JP5299249B2 - 放電加工機および放電加工機を用いたノズルボディの製造方法 - Google Patents

放電加工機および放電加工機を用いたノズルボディの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、放電加工機および放電加工機を用いたノズルボディの製造方法に関するものである。
従来、電極を用いて被加工物に孔を空ける放電加工において、孔の真円度を高めるために、電極を回転させる技術が知られている。また、このような放電加工では、電極の先端と被加工物との間隔を調整するために電極を駆動方向に移動させなければならない。
このように、電極を回転させながら電極を駆動方向に移動させる場合、回転用のアクチュエータと駆動方向への移動用のアクチュエータを別々に備えていたのでは、機構が複雑となってしまい、また、電極を保持して駆動方向に移動する電極保持部の慣性重量が大きくなってしまい、電極の高速な位置制御が困難になってしまう。
回転と駆動方向の移動を1つのアクチュエータで実現する技術としては、特許文献1に記載の放電加工機がある。この放電加工機では、図7に示すように、電極駆動部C14に2つの圧電素子C11、C12を接続し、これら2つの圧電素子C11、C12に印加する電圧の位相を調整することで、電極駆動部C14を軸Eの周りに円運動させる。すると、電極駆動部C14は、電極C17の側面に繰り返し当接するようになり、円運動の方向によって、方向Fまたはその正反対の方向Gに電極C17を付勢する。
電極C17がFの方向に付勢された場合、電極C17は、被加工物C20に近づく方向に進みながら、矢印Iの向きに回転する。また、電極C17がGの方向に付勢された場合、電極C17は、被加工物C20から離れる方向に進みながら、矢印Hの向きに回転する。
特開平7−9266号公報 特開平7−184382号公報
しかし、放電加工においては、電極C17と被加工物の間隔を調整するために、電極を被加工物に近づける制御と、電極を被加工物から離す制御とを、頻繁に切り替えるようになっている。
この場合、上記特許文献1の方法を採用した場合、電極C17の回転方向を頻繁に切り替えることになり、そのために電極C17の軸がぶれてしまい、結果として加工孔の真円度が低下する恐れがある。
本発明は上記点に鑑み、電極の回転と駆動方向の移動を1つのアクチュエータで実現する放電加工技術において、電極の軸のぶれを低減することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、電極(23)と被加工物(24)との間に電圧を印加することで放電を発生させ、その放電によって被加工物(24)を溶融させて加工する放電加工機であって、前記電極(23)を有して一体的に移動可能となっていると共に一体的に回転可能となっている電極部(22、23)と、前記電極部(22、23)を前記駆動方向に移動させると共に回転させるモータ(21)と、を備え、前記モータ(21)は、フィンガチップ(21a)を有し、前記電極部(22、23)に前記フィンガチップ(21a)を押し当てた状態で、前記フィンガチップ(21a)を環状に運動させるようになっており、前記フィンガチップ(21a)のうち前記電極部(22、23)に接触する接触部(21c)は、前記フィンガチップ(21a)が環状に運動するとき、平面(36)内を環状に運動し、前記平面(36)は、前記電極部(22、23)の回転中心(35)に対してずれていることを特徴とする放電加工機である。
このように、運動面(36)は、電極部(22、23)の回転中心(35)に対してずれていることで、フィンガチップ(21a)の円環運動の方向を頻繁に切替えることで電極(23)と被加工物(24)の間隔を調整しても、電極(23)の回転方向が頻繁に切り替わることがなくなり、その結果、電極(23)の軸のぶれを低減することができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放電加工機において、前記回転中心(35)から前記平面(36)に下ろした垂線の長さであるオフセット距離xを調整可能な機構(29)を備えたことを特徴とする。このようになっていることで、電極(23)の駆動方向の移動速度に対する回転速度の割合が適切な値になるよう、オフセット距離xを決め、そのオフセット距離xを実現するよう、機構(29)を用いて調整することができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1つに記載の放電加工機において、前記電極部(22、23)は、前記電極を保持する電極保持具(22)を備え、前記モータ(21)は、前記電極保持具(22)に前記フィンガチップ(21a)を押し当てた状態で、前記フィンガチップ(21a)を環状に運動させるようになっていることを特徴とする。
