JP3843545B2 - 研磨用成形体、それを用いた研磨用定盤及び研磨方法 - Google Patents

研磨用成形体、それを用いた研磨用定盤及び研磨方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエハー、酸化物基板等の基板材料や光学材料などを研磨する方法で使用される研磨用成形体、それを用いた研磨用定盤及び研磨方法に関するものである。更に詳しくは、シリカ超微粉末を成形したシリカ成形体を焼成等の加工を施して得られる研磨用成形体、それを用いた研磨用定盤及び研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりシリコンウエハー、酸化物基板などの基板材料等の研磨加工プロセスでは、材料の表面にコロイダルシリカあるいは酸化セリウム等の遊離砥粒を水酸化カリウム等の化学薬品に調合した研磨液を連続的に流しながら不織布タイプやスウエードタイプ等のポリッシングパッドで磨くことによって仕上げており、例えば、特開平5−154760、特開平7−326597には種々の研磨剤と研磨布を用いてシリコンウエハーの研磨を実施することが開示されている。しかし、このような方法による場合、遊離砥粒を含んだ研磨剤を使用するために研磨処理後に大量の遊離砥粒を含有する研磨廃液が生じ、その処理等については研磨処理の効率、廃液処理の設備面、環境への影響を考慮すると改善されるべきものであった。又、研磨処理において、研磨布は目詰り等の性能劣化を生じるために新たなものへと取り替える必要が生じ、研磨処理作業の効率化の面での課題もあった。
【0003】
さらに、従来の研磨布を用いた研磨方法により研磨された材料(以下、「被研磨材料」という)では、研磨布の表面が柔らかいために被研磨材料の端部の角が研磨中に研磨され過ぎ、被研磨材料の全面を一様に研磨できないという非効率的な仕上がりとなってしまう欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の方法により研磨加工を行なった場合、研磨中に生じる研磨廃液の処理の問題、被研磨材料の有効利用、研磨作業の効率といった問題が生じており、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。その目的はシリコンウエハー等の半導体基板、酸化物基板などの基板材料や精密加工を要する光学材料などを研磨する加工プロセスにおいて、遊離砥粒を含まないか少量の遊離砥粒を含む研磨液を使用することで廃液の問題を軽減し、従来の方法と同程度以上の研磨仕上げで、被研磨材料を効率良く研磨でき、かつ研磨処理における研磨用成形体の耐久性もあるために研磨作業を効率化できる研磨用成形体、それを用いた研磨用定盤及び研磨方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、シリカ超微粉末を用いて成形したシリカ成形体を加工して研磨用成形体として用いることで以下の知見を見出だした。
【0006】
1)研磨の際に、研磨用成形体の表面が、その原料であるシリカ超微粉末により粗面となっており、これと被研磨材料とが直接接触するために、コロイダルシリカあるいは酸化セリウム等の遊離砥粒を含まない研磨液を使用して基板材料等の研磨加工プロセスへの適用が可能となり、しかもその際に成形体の粒子の脱落が非常に少なくなり、廃液の問題が軽減される。
【0007】
2)研磨用成形体の強度が高いために研磨加工プロセスにおいても耐久性があり、そのため長期に渡って取換え無しで研磨作業を実施できる。
【0008】
3)研磨された被研磨材料の仕上がりが従来の方法と同程度以上であり、研磨速度の面でも同等であって、研磨性能の経時的な劣化が少ない。
【0009】
4)たとえ遊離砥粒を含有する研磨剤を用いた場合でも、従来の方法よりも希薄な遊離砥粒濃度で研磨速度が向上する。
【0010】
このように、本発明の研磨用成形体、それを用いた研磨用定盤及び研磨方法を用いることでこれらの優れた点を見出だし、本発明を完成するに至った。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する.
<研磨用成形体の特性>
本発明の研磨用成形体は、主としてシリカ(二酸化珪素)からなり、かさ密度が0.2g/cm3以上1.5g/cm3以下、BET比表面積が10m2/g以上400m2/g以下、かつ平均粒子径が0.001μm以上0.5μm以下である。
【0012】
主としてシリカとは、シリカ成分が全量の90重量%以上有するものが好ましく用いられ、例えば、その種類として、乾式法シリカ、湿式法シリカなどが例示できる。ここでいうシリカ成分とはシリカ含量を意味しており、実施例において示されるように、原料のシリカ粉末全量より水分を除いた残りの分を基準として計算され、不純分として灼熱含量、酸化物等がある。
【0013】
研磨用成形体のかさ密度の範囲としては、研磨中における研磨用成形体の形状を保持し、効率的に被研磨材料の平滑な面を得るために0.2g/cm3以上1.5g/cm3以下の範囲が好ましく、さらに0.4g/cm3以上0.9g/cm3以下の範囲が好ましい。かさ密度が0.2g/cm3を下回るとその形状を保てないほど形状保持性が悪くなるために研磨中に成形体自身が磨耗しやすくなり好ましくない。また、1.5g/cm3を上回ると、逆に成形体自身の強度が高くなり過ぎ、被研磨材料が研磨中に損傷したり、研磨により研磨用成形体の表面が滑らかになり過ぎて研磨速度が低下するため好ましくない。
【0014】
研磨用成形体のBET比表面積の範囲としては、研磨中における研磨用成形体の形状を保持し、被研磨材料の平滑な面を得るために10m2/g以上400m2/g以下の範囲が好ましく、さらに10m2/g以上200m2/g以下、特に10m2/g以上100m2/g以下の範囲が好ましい。BET比表面積が400m2/gを越えると研磨用成形体の形状を保てないほど形状保持性が悪くなるために研磨中に成形体自身が磨耗しやすくなり好ましくない。また、10m2/gを下回ると、逆に成形体自身の強度が高くなり過ぎ、被研磨材料が研磨中に損傷したり、研磨により研磨用成形体の表面が滑らかになり過ぎて研磨速度が低下するため好ましくない。
【0015】
研磨用成形体の平均粒子径の範囲としては、多孔体への成形を容易にし、被研磨材料の平滑な面を得るために0.001μm以上0.5μm以下、さらに0.01μm以上0.3μm以下、特に0.03μm以上0.2μm以下の範囲が好ましい。平均粒子径が0.001μmよりも小さくなると原料粉末の1次粒子径が0.001μmよりも小さくなり、多孔体に成形することが非常に難しくなるために実用に供しえなくなり、0.5μmよりも大きくなると被研磨材料に欠陥を生じる等の問題が生じることがあり好ましくない。ここでいう平均粒子径とは、研磨用成形体表面のシリカ微粒子の粒子径を意味しており、例えば実施例に記載の通り、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより測定できる。
【0016】
上記特性を有する研磨用成形体の積算総細孔容積は、研磨中における研磨用成形体の形状を保持し、被研磨材料の平滑な面を得るために0.3cm3/g以上4cm3/g以下であることが好ましい。また、研磨用成形体の細孔分布としては、細孔径1μm以下である細孔の積算細孔容積が研磨用成形体の積算総細孔容積の80%以上であり、細孔径0.1μm以下である細孔の積算細孔容積が成形体の積算総細孔容積の10%以上であり、細孔モード径が0.01μm以上0.3μm以下であり、細孔メジアン径が0.01μm以上0.3μm以下であることが好ましい。この理由としては、この範囲にあれば、研磨中において研磨用成形体の形状を保持し、さらに被研磨材料の平滑な面を得ることができるからである。
【0017】
本明細書において、細孔モード径とは微分細孔分布において微分値が最大となるところの細孔径を意味し、また、細孔メジアン径とは積分細孔分布において積算総細孔容積の最小値と最大値の中央値に対応する細孔径を意味する。なお、細孔モード径、細孔メジアン径は体積基準である。
