個以上用いることが好まし
い。この理由としては、1)研磨加工プロセスにおいて
用いられる研磨液を研磨中に適切に排出することで研磨
速度を向上させるためである。このため、研磨用成形体
を2個以上用いて研磨用定盤を形成させた場合には、研
磨用成形体の間の隙間より研磨液の排出ができる。ま
た、1個を用いた場合には、成形体の研磨面の側に研磨
液を排出できる適当な溝の構造を持たせることが好まし
い。2)また、研磨用成形体を2個以上用いて研磨用定
盤を形成させた場合には、被研磨材料への当たりが良く
なり、被研磨材料全面の研磨速度に偏りなく、効率よく
研磨できるようになる。
【0060】用いられる研磨用成形体の形状は特に限定
されるものではなく、研磨用成形体が研磨用の付帯部品
へ装着できるものであればどのような形状のものも採用
できる。例えば円柱状ペレットや、四角柱状ペレット,
三角柱状ペレットなどの角柱状ペレット、扇型柱状ペレ
ット、あるいはそれらの中心を繰り抜いたリング状ペレ
ット等を例示でき、さらには、被研磨材料との接触面が
直線と曲線を組み合わせてできるあらゆる形状のものも
例示できる。又、その大きさは通常用いられる範囲であ
れば特に限定されるものではなく、研磨用定盤中の研磨
用成形体を組み込むための付帯部品の大きさに応じて決
められる。
【0061】本発明において用いられる研磨用成形体を
研磨用定盤として配置する際の配置方法の態様として
は、上記記載の研磨用成形体の特性を有するものを組み
合わせるのであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、研磨用成形体の小片を組み合わせて一体化する方
法、大きな円板に埋め込む方法などが挙げられる。
【0062】このような研磨用成形体を2個以上研磨用
定盤へ配列させる場合には配置された研磨用成形体の研
磨面を被研磨材料の形状に合うように整えることが望ま
しい。この場合、付帯部品についてその形状に合ったも
のを選択しても良い。例えば、被研磨材料表面が平坦な
場合にはその研磨用成形体の被研磨材料との接触面を平
坦化することが望ましく、曲面状の場合にはそれに合っ
た曲面状とすることが望ましい。これは、得られた研磨
用定盤を用いて研磨加工する際に、被研磨材料と研磨用
成形体が直接接触できるようになっているため、その接
触面を多く取ることができるようにするためである。特
に平坦化する場合は、研磨用定盤からの垂直方向の高さ
に対してばらつきがないように配置することが好まし
い。
【0063】<研磨用定盤を用いた研磨方法>このよう
にして研磨用定盤に研磨用成形体を組み込むわけである
が、本発明の研磨用定盤を用いて研磨する方法において
は、定盤として研磨加工プロセスにおいて使用されるも
のであれば、その形状、研磨条件、研磨液等の使用の有
無等については特に限定されるものではない。例えば、
研磨液を使用する場合には、従来より用いられてきた研
磨液を用いることでよく、例えば水、水酸化カリウム水
溶液、水酸化ナトリウム水溶液、アミン、有機酸を含む
水溶液などを用いることができ、その温度もこれら研磨
液の沸点よりも低い温度の範囲であれば、特に限定され
るものではない。また研磨液の流量に関しても特に限定
されるものではない。研磨条件に関しても、加工圧力、
被研磨材料と定盤の研磨加工中の相対速度(研磨用定盤
の回転速度)など、特に限定されるものではない。
【0064】ここで研磨用定盤とは、組み込まれた研磨
用成形体が被研磨材料に対して直接接触して研磨するた
めに用いられ、研磨加工プロセスにおいて十分な強度を
有し、かつ被研磨材料を研磨できる性能を有しておれば
良い。従って、その形状としては、被研磨材料と同じ形
状を有するだけでなく、必要に応じて非平面の形状を有
していてもよい。例えば、平板状、円盤状、リング状、
円筒状等を挙げることができる。
【0065】また、本発明の研磨方法においては研磨布
を用いないため、研磨中に従来の方法において見られ
た、研磨布の性能劣化によるその取換え等による研磨作
業の中断については、本発明の研磨用成形体を用いるこ
とで耐久性が向上し、取り替え頻度を減少できるため研
磨作業の効率化が達成できるという利点を有している。
【0066】さらに、従来の研磨剤による方法において
生じる遊離砥粒を含んだ研磨廃液については、本発明の
