JP2011104689A - 放電加工機および放電加工機を用いたノズルボディの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極と被加工物との間で最適な放電を発生させるために、モータによる電極の位置制御を行う放電加工技術において、電極と被加工物との間の放電状態を用いた電極位置のフィードバック制御の精度を向上させる。
【解決手段】制御回路は、モータを間欠的に作動させ、モータの作動を停止させた後の時点であり、次にモータの作動を開始させる前の時点における、電極と被加工物の間の放電状態検出し、検出した放電状態に基づいて、次にモータを作動させるときのモータの作動内容を制御する。
【選択図】図8

Description

本発明は、放電加工機および放電加工機を用いたノズルボディの製造方法に関するものである。
従来、放電加工において、電極と被加工物との間で最適な放電を発生させるために、モータによる電極の位置制御を行う技術が知られている。例えば、特許文献1、2では、電極と被加工物との間の放電状態(放電電圧、放電電流等)を検出する放電状態検出回路を備え、この放電状態検出回路からの検出信号に応じて電極の移動量を決定するという第1のフィードバック制御を行い、それに加え、決定した移動量を精度良く実現するために、ロータリーエンコーダ等で電極の位置を検出する位置検出回路を備え、この位置検出回路からの検出信号に応じて、モータの駆動制御を行うという第2のフィードバック制御を行うようになっている。
特開平5−104332号公報 特開2000−167717号公報 特開平7−184382号公報
しかし、引用文献1、2の技術では、第1のフィードバック制御の精度が十分ではない。その理由は、発明者の検討によれば、放電状態を検出するタイミングにおいて、電極がまだモータによって制御されている途中である場合があるからである。そのような場合に検出された放電状態を利用して移動量を決定したとしても、新たな移動量を指令するタイミングでは、電極は放電状態検出時の位置から更に移動してしまっている。このように第1のフィードバック制御の精度が十分ではないために、引用文献1、2では、第2の制御を導入せざるを得ない。
本発明は上記点に鑑み、電極と被加工物との間で最適な放電を発生させるために、モータによる電極の位置制御を行う放電加工技術において、電極と被加工物との間の放電状態を用いた電極位置のフィードバック制御の精度を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、電極(23)と被加工物(24)との間に電圧を印加することで放電を発生させ、その放電によって被加工物(23)を溶融させて加工する放電加工機であって、前記電極(23)を保持する電極保持具(22)と、前記電極保持具(22)を駆動方向に移動させるモータ(21)と、前記電極(23)と前記被加工物(24)との間の放電状態を検出して放電状態信号として出力する放電状態検出回路(4)と、前記放電状態検出回路(4)が出力した前記放電状態信号を受け、受けた前記放電状態信号に基づいて前記モータ(21)を駆動させることで、前記電極(23)の駆動方向における位置を制御する制御回路(6)と、を備え、前記制御回路(6)は、前記モータ(21)を間欠的に作動させ、前記モータ(21)の作動を停止させた後の時点であり、次に前記モータ(21)の作動を開始させる前の時点における、前記電極(23)と前記被加工物(24)の間の放電状態を、前記放電状態信号に基づいて検出し、検出した前記放電状態に基づいて、次に前記モータ(21)を作動させるときの前記モータ(21)の作動内容を制御することを特徴とする放電加工機である。
このように、放電状態の検出対象のタイミングは、モータ(21)が作動せず、電極(23)の駆動が行われておらず、電極(23)の慣性による移動速度が弱まったタイミングである。したがって、電極(23)が、1回のモータ(21)の連続駆動に起因して移動し終える位置に近い位置(または移動し終える位置そのもの)で、電極(23)と被加工物(24)との間の放電状態を検出することができる。
このような位置で検出される放電状態は、次にモータ(21)を作動させるときのモータ(21)の作動内容を決めるためにフィードバックする放電状態としては、非常に望ましいものである。なぜなら、仮にモータ(21)が作動し続けている状態で放電状態を検出したとすれば、モータ(21)の次の作動開始タイミングまでに、電極(23)が大きく動いてしまうので、検出された放電状態はフィードバック値としては精度が低いものとなるからである。
このように、放電状態の検出対象のタイミングを、1回のモータ(21)の作動が電極駆動信号51の出力が終了し、次に超音波モータ21の作動を再開する前とすることで、検出した放電状態を用いた電極(23)のフィードバック制御の精度が高くなる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放電加工機において、前記モータ(21)は、前記制御回路(6)によって作動させられている間、前記電極(23)の位置を検出し、検出した位置を前記モータ(21)の作動にフィードバックする制御を受けないことを特徴とする。
請求項1に記載した通り、本願発明の放電加工機は、電極(23)の位置制御の精度を高くすることができるので、従来(特許文献1、2参照)のように、放電状態に応じて電極(23)の移動量を決めるという第1のフィードバック制御に加え、決めた移動量を精度良く実現するために、実際にロータリーエンコーダ等で電極23の位置を検出してモータ制御に反映する第2のフィードバック制御を行わなくてもよくなる。