このように、フィンガチップ(21a)を電極(23)ではなく電極保持具(22)に直接押し当て、電極保持具(22)を介して電極(23)を回転させることで、電極(23)が直接押圧されないので、電極(23)を細くすることができ、ひいては、被加工物(24)に空ける孔をより小さくすることができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の放電加工機に対して燃料噴射ノズルのノズルボディを構成する被加工物(24)を設置する工程と、前記放電加工機を用いて前記被加工物(24)に噴孔を空ける工程と、を備えたノズルボディの製造方法である。このように、上記のような放電加工機を用いたノズルボディの製造方法としても、本発明を捉えることができる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
本発明の一実施形態に係る放電加工機1の構成を示すブロック図である。 放電加工機の機構部2の正面図である。 放電加工機の機構部2の側面図である。 図2のA−A断面図である。 フィンガチップ21aの楕円運動とセラミックプレート22aの移動の関係を示す図である。 フィンガチップ21aの楕円運動とセラミックプレート22aの回転の関係を示す図である。 電極の回転と駆動方向の移動を1つのアクチュエータで実現する従来技術を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態の放電加工機1の構成を示す。この放電加工機1は、電極と被加工物との間に電圧を印加することで放電を発生させ、その放電によって被加工物を溶融させて加工する装置である。
この放電加工機1は、図1に示すように、機構部2、放電電源3、放電状態検出回路4、モータアンプ5、および制御回路6を備えている。機構部2は、放電加工機1のうち、機械的作動を行う部分であり、超音波モータ21、電極保持具22、電極23等を備え、被加工物24が設置されるようになっている。なお、電極保持具22と電極23は、1つの電極部を構成し、この電極部は、後述するように、一体的に駆動方向に移動可能となっており、さらに駆動方向に平行な回転軸の周りに一体的に回転可能となっている。ここで、駆動方向とは、電極23の先端と被加工物24との間隔を調整するために電極部を移動させる方向をいい、本実施形態においては、図2中の上下方向に相当する。
超音波モータ21は、電極保持具22を駆動方向に移動させるモータであり、電極保持具22は、電極23を保持する部材である。電極23は、例えば中空(または中実)の銅、タングステン等の細線状の丸棒等から構成された細径(例えば、0.2mm以下の径)の針金形状の電極であり、電極保持具22が超音波モータ21によって駆動方向に移動するとき、同じように駆動方向に移動する。
放電電源3は、電極23と被加工物24の間に繰り返しパルス的に所定の電圧を印加する装置である。繰り返し周期は、例えば、数百万分の1秒〜数千万分の1秒程度である。電極23が被加工物24から適切な距離だけ離れている場合に、電極23と被加工物24との間に電圧が印加されると、これらの間に正常な放電が発生し、被加工物24の一部が溶融して加工が進む。
放電状態検出回路4は、放電電源3の放電状態を常時検出し、その検出結果の放電状態を信号として制御回路6に出力する。検出される放電状態としては、電極23と被加工物24との間に印加される放電電圧、電極23と被加工物24の間に流れる放電電流等がある。モータアンプ5は、制御回路6から受けた電極駆動信号に従って超音波モータ21を駆動する回路である。
制御回路6は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えた周知のマイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、放電状態検出回路4から受けた放電状態の信号に基づいて、モータアンプ5に電極駆動信号を出力する。基本的には、電極23と被加工物24との間隔が放電に適切な間隔となるよう、モータアンプ5に対して電極駆動信号を出力することで、電極23の駆動方向における位置を制御する。
