JP5294259B2 - テルペン系アルコール化合物、テルペン系(メタ)アクリレート化合物、およびこれらの製造方法 - Google Patents

テルペン系アルコール化合物、テルペン系(メタ)アクリレート化合物、およびこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒドロホルミル化により合成されるテルペン系モノアルコール、テルペン系ジアルコールなどのテルペン系アルコール化合物およびこのテルペン系アルコール化合物の誘導体であるテルペン系(メタ)アクリレート化合物ならびにこれらの製造方法に関するものである。
テルペン系モノアルコールは、はんだフラックス用溶剤やガラスおよび金属ペースト用溶剤、レジスト原料の中間体をはじめとする電子材料分野などに、一方テルペン系ジアルコールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン系樹脂などの樹脂原料や、アクリレート、ビニルエーテル、グリシジルエーテルなどの反応性モノマー類前駆物質などとして、特に電子部品関連における製造原料として用いることができ、そのほか、香料や反応溶媒、粘・接着剤、樹脂改質剤など、広い範囲に渡り利用可能である。
一方、テルペン系(メタ)アクリレート化合物は、感光性反応モノマーとして、レジスト、半導体などの封止剤、UV硬化型インキ・トナー、UV硬化型粘・接着剤、光造形用モノマー、光ファイバー用ポリマー原料など、光・電子関連分野において用いることができ、さらに塗料、コーティング材料、粘接着剤原料、建築材料、ポリマー原料、顕色剤、界面活性剤、可塑剤、殺虫剤、殺菌剤、医薬品、ゴム用薬品などの原料など、様々な技術分野でも使用可能である。
また、これらテルペン系アルコール化合物、およびテルペン系(メタ)アクリレート化合物は、バイオマス由来の化合物であるためカーボンニュートラルの観点から、環境配慮型の材料であるともいえる。
従来のテルペン系アルコール化合物の製造方法としては、例えば、3−(ヒドロキシメチル)−γ,4−ジメチル−シクロヘキサンプロパノール(下記式)は、ジペンテン(あるいは、d−リモネン)やホルムアルデヒドなどを使用してメチロール化した後に、水素添加反応を経て合成する方法などがあった(非特許文献1)。また、同様な反応が非特許文献2にも記載されている。
しかしながら、非特許文献1記載の方法においては、収率、選択性ともに低く、一方、非特許文献2記載の方法では、アルキルアルミニウム類や陰イオン型ゼオライトを理論量用いなければならず、工業的に実施するにはコストなどの問題点が残る。さらに最近環境問題などで、ホルムアルデヒドなどの薬品を使用することは、好ましいことではない。
また、様々なオレフィン類のヒドロホルミル化に関しては、特許も多数出願されているが、テルペン類を用いたものは無く、さらに特殊で、高価な触媒を使用したものが多く実用的ではない場合が多い(特許文献1、2、3)。
また、従来、メチルメタクリレート、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレートなどを原料とした放射線硬化性組成物に関しては、既にコーティング剤や塗料などの用途として、硬化性の速い、生産性の良好な材料として特許出願されている(特許文献4)。
しかしながら、これらの感光性組成物は、硬化収縮性、耐熱性、吸水性などの性能面で、十分な性能を有するものではない。
Watanabe,Yuichi、"Reaction of dipentene with formaldehyde.II.Synthesis of 1,3−dioxane and its reduction"、Nippon kagaku Zassi、vol.80、1959、p1063−1066 尾中篤、關祐威、増井洋一"固体酸・塩基触媒研究の新しい展開"、有機合成化学、vol.63、No.5、2005、p492−502 特表2000−504001号公報 特開2003−342210号公報 特開2002−241329号公報 特開平4−11609号公報
本発明は、環境に与える影響を考慮し、簡易な方法で、比較的安価に高収率でできる、テルペン系アルコール化合物、および、レジスト、封止剤、UV硬化型インキ・トナー、粘・接着剤組成物などの感光性材料、塗料、コーティング材料、建築材料などとして、硬化収縮性、耐熱性、吸水性などの性能面を向上させる新規なテルペン系(メタ)アクリレート化合物を提供することを目的とする。
本発明は、二重結合を有するテルペン系化合物をヒドロホルミル化し、テルペン系アルデヒド化合物とした後、水素還元して得られるテルペン系アルコール化合物に関する。
ここで、二重結合を有するテルペン系化合物としては、コスト面や入手状況、利用面などの観点から、d−リモネンやp−メンテン、β−ピネン、カンフェン、γ−テルピネンなどが好ましい。
