JP2004261942A - 研磨砥石 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均粒径0.5〜40μmのダイヤモンドと該ダイヤモンドに対して10〜200体積%の酸化セリウムを混合したものを砥粒として使用し、かつ、フェノール樹脂または(フェノール樹脂+メラミン樹脂)を結合材として使用して製造されたもので、ダイヤモンドの砥粒率が10〜30体積%で、気孔率が30〜70%であることを特徴とする。この際、研磨砥石の圧縮弾性率が100〜4000MPaで、引張り破壊伸びが0.1〜2.0%であることが好ましく、研磨砥石中に存在する気孔の直径は1〜100μmであることが好ましい。
【効果】良好な研磨面性状が得られ、後工程での研磨量を減少させ、面ダレ、スクラッチ等のない優れた仕上げ面を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスやシリコン等の硬質材料の平面を研磨する際に使用される研磨砥石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
硬質材料の平面を鏡面に仕上げる研磨に関しては、通常ダイヤモンド砥石の研削が行われ、その後、場合によってはエッチングやラッピングを施し、その後パッドと、アルミナや酸化セリウム、シリカ、場合によってはダイヤモンドのスラリーによるポリッシュが、1次、さらに高度な面精度を要求されるときには2,3次と行われている。この際使用されるダイヤモンド砥石の粒度は#320〜#3000程度のメタルボンドやレジンボンドの砥石が多く使用されているが、これらの砥石には気孔がほとんどなく、かつ砥石の圧縮弾性率も概ね10000MPa以上もあり非常に硬いものである。
【0003】
たとえば、シリコンウェハーの製造工程では、シリコンのインゴットをダイヤモンドや炭化珪素のスラリーを掛けながらワイヤーソーで厚さ1mm程度にスライスし、ワイヤーソーのソーマークやウェハーのソリを取るため、#800〜2000程度のリング型のレジンボンドのダイヤモンド砥石で研削を行い、そのダイヤモンド砥石の加工で生成した、シリコンウェハー表面の加工変質層を取るため、ラッピングを行い、ラップの深いキズの除去のために、エッチングを行い、アルミナ、シリカ等のスラリーとパッドで1〜3次のポリッシュで最終0.7mm程度の厚さまで研磨して鏡面仕上げがされている。
【0004】
また、コンピューターのハードディスクに用いられる結晶化ガラス基板の製造ではプレス後、基板のソリを取るために#1000〜#2000程度のダイヤモンド砥石で平坦にされた後、ラッピング工程で、ダイヤモンド砥石の加工で生成した加工変質層を取り、その後、酸化セリウムやアルミナ、シリカ等のスラリーとパッドでポリッシュされている。
【0005】
これらの例で示すように、ワークを平坦に仕上げるために、ダイヤモンド砥石の研削力は非常に有効であるが、反面、硬いダイヤモンド砥粒がメタルやレジンで強固に保持されていることによる微少な表面のクラックや、深いキズいわゆる加工変質層を生じ、これを除去するために、その後の研磨において研磨量を多くしなければ成らず、多くの時間と工程を費やしている。
【0006】
また、ポリッシュでの研磨量を多くすると、パッドの弾性率が小さい(概ね100MPa以下)ため、ワークのエッジ部の面ダレを生じてしまうという問題もあり、ダイヤモンドによる研磨面の加工変質層を少なくするためにダイヤモンドの粒径を小さくすると、加工変質層や、面粗度は小さくなるが加工レートも小さくなり実用にならない問題がある。
【0007】
さらに、高弾性のメタルボンドやレジンボンドのダイヤモンド砥石を使用すると加工変質層が大きくなるため、ボンドの弾性率や加工時に作用する見かけの弾性率(いわゆる砥石のなじみ)を小さくしてダイヤモンドを固定したもの、たとえば、ゴム系ボンド砥石、研磨テープ、あるいは研磨布をフラップ状にしたものが使用されるが、研削力が小さいとか、1層しか使用できないとか、または、弾性率が小さすぎ、かつ引張り破壊伸びが大きいため、ワークの面ダレを生じたりするのが欠点であった。
