JP2005176410A - 発電装置 - Google Patents

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淳司 大和
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Abstract

【課題】 打撃子と別体の戻しばねや軸受を省略可能な構成を採用して、コスト低減や発電能力の安定化を図ることのできる発電装置を提供すること。
【解決手段】 発電装置1において、回転体7の近傍には、弾性支持部材8によって打撃子85が配置、保持されている。弾性支持部材8は、円筒状の基部81と、この基部81からサスペンションワイヤ82とを有しており、打撃子85は、弾性支持部材8と一体化された状態で発電装置1に搭載され、サスペンションワイヤ82の弾性変形により、圧電素子9の被打撃面90を打撃する打撃位置と、この打撃位置から退避した退避位置との間を移動可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電素子を利用した発電装置に関するものである。
外力によって発電を行う発電装置としては、例えば、振動などの外力によって回転駆動する回転体によって打撃された打撃子が、圧電素子に衝撃を付与するものが案出されている。また、この種の発電装置では、打撃子によって効率良く圧電素子に衝撃を付与することを目的に、打撃子に対して戻しばねを用いた復帰手段を設け、打撃子の位置や姿勢を元の状態に復帰させるようにしてある(特許文献1参照)。
特開平9−271180号公報
しかしながら、戻しばねを用いた復帰手段を備えた発電装置は、打撃子と戻しばねが各々、別部品であることから、部品点数が多く、かつ、組立にも多大な手間がかかるため、コストが嵩むという問題点がある。しかも、この種の発電装置は一般的に小型化が求められ、それに用いる部品も非常に小さく、精密である。そのため、戻しばねは、一般にかなり小型であるため、組立作業の効率が低く、かつ、戻しばねを製造する際、高い寸法精度が得られ難いという問題がある。
また、上記引用文献1に記載の打撃子は、レバーの先端に形成されているため、圧電素子に衝撃を付与させる一連の動作においては、レバーの回転を伴うことになる。従って、レバーの回転中心に何らかの軸、および軸受を設ける必要があるため、コストが嵩むという問題点がある。また、摩擦抵抗を低減するには、玉軸受あるいは、特殊な樹脂や貴金属類を用いた軸受を用いる必要があるため、その分、部品コストが嵩むという問題点がある。しかも、軸受で発生する摩擦力は、軸受の構造、軸受の部品などで決定され、組立時での調整は困難なことが多い。さらに、打撃子の振動の周期は、回転体に打撃されるときの力や、その打撃周期などで決定されるが、当然、振動子の回転中心の軸受部分の摩擦力も、その一因となるので、軸受の摩擦力が変われば、打撃子の振動も変化する。その結果、打撃子が駆動される周波数と、打撃子の往復動作の周波数が共振した場合、打撃子が圧電素子を打撃せず、安定した発電を行えないという問題点がある。例えば、打撃子は、外力が加えられない限り徐々に減速していくので、その過程では、必ず、打撃子が駆動される周波数と、打撃子の往復動作の周波数が共振するタイミングが発生し、発電能力が低下する。その際、発電効率が最も高いはずの回転数に共振周波数が重なるようなことがあると、目論見通りの発電量が得られないことになる。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、打撃子と別体の戻しばねや軸受を省略可能な構成を採用して、コスト低減や発電能力の安定化を図ることのできる発電装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明では、圧電素子と、該圧電素子を繰り返し打撃する打撃子と、該打撃子に前記圧電素子に向かう推力を繰り返し付与する推力付与体とを有する発電装置において、前記打撃子は、弾性変形により前記打撃子を前記圧電素子を打撃する打撃位置と該打撃位置から退避した退避位置との間を移動可能に支持する弾性支持部材と一体化された状態に搭載されていることを特徴とする。
本発明において、前記弾性支持部材は、例えば、ワイヤによって前記打撃子を保持している構成を採用することが好ましい。このように構成すると、弾性支持部材のワイヤ長さを調整することにより、目論見通りの共振周波数を設定できるので、共振周波数を衝撃子の動作とずらすことができる。ここで、ワイヤとして撚り線を用いることが好ましい。撚り線であれば、ばね定数を単線よりも低下させることができるとともに、撚り線の素線の材質、撚り方を変えることにより、ばね定数を広く範囲において任意の値に設定できる。
