JP2004358517A - 抵抗溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極のワークに対する加圧力を容易且つ高精度に制御することができるとともに、極めて簡易に構成することのできる抵抗溶接装置を提供する。
【解決手段】ソレノイド64に所定の駆動電流を供給することで発生した磁界により、可動鉄心68が固定鉄心66に吸引され、プッシュバー76を介して第2電極チップ82が下降し、ワークWに所定の加圧力を付与する。加圧力は、駆動電流によって制御することができる。次いで、第2電極チップ82、第1電極チップ40間に溶接電流を供給することにより、溶接が開始される。
【選択図】図2
【解決手段】ソレノイド64に所定の駆動電流を供給することで発生した磁界により、可動鉄心68が固定鉄心66に吸引され、プッシュバー76を介して第2電極チップ82が下降し、ワークWに所定の加圧力を付与する。加圧力は、駆動電流によって制御することができる。次いで、第2電極チップ82、第1電極チップ40間に溶接電流を供給することにより、溶接が開始される。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極の加圧作用下に前記電極に通電してワークを溶接する抵抗溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
抵抗溶接装置は、電極の加圧作用下に前記電極に通電してワークを溶接するものであり、ボルト、リベットなどの機械的接合法に比べ製品を軽量化することができ、工数も少なく且つ装置が比較的簡単であるため、自動車や電機器具などの金属製品の接合方法として広く利用されている。
【0003】
ところで、抵抗溶接装置は、通常、電極を備える溶接ヘッド自体をワークに対して変位させる溶接ヘッド変位機構と、電極をワークに押し当てて加圧力を付与する加圧力付与機構とを備える。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された従来技術に係る溶接装置では、図5に示すように、溶接ヘッド1をロボット3に装着し、ロボット3を矢印方向に変位させることで溶接ヘッド1をワーク2a、2bの溶接部位に押圧し、電極チップ4a、4b間に電流を供給することで溶接が行われる。
【0005】
この場合、溶接ヘッド変位機構は、ロボット3により構成され、加圧力付与機構は、電極チップ4aをワーク2a、2bに対して押圧するスプリング5により構成される。なお、スプリング5による加圧力は、調整摘み6を回すことで調整される。
【0006】
また、他の従来技術として、溶接ヘッドをシリンダにより変位させることでワークを加圧するように構成したものがある(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
実開平5−93668号公報(段落[0009]〜[0011]、図1)
【特許文献2】
特表2002−504024号公報(発明を実施する最良の態様、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術の場合、溶接ヘッド変位機構と加圧力付与機構とが別々に構成されているため、装置コストが高騰するとともに、構成が複雑化することが懸念される。
【0009】
また、ワーク2a、2bを押圧するスプリング5は、応答性が高いため、溶接中のワーク2a、2bの状態の変化に迅速に追従し、所望の加圧力を安定してワーク2a、2bに付与できる利点がある。しかしながら、ワーク2a、2bや溶接条件に応じて加圧力を調整する場合には、作業者が調整摘み6を操作しなければならないため、作業性が悪いという問題がある。
【0010】
一方、特許文献2に開示された従来技術のように、シリンダを用いて溶接ヘッドを変位させる場合、一般的にシリンダの応答性がスプリングに比較して低いため、所望の加圧力がワークに付与されなくなるおそれがある。さらに、シリンダを使用する場合、空気圧や油圧を制御するためのコンプレッサ等の機器類が別途必要となり、装置構成が複雑で大掛かりなものとなるという問題がある。
【0011】
なお、シリンダに代替して、リニアモータにより電極を変位させることも考えられるが、リニアモータの場合、走行子に大きな磁石を取り付ける必要があるため、重量化するだけでなく、電極を高速に移動させることが困難となる問題が生じる。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、電極のワークに対する加圧力を容易且つ高精度に制御することができるとともに、極めて簡易に構成することのできる抵抗溶接装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は、電極の加圧作用下に前記電極に通電してワークを溶接する抵抗溶接装置において、
