JP3040441B2 - セラミックスの精密研磨方法 - Google Patents

セラミックスの精密研磨方法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はセラミックスの精密研磨方法に関し、さらに
詳しくは、高度に平滑な仕上が要求される難研磨材の研
磨に好適なセラミックスの精密研磨方法に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 従来、常識的な研磨の概念は、被研磨材よりも硬質の
砥粒を被研磨材表面に押しつけ、摺動させることによ
り、表面をフィジカルに削り取ることである。
このような研磨概念の下に、セラミックスのような硬
い材料に対しては、一般には砥粒のなかではもっとも高
い硬度をもった超砥粒と呼ばれるダイヤモンドおよびCB
N(窒化ボロン)が砥石材料として好適であるとされて
いる。
しかしながら、鏡面ないしは鏡面に近い、高度に平滑
な仕上が要求される場合、従来のこのような硬度砥粒に
よる研磨では、被研磨材の種類によっては、いかに微細
な砥粒を使用しても肌荒れが生じたり、表面欠陥や加工
変質層が生成したり、目標とする表面粗さが得られない
という問題点がある。
特にへき開性を有するとか、脱粒しやすいセラミック
スの研磨操作においてしばしばこのような問題点が経験
されるところである。
そこで、このような難研磨材に対しては、硬度の低い
砥粒を使用することにより、被研磨材の表面におけるへ
き開性や脱粒を回避しようと試みられているが、超低粒
に比較して著しく加工能率が低く、研磨に長い時間を要
するという欠点があり、また多少でも砥粒の硬度が被研
磨材よりも大きい場合は、表面の肌荒れが避け難いとい
う問題点がある。
一方、研磨加工の中には必ずしもフィジカルな作用が
期待されない粉末、例えば被研磨材よりもはるかに軟ら
かい粉末であっても、研磨加工能力を示すものが知られ
ている。
このような研磨作用は、特定の粉末と特定の被研磨材
との間に認められ、メカノケミカル研磨の概念によって
説明されている。
この場合、接触する微小部分における高熱の発生など
に伴う化学変化が研磨に関与しているとみられ、フィジ
カルな砥粒の切込みによる研磨に比べて、平滑でダメー
ジの少ない仕上りが得やすいという特徴がある。
例えば、セラミックスについても、酸化クロームの粉
末を成型した砥石によって、窒化珪素を研磨して良好な
結果を得た例[須賀ら:昭和62年度精密工学会秋季大会
学術講演会論文集(昭和62年9月5日発行)第213〜215
ページ参照]が報告されている。
しかしながら、メカノケミカル研磨は、通常、乾式で
試みられるので、研磨時に発生する熱によって、被研磨
材の変形や変質をきたすおそれがある。
そこでかかる問題を解決するために、加工液を流し掛
けたり、液中で行なわれる研磨(以下、湿式研磨と略称
する)などが取り入られている。
しかしながら、湿式研磨の場合、熱の影響を免れるこ
とはできるが、加工液の冷却硬化によってメカノケミカ
ルな反応の進行が阻害されるため、加工能率は必ずしも
高いとは言い難いという別の問題点がある。
また、メカノケミカル研磨においては、軟質の粉末で
あれば、被加工材表面に与えるダメージは少ないと予想
されるが、実際には、機械的な研磨と異なり、被研磨材
の表面状態として、メカノケミカルな反応に関与するミ
クロな化学的性状や組織にばらつきがあって、研磨が均
一に進行しないため、仕上り面が良好といえないことが
多いという問題点もある。
また、通常、研磨の仕上段階では、要求される仕上面
粗さに従って、かなり微細な砥粒を用いなくてはならな
い場合がある。例えば、その砥粒の粒径が#3,000以上
の細かい砥粒を使用するような工程では、成型された固
形砥石を利用するいわゆる固形砥粒方式が適用し難いの
で、遊離砥粒方式を採用せざるを得なくなっている。こ
