JP5297091B2 - 凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイル及びこの高周波焼入焼戻コイルを用いた高周波焼入焼戻装置 - Google Patents

凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイル及びこの高周波焼入焼戻コイルを用いた高周波焼入焼戻装置 Download PDF

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Description

本発明は、凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイル(高周波焼入処理及び高周波焼戻処理に用いるコイル)及びこの高周波焼入焼戻コイルを用いた高周波焼入焼戻装置に関し、更に詳しくは、一対の側面及び底面を有する凹状多面部を焼入焼戻するのに用いて好適な高周波焼入焼戻コイル及び高周波焼入焼戻装置に関するものである。
一般に、平面部の高周波焼入焼戻は、丸棒の外周面の高周波焼入焼戻の如く丸棒外周面に焼入焼戻コイルを配置して焼入焼戻処理のために高周波誘導加熱する場合に比べて加熱効率が劣り、かつ、平面体表面に均一な硬化層を形成することが困難であるのが実状である。
例えば、図5に示すワーク100の凹状多面部(互いに対向する一対の側面101a,101b及びこれら一対の側面101a,101b間の底面101cの3面から成る凹状3面部)101を高周波焼入焼戻するに際しては、3面の各々に対応してヘアピン形状の高周波誘導加熱コイル102を配置し、それぞれ個別に3面の焼入焼戻を実施するようにしていた。具体的には、例えば、まず第1の工程でヘアピン形状の高周波誘導加熱コイル102を用いて右側面101aを焼入して焼戻を行い(図5(A)参照)、次いで第2の工程でヘアピン形状の高周波誘導加熱コイル102を用いて左側面101bを焼入して焼戻を行い(図5(B)参照)、最後に第3の工程でヘアピン形状の高周波誘導加熱コイル102を用いて底面101cを焼入して焼戻を行なって(図5(C)参照)、図6に示す如き焼入硬化層S,S,Sを形成するようにしていた。
また、別の事例では、図7(A)に示すように、まず第1の工程で右側面101aを含む右凸部103aと左側面101bを含む左凸部103bとの外周全部をそれぞれ取り囲むように作られた高周波誘導加熱コイル104により右凸部103a及び左凸部103bを同時に高周波誘導加熱して焼入して焼戻した後に、第2の工程で図7(B)に示すようにヘアピン形状の高周波誘導加熱コイル105を用いてワーク100’の底面101cを焼入して焼戻を行なって、図8に示す如き焼入硬化層S,S,Sを形成するようにしていた。
図5(A)〜図5(C)に示すようにワーク100の凹状多面部101の例えば3面(側面101a,101b及び底面101c)のそれぞれを個別に焼入焼戻してゆく方法においては、焼入焼戻工程が3工程にもおよび、熱処理時間が極めて長くなり時間当たりの生産能力が著しく低いという欠点があった。従って、時間当たりの生産数量が低く、その分だけコストアップの原因となっていた。
また、高周波焼入焼戻を行なう熱処理設備も3工程分の焼入焼戻ステーションが必要であり、設備自体が大型化するとともにイニシャルコストも増大するという欠点があった。
さらに、1台の設備で複数のワークの熱処理を行なう場合、段取り替えが当然必要になるが、3工程分の段取り替えは、高周波誘導加熱コイルや治具の交換が複雑で多大な時間を必要とするものであった。
熱処理品質の面では、先に焼入焼戻した部位が後に焼入焼戻を行なう部位からの熱影響を受けて過大な焼戻となり軟化するという問題もあり(図9(A)の軟化部W,W、及び図9(B)の軟化部W,W参照)、先の焼入硬化層に近接して後の焼入を行なうことができず、先の焼入焼戻部分と後の焼入焼戻部分の間に焼入れされない部分が発生し、その部分で異常磨耗が発生するなどの問題もあった。
本発明は、上述の如き種々の実状を勘案してなされたものであって、その目的は、従来の高周波焼入技術では不得意とする凹状多面部(複数の平面部)の高周波焼入焼戻において、全ての焼入焼戻部位を1回の焼入焼戻操作で完了させることにより生産性の飛躍的な向上を図ることができ、また設備の省スペース化により設備のイニシャルコストを低減させることができると共に、凹状多面部の同時焼入を行なうことにより焼入されない部分をなくし、熱処理品質の向上を図ることができる高周波焼入焼戻コイル及びこの高周波焼入焼戻コイルを用いた高周波焼入焼戻装置を提供することにある。すなわち、本発明は、生産性の飛躍的な向上、設備の省スペース化とコストの低減、さらに熱処理品質の向上を目的としたものである。