ソレノイドの励磁作用により前記電極を前記ワークに指向して変位させる変位手段と、
前記ソレノイドに供給する電流を制御することで、前記電極による前記ワークに対する加圧力を制御する加圧力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
この場合、変位手段を構成するソレノイドに電流を供給することにより、ソレノイドが励磁されて電極がワークに指向して変位し、ワークを所望の加圧力で押圧する。次いで、電極に通電することでワークに対する溶接が行われる。なお、ワークに対する加圧力は、ソレノイドに供給する電流によって容易に制御することができる。
【0015】
また、変位手段は、前記ソレノイドに挿通され、前記電極を保持する可動鉄心と、
前記ソレノイドの励磁作用による前記可動鉄心の変位方向に配設される固定鉄心と、
を備え、前記可動鉄心の前記固定鉄心に対する変位量に依存しない加圧力を前記ワークに付与すべく、前記可動鉄心または前記固定鉄心の一方に凸状テーパ部が形成され、他方に前記凸状テーパ部が挿入される凹状テーパ部が形成されることを特徴とする。
【0016】
この場合、ワークに付与される加圧力は、電極の変位量によらず、ソレノイドに供給される電流のみに依存する値に設定することができる。従って、ワークの状態によらず、一定の加圧力をワークに付与することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る抵抗溶接装置について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る抵抗溶接装置30の正面図である。基台32には、台座34を介して静止電極部36が配設される。静止電極部36は、電極ホルダ38に保持され、金属からなるワークWの下面に当接する第1電極チップ40を備える。電極ホルダ38の側部には、溶接電流を供給する電源部42と電気的に接続されるターミナル44が配設される。
【0019】
また、基台32には、台座50を介して略鉛直方向に延在する支柱52が設けられる。支柱52の上部には、固定部材54を介して保持部材56が配設され、保持部材56には可動電極部58が保持される。
【0020】
可動電極部58は、電極変位機構60(変位手段)を備える。電極変位機構60は、図2に示すように、ボビン62に巻回されるソレノイド64と、固定鉄心66と、可動鉄心68とをフレーム70内に収容して構成される。
【0021】
ボビン62の中央部に形成された貫通孔63に挿入される可動鉄心68の下端部には、段部72を介して徐々に縮径する凸状テーパ部74が形成される。凸状テーパ部74には、プッシュバー76の上端部が連結され、プッシュバー76の下端部には、第2電極チップ82を保持する電極ホルダ84が連結される。なお、電極ホルダ84の側部には、溶接電流を供給する電源部42と電気的に接続されるターミナル86が配設される。
【0022】
また、可動鉄心68は、フレーム70から上方に突出し、可動鉄心68の上端部には、スプリングホルダ92が配設される。このスプリングホルダ92と、フレーム70の上面部との間には、可動鉄心68を重力に逆らって上方向に付勢するコイルスプリング90が配設される。フレーム70の上面部および下面部には、可動鉄心68のボビン62に対する直進性を確保するためのブッシュ77、79が配設される。さらに、スプリングホルダ92には、可動鉄心68の変位を検出するための近接スイッチ91aが配設され、ブッシュ77には、所定距離まで接近した際に近接スイッチ91aを駆動するためのマグネット91bが配設される。
【0023】
一方、固定鉄心66は、ボビン62の貫通孔63の下端部に装着されており、中央部には、可動鉄心68に連結されたプッシュバー76が挿通される孔部78が形成される。また、孔部78の上部には、可動鉄心68の凸状テーパ部74に対応した形状からなり、可動鉄心68に指向して徐々に拡径する凹状テーパ部81が形成される。
【0024】
以上のように構成される抵抗溶接装置30は、制御部100からの指令に基づいて駆動される。この場合、制御部100には、第1電極チップ40および第2電極チップ82に溶接電流を供給する電源部42が接続されるとともに、電極変位機構60を構成する可動鉄心68の変位を検出する近接スイッチ91aが接続される。また、制御部100は、電極変位機構60を構成するソレノイド64に対して所望の加圧力に応じた電流を供給する。