研磨用成形体を用いることで遊離砥粒を用いなくなるか
少量用いるだけであるため、研磨廃液中の遊離砥粒や研
磨により生じた粒の量が少なくなり、廃液処理の問題が
軽減される。例えば、研磨廃液に対して光を照射した場
合の透過率が従来の方法におけるものよりも高くなるこ
とで、研磨廃液中に不要となった粒の混入量が少なくな
ることが確認できる。このような研磨廃液の問題を考慮
すると、研磨廃液の600nmにおける透過率が水の1
0%以上が特に好ましく、このような廃液の透過率とな
るような研磨液を用いることが望ましい。もちろん、本
発明の研磨用成形体を用いた場合、研磨液の使用の有無
は限定されないので、研磨液を用いない場合は廃液は生
じないことになる。なお、ここで用いられる遊離砥粒は
特に限定されるものではなく、その材質や粒径などは目
的に応じて適宜選択される。
【0067】本発明の研磨用成形体、それを用いた研磨
用定盤は、半導体基板、酸化物基板、ガラス基板などの
基板材料、磁気ヘッド材料、ガラス、金属材料、レンズ
等の光学材料、建築分野等に使用される石材等の研磨、
またCMP工程にも有用である。この内、従来の研磨布
を用いた方法に比べ面だれがないために研磨された材料
を有効にできることもあり、基板材料やCMP工程に好
ましく用いられ、半導体構造等を平坦化するのに特に有
用である。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、各評価は以下に示した方法によって実施し
た。
【0069】〜構成成分含有量の測定〜 研磨用成形体の原料粉末又は研磨用成形体中の構成成分
として、ジルコニア成分(安定化剤分も含む)、水分
量、灼熱減量(Loss on Ignition、以
下「Igロス」という。)を以下に示す方法により測定
した。
【0070】全ジルコニア成分は、ICP法により測定
し、酸化物の量に換算して求めた。
【0071】水分量は、原料粉末を110℃、2時間の
加熱処理による処理前後の重量変化により求めた。
【0072】Igロスは、原料粉末を110℃、2時間
加熱して水分を取り除いた試料をもととし、さらに11
00℃で加熱処理し、その処理前後の重量変化により求
めた。
【0073】〜研磨用成形体のかさ密度〜 100mm×100mm×15mm(厚さ)の平板状試
料を作製し、サンプルとした。このサンプルを電子天秤
で測定した重量と、マイクロメータで測定した形状寸法
とから算出した。
【0074】〜研磨用成形体のBET比表面積〜 研磨用成形体を砕いた後、MONOSORB(米国QU
ANTACHROME社製)を用い、BET式1点法に
より測定した。
【0075】〜研磨用成形体の平均粒子径〜 研磨用成形体の一部を、走査型電子顕微鏡ISI DS
−130(明石製作所製)で観察し、ジルコニア成分か
らなる粒子部分のみを考慮してインタセプト法により求
めた。
【0076】〜細孔径分布〜 研磨用成形体の細孔径の分布に関しては、水銀ポロシメ
ータ(島津製作所製、ポアサイザ9320)用い、水銀
圧入法により0から270MPaの圧力範囲で測定し
た。本測定で測定可能な細孔径の範囲は0.006〜3
60μmであり、この範囲の細孔径に対する容積を細孔
の積算総容積とした。
【0077】〜圧縮強度〜 JIS−R−1608に準拠し、10mm×10mm×
7mm(厚さ)の試料を作製し、島津オートグラフIS
−10T(島津製作所製)を用い、クロスヘッド速度
0.5mm/分で負荷を加えて測定した。
【0078】〜被研磨材料のビッカース硬度〜 JIS−R−1610に準拠して、鏡面仕上げされた被
研磨材料表面に微小硬度計MVK−E(明石製作所製)
を用いて、試験荷重100g、荷重保持時間10秒の条
件で圧子を圧入して常温でビッカース硬度を測定した。
【0079】〜研磨試験〜 実施例については、表1に示した特性の研磨用成形体
(直径25mm、厚さ5mmの円柱状)を作製し、この
研磨用成形体を研磨装置PLANOPOL/PEDEM
AX2(Struers製)の下定盤(直径300m
m)に100個装着し、成形体の表面を平坦に整えた。
次いで、この装着された成形体と、表2、表3、表4に
示した被研磨材料(45mm×45mm角、研磨前の中
心線平均粗さ(Ra)は約200nm)を用い、下定盤