上述の目的を達成するために、本発明に係る凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイルでは、一対の給電導体部と、前記一対の給電導体部にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第1及び第2の加熱導体部と、前記第1及び第2の加熱導体部にそれぞれ接続された第1及び第2の接続導体部と、前記第1及び第2の接続導体部にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第3及び第4の加熱導体部と、前記第3及び第4の加熱導体部を互いに接続する第3の接続導体部とから成り、高周波焼入焼戻を行なうべき凹状多面部の互いに対向する一対の側面のうちの一方の側面に前記第1及び第3の加熱導体部を対向配置し、かつ、前記一対の側面のうちの他方の側面に前記第2及び第4の加熱導体部を対向配置すると共に、前記凹状多面部の底面に前記第1及び第2の加熱導体部を対向配置し、前記第1及び第2の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流し、前記第3及び第4の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流すと共に、前記第1及び第3の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流し、前記第2及び第4の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流すようにしている。
また、本発明に係る凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイルでは、前記第1,第2,第3,及び第4の加熱導体部の長さは、焼入焼戻部分である前記凹状多面部の長さより長く、前記焼入焼戻部分の長さの1.5倍〜4倍であるようにしている。
また、本発明に係る凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイルでは、 前記凹状多面部は、前記底面の部分が前記一対の側面の部分よりも大きな質量を有し、前記底面の部分に対応配置される前記第1及び第2の加熱導体部にのみ磁束集中材を配置し前記底面の部分に対する加熱を前記一対の側面の部分における加熱よりも強くするようにしている。
また、本発明に係る高周波誘導加熱装置では、請求項1乃至3の何れか1項に記載の高周波焼入焼戻コイルを用いて、前記凹状多面部の一対の側面及び底面を高周波焼入焼戻するための高周波誘導加熱に使用する高周波電流の周波数を、200KHz〜30KHzとするようにしている。
請求項1に記載の本発明に係る高周波焼入焼戻コイルは、一対の給電導体部と、一対の給電導体部にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第1及び第2の加熱導体部と、第1及び第2の加熱導体部にそれぞれ接続された第1及び第2の接続導体部と、第1及び第2の接続導体部にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第3及び第4の加熱導体部と、第3及び第4の加熱導体部を互いに接続する第3の接続導体部とから成り、高周波焼入焼戻を行なうべき凹状多面部の互いに対向する一対の側面のうちの一方の側面に第1及び第3の加熱導体部を対向配置し、かつ、一対の側面のうちの他方の側面に第2及び第4の加熱導体部を対向配置すると共に、凹状多面部の底面に第1及び第2の加熱導体部を対向配置し、第1及び第2の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流し、第3及び第4の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流すと共に、第1及び第3の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流し、第2及び第4の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流すようにしたものであるから、これにより、各加熱導体部はヘアピン形状のコイルを構成することとなって、高周波電流によって発生した磁束が有効に作用することとなるため、各凹状多面部の焼入加熱が良好に行なわれ得る。そのため、従来の高周波焼入技術では不得意とする凹状多面部(複数の平面部)の高周波焼入焼戻において、全ての焼入焼戻部位を1回の焼入焼戻操作で完了させることにより生産性の飛躍的な向上を図ることができ、また設備の省スペース化により設備のイニシャルコストを低減させることができると共に、凹状多面部の同時焼入を行なうことにより焼入されない部分をなくし、熱処理品質の向上を図ることができる。
また、請求項2に記載の本発明に係る凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイルは、第1,第2,第3,及び第4の加熱導体部の長さは、焼入焼戻部分である凹状多面部の長さより長く、焼入焼戻部分の長さの1.5倍〜4倍であるようにしたものであるから、各加熱導体部を接続している接続導体部分(第1,第2,及び第3の接続導体の部分、並びに、第1及び第2の加熱導体に接続している給電導体部分)で発生する縦方向の磁束が凹状多面部の焼入焼戻部分に作用して溶解或いは過熱を起こすのを防止することができる。