【0025】
本実施の形態に係る抵抗溶接装置30は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、この抵抗溶接装置30の溶接動作について、図3に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0026】
先ず、電極変位機構60を構成するソレノイド64に駆動電流を供給しない状態において、第1電極チップ40、第2電極チップ82間にワークWを配置する。この場合、ワークWの上部に配設される第2電極チップ82は、可動鉄心68の上部に配設したコイルスプリング90の弾発力によって上方向(図1および図2において矢印X2方向)に移動しており、第1電極チップ40、第2電極チップ82間に所定の間隙が形成されている。従って、作業者は、第1電極チップ40、第2電極チップ82に干渉することなくワークWを配置することができる。
【0027】
次に、制御部100がソレノイド64に所定の駆動電流を供給すると、ソレノイド64が巻回されているボビン62の貫通孔63に磁界が生成され、この磁界によって可動鉄心68および固定鉄心66が磁化される。従って、可動鉄心68が固定鉄心66によって吸引され、コイルスプリング90の弾発力に抗し、ワークWに指向して矢印X1方向(図1および図2参照)に下降を開始する。
【0028】
可動鉄心68の下降に伴い、プッシュバー76および電極ホルダ84を介して連結された第2電極チップ82が所定量変位すると、第2電極チップ82の下端部がワークWに当接する。このとき、上部のブッシュ77に配設されたマグネット91bに対してスプリングホルダ92に配設された近接スイッチ91aが接近することにより、第2電極チップ82がワークWに当接したことが検出される。
【0029】
そこで、制御部100は、近接スイッチ91aがONとなった時点から図示しないタイマによる計時を開始し、所定時間T1が経過した後、電源部42を駆動し、第1電極チップ40、第2電極チップ82間に溶接電流を供給して溶接を開始する。なお、溶接を開始する以前に、溶接電流を流さない状態で加圧状態を所定時間T1だけ継続するのは、加圧状態を安定させるためである。
【0030】
ここで、本実施形態では、可動鉄心68の先端部に凸状テーパ部74が形成される一方、固定鉄心66に凸状テーパ部74に対応した形状からなる凹状テーパ部81が形成された電極変位機構60を用いて、第2電極チップ82をワークWに指向して変位させる構成としている。このように構成される電極変位機構60は、図4に示すように、固定鉄心66と可動鉄心68との離間距離の所定範囲Lにおいて、ワークWに対する第2電極チップ82による加圧力が一定となる特性を備えている。また、ソレノイド64に供給する駆動電流I1、I2、I3に応じて、固定鉄心66と可動鉄心68との吸引力、すなわち、第2電極チップ82による加圧力F1、F2、F3を調整することができる。
【0031】
従って、制御部100によってソレノイド64に供給する駆動電流I(図3)を制御することにより、第2電極チップ82のワークWに対する変位量に依存することなく、所望の安定した加圧力でワークWを加圧することができる。この結果、例えば、溶接によって発生した熱でワークWの厚さに変動が生じたとしても、それに追従して第2電極チップ82が変位し、且つ、ワークWに一定の加圧力が付与される状態が維持されるため、極めて良好な溶接を行うことができる。
【0032】
次いで、溶接時間T2が経過後、溶接電流を遮断し、再び、所定時間T3だけ加圧状態を保持する。この間にワークWの温度が低下し、所望の溶接状態が得られる。
【0033】
所定時間T3が経過後、制御部100は、ソレノイド64に対する駆動電流を遮断する。駆動電流が遮断されると、第2電極チップ82は、コイルスプリング90の弾発力によって上昇し、ワークWから離間する。以上のようにして溶接作業が完了する。
【0034】
以上説明したように、電極変位機構60は、ソレノイド64に対する駆動電流を制御することにより、ワークWの把持および加圧を行うことができるとともに、その加圧力を駆動電流により容易且つ高精度に制御することができる。また、可動鉄心68は、磁力により浮動状態で駆動することができるため、応答性が極めて高く、ワークWの状態に迅速に対応して安定した加圧制御を行うことができる。しかも、加圧力の変更も駆動電流の制御によって極めて容易に行うことができる。
【0035】
