JP2000210860A - シリコンウエハの研磨方法 - Google Patents

シリコンウエハの研磨方法

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JP2000210860A
JP2000210860A JP1049199A JP1049199A JP2000210860A JP 2000210860 A JP2000210860 A JP 2000210860A JP 1049199 A JP1049199 A JP 1049199A JP 1049199 A JP1049199 A JP 1049199A JP 2000210860 A JP2000210860 A JP 2000210860A
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silicon wafer
silica
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grinding
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English (en)
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Toshihito Kuramochi
豪人 倉持
Yoshitaka Kubota
吉孝 窪田
Toshihiro Kiyono
敏廣 清野
Hiroaki Inoue
裕昭 井上
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Tosoh Corp
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SpeedFam-IPEC Co Ltd
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1)廃液処理の問題を著しく軽減することがで
き、省コストであって地球環境に配慮した研磨加工とな
ること、2)ウエハ外周部の面だれを著しく改善できる
こと、3)加工後の被研磨材料の加工欠陥が従来法によ
るものと比較して同等あるいはそれよりも少なくできる
こと、4)研磨速度を従来法による場合と同等かそれ以
上にできること、といった研磨方法を提供する。 【解決の手段】シリコンウエハをシリカ(二酸化珪素)
を主成分とする研磨用成形体に押しつけ、前記研磨用成
形体及び/又は前記シリコンウエハを摺擦運動させなが
ら研磨液を加えつつシリコンウエハを研磨する研磨方法
において、前記研磨用成形体と前記シリコンウエハとの
接触面の温度を35℃以上にして研磨を行うことを特徴
とするシリコンウエハの研磨方法を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンウエハの
研磨に好適な研磨方法に関し、さらに詳しくはシリコン
ウエハをシリカを主成分とする研磨用成形体により効率
的に研磨する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコンウエハや酸化物基板、化
合物半導体基板などの基板材料等の研磨される材料(以
下、「被研磨材料」という)を研磨加工するプロセスで
は、基板材料等の表面にコロイダルシリカ等の遊離砥粒
を水酸化カリウム等の化学薬品に調合した研磨液を連続
的に流しながら不織布タイプやスウエードタイプ等のポ
リッシングパッドで磨くことによって仕上げており、例
えば特開平5−154760、特開平7−326597
には種々の研磨剤と研磨布を用いてシリコンウエハの研
磨を実施することが開示されている。しかし、このよう
な方法による場合、遊離砥粒を大量に使用するため、遊
離砥粒を大量に含有する研磨廃液が生じ、その処理等に
ついては研磨処理の効率、廃液処理の設備面、環境への
影響を考慮すると改善されるべきものであった。また、
研磨処理において、研磨布は目詰まり等の性能劣化が短
時間で生じるため新たなものに取り替える必要が生じ、