図2および図3に、機構部2の詳細な構成を示す。図2は、機構部2の正面図であり、図3は、機構部2を図2の右側から見た側面図である。これらの図に示す通り、機構部2は、上述の超音波モータ21、電極保持具22、電極23に加え、XYステージ25、背面プレート26、第1ベアリング部27、第2ベアリング部28、モータ位置調整機構29、電極ガイドホルダ30、電極ガイド31、およびベースプレート33を備えている。
XYステージ25は、被加工物24を載置する台であり、X移動軸25xおよびY移動軸25y方向に移動させることで、電極23に対する被加工物24の水平面内の位置を変化させることができる。また、XYステージ25は、給電線32を介して放電電源3と導通する。
背面プレート26は、XYステージ25とは分離してベースプレート33に固定された板である。この背面プレート26の面のうち被加工物24側の面には、第1ベアリング部27、第2ベアリング部28、モータ位置調整機構29、電極ガイドホルダ30が固定される。
第1ベアリング部27および第2ベアリング部28は、駆動方向に並んで配置され、それぞれが、電極保持具22を支持するための部材である。各ベアリング部27、28は、左右の端部で背面プレート26に固定され、中央部が背面プレート26から離れて盛り上がっている。このようになっていることで、背面プレート26と当該ベアリング部との間に円筒状の空隙部が形成されるようになっている。また、第1ベアリング部27および第2ベアリング部28のうち、空隙部に面している部分には、複数のベアリング(駆動方向に対して斜めに配置されたころ軸受けでもよいし、ボールベアリングでもよい)が配置されている。これにより、この空隙部を通る電極保持具22が、回転および上下方向(すなわち駆動方向)に移動可能となっている。
電極保持具22は、セラミックロッド22a、給電器22b、および電極チャック22cを有している。セラミックロッド22aは、セラミックから成る円柱形状の部材であり、第1ベアリング部27および第2ベアリング部28の空隙部に挿通されている。これらの空隙部に挿通された状態において、セラミックロッド22aはベアリングによって回転可能かつ駆動方向に沿って移動可能に支持されることで、セラミックロッド22aの中心軸を中心に、軸ぶれすることなく回転することができる。セラミックロッド22aの太さ(つまり、セラミックロッド22aを長手方向に垂直に切った場合の断面の直径)は、約6mmである。
給電器22bは、セラミックロッド22aの下端部に固定される導電性金属部材であり、図示しない給電線を介して放電電源3の端子と導通する。電極チャック22cは、給電器22bの下端部に固定されると共に、電極23を保持する導電性金属部材である。このようになっていることで、放電電源3は、給電線、給電器22b、および電極チャック22cを介して電極23に電圧を印加することができる。
このように、電極23は、電極チャック22c、給電器22bを介してセラミックロッド22aに固定されている。なお、電極チャック22cに電極23が保持された状態では、セラミックロッド22aの回転中心(すなわち、セラミックロッド22aの中心軸)を延長すると電極23を長手方向に貫く。したがって、セラミックロッド22aが回転すると、電極23も自らの回転軸の周りに、軸ぶれすることなく回転する。つまり、電極23は、セラミックロッド22aに同軸に固定される。
電極ガイドホルダ30は、電極保持具22の下部において背面プレート26に固定されている。また、電極ガイド31は、この電極ガイドホルダ30に固定されると共に、電極チャック22cから下方に延びる電極23が挿通される挿通孔を有している。この挿通孔を電極23が通ることで、電極23が位置決めされる。
モータ位置調整機構29は、超音波モータ21を支持すると共に、超音波モータ21の軸ずれ方向の位置を調整する機構を有する装置である。なお、軸ずれ方向とは、電極保持具22の駆動方向に交差(より具体的には直交)する方向をいう。より具体的には、軸ずれ方向は、図2における紙面に垂直な方向をいい、図3における左右方向をいう。
このモータ位置調整機構29は、ステージ固定プレート29a、モータ移動ステージ固定部29b、モータ移動ステージ移動部29c、ネジ部29d、およびモータ固定用プレート29eを有している。
ステージ固定プレート29aは、背面プレート26に固定される部材である。モータ移動ステージ固定部29bは、ステージ固定プレート29aに固定されると共に、モータ移動ステージ移動部29cを軸ずれ方向に移動可能に支持する部材である。ネジ部29dは、回転することによってモータ移動ステージ固定部29bに対するモータ移動ステージ移動部29cの軸ずれ方向の位置を変化させる部材である。このネジ部29dの回転位置を制御することで、モータ移動ステージ移動部29cの軸ずれ方向の位置を制御することができる。