【0018】
<研磨用成形体の製造法>
本発明の研磨用成形体は、シリカ微粒子を用いて成形されたシリカ成形体を焼成等の加工処理により成形体としたものであり、上記記載の特性を有するものであれば特に限定されるものではない。ここで、シリカ成形体は、例えば原料粉末に圧力をかけて成形することにより作製できる。圧力をかけて成形する場合、例えばプレス成形等の成形法が例示でき、その圧力条件としては、得られる成形体の形状を保持するために通常5kg/cm2以上の圧力が好ましく用いられ、さらに10kg/cm2以上の圧力が好ましく用いられる。
【0019】
さらに、原料粉末の成形性を向上させるために原料粉末に処理を施しても良い。その処理の方法としては、例えばプレス成形などで予備成形した後、ふるい等を用いて分級する方法などが挙げられる。予備成形の際の圧力としては、粉末の性状等に左右され一定しないが、通常5kg/cm2以上1000kg/cm2以下で十分である。また、同様に原料粉末の成形性を向上させるため、スプレ−ドライ法や転動法などにより造粒したり、バインダ−、ワックス等を添加してもよい。
【0020】
また、原料粉末よりシリカ成形体への成形性を向上させるために成形前に原料粉末へワックスやバインダ−などの有機物を添加する場合には、研磨用成形体への加工に際し、脱脂することが好ましい。脱脂の方法は特に限定されるものではないが、例えば大気雰囲気下での加熱による脱脂、又は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気中での加熱脱脂などが挙げられる。この時の雰囲気ガスの圧力は加圧下又は常圧下、場合によっては減圧下であっても良い。また、同様に、成形性を向上させるために、水分を添加し、その後の焼成操作の前に乾燥させることもできる。
【0021】
次に、バインダーを取り除いた成形体は、一般的には強度が脆くなっているため、その強度を上げ、研磨用定盤としての耐久性を向上させるために、代表的な方法として加熱による焼成を行なうことが好ましい。しかし、耐久性を向上させる方法としては、加熱焼成に限定されるものではない。
【0022】
このようにシリカ成形体より研磨用成形体への加工方法としては、加熱脱脂、加熱焼成、機械加工等による方法が例示できるが、研磨用成形体として研磨作業に使用できる強度を付与できる加工方法であれば特に限定されるものではない。
【0023】
<研磨用定盤の構成>
次に、この研磨用成形体を研磨用の定盤として組み込み、さらにこれを用いて研磨する方法について説明する。
【0024】
まず、研磨用成形体と研磨用の付帯部品とを用いて研磨用定盤が形成される。
【0025】
ここで、付帯部品とは研磨用定盤を構成する種々の材質、形状の構造体であり、この付帯部品に対して研磨用成形体を以下に示される手法により配置し、固定することで研磨用定盤が形成される。両者の固定の方法としては、弾性接着剤等の接着剤を用いて接着して固定する方法、付帯部品に凹凸を形成させ、その固定場所へ埋め込む方法など、本発明の目的を達成できる方法であれば制限なく用いることができる。
【0026】
研磨用成形体を研磨用の付帯部品へ固定する際の研磨用成形体の個数については、1個又は2個以上用いればよく、さらに2個以上用いることが好ましい。この理由としては、1)研磨加工プロセスにおいて用いられる研磨液を研磨中に適切に排出することで研磨速度を向上させるためである。このため、研磨用成形体を2個以上用いて研磨用定盤を形成させた場合には、研磨用成形体の間の隙間より研磨液の排出ができる。また、1個を用いた場合には、成形体の研磨面の側に研磨液を排出できる適当な溝の構造を持たせることが好ましい。2)また、研磨用成形体を2個以上用いて研磨用定盤を形成させた場合には、被研磨材料への当たりが良くなり、被研磨材料全面の研磨速度に偏りなく、効率よく研磨できるようになる。
【0027】
用いられる研磨用成形体の形状は特に限定されるものではなく、研磨用成形体が研磨用の付帯部品へ装着できるものであればどのような形状のものも採用できる。例えば円柱状ペレットや、四角柱状ペレット,三角柱状ペレットなどの角柱状ペレット等を例示でき、さらには、被研磨材料との接触面が直線と曲線を組み合わせてできるあらゆる形状のものも例示できる。又、その大きさは通常用いられる範囲であれば特に限定されるものではなく、研磨用定盤中の研磨用成形体を組み込むための付帯部品の大きさに応じて決められる。
【0028】
例えば、通常、付帯部品の大きさはその径として200mm以上800mm以下程度のものが使用されるが、研磨用成形体を1個用いる場合には、用いる付帯部品の大きさよりも若干小さく、その中に収まる大きさであれば良い。また、2個以上の研磨用成形体を用いる場合には、使用する個数にもよるが、一辺が5mm以上100mm以下の角程度の範囲内に収まる大きさであることが実用上好ましい。例えば、円柱状ペレットでは直径5mm以上100mm以下、四角柱状ペレットでは一辺が5mm以上100mm以下の範囲となる。一辺が5mm角の範囲よりも小さい場合でも研磨用定盤としての機能を十分に有するが、配列個数が非常に多くなって実用的でない場合があり、一辺が100mm角の範囲よりも大きい場合にも研磨用定盤としての機能を十分に有するが、研磨用成形体を2個以上配列する効果が小さくなることがある。また、大きさについては、研磨用成形体の研磨面の側に溝加工などを施せば、その好ましい大きさを大きくして実施することもできる。
【0029】
さらに、この研磨用成形体の厚さ、すなわち研磨用の付帯部品に対して垂直方向となる長さは特に限定されるものではないが、3mm以上20mm以下の範囲内であることが好ましい。この理由として、3mmより小さい場合には研磨用定盤としての機能を十分に有するが研磨加工の際の成形体の強度を考慮すると実用的でないことがあり、厚さが20mmよりも大きい場合には研磨用定盤としての機能を十分に有するが、研磨用定盤としての大きさが大きくなり過ぎて実用的でないことがある。
【0030】
上記記載の研磨用成形体を配列する具体的な個数としては、研磨用成形体個々の大きさ、研磨用成形体を研磨加工プロセスで使用するために当然配列しなければならない場所(例えば研磨装置の回転定盤など)の大きさ等により一概に限定することはできないが、研磨用成形体を配列すべき場所の総面積に対する研磨用成形体の研磨面(研磨加工時に被研磨材料に接触する面、以下同じ)の総面積の割合で表すと95%以下であることが好ましい。この割合が95%を超えるということは研磨速度の面で大きな研磨用成形体を1個を使用した場合とあまり変わらなくなり、研磨用成形体を2個以上配列して研磨用定盤とする効果が小さくなってしまう。この割合の下限値は特に限定されるものではないが、小さすぎると研磨用成形体の研磨面の総面積が小さくなることを意味しており、30%程度以上が実用的である。
【0031】
さらに、研磨用成形体を研磨用定盤へ組み込む際の配列の仕方としては、研磨用成形体を研磨加工プロセスで使用できるために当然配列しなければならない場所(例えば研磨装置の回転定盤など)の全面にわたって偏りなく配列されていれば特に限定されるものではなく、ランダムであってもかまわないが、被研磨材料の研磨位置により研磨効率が影響されないようにするためには、研磨用定盤又は付帯部品の中心線に対して左右対称になるように配置することが好ましい。ここで、中心線とは、研磨用定盤又は付帯部品において、中心となる位置を決めておき、これを通過する任意の線を意味する。
【0032】
例えば、この配置の具体的な態様を図により更に説明すると、図1には研磨用成形体として、2、3、4、5、6で示される大きさの異なる5種類の円柱状のペレットを研磨用成形体として用い、これらの定盤へ装着例が挙げられている。図1においては、金属製定盤1の中の外側部の同心円の円周上に最も大きな研磨用成形体2を、次いで次に大きな研磨用成形体3をその内側に、その後順次小さな成形体が配置されている。この配列、順序については特に限定されるものではなく、例えば、順序としては逆でもよく、又、これらを任意の順序としてもよく、更に、大きさの異なる研磨用成形体を同心円の円周上ではなく、任意の配列としても良い。これらの内、配列の設計の容易さから研磨用成形体を定盤中に同心円上に配列することが好ましく、特に、同じ同心円上には同じ大きさの研磨用成形体を配列することが好ましい。又、研磨用成形体の大きさとしては図1の例の5種ではなく、例えば1種類のものを2個以上配列させても良く、その配列についても、円周の数によるものではなく、研磨用成形体の研磨面が定盤が回転する際に被研磨材料の研磨面をカバーできていさえすればよい。