研磨処理作業の効率化の面での課題もあった。
【0003】そこで、本発明者らは主としてシリカから
なる研磨用成形体が研磨加工プロセスに適用できること
を見い出し、例えば特開平10−1376号公報にみら
れるように前記課題への対応を試み、その結果、以下の
知見を見い出した。
【0004】1)研磨の際に、研磨用成形体の表面がそ
の原料であるシリカ粉末により粗面となっており、これ
とシリコンウエハとが直接接触するために、コロイダル
シリカ等の遊離砥粒を含まない研磨液を使用して基板材
料等の研磨加工プロセスへの適用が可能となり、しかも
その際に成形体の粒子の脱落が非常に少なくなり、廃液
の問題が軽減される。
【0005】2)研磨用成形体の強度が高いために研磨
加工プロセスにおいても研磨加工の際の加工圧力を上げ
て加工することができて加工時間の短縮が図れるととも
に、研磨用成形体に耐久性があるため長期に渡って取換
えなしで研磨作業を実施できるため、研磨加工処理の効
率が達成できる。
【0006】3)たとえ遊離砥粒を含有する研磨剤を用
いた場合でも、従来の方法よりも希薄な遊離砥粒濃度で
研磨速度が向上する。
【0007】このように、本発明者らは前記記載の研磨
廃液及びその処理等に関する課題を改善したが、シリコ
ンウエハの研磨速度をさらに向上させて研磨加工プロセ
スをいっそう効率化できる研磨方法が望まれていた。
【0008】このための方法として、従来より用いられ
ている研磨布による研磨方法では通常は30℃程度のコ
ロイダルシリカなどを含む研磨液を用いて研磨加工する
が、研磨液の温度を高めたり、加工圧力を増大すること
でそれ以上の温度に高めたりして研磨速度を向上させて
いる。しかしながら、この方法では研磨液を高温にした
り加工圧力を高くすると研磨布の摩擦抵抗によりシリコ
ンウエハの加工点の温度は必要以上に高温となり、研磨
速度は向上するもののシリコンウエハ表面にヘイズと呼
ばれる加工欠陥を生じるため、通常は研磨液温度、加工
面温度とも35℃よりも低い温度に抑制して研磨加工し
ていた。また、研磨布が加工荷重によりウエハ外周部で
曲率変化を受け、さらに研磨布が粘弾性変化を起こすこ
とにより圧縮/回復を繰り返すこととシリコンウエハの
回転振れとの相乗効果により、ウエハ外周部にいわゆる
面だれを生じさせることも課題となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような上
記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シ
リコンウエハを研磨加工するプロセスにおいて、1)コ
ロイダルシリカのような遊離砥粒を全く使用しないか、
あるいは少量の遊離砥粒を含む研磨液での研磨加工であ
り、従来の方法において課題となっていた研磨廃液のp
H処理及び廃液中の固形分の分離といった廃液処理の問
題を著しく軽減することができ、省コストであって地球
環境に配慮した研磨加工となること、2)許容周辺だれ
(Edgeexclusion)が3mmから2mm、
1mmと規格変更される中で、ウエハ外周部の面だれを
著しく改善できること、3)加工後の被研磨材料の加工
欠陥が従来法によるものと比較して同等あるいはそれよ
りも少なくできること、4)研磨速度を従来法による場
合と同等かそれ以上にできること、といった研磨方法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、シリコンウエハ
をシリカ(二酸化珪素)を主成分とする研磨用成形体に
押しつけ、研磨用成形体とシリコンウエハとを相互にあ
るいは単独に摺擦運動させながら研磨液を加えつつシリ
コンウエハを研磨する際に、研磨用成形体とシリコンウ
エハとの接触面の温度を35℃以上にして研磨すること
で以下の知見を見い出した。
【0011】1)研磨されたシリコンウエハの仕上がり
が研磨布と遊離砥粒を用いた従来の方法と同程度以上で
あり、しかも研磨速度が従来並以上であり、そして研磨
性能の経時的な劣化が少ない。
【0012】2)研磨布を用いた従来法では、研磨布と