の点においても加工能率の低下や表面欠陥の生成が免れ
難いという問題点がある。
これらの問題点を解決するために、本発明者らは既に
微細な砥粒を用いざるをえない精密研磨工程において、
固定砥粒方式を適用して遊離砥粒方式の欠点を克服する
ために、砥石を構成している砥粒が高密度でかつ低結合
である固形砥石とこれによる研磨方法を開発(特開平1
−171746号公報、特開平1−171767号公報)することに
より、品質と加工能率の向上を実現している。
しかしながら、へき開性が高いとか脱粒しやすいセラ
ミックスに対しては、なおその効果は十分とは言い難
い。
本発明は前記の事情に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、へき開性が高かったり、
脱粒しやすいようなセラミックスに対しても、高度に平
滑な仕上がり面が得られるようなセラミックスの精密研
磨方法を提供することにある。
[前記課題を解決するための手段] 前記目的を達成するための本発明は、被研磨材との硬
度の差が新モース硬度で4以下の範囲内にある砥粒から
なる高密度低結合度砥石に、メカノケミカルな作用を有
する粉末を加えて、加工液の存在下に被研磨材を研磨す
ることを特徴とするセラミックスの精密研磨方法であ
る。
また、被研磨材の研磨は、1kg/cm2以上の加工圧力の
下に行うのが好ましい。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のセラミックスの精密研磨方法は、難研磨材と
いわれているセラミックスの研磨工程、特に精密研磨に
おいて、被研磨材の硬度と同等ないしは若干高い砥粒か
らなる高密度低結合度砥石を用い、これに被研磨に対し
てメカノケミカルな機能を有する粉末を添加することに
より、高密度低結合度砥石とメカノケミカルな作用を有
する粉末とを併用して、水その他の加工液の存在下で、
好ましくは高圧で、被研磨材を研磨することにより、高
度に平滑な仕上り面を得ることができる。
−高密度低結合度砥石− 本発明において重要な点は、本発明に用いる砥石が、
被研磨材と同等ないしはやや硬い砥粒からなる高密度低
結合度砥石であることである。
本発明に用いられる砥石は、砥石を構成している砥粒
が高密度でかつ低結合である固形砥石である。
砥石を構成している砥粒が高密度であるということ
は、研磨操作における砥石と被研磨材との接触単位面積
当たりの作用砥粒が多いことを意味し、高圧をかけて研
磨しても砥粒1ヶ1ヶにかかる圧力は小さいので、被研
磨面にダメージを与えることなく、能率の良い研磨を行
うことができる。砥粒の含有量を砥石の単位体積中に占
める砥粒の割合(充填率)で示せば、通常、その含有量
は35〜65%である。砥石体積から砥粒体積を差し引いた
体積(空隙率)は、35〜65%である。あらかじめ粉末を
砥石中に添加しておくとこは、砥粒と粉末を併せた体積
が、全体の30〜65%を占め、空隙率としては35〜65%で
ある。
また、砥石を構成している砥粒の結合度が低いという
ことは、砥石が被研磨材表面に押圧、摺動させるとき、
砥粒は転動するものと見られ、砥石表面に再配置されて
作用砥粒数を増大させるとともに、砥石表面の砥粒を脱
落させるので、常に新しい切れ刃が砥石表面に提供さ
れ、砥石に目詰まりや目潰れをきたすことのないセルフ
ドレッシングというべき機能が付与されて、能率の良い
研磨操作を連続して実施することができる。
砥石の結合度は主として砥石中に含まれる結合剤の量
に依存し、本発明に用いられる砥石中の結合剤量は2〜
12重量%の範囲にある。また砥石の結合度は、一般に大
越式結合度測定法で測定した数値で表現される。この大
越式は、結合度の低い砥石に対しては、必ずしも正確に
結合度を表現するものとは言い難いところもあるが、便
宜的に大越式で表わせば、本発明に使用される砥石の結
合度はHRRにほぼ相当する。
