本発明の実施形態に係るクラッチ装置では、フライホイール(図1の5)と、前記フライホイールと対向して配されたプレッシャプレート(図1の28)と、前記フライホイールと前記プレッシャプレートとの間に挟み込まれたクラッチディスク(図1の10)と、前記フライホイールと一体になって回転するクラッチカバー(図1の20)と、前記クラッチカバー内に配されるとともに、操作荷重が入力される力点(図1の25a)、及び、前記プレッシャプレートを前記フライホイール側に押付可能な作用点(図1の21c)を有し、かつ、レバー比が可変なレバー(図1の21、25)を有する可変レバー比機構(図1の4)と、前記可変レバー比機構の前記作用点が前記プレッシャプレートを前記フライホイール側に押付けるように前記可変レバー比機構を付勢する皿ばね(図1の23)と、を備える。
本発明の実施例1に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図2のX−X´間の断面図である。図2は、本発明の実施例1に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図1の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図1はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図である。また、図2ではクラッチ装置1における第1レリーズレバー21、アシストスプリング24、第2レリーズレバー25、及び支点部材26のみ示している。
クラッチ装置1は、入力軸2(例えば、エンジンのクランクシャフト)と出力軸3(例えば、変速機の入力軸)とを断続可能に結合する装置であり、入力軸2と一体に回転するクラッチカバー20内にレバー比が可変なレリーズレバー21、25を備えた可変レバー比機構4を有し、クラッチカバー20内に操作荷重をアシスト(補助)するアシスト機構8(アシストスプリング24とリンクする機構)を有する。クラッチ装置1は、同軸に配された入力軸2と出力軸3との間の動力伝達経路上に配設されており、主な構成部品として、フライホール5と、レリーズベアリング7と、クラッチディスク10と、クラッチカバー20と、第1レリーズレバー21と、支点部材22と、皿ばね23と、アシストスプリング24と、第2レリーズレバー25と、支点部材26と、プレッシャプレート28と、を有する。
フライホール5は、鋳鉄製の円板であり、入力軸2にボルト6によって固定されており、入力軸2と一体的に回転する。フライホイール5は、出力軸3側(図1の右側)の面の外周部にクラッチカバー20がボルト27によって固定されており、クラッチカバー20と一体回転する。フライホイール5は、出力軸3側(図1の右側)の面の中間部において、プレッシャプレート28によってクラッチディスク10がフライホイール5側に押付けられているときにクラッチディスク10の摩擦材12と圧着(押付力が小さいとスライド可能に圧接)する。
レリーズベアリング7は、リング状のボールベアリングであり、出力軸3の外周に配されている。レリーズベアリング7は、例えば、クラッチレバー、クラッチペダル等の操作部のマニュアル操作(手動操作、踏込操作等)により、油圧機構、リンク機構等の機構を介して軸方向(図1の左右方向)に移動可能になっている。レリーズベアリング7は、図1では、外輪と内輪の間にボールが介在しており、外輪が油圧機構、リンク機構等の機構によって軸方向に操作され、内輪が第2レリーズレバー25と一体的に回転する。
クラッチディスク10は、入力軸2の回転動力を出力軸3に伝達するディスク状の部材である。クラッチディスク10は、摩擦材11、12が円板状のディスクプレート15の外周部分の両面にリベット13、14によって固定されており、ディスクプレート15の内周部分がハブ部材16の外周部分にリベット17によって固定されており、ハブ部材16の内周部分が出力軸3と相対回転不能かつ軸方向移動可能にスプライン係合している。クラッチディスク10は、フライホイール5とプレッシャプレート28との間に配設されており、プレッシャプレート28によってフライホイール5側に押付けられているときに、プレッシャプレート28と摩擦材11とが圧着(押付力が小さいとスライド可能に圧接)し、フライホイール5と摩擦材12とが圧着(押付力が小さいとスライド可能に圧接)する。クラッチディスク10は、入力軸2と出力軸3との間のトルク変動を吸収する機構(図示せず)を有してもよい。
クラッチカバー20は、第1レリーズレバー21及び第2レリーズレバー25を揺動可能に支持する環状の部材である。クラッチカバー20は、外周部がボルト27によってフライホール5に固定されており、フライホール5と一体回転する。クラッチカバー20は、内周部がフライホール5と離間している。クラッチカバー20は、外周側の部分において、第1レリーズレバー21の支点部21bを揺動可能に保持する支点部材22を支持する支持部20aを有する。クラッチカバー20は、内周側の部分において、第2レリーズレバー25の支点部25bを揺動可能に保持する支点部材26を支持する支持部20bを有する。支持部20bは、アシストスプリング24のシート24cを揺動可能に保持する。クラッチカバー20は、皿ばね23の一端を支持する突起部20cを有する。クラッチカバー20は、第2レリーズレバー25及びアシストスプリング24が揺動する際に、レリーズレバー21、25及びアシストスプリング24と抵触しないように形成されている。
第1レリーズレバー21は、クラッチカバー20に揺動可能に支持されたレバーである。第1レリーズレバー21は、プレッシャプレート28と皿ばね23の間に配されている。第1レリーズレバー21は、内周部のプレッシャプレート28側の面において、第2レリーズレバー25の可変作用点部25cの押圧力がかかる可変力点部21aを有する。可変力点部21aは、第2レリーズレバー25の傾きに応じて可変作用点部25cとともに変位する。第1レリーズレバー21は、外周端部において、支点部材22によって揺動可能に保持される支点部21bを有する。第1レリーズレバー21は、中間部のプレッシャプレート28側の面において、プレッシャプレート28の突起部28aと当接する作用点部21cを有する。第1レリーズレバー21は、可変レバー比機構4の構成部品であり、第2レリーズレバー25の外周部が第1レリーズレバー21側に傾くにつれて、可変力点部21aに対する第2レリーズレバー25の可変作用点部25cの押付位置が径方向外側に変位して可変力点部21aが径方向外側に変位し、支点部21b及び作用点部21cは径方向に変位しない(とみなせる)ので、レバー比が変化する。第1レリーズレバー21は、中間部のプレッシャプレート28側の面の反対面において突起部21dを有し、突起部21dにて皿ばね23によってプレッシャプレート28側に付勢されている。第1レリーズレバー21は、皿ばね23によって付勢されることで、支点部21bを支点に内周部がプレッシャプレート28側に揺動し、作用点部21cにてプレッシャプレート28の突起部28aを付勢する。第1レリーズレバー21は、第2レリーズレバー25の可変作用点部25cによって可変力点部21aが押付けられると、支点部21bを支点に内周部がプレッシャプレート28側の反対側に揺動すると同時に皿ばね23が縮み、作用点部21cでのプレッシャプレート28の突起部28aの付勢が解除される。
第1レリーズレバー21は、内周端部における第2レリーズレバー25に対して周方向にずれた位置において、アシストスプリング24のシート24bに揺動可能に保持され、アシストスプリング24の傾きに応じてアシストスプリング24によって少なくとも外周側の成分の押圧力を受けている。よって、第1レリーズレバー21(可変力点部21aと支点部21bとを結ぶ線(面))が支点部材22とアシストスプリング24のシート24cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、支点部21bを支点に第1レリーズレバー21が皿ばね23側に揺動(回動)すると、アシストスプリング24の押圧力によって第1レリーズレバー21が皿ばね23側に揺動(回動)するように作用する。一方、第1レリーズレバー21(可変力点部21aと支点部21bとを結ぶ線(面))が支点部材22とアシストスプリング24のシート24cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、支点部21bを支点に第1レリーズレバー21がプレッシャプレート28側に揺動(回動)すると、アシストスプリング24の押圧力によって第1レリーズレバー21がプレッシャプレート28側に揺動(回動)するように作用する。