そこで、これらの欠点を補う試みもなされてきている(たとえば特許文献1〜6参照)。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−115301号公報
【特許文献2】
特許第2687241号公報
【特許文献3】
特開昭62−246474号公報
【特許文献4】
特許第3108104号公報
【特許文献5】
特開2002−355763号公報
【特許文献6】
特許第3367083号公報
【0009】
前記特許文献1には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、メラミン樹脂硬化触媒、気孔剤、金属粉(銅、錫)、増粘剤(ブチルセロソルブ、パルプ、ガラス、シリカ、繊維などの軟質物質)にダイヤモンド砥粒を加えて混合・撹拌することによりダイヤモンド砥石を製造する方法が記載されており、この製法により得られるダイヤモンド砥石の一例として、砥粒径が1〜100μm、砥粒率が25体積%以下(望ましくは10体積%以下)、気孔率が30〜70体積%、気孔径が500μm以下(30〜200μm)で、ロックウェル硬度が48のものが開示されており、この製法における金属粉の径は300μm以下(10〜150μm)で、金属粉添加量はダイヤモンド砥粒に対して5〜25体積%である。この砥石の用途は主にセラミックス、シリコンウェハー等の硬脆材料の研磨である。しかしながら、この砥石は金属粉が混入されており、不純物の混入ができるだけ排除されなければならない半導体関係、たとえば、シリコンウェハー研磨時に金属イオンが不純物となることがある。さらに、金属粉が存在しない場合には、砥粒の分散性が悪くなるという問題点がある。
【0010】
また、前記特許文献2には、フェノール樹脂とメラミン樹脂をメラミン樹脂硬化触媒と共に混合し、これにPVAで湿潤させたダイヤモンド砥粒を加えて撹拌することによりダイヤモンド砥石を製造する方法が記載されており、この製法により得られるダイヤモンド砥石の一例として、砥粒径が1〜100μm、気孔率が40〜70体積%、気孔径が30〜200μm、ロックウェルスーパーフィシャル15−Yスケールで測定した硬度が25のものが開示されている。この砥石は主にセラミックスやシリコン単結晶の研磨に使用されるものであるが、PVAが存在しないと砥粒の分散性が悪くなり、また、PVAのような水溶性樹脂は例えアセタール化しても、耐水性に欠けるため、湿式使用の場合には、物性が経時変化して研磨性能が変化したり、砥粒の保持力が弱くなり研削力が小さくなったりするという問題点があった。
【0011】
さらに、前記特許文献3には、砥粒に砥粒保持体と結合剤を混和して加圧成形し、得られた成形物を固化させて製造する鏡面仕上げ用超砥粒砥石の製造方法が開示されており、この際、砥粒としてダイヤモンドが使用され、砥粒保持体として鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、錫粉が、結合剤としてフェノール樹脂が開示されている。また、この製法により得られる砥石の砥粒率は40%程度であり、気孔率は20〜40%で、曲げ強度が1〜5kg/mm2 、硬さ(HR H)が−25〜55である。この砥石は、高硬度合金材料や高硬度非金属材料等の鏡面仕上げ用に使用され、砥粒が加圧で金属に埋め込まれて作用するが、鉄の曲げ弾性率は200GPaもあり、硬すぎて深い条痕が入るという問題点があった。
【0012】
また、前記特許文献4には、平面ガラスを面取りするための改良された研削砥石が開示されており、この砥石は、ダイヤモンドや窒化ホウ素等の研磨材、結合用組成物(架橋性アミノアルデヒドポリマー、フェノール、可塑剤)を含み、結合材中に5〜40体積%のグラファイト、5〜35体積%の酸化セリウム、0.1〜2体積%の酸化カルシウムを含む砥石も開示されている。この砥石における砥粒率は1〜50体積%(好ましくは2〜40体積%)であり、結合材率は50〜99体積%(好ましくは60〜98体積%)であるが、この砥石の気孔率は0%であり、気孔が存在しないので、平面研磨した際に目詰まりが起こりやすいという問題点がある。
【0013】