そして、この第2のフィードバック制御を行なわず、電極(23)の位置自体の制御という概念を排除して直接モータ(21)の駆動指令制御を行うことで、電極(23)の位置制御が速やかに実現し、ひいては、放電加工の時間が短縮される。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の放電加工機において、前記制御回路(6)は、前記放電状態検出回路(4)が出力した前記放電状態信号に基づいて、電極駆動信号を出力し、前記モータ(21)は、前記制御回路(6)が前記電極駆動信号を出力している間に限り前記電極保持具(22)を移動させると共に、出力された前記電極駆動信号のレベルの絶対値が高いほど前記電極保持具(22)を高速に移動させ、前記制御回路(6)は、前記放電状態信号を間欠的に出力し、第1の放電状態信号の出力を終了した後の時点であり、かつ前記第1の電極駆動信号の次の第2の電極駆動信号の出力を開始する前の時点における、前記電極(23)と前記被加工物(24)の間の放電状態を検出し、検出した前記放電状態に基づいて、前記第2の駆動信号のレベルまたは前記第2の駆動信号の出力時間を決定することを特徴とする。
このように、電極駆動信号のレベル自体を変化させて電極(23)の位置を制御することで、そうでない場合に比べて高速な制御を行うことができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の放電加工機において、前記モータ(21)は、環状に運動するフィンガチップ(21a)を備えた超音波モータ(21)であり、前記フィンガチップ(21a)を前記電極保持具(22)に接触させて前記電極保持具(22)を動かすことを特徴とする。
このようになっていることで、磁場変動を利用する従来のモータ(例えばリニアモータ)のように、モータの可動子を電極保持具(22)に含めて移動させる必要がない。すなわち、超音波モータ(21)は、モータの2次側移動子(すなわち、超音波モータ(21)のうち電極保持具(22)と共に移動する部材)がない。換言すれば、2次側移動子の質量がゼロである。その分、電極保持具(22)の質量が低減でき、ひいては、電極(23)の高速移動および高速制御を実現することができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の放電加工機において、前記電極保持具(22)のうち、前記フィンガチップ(21a)が接触する部材(22a)が、前記電極(23)を直接保持することを特徴とする。このようになっていることで、そうでない場合に比べて電極保持具(22)が軽量化する。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の放電加工機において、前記制御回路(6)が検出する前記放電状態は、前記モータ(21)の作動が停止してから所定の時間(T2)が経過した時点であり、この所定の時間(T2)は、前記モータ(21)の作動が停止してからから、前記モータ(21)の作動が再開するまでの期間の1/2以上であることを特徴とする。
このようにすることで、上記所定の時間(T2)が長いほど、電極(23)が十分減速されている可能性が高く、それゆえ、電極(23)のフィードバック制御の位置精度が高くなる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の放電加工機に対して燃料噴射ノズルのノズルボディを構成する被加工物(24)を設置する工程と、
前記放電加工機を用いて前記被加工物(24)に噴孔を空ける工程と、を備えたノズルボディの製造方法である。このように、本発明の放電加工機は、微細な噴孔を有するノズルボディの製造に適している。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
本発明の一実施形態に係る放電加工機1の構成を示すブロック図である。 放電加工機の機構部2の構成を示す図である。 フィンガチップ21aの楕円運動とセラミックプレート22aの移動の関係を示す図である。 図2のA−A断面図である。 制御回路6の位置制御処理のフローチャートである。 制御係数Kの設定処理のフローチャートである。 ジャンプ条件の設定処理のフローチャートである。 放電加工時の電極駆動信号、電極位置、放電状態、放電状態検出タイミングの経時変化を示すタイミングチャートである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態の放電加工機1の構成を示す。この放電加工機1は、電極と被加工物との間に電圧を加えることで放電を発生させ、その放電によって被加工物を溶融させて加工する装置である。
この放電加工機1は、図1に示すように、機構部2、放電電源3、放電状態検出回路4、モータアンプ5、および制御回路6を備えている。機構部2は、放電加工機1のうち、機械的作動を行う部分であり、超音波モータ21、電極保持具22、電極23等を備え、被加工物24が設置されるようになっている。
超音波モータ21は、電極保持具22を駆動方向(具体的には上下)に移動させるモータであり、電極保持具22は、電極23を保持する部材である。電極23は、例えば中空(または中実)の銅、タングステン等の細線状の丸棒等から構成された細径(例えば、0.2mm以下の径)の針金形状の電極であり、電極保持具22が超音波モータ21によって駆動方向に移動するとき、同じように駆動方向に移動する。
放電電源3は、電極23および被加工物24の間に繰り返しパルス的に所定の電圧を印加する装置である。繰り返し周期は、例えば、数万分の1秒〜数千万分の1秒程度である。電極23が被加工物24から適切な距離だけ離れている場合に、電極23と被加工物24との間に電圧が印加されると、これらの間に放電が発生し、被加工物24の一部が溶融して加工が進む。