また、請求項3に記載の本発明に係る凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイルは、凹状多面部のうちで質量が最大である底部部分に対応配置される第1及び第2の加熱導体部にのみ磁束集中材を配置し、凹状多面部を有するワークの質量に応じて高周波電流により発生する磁束密度に疎密を設けるようにしたものであるから、凹状多面部の両側部分に質量が相対的に小さく、凹状多面部の底面部分の質量が相対的に大きな場合に、均等な焼入硬化層を得ることが可能である。すなわち、相対的に質量の小さい凹状多面部の両側部分においては、高周波加熱による発熱の逃げ場がないため熱が飽和し、過熱状態になり易い。反面、凹状多面部の底部部分では質量が大きく高周波加熱による発熱が熱伝達により逃げてなかなか温度上昇しないという現象がある。このような、質量の大きく異なる部位を均等に加熱されるようにするために、本発明では、質量の相対的に大きな凹状多面部の底部部分に対応配置される第1及び第2の加熱導体部にのみ、磁束集中材を配置して、質量の相対的に大きな底部部分の加熱を強くすることにより、均等な焼入硬化層を形成することができる。
また、請求項4に記載の本発明に係る高周波焼入焼戻装置は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイルを用いて、凹状多面部の一対の側面及び底面を高周波焼入焼戻するための高周波誘導加熱に使用する高周波電流の周波数を、200KHz〜30KHzとし、好ましくは50KHz〜30KHzとするようにしたものであるから、実用性を有する高周波焼入焼戻装置を提供することができる。その理由は、次の通りである。すなわち、高周波焼入れにおいて高周波電流の周波数により焼入硬化層深さが決定されることが一般的に知られている。これは、高周波電流のワークヘの浸透深さが周波数により異なるという現象を利用しており、焼入硬化層深さは、200KHzでは1.2mm、3KHzでは10mmである。また、周波数による焼入硬化層の決定と共に、テクニックとして高い周波数(浅い硬化層)での深い焼入れ、低い周波数(深い硬化層)での浅い焼入れがある程度は可能であることは高周波に携わるものであれば周知の事実である。一方、凹状多面部の高周波焼入では、テクニックを使えば200KHzでの焼入も可能である。200KHzでは、表面温度が高く、鋭角部での温度集中が大きくなるので、これを緩和するためのテクニックとして、投入電力を下げて加熱時間を長くする。反対に低い周波数、例えば20KHzでは、表面温度が上がり難くなるので、投入電力を大きくして加熱時間を短くする。しかし、周波数が低くなるとコイル電流が大きくなり高周波誘導加熱コイルの耐久性に大きな影響がある。以上のことより、適切な加熱温度、熱処理サイクルにあった加熱時間が得られる周波数として50KHz〜30KHz、さらに、熱処理品質に大きな影響を与えずに、許容できる表面温度、熱処理サイクルの許容される範囲として周波数を200KHz〜30KHzに設定しているのである。
図1は、本発明の一実施形態に係る高周波焼入焼戻コイル1を示しており、この高周波焼入焼戻コイル1とこの高周波焼入焼戻コイル1に高周波波電源を供給する図外の電源とにより本発明の一実施形態に係る高周波焼入焼戻装置が構成されている。なお、本実施形態の高周波焼入焼戻コイル1は、直方体の幅方向の中央部にコ字形状の凹状多面部(凹状3面部)2を有するワーク3のうち、前記凹状多面部2を構成する互いに平行な一対の側面4,5,及び底面6の凹状3面部を高周波焼入焼戻するために使用されるものである。
上述の高周波焼入焼戻コイル1は、一連の角パイプ或いは丸パイプから成る高周波誘導加熱コイルであって、図1に示す如く、一対の給電導体部(リード部)12,13と、これら一対の給電導体部12,13にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第1及び第2の加熱導体部14,15と、これらの第1及び第2の加熱導体部14,15にそれぞれ接続された第1及び第2の接続導体部16,17と、これらの第1及び第2の接続導体部16,17にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第3及び第4の加熱導体部18,19と、これらの第3及び第4の加熱導体部18,19を互いに接続する第3の接続導体部20とから構成されている。なお、給電導体部12は、直線部12aと、この直線部12aに対して屈曲されて第1の加熱導体部14に接続された屈曲部12bとから成り、給電導体部13は、直線部13aと、この直線部13aに対して屈曲されて第2の加熱導体部15に接続された屈曲部13bとから成り、上述の直線部12a,13aの間には絶縁板(図示せず)が介在されている。