なお、電極変位機構60は、可動鉄心68に凸状テーパ部74を形成する一方、固定鉄心66に凸状テーパ部74に対応して凹状テーパ部81を形成することにより、図3に示す加圧力一定となる特性が得られるようにしているが、必ずしもこのような構成とする必要はない。例えば、可動鉄心68および固定鉄心66の各対向面が平面形状からなる通常のソレノイド機構を用いる場合であっても、可動鉄心68および固定鉄心66間の離間距離に応じて、制御部100からソレノイド64に供給する駆動電流を制御することにより、ワークWに対する加圧力を一定に維持することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、変位手段によって電極の変位およびワークに対する加圧を行うことができるため、構成が極めて簡易となる。また、前記変位手段をソレノイドで構成しているため、ソレノイドに供給する駆動電流によって加圧力を容易且つ高精度に制御することができるとともに、調整作業を極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る抵抗溶接装置の正面図である。
【図2】図1に示す電極変位機構の縦断面図である。
【図3】図1に示す抵抗溶接装置におけるタイミングチャートである。
【図4】図2に示す電極変位機構の加圧力特性を示すグラフである。
【図5】従来技術に係る溶接装置の一部縦断面図である。
【符号の説明】
30…抵抗溶接装置 36…静止電極部
40…第1電極チップ 42…電源部
58…可動電極部 60…電極変位機構
64…ソレノイド 66…固定鉄心
68…可動鉄心 74…凸状テーパ部
76…プッシュバー 81…凹状テーパ部
82…第2電極チップ 100…制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極の加圧作用下に前記電極に通電してワークを溶接する抵抗溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
抵抗溶接装置は、電極の加圧作用下に前記電極に通電してワークを溶接するものであり、ボルト、リベットなどの機械的接合法に比べ製品を軽量化することができ、工数も少なく且つ装置が比較的簡単であるため、自動車や電機器具などの金属製品の接合方法として広く利用されている。
【0003】
ところで、抵抗溶接装置は、通常、電極を備える溶接ヘッド自体をワークに対して変位させる溶接ヘッド変位機構と、電極をワークに押し当てて加圧力を付与する加圧力付与機構とを備える。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された従来技術に係る溶接装置では、図5に示すように、溶接ヘッド1をロボット3に装着し、ロボット3を矢印方向に変位させることで溶接ヘッド1をワーク2a、2bの溶接部位に押圧し、電極チップ4a、4b間に電流を供給することで溶接が行われる。
【0005】
この場合、溶接ヘッド変位機構は、ロボット3により構成され、加圧力付与機構は、電極チップ4aをワーク2a、2bに対して押圧するスプリング5により構成される。なお、スプリング5による加圧力は、調整摘み6を回すことで調整される。
【0006】
また、他の従来技術として、溶接ヘッドをシリンダにより変位させることでワークを加圧するように構成したものがある(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
実開平5−93668号公報(段落[0009]〜[0011]、図1)
【特許文献2】
特表2002−504024号公報(発明を実施する最良の態様、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術の場合、溶接ヘッド変位機構と加圧力付与機構とが別々に構成されているため、装置コストが高騰するとともに、構成が複雑化することが懸念される。
【0009】
また、ワーク2a、2bを押圧するスプリング5は、応答性が高いため、溶接中のワーク2a、2bの状態の変化に迅速に追従し、所望の加圧力を安定してワーク2a、2bに付与できる利点がある。しかしながら、ワーク2a、2bや溶接条件に応じて加圧力を調整する場合には、作業者が調整摘み6を操作しなければならないため、作業性が悪いという問題がある。
【0010】
一方、特許文献2に開示された従来技術のように、シリンダを用いて溶接ヘッドを変位させる場合、一般的にシリンダの応答性がスプリングに比較して低いため、所望の加圧力がワークに付与されなくなるおそれがある。さらに、シリンダを使用する場合、空気圧や油圧を制御するためのコンプレッサ等の機器類が別途必要となり、装置構成が複雑で大掛かりなものとなるという問題がある。