【0033】
又、図2には研磨用成形体として8で示される2個以上の同じ大きさの角柱状のペレットを用いた定盤へ装着例が挙げられており、金属製定盤7にこれらの研磨用成形体8が配置されている。これらの研磨用成形体の金属製定盤への配置において、一方向へ並べる配置をとっている以外は図1における場合と同様な態様、効果となる。
【0034】
研磨用成形体を2個以上用いる場合、その種類については、かさ密度が2種以上の異なるものを用いることが好ましい。さらに、上記記載の特性を有する研磨用成形体を、以下に示すかさ密度が少なくとも2種以上の異なるものによりグループに分類し、これら2つのグループのものを組み合わせたものを用いることが好ましい。
【0035】
グループI :かさ密度が0.7g/cm3以上1.5g/cm3以下
グループII:かさ密度が0.2g/cm3以上0.7g/cm3未満
このようにグループ分けした理由は、シリカを主成分とする研磨用成形体からなる研磨用定盤の特性上、かさ密度の増加とともに研磨の実施に対する耐久性は向上するが、かさ密度が小さいシリカを主成分とする研磨用成形体は耐久性が必ずしも十分であるとはいえない場合があった。そこで、かさ密度が異なる成形体を用いて研磨用定盤の構造とすることにより、かさ密度が小さい場合においても耐久性を備えることができるようになったためであると思われる。しかしながら、このような推定は本発明をなんら拘束するものではない。
【0036】
上記特徴を有する研磨用成形体を研磨用定盤として固定する際には、研磨用成形体の研磨面(研磨加工時に被研磨材料に接触する面、以下同じ)の総面積に対し、グループIの研磨面の面積が30%以上90%以下であることが好ましい。このとき、グループIIの研磨面の面積は必然的に総面積に対して10%以上70%以下となる。グループIの研磨面の面積の比率が全体に対して30%よりも小さくなると耐久性が不十分となることがあり、90%よりも大きくなると研磨速度の向上の効果が小さくなる場合がある。
【0037】
本発明において用いられる研磨用成形体を研磨用定盤として配置する際の配置方法の態様としては、上記記載の研磨用成形体の特性を有するものを組み合わせるのであれば特に限定されるものではなく、例えば、研磨用成形体の小片を組み合わせて一体化する方法、大きな円板に埋め込む方法などが挙げられるが、かさ密度の異なる研磨用成形体からなる小片を組み合わせて定盤として一体化することが最も容易である。ここで、小片の形状としては、円柱状ペレット、角柱状ペレットなどが例示でき、その個々の小片の大きさ、外形としては、同じであっても異なっても良いが、外形については同一である方が組み合わせが容易となるため、好ましい。
【0038】
さらに、この小片の組み合わせ方法、すなわちその配置方法としては、特に限定されるものではないが、グループIIの部分の周囲の一部を必ずグループIの部分で囲まれているように小片を組み合わせて定盤として配置することがより好ましい。この理由としては、グループIIの部分の隣接位置の少なくとも一方を必ずグループIの部分が位置することにより、相対的に研磨加工の際の耐久性が小さいグループIIの部分に対して協同的な役割を果たすことができるからである。その具体的な役割としては、グループIIの成形体は研磨中その表面が徐々に磨耗し、その際に生じる微粒子が研磨の際に研磨速度を向上させるために働き、さらにグループIとグループIIの成形体が交互に配置されているためにグループIIの成形体の磨耗速度をある程度抑えるものと思われる。しかしながら、このような推察は本発明をなんら限定するものではない。
【0039】
また、図3には研磨用成形体として円柱状のペレットを用いた定盤へ装着例が挙げられており、金属製定盤9に上記記載のかさ密度がグループIの特性を有する大きさの異なる5種の研磨用成形体10、11、12、13、14とグループIIの特性を有する大きさの異なる5種の研磨用成形体15、16、17、18、19が配置されている。これらの研磨用成形体は金属製定盤9に2個以上配置され、研磨加工の際に被研磨材料と研磨用成形体が直接接触できるようになっている。
【0040】
ここで、図3においては、金属製定盤9の中の外側部の同心円の円周上に最も大きな研磨用成形体10及び15を、次いで次に大きな研磨用成形体11及び16をその内側に、その後順次小さな成形体が配置されている。この順序は逆でもよく、また、これらを任意の順序としてもよく、さらに、大きさの異なる研磨用成形体を同心円の円周上ではなく、任意の配列としても良い。この内、配列の設計の容易さから研磨用成形体を定盤中に同心円の円周上に配列することが好ましく、特に、同じ円周上には同じ大きさの研磨用成形体を配列することが好ましい。又、研磨用成形体の大きさとしては図3の例の5種ではなく、例えば1種類の大きさのものを2個以上配列させても良く、その配列についても、円周の数によるものではなく、研磨用成形体の研磨面が定盤が回転する際に被研磨材料の研磨面をカバーできていさえすればよい。
【0041】
又、図4には研磨用成形体として角柱状のペレットを用いた定盤へ装着例が挙げられており、金属製定盤20にグループIの特性を有する大きさの同じ研磨用成形体21とグループIIの特性を有する大きさの同じ研磨用成形体22が配置されている。これら研磨用成形体は、研磨用成形体の金属製定盤への配置において、一方向へ並べる配置をとっている以外は上記の図3における説明と同様な態様、効果となる。
【0042】
このような研磨用成形体を2個以上研磨用定盤へ配列させる場合には配置された研磨用成形体の研磨面を被研磨材料の形状に合うように整えることが望ましい。この場合、付帯部品についてその形状に合ったものを選択しても良い。例えば、被研磨材料表面が平坦な場合にはその研磨用成形体の被研磨材料との接触面を平坦化することが望ましく、曲面状の場合にはそれに合った曲面状とすることが望ましい。これは、得られた研磨用定盤を用いて研磨加工する際に、被研磨材料と研磨用成形体が直接接触できるようになっているため、その接触面を多く取ることができるようにするためである。特に平坦化する場合は、研磨用定盤からの垂直方向の高さに対してばらつきがないように配置することが好ましい。
【0043】
実際の研磨加工プロセスにおいては、金属製定盤と共に研磨用成形体が被研磨材料に対して適切な圧力により押しつけられ、回転しながら研磨される部分の加工を実施することとなる。従って、研磨用成形体の金属製定盤における配置においては、上記記載のようにグループIの特性を有する研磨用成形体が、グループIIの特性を有する研磨用成形体が研磨加工の際の耐久性を補助できるように、グループIIの研磨用成形体の隣接位置の少なくとも一方を必ずグループIの部分が位置しており、被研磨材料の研磨面を研磨用成形体が回転によりカバーできるような配置となっていれば良い。
【0044】
研磨用成形体と金属製定盤との固定方法については、接着剤により固定したり、金属製定盤に研磨用成形体の大きさに対応した凹凸面を施し、研磨用成形体を固定しても良い。接着剤を用いて研磨用成形体と金属製定盤とを固定する場合に用いられる接着剤は本発明の目的を達成できるものであれば特に制限なく用いることができ、特に、弾性接着剤のような、研磨用成形体を定盤へ接着固定する際に生じることがあるひび、割れ等がない接着剤を用いることが好ましい。
【0045】
<研磨用定盤を用いた研磨方法>