支点部材22は、支点部21bを支点として第1レリーズレバー21を揺動可能に保持する部材であり、クラッチカバー20の支持部20aに支持されている。
皿ばね23は、第1レリーズレバー21の作用点部21cがプレッシャプレート28をフライホイール5側に押付けるように第1レリーズレバー21を付勢する皿状のばねである。皿ばね23は、クラッチカバー20と第1レリーズレバー21の間に配され、一端がクラッチカバー20の突起部20cで受けられ、他端が第1レリーズレバー21の突起部21dをプレッシャプレート28側に付勢する。皿ばね23が第1レリーズレバー21を付勢することで、支点部21bを支点に第1レリーズレバー21がプレッシャプレート28側に揺動(回動)する。
アシストスプリング24は、第1レリーズレバー21の可変力点部21aにて皿ばね23の付勢力に反して入力される操作荷重をアシスト(補助)するアシスト機構8の構成部品である。アシストスプリング24は、第2レリーズレバー25に対して周方向にずれた位置に配されている。アシストスプリング24は、第1レリーズレバー21の内周端部と内周側の支点(シート24cの支点)との間にて伸縮自在に配され、アシストスプリング24の傾きに応じて第1レリーズレバー21の内周端部に対して少なくとも外周側の成分の付勢力を与えている。アシストスプリング24は、2つのシート24b、24c間にスプリング24a(例えば、コイルスプリング、弾性体)が配された構成となっている。シート24bは、第1レリーズレバー21の内周端部を揺動可能に保持する。シート24cは、クラッチカバー20の支持部20bに揺動可能に保持されている。アシストスプリング24は、第2レリーズレバー25の可変作用点部25cが第1レリーズレバー21の可変力点部21aを押付けて、第1レリーズレバー21(可変力点部21aと支点部21bとを結ぶ線(面))が支点部材22とアシストスプリング24のシート24cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、支点部21bを支点に第1レリーズレバー21が皿ばね23側に揺動(回動)すると、第1レリーズレバー21を皿ばね23側に揺動(回動)するようにアシストする。
第2レリーズレバー25は、クラッチカバー20に揺動可能に支持されたレバーである。第2レリーズレバー25は、アシストスプリング24に対して周方向にずれた位置に配されている。第2レリーズレバー25は、内周部のレリーズベアリング7側の面において、レリーズベアリング7の押圧力がかかる力点部25aを有する。第2レリーズレバー25は、中間部において、支点部材26によって揺動可能に保持される支点部25bを有する。第2レリーズレバー25は、外周部において、第1レリーズレバー21の可変力点部21aを押付ける可変作用点部25cを有する。可変作用点部25cは、第2レリーズレバー25の外周部が第1レリーズレバー21側に傾くにつれて第2レリーズレバー25と第1レリーズレバー21との接触位置が径方向外側に変位するような形状(例えば、図1では紙面に対して垂直方向から見ると楕円を2分割した形状)に形成されている。つまり、可変作用点部25cは、第1レリーズレバー21側に突出した曲面となっており、第2レリーズレバー25の傾きに応じて、当該曲面に接する第1レリーズレバー21の可変力点部21aとともに変位する。第2レリーズレバー25は、可変レバー比機構4の構成部品であり、第2レリーズレバー25の外周部が第1レリーズレバー21側に傾くにつれて、第1レリーズレバー21の可変力点部21aに対する可変作用点部25cの押付位置が径方向外側に変位し、力点25a及び支点部25bは径方向に変位しない(とみなせる)ので、レバー比が変化する。第2レリーズレバー25は、力点部25aがレリーズベアリング7によって入力軸2側に押付けられることで、支点部25bを支点に揺動し、可変作用点部25cが第1レリーズレバー21の可変力点部21aを押付ける。
支点部材26は、支点部25bを支点として第2レリーズレバー25を揺動可能に保持する部材であり、クラッチカバー20の支持部20bに支持されている。
プレッシャプレート28は、クラッチディスク10をフライホイール5側に押圧してフライホイール5との間に挟み込み、クラッチディスク10をフライホイール5と摩擦係合させて一体的に回転させるプレートである。プレッシャプレート28は、クラッチディスク10を介してフライホイール5と対向するように配されている。プレッシャプレート28は、クラッチカバー20の回転に伴って回転するように、ストラップ(図示せず)によりクラッチカバー20と連結されている。プレッシャプレート28は、第1レリーズレバー21の作用点部21cに当接させるための突起部28aを有する。プレッシャプレート28は、第1レリーズレバー21によってフライホール5側に押付けられているときにクラッチディスク10の摩擦材11と圧着(押付力が小さいとスライド可能に圧接)する。プレッシャプレート28は、第2レリーズレバー25と抵触しないように形成されている。
次に、本発明の実施例1に係るクラッチ装置の動作について図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施例1に係るクラッチ装置の動作を説明するための図である。図4は、本発明の実施例1に係るクラッチ装置における第1レリーズレバー及び第2レリーズレバーのレバー比の変化を説明するための模式図であり、(P)は係合状態、(Q)は断状態である。図5は、本発明の実施例1に係るクラッチ装置におけるレリーズベアリング上の荷重特性を示した図である。なお、図3はクラッチ装置1が断状態にあるときの図(点線は係合状態)である。
図1を参照すると、クラッチ装置1が係合状態(クラッチレバー、クラッチペダル等の操作部を操作していない状態)では、プレッシャプレート28がクラッチディスク10に圧着されており、入力軸2から出力軸3に回転動力が伝達される。圧着力は、皿ばね23及びアシストスプリング24で発生させている。皿ばね23で発生した荷重は、第1レリーズレバー21を介してプレッシャプレート28に伝達されている。アシストスプリング24で発生した荷重は、支点部21bを支点とする第1レリーズレバー21の回動方向成分が第1レリーズレバー21のレバー比により増幅され、プレッシャプレート28に伝達されている。