【0011】
なお、シリンダに代替して、リニアモータにより電極を変位させることも考えられるが、リニアモータの場合、走行子に大きな磁石を取り付ける必要があるため、重量化するだけでなく、電極を高速に移動させることが困難となる問題が生じる。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、電極のワークに対する加圧力を容易且つ高精度に制御することができるとともに、極めて簡易に構成することのできる抵抗溶接装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は、電極の加圧作用下に前記電極に通電してワークを溶接する抵抗溶接装置において、
ソレノイドの励磁作用により前記電極を前記ワークに指向して変位させる変位手段と、
前記ソレノイドに供給する電流を制御することで、前記電極による前記ワークに対する加圧力を制御する加圧力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
この場合、変位手段を構成するソレノイドに電流を供給することにより、ソレノイドが励磁されて電極がワークに指向して変位し、ワークを所望の加圧力で押圧する。次いで、電極に通電することでワークに対する溶接が行われる。なお、ワークに対する加圧力は、ソレノイドに供給する電流によって容易に制御することができる。
【0015】
また、変位手段は、前記ソレノイドに挿通され、前記電極を保持する可動鉄心と、
前記ソレノイドの励磁作用による前記可動鉄心の変位方向に配設される固定鉄心と、
を備え、前記可動鉄心の前記固定鉄心に対する変位量に依存しない加圧力を前記ワークに付与すべく、前記可動鉄心または前記固定鉄心の一方に凸状テーパ部が形成され、他方に前記凸状テーパ部が挿入される凹状テーパ部が形成されることを特徴とする。
【0016】
この場合、ワークに付与される加圧力は、電極の変位量によらず、ソレノイドに供給される電流のみに依存する値に設定することができる。従って、ワークの状態によらず、一定の加圧力をワークに付与することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る抵抗溶接装置について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る抵抗溶接装置30の正面図である。基台32には、台座34を介して静止電極部36が配設される。静止電極部36は、電極ホルダ38に保持され、金属からなるワークWの下面に当接する第1電極チップ40を備える。電極ホルダ38の側部には、溶接電流を供給する電源部42と電気的に接続されるターミナル44が配設される。
【0019】
また、基台32には、台座50を介して略鉛直方向に延在する支柱52が設けられる。支柱52の上部には、固定部材54を介して保持部材56が配設され、保持部材56には可動電極部58が保持される。
【0020】
可動電極部58は、電極変位機構60(変位手段)を備える。電極変位機構60は、図2に示すように、ボビン62に巻回されるソレノイド64と、固定鉄心66と、可動鉄心68とをフレーム70内に収容して構成される。
【0021】
ボビン62の中央部に形成された貫通孔63に挿入される可動鉄心68の下端部には、段部72を介して徐々に縮径する凸状テーパ部74が形成される。凸状テーパ部74には、プッシュバー76の上端部が連結され、プッシュバー76の下端部には、第2電極チップ82を保持する電極ホルダ84が連結される。なお、電極ホルダ84の側部には、溶接電流を供給する電源部42と電気的に接続されるターミナル86が配設される。
【0022】
また、可動鉄心68は、フレーム70から上方に突出し、可動鉄心68の上端部には、スプリングホルダ92が配設される。このスプリングホルダ92と、フレーム70の上面部との間には、可動鉄心68を重力に逆らって上方向に付勢するコイルスプリング90が配設される。フレーム70の上面部および下面部には、可動鉄心68のボビン62に対する直進性を確保するためのブッシュ77、79が配設される。さらに、スプリングホルダ92には、可動鉄心68の変位を検出するための近接スイッチ91aが配設され、ブッシュ77には、所定距離まで接近した際に近接スイッチ91aを駆動するためのマグネット91bが配設される。
【0023】
一方、固定鉄心66は、ボビン62の貫通孔63の下端部に装着されており、中央部には、可動鉄心68に連結されたプッシュバー76が挿通される孔部78が形成される。また、孔部78の上部には、可動鉄心68の凸状テーパ部74に対応した形状からなり、可動鉄心68に指向して徐々に拡径する凹状テーパ部81が形成される。