放電状態検出回路4は、放電電源3の放電状態(すなわち、電極23と被加工物24との間の放電状態)を常時検出し、その検出結果の放電状態を放電状態信号として制御回路6に出力する。検出される放電状態としては、電極23と被加工物24との間に印加される放電電圧、電極23と被加工物24の間に流れる放電電流等がある。
モータアンプ5は、制御回路6から受けた電極駆動信号に従って超音波モータ21を駆動する回路である。より具体的には、制御回路6から絶対値が所定値(具体的にはゼロ)以上の電極駆動信号を受けている間に限り超音波モータ21を作動させ、受けた電極駆動信号のレベルの絶対値が高いほど高速に超音波モータ21を作動させ、電極保持具22を高速に移動させる。以下では、絶対値が所定値(具体的にはゼロ)以上の電極駆動信号を受けていることを、単に電極駆動信号を受けていると記す。
制御回路6は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えた周知のマイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、放電状態検出回路4から受けた放電状態信号に基づいて、モータアンプ5に電極駆動信号を出力する。基本的には、電極23と被加工物24との間隔が放電に適切な間隔となるよう、モータアンプ5に対して電極駆動信号を出力することで、電極23の駆動方向における位置を制御する。
図2に、機構部2の詳細な構成を示す。機構部2は、上述の超音波モータ21、電極保持具22、電極23に加え、XYステージ25、背面プレート26、固定プレート27、スライドレール29、電極ガイドホルダ30、および電極ガイド31を備えている。
XYステージ25は、被加工物24を載置する台であり、X移動軸25xおよびY移動軸25y方向に移動させることで、電極23に対する被加工物24の水平面内の位置を変化させることができる。また、XYステージ25は、図示しない給電線を介して放電電源3のグラウンド側端子と導通する。
背面プレート26は、XYステージ25に固定された立ち壁であり、固定プレート27は、この背面プレート26の側面において、背面プレート26に対して平行にネジ止め固定された板である。この固定プレート27の背面プレート26側とは反対側の面には、超音波モータ21、電極保持具22が固定される。
ここで、超音波モータ21について説明する。超音波モータ21は、電極23を駆動するためのモータであって、超音波領域の周波数でフィンガチップ21aを環状に運動させる(具体的には楕円運動させる)モータである。超音波モータ21の作動の速度は、フィンガチップ21aの楕円運動の単位時間当たりの回転数に相当する。フィンガチップ21aの楕円運動は、図2の紙面内における楕円運動となる。このような超音波モータ21としては、特許文献3に記載のマイクロモータを用いてもよい。このマイクロモータは、Nanomotion社からHR1モータという名称で広く販売されている。
より詳しくは、超音波モータ21は、長方形圧電セラミック素子上に、市松格子状に4箇所の電極を形成すると共に、その長方形の一辺の中央部にフィンガチップ21aを備えたモータである。超音波モータ21の4箇所の電極の内の2個所の対角線上の電極に40KHz程度の高周波電圧を加えることで、当該セラミック素子を伸縮および屈曲させてフィンガチップ21aに楕円運動を生起させる。
電極保持具22は、セラミックプレート22a、電極押え22b、電極押え用ネジ22c、移動子22dを備えている。セラミックプレート22aは、超音波モータ21の先端部のフィンガチップ21aと常時接触しており、超音波モータ21が作動してフィンガチップ21aが楕円運動すると、当該圧電セラミック素子に付設されたバネにより、フィンガチップ21aの楕円運動がセラミックプレート22aに伝達され、セラミックプレート22aが直線的に移動する。
ここで、フィンガチップ21aの楕円運動とセラミックプレート22aの移動の関係について、図3を用いて説明する。図3(a)に示すように、セラミックプレート22aを上方(すなわち、駆動方向に沿って被加工物24から離れる向き)に移動させる場合は、フィンガチップ21aを紙面の反時計回りに楕円運動させる。また、図3(b)に示すように、セラミックプレート22aを下方(すなわち、駆動方向に沿って被加工物24に近づく向き)に移動させる場合は、フィンガチップ21aを紙面の時計回りに楕円運動させる。
反時計回りの楕円運動時、フィンガチップ21aとセラミックプレート22aとは常に接触した状態にあるが、フィンガチップ21aが下降している段階よりも、フィンガチップ21aが上昇している段階の方が、フィンガチップ21aがセラミックプレート22aをより強く押圧する。したがって、セラミックプレート22aに及ぼすフィンガチップ21aの摩擦力は、フィンガチップ21aの上昇時の方が大きく、したがって、全体として見れば、セラミックプレート22aは上昇する。
また、時計回りの楕円運動時も、フィンガチップ21aとセラミックプレート22aとは常に接触した状態にあるが、今度はフィンガチップ21aが上昇している段階よりも、フィンガチップ21aが下降している段階の方が、フィンガチップ21aがセラミックプレート22aをより強く押圧する。したがって、セラミックプレート22aに及ぼすフィンガチップ21aの摩擦力は、フィンガチップ21aの下降時の方が大きく、したがって、全体として見れば、セラミックプレート22aは下降する。
また、フィンガチップ21aが楕円運動を停止した場合、フィンガチップ21aとセラミックプレート22aとが接触しているので、フィンガチップ21aとセラミックプレート22aとの摩擦力によって、セラミックプレート22aも停止する。