図3を参照すると、係合状態でクラッチレバー、クラッチペダル等の操作部を操作(手動操作、踏込操作等)すると、油圧機構、リンク機構等の機構を介してレリーズベアリング7が図3の右方向に移動し、第2レリーズレバー25の力点部25aがレリーズベアリング7によって入力軸2側に押付けられ、支点部25bを支点に第2レリーズレバー25が揺動し、梃子の原理により、第2レリーズレバー25の可変作用点部25cが第1レリーズレバー21の可変力点部21aを皿ばね23側に押付ける。第2レリーズレバー25の可変作用点部25cが第1レリーズレバー21の可変力点部21aを押付ける際、第2レリーズレバー25の外周部が第1レリーズレバー21側に傾くにつれて、第1レリーズレバー21の可変力点部21aに対する可変作用点部25cの押付位置が径方向外側に変位し、力点25a及び支点部25bは径方向に変位しない(とみなせる)ので、第2レリーズレバー25のレバー比が変化する。同時に、第2レリーズレバー25の外周部が第1レリーズレバー21側に傾くにつれて、可変力点部21aに対する第2レリーズレバー25の可変作用点部25cの押付位置が径方向外側に変位して可変力点部21aが径方向外側に変位し、支点部21b及び作用点部21cは径方向に変位しない(とみなせる)ので、第1レリーズレバー21のレバー比が変化する。皿ばね23の付勢力を超えて第1レリーズレバー21の可変力点部21aを皿ばね23側に押付けると、支点部21bを支点に第1レリーズレバー21が皿ばね23側に揺動すると同時に皿ばね23が縮み、梃子の原理により、第1レリーズレバー21の作用点部21cでのプレッシャプレート28の突起部28aの付勢が解除され、プレッシャプレート28が図3の左方向に移動し、プレッシャプレート28とクラッチディスク10との圧着が解除され、入力軸2から出力軸3への回転動力の伝達が遮断され、クラッチ装置1が断状態になる。なお、第2レリーズレバー25の可変作用点部25cが第1レリーズレバー21の可変力点部21aを押付ける際、第1レリーズレバー21(可変力点部21aと支点部21bとを結ぶ線(面))が支点部材22とアシストスプリング24のシート24cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点)になるまでアシストスプリング24の押圧力が第2レリーズレバー25の可変作用点部25cの押付力に対して反力となるが、ターンオーバー点を超えると、第2レリーズレバー25の可変作用点部25cの押付力に対してアシスト力に変化する。
ここで、第1レリーズレバー21及び第2レリーズレバー25のレバー比の変化について図面を用いて説明する。
クラッチが係合状態(図4(P)参照)では、第1レリーズレバー21の可変力点部21aと支点部21bとの間の距離をa1とし、第1レリーズレバー21の支点部21bと作用点部21cの間の距離をA2とし、第2レリーズレバー25の力点部25aと支点部25bとの間の距離をR1とし、第2レリーズレバー25の支点部25bと可変作用点部25cの間の距離をR2とすると、第1レリーズレバー21のレバー比Ra1、第2レリーズレバー25のレバー比RL1、及びカバー比Rc1は、それぞれ[数1]のようになる。
クラッチが断状態(図4(Q)参照)では、第1レリーズレバー21の可変力点部21aと支点部21bとの間の距離をa1´とし、第1レリーズレバー21の支点部21bと作用点部21cの間の距離をA2とし、第2レリーズレバー25の力点部25aと支点部25bとの間の距離をR1とし、第2レリーズレバー25の支点部25bと可変作用点部25cの間の距離をR2´とすると、第1レリーズレバー21のレバー比Ra2、第2レリーズレバー25のレバー比RL2、及びカバー比Rc2は、それぞれ[数2]のようになる。
ここでは、a1>a1´、R2<R2´となるので、Rc1>Rc2となり、係合状態から断状態になるにつれて各レリーズレバー21、25のレバー比が連続して小さくなってゆく。
ここで、ターンオーバー点を超えて第1レリーズレバー21が皿ばね23側に揺動したときのレリーズベアリング7上の荷重特性は、図5の「理想レリーズ特性」のようになる。なお、比較例として、図1の構成においてアシストスプリングによるアシストがあるがレバー比が可変でない場合のレリーズベアリング上の荷重特性は、図5の「アシスト有/可変レバー比構造無レリーズ特性」のようになる。実施例1の目的は、操作機構(例えばクラッチペダル)上の理想荷重−ストローク特性から決まる、レリーズベアリング7上の理想荷重−ストローク特性(理想レリーズ特性)を実現することである。可変レバー比構造のないレリーズ特性と理想レリーズ特性の差が生じ始める点(図5のP点)からレバー比を連続的に減少させることで、梃子の原理にしたがって荷重増幅率が下がり、レリーズベアリング荷重が増加する反面、レリーズベアリングストロークは減少する。よって、図5の右下斜線部を左上斜線部へと特性を変化させることが可能になり、理想レリーズ特性を得ることができるようになる。
断状態でクラッチレバー、クラッチペダル等の操作部の操作(手動操作、踏込操作等)を解除すると、皿ばね23の付勢力によって支点部21bを支点に第1レリーズレバー21がプレッシャプレート28側に揺動し、作用点部21cにてプレッシャプレート28の突起部28aを押付け、第1レリーズレバー21の可変力点部21aが内周側に変位しながら第2レリーズレバー25の可変作用点部25cをプレッシャプレート28側に押付け、クラッチ装置1を、半クラッチ状態を経由して係合状態にする。なお、第1レリーズレバー21の可変力点部21aが第2レリーズレバー25の可変作用点部25cを押付ける際、ターンオーバー点になるまでアシストスプリング24の押圧力が第1レリーズレバー21の可変力点部21aの押付力に対して反力となるが、ターンオーバー点を超えると、第1レリーズレバー21の可変力点部21aの押付力に対してアシスト力となる。第2レリーズレバー25の可変作用点部25cが内周側に変位しながらプレッシャプレート28側に押付けられると、支点部25bを支点に第2レリーズレバー25が揺動し、第2レリーズレバー25の力点部25aがレリーズベアリング7を図3の左方向に移動させる。
実施例1によれば、クラッチカバー20におけるレリーズレバー21、25のレバー比を可変にし、レリーズベアリング7上での荷重−ストローク特性の自由度を上げることで、操作機構(例えば、クラッチペダル)の理想的な荷重−ストローク特性を満足させることができる。また、クラッチ操作経路の最上流となるクラッチカバー20内に操作力をアシスト(補助)するアシスト機構(アシストスプリング24とリンクする機構)を設けることで、クラッチカバー20以降の下流側のクラッチ操作経路での負荷荷重を小さくできるため、従来の構成よりも荷重効率を高くすることができる。また、クラッチカバー20以降の下流側のクラッチ操作経路での負荷荷重を小さくすることで、下流側のクラッチ操作経路における部品の保障負荷荷重が低減させることができるため、コストの低減を図ることができ、設計の自由度が広がる。また、クラッチカバー20内に機能を統合することでスペース上の課題を克服することができる。
本発明の実施例2に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施例2に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図7のX−X´間の断面図である。図7は、本発明の実施例2に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図6の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図6はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図(点線は断状態)である。また、図7ではクラッチ装置1における第1レリーズレバー21、第2レリーズレバー25、及び支点部材26のみ示している。
実施例2は、実施例1におけるアシスト機構(図1の8;アシストスプリング(図1の24)とリンクする機構)を削除したものである。その他の構成及び動作は、実施例1と同様である。実施例2によれば、実施例1と同様に、クラッチカバー20におけるレリーズレバー21、25のレバー比を可変にし、レリーズベアリング7上での荷重−ストローク特性の自由度を上げることで、操作機構(例えば、クラッチペダル)の理想的な荷重−ストローク特性を満足させることができる。
本発明の実施例3に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図8は、本発明の実施例3に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図9のX−X´間の断面図である。図9は、本発明の実施例3に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図8の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図8はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図である。また、図9ではクラッチ装置1における第1レリーズレバー31、アシストスプリング34、第2レリーズレバー35、及び可変支点部材36のみ示している。