回転数300rpm、定盤への被研磨材料の所定の加工
圧力、すなわち、ガラス及びタンタル酸リチウム(Li
TaO3)に対しては200g/cm2、石英ガラスに対
しては100g/cm2にて、所定の研磨液を200m
l/分の速度で滴下しながら20分間研磨した。研磨後
の表面を顕微鏡(OLYMPUS製、型式:BH−2)
で観察した。評価に際しては、極めて平滑でスクラッチ
等のない良好な面である場合を○、平滑にもならずに研
磨加工できない場合を×とした。
【0080】〜表面精度〜 研磨処理後の被研磨材料の表面粗さを原子間力顕微鏡
(AFM)SPI3600(SII社製)を用い、コン
タクトモードによる斥力測定法により測定した。測定は
被研磨材料の5μm×5μmの範囲を3領域ずつ任意に
測定して平均し、中心線平均粗さ(Ra)にて評価し
た。
【0081】〜研磨速度〜 研磨試験後の被研磨材料の厚さをダイヤルゲージで測定
することで算出した。速度の算出にあたっては、被研磨
材料の被研磨面の任意の10点の位置の厚さを試験前後
で測定して、1分間あたりの研磨速度とし、これらの平
均値を研磨速度(単位は、μm/分)とした。
【0082】〜研磨廃液の透過率〜 研磨試験により生じる研磨廃液の濁度を分光光度計(日
本分光製、型式:Ubest−55)を用い、精製水を
基準として波長600nmにおける透過率を測定して評
価した。測定結果では、透過率が高い場合は研磨廃液中
の遊離砥粒量が少ないことを示し、低い場合は逆に多い
ことを示す。
【0083】<研磨用成形体の製造・評価>表1に示す
特性の粉末を原料とし、さらに研磨用成形体1及び10
以外は、馬鈴薯でんぷん、ポリビニルアルコール粉末、
メタクリル酸粉末、パラフィンワックス粉末の内の1種
を添加して混合し、これらの粉末あるいは混合粉末を5
0〜3000kg/cm2の圧力で成形して成形体を
得、これを700〜1500℃で焼成して研磨用成形体
1〜11を得た。これを上記の方法により評価し、表1
にその結果として、研磨用成形体のかさ密度、BET比
表面積、平均粒子径、弾性率、表面硬度、圧縮強度、さ
らに、細孔分布としての、研磨用成形体の細孔の積算総
容積に対する0.01〜1μm及び1〜360μmの細
孔径の積算容積の比率を示す。
【0084】
【表1】
【0085】<研磨用成形体による研磨とその評価> A.蒸留水を用いた研磨 実施例1〜5、比較例1〜3 表2に示される、45mm×45mm角の形状を有した
被研磨材料(これらの組成は、ガラス、石英ガラス又は
タンタル酸リチウム(LiTaO3))及び研磨用成形
体を各々の実施例及び比較例において用い、研磨液を蒸
留水として上記の研磨試験に従って研磨した。表2には
研磨試験により得られた被研磨材料の平滑性(研磨後の
表面の状態)、研磨速度、表面精度としての中心線平均
粗さ(Ra)を示すと共に、研磨試験後の研磨廃液の透
過率も合わせて示す。
【0086】
【表2】
【0087】表2から分かるように、実施例1〜5にお
いては、蒸留水を研磨液として用いても被研磨材料は速
やかに研磨できた。一方、比較例1では研磨用成形体が
破損し研磨できなかった。比較例2では研磨された被研
磨材料表面の平滑性が悪いものであった。比較例3のシ
リカを主成分とした研磨用成形体では研磨速度が遅かっ
た。
【0088】比較例4 市販の発泡ウレタンのポリッシングパッドを研磨装置P
LANOPOL/PEDEMAX2(Struers
製)の下定盤(直径300mm)に貼付し、定盤回転数
300rpm、被研磨材料としてガラス(45mm×4
5mm角)を用い、これに所定の加工圧力を加え、研磨
液として蒸留水を用い、研磨液を200ml/分の速度
で滴下しながら研磨した。しかしながら、その研磨速度
は測定できないほど極めて遅かった。
【0089】B.遊離砥粒としてジルコニア砥粒を含有
する研磨液を用いた研磨 実施例6〜15、比較例5〜7 表3に示される、45mm×45mm角の形状を有した
被研磨材料(これらの組成は、ガラス、石英ガラス又は
タンタル酸リチウム(LiTaO3))及び研磨用成形
体を、各々の実施例及び比較例において用い、研磨液と
して市販の平均粒径0.2μmのジルコニア砥粒を表3
に示した濃度となるように蒸留水で希釈したもの(表
中、研磨液Aと表示)を用いて、上記の研磨試験に従っ