セラミックプレート22aは、移動子22dに固定されている。移動子22dは、固定プレート27に固定されたスライドレール29に対して離れないように係合されると共に、スライドレール29上をスライドレール29に沿って自在に移動可能なセラミック製の部材である。
電極押え22bは、フィンガチップ21aおよび電極押え用ネジ22cと共に電極23を保持するための導電性の金属部材である。図4に、図2のA−A断面図を示す。この図に示すように、電極押え22bは、セラミックプレート22aの下端部の側面を囲む環状の部材となっている。電極押え22bの一面にはネジ穴が設けられており、電極押え用ネジ22cは、電極押え22bの外周からこのネジ穴を通って、セラミックプレート22aの電極23に対向していない側の面に当接することで、セラミックプレート22aを電極23および電極押え22bの内周に向けて押圧するようになっている。これによって、電極23は、セラミックプレート22aと電極押え22bに挟まれて保持される。このように、電極23は、セラミックプレート22aと電極押え22bによって直接保持されている。
このようになっていることで、電極押え22bは電極23と導通する。また、電極押え22bは、図示しない給電線(被覆を含めて直径1mm程度)を介して放電電源3の非グラウンド側端子と導通する。このようになっていることで、放電電源3は、給電線および電極押え22bを介して電極23に電圧を印加することができる。
電極ガイドホルダ30は、電極保持具22の下部において背面プレート26に固定されている。また、電極ガイド31は、この電極ガイドホルダ30に固定されると共に、電極押え22bから下方に延びる電極23が挿通される挿通孔を有している。この挿通孔を電極23が通ることで、電極23が位置決めされる。
以下、上記のような構成の放電加工機1の作動および放電加工機1を用いた加工方法について説明する。
まず、被加工物24を、XYステージ25上に設置する。本実施形態における被加工物24は、エンジンのシリンダ内に燃料(ガソリン燃料、ディーゼル燃料等)を噴射する燃料噴射ノズルのノズルボディの元となる部材であり、ノズルボディの外形を有した部材である。放電加工機1を用いた放電加工では、電極23と被加工物24との間に放電を発生させて被加工物24に憤孔を空ける工程を、XYステージ25のX軸方向位置およびY軸方向位置を適宜変化させながら、繰り返す。これによって、燃料を噴射するための複数の憤孔が被加工物24の複数位置に空けられる。これらの憤孔を空けることで被加工物24はノズルボディとして完成するので、被加工物24の放電加工方法では、ノズルボディの製造方法でもある。
被加工物24をXYステージ25上に設置した後、作業者は、放電電源3を作動させる。すると放電電源3は、所定の周期(例えば、数千万分の1秒の周期)で電極23と被加工物24との間にパルス電圧を印加し始める。
また作業者は、放電状態検出回路4、モータアンプ5、制御回路6を作動させる。すると、放電状態検出回路4は、電極23と被加工物24との間の放電状態(放電電流、放電電圧等)を示す放電状態信号を制御回路6に出力し始める。また、制御回路6は起動して、受けた放電状態信号に基づいて、電極23と被加工物24との間隔が放電に適切な間隔となるよう、モータアンプ5に対して電極駆動信号を出力するための位置制御処理を開始する。そしてモータアンプ5は、制御回路6から受けた電極駆動信号に応じて超音波モータ21を駆動する。
ここで、制御回路6の位置制御処理の詳細について、図5〜図8を用いて説明する。図5は、制御回路6の位置制御処理のフローチャートであり、図6は、制御係数Kの設定処理のフローチャートであり、図7は、ジャンプ条件の設定処理のフローチャートであり、図8は、放電加工時の電極駆動信号、電極位置、放電状態、放電状態検出タイミングの経時変化を示すタイミングチャートである。
制御回路6は、位置制御処理においてまずステップ110で、放電電源3が放電加工用のパルス電圧の繰り返し印加を開始したか否かを、放電状態検出回路4から受ける放電状態信号に基づいて判定する。そして、開始したと判定するまでこのステップ110を繰り返し、開始したと判定すると、続いてステップ115に進む。
ステップ115では、電極駆動信号51(図8参照)を一定期間T1だけモータアンプ5に出力し続ける。出力する電極駆動信号のレベルYは、位置制御処理の開始後最初のステップ115では、ROMに記録されたデフォルト値Y0(Y0は負の値)となる。本事例では、位置制御処理の開始後最初のステップ115なので、レベルがデフォルト値Y0の電極駆動信号が、一定期間T1だけモータアンプ5に出力される。
このようなレベルY0の電極駆動信号を一定期間T1だけ受けたモータアンプ5は、そのレベルの絶対値に比例する速さで超音波モータ21のフィンガチップ21aを楕円運動させる。楕円運動の方向は、電極駆動信号のレベルが正の場合はセラミックプレート22aを上昇させる方向(すなわち、図3における反時計回り)であり、電極駆動信号のレベルが負の場合はセラミックプレート22aを下降させる方向(すなわち、図3における時計回り)である。レベルY0は負の値であるので、セラミックプレート22aおよび電極23の駆動方向における位置52は、被加工物24に近づくように、レベルY0に概ね比例する距離だけ、下降する。
なお、電極駆動信号51の出力中も、放電電源3は電極23と被加工物24との間に繰り返しパルス電圧を印加し続けている。電極駆動信号51の出力タイミングの間隔T0は、パルス電圧の印加タイミングの間隔に比べ、遙かに長く、例えば電極駆動信号51の出力タイミングの間隔T0の間に、パルス電圧が1万回程度印加され、その度に、被加工物24から電極23までの距離等に応じた放電状態53で放電が発生する(距離等によっては放電しない場合もある)。