実施例1(図1参照)では、第1レリーズレバー(図1の21)と第2レリーズレバー(図1の25)の両方のレバー比が可変になっているが、実施例3では、レバー比が可変になるのは第2レリーズレバー35のみである。第2レリーズレバー35は、揺動することで、可変支点部35bが径方向に変位し、力点部35a及び作用点部35cが径方向に変位しないように構成されている。
クラッチ装置1は、入力軸2(例えば、エンジンのクランクシャフト)と出力軸3(例えば、変速機の入力軸)とを断続可能に結合する装置であり、入力軸2と一体に回転するクラッチカバー30内にレバー比が可変なレリーズレバー31、35を備えた可変レバー比機構4を有し、クラッチカバー30内に操作荷重をアシスト(補助)するアシスト機構8(アシストスプリング34とリンクする機構)を有する。クラッチ装置1は、同軸に配された入力軸2と出力軸3との間の動力伝達経路上に配設されており、主な構成部品として、フライホール5と、レリーズベアリング7と、クラッチディスク10と、クラッチカバー30と、第1レリーズレバー31と、支点部材32と、皿ばね33と、アシストスプリング34と、第2レリーズレバー35と、可変支点部材36と、プレッシャプレート38と、を有する。なお、フライホール5、レリーズベアリング7、及びクラッチディスク10は、実施例1と同様である。
クラッチカバー30は、第1レリーズレバー31及び第2レリーズレバー35を揺動可能に支持する環状の部材である。クラッチカバー30は、外周部がボルト37によってフライホール5に固定されており、フライホール5と一体回転する。クラッチカバー30は、内周部がフライホール5と離間している。クラッチカバー30は、外周側の部分において、第1レリーズレバー31の支点部31bを揺動可能に保持する支点部材32を支持する支持部30aを有する。クラッチカバー30は、内周側の部分において、第2レリーズレバー35の可変支点部35bの支点となる可変支点部材36を支持する支持部30bを有する。支持部30bは、アシストスプリング34のシート34cを揺動可能に保持する。クラッチカバー30は、皿ばね33の一端を支持する突起部30cを有する。クラッチカバー30は、第2レリーズレバー35及びアシストスプリング34が揺動する際に、レリーズレバー31、35及びアシストスプリング34と抵触しないように形成されている。
第1レリーズレバー31は、クラッチカバー30に揺動可能に支持されたレバーである。第1レリーズレバー31は、プレッシャプレート38と皿ばね33の間に配されている。第1レリーズレバー31は、内周部のプレッシャプレート38側の面において、第2レリーズレバー35の作用点部35cの押圧力がかかる力点部31aを有する。第1レリーズレバー31は、外周端部において、支点部材32によって揺動可能に保持される支点部31bを有する。第1レリーズレバー31は、中間部のプレッシャプレート38側の面において、プレッシャプレート38の突起部38aと当接する作用点部31cを有する。第1レリーズレバー31は、中間部のプレッシャプレート38側の面の反対面において突起部31dを有し、突起部31dにて皿ばね33によってプレッシャプレート38側に付勢されている。第1レリーズレバー31は、皿ばね33によって付勢されることで、支点部31bを支点に内周部がプレッシャプレート38側に揺動し、作用点部31cにてプレッシャプレート38の突起部38aを付勢する。第1レリーズレバー31は、第2レリーズレバー35の作用点部35cによって力点部31aが押付けられると、支点部31bを支点に内周部がプレッシャプレート38側の反対側に揺動すると同時に皿ばね33が縮み、作用点部31cでのプレッシャプレート38の突起部38aの付勢が解除される。
第1レリーズレバー31は、内周端部における第2レリーズレバー35に対して周方向にずれた位置において、アシストスプリング34のシート34bに揺動可能に保持され、アシストスプリング34の傾きに応じてアシストスプリング34によって少なくとも外周側の成分の押圧力を受けている。よって、第1レリーズレバー31(力点部31aと支点部31bとを結ぶ線(面))が支点部材32とシート34cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、支点部31bを支点に第1レリーズレバー31が皿ばね33側に揺動(回動)すると、アシストスプリング34の押圧力によって第1レリーズレバー31が皿ばね33側に揺動(回動)するように作用する。一方、第1レリーズレバー31(力点部31aと支点部31bとを結ぶ線(面))が支点部材32とシート34cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、支点部31bを支点に第1レリーズレバー31がプレッシャプレート38側に揺動(回動)すると、アシストスプリング34の押圧力によって第1レリーズレバー31がプレッシャプレート28側に揺動(回動)するように作用する。
支点部材32は、支点部31bを支点として第1レリーズレバー31を揺動可能に保持する部材であり、クラッチカバー30の支持部30aに支持されている。
皿ばね33は、第1レリーズレバー31の作用点部31cがプレッシャプレート38をフライホイール5側に押付けるように第1レリーズレバー31を付勢する皿状のばねである。皿ばね33は、クラッチカバー30と第1レリーズレバー31の間に配され、一端がクラッチカバー30の突起部30cで受けられ、他端が第1レリーズレバー31の突起部31dをプレッシャプレート38側に付勢する。皿ばね33が第1レリーズレバー31を付勢することで、支点部31bを支点に第1レリーズレバー31がプレッシャプレート38側に揺動(回動)する。
アシストスプリング34は、第1レリーズレバー31の力点部31aにて皿ばね33の付勢力に反して入力される操作荷重をアシスト(補助)するアシスト機構8の構成部品である。アシストスプリング34は、第2レリーズレバー35に対して周方向にずれた位置に配されている。アシストスプリング34は、第1レリーズレバー31の内周端部と内周側の支点(シート34cの支点)との間にて伸縮自在に配され、アシストスプリング34の傾きに応じて第1レリーズレバー31の内周端部に対して少なくとも外周側の成分の付勢力を与えている。アシストスプリング34は、2つのシート34b、34c間にスプリング34a(例えば、コイルスプリング、弾性体)が配された構成となっている。シート34bは、第1レリーズレバー31の内周端部を揺動可能に保持する。シート34cは、クラッチカバー30の支持部30bに揺動可能に保持されている。アシストスプリング34は、第2レリーズレバー35の作用点部35cが第1レリーズレバー31の力点部31aを押付けて、第1レリーズレバー31(力点部31aと支点部31bとを結ぶ線(面))が支点部材32とシート34cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、支点部31bを支点に第1レリーズレバー31が皿ばね33側に揺動(回動)すると、第1レリーズレバー31を皿ばね33側に揺動(回動)するようにアシストする。
第2レリーズレバー35は、可変支点部材36を介してクラッチカバー30に揺動可能に支持されたレバーである。第2レリーズレバー35は、アシストスプリング34に対して周方向にずれた位置に配されている。第2レリーズレバー35は、内周部のレリーズベアリング7側の面において、レリーズベアリング7の押圧力がかかる力点部35aを有する。第2レリーズレバー35は、中間部において、可変支点部材36によって支点の位置を変位させながら揺動可能に支持される可変支点部35bを有する。可変支点部35bは、第2レリーズレバー35の外周部が第1レリーズレバー31側に傾くにつれて、可変支点部材36との接触位置が内周側に変位する。第2レリーズレバー35は、外周部において、第1レリーズレバー31の力点部31aを押付ける作用点部35cを有する。第2レリーズレバー35は、可変レバー比機構4の構成部品であり、第2レリーズレバー35の外周部が第1レリーズレバー31側に傾くにつれて、可変支点部35bの位置が径方向内側に変位し、力点35a及び作用点部35cは径方向に変位しない(とみなせる)ので、レバー比が変化する。第2レリーズレバー35は、力点部35aがレリーズベアリング7によって入力軸2側に押付けられることで、可変支点部35bを支点に揺動し、作用点部35cが第1レリーズレバー31の力点部31aを押付ける。