シリコンウエハ接触面に強い摩擦力が生じ、加工面にお
ける研磨液が高温になり、シリコンとの反応生成物をつ
くってウエハ表面から分離し、さらに微粒の軟質砥粒で
あるシリカで研磨除去することを目的としており、これ
はKOHなどのアルカリ溶液がエッチング速度に温度依
存性があることを利用しているのである。そのため研磨
布を用いる従来の方法では研磨布の放熱が極端に低いた
め熱を蓄積しやすく、一般に研磨加工に用いられる定盤
を水冷するなどの方法により除熱している。一方、研磨
加工プロセスに研磨用成形体を用いる場合には研磨布ほ
どの強い摩擦は生じない上に、研磨用成形体は研磨布と
比較して比熱が小さく熱伝導率が大きいことから、接触
点以外では放熱効果が高い加工方法であり、反対に接触
・研磨面の温度上昇をアシストするものが必要となる。
本発明の方法では、このアシスト効果に着目し、研磨液
の温度を高温にしたり、研磨用成形体を加熱することで
放熱を抑制し、エッチング速度の温度依存性を最大限に
利用することが容易となり、しかも、摩擦熱がそれほど
大きくならないことから、研磨加工時の研磨用成形体と
被研磨材料であるシリコンウエハとの接触面の温度がヘ
イズが発生しうる85℃以上の温度以下とすることがで
き、しかも研磨加工中に必要以上に温度上昇が起きない
ため、従来の研磨布を用いたポリッシングの場合と異な
り研磨液を高温で使用することができるという利点があ
る。
【0013】3)研磨布を用いた従来法では、弾性体で
ある研磨布はウエハと接触するときに加工荷重により圧
縮応力を受けウエハ外周部から曲率をもって非荷重部分
まで戻り、しかも、回復率が1より低いため荷重が逃げ
た後も緩やかに回復する粘弾性変形を起こすためにウエ
ハ外周部がより研磨されることが原因で、面だれが起き
ることがあった。しかし、研磨用成形体を用いてシリコ
ンウエハを研磨加工する場合には、研磨用成形体が粘弾
性変形が少ない、あるいは変形しないため、研磨用成形
体とシリコンウエハとの接触面での加工荷重による弾性
変化が実用上無視できるほど小さくなり、面だれが起き
ることを防止できる。さらに研磨布を用いた研磨加工の
場合、摩擦熱により定盤内の温度分布が不均一になりや
すく、熱伝導率が小さいため均一になるまでに時間がか
かるのに対し、研磨用成形体を用いた研磨加工の場合は
摩擦熱が無視できるほど小さく、しかも研磨用成形体の
比熱が小さいため、シリコンウエハと接触している面と
非接触面との温度差すなわち温度ムラが小さく、加工面
は一様な温度分布となっているため、加工温度による研
磨速度のアンバランスを少なくすることができる。従っ
て、このような研磨用成形体の粘弾性変形が小さいこと
及び研磨加工時の温度ムラが小さいことの相乗効果によ
りシリコンウエハの面だれが少なくなり、今後ますます
厳しくなるEdge exclusionに対して容易
に対応できる。
【0014】4)たとえ遊離砥粒を含有する研磨剤を用
いた場合でも、従来の方法よりも希薄な遊離砥粒濃度で
研磨速度が一段と向上し、上述と同様の効果を得ること
ができる。
【0015】このように、本発明のシリコンウエハの研
磨方法を用いることでこれらの優れた点を見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明の方法は、シリコンウエハをシリカ
(二酸化珪素)を主成分とする研磨用成形体に押しつ
け、研磨用成形体及び/又はシリコンウエハを摺擦運動
させながら研磨液を加えつつシリコンウエハを研磨する
研磨方法において、研磨用成形体とシリコンウエハとの
接触面の温度を35℃以上にして研磨を行うことを特徴
とするシリコンウエハの研磨方法である。
【0018】本発明で用いられる研磨用成形体はシリカ
を主成分とするものであり、例えばシリカ粉末を成形し
た成形体からなるもの、四塩化ケイ素から析出した微粒
子を直接成形体形状に堆積して得た通常スートと呼ばれ
る成形体、シリカ粉末の粒子を樹脂等の結合材で結合し
て得た成形体等が挙げられる。これらの中でも主として
シリカ成分からなる研磨用成形体は、研磨加工中にシリ