次に、本発明は、上記テルペン系アルコール化合物と、(メタ)アクリル酸化合物とを反応させて得られるテルペン系(メタ)アクリレート化合物に関する。
ここで、化学構造式で表すと、テルペン系アルコール化合物としては、下記式(1)〜(4)、テルペン系(メタ)アクリレート化合物としては、下記式(5)〜(8)で表されるようなものが好ましい。
また、d−リモネンを使用すると、テルペン系アルコール化合物としては、式(2)、式(4)、テルペン系(メタ)アクリレート化合物式としては、(6)、式(8)で表されるようなものとなる。






〔ただし、式(5)において、R=HまたはCHである〕
〔ただし、式(6)において、R=HまたはCHである〕


〔ただし、式(7)において、R=HまたはCHである〕
〔ただし、式(8)において、R=HまたはCHである〕
なお、二重結合を有するテルペン系化合物として、p−メンテンを使用すると、テルペン系アルコール化合物としては下記式(9)、また、二重結合を有するテルペン系化合物として、γ−テルピネンを使用すると、テルペン系アルコール化合物としては、下記式(10)で表されるようなものとなる。
本発明のテルペン系アルコール化合物は、コストアップとなる煩雑な化学的処理を必要とせず、簡易な方法で、比較的安価に製造可能である。また、本発明で得られたテルペン系アルコール化合物は、ポリマー原料や溶剤としても、極めて特殊な性能を有するものであり、工業的には極めて有用な化合物である。
また、本発明のテルペン系(メタ)アクリレート化合物を用いた硬化性組成物は、硬化収縮性、耐熱性、吸水性などの性能を向上させることができる。
実施例1で得られた生成物のIRチャートである。 実施例1で得られた生成物のEI−MSチャートである。 実施例1で得られた生成物のH−NMRチャートである。 実施例1で得られた生成物の13C−NMRチャートである。 実施例2で得られた生成物のIRチャートである。 実施例2で得られた生成物のEI−MSチャートである。 実施例2で得られた生成物のH−NMRチャートである。 実施例2で得られた生成物の13C−NMRチャートである。 実施例3で得られた生成物のIRチャートである。 実施例3で得られた生成物のEI−MSチャートである。 実施例3で得られた生成物のH−NMRチャートである。 実施例3で得られた生成物の13C−NMRチャートである。 実施例4で得られた生成物のIRチャートである。 実施例4で得られた生成物のEI−MSチャートである。 実施例4で得られた生成物のH−NMRチャートである。 実施例4で得られた生成物の13C−NMRチャートである。
本発明のテルペン系アルコール化合物について説明する。
まず、二重結合を有するテルペン系化合物について説明する。
テルペン系化合物は、一般に植物の葉、樹、根などから得られる植物精油に含まれる化合物である。
ここで、テルペンとは、一般的にイソプレン(C)の重合体で、モノテルペン(C1018)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるものである。
本発明の二重結合を有するテルペン系化合物とは、これらを基本骨格とする化合物である。この中で、モノテルペンが、本発明では好ましく用いられる。また、本発明の二重結合を有するテルペン系化合物としては、鎖状のテルペン化合物でも良い。本発明の二重結合を有するテルペン系化合物の具体的な例としては、例えば次のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
モノテルペンとしては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン、p−メンテン、カンフェン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類などが挙げられる。これらの化合物の中で、d−リモネン[下記式(A)]、γ−テルピネン[下記式(B)]、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、α−テルピネンが特に好ましく用いられる。





二重結合を有するテルペン系化合物であれば、本発明のテルペン系アルコール化合物の製造方法の原料となりうるが、供給の点、コストの点から、(Cにおいて、n=2〜6のモノテルペンからトリテルペンまでの化合物が好適に用いられる。
次に、本発明のヒドロホルミル化について説明する。
一般に、ヒドロホルミル化は、オキソ合成とも言われ、オレフィンと一酸化炭素と水素との接触反応によって、原オレフィンよりも炭素数が1個多い飽和アルデヒドを合成する方法であり、本発明のヒドロホルミル化も同様である。主反応は、次のように表され、2種の異性体が同時に生成する。