このようにして研磨用定盤に研磨用成形体を組み込むわけであるが、本発明の研磨用定盤を用いて研磨する方法においては、定盤として研磨加工プロセスにおいて使用されるものであれば、その形状、研磨条件、研磨液等の使用等については特に限定されるものではない。例えば、研磨液を使用する場合には、従来より用いられてきた研磨液を用いることで良く、例えば水酸化カリウム水溶液のようなアルカリ水溶液などを用いることができる。ここで研磨用定盤とは、組み込まれた研磨用成形体が被研磨材料に対して直接接触して研磨するために用いられ、研磨加工プロセスにおいて十分な強度を有し、かつ被研磨材料を研磨できる性能を有しておれば良い。従って、その形状としては、被研磨材料と同じ形状を有するだけでなく、必要に応じて非平面の形状を有していても良い。例えば、平板状、円盤状、リング状、円筒状等を挙げることができる。
【0046】
また、本発明の研磨方法においては研磨布を用いないため、研磨中に従来の方法において見られた、研磨布の性能劣化によるその取換え等による研磨作業の中断については、本発明の研磨用成形体を用いることで耐久性が向上し、取り替え頻度を減少できるため研磨作業の効率化が達成できるという利点を有している。さらに、従来の研磨剤による方法において生じる遊離砥粒を含んだ研磨廃液については、本発明の研磨用成形体を用いることで遊離砥粒を用いなくなるか少量用いるだけであるため、研磨廃液中の遊離砥粒や研磨により生じた粒の量が少なくなり、廃液処理の問題が軽減される。例えば、研磨廃液に対して光を照射した場合の透過率が従来の方法におけるものよりも高くなることで、研磨廃液中に不要となった粒の混入量が少なくなることが確認できる。このような研磨廃液の問題を考慮すると、研磨廃液の600nmにおける透過率が水の10%以上、さらに40%以上にすることが特に好ましく、このような廃液の透過率となるような研磨液を用いることが望ましい。
【0047】
本発明の研磨用定盤は、シリコンウエハー,ガリウムリン,ガリウム砒素等の半導体基板、ニオブ酸リチウム,タンタル酸リチウム,ホウ酸リチウム等の酸化物基板、石英ガラス基板などの基板材料、石英ガラス、金属材料、建築分野等に使用される石材等の研磨に有用である。この内、従来の研磨布を用いた方法に比べ面だれがないために研磨された材料を有効にできることもあり、基板材料に好ましく用いられ、さらに半導体基板、酸化物基板に好ましく用いられる。特に、シリコンウエハー等の半導体基板材料のようにエッチングできる材料に対して、本発明の研磨方法と組み合わせることで、より速く研磨でき、有用である。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各評価は以下に示した方法によって実施した。
【0049】
〜シリカ含量〜
シリカ粉末の水分量、灼熱減量(Loss on Ignition、以下、「Igロス」という)と、Al23、Fe23、TiO2、CaO、MgO及びNa2Oを以下に示す方法により測定した。そして、シリカ粉末の全量より水分量を除いた残り分の重量(不含水量)をもとに、これよりIgロス、Al23、Fe23、TiO2、CaO、MgO及びNa2Oの合計重量を差し引いた重量をシリカ含量とし、重量%にて求めた。
【0050】
水分量は、シリカ粉末を105℃、2時間の加熱処理による処理前後の重量変化より求めた。
【0051】
Igロスは、シリカ粉末を105℃、2時間加熱して水分を取り除いた試料を基にし、さらに1000℃で加熱処理し、その処理前後の重量変化より求めた。
【0052】
Al23、Fe23、TiO2、CaO、MgO及びNa2Oの量は、シリカ粉末を105℃、2時間加熱して水分を取り除いた試料を基にし、これを溶解させた後、ICP法で測定して求めた。
【0053】
〜粉末かさ密度〜
JIS−K−5101のみかけ密度試験方法の静置法に準拠し、シリカ粉末を目開き0.50mmのふるいを通して分散落下させ、30.0mlのステンレス製シリンダに受け、山盛りになったところで直線状へらですり切り、シリンダ内の重量を測定し、次式(1)により求めた。
【0054】
E=W/30 (1)
式中、Eは粉末かさ密度(単位はg/ml)、Wはシリンダ内粉末重量(単位はg)、30はシリンダ内容積(単位はml)であり、粉末かさ密度の単位は以下に示す表においては、g/lに換算する。本明細書においては、測定したみかけ密度を粉末かさ密度として表記した。
【0055】
〜BET比表面積〜
粉末の場合はそのまま、成形体の場合は砕いた後、MONOSORB(米国QUANTACHROME社製)を用い、BET式1点法により測定した。
【0056】
〜粉末の平均粒子径〜
シリカ超微粉末をサンプルとし、COULTER LS130(COULTER ELECTRONICS社製)を用いて液体モジュールで測定した。測定値は体積基準である。
【0057】
〜かさ密度〜
100mm×100mm×15mm(厚さ)の平板状試料を作製し、成形体のサンプルとした。このサンプルを電子天秤で測定した重量と、マイクロメーターで測定した形状寸法とから算出した。
【0058】
〜平均粒子径〜
研磨用成形体の一部の面を平坦に調整し、その面を走査型電子顕微鏡ISIDS−130(明石製作所製)で観察し、シリカ粒子部分のみを考慮してインタセプト法により求めた。
【0059】
〜圧縮強度〜
JIS−R−1608に準拠し、10mm×10mm×5mm(厚さ)の研磨用成形体の試験片を、島津オ−トグラフIS−10T(島津製作所製)を用い、クロスヘッド速度0.5mm/分で負荷を加えて測定した。
【0060】
〜細孔構造〜
細孔構造として、細孔容積、細孔分布、細孔モード径、細孔メジアン径を測定した。すなわち、研磨用成形体を、水銀ポロシメーター(島津製作所製、ポアサイザ9320)を用い、水銀圧入法により0から270MPaの圧力範囲で測定した。水銀ポロシメーターで得られる測定値は、水銀に圧力を掛けて気孔を有する成形体サンプル中に水銀を圧入し、圧力と浸入した水銀の積算容積の関係から得られる。すなわち、ある直径を有する細孔に水銀が入るためにの圧力は、Washburnの方程式があり、この式を用いることにより、圧力と浸入した水銀の積算容積の関係が細孔の直径とその直径よりも大きな直径を有する細孔に浸入した水銀の容積の関係として求めることができる。そして、この浸入した水銀の容積は水銀の密度で除することにより、その細孔径よりも大きな細孔の容積を示す。この気孔径と気孔容積の関係は、通常水銀の表面張力、接触角や測定装置の構造からくる水銀頭などの必要な補正がなされる。このように水銀ポロシメーターで得られた細孔径と細孔の積算容積の関係からその値を求めることができる。なお、細孔モード径は微分細孔分布における微分値が最大となるところの細孔径を意味し、細孔メジアン径は積分細孔分布における積算総細孔容積の最小値と最大値の中央値に対応する細孔径を意味する値であり、体積基準の値を示した。
【0061】
〜研磨試験〜
実施例1ないし9については、直径280mm、厚さ15mmの研磨用成形体の平板状試験片を作製し、成形体の表面を平坦に整えた後、小型平面研磨装置FPM−30(コパル電子製)の金属製定盤に装着した。これを定盤回転数50rpm、定盤への被研磨材料の押圧力580g/cm2の条件のもとで、被研磨材料としてシリコンウエハー(20mm×20mm角)を用い、研磨液として30℃の水酸化カリウム水溶液(pH=12)を用いて、研磨液を150ml/時間の速度で滴下して研磨した。研磨後、シリコンウエハーの表面を顕微鏡(OLYMPUS製、型式:BH−2)で観察した。評価に際しては、極めて平滑でスクラッチ等のない良好な面である場合を○、平滑にもならずに研磨加工できない場合を×、とした。
【0062】
実施例10ないし16については、直径25mm、厚さ5mmの成形体の円柱状試験片を作製し、高速レンズ研磨装置の回転定盤(直径360mm)に96個装着し、成形体の表面を平坦に整えた(図1の円柱状ペレットの装着例に準ずる。)。これを定盤回転数100rpm、定盤への被研磨材料の所定の加工圧力のもとで、被研磨材料として直径3インチのタンタル酸リチウム基板を6枚同時に用い、研磨液として水酸化カリウム水溶液(液温:25℃、pH=12)を用いて、研磨液を100ml/分の速度で滴下して循環使用しながら、表3に示される条件にて研磨した。研磨後、タンタル酸リチウムの表面を顕微鏡(OLYMPUS製、型式:BH−2)で観察した。評価に際しては、極めて平滑でスクラッチ等のない良好な面である場合を○、平滑にもならずに研磨加工できない場合を×とした。また、研磨試験前後のタンタル酸リチウム基板の厚さをダイアルゲージで測定することにより研磨速度を算出した。