一定期間T1の電極駆動信号51の出力が終了すると、続いてステップ120で、時間の経過に従って変化するタイマ値tの値をゼロにリセットし、続いてステップ125で、タイマ値tがT2に到達するまで(すなわち、電極駆動信号51の連続出力終了後に期間T2が経過するタイミング54a〜54iまで)待ち、到達すると続いてステップ130に進む。なお、このタイマ値tがT2に到達するまで待っている間も、電極駆動信号51の出力中と同じく、放電電源3は電極23と被加工物24との間に繰り返しパルス電圧を印加し続けている。
また、このタイマ値tがT2に到達するまで待っている間は、電極駆動信号51がモータアンプ5に出力されないので、モータアンプ5は超音波モータ21を駆動しない。しかし、セラミックプレート22aおよび電極23においては、慣性のため、それまでの移動速度が急にゼロになるわけではなく、フィンガチップ21aとの摩擦によって減速しつつそれまでの移動方向に進む。その際、期間T2が経過する前に移動速度がゼロになれば、期間T2が経過した時点でも移動速度はゼロのままとなる。
ステップ130では、現時点、すなわち電極23の移動速度がある程度減速した時点における、電極23と被加工物24の間の放電状態53を、放電状態検出回路4から受けた放電状態信号に基づいて検出する。現時点における電極23と被加工物24の間の放電状態53としては、その時点において放電状態検出回路4から受けている放電電圧Vgおよび放電電流の両方またはいずれか一方であってもよいし、その時点から過去所定時間だけ遡る期間における、放電電圧の平均値Vgおよび放電電流の平均値のうち両方またはいずれか一方であってもよい。所定時間としては、直前の電極駆動信号51の出力が終了したタイミング(すなわち、電極23が減速し初めるタイミング)まで遡らない時間であればよいが、例えば、T2/2またはそれより短い時間であれば、電極23の移動速度が十分低下していと考えられるので、より好ましい。
続いてステップ135では、制御係数K(Kは正の値)の設定を行う。制御係数Kとは、ステップ130で検出した放電状態の、理想的な放電状態に対するずれと、そのずれに応じた電極駆動信号51のレベルYとの比例関係を規定する係数である。
例えば、最適な放電状態における放電電圧としてあらかじめ定められた値をVcとすると、Y=K(Vg−Vc)という等式によって、検出した放電電圧Vgから、次に出力する電極駆動信号51のレベルYを算出するようにする。
図6に示すように、この制御係数Kの設定の処理においては、電極下降時間に応じて制御係数Kの値を決定する。ここで、電極下降時間とは、制御回路6の位置制御処理が始まってから現在までに、電極23の下降に費やされた時間の総和から、電極23の上昇に費やされた時間の総和を減算した結果の値をいう。この電極下降時間が長いほど、被加工物24の加工対象の孔が深くなっていることになる。
より具体的には、添字i(ただし、iはN以下の自然数)が大きくなるほど大きくなる時間Xで時間を区切り、現在の電極下降時間が、その区切られた時間区間のどこに該当するかで、制御係数Kの値を決定する。
つまり、電極下降時間がX以下の場合(ステップ210)、制御係数Kの値をKに設定し(ステップ220)、電極下降時間がXより大きくかつX以下の場合(ステップ230)、制御係数Kの値をKに設定し、(ステップ240)、電極下降時間がXj−1より大きくかつX以下の場合(ただし、j=3、4、…、N−1)、制御係数Kの値をKに設定し、電極下降時間がXN―1より大きくかつX以下の場合(ステップ250)、制御係数Kの値をKに設定し(ステップ260)、電極下降時間がXより大きい場合(ステップ250)、制御係数Kの値をKN+1に設定する(ステップ270)。ここで、K(ただし、iはN+1以下の自然数)は、添字iの値が大きくなるほど絶対値が大きくなる数である。
このように、制御回路6は、電極下降時間が長くなるほど、制御係数Kの絶対値を大きくするようになっている。制御係数Kの絶対値が大きいと、検出した放電状態の、理想的な放電状態に対するずれの値が同じでも、電極23の駆動量が大きくなる。このようにすることで、加工が進捗し、電極下降時間が長くなって加工対象の孔が深くなり、加工によって生成されるスラッジ(加工くず)が孔から排出され難くなっても、電極23をより大きく変位させることで、スラッジを適切に孔から排出することができる。
続いてステップ145では、ジャンプ条件の設定を行う。ジャンプとは、加工対象の孔に生成されたスラッジを速やかに排出するために、孔から抜ける程度に電極23を大きく上昇させる作動をいう。
ジャンプ条件とは、このジャンプを実行する条件であり、制御回路6は、後述する通りジャンプ条件が満たされたタイミングでジャンプを実行する。ジャンプ条件としては、例えば、ジャンプの実行周期TJが到来したという条件がある。また、ジャンプ条件としては、電極23と被加工物24との短絡状態の発生頻度が閾値Fを超えたという条件がある。
図7に示すように、この制御係数Kの設定の処理においては、電極下降時間に応じてジャンプ条件を決定する。より具体的には、上述の時間Xで時間を区切り、現在の電極下降時間が、その区切られた時間区間のどこに該当するかで、ジャンプ条件の値を決定する。