(ここで、Rは、アルカン、シクロアルカン、アリル、エーテル、エステルなどの一般的な有機化学構造である。)
本発明のヒドロホルミル化によりテルペン系アルデヒド化合物を生成する反応は、例えば、二重結合を有するテルペン系化合物および溶媒に触媒を添加した後、ゆっくり、圧力と温度をかければよい。
二重結合を有するテルペン系化合物に対する水素と一酸化炭素の合計の仕込み比は、通常、1〜2倍モルである。また、水素と一酸化炭素の仕込み比は、容積比で0.9:1〜1.5:1程度である。
なお、二重結合を有さないテルペン系化合物を溶媒として用いることもできる。また、反応に際し、原料、原料ガス、溶媒、触媒の仕込み方法は、上記の方法に限定されるものではない。
ここで、本発明のヒドロホルミル化に用いられる触媒としては、コバルトヒドロカルボニルなどのコバルト系触媒や、塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、酢酸ロジウム(III)、アセチルアセトナトロジウム(III)、硫酸ロジウム(III)、塩化アンモニウムロジウム(III)などのロジウムカルコゲイド、酸化ロジウム(III)または硫化ロジウム(III)などの酸素酸ロジウムの塩、テトラロジウムドデカカルボニルまたはヘキサロジウムヘキサデカカルボニルなどのロジウム−カルボニル化合物のロジウム系触媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。触媒の使用量は、二重結合を有するテルペン系化合物100重量%に対し0.03〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1重量%である。0.03重量%未満では、充分反応が進まず、一方、3重量%を超えると触媒が無駄になる、あるいは反応の制御が困難になるため、好ましくない。
また、ヒドロホルミル化反応においては、反応に関与するロジウム触媒活性種の安定性の観点から、第三級有機リン化合物を添加するのが好ましい。第三級有機リン化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリス(2−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリス(2−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、ビス(2−メチルフェニル)(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2−t−ブチルフェニル)(2−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのホスファイト化合物、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−オクチルホスフィンなどのホスフィン化合物、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどのジホスフィン化合物などが挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。第三級有機リン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第三級有機リン化合物の使用量について特に制限はないが、ヒドロホルミル化反応を進行させるロジウム触媒活性種に対して第三級有機リン化合物があまり過剰に存在すると反応活性が低下してしまうため、通常、ロジウム化合物中のロジウム原子に対して2〜150倍モルの範囲であるのが好ましく、10〜50倍モルの範囲であるのがより好ましい。
反応に際し、反応溶媒は、特に用いなくともよいが、脂環式もしくは脂肪族の飽和炭化水素化合物などの反応性のない溶剤であれば制限はなく、また、二重結合を有さないテルペン系化合物をそのまま溶媒として用いることもできる。
また、トルエン、キシレンなどの芳香族系の溶剤も、特殊な条件下では使用できる。
本発明のヒドロホルミル化の反応温度は、通常、30〜160℃、好ましくは70〜150℃である。反応温度が30℃未満では反応速度が遅く、一方、160℃を超えると異性化や不均化などの副反応が優先的に進行し、収率が低下するので好ましくない。
また、本発明のヒドロホルミル化の反応時間は、通常、0.5〜20時間、好ましくは2〜8時間である。反応時間が0.5時間未満では、転換率が低く、一方、20時間を超えると生産効率が低下するので好ましくない。所定時間反応させた後、上記反応により得られた反応液に対し、使用した触媒に応じた脱触媒を行い、本発明のテルペン系アルデヒド化合物およびテルペン系アルコール化合物の混合液を得ることができる。脱触媒は、例えば、反応液を水洗して行えばよい。また、濾過により触媒を除くようにしてもよい。