可変支点部材36は、可変支点部35bを支点として第2レリーズレバー35を揺動可能に支持する部材であり、クラッチカバー30の支持部30bに保持されている。可変支点部材36は、第2レリーズレバー35の外周部が第1レリーズレバー31側に傾くにつれて可変支点部35bとの接触位置が径方向内側に変位するような形状(例えば、図8では紙面に対して垂直方向から見ると楕円を4分割した形状)に形成されている。つまり、可変支点部材36は、第2レリーズレバー35側に突出した曲面を有し、第2レリーズレバー35の傾きに応じて、当該曲面に接する第2レリーズレバー35の可変支点部35bを変位させる。
プレッシャプレート38は、クラッチディスク10をフライホイール5側に押圧してフライホイール5との間に挟み込み、クラッチディスク10をフライホイール5と摩擦係合させて一体的に回転させるプレートである。プレッシャプレート38は、クラッチディスク10を介してフライホイール5と対向するように配されている。プレッシャプレート38は、クラッチカバー30の回転に伴って回転するように、ストラップ(図示せず)によりクラッチカバー30と連結されている。プレッシャプレート38は、第1レリーズレバー31の作用点部31cに当接させるための突起部38aを有する。プレッシャプレート38は、第1レリーズレバー31によってフライホール5側に押付けられているときにクラッチディスク10の摩擦材11と圧着(押付力が小さいとスライド可能に圧接)する。
次に、本発明の実施例3に係るクラッチ装置の動作について図面を用いて説明する。図10は、本発明の実施例3に係るクラッチ装置の動作を説明するための図である。なお、図10はクラッチ装置1が断状態にあるときの図(点線は係合状態)である。
図8を参照すると、クラッチ装置1が係合状態(クラッチレバー、クラッチペダル等の操作部を操作していない状態)では、プレッシャプレート38がクラッチディスク10に圧着されており、入力軸2から出力軸3に回転動力が伝達される。圧着力は、皿ばね33及びアシストスプリング34で発生させている。皿ばね33で発生した荷重は、第1レリーズレバー31を介してプレッシャプレート38に伝達されている。アシストスプリング34で発生した荷重は、支点部31bを支点とする第1レリーズレバー31の回動方向成分が第1レリーズレバー31のレバー比により増幅され、プレッシャプレート38に伝達されている。
図10を参照すると、係合状態でクラッチレバー、クラッチペダル等の操作部を操作(手動操作、踏込操作等)すると、油圧機構、リンク機構等の機構を介してレリーズベアリング7が図10の右方向に移動し、第2レリーズレバー35の力点部35aがレリーズベアリング7によって入力軸2側に押付けられ、可変支点部35bを支点に第2レリーズレバー35が揺動し、梃子の原理により、第2レリーズレバー35の作用点部35cが第1レリーズレバー31の力点部31aを皿ばね33側に押付ける。第2レリーズレバー35が揺動する際、第2レリーズレバー35の外周部が第1レリーズレバー31側に傾くにつれて、可変支点部35bと可変支点部材36との接触位置が径方向内側に変位し、力点35a及び作用点部35cは径方向に変位しない(とみなせる)ので、第2レリーズレバー35のレバー比が変化(小さくなるように変化)する。皿ばね33の付勢力を超えて第1レリーズレバー31の力点部31aを皿ばね33側に押付けると、支点部31bを支点に第1レリーズレバー31が皿ばね33側に揺動すると同時に皿ばね33が縮み、梃子の原理により、第1レリーズレバー31の作用点部31cでのプレッシャプレート38の突起部38aの付勢が解除され、プレッシャプレート38が図10の左方向に移動し、プレッシャプレート38とクラッチディスク10との圧着が解除され、入力軸2から出力軸3への回転動力の伝達が遮断され、クラッチ装置1を断状態にする。なお、第2レリーズレバー35の作用点部35cが第1レリーズレバー31の力点部31aを押付ける際、第1レリーズレバー31(力点部31aと支点部31bとを結ぶ線(面))が支点部材32とアシストスプリング34のシート34cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点)になるまでアシストスプリング34の押圧力が第2レリーズレバー35の作用点部35cの押付力に対して反力となるが、ターンオーバー点を超えると、第2レリーズレバー35の作用点部35cの押付力に対してアシスト力に変化する。
断状態でクラッチレバー、クラッチペダル等の操作部の操作(手動操作、踏込操作等)を解除すると、皿ばね33の付勢力によって支点部31bを支点に第1レリーズレバー31がプレッシャプレート38側に揺動し、作用点部31cにてプレッシャプレート38の突起部38aを押付け、第1レリーズレバー31の力点部31aが第2レリーズレバー35の作用点部35cをプレッシャプレート38側に押付け、クラッチ装置1を、半クラッチ状態を経由して係合状態にする。なお、第1レリーズレバー31の力点部31aが第2レリーズレバー35の作用点部35cを押付ける際、ターンオーバー点になるまでアシストスプリング34の押圧力が第1レリーズレバー31の力点部31aの押付力に対して反力となるが、ターンオーバー点を超えると、第1レリーズレバー31の力点部31aの押付力に対してアシスト力となる。第2レリーズレバー35の作用点部35cがプレッシャプレート38側に押付けられると、可変支点部35bを支点に第2レリーズレバー35が揺動し、第2レリーズレバー35の力点部35aがレリーズベアリング7を図10の左方向に移動させる。第2レリーズレバー35が揺動する際、第2レリーズレバー35の外周部がフライホイール5側に傾くにつれて、可変支点部35bと可変支点部材36との接触位置が径方向外側に変位し、力点35a及び作用点部35cは径方向に変位しない(とみなせる)ので、第2レリーズレバー35のレバー比が変化(大きくなるように変化)する。
実施例3によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、実施例1と比較して、第2レリーズレバー35の作用点部35cと可変支点部35bとの距離が幅広く変えることができるため、可変レバー比の可変幅を大きくとることができる。
本発明の実施例4に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図11は、本発明の実施例4に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図12のX−X´間の断面図である。図12は、本発明の実施例4に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図11の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図11はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図である。また、図12ではクラッチ装置1における第1レリーズレバー31、第2レリーズレバー35、及び可変支点部材36のみ示している。
実施例4は、実施例3におけるアシスト機構(図8の8;アシストスプリング(図8の34)とリンクする機構)を削除したものである。その他の構成及び動作は、実施例3と同様である。実施例4によれば、実施例1と同様に、クラッチカバー30におけるレリーズレバー31、35のレバー比を可変にし、レリーズベアリング7上での荷重−ストローク特性の自由度を上げることで、操作機構(例えば、クラッチペダル)の理想的な荷重−ストローク特性を満足させることができる。