【0024】
以上のように構成される抵抗溶接装置30は、制御部100からの指令に基づいて駆動される。この場合、制御部100には、第1電極チップ40および第2電極チップ82に溶接電流を供給する電源部42が接続されるとともに、電極変位機構60を構成する可動鉄心68の変位を検出する近接スイッチ91aが接続される。また、制御部100は、電極変位機構60を構成するソレノイド64に対して所望の加圧力に応じた電流を供給する。
【0025】
本実施の形態に係る抵抗溶接装置30は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、この抵抗溶接装置30の溶接動作について、図3に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0026】
先ず、電極変位機構60を構成するソレノイド64に駆動電流を供給しない状態において、第1電極チップ40、第2電極チップ82間にワークWを配置する。この場合、ワークWの上部に配設される第2電極チップ82は、可動鉄心68の上部に配設したコイルスプリング90の弾発力によって上方向(図1および図2において矢印X2方向)に移動しており、第1電極チップ40、第2電極チップ82間に所定の間隙が形成されている。従って、作業者は、第1電極チップ40、第2電極チップ82に干渉することなくワークWを配置することができる。
【0027】
次に、制御部100がソレノイド64に所定の駆動電流を供給すると、ソレノイド64が巻回されているボビン62の貫通孔63に磁界が生成され、この磁界によって可動鉄心68および固定鉄心66が磁化される。従って、可動鉄心68が固定鉄心66によって吸引され、コイルスプリング90の弾発力に抗し、ワークWに指向して矢印X1方向(図1および図2参照)に下降を開始する。
【0028】
可動鉄心68の下降に伴い、プッシュバー76および電極ホルダ84を介して連結された第2電極チップ82が所定量変位すると、第2電極チップ82の下端部がワークWに当接する。このとき、上部のブッシュ77に配設されたマグネット91bに対してスプリングホルダ92に配設された近接スイッチ91aが接近することにより、第2電極チップ82がワークWに当接したことが検出される。
【0029】
そこで、制御部100は、近接スイッチ91aがONとなった時点から図示しないタイマによる計時を開始し、所定時間T1が経過した後、電源部42を駆動し、第1電極チップ40、第2電極チップ82間に溶接電流を供給して溶接を開始する。なお、溶接を開始する以前に、溶接電流を流さない状態で加圧状態を所定時間T1だけ継続するのは、加圧状態を安定させるためである。
【0030】
ここで、本実施形態では、可動鉄心68の先端部に凸状テーパ部74が形成される一方、固定鉄心66に凸状テーパ部74に対応した形状からなる凹状テーパ部81が形成された電極変位機構60を用いて、第2電極チップ82をワークWに指向して変位させる構成としている。このように構成される電極変位機構60は、図4に示すように、固定鉄心66と可動鉄心68との離間距離の所定範囲Lにおいて、ワークWに対する第2電極チップ82による加圧力が一定となる特性を備えている。また、ソレノイド64に供給する駆動電流I1、I2、I3に応じて、固定鉄心66と可動鉄心68との吸引力、すなわち、第2電極チップ82による加圧力F1、F2、F3を調整することができる。
【0031】
従って、制御部100によってソレノイド64に供給する駆動電流I(図3)を制御することにより、第2電極チップ82のワークWに対する変位量に依存することなく、所望の安定した加圧力でワークWを加圧することができる。この結果、例えば、溶接によって発生した熱でワークWの厚さに変動が生じたとしても、それに追従して第2電極チップ82が変位し、且つ、ワークWに一定の加圧力が付与される状態が維持されるため、極めて良好な溶接を行うことができる。
【0032】
次いで、溶接時間T2が経過後、溶接電流を遮断し、再び、所定時間T3だけ加圧状態を保持する。この間にワークWの温度が低下し、所望の溶接状態が得られる。
【0033】
所定時間T3が経過後、制御部100は、ソレノイド64に対する駆動電流を遮断する。駆動電流が遮断されると、第2電極チップ82は、コイルスプリング90の弾発力によって上昇し、ワークWから離間する。以上のようにして溶接作業が完了する。
【0034】