て研磨した。表3には研磨試験により得られた被研磨材
料の平滑性(研磨後の表面の状態)、研磨速度、表面精
度としての中心線平均粗さ(Ra)を示すと共に、研磨
試験後の研磨廃液の透過率も合わせて示す。
【0090】
【表3】
【0091】比較例8 被研磨材料として、45mm×45mm角の形状のガラ
スを用い、研磨液として市販の平均粒径0.2μmのジ
ルコニア砥粒を従来行われている砥粒濃度の20重量%
となるように蒸留水で希釈したものを用いて、比較例3
と同様にして研磨した。表3には研磨試験により得られ
た被研磨材料の平滑性(研磨後の表面の状態)、研磨速
度、表面精度としての中心線平均粗さ(Ra)を示すと
共に、研磨試験後の研磨廃液の透過率も合わせて示す。
【0092】以上の実施例6〜15で用いたジルコニア
成分を主成分とする研磨用成形体では被研磨材料は速や
かに研磨できた。これに対し、比較例5〜7で用いたシ
リカを主成分とする研磨用成形体ではビッカース硬度の
異なる各々の被研磨材料に対し、いずれも実施例と比較
すると研磨速度が遅かった。
【0093】また、比較例8に示したように、研磨布で
あるポリッシングパッドと遊離砥粒を用いることで被研
磨材料を研磨することはできるものの、研磨廃液の透過
率が低く、廃液中の遊離砥粒量が多くなることが分か
る。
【0094】C.遊離砥粒としてセリア砥粒を含有する
研磨液を用いた研磨 実施例16〜17、比較例9〜10 表4に示される、45mm×45mm角の形状を有した
被研磨材料(これらの組成は、ガラス、石英ガラス又は
タンタル酸リチウム(LiTaO3))及び研磨用成形
体を、各々の実施例及び比較例において用い、研磨液と
して市販の平均粒径0.5μmのセリア砥粒を表4に示
した濃度となるように蒸留水で希釈したもの(表中、研
磨液Bと表示)を用いて上記の研磨試験に従って研磨し
た。表4には研磨試験により得られた被研磨材料の平滑
性(研磨後の表面の状態)、研磨速度、表面精度として
の中心線平均粗さ(Ra)を示すと共に、研磨試験後の
研磨廃液の透過率も合わせて示す。
【0095】
【表4】
【0096】以上の実施例16〜17で用いたジルコニ
ア成分を主成分とする研磨用成形体では被研磨材料は速
やかに研磨できた。これに対し、比較例8〜9で用いた
シリカを主成分とする研磨用成形体では、ビッカース硬
度の異なる各々の被研磨材料に対し、いずれも実施例と
比較すると研磨速度が遅かった。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、研磨加工プロセス中に
遊離砥粒を大量に含有する研磨廃液が生じることを低減
し、従来法と同程度以上の表面精度に基板材料や光学材
料などを研磨加工することができ、また研磨処理におけ
る研磨用成形体の耐久性もあるため、研磨加工プロセス
に有用である。さらに、硬度が高い被研磨材料に対して
も迅速かつ良好な仕上げで研磨できるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主としてジルコニア成分からなり、かさ密
    度が0.5〜5.2g/cm3、BET比表面積が0.
    1〜100m2/g、かつ平均粒子径が0.005〜5
    0μmであることを特徴とする研磨用成形体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の研磨用成形体の細孔径分
    布において、細孔径が0.01〜1μmの細孔の積算容
    積が当該研磨用成形体の細孔の積算総容積の20%以上
    であることを特徴とする請求項1に記載の研磨用成形
    体。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の研磨用成形体の細孔径分
    布において、細孔径が1〜360μmの細孔の積算容積
    が当該研磨用成形体の細孔の積算総容積の10〜70%
    であることを特徴とする研磨用成形体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3に記載の研磨用成形体が付帯
    部品に固定されてなることを特徴とする研磨用定盤。
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