本発明において、前記打撃子は、前記弾性支持部材によって片持ち状態で支持されていることが好ましい。このように構成すると、弾性支持部材の固定端の一箇所のみを装置本体側に取り付ければよく、組立作業の効率を向上することができるとともに、省スペース化を図ることができる。
本発明において、前記打撃子と前記弾性支持部材は、一体成形されて成ることが好ましい。このように構成すると、金型により打撃子と弾性支持部材とを同時に形成できるため、生産性を向上できる。しかも、金型の精度を高めることにより、打撃子や弾性支持部材の加工精度を高めることができるので、打撃子の共振周波数を目論見通りの値に設定しつつ、廉価で作成することができる。
本発明においては、打撃子を弾性支持部材と一体化し、この弾性支持部材の弾性変形によって、打撃子を打撃位置と退避位置との間で移動可能にしてある。このため、別部材の戻しばねを用いる必要がない。また、軸受も必要ない。従って、部品点数の削減、および組立作業の効率化を図ることができるので、コスト低減を図ることができる。また、小型ゆえに寸法精度を確保しにくい戻しばねや、摩擦抵抗を制御しにくい軸受を用いる必要がないため、発電能力の安定化を図ることができる。
以下に、図面を参照して、本発明を適用した発電装置の一例を説明する。
(全体構成)
図1は、本発明を適用した発電装置において、上ケースを外した状態における平面図である。図2は、図1に示す発電装置を示す分解斜視図である。
図1および図2に示すように、本形態の発電装置1は、上ケース21および下ケース22からなるボックス状のケース2から作動軸3の先端部分31が突出した構造になっており、ケース2の内部には、作動軸3と機構的に接続された歯車部材5と、この歯車部材5に同軸状に連結された慣性板6と、この慣性板6とともに回転する回転体7(推力付与体)とが配置されている。回転体7の外周面71には、周方向(移動方向)に沿って複数の突起72(推力付与部)が同一の形状および大きさに形成されている。
回転体7の近傍には、弾性支持部材8によって、略半球状の打撃子85が配置、保持されている。弾性支持部材8は、円筒状の基部81と、この基部81から突き出たサスペンションワイヤ82とを有しており、打撃子85は、サスペンションワイヤ82の先端部に一体に固定されている。また、下ケース22には、円筒状の基部81に嵌る軸部23が形成されており、基部81内に軸部23を嵌めた後、加締、溶接、接着などの方法で基部81を下ケース22に固定することにより、打撃子85を所定位置に所定の姿勢で配置することができる。
本形態において、サスペンションワイヤ82としては、複数本のワイヤ(素線)を撚った撚り線が用いられている。サスペンションワイヤ82として撚り線を用いると、ワイヤ長さを調整することにより、目論見通りの共振周波数を設定できるので、共振周波数を衝撃子の動作とずらすことができる。また、撚り線であれば、ばね定数を単線よりも低下させることができる。さらに、撚り線であれば、撚り線の素線の材質、撚り方を変えることにより、ばね定数を広い範囲において任意の値に設定できるという利点がある。
このようにして本形態では、打撃子85は、弾性支持部材8と一体化された状態で発電装置1に搭載されている。また、打撃子85は、サスペンションワイヤ82の弾性変形により、以下に説明する圧電素子9の被打撃面90を打撃する打撃位置と、この打撃位置から退避した退避位置との間を移動可能に保持されている。すなわち、打撃子85に隣接する位置には、被打撃面90を打撃子85に向ける薄板状の圧電素子9が横向きに配置されており、打撃子85は、サスペンションワイヤ82によって、圧電素子9の被打撃面90を打撃する打撃位置と、この打撃位置から後方に退避した回転体7と圧電素子9との中立位置(退避位置)との間を移動可能に支持されている。
圧電素子9は、ケース2の内部のU字状の圧電素子保持部26に緩衝部材95を介して垂直に取り付けられている。本形態では、圧電素子9としてPZT系セラミックスのものを用いている。この種の圧電素子9は、一般的に衝撃に弱いので、本形態においては、緩衝部材9が圧電素子9に加わった衝撃を緩和するようになっている。また、緩衝部材9は、衝撃により発生する圧電素子9の振動をなるべく持続する効果も併せ持つ。
本形態において、作動軸3の先端部分31は、ケース2の側面に形成された矩形円筒状の開口部24から突出している。これに対して、作動軸3の基端部は、細径部32になっており、この細径部32は、下ケース22に形成された受け部25に嵌って軸線方向に移動可能に支持されている。細径部32の周りにはコイルばね20が装着されており、このコイルばね20は、作動軸3の長さ方向の略中央位置に形成された段部35と受け部25との間に保持されている。