そして、本実施形態においては、第1の加熱導体部14と第3の加熱導体部18とが互いに平行に配置されると共に、第2の加熱導体部15と第3の加熱導体部19とが互いに平行に配置されている。また。給電導体部12,13の屈曲部12b,13bは、同一の直線上に沿って延びており、上述の第3の接続導体20と平行に延びている。さらに、第1及び第2の接続導体部16,17は、互いに平行に配置されており、第1の接続導体部16は、第1及び第3の加熱導体部14,18に対してそれぞれ直角となされ、第2の接続導体部17は、第2及び第4の加熱導体部15,19に対してそれぞれ直角となされている。
また、図1及び図2に示すように、上述の第1,第2,第3,及び第4の加熱導体部14,15,18,19の長さMは、焼入焼戻部分である凹状多面部2すなわちワーク3の凹部の一対の側面4,5及び底面6(凹状3面部)の長さNより長く、焼入焼戻部分の長さNの1.5倍〜4倍(M=N×1.5〜M=N×4))に設定されている。
さらに、図2及び図3に示すように、凹状3面部(一対の側面4,5及び底面6)のうちで質量が最大である底面6の部分に対応配置される第1及び第2の加熱導体部14,15にのみ磁束集中材21(図1では図示省略)が配置されており、これにより、凹状多面部を有するワークの質量に応じて高周波電流により発生する磁束密度に疎密が設けられている。
一方、上述の凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイル1を備えた高周波焼入焼戻装置にあっては、高周波焼入焼戻コイル1の給電導体部12,13に接続された高周波電源(図示せず)が設けられており、凹状多面部2の一対の側面4,5及び底面6を高周波焼入焼戻するための高周波誘導加熱に使用する高周波電源の高周波電流の周波数は、200KHz〜30KHzであり、好ましくは50KHz〜30KHzであるように設定されている。
ワーク3の凹状多面部2を高周波焼入焼戻を行うに際しては、図1及び図3に示すように、高周波焼入焼戻を行なうべき凹状多面部2の互いに対向する一対の側面4,5のうちの一方の側面4に前記第1及び第3の加熱導体部14,18を対向配置し、かつ、一対の側面4,5のうちの他方の側面5に第2及び第4の加熱導体部15,19を対向配置すると共に、凹状多面部2の底面6に第1及び第2の加熱導体部14,15を対向配置した状態にする。このような状態の下で、図外の高周波電源から高周波焼入焼戻コイル1の給電導体部12,13に高周波電流を供給すると、ある瞬間には、図3に示すように、第1及び第2の加熱導体部14,15に互いに反対方向の高周波電流が流され、第3及び第4の加熱導体部18,19に互いに反対方向の高周波電流が流されると共に、第1及び第3の加熱導体部14,18に互いに反対方向の高周波電流が流され、第2及び第4の加熱導体部15,19に互いに反対方向の高周波電流が流される。なお、図3において、(・)で示す電流の方向は紙面の裏側から表側に向かう方向であり、(×)で示す電流の方向は紙面の表側から裏側に向かう方向である。そして、次の瞬間には、上記とは反対の向きに電流される。かくして、電流の向きが交互に切換えられ、一対の側面4,5及び底面6が焼入処理又は焼戻処理のために高周波誘導加熱される。
図4(A) は、ワーク3’の凹状多面部2のすみR部(角部)α,βに焼逃がし部を設けた硬化層パターンの一例を示し、図4(B)は、ワーク3の凹状多面部2のすみR部α,βに焼入・焼戻を施した硬化層パターンの一例を示している。
図4(A)に示す事例での焼入焼戻条件の一例を挙げると以下の通りである。なお、この場合、第1,第2,第3,及び第4の加熱導体部14,15,18,19の長さMは、焼入焼戻部分の長さNの3.5倍(すなわち、M=N×3.5)に設定した。
焼入条件 周波数 : 30 kHz
電力 : 33 kW
加熱時間 : 4.0 sec
空冷時間 : 1.0 sec
冷却時間 : 5.0 sec
加熱温度 : 850℃〜900℃
焼戻条件 周波数 : 30 kHz
電力 : 3.2 kW
加熱時間 : 4.0 sec
空冷時間 : 4.0 sec
冷却時間 : 3.0 sec
加熱温度 : 195℃〜205℃