また、前記特許文献5には、砥粒と、酸性あるいは塩基性化合物と樹脂(好ましくはフェノール)を含有する合成砥石で、砥粒率30〜70体積%、上記化合物が10〜30体積%、結合材20〜50体積%であるものが開示されており、砥粒がダイヤモンド、炭化珪素、酸化セリウム、酸化アルミニウムのうちのいずれか1つあるいはそれ以上で、その番手は1000より細かいものであり、前記化合物としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等が使用されている。この合成砥石は、シリコンウェハーやデバイスウェハーの研磨に使用されるものであるが、研磨レートが実用にならないくらいに小さく、砥石の密度が大きすぎており、pH調節用の上記化合物が存在しない場合にはスクラッチが発生する。
【0014】
また、前記特許文献6には、砥粒が酸化セリウムで、その他の研磨材粒子がダイヤモンド、酸化アルミニウム、シリコンカーバイドである研磨シート、及び、このような研磨シートを使用した研磨方法、研磨シートの製造方法が開示されている。この研磨シートでは、酸化セリウムの平均粒子径(0.1〜40μm)が、その他の研磨材粒子の平均粒子径以上の大きさで、酸化セリウム:その他の研磨材粒子の混合比は1:9〜9:1であり、シートの基材はポリエステル、ポリウレタン、不織布で、バインダーとしてはポリエステル、ポリエステル・ウレタン、塩化ビニル等が使用されており、用途は主に液晶表示板や光ファイバー端面やレンズの研磨である。
しかしながら、このような研磨シートの場合、シート基材表面に設けられた研磨層に研削力の持続性がなく、研磨時に研磨シートを連続的に供給しなければならないという問題点があった。
【0015】
このように、硬質材料の平面を研削力があり、汚染なく、かつ深い条痕のない優れた面性状を得ることができるダイヤモンド砥石は未だ提案されていないために、研削力を確保して、加工変質層が小さく研磨面性状のよい研磨砥石が要望されているのが現状である。また、ダイヤモンド砥石研削の後工程であるラッピング工程においては、スラリーを流しながら研磨する遊離砥粒方式のため、スラリーの飛散による環境汚染問題があり、また、たとえばダイヤモンドスラリーなどは非常に高価であり、これを多量に垂れ流すというコストの問題もある。このようなことから、スラリー研磨にかわり、固定砥粒である砥石が待たれている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題に鑑み、硬質材料の平面を研磨するに当たり、良好な研磨レート、面粗度を得るダイヤモンド砥石を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究して、砥粒としてダイヤモンド砥粒と酸化セリウムを混合したものを用い、砥石の圧縮弾性率、気孔率と研磨性能の関係を明らかにして、最適な気孔率、圧縮弾性率を見い出し、本発明を完成させるに至った。また、最適な気孔径を選択することによって、良好な研磨レートと良好な研磨面性状を得ること、さらに、これらの物性を得るための最適な樹脂についても見い出した。
【0018】
即ち、本発明の研磨砥石は、硬質材料の平面を研磨する際に使用される砥石であって、当該砥石が、平均粒径0.5〜40μmのダイヤモンドと該ダイヤモンドに対して10〜200体積%の酸化セリウムを混合したものを砥粒として使用し、かつ、フェノール樹脂、あるいはフェノール樹脂とメラミン樹脂を混合したものを結合材として使用して製造されたものであること、及び、当該砥石中のダイヤモンドの砥粒率が10〜30体積%で、気孔率が30〜70%であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記の特徴を有した研磨砥石において、研磨砥石の圧縮弾性率が100〜4000MPaであり、しかも引張り破壊伸びが0.1〜2.0%であることを特徴とするものでもある。
さらに本発明は、上記の特徴を有した研磨砥石において、研磨砥石中に存在する気孔の直径(気孔径)が1〜100μmであることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