前記高密度低結合度砥石を構成する砥粒としては、例
えば、ダイヤモンド、窒化硼素、炭化珪素、酸化アル
ミ、酸化ジルコン、その他各種の微細なセラミック粒子
などを挙げることができる。これらの内、選定される砥
粒の硬度は、具体的には被研磨材であるセラミックスと
同等ないしはやや硬いものでなくてはならない。
砥粒と被研磨材との硬度の差は、本質的には両者の接
触がもたらす高温状態での硬度差にかかわるが、便宜的
に常温付近での硬度をもって示すならば、新モ−ス硬度
で4以下の範囲内にある。
砥粒と被研磨材との硬度の差が新モース硬度で4を超
え、これより硬質になると肌荒れが起こる。一方、硬度
が低いほど肌荒れの危険は少なくなるが、硬度が被研磨
材に近づくほど能率は低下する。
砥粒の粒径の選択は、目標とする仕上げ面の表面粗さ
に左右されるが、一般にセラミックスの仕上げ研磨の領
域で用いられるのは、#3000以上の微細な粒子である。
もっとも容易に採用される高密度低結合度砥石の製造
方法は、砥粒に粉末や結合剤を前記のような所定の割合
で加えて、前記のような充填密度となるように加圧成形
し、乾燥あるいは加熱硬化させるものである。
−メカノケミカル粉末− 本発明において重要な点は、本発明の研磨方法では、
高密度低結合度砥石を用い、これに被研磨剤に対してメ
カノケミカルな機能を有する粉末を併用して研磨するこ
とである なお、本発明に言う「メカノケミカルな機能を有する
粉末(以下、粉末と略する)」とは、たとえば、研磨加
工の中には必ずしもフィジカルな作用が期待されない粉
末、例えば被研磨材よりもはるかに軟らかい粉末であっ
ても、研磨加工能力を示すものを指す。
この特定の粉末と特定の被研磨材との間に、メカノケ
ミカル研磨の概念によって説明されている研磨作用が認
められる。この研磨作用は、接触する微小部分における
高熱の発生などに伴う化学変化によるものとみられてい
る。
メカノケミカルな作用を有する粉末の具体例として
は、鉄、ニッケル、アルミなどの金属、酸化クロム、酸
化珪素、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウムな
どの金属酸化物、酸化セリュウムなど希土類金属の酸化
物、バリュームフェライトなどの鉄酸化物、炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム、炭酸バリュウムなどの金属の
炭酸塩などを挙げることができる。
前記粉末の添加は、高密度低結合度砥石を製造する際
に、予め砥石に添加しておいて、この砥石に水などの加
工液を流しながら被研磨材を押圧してもよいし、または
砥石面に粉末を散布したり、あるいは加工液に分散して
おき、この加工液を流しかけるなどの方法で、砥石表面
に供給しても良い。
粉末の粒度については、特に制約はないが、硬度が高
く被研磨材に近接し、あるいはこれを上回って、フィジ
カルな研磨機能を有するような粉末については、研磨面
に対するダメージを考慮して、充分微細なものを使用す
ることが望ましい。
また、粉末を散布したり流しかけて砥石面に供給する
時は、やはり微細な粒子を使用しないと、粉末が砥石面
から逃げて有効に作用しないことがある。粉末の粒径が
高密度低結合度砥石を構成する砥粒より小さいときは、
粉末は砥粒の空隙に保持されるので一層効果的である。
−研磨方法− 本発明のセラミックスの精密研磨方法は、固定砥粒方
式を採用した、高圧湿式研磨方法である。すなわち、セ
ラミックスの研磨工程において、被研磨材の硬度と同等
ないしは若干高い砥粒からなる前記高密度低結合度砥石
を用い、これに前記メカノケミカルな機能を有する粉末
を添加して、水その他の加工液の存在下で高圧で研磨す
ることを特徴とする。
前記加工液としては、前記粉末の水懸濁液を使用する
ことができる。またこのほかに、溶媒として、他の有機