つまり、電極下降時間がX以下の場合(ステップ310)、ジャンプ条件1をジャンプ条件として採用し(ステップ320)、電極下降時間がXより大きくかつX以下の場合(ステップ330)、ジャンプ条件2をジャンプ条件として採用し(ステップ340)、電極下降時間がXj−1より大きくかつX以下の場合(ただし、j=3、4、…、N−1)、ジャンプ条件jをジャンプ条件として採用し、電極下降時間がXN―1より大きくかつX以下の場合(ステップ350)、ジャンプ条件Nをジャンプ条件として採用し(ステップ360)、電極下降時間がXより大きい場合(ステップ350)、ジャンプ条件Nをジャンプ条件として採用する(ステップ370)。ここで、ジャンプ条件i(ただし、iはN+1以下の自然数)は、添字iの値が大きくなるほど緩やかになる(すなわち、条件を満たす頻度が大きくなる)条件である。例えば、ジャンプ条件iが上述の実行周期TJを用いる場合は、添字iの値が大きくなるほど実行周期TJの値が小さくなる。ジャンプ条件として上述の発生頻度の閾値F用いる場合は、添字iの値が大きくなるほど閾値Fの値が小さくなる。
このように、制御回路6は、電極下降時間が長くなるほど、ジャンプ条件を緩やかにするようになっている。このようにすることで、加工が進捗し、電極下降時間が長くなって加工対象の孔が深くなり、加工によって生成されるスラッジ(加工くず)が孔から排出され難くなっても、ジャンプの頻度を増やすことで、スラッジを適切に孔から排出することができる。
続いてステップ145では、ジャンプをするか否かを、ステップ140で設定したジャンプ条件が満たされるか否かで判定し、ジャンプしないと判定した場合続いてステップ150を実行し、ジャンプすると判定した場合続いてステップ155を実行する。本事例では、位置制御を開始してすぐなので、ジャンプ条件が満たされずにステップ150に進むものとする。
ステップ150では、電極駆動信号51のレベルYを、ステップ130で検出した放電状態、および、ステップ135で決定した制御係数Kに基づいて、決定する。例えば、上述のY=K(Vg−Vc)という等式を用いて決定する。このようにして決定された電極駆動信号51のレベルYは、次に連続出力される電極駆動信号51のレベルである。
続いてステップ160では、放電加工用のパルス電圧の印加を終了するか否かを判定する。例えば、放電状態検出回路4からの放電状態信号に基づいて、電極23が被加工物24を貫通したと判定したときに、放電加工用のパルス電圧の印加を終了するようになっていてもよい。あるいは、作業者が所定の放電加工終了スイッチを操作したことに基づいて、放電加工用のパルス電圧の印加を終了するようになっていてもよい。終了しないと判定した場合は、続いてステップ165を実行し、終了すると判定した場合は、電極23を初期位置に戻して位置制御処理を終了することで、放電加工が終了する。
ステップ165では、タイマ値tがT0−T1に到達するまで待つ。時間T1は、1回の電極駆動信号51の出力持続期間なので、前回の電極駆動信号51の出力が終了してから時間T0−T1が経過したということは、前回の電極駆動信号51の出力開始タイミングから、電極駆動信号51の出力周期T0が経過したことを意味する。タイマ値tがT0−T1に到達すると、再度ステップ115に戻り、直前のステップ150で決定したレベルYの電極駆動信号51を、一定期間T1だけモータアンプ5に出力し続ける。
以後、このようなステップ115〜165のループを繰り返すことで、制御回路6は、図8に示すように、一定周期T0で電極駆動信号51を出力して電極23を駆動し(ステップ115)、電極駆動信号51の出力終了後、所定の時間T2が経過したときに(ステップ125)放電状態を検出し(ステップ130)、その検出した放電状態に応じた電極駆動信号51のレベルYを決定し(ステップ150)、次の電極駆動信号51を(ステップ165)、その決定したレベルYの電極駆動信号として出力する、という作動を繰り返す。なお、ステップ130の放電状態の検出タイミングの周期もT0である。
そして、その繰り返しにおいてジャンプ条件が満たされると(ステップ145)、ステップ155に進み、電極駆動信号51のレベルYを、ジャンプ用の指令値51aに設定する。ここで、ジャンプ用の指令値は、電極23がジャンプを実現する程度の値としてあらかじめROM中に記録された値である。ステップ155に続いては、ステップ160に進む。
このように、本実施形態の制御回路6は、間欠的にモータアンプ5に対して電極駆動信号51を出力し、1回の電極駆動信号51(第1の電極駆動信号に相当する)の出力が終了した後であり、かつ次の電極駆動信号51(第2の電極駆動信号に相当する)の出力を開始する前の時点における、電極23と被加工物24の間の放電状態を検出し、検出した放電状態に応じて、次の電極駆動信号51のレベルを決定する。
したがって、放電状態の検出対象のタイミングは、超音波モータ21が作動せず、電極23の駆動が行われておらず、電極23の慣性による移動速度が弱まったタイミングである。したがって、電極23が、1回の電極駆動信号51の出力に起因して移動し終える位置に近い位置(または移動し終える位置そのもの)で、電極23と被加工物24との間の放電状態を検出することができる。
このような位置で検出される放電状態は、次の電極駆動信号51の出力レベルYを決めるためにフィードバックする放電状態としては、非常に望ましいものである。なぜなら、仮に電極駆動信号51が出力されて超音波モータ21が作動し続けている状態で放電状態を検出したとすれば、次の電極駆動信号51の出力タイミングまでに、電極23が大きく動いてしまうので、検出された放電状態はフィードバック値としては精度が低いものとなるからである。
このように、本実施形態においては、放電状態の検出対象のタイミングを、1回の電極駆動信号51の出力が終了して超音波モータ21の作動が終了し、次の電極駆動信号51の出力を開始して超音波モータ21の作動を再開する前とすることで、検出した放電状態を用いた電極23のフィードバック制御の精度が高くなる。
そして、このように電極23の位置制御の精度を高くすることができるので、従来(特許文献1、2参照)のように、放電状態に応じて電極23の移動量を決めるという第1のフィードバック制御に加え、決めた移動量を精度良く実現するために、実際にロータリーエンコーダ等で電極23の位置を検出してモータ制御に反映する第2のフィードバック制御を行わなくてもよくなる。