硬質材料の平面を研磨するのに適した本発明の研磨砥石においては、その砥粒として、ダイヤモンド砥粒と酸化セリウムを特定割合にて混合したものが使用されており、多孔質の結合材を用いて構成されている。
ここで、硬質材料とは、ガラスやセラミックス等の硬質脆性材料及び硬質金属をいう。
【0021】
本発明の研磨砥石に用いられるダイヤモンド砥粒の平均粒径は0.5〜40μm、望ましくは0.5〜20μmであり、0.5μm未満では、砥粒径が小さすぎて研削力が小さく、必要な取代を得るのに時間がかかり、実用性が劣ったものとなる。逆に、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が40μm以上である場合には、混合される酸化セリウムの粒径(約0.1〜3.0μm)と差がありすぎて、酸化セリウムの作用が小さくなり、その結果、得られる研磨面の面粗度が粗くなる。
本発明の研磨砥石における砥粒の範囲は10〜30体積%、望ましくは15〜25体積%であり、ダイヤモンドの砥粒率が10体積%未満では研削力不足となり、30体積%を超えると研削力は良いが、気孔率が大きい時には磨耗が大きくなり、気孔率が小さい時には、研削力の持続性に問題がある。
【0022】
本発明の砥石に使用される砥粒は、ダイヤモンドと酸化セリウムを混合したものであり、ダイヤモンド砥粒に対する酸化セリウムの混合比率は、砥石中のダイヤモンドの体積(100)に対して10〜200体積%である。この際、酸化セリウムの混合比率が200体積%を超えると、研磨面の面粗度は良くなるが、研磨レートが小さくなり、逆に10体積%未満では、酸化セリウムの効果が少なく、ダイヤモンドだけを使用したときと変わらない表面粗度となってしまう。
酸化セリウムは本来、スラリーとしてガラスのポリッシュに多く使用されていて、良好な研磨レートを得ているが、これは、酸化セリウムがガラスとの化学作用(シリコンとセリウムとの反応)で研磨が進むものと考えられている。本発明では、この酸化セリウムをダイヤモンドと混合することによって、ダイヤモンドの研削力と酸化セリウムの化学作用により、良好な加工レートと研磨面が得られるものと考えられる。また酸化セリウムには充填材としての効果もあり、ダイヤモンドとの混合により、砥石の引張り破壊伸びを小さくする働きもある。
本発明の砥石において使用される酸化セリウムは、不純物が樹脂の反応を阻害することがあるので高純度品が望ましいが、特に限定されるものではない。又、粒径についても0.1〜2.5μmのものが望ましいが、特に限定されるものではない。
【0023】
本発明の砥石の気孔率は30〜70体積%、望ましくは、40〜60体積%である。気孔率が30体積%未満であると、気孔が少なく、研磨屑の逃げ場がなくなり目詰まりが発生する。また、70体積%を超えると、砥粒と結合材で30体積%しかなく、所定の強度がなく、摩耗が大きい。
また、砥石の圧縮弾性率は100〜4000MPa、望ましくは300〜2500MPaであり、この際、圧縮弾性率が100MPa未満であると、砥石が柔らか過ぎて、研磨面の面粗度は良好であるが、研磨レートが小さくなり、ワークの端面のダレを発生してしまう。また、4000MPaを超えると、通常のレジンボンドのダイヤモンド砥石の弾性率領域に近くなって研磨レートは良くなるが、スクラッチの発生や、加工変質層も大きくなり、後工程でのポリッシュの取代を多くしないと、加工変質層が残り、良好な研磨面が得られない。ポリッシュの加工レートは小さいので、取代を多くすることは研磨時間がかかり、高価なスラリーも多量に使用することになるのでコストアップになるが、このように砥石の圧縮弾性率が100〜4000MPaであると適当な研削力があり、かつ、通常のメタルボンドや、レジンボンドのダイヤモンド砥石よりかなり柔らかいので、砥粒がワークに大きく食い込むことなく研磨でき、優れた研磨面を得ることができる。
【0024】
尚、本発明の研磨砥石の引張り破壊伸びの範囲は0.1〜2.0%であり、0.2〜1.5%が望ましい。この際、引張り破壊伸びが0.1%未満であると、砥石が脆くなって研磨したときの摩耗が大きくなり、逆に2.0%を超えると、目詰まりを生じたり、研磨レートが小さくなったり、あるいはワークの面ダレが生じる。
