JP2007120765A - クラッチ機構体及びこのクラッチ機構体に用いられるリテーナ - Google Patents

クラッチ機構体及びこのクラッチ機構体に用いられるリテーナ Download PDF

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Abstract

【課題】クラッチ押圧機構部が摩擦板を押圧する力を維持しエンジンの全回転数域で摩擦板とクラッチプレートとの圧着を確保した上で、体力の如何に拘わらず多くの人が自動車の運転を楽しむことを可能とするためのクラッチ機構を提供する。
【解決手段】摩擦板1とクラッチプレート10との圧着力を減少させてドライバーがクラッチレバーを握る力を低減し、遠心機構部の質量体に加わる遠心力の増大を利用することによって、弾性荷重の低減を遠心力として補い、摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止する圧着力を確保する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動二輪車や自動四輪車等の自動車に適用されるクラッチ機構体及びこのクラッチ機構体に用いられるリテーナに関するものである。
クラッチ機構体は、回転駆動力入力系(以下、「入力系」と称する。)を介して入力される回転駆動力を回転駆動力出力系(以下、「出力系」と称する。)に伝達すると共にその伝達の解除を行う。このクラッチ機構体は、入力系に連結された摩擦板と、出力系に連結され摩擦板と圧着するクラッチプレートとを有する。すなわち、入力系と出力系の連結および解除は、摩擦板とクラッチプレートとの圧着および解除によって行われる。
以上の摩擦板とクラッチプレートとの圧着は、摩擦板をクラッチプレートに押圧することによって行われ、その摩擦板の押圧はクラッチ押圧機構部によって行われる。このクラッチ押圧機構部は、摩擦板を直接押圧するプレッシャープレートと、プレッシャープレートに押し付け力を与える弾性部材と、弾性部材のスプリング部に荷重を加えるリテーナとを有してなる。
この弾性部材のスプリング荷重は、以下のように決定される。まず、自動車、例えば自動二輪車の最大トルク値から摩擦板とクラッチプレートとが滑りを起こさないために必要となる必要クラッチ荷重を求める。そして、プレッシャープレートが摩擦板を押圧する荷重が必要クラッチ荷重以上の値となるように弾性部材のスプリング荷重が決定される。
以上のように弾性部材のスプリング荷重は最大トルク値を基準として決定され、エンジン回転数には関係なく一定に設定される。これにより、全ての回転数領域で摩擦板とクラッチプレートの滑りを防止することができる。
しかし、その反面、最大トルク値を基準として弾性部材のスプリング荷重が決定されるため、エンジントルクの大きい自動車の場合には、必然的にスプリング荷重は大きくなる。
ここで、特に自動二輪車の場合、クラッチ押圧機構部に備えられて摩擦板を直接押圧するプレッシャープレートはドライバーが操作するクラッチレバーによって操作される。すなわち、ドライバーがクラッチレバーを握ることによって、プレッシャープレートが弾性部材のスプリング荷重に抗して移動し、プレッシャープレートによる摩擦板に対する押圧が解除される。これによりクラッチプレートと摩擦板との圧着が解除されて、入力系を介して入力される回転駆動力の出力系への伝達の解除、すなわちいわゆる「クラッチの切断」が行われる。このように、ドライバーは、「クラッチの切断」を行うときには、弾性部材のスプリング荷重に打ち勝つ力でクラッチレバーを握り、クラッチ操作を行わなければならない。
したがって、エンジントルクが大きい自動二輪車を運転する場合、ドライバーはクラッチレバーの手動操作に大きな力を必要とする傾向にあり、ドライバーにとっては大きな負担となる。
実際、エンジントルクの大きい自動二輪車を長時間運転する場合や、ギアチェンジを繰り返さなければならない交通量の多い道路を運転する場合には、ドライバーの握力は低下し易くなる。このような場合に対応するためには、握力その他の体力が充実し、さらに円滑なギアチェンジが可能であるような高い運転技術が必要とされる。このような事情から、自動二輪車を楽しむことができる人は一部の人に限定されるということがあった。また、特に、女性の場合には、握力が弱いことが多いためクラッチレバー操作自体の困難性に起因して、楽しむことができる車種が限定されてしまうことがあった。
そこで、クラッチレバーの操作に要する力を低減させる方法として、プレッシャープレートの移動幅を従来よりも短くする方法がある。しかし、この方法では、プレッシャープレートによる摩擦板に対する押圧を解除し、摩擦板とクラッチプレートとの圧着が確実に解除された状態を確保するための精度の実現が容易ではなかった。
例えば従来のクラッチ機構体として、特許文献1には、「一端に錘を取り付けると共に駆動軸の回転によるこの錘の遠心力がスプリングの押圧力と同じ方向でプレッシャープレートを押圧するように作用する作用端を設けたレバーを・・・のレバー軸にそれぞれ回転自在に取り付けた自動車等のクラッチ。」によって「プレッシャープレートにスプリングと共に遠心力による押圧力を加えることにより強い動力を伝えることができしかも動力を断つ操作が軽くて済む自動車等のクラッチを提供する」旨が記載されている。
しかしこの特許文献1に示される自動車等のクラッチではただ単に「エンジン2の回転数が高い場合には、錘15に大きな力が加わる・・・エンジン2の回転数が低い場合には、錘15に加わる遠心力が小さくなるのでプレッシャープレート6への押圧力はほとんどダイヤフラムスプリング5によるものだけになる。」という構成を採用するものでしかなかった。