コンウエハに欠陥を生じさせることがなく、また、研磨
速度、耐久性などの性能面、目詰まり等の研磨効率に悪
影響を及ぼすことが少なく、さらにこの研磨用成形体は
組織が均質であり、すなわち、研磨による研磨用成形体
の消耗(減量)やドレスによる新しい面に対しても一定
のばらつき内で均質であり、そのため加工面に対する安
定化と長時間の耐久性に優れるなどの利点を有している
ので好ましく用いられる。
【0019】この主としてシリカからなる研磨用成形体
は、シリカ成分が全量の90重量%以上有するものが好
ましく、通常例えば、その種類としてケイ酸ソーダを原
料として得られる湿式法シリカ粉末(又は沈降性シリカ
とも呼ぶ)や四塩化ケイ素の気相熱分解により得られる
乾式法シリカ粉末を用いて、粉末の成形法により製造し
たものや、前述の四塩化ケイ素の気相熱分解により得ら
れる微粒子を直接成形体状に堆積して得た成形体(通常
スート呼ばれる)などが例示できる。ここで、シリカ成
分が90重量%以上とは、105℃で2時間加熱処理し
たシリカ原料粉末中のシリカ成分、不純物、灼熱減量
(Loss of Ignition、以下「Igロ
ス」という)の総量を全量としたときのシリカ成分が9
0重量%以上ということである。また、Igロスを除い
て考えれば、本発明に用いられるシリカ原料粉末のシリ
カ成分は実質的に97重量%以上である。さらに、シリ
カ以外の成分としては、例えば結合剤などは含まれな
い。シリカ成分が上記範囲を逸脱すると研磨加工時に被
研磨材料への不純物による汚染等の影響やシリコンウエ
ハに欠陥が生じることはありうるが、研磨の目的によっ
て、あえて他の成分酸化物、例えば、酸化アルミニウ
ム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸
化マンガン等を必要に応じて含有する場合は、この限り
ではない。
【0020】この主としてシリカからなる研磨用成形体
の物性は、通常、かさ密度が0.2〜1.5g/cm3
であり、BET比表面積が10〜400m2/gであ
り、シリカ粒子の平均粒子径が0.001〜0.5μm
である研磨用成形体が好ましい。
【0021】この理由は以下の通りである。
【0022】すなわち、主としてシリカからなる研磨用
成形体のかさ密度が0.2〜1.5g/cm3の範囲で
あれば研磨中における研磨用成形体の破損を防止でき、
かつ効率的にシリコンウエハの平滑な面を得るために好
ましく、さらに0.4〜0.9g/cm3の範囲が好ま
しく、特に0.4〜0.6g/cm3の範囲がより好ま
しい。かさ密度が0.2g/cm3を下回るとその形状
を保てないほど形状保持性が悪くなるために研磨中に成
形体自身が磨耗することがあり、また、1.5g/cm
3を上回ると、逆に成形体自身の強度が高くなり過ぎ、
シリコンウエハが研磨中に損傷したり、研磨により研磨
用成形体の表面が滑らかになり過ぎて研磨速度が低下す
ることがある。
【0023】主としてシリカからなる研磨用成形体のB
ET比表面積の範囲としては、研磨中における研磨用成
形体の形状を保持し、シリコンウエハの平滑な面を得る
ために10〜400m2/gの範囲が好ましく、さらに
10〜200m2/gの範囲が好ましい。BET比表面
積が400m2/gを越えると研磨用成形体の形状を保
てないほど形状保持性が悪くなって研磨中に成形体自身
が磨耗しやすくなることがあり、また、10m2/gを
下回ると、逆に成形体自身の強度が高くなり過ぎ、シリ
コンウエハが研磨中に損傷したり、研磨により研磨用成
形体の表面が滑らかになり過ぎて研磨速度が低下するこ
とがある。
【0024】主としてシリカからなる研磨用成形体の平
均粒子径の範囲としては、多孔体への成形を容易にし、
シリコンウエハの平滑な面を得るために0.001〜1
μmが好ましい。平均粒子径が0.001μmよりも小
さくなると原料粉末の1次粒子径が0.001μmより
も小さくなり、多孔体に成形することが非常に難しくな
ることがあるが、実用上問題はない。一方、粒径が1μ
mよりも大きくなるとシリコンウエハに研磨傷が発生し