本発明のヒドロホルミル化の反応圧力は、通常、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜15MPaである。反応圧力が0.1MPa未満では反応速度が遅く、一方、20MPaを超えると反応制御の難易度やコストなどの観点から好ましくない。
脱触媒後の反応液を蒸留処理し、テルペン系アルデヒド化合物を留出させて、精製物を得ることができるが、精製方法はこの方法に限定されるものではない。カラム分離による精製や、結晶化で生成物を回収するようにして精製してもよい。また、反応液を精製せず、そのまま次の反応に用いてもよい。
反応に際し、原料、原料ガス、溶媒、触媒の仕込み方法は、上記の方法に限定されるものではない。
次に、テルペン系アルコール化合物を製造するための、テルペン系アルデヒド化合物の水素還元反応について説明する。テルペン系アルコール化合物を製造するための、テルペン系アルデヒド化合物の水素還元反応は、水素還元用の金属触媒の存在下に水素還元するかもしくは還元剤により行う。
水素化還元反応は、例えば、テルペン系アルデヒド化合物、溶剤、水素還元触媒を仕込み、所定の温度で、所定の水素加圧下、理論量の水素を吸収するまで水素還元を行えばよい。
水素還元反応に使用される金属触媒としては、ラネーNi、安定化Ni粉末、Pt/Al、Pt/C、Ru/C、Ru/Al、Pd/C、Pd/Al、Re/Alなど一般的に水素還元に用いられる金属触媒を使用することが可能であるが、これらに限定されるものではない。
金属触媒の使用量は、テルペン系アルデヒド化合物または脱触媒後の反応液100重量%に対し0.01〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。0.01重量%未満では、充分水素還元が進まず、一方、30%を超えるとコスト的に好ましくない。
溶剤は、使用しなくてもよいが、用いる場合の溶剤は、テルペン系アルデヒド化合物を溶解し、水素還元反応条件下で安定なものを用いることができ、例えば、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノールまたはヘプタノールなどのアルコール系溶剤やメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンやメンタン類などの飽和炭化水素系溶剤が挙げられる。
また、トルエン、キシレンなどの芳香族系の溶剤も、特殊な条件では、使用できる。
水素還元温度は、通常、0〜300℃、好ましくは50〜250℃、さらに好ましくは80〜180℃である。この温度が0℃未満だと水素還元応速度が遅く、また、300℃を超えると副反応が優先的に進行し、収率が低下するので好ましくない。
水素還元時間は、通常、1〜40時間、好ましくは2〜20時間、さらに好ましくは4〜15時間である。この時間が1時間未満では、転換率が低く、40時間を超えると生産効率が低下するので好ましくない。
水素還元時の水素圧力は、通常、常圧〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、さらに好ましくは0.5〜5MPaである。水素圧力が常圧未満では反応速度が遅く、20MPaを超えると反応制御の難易度やコストなどの観点から好ましくない。
所定時間水素還元反応を行った後、得られた反応液に対し、使用した金属触媒に応じた脱触媒を行う。脱触媒は、金属触媒の濾別や反応液を系外に流出させることにより行えばよい。
また、還元剤を用いて水素還元を行う場合は、トルエンやメタノール、テトラヒドロフランなどの溶媒でテルペン系アルデヒド化合物を希釈したものに還元剤を滴下する、または還元剤を溶解させた反応溶液中にテルペン系アルデヒド化合物を滴下することにより、還元反応を進行させるように行えばよい。
還元剤としては、水素化リチウムアルミニウムや水素化硼素ナトリウムなどが挙げられる。
還元剤の使用量は、テルペン系アルデヒド化合物または脱触媒後の反応液に含まれるアルデヒド基に対して、0.5〜3モル等量用いることが好ましく、さらに好ましくは0.9〜3モル等量、特に好ましくは1〜2モル等量である。0.5モル等量未満では、充分水素還元が進まず、一方、3モル等量を超えると副反応が優先して進行する、あるいは生産性が低下することにより、好ましくない。
溶剤は使用しなくてもよいが、用いる場合、溶剤は、上記金属触媒を用いる方法と同様のものを用いることができる。
トルエン、キシレンなどの芳香族系の溶剤も、水素加圧などの特殊な条件では、使用できる。
還元剤により水素還元する場合、温度は、通常、−40〜100℃、好ましくは−20〜80℃、さらに好ましくは−10〜40℃である。この温度が−40℃未満では水素還元速度が遅く、一方、100℃を超えると副反応が優先的に進行し、収率が低下するので好ましくない。