本発明の実施例5に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図13は、本発明の実施例5に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図14のX−X´間の断面図である。図14は、本発明の実施例5に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図13の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図13はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図である。また、図14ではクラッチ装置1におけるレリーズレバー41、可変支点部材42、及びアシストスプリング44のみ示している。
実施例1、3では、アシストスプリング(図1の24、図8の34)の荷重を増幅させる第1レリーズレバー(図1の21、図8の31)のレバー比は一定で、アシスト特性を可変にしていないが、実施例5では、レリーズレバー41の支点(可変支点部41b)を作用点部41cよりも径方向内側に配置して内支点とし、レリーズレバー41の外周部が皿ばね43側に傾くにつれて可変支点部41bの位置が径方向内側に変位するようにしておき、アシストスプリング44のシート44bの支点部(アシスト力入力部)と可変支点部41bとの距離、及び、可変支点部41bと作用点部41cとの距離を連続的に可変にすることでアシストスプリング44の荷重を増幅させるレリーズレバー41のレバー比(「アシストレバー比」と定義)を可変にしている。なお、実施例5では、アシストレバー比を可変にすると、クラッチカバー40におけるレリーズレバー41のレバー比(力点部41aと可変支点部41bとの距離に対する、可変支点部41bと作用点部41cとの距離の比)も可変になる。
クラッチ装置1は、入力軸2(例えば、エンジンのクランクシャフト)と出力軸3(例えば、変速機の入力軸)とを断続可能に結合する装置であり、入力軸2と一体に回転するクラッチカバー30内にレバー比が可変なレリーズレバー41を備えた可変レバー比機構4を有し、クラッチカバー40内に操作荷重をアシスト(補助)するアシスト機構8(アシストスプリング34とリンクする機構)を有する。アシスト機構8は、可変レバー比機構4のレバー比の変化によってアシスト力が増幅量を変化させることが可能な構成となっている。クラッチ装置1は、同軸に配された入力軸2と出力軸3との間の動力伝達経路上に配設されており、主な構成部品として、フライホール5と、レリーズベアリング7と、クラッチディスク10と、クラッチカバー40と、レリーズレバー41と、可変支点部材42と、皿ばね43と、アシストスプリング44と、プレッシャプレート48と、を有する。なお、フライホール5、レリーズベアリング7、及びクラッチディスク10は、実施例1と同様である。
クラッチカバー40は、レリーズレバー41を揺動可能に支持する環状の部材である。クラッチカバー40は、外周部がボルト47によってフライホール5に固定されており、フライホール5と一体回転する。クラッチカバー40は、内周部がフライホール5と離間している。クラッチカバー40は、中間部において、レリーズレバー41の可変支点部41bの支点となる可変支点部材42を支持する支持部40aを有する。クラッチカバー40は、内周部において、アシストスプリング44のシート44cを揺動可能に保持する支持部40bを有する。クラッチカバー40は、皿ばね43の一端を支持する突起部40cを有する。クラッチカバー40は、レリーズレバー41及びアシストスプリング44が揺動する際に、レリーズレバー41及びアシストスプリング44と抵触しないように形成されている。
レリーズレバー41は、クラッチカバー40に揺動可能に支持されたレバーである。レリーズレバー41は、外周側の部分がプレッシャプレート48と皿ばね43の間に配されている。レリーズレバー41は、内周部のレリーズベアリング7側の面において、レリーズベアリング7の押圧力がかかる力点部41aを有する。レリーズレバー41は、中間部のプレッシャプレート48側の面において、可変支点部材42によって支点の位置を変位させながら揺動可能に支持される可変支点部41bを有する。可変支点部41bは、レリーズレバー41の外周部が皿ばね43側に傾くにつれて、可変支点部材42との接触位置が内周側に変位する。レリーズレバー41は、外周部において、プレッシャプレート48の突起部48aと当接する作用点部41cを有する。レリーズレバー41は、可変レバー比機構4の構成部品であり、レリーズレバー41の外周部が皿ばね43側に傾くにつれて、可変支点部41bの位置が径方向内側に変位し、力点41a及び作用点部41cは径方向に変位しない(とみなせる)ので、レバー比が変化する。レリーズレバー41は、外周部のプレッシャプレート48側の面の反対面において突起部41dを有し、突起部41dにて皿ばね43によってプレッシャプレート48側に付勢されている。レリーズレバー41は、皿ばね43によって付勢されることで、可変支点部41bを支点に内周部がプレッシャプレート48側の反対側に揺動し、作用点部41cにてプレッシャプレート48の突起部48aを付勢する。レリーズレバー41は、レリーズベアリング7によって力点部41aが押付けられると、可変支点部41bを支点に内周部がプレッシャプレート48側に揺動すると同時に外周部がプレッシャプレート48側の反対側に揺動して皿ばね43が縮み、作用点部41cでのプレッシャプレート48の突起部48aの付勢が解除される。
レリーズレバー41は、力点部41aと可変支点部41bとの間の部位において、アシストスプリング44を迂回するように形成された迂回部41eを有する。レリーズレバー41は、迂回部41eにてアシストスプリング44のシート44bに揺動可能に保持され、アシストスプリング44の傾きに応じてアシストスプリング44によって少なくとも外周側の成分の押圧力を受けている。よって、レリーズレバー41(可変支点部41bと作用点部41cとを結ぶ線(面))が可変支点部41bとシート44cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、可変支点部41bを支点にレリーズレバー41の力点部41aがフライホイール5側に揺動(回動)すると、アシストスプリング44の押圧力によってレリーズレバー41がフライホイール5側に揺動(回動)するように作用する。一方、レリーズレバー41(可変支点部41bと作用点部41cとを結ぶ線(面))が可変支点部41bとシート44cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、可変支点部41bを支点にレリーズレバー41の力点部41aがレリーズベアリング7側に揺動(回動)すると、アシストスプリング44の押圧力によってレリーズレバー41の力点部41aがレリーズベアリング7側に揺動(回動)するように作用する。
可変支点部材42は、可変支点部41bを支点としてレリーズレバー41を揺動可能に支持する部材であり、クラッチカバー40の支持部40aに支持されている。可変支点部材42は、レリーズレバー41の外周部が皿ばね43側に傾くにつれて可変支点部41bとの接触位置が径方向内側に変位するような形状(例えば、図13では紙面に対して垂直方向から見ると楕円を4分割した形状)に形成されている。つまり、可変支点部材42は、レリーズレバー41側に突出した曲面を有し、レリーズレバー41の傾きに応じて、当該曲面に接するレリーズレバー41の可変支点部41bを変位させる。