また特許文献2には、”The invention relates to a clutch device and, more specifically, to an automobile clutch utilizing centrifugal forces to increase and distribute pressure to the pressure plate with increasing engine speed.”すなわち「エンジン速度の増加に伴い圧力を増加すると共にプレッシャープレートに圧力を印加する遠心力を利用する自動車クラッチのクラッチ装置に関する発明」が記載されている。
しかしこの特許文献2に示される遠心力を利用する自動車クラッチのクラッチ装置に関する発明でもただ単に「遠心力を発生する錘は、前記プレッシャープレートの内部の周囲と前記ダイアフラムスプリングの前記外部の周囲間において前記プレッシャープレートに軸支され・・・クラッチの回転によって第1と第2の位置間に移動可能で、・・・ダイアフラムスプリングに押圧して前記プレッシャープレートに増加し・・・、前記遠心力を発生する錘の移動を制限する手段をさらに含むこと、前記遠心力を発生する錘の回転を制限するためにさらに停止点を含み、前記停止点は、前記遠心力を発生する錘の回転による直立を防ぎ、前記遠心力を発生する錘の移動を制限する前記手段が前記プレッシャープレートに設けられたガイド溝をさらに含む等」という構成を採用するものでしかなかった。
特許文献3には「遠心力作用下で、ダイヤフラムスプリングが押圧ディスクに与える押圧力の補助力をダイヤフラムスプリングに付加可能とする、遠心おもりをダイヤフラムスプリングに設けたことを特徴とするダイヤフラムスプリング式クラッチ装置」が開示され、係るクラッチ装置によれば「クラッチ装置における動力伝達が小動力伝達時のみならず大動力伝達時においてもすべりを生ぜしめることなく確実に行え、かつクラッチ解除の操作力を増大せしめない様なダイヤフラムスプリング式クラッチ装置を提供する」目的が達成できるものとされている。
しかしこの特許文献3に示されるダイヤフラムスプリング式クラッチ装置でもただ単に「補助力をダイヤフラムスプリングに付加可能とする、遠心おもりをダイヤフラムスプリングに設けた」という構成を採用したことは認められるとしても、「クラッチ解除の操作力を増大せしめない」構成、特には「エンジンの低速回転域」で「クラッチ解除の操作力を増大せしめない」ための構成は明らかにされていない。
特許文献4には「摩擦クラッチの重量を増加させることなく高速回転時においてのみクラッチ接合力を高める」ことを目的として「ダイヤフラムスプリングに対し、摩擦クラッチの回転に伴い遠心力によってこのダイヤフラムスプリングの径方向へ移動可能にウエイトを取り付け、しかもこのウエイトはこれを引き戻す方向のスプリング力を作用させたことを特徴とするダイヤフラムスプリング式摩擦クラッチ。」が開示されている。
しかしこの特許文献4に示されるダイヤフラムスプリング式摩擦クラッチでkもただ単に「ダイヤフラムスプリングの径方向へ移動可能にウエイトを取り付け、しかもこのウエイトはこれを引き戻す方向のスプリング力を作用させた」という構成を採用するものであった。
特許文献5には「回転数が上昇するにつれてクラッチスプリング付勢力が大きくなる様にして、高回転域で大きな伝達トルクを確保すると共に、低回転域でのクラッチ操作力を小さく」することを目的として「回転による遠心力を受けて変位される遠心錘により、前記クラッチスプリングの付勢力を変化させるようにしたクラッチ」が開示された。
しかしこの特許文献5のクラッチでは「・・・回転数が比較的小さいと、遠心錘に作用する遠心力も小さいため・・・プレッシャディスクにはクラッチスプリングの付勢力のみが作用する。したがって、クラッチの操作力も小さいものとなる」という手段を採用するだけであり、これはただ単に相対的に高回転時よりも低回転時のクラッチの操作力が小さいとするだけであって、積極的に低回転時のクラッチ操作力を小さくする手段を採用したものではない。
すなわちこの特許文献5のクラッチでもエンジン低回転域でクラッチレバーを操作する際に必要以上の力が必要となることを防止し、それと同時にエンジン出力に関係なく回転駆動力出力部と回転駆動力入力部との圧着力を確保することができるものではない。
特許文献6には「クラッチバネよりも径方向内則に位置する重錘を一旦側に備えた制御レバーを、被動側に遠心力に応じて回動自在に設け」て「急激にエンジンブレーキが掛かっても、クラッチのスリップによってその負荷を吸収し、伝動機構に大きな負荷が加わらない様にし」た過負荷防止クラッチが開示された。
また、特許文献7には、弾性部材であるダイヤフラムスプリングを有するクラッチ押圧組立体におけるクラッチペダルの荷重を軽減させる構造として、クラッチ連結時には、レバー機構によって押圧部材の押圧力が倍力され、より大きな押圧力がプレッシャープレートに作用し、レバー機構のレバー部材のレバー比を調整することによって、ダイヤフラムスプリングの押圧力を小さく設定し、クラッチペダルの踏力を低減させる構造が開示されている。
しかし、このクラッチ押圧組立体では定荷重のダイヤフラムスプリングからなる弾性部材のみが用いられ、その定荷重のスプリング荷重を小さく設定すれば、プレッシャープレートが摩擦板を押圧する荷重はエンジンの全回転数域で減少する。従って、エンジン回転数が大きくなった場合等、エンジンの全回転数域で摩擦板とクラッチプレートとの圧着が確保されているということはできない。
したがって以上の特許文献1〜特許文献7に示されたいずれのクラッチ機構体も、エンジン低回転域でクラッチレバーを操作する際に必要以上の力が必要となることを防止し、それと同時にエンジン出力に関係なく回転駆動力出力部と回転駆動力入力部との圧着力を確保することができるものではなかった。