実際、本実施形態においては、超音波モータ21は、制御回路6によって作動させられている間、電極23の位置を検出し、検出した位置をモータ21の作動にフィードバックする制御を受けない。
そして、この第2のフィードバック制御を行なわず、電極23の位置自体の制御という概念を排除して直接超音波モータ21の駆動指令制御を行うことで、電極23の位置制御が速やかに実現し、ひいては、放電加工の時間が短縮される。
ここで、制御回路6が検出する放電状態は、1回の電極駆動信号51(第1の電極駆動信号に相当する)の出力が終了してモータ21の作動が停止してから所定の時間T2が経過した時点であるが、電極23のフィードバック制御の位置精度を高くするという意味では、この時間T2は、1回の電極駆動信号51(第1の電極駆動信号に相当する)の出力が終了してモータ21の作動が停止してからから、次の電極駆動信号51(第2の電極駆動信号に相当する)の出力を開始してモータ21の作動が再開するまでの期間の1/2以上であることが望ましい。これは、時間T2が長いほど、電極23が十分減速されている可能性が高いからである。
また、電極23を移動させるためのモータとして、超音波モータ21を用いている。この超音波モータ21は、フィンガチップ21aを電極保持具22(より具体的にはセラミックプレート22a)に接触させて摩擦力で電極保持具22を動かす機構となっているので、磁場変動を利用する従来のモータ(例えばリニアモータ)のように、モータの可動子を電極保持具22に含めて移動させる必要がない。すなわち、超音波モータ21は、モータの2次側移動子(すなわち、モータのうち電極保持具22と共に移動する部材)がない。換言すれば、2次側移動子の質量がゼロである。その分、電極保持具22の質量が低減でき、ひいては、電極23の高速移動および高速制御を実現することができる。例えば、従来は電極駆動信号51の出力頻度が500Hz以下であったのが、本実施形態においては電極駆動信号51の出力頻度を2〜3kHzにすることができる。
このように、超音波モータ21のフィンガチップ21aと接するセラミックプレート22aをそのまま電極保持に使用することで、電極保持具22の軽量化が実現すると共に、セラミックプレート22aの絶縁性を確保することができる。
また、本実施形態では、すべての位置制御が、放電加工電圧印加時に実行されている(図5のステップ110参照)。すなわち、位置制御は、電極23と被加工物24の間に加工電圧が印加されたときに有効となる。このようになっていることで、無駄な位置制御を行う必要がない。
また、制御係数K設定の処理、ジャンプ条件設定の処理が、電極23の位置制御と同じプログラム中に含まれており、制御回路6は、制御係数K設定の処理、ジャンプ条件設定の処理、および電極23の位置制御の処理を、まとめて行うようになっている。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
例えば、上記実施形態では、電極下降時間に応じて制御係数Kの値およびジャンプ条件を設定するようになっている。しかし、制御係数Kの値およびジャンプ条件は、電極下降時間以外にも、電極下降距離に基づいて設定するようになっていてもよい。電極下降距離は、制御回路6の位置制御の開始時における電極23の初期位置に対する、現時点での電極23の位置をいう。この電極下降距離が長いほど、被加工物24の加工対象の孔が深くなっていることになる。電極下降距離に基づいて制御係数Kを設定する場合、図6の処理において電極下降時間を電極下降距離に置き換えればよい。また、電極下降距離に基づいてジャンプ条件を決定する場合、図7の処理において電極下降時間を電極下降距離に置き換えればよい。
また、制御係数Kは、放電状態検出回路4から受けた放電状態中の放電電圧Vgと最適値としてあらかじめ設定された電圧Vcとの関係に基づいて設定してもよい。具体的には、Vg−Vc<0の場合よりも、Vg−Vc>0の場合の方が、絶対値が大きい値を制御係数Kとして設定するようになっていてもよい。このようにするのは、Vg−Vc>0の場合は、電極23と被加工物24が適正な距離間隔よりも近づいており、そのような場合には、電極23と被加工物24とが融着している可能性が高いので、その融着を解消するためにも、より大きく電極23を移動させることが望ましいからである。
また、上記実施形態では、1回の電極駆動信号51の出力が終了してモータ21の作動が停止してから、放電状態の検出対象のタイミングまでの時間T2は、一定となっているが、この値も変化するようになっていてもよい。
例えば、上記実施形態では、加工の進捗と共に係数Kが変化するようになっているが、Kの絶対値に比例して変化するようになっていてもよい。これは、電極の移動量が激しくなれば、超音波モータ21を停止させてから電極23を十分減速させるまでにかかる時間は長くなるからである。
また例えば、前回の検出対象のタイミングにおける放電状態に基づいて、時間T2を決定するようになっていてもよい。これは、前回の検出対象のタイミングにおける放電状態によって、電極23の移動速度が変化するので、それに応じて電極23を十分減速させるまでにかかる時間も変化するからである。
また、上記実施形態では、実際にロータリーエンコーダ等で電極23の位置を検出してモータ制御に反映する第2のフィードバック制御を行わないようになっているが、第2のフィードバック制御も行うようになっていてもよい。その場合でも、検出した放電状態を用いた電極23のフィードバック制御(第1のフィードバック制御)の位置精度が高くなるという効果は発揮される。