皿ばね43は、レリーズレバー41の作用点部41cがプレッシャプレート48をフライホイール5側に押付けるようにレリーズレバー41を付勢する皿状のばねである。皿ばね43は、クラッチカバー40とレリーズレバー41の間に配され、一端がクラッチカバー40の突起部40cで受けられ、他端がレリーズレバー41の突起部41dをプレッシャプレート48側に付勢する。皿ばね43がレリーズレバー41を付勢することで、可変支点部41bを支点にレリーズレバー41の力点部41aがレリーズベアリング7側に揺動(回動)する。
アシストスプリング44は、レリーズレバー41の力点部41aにて皿ばね43の付勢力に反して入力される操作荷重をアシスト(補助)するアシスト機構8の構成部品である。アシストスプリング44は、レリーズレバー41の迂回部41e内に配されている。アシストスプリング44は、レリーズレバー41の迂回部41eの外周側壁面と内周側の支点(シート44cの支点)との間にて伸縮自在に配され、アシストスプリング44の傾きに応じてレリーズレバー41の迂回部41eの外周側壁面に対して少なくとも外周側の成分の付勢力を与えている。アシストスプリング44は、2つのシート44b、44c間にスプリング44a(例えば、コイルスプリング、弾性体)が配された構成となっている。シート44bは、レリーズレバー41の迂回部41eの外周側壁面を揺動可能に保持する。シート44cは、クラッチカバー40の支持部40bに揺動可能に保持されている。アシストスプリング44は、レリーズベアリング7がレリーズレバー41の力点部41aを押付けて、レリーズレバー41(可変支点部41bと作用点部41cとを結ぶ線(面))が可変支点部41bとシート44cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点に相当)から、可変支点部41bを支点にレリーズレバー41の力点部41aがフライホイール5側に揺動(回動)すると、レリーズレバー41の作用点部41cを皿ばね43側に揺動(回動)するようにアシストする。
プレッシャプレート48は、クラッチディスク10をフライホイール5側に押圧してフライホイール5との間に挟み込み、クラッチディスク10をフライホイール5と摩擦係合させて一体的に回転させるプレートである。プレッシャプレート48は、クラッチディスク10を介してフライホイール5と対向するように配されている。プレッシャプレート48は、クラッチカバー40の回転に伴って回転するように、ストラップ(図示せず)によりクラッチカバー40と連結されている。プレッシャプレート48は、レリーズレバー41の作用点部41cに当接させるための突起部48aを有する。プレッシャプレート48は、レリーズレバー41によってフライホール5側に押付けられているときにクラッチディスク10の摩擦材11と圧着(押付力が小さいとスライド可能に圧接)する。
次に、本発明の実施例5に係るクラッチ装置の動作について図面を用いて説明する。図15は、本発明の実施例5に係るクラッチ装置の動作を説明するための図である。図16は、本発明の実施例5に係るクラッチ装置におけるレリーズレバーのアシストレバー比の変化を説明するための模式図であり、(P)は係合状態、(Q)は断状態である。図17は、本発明の実施例5に係るクラッチ装置におけるレリーズベアリング上の荷重特性を示した図である。なお、図15はクラッチ装置1が断状態にあるときの図(点線は係合状態)である。
図13を参照すると、クラッチ装置1が係合状態(クラッチレバー、クラッチペダル等の操作部を操作していない状態)では、プレッシャプレート48がクラッチディスク10に圧着されており、入力軸2から出力軸3に回転動力が伝達される。圧着力は、皿ばね43及びアシストスプリング44で発生させている。皿ばね43で発生した荷重は、レリーズレバー41を介してプレッシャプレート48に伝達されている。アシストスプリング44で発生した荷重は、可変支点部41bを支点とするレリーズレバー41の回動方向成分がレリーズレバー41のレバー比により増幅され、プレッシャプレート48に伝達されている。
図15を参照すると、係合状態でクラッチレバー、クラッチペダル等の操作部を操作(手動操作、踏込操作等)すると、油圧機構、リンク機構等の機構を介してレリーズベアリング7が図15の右方向に移動し、レリーズレバー41の力点部41aがレリーズベアリング7によって入力軸2側に押付けられ、可変支点部41bを支点にレリーズレバー41の作用点部41cが皿ばね43側に揺動すると同時に皿ばね43が縮み、梃子の原理により、レリーズレバー41の作用点部41cでのプレッシャプレート48の突起部48aの付勢が解除され、プレッシャプレート48が図15の左方向に移動し、プレッシャプレート48とクラッチディスク10との圧着が解除され、入力軸2から出力軸3への回転動力の伝達が遮断され、クラッチ装置1を断状態にする。なお、レリーズレバー41の外周部が皿ばね43側に傾くにつれて、可変支点部41bの位置が径方向内側に変位し、力点部41a及び作用点部41cは径方向に変位しない(とみなせる)ので、レリーズレバー41のレバー比が変化する。また、レリーズベアリング7がレリーズレバー41の力点部41aを押付ける際、レリーズレバー41(可変支点部41bと作用点部41cとを結ぶ線(面))が可変支点部41bとアシストスプリング44のシート44cの支点とを結ぶ線(面)と一致(平行)した状態(ターンオーバー点)になるまでアシストスプリング44の押圧力がレリーズベアリング7の押付力に対して反力となるが、ターンオーバー点を超えると、レリーズベアリング7の押付力に対してアシスト力に変化する。
ここで、レリーズレバー41のアシストレバー比の変化について図面を用いて説明する。
クラッチが係合状態(図16(P)参照)では、レリーズレバー41に対してアシストスプリング44の付勢力がかかる支点44dとレリーズレバー41の可変支点部41bとの間の距離をA1とし、レリーズレバー41の可変支点部41bと作用点部41cの間の距離をA2とすると、レリーズレバー41のアシストレバー比RA1は、[数3]ようになる。なお、図16のアシストレバー比は、アシストスプリング44の付勢力を基準とするものであり、レリーズレバー41の力点部41aを基準とするレバー比とは異なるものである。
クラッチが断状態(図16(Q)参照)では、レリーズレバー41に対してアシストスプリング44の付勢力がかかる支点44dとレリーズレバー41の可変支点部41bとの間の距離をA1´とし、レリーズレバー41の可変支点部41bと作用点部41cの間の距離をA2´とすると、レリーズレバー41のアシストレバー比RA2は、[数4]のようになる。
ここでは、A1>A1´、A2<A2´となるので、RA1>RA2となり、係合状態から断状態になるにつれてレリーズレバー41のアシストレバー比が連続して小さくなってゆく。
ここで、ターンオーバー点を超えてレリーズレバー41の内周部がフライホイール5側に揺動したときのレリーズベアリング7上の荷重特性は、図17の「理想レリーズ特性」のようになる。「理想レリーズ特性」は、「アシスト無/可変レバー比構造無レリーズ特性」(絶対値)から「可変レバー比構造有アシスト特性」(絶対値)分を差し引いた特性となる。なお、「アシスト無/可変レバー比構造無レリーズ特性」は、図13の構成においてアシストスプリングによるアシストがなく、かつ、レバー比が可変でない場合のレリーズベアリング上の荷重特性である。「可変レバー比構造有アシスト特性」は、図13の構成においてアシストスプリング44の荷重がかかるときのみのレリーズベアリング7上の荷重特性である。