【0063】
実施例17については、市販のコロイダルシリカ(フジミインコーポレーテッド製、COMPOL80)をシリカ(二酸化珪素)含有量4重量%となるように調製した研磨液(液温:25℃、pH=12)溶液を用い、上記記載の実施例10ないし16と同様な操作を実施し、評価した。
【0064】
実施例18については、実施例17に記載の市販のコロイダルシリカの含有量を8重量%とした以外は実施例17と同様な操作を実施し、評価した。
【0065】
実施例19ないし23については、直径25mm、厚さ5mmの成形体の円柱状試験片を各実施例でそれぞれ2種類作製し、成形体の表面を平坦に整えた後、小型平面研磨装置FPM−30(コパル電子製)の金属製定盤にグループIIの成形体の隣接位置の少なくとも一方にグループIの成形体が位置するような図1に示されるような配置により装着して、研磨用定盤とする。以下に示す表2には、使用したグループI及びIIの研磨用成形体の各々の個数が示されている。これを定盤回転数50rpm、定盤への被研磨材料の加工圧力150g/cm2の条件のもとで、被研磨材料としてニオブ酸リチウム(20mm×20mm角)を用い、研磨液として30℃の水酸化カリウム水溶液(pH=12)を用いて、研磨液を150ml/時間の速度で滴下して研磨した。研磨後、ニオブ酸リチウムの表面を顕微鏡(OLYMPUS製、型式:BH−2)で観察した。評価に際しては、極めて平滑でスクラッチ等のない良好な面である場合を○、平滑にもならずに研磨加工できない場合を×とした。
【0066】
〜表面精度〜
研磨処理後の被研磨材料の表面精度をJIS−B−0601に準拠して、万能表面形状測定器SE−3C(小坂研究所製)を用いて評価した。評価は中心線平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Rmax)をカットオフ値0.8mm以上、測定長さ2.5mmの条件で実施した。ここで、Raとは、中心線平均粗さを意味し、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さ(lで表す)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式(2)によって求められる値をマイクロメーター(μm)単位で表したものである。
【0067】
【数1】
Figure 0003843545
【0068】
又、Rmaxとは、最大高さを意味し、断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分の平行線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定して、この値をマイクロメーター(μm)単位で表したものである。
【0069】
〜原子間力顕微鏡(AFM)による表面粗さの測定〜
表面精度の評価に示される表面粗さをさらに精度良く測定するために、研磨処理後のタンタル酸リチウム基板の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)SPI3600(SII社製)を用い、コンタクトモードによる斥力測定法により測定した。測定はタンタル酸リチウム基板上の2μm×2μmの範囲を3領域ずつに任意に測定して平均化し、中心線平均粗さ(Ra)にて評価した。
【0070】
〜面だれの測定〜
単結晶インゴットをワイヤーソーで切断し、両面ラップをしたタンタル酸リチウム基板を研磨した。図9は、研磨を実施しなかったものであり、図10は実施例10において、図11は比較例5において、研磨を実施したものである。これらの研磨試験後のタンタル酸リチウム基板を破断面方向から走査型電子顕微鏡ISI DS−130(明石製作所製)で観察し、面だれを調べた。
【0071】
〜成形体の耐久性〜
直径280mm、厚さ15mmの研磨用成形体の平板状試験片を作製し、作製したシリカ成形体の研磨試験を継続的に行い、1時間毎に成形体を取り出してその表面状態を目視にて観察し、ひび、割れ、欠け等の破損の有無を観察した。評価に際しては成形体の破損が生じるまでの時間を調べた。
【0072】
<研磨用成形体の製造・評価>
実施例1
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力50kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得、これを焼成炉(光洋リンドバーグ社製、型式:51668)にて900℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを前記記載の評価方法により評価した。表2には得られた結果として、研磨用成形体のかさ密度、BET比表面積、平均粒子径、圧縮強度、細孔容積の測定値、細孔径分布、モ−ド径、メジアン径、得られた研磨用成形体による研磨試験結果、表面精度測定結果および耐久性試験結果を示す。
【0073】
【表1】
Figure 0003843545
【0074】
【表2】
Figure 0003843545
【0075】
実施例2
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末にパラフィンワックス(日本精蝋製、SP−0145)を原料粉末:パラフィンワックス=4:1の体積比で混合した後、150℃に30分間加熱し更に混合し混合粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得た。これを400℃、1.5kg/cm2、窒素中で加圧脱脂炉(ネムス製)を用いて加圧脱脂した後、焼成炉にて900℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表2に示した。
【0076】
実施例3
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末にパラフィンワックス(日本精蝋製、SP−0145)を原料粉末:パラフィンワックス=4:1の体積比で混合した後、150℃に30分間加熱し更に混合し混合粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得た。これを実施例2と同様の操作により研磨用成形体を得、同様に評価し、表2に示した。
【0077】
実施例4
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末に、添加物としてアクリル系バインダー(中央理化工業製、リカボンドSA−200)及びステアリン酸エマルジョン(中京油脂製、セロゾール920)を原料粉末:アクリル系バインダー(固形分換算):ステアリン酸エマルジョン(固形分換算):水分=100:17:1:251の重量比で混合してスラリー化した。このスラリーをスプレードライヤー(大川原化工機製、型式:LT−8)を用いて造粒粉末を調製し、油圧プレス機を用いてプレス成形(圧力:100kg/cm2)して直径280mmに成形してシリカ成形体を得た。これを400℃、1.5kg/cm2、窒素中で加圧脱脂炉を用いて加圧脱脂した後、焼成炉にて950℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表2に示した。
【0078】
実施例5
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力50kg/cm2にて油圧プレス機を用いて予備成形した後に32メッシュのステンレス製ふるいにより分級して、成形用の原料粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得、これを焼成炉にて900℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表2に示した。