また、上記実施形態において制御回路6は、図8の検出対象のタイミング54a〜54iで検出した放電状態に応じて、次の電極駆動信号51の出力レベルを決め、1回の電極駆動信号51の連続出力時間T1は一定となっているが、必ずしもこのようになっておらずともよい。
例えば制御回路6は、図8の検出対象のタイミング54a〜54iで検出した放電状態に応じて、次の電極駆動信号51の連続出力時間を決め、電極駆動信号51の出力レベルは常に一定とするようになっていてもよい。高速な制御という観点では、電極駆動信号のレベル自体を変化させて電極23の位置を制御する方が有利であるが、電極駆動信号の出力持続時間を制御する方法でも、本発明の目的は達成され、また、電極駆動信号を出力し終えた後の電極23の減速度合いが一定となる。
更に言えば、1回の電極駆動信号51の連続出力によって超音波モータ21が電極23を移動させる距離は、その電極駆動信号の連続出力時間に渡るその電極駆動信号のレベルの時間積分値の絶対値が大きくなるほど大きくなるので、制御回路6は、検出した放電状態に基づいて、次の電極駆動信号51の連続出力時間に渡るその電極駆動信号のレベルの時間積分値を制御するようになっていればよい。更に言えば、制御回路6は、検出した放電状態に基づいて、次に超音波モータ21を作動させるときの超音波モータ21の作動内容を制御するようになっていればよい。
また、上記の実施形態において、制御回路6がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
1 放電加工機
3 放電電源
4 放電状態検出回路
5 モータアンプ
6 制御回路
21 超音波モータ
21a フィンガチップ
22 電極保持具
23 電極
24 被加工物
51 電極駆動信号
52 電極位置
53 放電状態
54a〜54i 放電状態検出タイミング

Claims (7)

  1. 電極(23)と被加工物(24)との間に電圧を印加することで放電を発生させ、その放電によって被加工物(23)を溶融させて加工する放電加工機であって、
    前記電極(23)を保持する電極保持具(22)と、
    前記電極保持具(22)を駆動方向に移動させるモータ(21)と、
    前記電極(23)と前記被加工物(24)との間の放電状態を検出して放電状態信号として出力する放電状態検出回路(4)と、
    前記放電状態検出回路(4)が出力した前記放電状態信号を受け、受けた前記放電状態信号に基づいて前記モータ(21)を駆動させることで、前記電極(23)の駆動方向における位置を制御する制御回路(6)と、を備え、
    前記制御回路(6)は、前記モータ(21)を間欠的に作動させ、前記モータ(21)の作動を停止させた後の時点であり、次に前記モータ(21)の作動を開始させる前の時点における、前記電極(23)と前記被加工物(24)の間の放電状態を、前記放電状態信号に基づいて検出し、検出した前記放電状態に基づいて、次に前記モータ(21)を作動させるときの前記モータ(21)の作動内容を制御することを特徴とする放電加工機。
  2. 前記モータ(21)は、前記制御回路(6)によって作動させられている間、前記電極(23)の位置を検出し、検出した位置を前記モータ(21)の作動にフィードバックする制御を受けないことを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
  3. 前記制御回路(6)は、前記放電状態検出回路(4)が出力した前記放電状態信号に基づいて、電極駆動信号を出力し、
    前記モータ(21)は、前記制御回路(6)が前記電極駆動信号を出力している間に限り前記電極保持具(22)を移動させると共に、出力された前記電極駆動信号のレベルが高いほど前記電極保持具(22)を高速に移動させ、
    前記制御回路(6)は、前記放電状態信号を間欠的に出力し、第1の放電状態信号の出力を終了した後の時点であり、かつ前記第1の電極駆動信号の次の第2の電極駆動信号の出力を開始する前の時点における、前記電極(23)と前記被加工物(24)の間の放電状態を検出し、検出した前記放電状態に基づいて、前記第2の駆動信号のレベルまたは前記第2の駆動信号の出力時間を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の放電加工機。
  4. 前記モータ(21)は、環状に運動するフィンガチップ(21a)を備えた超音波モータ(21)であり、前記フィンガチップ(21a)を前記電極保持具(22)に接触させて前記電極保持具(22)を動かすことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の放電加工機。
  5. 前記電極保持具(22)のうち、前記フィンガチップ(21a)が接触する部材(22a)が、前記電極(23)を直接保持することを特徴とする請求項4に記載の放電加工機。
  6. 前記制御回路(6)が検出する前記放電状態は、前記モータ(21)の作動が停止してから所定の時間(T2)が経過した時点であり、この所定の時間(T2)は、前記モータ(21)の作動が停止してからから、前記モータ(21)の作動が再開するまでの期間の1/2以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の放電加工機。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の放電加工機に対して燃料噴射ノズルのノズルボディを構成する被加工物(24)を設置する工程と、
    前記放電加工機を用いて前記被加工物(24)に噴孔を空ける工程と、を備えたノズルボディの製造方法。
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