溶剤を使用することもできるが、安全性を考慮すると水
がはるかに好ましい。
加工液の研磨加工面への供給量としては、加工液中の
前記粉末の含有量によっても相違するが、通常、1〜10
g/100mlの割合で砥粒を含有させた加工液を用い、砥石
の研磨有効単位面積あたり毎分0.1〜1mlを基準にし、研
磨状況、被研磨材の昇温状況等に応じて適宜に加減すれ
ばよく、本発明の実施においては何ら制限されるもので
はない。
本発明の研磨方法においては、被研磨材と前記高密度
低結合度砥石に水または前記加工液を流し掛けたり、あ
るいは水中または前記加工液中で、高圧下で研磨が進行
される。
加工圧力は被研磨材の種類に応じて適宜に決定される
のであるが、十分に高圧であるのが望ましい。これは、
砥粒や粉末が高密度に充填されているので、加工圧力が
不十分であると砥粒や粉末粒子の1ヶ1ヶにかかる圧力
は小さくなって被研磨面に切り込まなくなったり、粉末
と被研磨面との間のメカノケミカル反応が進行しないこ
とがあるからである。加工圧力の具体例としては、もし
研磨装置の剛性が許容されるならば、1kg/cm2以上、好
ましくは1.8kg/cm2以上であることが望ましく、これ以
下では研磨効果に乏しいことがある。また10kg/cm2を超
えると研磨面に肌荒れなどの不都合を生じることがあ
る。
加工圧力と加工能力との関係は、遊離砥石方式の研磨
では、加工能率は必ずしも加工圧力に比例せず、圧力を
上げても加工量の増大が望めないことが多く、通常数10
0g以下で実施される。本発明の高密度低結合度砥石によ
る研磨では、通常加工圧力と加工能力との間にリニヤ−
な関係があり、圧力が高いほど加工量も大きい。
高圧縮低結合度砥石を構成する砥粒や粉末は、相互に
ごくル−ズに結合されているので、ワ−クとの接触点に
おけるミクロな挙動は、遊離砥粒方式に類似して転動を
伴うとみなされるが、加工における圧力と能率との関係
は、砥粒が高密度に充填されているため、高圧において
も遊離砥粒方式にみられるような砥粒の逃げによる作用
砥粒の減少がなく、砥石面の砥粒や粉末がすべてワーク
面に効果的に作用していることを示している。
本発明はこの高密度低結合度砥石の特長を効果的に利
用するものである。
すなわち、高圧をかけての研磨は、適当な硬度を有す
る砥粒によって機械的な研削量の増大がもたらされると
同時に、メカノケミカルな作用を有する粉末もまた、高
圧でもって被研磨材を砥石に押圧されることになりワー
クとの接触点における局部的な高温状態がもたらされ、
湿式すなわち加工液を流しかけるような冷却雰囲気であ
っても、メカノケミカル作用が進行して面の平滑化が実
現するが、湿式研磨における水などの加工液の供給が十
分であるならば、数100g以上数kg/cm2の加工圧において
も、温度上昇は被研磨面の局部に止まり、被研磨材全体
としては、発熱による変形や変質を生じるおそれがな
い。
本発明の研磨方法によると、被研磨材がいわゆる難研
磨材と言われているセラミックスである場合において
も、脱粒のない鏡面仕上げないし鏡面に近い仕上げを実
現し、また加工能率を向上させることができる。
[実施例] 次に、実施例および比較例に基いて本発明を具体的に
説明するが、本発明はそれに限定されない。
(実施例1) メカノケミカルな作用を有する粉末である酸化クロー
ム粉末を添加した高密度低結合度砥石を用いて、窒化ア
ルミニウム基板(2インチ角、表面粗さ0.4μm Rmax)
の高圧湿式研磨を行なった。
窒化アルミニウムはセラミックスの中でも、特に加工
中に脱粒やへき開をきたしやすい材料として知られてい
る。
ここで使用した高密度低結合度砥石は、砥粒として酸
化アルミニウム(平均粒径3μ)70重量%、結合剤とし
てフェノール樹脂7重量%からなり、添加された酸化ク
ローム粉末は23重量%であった。また砥石の空隙率は約
50体積%、結合度はHRR70(大越式砥石結合度測定機に