【0079】
実施例6
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力30kg/cm2にて油圧プレス機を用いて予備成形した後に32メッシュのステンレス製ふるいにより分級して、成形用の原料粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得、これを焼成炉にて975℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表2に示した。
【0080】
実施例7
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力50kg/cm2にて油圧プレス機を用いて予備成形した後に32メッシュのステンレス製ふるいにより分級して、成形用の原料粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得、これを焼成炉にて975℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表2に示した。
【0081】
実施例8
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例6と同様の操作を実施してシリカ成形体を得、これを焼成炉にて1000℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表2に示した。
【0082】
実施例9
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力30kg/cm2にて油圧プレス機を用いて予備成形した後に32メッシュのステンレス製ふるいにより分級して、成形用の原料粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得、これを焼成炉にて1000℃で8時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表2に示した。
【0083】
比較例1
表1に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力10kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形して直径280mmのシリカ成形体を得、これを焼成炉(モトヤマ製、型式:SUPER−C)にて1300℃で2時間焼成して成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価した。表2には得られた結果として、シリカ成形体のかさ密度、BET比表面積、細孔容積の測定値と、得られた成形体による研磨試験結果、耐久性試験結果を示す。
【0084】
比較例2
スウエード系ポリッシングパッド(フジミインコーポレーテッド製、SURFIN 018−3)を小型平面研磨装置FPM−30(コパル電子製)の金属製定盤に貼付し、定盤回転数50rpm、定盤への被研磨材料の押圧力580g/cm2の条件のもとで、被研磨材料としてシリコンウエハーを用い、又、研磨剤として市販のコロイダルシリカ(フジミインコーポレーテッド製、COMPOL80)をシリカ(二酸化珪素)含有量10重量%となるように調製した研磨液(液温:30℃、pH=12)を用いて、150ml/時間の速度で滴下して研磨した。表2には得られた結果として、表面精度測定結果を示す。
【0085】
以上の実施例1〜9と、比較例1及び2の結果から、本発明の研磨用成形体を用いて研磨を実施することで、研磨加工に適用できる研磨用成形体が得られ、しかも従来の研磨方法により得られるものと同程度の被研磨材料の表面精度であることが判った。
【0086】
実施例10
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例2と同様の操作を実施して、研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0087】
【表3】
Figure 0003843545
【0088】
【表4】
Figure 0003843545
【0089】
【表5】
Figure 0003843545
【0090】
また、研磨試験により研磨された基板につき、さらに被研磨材料表面の研磨面を微細に微細に観察するために、上記記載の原子間力顕微鏡(AFM)による表面粗さの測定を実施したところ、表6及び図5の結果を得た。さらに、上記記載の面だれの測定により、被研磨材料を観察し、図8の結果を得た。
【0091】
【表6】
Figure 0003843545
【0092】
実施例11
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例1と同様の操作を実施して、研磨用成形体を得、これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0093】
実施例12
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例4と同様の操作を実施して、研磨用成形体を得、これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0094】
実施例13
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例5と同様の操作を実施して、研磨用成形体を得、これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0095】
実施例14
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例8と同様の操作を実施して、研磨用成形体を得、これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0096】
実施例15
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例6と同様の操作を実施してシリカ成形体を得た。これを実施例9と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0097】
実施例16
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例10と同様の操作を実施して、研磨用成形体を得、これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0098】
比較例3
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、比較例1と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5には得られた結果として、成形体のかさ密度、BET比表面積、細孔容積の測定値と、得られた成形体による研磨試験結果、耐久性試験結果を示す。
【0099】
比較例4
スウエード系ポリッシングパッド(フジミインコーポレーテッド製、SURFIN 018−3)を高速レンズ研磨装置の回転定盤(直径360mm)に貼付し、定盤回転数100rpm、定盤への被研磨材料の所定の加工圧力のもとで、被研磨材料としてタンタル酸リチウムを用い、研磨液として水酸化カリウム水溶液(pH=12)を用いて、研磨液を100ml/分の速度で滴下して循環使用しながら研磨した。表4、5には得られた結果として、表面精度等の測定結果を示す。特にこの場合には研磨速度が極めて遅かった。
【0100】
実施例17
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例12と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0101】
実施例18