モータ固定用プレート29eは、モータ移動ステージ移動部29cに固定されると共に、超音波モータ21にも固定されている。したがって、ネジ部29dの回転位置を制御することで、超音波モータ21の軸ずれ方向の位置を制御することができる。
ここで、超音波モータ21について説明する。超音波モータ21は、セラミックロッド22aを直接付勢して電極23を駆動するためのモータである。より具体的には、超音波モータ21はフィンガチップ21aを有し、セラミックロッド22aのうち第1ベアリング部27と第2ベアリング部28の間の部分にこのフィンガチップ21aを押し当てた状態で、フィンガチップ21aを超音波領域の周波数で楕円運動(環状運動の一例に相当する)させる。この楕円運動の軌跡となる楕円の長径および短径は、フィンガチップ21aの大きさの100分の1以下と小さい。
フィンガチップ21aの楕円運動は、図2の紙面内における楕円運動となる。このような超音波モータ21としては、特許文献2に記載のマイクロモータを用いてもよい。このマイクロモータは、Nanomotion社からHR1モータという名称で広く販売されている。
より詳しくは、超音波モータ21は、長方形圧電セラミック素子上に、市松格子状に4箇所の電極を形成すると共に、その長方形の一辺(より具体的には短辺)の中央部にセラミック製フィンガチップ21aを備えたモータである。また、この圧電セラミック素子は、超音波モータ21の筐体に対して固定支持部材およびばね支持部材を介して接続されている。これら4箇所の電極のうちの2個所の対角線上の電極に40kHz程度の高周波電圧を加えることで、当該圧電セラミック素子を伸縮および屈曲させると、フィンガチップ21aが楕円運動する。
なお、フィンガチップ21aのうちセラミックロッド22aに接触する面(以下、接触面という)の形状は円形であり、その直径は、セラミックロッド22aの太さよりも小さくなっている。このようになっていることで、後述するセラミックロッド22aの軸ずれ量の調整が容易になる。
また、図3に示すように、セラミックロッド22aの回転中心35に対して、フィンガチップ21aの接触面の中心がずれている。この点について詳しく説明するために、図2のA−A断面図を図4に示す。フィンガチップ21aの接触面21bは、もしセラミックロッド22aと接触しなければ、図4とは異なり、超音波モータ21の運動面36に対して垂直となる。ここで、運動面36は、フィンガチップ21aの特定の部分(後述する接触部21c)の楕円運動の軌跡を含む平面である。この運動面36は、回転軸36に対してほぼ平行になっている。
しかし、セラミックロッド22aの回転中心35に対して、フィンガチップ21aの接触面の中心がずれた状態で、接触面21bがセラミックロッド22aに押し当てられると、超音波モータ21の圧電素子がばね支持部材によって支持されている等の理由により、接触面21bが概ね回転中心35を向くように傾き、その結果、運動面36に対しても垂直ではなく傾くようになる。
そして、接触面21bのうち、セラミックロッド22aと接触する接触部21cは、フィンガチップ21aが環状に運動するとき、運動面36内を環状に運動し、運動面36は、回転中心35と交わらず、回転中心35に対して、正のオフセット距離xだけずれている。なお、回転中心35から運動面36に下ろした垂線の長さxを、オフセット距離xという。
ここで、フィンガチップ21aの楕円運動とセラミックロッド22aの駆動方向の移動の関係について、図5を用いて説明する。図5は、図2のフィンガチップ21aとセラミックロッド22aとの接触部分を拡大表示した図である。図5(a)に示すように、セラミックロッド22aを上方(すなわち、駆動方向に沿って被加工物24から離れる向き)に移動させる場合は、フィンガチップ21aを紙面の反時計回りに楕円運動させる。また、図5(b)に示すように、セラミックロッド22aを下方(すなわち、駆動方向に沿って被加工物24に近づく向き)に移動させる場合は、フィンガチップ21aを紙面の時計回りに楕円運動させる。
反時計回りの楕円運動時、フィンガチップ21aとセラミックロッド22aとは常に接触した状態にあるが、フィンガチップ21aが下降している段階よりも、フィンガチップ21aが上昇している段階の方が、フィンガチップ21aがセラミックロッド22aをより強く押圧する。したがって、セラミックロッド22aに及ぼすフィンガチップ21aの摩擦力は、フィンガチップ21aの上昇時の方が大きく、したがって、全体として見れば、セラミックロッド22aは上昇する。