本発明におけるこれらの機械的性質については、圧縮弾性率はJIS K7208−1995に準じて、引張り破壊伸びはJIS K7113−1995に準じて測定したものである。
【0025】
本発明の研磨砥石における気孔径については1〜100μm、望ましくは1〜70μmが最適である。この際、気孔径が3μmより小さいと、研磨屑の逃げ場がなくなり目詰まりが発生し、スクラッチの原因にもなる。逆に100μmより大きいと、気孔率との関係から、すなわち、気孔率が同じで、気孔径が大きくなると、砥粒が固定される気孔間部分が厚くなり、砥粒が厚い気孔間部分に埋没して有効に働かず、研磨レートが小さくなったり、目詰まりし易くなったりする。
ところで、溶媒中の樹脂が反応硬化するとき、沈殿が生じて硬化するものや、ゲル状態を経て硬化に移行していくものがある。ゲル状態を経て硬化する場合には、樹脂の硬化物はゲル状態の網目状構造が固定された、1〜10μm程度の気孔を持つことがある。本発明の気孔率は、このゲル状態から硬化する時にできる気孔と、気孔材による気孔を含むものとする。また、気孔径については、気孔材によってできる気孔の径を示す。
【0026】
本発明の研磨砥石に使用される砥粒としては、ダイヤモンドと酸化セリウムであるが、炭化珪素、アルミナ、CBN等の砥粒と酸化セリウムのようにダイヤモンド以外の砥粒と酸化セリウムを混合しても、酸化セリウムの化学作用が働き、研磨レートの向上や研磨面性状の向上が可能である。
また、本発明の砥石に使用される樹脂は、フェノール樹脂か、あるいはフェノール樹脂とメラミン樹脂を混合したものであり、フェノール樹脂または、フェノール樹脂とメラミン樹脂を混合したものを、所定の圧縮弾性率になるように調合した場合において、最適な研磨レートが得られる。これは、最適な圧縮弾性率(100〜4000MPa)を得た時の引張り破壊伸びの大きさが、研磨に適する大きさ(0.1〜2.0%)となるためであり、たとえばウレタン樹脂等では、最適な圧縮弾性率を得たとしても引張り破壊伸びが適正とならず、良好な研磨レートが得られない。
本発明におけるメラミン樹脂の混合比は、フェノール樹脂に対して0〜50重量%が最適であり、50重量%を超えると砥石が脆くなり、研磨時の摩耗が大きくなる。
【0027】
次に、本発明の研磨砥石を製造する際の方法について以下に説明する。
まず、レゾールタイプのフェノール樹脂、場合によってメラミン樹脂を加えたものを準備し、これにダイヤモンド砥粒と酸化セリウム砥粒を投入し、撹拌混合する。さらにデンプン等の気孔材を加え、固化させるための触媒、必要に応じてその他の添加剤を加えて混合する。この際、砥粒量や樹脂分量を適当に変えることにより所定の弾性率等の機械的性質を調整することができる。また、気孔径は気孔材の種類、量によって調整することができる。
その後、得られた混合物を所定の型の中に流し込んで、60〜100℃で5〜48時間反応硬化させ、型から取り出して、未反応物を水洗し、80〜110℃で乾燥させる。さらに、硬化を終了させるために、150〜200℃で3〜24時間硬化させる。
こうして得られた砥石は、樹脂の硬化(ゲル→硬化)時にできる網目状の気孔とデンプンによる気孔が混在している。
ただし、ここに示した製造方法は一例であって、本発明の研磨砥石の製法はこれに限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕
粒径4−8μmのダイヤモンド9.1g、粒径0.9μmの高純度酸化セリウム9.4g、レゾールタイプのフェノール樹脂3.0g(固形分65重量%)、メラミン樹脂0.82g(固形分60重量%)と水4gを混合、撹拌し、さらに、デンプン0.6g、触媒を加えて撹拌した。
その後、得られた混合物を所定の成形型内に流し込んで、80℃で24時間反応・固化させ、型から取り出し、未反応物を水洗し、80℃で24時間乾燥した。さらに、反応を終了させるために150℃で3時間熱処理し、ドーナツ平板状(外径φ50mm、内径φ30mm、厚さ10mm)の本発明の研磨砥石を作製した。
【0029】