表3に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例12と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表4、5に示した。
【0102】
比較例5
スウエード系ポリッシングパッド(フジミインコーポレーテッド製、SURFIN 018−3)を高速レンズ研磨装置の回転定盤(直径360mm)に貼付し、定盤回転数100rpm、定盤への被研磨材料の所定の加工圧力のもとで、被研磨材料としてタンタル酸リチウムを用い、市販コロイダルシリカ(フジミインコーポレーテッド製、COMPOL80)をシリカ(二酸化珪素)含有量20重量%となるように調製した研磨液(液温:25℃、pH=12)を用いて、研磨液を100ml/分の速度で滴下して循環使用しながら、表5に示される条件にて研磨した。表4、5には得られた結果として、表面精度等の測定結果を示す。
【0103】
また、研磨試験により研磨された基板につき、さらに被研磨材料表面の研磨面を微細に微細に観察するために、上記記載の原子間力顕微鏡(AFM)による表面粗さの測定を実施したところ、表6及び図6の結果を得た。さらに、上記記載の面だれの測定により、被研磨材料を観察し、図9の結果を得た。
【0104】
以上の実施例10〜18と、比較例3〜5の結果から、本発明の研磨用成形体を用いて研磨を実施することで、研磨加工に適用できる研磨用成形体が得られ、しかも実施例17、18に見られるように遊離砥粒を用いた場合にも少量の遊離砥粒含有量で従来の研磨方法により得られるものと同程度の被研磨材料の表面精度であり、かつ研磨速度も速くなることが分かった。
【0105】
また、実施例10と比較例5の結果である図5、図6及び表6において、研磨試験により得られた被研磨材料の研磨面を微細に比較した場合、従来の方法である研磨布を用いて研磨した比較例5によるものでは凹凸の起伏が大きく、表面粗さについても高い数値であるのに対して、実施例10において本発明の研磨用成形体が組み込まれた研磨用定盤にて研磨した被研磨材料の研磨面は、その表面が均一に研磨できており、表面粗さについても比較例と比べて低い数値であり、仕上がりが優れていることが分かる。
【0106】
さらに、実施例10と比較例5の結果である図8と図9、及び研磨前の被研磨材料の状態を示す図7を比較すると、実施例10では研磨前の被研磨材料と同様の形状を維持し、研磨面の端部まで正確に研磨できているのに対し、比較例5では研磨前の端部も過度に研磨され、いわゆる面だれが生じている。すなわち、実施例10の研磨用成形体を用いた研磨によれば、正確に研磨でき、仕上がりが優れていることが分かる。
【0107】
実施例19
各グループの研磨用成形体を以下のように作製して上記記載の研磨試験等の評価を行なった。
【0108】
(グループIの成形体)
表7のIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例4と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0109】
【表7】
Figure 0003843545
【0110】
【表8】
Figure 0003843545
【0111】
(グループIIの成形体)
表7のIIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例1と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを前記グループIの場合と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0112】
実施例20
各グループの研磨用成形体を以下のように作製して上記研磨試験等の評価を行なった。
【0113】
(グループIの成形体)
表7のIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例8と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0114】
(グループIIの成形体)
表7のIIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力30kg/cm2にて油圧プレス機を用いて予備成形した後に32メッシュのステンレス製ふるいにより分級して、成形用の原料粉末とした。これを圧力33kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形してシリカ成形体を得た。これを焼成炉にて700℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0115】
実施例21
各グループの研磨用成形体を以下のように作製して上記研磨試験等の評価を行なった。
【0116】
(グループIの成形体)
表7のIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例9と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0117】
(グループIIの成形体)
表7のIIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形してシリカ成形体を得、これを焼成炉にて700℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0118】
実施例22
各グループの研磨用成形体を以下のように作製して上記研磨試験等の評価を行なった。
【0119】
(グループIの成形体)
表7のIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例7と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0120】
(グループIIの成形体)
表7のIIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、実施例10と同様の操作を実施して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0121】
実施例23
各グループの研磨用成形体を以下のように作製して上記研磨試験等の評価を行なった。
【0122】
(グループIの成形体)
表7のIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力50kg/cm2にて油圧プレス機を用いて予備成形した後に32メッシュのステンレス製ふるいにより分級して、成形用の原料粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形してシリカ成形体を得た。これを焼成炉にて975℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0123】
(グループIIの成形体)
表7のIIに示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末にパラフィンワックス(日本精蝋製、SP−0145)を、原料粉末:パラフィンワックス=4:1の体積比で混合した後、150℃に30分間加熱し更に混合し混合粉末とした。これを圧力100kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形してシリカ成形体を得た。これを400℃、1.5kg/cm2、窒素中で加圧脱脂炉を用いて加圧脱脂した後、焼成炉にて950℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0124】
比較例6
表7に示す特性の、湿式法により得た沈降性シリカの原料粉末を、圧力10kg/cm2にて油圧プレス機を用いてプレス成形してシリカ成形体を得、これを焼成炉(モトヤマ製、型式:SUPER−C)にて1300℃で2時間焼成して研磨用成形体を得た。これを実施例1と同様の方法により評価し、表8に示した。