以上説明したように、電極変位機構60は、ソレノイド64に対する駆動電流を制御することにより、ワークWの把持および加圧を行うことができるとともに、その加圧力を駆動電流により容易且つ高精度に制御することができる。また、可動鉄心68は、磁力により浮動状態で駆動することができるため、応答性が極めて高く、ワークWの状態に迅速に対応して安定した加圧制御を行うことができる。しかも、加圧力の変更も駆動電流の制御によって極めて容易に行うことができる。
【0035】
なお、電極変位機構60は、可動鉄心68に凸状テーパ部74を形成する一方、固定鉄心66に凸状テーパ部74に対応して凹状テーパ部81を形成することにより、図3に示す加圧力一定となる特性が得られるようにしているが、必ずしもこのような構成とする必要はない。例えば、可動鉄心68および固定鉄心66の各対向面が平面形状からなる通常のソレノイド機構を用いる場合であっても、可動鉄心68および固定鉄心66間の離間距離に応じて、制御部100からソレノイド64に供給する駆動電流を制御することにより、ワークWに対する加圧力を一定に維持することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、変位手段によって電極の変位およびワークに対する加圧を行うことができるため、構成が極めて簡易となる。また、前記変位手段をソレノイドで構成しているため、ソレノイドに供給する駆動電流によって加圧力を容易且つ高精度に制御することができるとともに、調整作業を極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る抵抗溶接装置の正面図である。
【図2】図1に示す電極変位機構の縦断面図である。
【図3】図1に示す抵抗溶接装置におけるタイミングチャートである。
【図4】図2に示す電極変位機構の加圧力特性を示すグラフである。
【図5】従来技術に係る溶接装置の一部縦断面図である。
【符号の説明】
30…抵抗溶接装置 36…静止電極部
40…第1電極チップ 42…電源部
58…可動電極部 60…電極変位機構
64…ソレノイド 66…固定鉄心
68…可動鉄心 74…凸状テーパ部
76…プッシュバー 81…凹状テーパ部
82…第2電極チップ 100…制御部
Claims (2)
- 電極の加圧作用下に前記電極に通電してワークを溶接する抵抗溶接装置において、
ソレノイドの励磁作用により前記電極を前記ワークに指向して変位させる変位手段と、
前記ソレノイドに供給する電流を制御することで、前記電極による前記ワークに対する加圧力を制御する加圧力制御手段と、
を備えることを特徴とする抵抗溶接装置。 - 請求項1記載の抵抗溶接装置において、
前記変位手段は、
前記ソレノイドに挿通され、前記電極を保持する可動鉄心と、
前記ソレノイドの励磁作用による前記可動鉄心の変位方向に配設される固定鉄心と、
を備え、前記可動鉄心の前記固定鉄心に対する変位量に依存しない加圧力を前記ワークに付与すべく、前記可動鉄心または前記固定鉄心の一方に凸状テーパ部が形成され、他方に前記凸状テーパ部が挿入される凹状テーパ部が形成されることを特徴とする抵抗溶接装置。
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---|---|---|---|
JP2003159780A JP2004358517A (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | 抵抗溶接装置 |
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JP2004358517A true JP2004358517A (ja) | 2004-12-24 |
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ID=34052757
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016529112A (ja) * | 2013-09-06 | 2016-09-23 | アマダ ミヤチ アメリカ,インコーポレイティド | 溶接ヘッド |
CN106197804A (zh) * | 2016-07-26 | 2016-12-07 | 四川然新材料科技有限公司 | 一种可焊性测试仪的测力系统 |
-
2003
- 2003-06-04 JP JP2003159780A patent/JP2004358517A/ja active Pending
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