「アシスト無/可変レバー比構造無レリーズ特性」と「理想レリーズ特性」の差が最大になるレリーズベアリングストロークで「可変レバー比構造無アシスト特性」(点線)が最小値(アシスト最大値)を持つようにアシストレバー比を設定すると、あるストロークから、荷重が負の値から正の値に逆転する。負の値、つまり、アシスト方向に荷重が働いているときは、図15において、アシストスプリング44の荷重がレリーズレバー41の外周部を皿ばね43側に押付ける向きに力が働いている。レリーズベアリング7のストロークが図15の右方向に進むにつれて、アシストスプリング44は撓みを減少しながら(つまり、ばねの長さが長くなりながら)、図15の時計方向に角度が変化してゆくため、あるストロークでアシストスプリング44の初期の撓みがなくなり、アシストスプリング44の長さが自然長になる。それ以降のストロークでは、アシストスプリング44が引張り方向に荷重を発生するため、荷重の方向が逆転するようになる。よって、アシストスプリング44の荷重方向はアシストスプリング44の長さ(自然長より長いか短いか)に依存する。ここで、アシストスプリング44の長さはレリーズベアリングストロークに依存し、レリーズベアリングストロークはアシストレバー比に依存するため、アシストレバー比を可変にして(小さくして)、レリーズベアリングストロークを小さくすることで、図17の「可変レバー比構造有アシスト特性」のようにアシストスプリング44が常にアシスト方向のみの荷重を発生するようになり、「理想レリーズ特性」を得られるようになる。
断状態でクラッチレバー、クラッチペダル等の操作部の操作(手動操作、踏込操作等)を解除すると、皿ばね43の付勢力によって可変支点部41bを支点にレリーズレバー41の作用点部41cがプレッシャプレート48側に揺動し、作用点部41cにてプレッシャプレート48の突起部48aを押付け、レリーズレバー41の力点部41aがレリーズベアリング7をプレッシャプレート48側の反対側に押付け、レリーズベアリング7を図15の右方向に移動させ、クラッチ装置1を、半クラッチ状態を経由して係合状態にする。なお、レリーズレバー41の力点部41aがレリーズベアリング7を押付ける際、ターンオーバー点になるまでアシストスプリング44の押圧力がレリーズレバー41の力点部41aの押付力に対して反力となるが、ターンオーバー点を超えると、レリーズレバー41の力点部41aの押付力に対してアシスト力となる。また、レリーズレバー41の作用点部41cがプレッシャプレート48側に押付けられると、可変支点部41bが径方向外側に変位し、レリーズレバー41のレバー比及びアシストレバー比が大きくなる。
実施例5によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、クラッチカバー40におけるレリーズレバー41のアシストレバー比を可変にし、クラッチカバー40におけるアシスト機構8のアシスト特性の自由度を上げることで、操作機構(例えば、クラッチペダル)の理想的な荷重−ストローク特性を満足させることができる。つまり、実施例5では、レリーズレバー41の傾き(ストローク)、荷重ピークポイントを設定できる範囲が広がり(設計の自由度が広がり)、レリーズ特性の理想特性に合わせることができる。また、実施例5によれば、実施例1、3よりも部品点数を削減することができる。
本発明の実施例6に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図18は、本発明の実施例6に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図19のX−X´間の断面図である。図19は、本発明の実施例6に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図18の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図18はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図(点線は断状態)である。また、図19ではクラッチ装置1におけるレリーズレバー41、及び可変支点部材42のみ示している。
実施例6は、実施例5におけるアシスト機構(図13の8;アシストスプリング(図13の34)とリンクする機構)、及び、クラッチカバーの支持部(図13の40b)を削除したものである。その他の構成及び動作は、実施例5と同様である。実施例6によれば、実施例1と同様に、クラッチカバー40におけるレリーズレバー41のレバー比を可変にし、レリーズベアリング7上での荷重−ストローク特性の自由度を上げることで、操作機構(例えば、クラッチペダル)の理想的な荷重−ストローク特性を満足させることができる。また、実施例6によれば、実施例2、4よりも部品点数を削減することができる。
本発明の実施例7に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図20は、本発明の実施例7に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図21のX−X´間の断面図である。図21は、本発明の実施例7に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図20の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図20はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図(点線は断状態)である。また、図21ではクラッチ装置1におけるレリーズレバー41、可変支点部材42、アシストスプリング44、及びレリーズアダプター49のみ示している。
実施例7は、実施例5(図13参照)の変形例であり、レリーズレバー41の力点部41aの半径方向の位置を自由に設定できるように、レリーズベアリング7の操作荷重をレリーズアダプター49を介して力点部41aに伝達する構成としたものである。レリーズアダプター49は、出力軸3の外周に配された環状の部材であり、内周部でレリーズベアリング7の操作荷重を受け、外周部の突起部49aにてレリーズレバー41の力点部41aを押付けるような構成となっている。レリーズアダプター49は、レリーズベアリング7の操作により軸方向に移動可能であり、クラッチカバー40の支持部40b、及びアシストスプリング44と抵触しないように形成されている。その他の構成及び動作は、実施例5と同様である。実施例7によれば、実施例5と同様な効果を奏するとともに、レリーズベアリング7の操作荷重をレリーズアダプター49を介して力点部41aに伝達する構成とすることにより、レリーズレバー41の力点部41aの半径方向の位置を自由に設定できるようになり、レリーズレバー41のレバー比を自由に設定できるようになる。
本発明の実施例8に係るクラッチ装置について図面を用いて説明する。図22は、本発明の実施例8に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した図23のX−X´間の断面図である。図23は、本発明の実施例8に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向(図22の矢視L)から見たときの平面図である。なお、図22はクラッチ装置1が係合状態にあるときの図である。また、図23ではクラッチ装置1におけるレリーズレバー41、可変支点部材42、及びレリーズアダプター49のみ示している。
実施例8は、実施例7におけるアシスト機構(図20の8;アシストスプリング(図20の34)とリンクする機構)、及び、クラッチカバーの支持部(図20の40b)を削除したものである。その他の構成及び動作は、実施例7と同様である。実施例8によれば、実施例1と同様に、クラッチカバー40におけるレリーズレバー41のレバー比を可変にし、レリーズベアリング7上での荷重−ストローク特性の自由度を上げることで、操作機構(例えば、クラッチペダル)の理想的な荷重−ストローク特性を満足させることができる。また、実施例8によれば、実施例7と同様に、レリーズベアリング7の操作荷重をレリーズアダプター49を介して力点部41aに伝達する構成とすることにより、レリーズレバー41の力点部41aの半径方向の位置を自由に設定できるようになり、レリーズレバー41のレバー比を自由に設定できるようになる。
なお、本発明の全開示(特許請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施例ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。