【0125】
比較例7
スウエード系ポリッシングパッド(フジミインコーポレーテッド製、SURFIN 018−3)を小型平面研磨装置FPM−30(コパル電子製)の金属製定盤に貼付し、定盤回転数50rpm、定盤への被研磨材料の加工圧力150g/cm2の条件のもとで、被研磨材料としてニオブ酸リチウムを用い、又、研磨剤として市販のコロイダルシリカ(フジミインコーポレーテッド製、COMPOL80)をシリカ(二酸化珪素)含有量10重量%となるように調製した研磨液(液温:30℃、pH=12)を用いて、150ml/時間の速度で滴下して研磨した。表8には得られた結果として、表面精度測定結果を示す。
【0126】
以上の実施例19〜23と、比較例6、7の結果から、本発明において用いられる研磨用成形体にて研磨を実施することで、研磨加工に適用できる研磨用成形体が得られ、しかも従来の研磨方法により得られるものと同程度の被研磨材料の表面精度であることが分かった。
【0127】
<研磨廃液の評価>
実施例24
実施例1で得られた研磨用成形体を用い、研磨試験に記載の方法により研磨を実施した。研磨廃液については、生じた廃液の濁度を分光光度計(日本分光製、型式:Ubest−55)を用い、精製水を基準として波長600nmにおける透過率により評価した。その結果を表9に示した。透過率が高い場合は研磨廃液中の遊離砥粒量が少ないことを示し、低い場合は逆に多いことを示す。
【0128】
【表9】
Figure 0003843545
【0129】
実施例25〜46
表9に示すように、各実施例で得た研磨用成形体を上記記載の方法により研磨を実施し、さらに実施例24と同じ方法により研磨廃液を評価し、まとめて表9に示した。
【0130】
比較例8〜11
表9に示すように、各比較例で実施したのと同じ方法により研磨を実施し、さらに、実施例24と同じ方法により研磨廃液を評価し、まとめて表9に示した。
【0131】
以上の実施例24〜46と、比較例8〜11の結果から、本発明の研磨用定盤を用いて研磨を実施することで、研磨廃液の透過率は従来の方法よりも高く、研磨廃液中の遊離砥粒量が極めて少ないことを示しており、遊離砥粒を未使用の場合はもちろん、遊離砥粒を使用した場合にもシリカ含有量がパッドの場合よりも少量で同等の研磨速度を得ることができるので研磨加工プロセスにおいて廃液処理への負担が極めて小さくなることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨用定盤における研磨用成形体(円柱状)の配置外観図の1例である。
【図2】本発明の研磨用定盤における研磨用成形体(角柱状)の配置外観図の1例である。
【図3】本発明の研磨用定盤における研磨用成形体(円柱状)の配置外観図の1例であり、図1を改変したものである。
【図4】本発明の研磨用定盤における研磨用成形体(角柱状)の配置外観図の1例であり、図2を改変したものである。
【図5】実施例10の研磨試験により得られたタンタル酸リチウム基板表面の原子間力顕微鏡による結果を模写したものである。
【図6】比較例5の研磨試験により得られたタンタル酸リチウム基板表面の原子間力顕微鏡による結果を模写したものである。
【図7】研磨前のタンタル酸リチウム基板を破断した際の走査型電子顕微鏡写真をもとに模写したものである。
【図8】実施例10の研磨試験により得られたタンタル酸リチウム基板を破断した際の走査型電子顕微鏡写真をもとに模写したものである。
【図9】比較例5の研磨試験により得られたタンタル酸リチウム基板を破断した際の走査型電子顕微鏡写真をもとに模写したものである。
【符号の説明】
1、7:金属製定盤であり、1は図1の、7は図2のものである。
2〜6:図1における円柱状の大きさの異なる研磨用成形体
8:図2における角柱状の研磨用成形体
9、20:金属製定盤であり、9は図3の、20は図4のものである。
10〜14:図3において、グループIの特性を有する大きさの異なる円柱状の研磨用成形体であり、図において黒で塗りつぶされた図形である。
15〜19:図3において、グループIIの特性を有する大きさの異なる円柱状の研磨用成形体であり、図において白の図形である。
21:図4において、グループIの特性を有する角柱状の研磨用成形体であり、図において黒で塗りつぶされた図形である。
22:図4において、グループIIの特性を有する角柱状の研磨用成形体であり、図において白の図形である。
23:図7において、破断面である。
24:図7において、基板端部である。
25:図7において、研磨側の面(未研磨)である。
26:図8において、破断面である。
27:図8において、基板端部である。
28:図8において、研磨面である。
29:図9において、破断面である。
30:図9において、基板端部の面ダレ部分である。
31:図9において、研磨面である。
【発明の効果】
本発明によれば、研磨加工プロセス中に従来法で見られた遊離砥粒を大量に含有する研磨廃液を生じることがなく、従来法と同程度以上に良好にシリコンウエハー、酸化物基板等の基板材料等を研磨加工することができ、また研磨処理における研磨用成形体の耐久性もあるため、研磨加工プロセスに有用である。

Claims (13)

  1. 少なくとも成形体の90重量%以上がシリカ(二酸化珪素)からなり、原料シリカ粉末に由来する灼熱減量成分、および有機成分を含まず、かさ密度が0.2g/cm以上1.5g/cm以下、BET比表面積が10m/g以上400m/g以下、かつ平均粒子径が0.001μm以上0.5μm以下であることを特徴とする研磨用成形体。
  2. 請求項1に記載の研磨用成形体の積算総細孔容積が0.3cm/g以上4cm/g以下であることを特徴とする請求項1記載の研磨用成形体。
  3. 請求項2に記載の研磨用成形体の細孔分布において、細孔径1μm以下である細孔の積算細孔容積が成形体の積算総細孔容積の80%以上であり、細孔径0.1μm以下である細孔の積算細孔容積が成形体の積算総細孔容積の10%以上であり、細孔モード径が0.01μm以上0.3μm以下であり、かつ細孔メジアン径が0.01μm以上0.3μm以下であることを特徴とする研磨用成形体。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の研磨用成形体と付帯部品から構成されることを特徴とする研磨用定盤。
  5. 請求項4に記載の研磨用定盤において、研磨用成形体が2個以上配列されてなることを特徴とする研磨用定盤。
  6. 請求項5に記載の研磨用定盤において、研磨用成形体が研磨用定盤中の同心円の円周上に配置されてなることを特徴とする研磨用定盤。
  7. 請求項4ないし6のいずれかに記載の研磨用定盤において、かさ密度が異なる2種以上の研磨用成形体を有することを特徴とする研磨用定盤。
  8. 請求項7に記載の研磨用定盤において、研磨用成形体が以下の2グループから各々独立して選ばれた研磨用成形体を組み合わせてなることを特徴とする研磨用定盤。
    グループI :かさ密度が0.7g/cm以上1.5g/cm以下
    グループII:かさ密度が0.2g/cm以上0.7g/cm未満
  9. 請求項4ないし8のいずれかに記載の研磨用定盤において、研磨用成形体が円柱状及び/又は角柱状であることを特徴とする研磨用定盤。
  10. 被研磨材料を請求項4ないし9のいずれかに記載の研磨用定盤を用いて研磨することを特徴とする研磨方法。
  11. 請求項10に記載の研磨方法において、被研磨材料が基板材料であることを特徴とする研磨方法。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の研磨方法において、基板材料が半導体基板又は酸化物基板であることを特徴とする研磨方法。
  13. 請求項10ないし12のいずれかに記載の研磨方法において、遊離砥粒を用いずに研磨して研磨廃液の600nmにおける透過率が水の10%以上にすることを特徴とする研磨方法。
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