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、既述の実施形態では高周波焼入焼戻コイル1を角パイプ或いは丸パイプにて構成するようにしているが、必ずしもこれにこだわることはなく、一体の削りだし加工のものを用いても良い。また、凹状多面部2の一対の側面4,5は垂直面ではなく、傾斜面であっても本発明の高周波焼入焼戻コイル及び装置を適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る高周波焼入焼戻コイルをワークの凹状多面部内に配置した状態を示す斜視図ある。 図1の高周波焼入焼戻コイル及びワームを側面から見た側面図である。 図1におけるX−X線断面図である。 本発明の一実施形態に係る高周波焼入焼戻コイルを用いて得られた硬化層パターンを示すものであって、図4(A)はワークの凹状多面部のすみR部(角部)に焼逃がし部を設けた硬化層パターンを示す図、図4(b)はワークの凹状多面部のすみR部(角部)に焼入焼戻を施した硬化層パターンを示す図である。 ワークの凹状多面部を焼入焼戻する場合の従来例を示すものであって、5(A)はヘアピン形状の高周波誘導加熱コイルにて凹状多面部の右側面を高周波誘導加熱している状態を示す斜視図、図5(B)は前記凹状多面部の左側面を高周波誘導加熱している状態を示す斜視図、図5(C)は前記凹状多面部の底面を高周波誘導加熱している状態を示す斜視図である。 図5(A)〜図5(C)に示す手順にて凹状多面部を高周波誘導加熱して冷却して得られた硬化層パターンを示す図である。 ワークの凹状多面部を焼入焼戻する場合の別の従来例を示すものであって、図7(A)はワークの凹状多面部の右側面を含む右凸部とその左側面を含む左凸部との外周全部をそれぞれ取り囲むように作られた高周波誘導加熱コイルで右突部及び左凸部を両方を高周波誘導加熱している状態を示す斜視図、図7(B)はワークの凹状多面部の底面をヘアピン形状の高周波誘導加熱コイルにて高周波誘導加熱している状態を示す斜視図である。 図7(A)及び図7(B)に示す手順にて凹状多面部を高周波誘導加熱して冷却して得られた硬化層パターンを示す図である。 先に焼入焼戻した部位が後に焼入焼戻を行なう部位からの熱影響を受けて過大な焼戻となり軟化することを示す図であって、図9(A)は5(A)〜図5(C)に示す手順によって焼入焼戻を行う場合の軟化箇所を示す図、図9(B)は図7(A)及び図7(B)に示す手順によって焼入焼戻を行う場合の軟化箇所を示す図である。
符号の説明
1 高周波焼入焼戻コイル
2 凹状多面部
3 ワーク
4,5 側面
6 底面
12,13 給電導体部
14 第1の加熱導体部
15 第2の加熱導体部
16 第1の接続導体部
17 第2の接続導体部
18 第3の加熱導体部
19 第4の加熱導体部
20 第3の接続導体部
α,β すみR部(角部)

Claims (4)

  1. 一対の給電導体部と、前記一対の給電導体部にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第1及び第2の加熱導体部と、前記第1及び第2の加熱導体部にそれぞれ接続された第1及び第2の接続導体部と、前記第1及び第2の接続導体部にそれぞれ接続されて互いに平行に対向して延びる第3及び第4の加熱導体部と、前記第3及び第4の加熱導体部を互いに接続する第3の接続導体部とから成り、
    高周波焼入焼戻を行なうべき凹状多面部の互いに対向する一対の側面のうちの一方の側面に前記第1及び第3の加熱導体部を対向配置し、かつ、前記一対の側面のうちの他方の側面に前記第2及び第4の加熱導体部を対向配置すると共に、前記凹状多面部の底面に前記第1及び第2の加熱導体部を対向配置し、
    前記第1及び第2の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流し、前記第3及び第4の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流すと共に、前記第1及び第3の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流し、前記第2及び第4の加熱導体部に互いに反対方向の高周波電流を流すようにしたこと、
    を特徴とする凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイル。
  2. 前記第1,第2,第3,及び第4の加熱導体部の長さは、焼入焼戻部分である前記凹状多面部の長さより長く、前記焼入焼戻部分の長さの1.5倍〜4倍であることを特徴とする請求項1に記載の凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイル。
  3. 前記凹状多面部は、前記底面の部分が前記一対の側面の部分よりも大きな質量を有し、前記底面の部分に対応配置される前記第1及び第2の加熱導体部にのみ磁束集中材を配置し前記底面の部分に対する加熱を前記一対の側面の部分における加熱よりも強くするようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイル。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の凹状多面部用の高周波焼入焼戻コイルを用いて、前記凹状多面部の一対の側面及び底面を高周波焼入焼戻するための高周波誘導加熱に使用する高周波電流の周波数を200KHz〜30KHzとするようにしたことを特徴とする高周波焼入焼戻装置。
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