作動軸3の長さ方向における所定の範囲にはラック30が形成されており、このラック30は、歯車部材5の一方側端面に形成されたピニオン51と噛み合っている。但し、作動軸3が軸線方向における先端側位置にあるときには、ラック30とピニオン51の噛合が解除され、作動軸3がケース2の内部に押圧されたとき、ラック30とピニオン51が噛み合う。換言すれば、作動軸3が外力で押圧された後、その外力から解放されたとき、作動軸3は、コイルばね20に付勢されて変位前の位置に戻るが、変位前の位置に戻るまでの間にラック30とピニオン51とは噛合した状態にあり、作動軸3が変位前の位置に完全に戻った以降、ラック30とピニオン51との噛合が解除される。このため、ラック30とピニオン51の噛み合いが解除された状態では、歯車部材5はフリーな状態にある。
図2に示すように、歯車部材5の他方側端面には円筒状の突起52が形成されており、この突起52は、慣性板6の中心穴60を通って回転体7の中心穴70に嵌っている。また、歯車部材5、慣性板6、および回転体7は、歯車部材5において突起52の周りに形成された複数の穴、慣性板6において中心穴60の周りに形成された複数の穴、および回転体7において中心穴70の周りに形成された複数の穴に連結ピン(図示せず)が嵌められて連結されている。この状態で、歯車部材5の突起52の中空部521にはケース2に両端が保持された回転中心軸28が差し込まれ、歯車部材5、慣性板6、および回転体7は、回転中心軸28周りに回転可能である。なお、慣性板6は、比重が重い材料、例えば、真鍮によって形成されている。
(発電動作)
図3は、図1に示す圧電素子を打撃する様子を示す平面図である。
本形態の発電装置1では、図1に示す状態から、外力によって作動軸3が矢印Dで示す方向に押圧されると、ラック30とピニオン51が噛合して歯車部材5、慣性板6、および回転体7が時計周りCWの方向に回転するとともに、コイルばね20が圧縮される。その間、コイルばね20には、作動軸3の変位が弾性エネルギーとして蓄えられる。
この状態で、作動軸3に対する押圧が解除されると、コイルばね20の付勢力によって、作動軸3は矢印Uで示す方向に押し出され、作動軸3は、元の位置に戻る。
この状態になる途中までは、ラック30とピニオン51とが噛み合っているので、コイルばね20は、作動軸3を押し出すとともに、歯車部材5、慣性板6、および回転体7を反時計周りCCWの方向に回転させる。但し、作動軸3が元の位置に戻る直前に、ラック30とピニオン51との噛合が解除されるので、それ以降、回転体7は慣性板6の慣性力によって反時計周りCCWに回転し続ける。
これにより、打撃子85の端部近傍を回転体7の外周面71が移動し、回転体7の外周面71に形成された突起72が打撃子85の端部近傍を通過する際、打撃子85が中立位置、あるいは、そこより回転体7の側にあれば、打撃子85は、突起72に打撃されることになる。その結果、打撃子85には、圧電素子9に向かう推力が付与され、打撃子85は、図3に示すように、圧電素子9の被打撃面90を打撃する。
そして、打撃子85は、圧電素子9を打撃した反動、およびサスペンションワイヤ82の形状復帰力により、圧電素子9に対する打撃位置から退避位置(中立位置、および中立位置より回転体7の側の位置)に変位し、回転体7の突起72によって再び、打撃される。
このような動作を繰り返すことによって回転体7の回転は徐々に減速していく。また、打撃子85が圧電素子9を打撃することにより得られた電力は、整流回路(図示せず)に導かれる。よって、本形態の発電装置1は、さまざまな用途に応用することができる。例えば、外部侵入者が窓を開けたときにその外力が駆動源として回転体7を回転させれば、発電装置1で得られた電力をトリガーにして発信装置の起動や監視センターへの通報などを行う機器として利用できる。また、発電装置1で得た電力で異常を放置するためのLEDを点灯させてもよい。
(本形態の効果)
以上説明したように、本形態の発電装置1では、打撃子85をサスペンションワイヤ82と一体に形成したため、打撃子85と別部材としての戻しばねを用いる必要がない。また、打撃子85をサスペンションワイヤ82で変位可能に保持したため、打撃子85に対して軸受を設ける必要もない。従って、部品点数の削減を図ることができ、かつ、組立作業の高効率化を図ることができるので、発電装置1のコストを低減することができる。
また、本形態の発電装置1では、小型ゆえに寸法精度を確保しにくい戻しばねや、摩擦抵抗を制御しにくい軸受を用いる必要がないため、発電能力の安定化を図ることができる。