水素還元時間は、通常、1〜40時間、好ましくは3〜20時間、さらに好ましくは5〜10時間である。この時間が1時間未満では、転換率が低く、一方、40時間を超えると生産効率が低下するので好ましくない。
所定時間水素還元反応を行った後、得られた反応液に対し、使用した還元剤に応じた脱還元剤を行う。脱還元剤は、例えば、アルコール類や水などの失活剤を投入したのちに充分撹拌し、還元剤を失活させるような方法で行えばよい。
このようにして得られるテルペン系アルコール化合物は、通常、蒸留処理により精製を行い、留出させることにより精製物を得ることができる。ただし、精製方法は、この方法に限定されるものではない。カラム分離による精製や、結晶化で生成物を回収するようにして精製してもよい。
二重結合を有するテルペン系化合物が、d−リモネン、γ−テルピネンである場合、生成するテルペン系アルコール化合物の主成分は、上記記載のように、d−リモネンでは、式(2)、式(4)、γ−テルピネンでは式(10)のようになる。


d−リモネンを使用して、上記式(4)のようなモノアルコール化合物にするためには、ヒドロホルミル化反応において、反応温度を100℃以下、反応圧力を4MPa以下で行う必要がある。
本発明のテルペン系アルコール化合物は、赤外線吸収スペクトルにより、O−H伸縮に起因する3,300cm−1付近のブロードなピーク、C−H伸縮に起因する3,000〜2,800cm−1、C−H変角に起因する1,500〜1,350cm−1、C−O伸縮に起因する1,050cm−1付近のピークにより確認することができる。
また、H−NMRチャートにより、テルペン類由来炭化水素に起因する0.84〜1.90ppmのシグナル、水酸基に隣接するメチレン基に起因する3.50〜3.80ppmのシグナルにより確認することができる。
さらに、13C−NMRおよびDEPTチャートにより、テルペン類由来炭化水素に起因する16.2〜46.5ppmのシグナル、水酸基に隣接するメチレン基に起因する61.0〜66.0ppmのシグナルにより確認することができる。
次に、本発明のテルペン系(メタ)アクリレート化合物である、テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸化合物との反応について説明する。
この反応には、上記テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸をエステル化反応させる方法、上記テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させる方法、上記テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸無水物を反応させる方法、上記テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステルをエステル交換反応させる方法などがある。しかし、本発明に用いられる反応は、これらに限定されるものではない。
上記(メタ)アクリル酸化合物としては、(メタ)アクリル酸、無水(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましく用いられる。
上記反応のうち、(メタ)アクリル酸を使用したエステル化反応の際の(メタ)アクリル酸の仕込み比率は、原料であるテルペン系アルコール化合物1モルに対し、0.1〜20モル、好ましくは1〜10モルである。(メタ)アクリル酸が、テルペン系アルコール化合物1モルに対し0.1モル未満であるとエステル化反応が十分に進行しない可能性があり、一方、20モルを超えると未反応の(メタ)アクリル酸が残存しコスト高となる可能性があるので好ましくない。
また、溶媒は、通常、水と共沸する溶剤として、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素化合物などを使用するが、(メタ)アクリル酸などが溶媒を兼ねるため、使用しなくてもよい。
溶媒を使用する場合、該溶媒の使用量は、原料であるテルペン系アルコール化合物に対し、0.3〜10重量倍、好ましくは0.5〜7重量倍である。
触媒としては、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イオン交換樹脂、活性白土、リンタングステン酸などのヘテロポリ酸などが使用できる。
触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、原料であるテルペン系アルコール化合物1モルに対し、0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.01モルである。