また、時計回りの楕円運動時も、フィンガチップ21aとセラミックロッド22aとは常に接触した状態にあるが、今度はフィンガチップ21aが上昇している段階よりも、フィンガチップ21aが下降している段階の方が、フィンガチップ21aがセラミックロッド22aをより強く押圧する。したがって、セラミックロッド22aに及ぼすフィンガチップ21aの摩擦力は、フィンガチップ21aの下降時の方が大きく、したがって、全体として見れば、セラミックロッド22aは下降する。
また、フィンガチップ21aが楕円運動を停止した場合、フィンガチップ21aとセラミックロッド22aとが接触しているので、フィンガチップ21aとセラミックロッド22aとの摩擦力によって、セラミックロッド22aも停止する。
また、フィンガチップ21aが楕円運動してセラミックロッド22aが駆動方向に移動する際、セラミックロッド22aがフィンガチップ21aに付勢されて回転する。
このとき、発明者の実験によれば、フィンガチップ21aの楕円運動の正逆に関わらず、セラミックロッド22aの回転方向は同じとなる。このようになることの理由は、以下のようなものであると考えられる。
図6(a)、(b)に示すように、接触面21bがセラミックロッド22aに押圧されており、かつ、フィンガチップ21aのセラミックロッド22aに対する接触部21cを含む運動面36がセラミックロッド22aの回転中心35からずれているので、フィンガチップ21aが楕円運動をしている間は、フィンガチップ21aがセラミックロッド22aに及ぼす力は、接触部21cから回転中心35に向かう垂直押圧力Nと、セラミックロッド22aの表面の回転方向に沿った摩擦力Fに分離できる。
このとき、摩擦力Fの向きは、フィンガチップ21aの楕円運動の方向の正逆方向とは無関係である。摩擦力Fの向きは、セラミックロッド22aとフィンガチップ21aの接触点における、セラミックロッド22aとフィンガチップ21aの相対速度によって決まる。
例えば、図6の例では、セラミックロッド22aが回転していないとする。その場合、図6(a)のように、フィンガチップ21aがセラミックロッド22aに向かう方向38に移動している期間は、接触部21cでは、フィンガチップ21aの移動速度のうち回転方向37(すなわち、セラミックロッド22aの表面における反時計回りの周方向)に平行な成分(正の値となる)の方が、セラミックロッド22aの移動速度のうち回転方向37に平行な成分(ゼロとなる)よりも、大きい。したがって、図6(a)の場合は、摩擦力Fは回転方向37を向いているので、セラミックロッド22aの回転は、回転方向37に加速される。
また、図6(b)のように、フィンガチップ21aがセラミックロッド22aから離れる方向39に移動している期間は、接触部21cでは、フィンガチップ21aの移動速度のうち回転方向37に平行な成分(負の値となる)の方が、セラミックロッド22aの移動速度のうち回転方向37に平行な成分(ゼロとなる)よりも、小さい。したがって、図6(b)の場合は、摩擦力Fは回転方向37の逆方向を向いているので、セラミックロッド22aの回転は、回転方向37の逆方向に加速される。
しかし、図6(b)の場合は、フィンガチップ21aがセラミックロッド22aから遠ざかる方向に移動している段階なので、上述の垂直押圧力Nの大きさは、フィンガチップ21aがセラミックロッド22aに向かう方向に移動している段階の図6(a)の場合に比べて小さい。したがって、摩擦力Fの大きさも小さい。
したがって、1回の楕円運動に渡る摩擦力Fの総和は、回転方向37の方向となり、セラミックロッド22aの回転は、回転方向37に加速される。そして、セラミックロッド22aの回転速度がある特定の回転速度になった時点で、セラミックロッド22aの回転の加速が終了し、回転が安定する。
このような、フィンガチップ21aの回転によってセラミックロッド22aが回転するメカニズムに鑑みれば、セラミックロッド22aの回転の方向は、フィンガチップ21aの回転方向の正逆とは無関係である。そして、運動面36のうち、接触部21cの軌跡に囲まれる部分が、セラミックロッド22aの回転中心35に対して、どちらの方向にずれているかによって、セラミックロッド22aの回転方向が決まる。