よる測定値、以下同じ)であった。
被研磨材である窒化アルミニウムの硬度は、新モース
硬度で8前後(ヌーブ硬度では約1100)、砥粒である酸
化アルミニウムの硬度は12(2300)程度であり、両者の
硬度差は新モース硬度で、ほぼ4である。
両面研磨盤の上下定盤にこの砥石を装着し、前記窒化
アルミニウム基板を挟んで、加工液として水を用い、加
工圧力と加工時間を変えて研磨操作を実施した。研磨盤
はφ450、回転数は50rpmである。加工時間ならびに加工
圧力と仕上り表面粗さとの関係をみると第1表の通りで
あり、経時的に表面粗さが低下して鏡面に到達する。
この結果を比較例1と比較すると、より軟質で、被研
磨材との硬度差が少ない砥粒を用いているにもかかわら
ず、はるかに良好な鏡面が短時間で得られることがわか
る。
(比較例1) メカノケミカルな作用を有する粉末である酸化クロ−
ム粉末を添加した高密度低結合度砥石を用いて、窒化ア
ルミニウム基板(表面粗さ0.4μm Rmax)の高圧湿式研
磨を行なった。
ここで使用した高密度低結合度砥石は、砥粒として炭
化珪素(平均粒径3μ)が72重量%、結合剤としてフェ
ノール樹脂7重量%からなり、添加された酸化クローム
粉末は23重量%であった。また砥石の空隙率は約50体積
%、結合度はHRR70であった。被研磨材である窒化アル
ミニウムの硬度は、新モース硬度で8前後(ヌープ硬度
では約1100)、砥粒である炭化珪素の硬度は13(2500)
程度であり、両者の硬度差は新モ−ス硬度でほぼ5であ
る。
両面研磨盤の上下定盤にこの砥石を装着し、実施例1
と同一条件で研磨操作を行なった。
加工時間ならびに加工圧力と仕上り表面粗さとの関係
をみると第1表の通りである。
すなわち加工時間を延長しても表面粗さの向上がみら
れず、顕微鏡によって観察される研磨面には、著しい脱
粒痕が認められる。
(比較例2) また被研磨材のセラミックスとして、新モース硬度で
12前後の酸化アルミニウムを研磨するのに、硬度15(78
00)のダイヤモンド砥粒を用いた遊離砥石粒子方式の研
磨で、市販砥粒としてはもっとも細かい1/2μ(平均粒
径)の粒子を使用しても、目視で認められる肌荒れが認
められた。
(実施例2) 比較例2において高密度低結合度砥石を用いて、これ
に粉末として酸化珪素(平均粒径3μ)を加えると、よ
り粗い2μ(平均粒径)のダイヤモンド粒子を使用して
も、肌荒れのない鏡面が得られた。
(実施例3) 被研磨材のセラミックスとして、新モース硬度で13前
後の窒化珪素を高密度低結合度砥石を用いて研磨した。
研磨に使用した高密度低結合度砥石は、砥粒として酸
化アルミニウム(平均粒子径3μ)重量94%、結合剤と
してアクリル樹脂6重量%からなり、砥石の空隙率は49
%、結合度はHRR55であり、φ200のディスク状に成形さ
れている。この砥石を平面片面ラップ盤に装着、この砥
石の上に被研磨材である窒化珪素ブロック(20×20×5m
m表面粗さ1.2μm Ra)を貼りつけたキャリァを乗せて、
70rpmで回転させた。
研磨面にかかる加工荷重は3.2kg/cm2であった。加工
液として水を用い、この水の中に酸化クローム粉末を約
5重量%加えて、攪拌しながら砥石面に流しかけた。
加工時間と仕上り面との関係は第2表の通りであり、
良好な仕上り面が短時間で得られることがわかった。
(比較例3) また同じ条件で加工液として水のみを用い、粉末を添
加しないときの加工時間と仕上り面との関係は第2表の
通りであり、実施例3と比較すると表面状態がかなり劣
ることがわかる。
(実施例4) 砥粒として酸化アルミニウム(#8000)70重量%と、
粉末として酸化珪素(#3000)30重量%、結合剤として
フェノール樹脂5重量%とからなる高密度低結合度砥石
(結合度50HRR、空隙率49%)を砥石を偏心揺動させる
両面ラップ盤に装着し、加工液として水を滴下しなが