やすくなる等の問題が生じることがある。尚、ここでい
う平均粒子径とは、研磨用成形体表面のシリカ微粒子の
粒子径を意味しており、例えば実施例に記載の通り、走
査型電子顕微鏡(SEM)などにより測定できる。
【0025】このとき、主としてシリカからなる研磨用
成形体の圧縮強度は通常1kgf/cm2以上になり、
研磨用成形体として使用に耐えうる。
【0026】前述の主としてシリカからなる研磨用成形
体の製造方法は前記特性を有する研磨用成形体を得られ
る方法であれば特に限定されるものではなく、シリカ微
粒子を用いて成形する、あるいはその成形の後に焼成等
の加工処理を行うなどの方法を例示することができる。
【0027】本発明におけるシリカを主成分とする研磨
用成形体を用いたシリコンウエハの研磨方法は、研磨用
成形体を既存のシリコンウエハ研磨装置の定盤部に研磨
用成形体を直接設置・固定して用いることができるが付
帯部材を用いて設置・固定して用いることもできる。付
帯部材を用いる場合には、研磨加工作業に支障がない状
態を作り出せるものであれば特に限定はされず、例えば
金属製や樹脂製等の平板などを用いればよい。また、研
磨装置に研磨用成形体を設置・固定する場合、接着剤等
を用いることもでき、用いられる接着剤としては特に限
定されるものではない。
【0028】本発明の研磨方法では、研磨用成形体とシ
リコンウエハの接触面すなわち研磨が実際に進行してい
る部分の温度を少なくとも35℃以上に制御して研磨加
工することで研磨速度が急速に増大し、シリカを主成分
とする研磨用成形体の利点を有効に発揮させるために好
ましく、さらに65℃以上とすることでこの効果がより
いっそう高まるために好ましい。特に、従来の研磨布を
用いた研磨加工の際に生じることがあったヘイズと呼ば
れる欠陥を極力避けるために65〜85℃が好ましい。
【0029】一方、この接触面の温度が35℃未満では
研磨加工は行うことができるが、35℃以上の場合に比
べて研磨速度が劣るために研磨作業の効率が低くなるの
で好ましくない。
【0030】ここで研磨用成形体とシリコンウエハの接
触面とは、シリコンウエハを研磨装置の定盤部に設置・
固定された研磨用成形体に押しつけ、研磨用成形体、シ
リコンウエハを摺擦運動させながら研磨加工する際の摺
擦部分のことである。
【0031】研磨用成形体とシリコンウエハの接触面の
温度を35℃以上に制御する方法は特に限定されるもの
ではないが、例えば、研磨の際に用いられる研磨液の温
度を35℃以上とするために、加工中の温度低下を勘案
して供給される研磨液の温度を加工中の放熱分だけ高温
にした研磨液を用いる方法、研磨用定盤を35℃以上に
設定することで接触面とその近傍の温度を制御する方
法、研磨加工作業を実施する周辺の環境を35℃以上に
する方法、などが挙げられ、さらにこれらの方法を単独
のみならず適宜組み合わせて実施することもできる。
尚、研磨用成形体とシリコンウエハの接触面の温度を直
接測定するには、例えば、赤外線放射温度計などにより
測定すればよい。
【0032】本発明の方法において用いられる研磨液と
しては、通常の研磨加工プロセスで用いられる研磨液で
あれば特に限定されるものではなく、水、水酸化カリウ
ム水溶液等のアルカリ水溶液などの遊離砥粒を含有しな
い研磨液を用いることが好ましく、また、必要に応じて
コロイダルシリカを水等で希釈した研磨液等のように遊
離砥粒を含んだ研磨液を用いることもできる。本発明の
方法においては、研磨砥粒を用いる場合、その濃度は従
来の方法で用いられるよりも低い濃度で用いることがで
きる。
【0033】その研磨液のpHとしては特に限定される
ものではないが、シリコンウエハの研磨加工において
は、研磨装置への影響や研磨効率の観点から酸性や中性
の研磨液よりも前述のアルカリ性溶液が用いられ、その
pHは9より大きい研磨液を用いると研磨速度の向上に
有効であるため好ましく用いられる。そして、このよう
なアルカリ性の研磨液の温度を35℃以上にすることに
より、研磨速度が顕著に向上でき、研磨作業の効率化が
達成できる。