このように、運動面36が、セラミックロッド22aの回転中心35に対して一方の方向に正のオフセット距離xだけずれた状態で、フィンガチップ21aが楕円運動することで、フィンガチップ21aの円環運動の方向を頻繁に切替えることで電極23と被加工物24の間隔を調整しても、電極23の回転方向が頻繁に切り替わることがなくなり、その結果、電極23の軸のぶれを低減することができる。
また、フィンガチップ21aを電極23ではなくセラミックロッド22aに直接押し当て、セラミックロッド22aを介して電極23を回転させることで、電極23が直接押圧されないので、電極23を細くすることができ、ひいては、被加工物24に空ける孔をより小さくすることができる。
また、フィンガチップ21aの付勢によるセラミックロッド22aの駆動方向の移動速度と回転速度の間には、以下のような関係がある。すなわち、セラミックロッド22aの太さに対するオフセット距離xの割合pが大きいほど、セラミックロッド22aの駆動方向の移動速度に対する回転速度の割合が大きくなる。
これは、割合pが大きくなると、その分フィンガチップ21aの速度の回転方向37の方向の成分も大きくなるので、セラミックロッド22aの回転速度が安定化する値も高くなるからである。このような特性を利用して、電極23の駆動方向の移動速度に対する回転速度の割合が適切な値になるよう、オフセット距離x(正の値)を決め、そのオフセット距離xを実現するよう、ネジ部29dを回転させて、超音波モータ21の軸ずれ方向の位置を調整することができる。
また、運動面36は、セラミックロッド22aの回転中心35に平行になっている。したがって、そのようになっていない場合に比べ、フィンガチップ21aの一回転の間において、フィンガチップ21aのセラミックロッド22aへの接触部21cと、セラミックロッド22aの回転中心35との距離が、あまり変化しない。したがって、電極23の回転が安定する。
以下、上記のような構成の放電加工機1の作動および放電加工機1を用いた加工方法について説明する。
まず、被加工物24を、XYステージ25上に設置する。本実施形態における被加工物24は、エンジンのシリンダ内に燃料(ガソリン燃料、ディーゼル燃料等)を噴射する燃料噴射ノズルのノズルボディの元となる部材であり、ノズルボディの外形を有した部材である。放電加工機1を用いた放電加工では、電極23と被加工物24との間に放電を発生させて被加工物24に憤孔を空ける工程を、XYステージ25のX軸方向位置およびY軸方向位置を適宜変化させながら、繰り返す。これによって、燃料を噴射するための複数の憤孔が被加工物24の複数位置に空けられる。これらの憤孔を空けることで被加工物24はノズルボディとして完成するので、被加工物24の放電加工方法は、ノズルボディの製造方法でもある。
自動車エンジンには環境の観点から燃費改善が求められている。燃料の噴霧粒径を微細化することで燃焼効率が向上することが知られており、微細な孔の真円度を高めるためには、精度よく軸ぶれのない電極の回転が求められる。
被加工物24をXYステージ25上に設置した後、作業者は、電極23の駆動方向の移動速度に対する回転速度の割合が適切な値になるよう、オフセット距離x(正の値)を決め、そのオフセット距離xを実現するよう、ネジ部29dを回転させて、超音波モータ21の軸ずれ方向の位置を調整する。そして、調整が完了すると、軸ずれ方向の位置を固定させたまま、放電電源3を作動させる。すると放電電源3は、所定の周期(例えば、1/10秒の周期)で電極23と被加工物24との間にパルス電圧を印加し始める。
また作業者は、放電状態検出回路4、モータアンプ5、制御回路6を作動させる。すると、放電状態検出回路4は、電極23と被加工物24との間の放電状態(放電電流、放電電圧等)を示す信号を制御回路6に出力し始め、制御回路6は、受けた放電状態の信号に基づいて、電極23と被加工物24との間隔が放電に適切な間隔となるよう、モータアンプ5に対して電極駆動信号を出力する。そしてモータアンプ5は、制御回路6から受けた電極駆動信号に応じて超音波モータ21を駆動する。
この間、通常の場合、フィンガチップ21aの楕円運動の向きの正逆が頻繁に切り替わり、それに伴い、電極23の移動方向の正逆も頻繁に入れ替わる。しかし、上述の通り、フィンガチップ21aの付勢によるセラミックロッド22aが付勢される回転方向は、フィンガチップ21aの楕円運動の向きの正逆が切り替わったとしても、変化しない。したがって、セラミックロッド22aの回転は安定的に持続し、電極23の軸ぶれが発生する可能性が低減される。
また、電極23と被加工物24との間の放電が繰り返されるにつれ、被加工物24の憤孔が深くなり、憤孔が深くなるにつれ、電極保持具22が下降して電極23も下降していく。