このエステル化反応の際には、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、反応系内に発生するラジカルを捕捉しうる化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、t−ブチルハイドロキノンなどを使用できる。重合禁止剤の添加量は、仕込み(メタ)アクリル酸に対して、通常、5〜10,000ppm、好ましくは20〜5,000ppm、さらに好ましくは50〜1,000ppmである。
エステル化の反応温度は、30〜200℃、好ましくは60〜150℃である。反応温度が、30℃未満であると反応速度が極端に遅い可能性があり、一方、200℃を超えると重合などの副反応が顕著になり好ましくない。エステル化反応は、通常、常圧下で行うが、用いる溶剤の沸点によって、減圧または加圧下で行うこともできる。
上記のテルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させる方法、テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸無水物を反応させる方法、テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステルをエステル交換反応させる方法としては、テルペン系アルコール化合物と(メタ)アクリル酸ハロゲン化物または(メタ)アクリル酸無水物をトリエチルアミンやピリジンなどの塩基性溶媒中0〜70℃で反応させる方法、p−トルエンスルホン酸やチタン(IV)テトライソプロピル、ジオクチルスズ、ジブチルスズ、水酸化リチウムなど一般的なエステル交換反応に用いられる触媒の存在下、テルペン系アルコール化合物とアクリル酸メチル、またはアクリル酸エチルとを20〜150℃で反応させる方法などが挙げられる。
本発明のテルペン系(メタ)アクリレート化合物は、赤外線吸収スペクトルにより、C−H伸縮に起因する3,000〜2,800cm−1、C=O伸縮に起因する1,720cm−1付近、C=C伸縮に起因する1,640〜1,620cm−1、C−H変角に起因する1,500〜1,350cm−1、C−O伸縮に起因する1,300〜1,180cm−1のピークにより確認することができる。
また、H−NMRチャートにより、テルペン類由来炭化水素に起因する0.79〜1.86ppmのシグナル、エステルに隣接するメチレン基に起因する4.02〜4.36ppmのシグナル、アクリレートに起因する5.80〜6.42ppmのシグナルにより確認することができる。
さらに、13C−NMRおよびDEPTチャートにより、テルペン類由来炭化水素に起因する15.0〜45.5ppmのシグナル、エステルに隣接するメチレン基に起因する60.0〜68.0ppmのシグナル、アクリレートに起因する128.6〜130.7ppmおよび166.4〜166.5ppmのシグナルにより確認することができる。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
合成例1(ヒドロホルミル化によるテルペン系アルデヒド化合物の合成)
d−リモネン(ヤスハラケミカル(株)製d−リモネンN(純度99%))136g、オクタカルボニル二コバルト触媒((株)和光純薬製)136mg、トリフェニルホスフィン((株)和光純薬製)5gを500mlオートクレーブに注入した。
混合物を120℃で15分間攪拌し、一酸化炭素/水素=1/1の混合ガスを用いて、7Mpaの圧力を保ちつつ15時間反応した後、反応後触媒を除去し反応油を得た。この反応油を減圧蒸留し精製することによって生成物Aとして101gを得た。
なお、反応油をAgilent Technologies社製6890N型ガスクロマトグラフィーおよびGC−MS(Hewlett Packard社製6890型、イオン化モード:EI)により分析した結果、生成物(p−メンタンジカルバルデヒド、主成分は下記式(11))が60.3%、p−メンテンモノカルバルデヒドが25.2%、p−メンタンジメタノールが4.5%であった。





合成例2(ヒドロホルミル化によるテルペン系アルデヒド化合物の合成)
d−リモネン(ヤスハラケミカル(株)製d−リモネンN(純度99%))136g、オクタカルボニル二コバルト触媒((株)和光純薬製)136mg、トリフェニルホスフィン((株)和光純薬製)5gを500mlオートクレーブに注入した。
混合物を80℃で30分間攪拌し、一酸化炭素/水素=1/1の混合ガスを用いて、4Mpaの圧力を保ちつつ6時間反応した後、反応後触媒を除去し反応油を得た。この反応油を減圧蒸留し精製することによって生成物Aとして157gを得た。
なお、反応油をAgilent Technologies社製6890N型ガスクロマトグラフィーおよびGC−MS(Hewlett Packard社製6890型)により分析した結果、生成物(p−メンタンモノカルバルデヒド、主成分は下記式(12)が95.2%、p−メンテンジカルバルデヒドが3.2%、p−メンタンジメタノールが4.5%であった。