【0034】本発明の研磨方法においては研磨布を用い
ないため、研磨中に従来の方法においてみられたような
研磨布の性能劣化によるその取り替え等による研磨作業
の中断を著しく減ずることができ、研磨作業の効率化が
達成でき、さらにシリコンウエハ外周部の面だれを防止
できるという利点を有している。さらに、従来の研磨布
を用いた方法において生じる遊離砥粒を含んだ研磨廃液
については、本発明の研磨方法を用いることで遊離砥粒
を用いなくても研磨することが可能となって研磨廃液中
の遊離砥粒がなくなり、廃液処理の問題が軽減される。
また、たとえ遊離砥粒を含有する研磨液を用いた場合で
も、従来の方法の場合よりも希薄な遊離砥粒濃度で従来
の方法と同程度の研磨加工の仕上がりとすることができ
るため廃液処理の問題が軽減される。
【0035】研磨布を用いた従来の方法では、シリコン
ウエハの研磨加工時の通常加工圧力波100〜500g
f/cm2程度であった。本発明の研磨方法でも研磨布
を用いた従来の研磨方法と同様の加工圧力を用いること
ができるが、本発明の研磨方法では面だれ現象が非常に
少ないために研磨速度がより向上する高い加工圧力を用
いることが可能であり、研磨用成形体の耐えられる限界
(1000gf/cm2以上)までの加工圧力での研磨
加工が可能である。さらに、従来用いられていた研磨布
による方法よりも高い500gf/cm2以上の加工圧
力のもとで、研磨用成形体とシリコンウエハの接触面の
温度を35℃以上としてシリコンウエハを研磨すること
で従来の方法と比較してよりいっそう研磨速度を向上で
き、実用面からは、500〜1000gf/cm2の加
工圧力の範囲が好ましく用いられる。
【0036】本明細書でいう加工圧力とは、研磨加工の
際のある時点で加えた荷重をシリコンウエハの最終的研
磨面の表面積で除した値をいう。
【0037】本発明の研磨方法は、シリコンウエハの研
磨加工の他にシリコンウエハのように化学研磨液と化学
的に反応して研磨加工されるメカニズムを有する材料、
例えばやガリウムリン、ガリウム砒素等の化合物半導体
基板等の研磨加工プロセス、また、CMP(化学的機械
的研磨)プロセスなどにも有用である。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、各評価は以下に示した方法によって実施し
た。
【0039】〜シリカ含量〜 シリカ粉末の水分量、灼熱減量(Loss on Ig
nition、以下「Igロス」という)、Al23
Fe23、TiO2、CaO、MgO及びNa2Oを以下
に示す方法により測定した。シリカ粉末の全量より水分
量を除いた残り分の重量(不含水量)よりIgロス、A
23、Fe23、TiO2、CaO、MgO及びNa2
Oの合計重量を差し引いた重量をシリカ含量とし、重量
%にて求めた。
【0040】水分量は、シリカ粉末を105℃、2時間
の加熱処理による処理前後の重量変化により求めた。
【0041】Igロスは、シリカ粉末を105℃、2時
間加熱して水分を取り除いた試料を基に、さらに100
0℃で加熱処理し、その処理前後の重量変化より求め
た。
【0042】Al23、Fe23、TiO2、CaO、
MgO及びNa2Oの量は、シリカ粉末を105℃、2
時間加熱して水分を取り除いた試料を基にし、これを溶
解させた後、ICP法で測定して求めた。
【0043】〜示差熱重量分析〜 研磨用成形体を示差熱重量分析計((株)リガク、型
式:TAS−100)を用い、昇温速度10℃/分にて
測定したところ、室温から1200℃の範囲において重
量の減少は認められず、研磨用成形体を製造する際に用
いられたバインダー等の添加剤は消失してしまっている
ことを確認した。
【0044】〜かさ密度〜 100mm×100mm×15mm(厚さ)の平板状試
料を作製し、サンプルとした。このサンプルを電子天秤
で測定した重量と、マイクロメータで測定した形状寸法
とから算出した。
【0045】〜平均粒子径〜 研磨用成形体の一部を、走査型電子顕微鏡ISI DS
−130(明石製作所製)で観察し、シリカ粒子部分の
みを考慮してインタセプト法により求めた。