最終的に電極23が被加工物24を貫通して憤孔が空けられると、放電電源3、放電状態検出回路4、モータアンプ5、制御回路6の作動を停止させる。この作動停止は、作業者が手動で行ってもよいし、あるいは、制御回路6が放電状態検出回路4からの信号に基づいて電極23の貫通を検知し、その貫通検知に基づいて制御回路6が放電電源3、放電状態検出回路4、モータアンプ5の作動を停止させるようになっていてもよい。以上のような工程を経て、被加工物24に噴孔が空けられ、ノズルボディが完成する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
例えば、上記実施形態においては、電極23を保持する電極保持具22のうち、電極23と一致する回転軸を有するセラミックロッド22aに対してフィンガチップ21aを押し当てて楕円運動させることで、電極23を回転させている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよく、電極23自体にフィンガチップ21aを押し当てて楕円運動させることで、電極23を直接回転させてもよい。この場合でも、電極23がフィンガチップ21a接触面21b以上の大きさならば、オフセット距離xを調整して電極23を回転させることは容易である。
また、上記実施形態では、フィンガチップ21aを楕円運動させるモータとして、超音波モータ21を用いているが、フィンガチップ21aを楕円運動させるモータとしては、このようなものに限らず、特許文献1に記載のような2つの圧電素子を用いてもよい。この場合、特許文献1の電極駆動部14が本発明のフィンガチップに相当する。
また、上記実施形態では、フィンガチップ21aを楕円運動させているが、フィンガチップ21aの運動は、環状の運動が繰り返されるようなものであれば、真円運動であってもよいし、楕円運動からずれた運動であってもよい。
1 放電加工機
2 機構部
3 放電電源
4 放電状態検出回路
5 モータアンプ
6 制御回路
21 超音波モータ
21a フィンガチップ
21b 接触面
21c 接触部
22 電極保持具
22a セラミックロッド
22b 給電器
22c 電極チャック
23 電極
24 被加工物
27、28 ベアリング部
29 モータ位置調整機構
29d ネジ部
35 回転中心
36 運動面

Claims (4)

  1. 電極(23)と被加工物(24)との間に電圧を印加することで放電を発生させ、その放電によって被加工物(24)を溶融させて加工する放電加工機であって、
    前記電極(23)を有して一体的に移動可能となっていると共に一体的に回転可能となっている電極部(22、23)と、
    前記電極部(22、23)を前記駆動方向に移動させると共に回転させるモータ(21)と、を備え、
    前記モータ(21)は、フィンガチップ(21a)を有し、前記電極部(22、23)に前記フィンガチップ(21a)を押し当てた状態で、前記フィンガチップ(21a)を環状に運動させるようになっており、
    前記フィンガチップ(21a)のうち前記電極部(22、23)に接触する接触部(21c)は、前記フィンガチップ(21a)が環状に運動するとき、平面(36)内を環状に運動し、前記平面(36)は、前記電極部(22、23)の回転中心(35)に対してずれていることを特徴とする放電加工機。
  2. 前記回転中心(35)から前記平面(36)に下ろした垂線の長さであるオフセット距離xを調整可能な機構(29)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
  3. 前記電極部(22、23)は、前記電極を保持する電極保持具(22)を備え、
    前記モータ(21)は、前記電極保持具(22)に前記フィンガチップ(21a)を押し当てた状態で、前記フィンガチップ(21a)を環状に運動させるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の放電加工機。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の放電加工機に対して燃料噴射ノズルのノズルボディを構成する被加工物(24)を設置する工程と、
    前記放電加工機を用いて前記被加工物(24)に噴孔を空ける工程と、を備えたノズルボディの製造方法。
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