実施例1(テルペン系アルコール化合物の合成1)
合成例1で得られたテルペン系アルデヒド化合物150g、イソプロパノール400ml、および粉末状の安定化ニッケル触媒5.0gを仕込み、次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス1MPaの圧力をかけながら導入した。そして攪拌しながら加熱し140℃となったところで、水素の圧力を2MPaとし、吸収された水素を補うことで圧力を2MPaに保ちながら4時間反応させた。反応終了後、触媒をろ過にて除去し、反応油を蒸留精製することにより、本発明のテルペン系アルコール化合物A(主成分は式(2))、120.5gを得た。
実施例1で得られたテルペン系アルコール化合物Aの分析結果を図1〜4、表1〜2に示す。なお、表1および2の帰属を示す記号は、式(13)に示した位置を示す。
・分析結果
1)図1:IRチャート 3,308cm−1:O−H伸縮、2,918〜2,856cm−1:C−H伸縮、1,454、1,378cm−1、:C−H変角、1,052cm−1:C−O伸縮、1,008cm−1:C−H面内変角
2)図2:EI−MSチャート m/z=200[M]+、m/z=182[M−HO]+が観測された。
3)図3:H−NMRチャート
4)図4:13C−NMRチャート
実施例2(テルペン系アルコール化合物の合成2)
合成例2で得られたテルペン系アルデヒド化合物150g、イソプロパノール400ml、および粉末状の安定化ニッケル触媒5.0gを仕込み、次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス1MPaの圧力をかけながら導入した。そして、攪拌しながら加熱し140℃となったところで、水素の圧力を2MPaとし、吸収された水素を補うことで圧力を2MPaに保ちながら4時間反応させた。反応終了後、触媒をろ過にて除去し、反応油を蒸留精製することにより、本発明のテルペン系アルコール化合物B[主成分は式(4)]、131.0gを得た。
実施例2で得られたテルペン系アルコール化合物Bの分析結果を図5〜8、表3〜4に示す。なお、表3および4の帰属を示す記号は、式(14)に示した位置を示す。
・分析結果
1)図5:IRチャート 3,319cm−1:O−H伸縮、2,918〜2,852cm−1:C−H伸縮、1,448、1,378cm−1、:C−H変角、1,054cm−1:C−O伸縮、1,002cm−1:C−H面内変角
2)図6:EI−MSチャート m/z=152[M−HO]+、m/z=124[M−HO−C]+、m/z=97[M−HO−C]+が観測された。
3)図7:H−NMRチャート
4)図8:13C−NMRチャート
実施例3(テルペン系(メタ)アクリレート化合物の合成)
次に、ディーンスターク管、冷却管、温度計、撹拌棒を備えた300ml四つ口フラスコに、実施例1で得られたテルペン系アルコール化合物20g(0.1モル)とトルエン100g、アクリル酸30g(0.417モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル2.5mg、およびイオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ロームアンドハース社製)2.0gを仕込んだ。混合液を減圧下100℃で12時間還流させた後、得られた混合液をろ過して触媒をろ別した。次いで、減圧下80℃でトルエンを留去して、テルペン系(メタ)アクリレート化合物A 21.56g(収率70%、純度98.7%)を得た。
得られたテルペン系(メタ)アクリレート化合物Aの分析結果を図9〜12、表5〜6に示す。なお、表5および6の帰属を示す記号は、式(15)に示した位置を示す。
・分析結果
1)図9:IRチャート 2,923〜2,857cm−1:C−H伸縮、1,721cm−1:C=O伸縮、1,637、1,621cm−1:C=C伸縮、1,458、1,408、1,383cm−1、:C−H変角、1,296、1,271、1,184、1058cm−1:C−O伸縮、984、966cm−1:C−H面外変角
2)図10:EI−MSチャート m/z=308[M]+、m/z=164[M−アクリロイル基×2]+などが観測された。
3)図11:H−NMRチャート
4)図12:13C−NMRチャート

実施例4(テルペン系(メタ)アクリレート化合物の合成2)