このようにして得られた研磨砥石は、ダイヤモンド砥粒の砥粒率20体積%、(酸化セリウムの砥粒率10体積%−ダイヤに対する酸化セリウム量は50%)、ボンド率15体積%、気孔率55体積%、気孔は樹脂のゲル化に起因する1〜3μmの径の気孔と、気孔材(デンプン)に起因する10〜30μmの径の気孔が混在している。表1に記載の気孔径は、気孔材に起因する気孔の平均径(20μm)を示した。また、圧縮弾性率1400MPa、引張り破壊伸び0.65%であった(比重をダイヤモンド3.5、酸化セリウム7.2、樹脂1.3として計算)。
【0030】
〔実施例2〜7〕
前記実施例1と同様の製造方法を用いて、以下の表1に記載される配合量に砥粒及び樹脂量を変化させ、実施例2〜6の研磨砥石を、また実施例7は気孔材による気孔径が150μmとなるように別の気孔材を使用してそれぞれ作製した。
【0031】
〔比較例1〜5〕
前記実施例1と同様の製造方法を用いて、以下の表2に記載されるようにして、比較例1〜5の研磨砥石をそれぞれ作製した。
比較例1:結合剤として、フェノール+メラミン+PVA(ポリビニルアルコール)を使用した。PVAの添加量は1.0体積%とした。
比較例2:砥粒率を大きくして圧縮弾性率が4000MPaを越えるものとした。
比較例3:ダイヤモンド砥粒を配合せず、酸化セリウム砥粒のみとした。
比較例4:砥粒率を10体積%未満とした。
比較例5:酸化セリウムを配合せずにダイヤモンド砥粒のみとした。
【0032】
以上の様にして製造した各研磨砥石をそれぞれ台板に接着して、砥石の外周面でなく、リング状平面部を接触させてガラス板を研磨した。尚、研磨性能を評価するための研磨条件は以下の通りである。
研磨機 :NTK製簡易ラップ盤
(砥石)
砥粒平均径:ダイヤモンド4−8μm(#2000相当品)(比重3.5)
・ :酸化セリウム0.9μm (比重7.2)
寸 法 :外径φ50mm*厚さ10mm*内径φ30mm
(研磨条件)
砥石回転数:200rpm
砥石加圧 :350g/cm2
研削液 :水 50cc/min.
ワーク :φ50mm 青板ガラス−厚さ3.0mm
・ 前目 ダイヤ#1500研削(Ry=2.9μm)
研磨時間 :3分
このような研磨実験によって得られた結果を以下の表1及び表2に示す。
表1及び表2中の圧縮弾性率はJIS K7208−1995に準じて測定したものであり、引張り破壊伸びはJIS K7113−1995に準じて測定したものである。また、研磨レートは、研磨前後の重量によって測定し、表面粗さは、東京精密製 サーフコム1400で測定した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
上記の表1及び表2の実験結果からもわかるように、本発明のダイヤモンド研磨砥石を用いてガラス等の硬質材料の研磨を行った場合には、適正な弾性率等の物性と、砥粒として酸化セリウムが一定量混合されていることにより良好な研磨面性状が得られ、後工程での研磨量を減少させ、面ダレやスクラッチ等のない優れた仕上げ面を得ることができる。
しかも、本発明の砥石を通常のダイヤモンド砥石研削の工程で使用するか、また、通常のダイヤモンド砥石研削の後工程で使用することにより、エッチング工程を省略したり、あるいはポリッシュの工程の研磨代を少なくすることが可能である。
Claims (3)
- 硬質材料の平面を研磨する際に使用される砥石であって、当該砥石が、平均粒径0.5〜40μmのダイヤモンドと該ダイヤモンドに対して10〜200体積%の酸化セリウムを混合したものを砥粒として使用し、かつ、フェノール樹脂、あるいはフェノール樹脂とメラミン樹脂を混合したものを結合材として使用して製造されたものであること、及び、当該砥石中のダイヤモンドの砥粒率が10〜30体積%で、気孔率が30〜70%であることを特徴とする研磨砥石。
- 前記研磨砥石の圧縮弾性率が100〜4000MPaであり、しかも引張り破壊伸びが0.1〜2.0%であることを特徴とする請求項1に記載の研磨砥石。
- 前記研磨砥石中に存在する気孔の直径が1〜100μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨砥石。
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