ら、酸化アルミニウム基板(2インチ角、#800のダイ
ヤモンド砥石で前加工したもの)を研磨した。
ここで砥粒と被研磨材の材質はともに酸化アルミニウ
ムであるから、両者の硬度差はほぼ同等ないしは究めて
微小である。加工時間20分における加工圧力と加工量と
の関係は、第3表に示した通りであり、加工圧力が低い
ときは加工能力も低いが、0.8kg/cm2以上において顕著
な研磨加工が進行することがわかる。
(比較例4〜8) ケメット(銅合金)定盤を装着した片面研磨盤で、遊
離砥粒方式で各種の硬質砥粒を用い、窒化アルミニウム
基板(1インチ角、表面粗さ硬度0.4μm Rmax)の仕上
げ研磨を行なった。
使用した砥粒は、新モ−ス硬度15(ヌープ硬度7000)
で、平均粒径1/2μのダイヤモンド粒子、硬度14で平均
粒径1/2μのCBN(窒化硼素)粒子、硬度13(2500)前後
で平均粒径1μの炭化珪素粒子、硬度12(2300)で平均
粒径1μのアルミナ粒子、硬度11(1800)程度で平均粒
径1μのジルコン粒子の5種類である。
加工条件は回転数50rpm、加工圧力500g/cm2、加工時
間1hrである。いずれの砥粒を使用した場合でも、仕上
りの表面状態は鏡面には至らなかった。さらに加工時間
を1hr延長しても、肉眼で観察される表面状態には、顕
著な改善は認められなかった。
また、この研磨操作を経た被研磨材の研磨面を、干渉
光顕微鏡により100倍に拡大して観察したところ、脱粒
痕が一面に生成して肌荒れをきたしているのが認められ
た。
<考察> 第1表から明らかなように、実施例1では、被研磨材
との硬度差が少ない高密度低結合度砥石(硬度差4)
に、メカノケミカルな作用を有する粉末を添加して用い
ると、良好な鏡面が短時間で得られる。
しかしながら、比較例1にみられるように被研磨材と
の硬度差が新モ−ス硬度で4を越える高密度低結合度砥
石(硬度差5)の場合には、研磨面に脱粒痕が認めら
れ、被研磨材と同等ないしはやや硬い砥粒を選択するこ
とが重要であることがわかる。
第2表から明らかなように、実施例3では、高密度低
結合度砥石を用い、メカノケミカルな作用を有する粉末
を添加して、高圧湿式研磨方式により良好な仕上り面が
短時間で得られる。
しかしながら、比較例3にみられるように粉末を添加
しないときには、同一条件であっても仕上げ面の表面状
態がかなり劣ることがわかる。すなわち、高密度低結合
度砥石と粉末とを併用することにより、顕著な効果が得
られることがわかる。
第3表から明らかなように、加工圧力が低いときは加
工能力も低いが、0.8kg/cm2以上において顕著な研磨加
工が進行することがわかる。
比較例4〜8に見られるように、遊離砥粒方式におい
ては、使用した砥粒のいずれにおいても仕上げ面に肌荒
れが生じた。
[発明の効果] この発明によると、従来、難研磨材とされているへき
開性を有したり、脱粒しやすいセラミックスにおいて
も、鏡面ないしは鏡面に近い高度に平滑な仕上げ面を加
工能率よく得ることのできるセラミックスの精密研磨方
法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24B 7/22 B24D 3/00 320

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被研磨材との硬度の差が新モース硬度で4
    以下の範囲内にある砥粒からなる高密度低結合度砥石
    に、メカノケミカルな作用を有する粉末を加えて、加工
    液の存在下に被研磨材を研磨することを特徴とするセラ
    ミックスの精密研磨方法。
  2. 【請求項2】1kg/cm2以上の加工圧力で被研磨材を研磨
    する前記請求項1に記載のセラミックスの精密研磨方
    法。
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