ディーンスターク管、冷却管、温度計、撹拌棒を備えた300ml四つ口フラスコに、実施例2で得られたテルペン系アルコール化合物17.6g(化18、0.104モル)とトルエン100g、アクリル酸12.7g(0.176モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル2.5mg、およびイオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ロームアンドハース社製)2.0gを仕込んだ。混合液を減圧下100℃で12時間還流させた後、得られた混合液をろ過して触媒をろ別した。次いで、フェノチアジン0.5gを加え、減圧下80℃でトルエンを留去して、テルペン系(メタ)アクリレート化合物B 18.82下80℃でトルエンを留去して、テルペン系(メタ)アクリレート化合物Bを19.5g(収率84.1%、純度97.5%)を得た。
得られたテルペン系(メタ)アクリレート化合物Bの分析結果を図13〜16、表7〜8に示す。なお、表7および8の帰属を示す記号は、式(16)に示した位置を示す。
1)図13:IRチャート 2,920〜2,852cm−1:C−H伸縮、1,725cm−1:C=O伸縮、1,638、1,621cm−1:C=C伸縮、1,457、1,408、1,381cm−1、:C−H変角、1,296、1,272、1,185、1061cm−1:C−O伸縮、985、965cm−1:C−H面外変角
2)図14:EI−MSチャート m/z=224[M]+、m/z=152[M−アクリロイル基]+などが観測された。
3)図15:H−NMRチャート
4)図16:13C−NMRチャート
試験例1(感光性組成物への応用)
実施例3で得られた上記テルペン系(メタ)アクリレート化合物Aにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製(純度100%)イルガキュア184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)3重量部を混合し、光硬化型樹脂組成物を調製した。
試験例2
テルペン系(メタ)アクリレート化合物Aの代わりに、実施例4で得られたテルペン系(メタ)アクリレート化合物Bを用いたこと以外は、試験例1の場合と同様にして、光硬化型樹脂組成物を調製した。
比較試験例1
テルペン系(メタ)アクリレート化合物Aの代わりにブチルアクリレートを用いたこと以外は、試験例1の場合と同様にして、光硬化型樹脂組成物を調製した。
比較試験例2
テルペン系(メタ)アクリレート化合物Aの代わりに1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを用いたこと以外は、試験例1の場合と同様にして、光硬化型樹脂組成物を調製した。
試験例1〜試験例2および比較試験例1〜比較試験例2の硬化収縮率、吸水率、ガラス転位温度について以下の方法で評価した。その結果は表9に示すとおりである。
(硬化収縮率)
比重瓶を用いて、光硬化型樹脂組成物の23℃における比重(D)を測定した。次いで光硬化型樹脂組成物に1400mJ/cmの紫外線を照射して、硬化物を得た。得られた硬化物について、電子比重計を用いて23℃における比重(D)を測定した。硬化前後の比重差から、下記計算式によって硬化収縮率を求めた。
硬化収縮率(%)=((D−D)/D)×100
(吸水率)
硬化収縮率を求める時に得られた硬化物を、23℃、192時間水中に浸漬し、浸漬後と浸漬前との重量変化の割合を求めた。
吸水率(%)=[(浸漬後重量−浸漬前重量)/浸漬前重量]×100
(ガラス転位温度)
ガラス転位温度は、硬化物のDSCを測定することにより求めた。

本発明のテルペン系アルコール化合物は、テルペン基を有する特殊な性能を有する化合物であり、このように安価に大量に製造されることにより、ポリマー原料、各種溶剤、香料など、幅広い分野で使用され、各分野において、特異の性状を示すことができるようになる。また、本発明のテルペン系(メタ)アクリレート化合物は、レジストなどの感光性材料、インキ、塗料などのコーティング材料、粘接着剤原料など、様々な技術分野で使用可能である。

Claims (2)

  1. 二重結合を有するテルペン系化合物であるd−リモネンを、コバルトヒドロカルボニルおよび/またはオクタカルボニル二コバルトからなるコバルト系触媒、あるいはロジウム系触媒の存在下で、反応温度30〜120℃かつ反応圧力0.1〜20MPaで、ヒドロホルミル化し、テルペン系アルデヒド化合物とした後、水素還元して得られる、化学構造式が式(2)で表されるテルペン系アルコール化合物と、(メタ)アクリル酸化合物とを反応させて得られる、テルペン系(メタ)アクリレート化合物。
  2. 化学構造式が式(6)で表される請求項1記載のテルペン系(メタ)アクリレート化合物。






    〔ただし、式(6)において、R=HまたはCHである〕
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