【0046】〜BET比表面積〜 研磨用成形体を砕いた後、MONOSORB(米国QU
ANTACHROME社製)を用い、BET式1点法に
より測定した。
【0047】〜圧縮強度〜 JIS−R−1608に準拠し、研磨用成形体の試験片
(10mm×10mm×5mm(厚さ))を島津オート
グラフIS−10T(島津製作所製)を用い、クロスヘ
ッド速度0.5mm/分で負荷を加えて測定した。
【0048】〜研磨試験〜 直径25mm、厚さ5mmの研磨用成形体500個を接
着剤を用いて樹脂製付帯部材(610mmφ)に接着し
た後、この付帯部材を片面ポリッシングマシン(スピー
ドファム製、SH−24)の金属製定盤に固定し、研磨
用成形体の表面を平坦に整えた。定盤へのシリコンウエ
ハを所定の加工圧力のもとで、直径8インチのシリコン
ウエハ、研磨液として所定温度のpH=10の水酸化カ
リウム水溶液を用いて、研磨液流量を500ml/分の
速度で滴下して循環使用しながら研磨試験を実施した。
【0049】〜加工精度〜 研磨後のシリコンウエハ(Siウエハφ200mm)を
純水で洗浄した後、平坦度測定機(ADE製、型式:U
ltra scan 9500)を用いてTTV(To
tal thickness variation)及
びSTIR(Site total indicato
r reading)を測定した。尚、STIRはセル
サイズ 25×25mmで、ウエハ1枚あたり54セル
測定し、54セル中の最大の値を示す。
【0050】〜Edge exclusionによる面
だれ評価〜 研磨後のシリコンウエハを純水で洗浄した後、加工精度
を測定した測定機を用いて、クロスセクション図による
面だれを測定した。合わせて、表面粗さ計(Taylo
r Hobson製、Talysurf6)を用いて、
ウエハ外周とそれより1mm内側の高さ変化を測定し
た。
【0051】<研磨用成形体の製造>研磨用成形体1の
製造 表1に示す特性の原料シリカ粉末にバインダーを添加、
混合してスラリー化した。このスラリーをスプレードラ
イヤーを用いて造粒粉末を調製し、さらにバインダーを
混合して成形用原料粉末とした。この成形用原料粉末を
成形してシリカ成形体を得、焼成炉で焼成して表2に示
される特性の研磨用成形体を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】研磨用成形体2の製造 実施例1と同様の手法により表2に示される特性の研磨
用成形体を得た。
【0055】研磨用成形体3の製造 実施例1と同様の手法により表2に示される特性の研磨
用成形体を得た。
【0056】研磨用成形体4の製造 実施例1と同様にして造粒粉末を得、この造粒粉末を成
形してシリカ成形体を得た。これを焼成炉で焼成して表
2に示される特性の研磨用成形体を得た。
【0057】研磨用成形体5の製造 表1に示した原料シリカ粉末を用いた以外は実施例1と
同様にして表2に示される特性の研磨用成形体を得た。
【0058】<シリコンウエハの研磨>以上のようにし
て得た研磨用成形体を用い、前記記載の方法を用い、所
定の加工圧力のもとで研磨液の温度を変えて研磨試験を
実施した。
【0059】実施例1及び比較例1 研磨用成形体1を用い、加工圧力250gf/cm2
て、実施例1では研磨液の温度を60℃に、比較例1で
は研磨液の温度を30℃にして研磨試験を実施した。研
磨後、シリコンウエハの表面を顕微鏡(OLYMPUS
製、型式:BH−2)で観察した。評価に際しては、極
めて平滑でスクラッチ等のない良好な面である場合を
○、平滑にもならずに研磨加工できない場合を×とし
た。
【0060】以上の研磨試験時に用いた研磨用成形体、
加工圧力、研磨液の温度とともに、研磨試験の結果とし
て上記の高照度斜光検査及び顕微鏡観察による評価結果
及び研磨速度、さらに前記記載の方法により評価した加
工精度を表3に合わせて示した。
【0061】
【表3】
【0062】表3の結果より、加工圧力250gf/c
2において、研磨されたシリコンウエハの表面は良好
であり、さらに研磨速度は研磨液の温度を高めることで