しかも、本形態において、弾性支持部材8は、下ケース22への固定部となる基部81と、打撃子85が連結されたサスペンションワイヤ82とを備えており、各々が機能を分担している。従って、弾性支持部材8の下ケース22への取り付け構造が変わったとしても、サスペンションワイヤ82については設計変更が必要ないので、回転体7の突起72が打撃子85の近傍を通過するタイミングと、サスペンションワイヤ82による打撃子85の共振周波数とを最適な条件を維持することができる。それ故、回転体7の突起72の空振りを減らすことができるなど、発電能力の向上を図ることができる。
さらに、打撃子85は、弾性支持部材8によって片持ち状態で支持されているので、弾性支持部材8の基部81を下ケース22に取り付ければよいので、組立作業性の向上を図ることができるとともに、省スペース化を図ることもできる。
[その他の実施の形態]
上記形態において、弾性支持部材8は、円筒状の基部81と、この基部81から突き出たサスペンションワイヤ82とを有し、基部81内に下ケース22の軸部23を嵌めることにより、打撃子85を所定位置に所定の姿勢で配置したが、図4および図5に示す構成の弾性支持部材8Aを用いてもよい。
図4および図5に示す発電装置1Aにおいて、弾性支持部材8Aは、円柱状の基部81Aと、この基部81Aの端面から突き出たサスペンションワイヤ82とを有しており、打撃子85は、サスペンションワイヤ82の先端部に一体に固定されている。下ケース22には、溝付きの凹部23Aが形成されている。従って、凹部23Aの溝からサスペンションワイヤ82を引き出すようにして、凹部23Aに基部81Aを嵌めた後、加締、溶接、接着などの方法で基部81Aを下ケース22Aに固定すればよい。その他の構成は、図1〜図3を参照して説明した実施の形態と同様であるため、それらの説明を省略する。
上記のいずれの形態でも、撚り線からなるサスペンションワイヤ82を用いたが、単線からなるサスペンションワイヤを用いてもよい。
また、打撃子85とサスペンションワイヤ82については金型成形してもよい、さらには、打撃子85、サスペンションワイヤ82、および基部81を金型成形してもよい。このような構成を採用すると、打撃子85と弾性支持部材8とを一体化したものを安価に製造できる。また、金型の精度を高めることにより、打撃子85や弾性支持部材8の加工精度を高めることができるので、打撃子85の共振周波数を目論見通りの値に設定することができる。なお、成形方法としては、一体成形の他、インサート成形やアウトサート成形を行ってもよい。
さらに、サスペンションワイヤ82については断面円形のものに限らず、例えば、断面形状を縦長の楕円や長円にすれば、ばね定数を変えずに、上下方向における剛性を高めることができる。
なお、上記形態では、回転体7に形成した突起72で打撃子85に推力を付与する構成であったが、このような構成に限定されるものでない。
本発明の発電装置においては、打撃子を弾性支持部材と一体化し、この弾性支持部材の弾性変形によって、打撃子を打撃位置と退避位置との間で移動可能にしてある。このため、別部材の戻しばねを用いる必要がない。また、軸受も必要ない。従って、部品点数の削減、および組立作業の効率化を図ることができるので、コスト低減を図ることができる。また、小型ゆえに寸法精度を確保しにくい戻しばねや、摩擦抵抗を制御しにくい軸受を用いる必要がないため、発電能力の安定化を図ることができる。
本発明を適用した発電装置において、上ケースを外した状態における平面図である。 図1に示す発電装置の分解斜視図である。 図1に示す発電装置において、衝撃子が圧電素子を打撃する様子を示す平面図である。 本発明を適用した別の発電装置において、上ケースを外した状態における平面図である。 図4に示す発電装置の分解斜視図である。
符号の説明
1 発電装置
7 回転体(推力付与体)
8 弾性支持部材
9 圧電素子
81 弾性支持部材の基部
82 弾性支持部材のサスペンションワイヤ
85 打撃子
90 圧電素子の被打撃面

Claims (4)

  1. 圧電素子と、該圧電素子を繰り返し打撃する打撃子と、該打撃子に前記圧電素子に向かう推力を繰り返し付与する推力付与体とを有する発電装置において、
    前記打撃子は、弾性変形により前記打撃子を前記圧電素子を打撃する打撃位置と該打撃位置から退避した退避位置との間を移動可能に支持する弾性支持部材に保持された状態に搭載されていることを特徴とする発電装置。
  2. 請求項1において、前記弾性支持部材は、ワイヤによって前記打撃子を保持していることを特徴とする発電装置。
  3. 請求項1または2において、前記打撃子は、前記弾性支持部材によって片持ち状態で支持されていることを特徴とする発電装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記打撃子と前記弾性支持部材は、一体成形されて成ることを特徴とする発電装置。
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