速くなることが分かった。
【0063】実施例2、3及び比較例2、3 加工圧力400gf/cm2にて研磨試験を実施した。
表4に示される研磨用成形体、研磨液の温度にて研磨試
験を実施し、実施例1と同様に評価し、加工条件、評価
結果を表4に、さらに実施例2については面だれの評価
も実施し、その結果を表4に合わせて示した。
【0064】
【表4】
【0065】表4の結果より、加工圧力400gf/c
2において、研磨されたシリコンウエハの表面は良好
であり、さらに研磨速度は研磨液の温度を高めることで
速くなることが分かった。
【0066】実施例4〜8及び比較例4〜8 加工圧力600gf/cm2にて研磨試験を実施した。
表5に示される研磨用成形体、研磨液の温度にて研磨試
験を実施し、実施例1と同様に評価し、加工条件、評価
結果を表5に示した。
【0067】
【表5】
【0068】表5の結果より、加工圧力600gf/c
2において、研磨されたシリコンウエハの表面は良好
であり、さらに研磨速度は研磨液の温度を高めることで
速くなることが分かった。
【0069】実施例9〜11及び比較例9 加工圧力800gf/cm2にて研磨試験を実施した。
表6に示される研磨用成形体、研磨液の温度にて研磨試
験を実施し、実施例1と同様に評価し、加工条件、評価
結果を表6に示した。
【0070】
【表6】
【0071】表6の結果より、加工圧力800gf/c
2において、研磨されたシリコンウエハの表面は良好
であり、さらに研磨速度は研磨液の温度を高めることで
速くなることが分かった。
【0072】比較例10 片面ポリッシングマシン(スピードファム製、SH−2
4)の金属製定盤に研磨布SUBA−600(ロデール
社製)を貼付した後、定盤へのシリコンウエハの加工圧
力250gf/cm2のもとで、直径8インチのシリコ
ンウエハを用い、市販の研磨剤NALCO2350(ロ
デール社製)を10倍容積の蒸留水で希釈したものを研
磨液として用いて、液温30℃、pH=10、流量50
0ml/分で滴下しながら研磨試験を実施し、研磨条件
及び面だれの結果を表7に示した。
【0073】
【表7】
【0074】実施例1〜11と比較例10から、本発明
の研磨方法によって得られるシリコンウエハは研磨布を
用いた従来の研磨方法で得られるシリコンウエハとほぼ
同等の加工精度を有しており、かつ比較例10によるも
のと比べて面だれが非常に少ないことが分かった。
【0075】
【発明の効果】本発明の研磨方法は、従来法の研磨加工
プロセスで見られた遊離砥粒を大量に含有する研磨廃液
を生じることがなく、研磨布を用いた従来法と同程度の
表面精度にシリコンウエハを研磨加工することができ、
またシリコンウエハの研磨速度を一段と向上させ、面だ
れ現象を抑制することができるので、研磨加工プロセス
やCMP(化学的機械的研磨)プロセスの効率化に有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清野 敏廣 神奈川県綾瀬市早川2647 スピードファム (株)内 (72)発明者 井上 裕昭 神奈川県綾瀬市早川2647 スピードファム (株)内 Fターム(参考) 3C058 AA04 AA09 AC04 BA08 CB02 CB06 DA02 DA17

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコンウエハをシリカ(二酸化珪素)を
    主成分とする研磨用成形体に押しつけ、前記研磨用成形
    体及び/又は前記シリコンウエハを摺擦運動させながら
    研磨液を加えつつシリコンウエハを研磨する研磨方法に
    おいて、前記研磨用成形体と前記シリコンウエハとの接
    触面の温度を35℃以上にして研磨を行うことを特徴と
    するシリコンウエハの研磨方法。
  2. 【請求項2】研磨液としてアルカリ水溶液を用いること
    を特徴とする請求項1に記載のシリコンウエハの研磨方
    法。
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