実開昭58−52341号の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム 米国特許第5575367号明細書 特開昭59−131033号公報 実公平04−30428号公報 特開昭55−44166号公報 実公平02−32894号公報 特開平08−61389号公報
以上のように、クラッチレバーの操作に要する力を低減するという要請と、クラッチ押圧機構部が摩擦板を押圧する力を大きくするという要請とを同時に充足し、さらにはエンジンの全回転数域で摩擦板とクラッチプレートとの圧着を確保するということは必ずしも容易ではなかった。
そこで、本発明は、クラッチ押圧機構部が摩擦板を押圧する力を維持しエンジンの全回転数域で摩擦板とクラッチプレートとの圧着を確保した上で、体力の如何に拘わらず多くの人が自動車の運転を楽しむことを可能とするクラッチ機構体を提供することを目的とする。
本発明に係るクラッチ機構体は、回転駆動力入力系に取り付けられた回転駆動力出力部と、回転駆動力出力系に取り付けられた回転駆動力入力部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を押圧して前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧機構部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を解除する解除手段とを有し、前記押圧機構部が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を発生する弾性荷重手段と遠心荷重手段とを有してなり、前記弾性荷重手段と前記遠心荷重手段によって発生される押圧荷重値が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる滑り限界値以上に維持され、前記弾性荷重手段によって発生される荷重値が、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる押圧力の下限値であって、前記回転駆動力入力系から前記回転駆動力出力系に伝達される回転駆動力が最大時の前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間の押圧力の下限値として規定される最大滑り限界値の70%以上90%以下に設定されてなり、弾性荷重手段によって発生される弾性荷重と遠心荷重手段によって発生される遠心荷重との合計荷重がエンジン回転数の全回転数域で滑り限界値を超え、2000rpm以下のエンジン回転数では最大滑り限界値未満であり、3000rpm以上のエンジン回転数で遠心荷重の増加によって最大すべり限界値以上とされることを特徴とする。
ここで、滑り限界値とは、回転駆動力出力部と回転駆動力入力部相互間に滑りを生じさせないために必要となる前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互の押圧力の下限値である。具体的には、エンジンのトルク値を基準としてエンジンやクラッチ等の特性に基づいて算出される荷重である。
また、最大滑り限界値としては、回転駆動力入力系から回転駆動力出力系に伝達される回転駆動力が最大時における滑り限界値とするのが好ましい。
本発明によれば、弾性荷重手段によって発生される荷重値を最大滑り限界値の70%以上90%以下に設定したので、ドライバーがクラッチレバーを操作するのに必要な力を低減させることができる。かつ弾性荷重手段と遠心荷重手段によって発生される荷重値を滑り限界値以上に設定したので、エンジン出力に関係なく回転駆動力出力部と回転駆動力入力部との圧着力を確保することができる。
また弾性荷重手段によって発生される弾性荷重と遠心荷重手段によって発生される遠心荷重との合計荷重を2000rpm以下のエンジン回転数では最大滑り限界値未満とし、3000rpm以上のエンジン回転数で遠心荷重の増加によって最大すべり限界値以上となるようにしたため、弾性荷重を十分に低減することが可能となり、ドライバーがクラッチレバーを操作するのに必要な力を十分に低減させることができる。
また、本発明に係るクラッチ機構は、回転駆動力入力系に取り付けられた回転駆動力出力部と、回転駆動力出力系に取り付けられた回転駆動力入力部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を押圧して前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧機構部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を解除する解除手段とを有し、
前記押圧機構部が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を発生する弾性荷重手段と遠心荷重手段とを有してなり、前記弾性荷重手段と前記遠心荷重手段によって発生される押圧荷重値が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる滑り限界値を超える値に維持され、かつ前記弾性荷重手段によって発生される荷重値が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる最大滑り限界値未満に設定されてなり、前記押圧機構部は前記回転駆動力出力部に対向して当接可能に配置された第一の押圧部材と、前記回転駆動力入力部に連結された第二の押圧部材とを有し、
前記弾性荷重手段が前記第一の押圧部材と前記第二の押圧部材との間に圧縮して配置され、前記遠心荷重手段は前記第二の押圧部材に環状位置に配列された複数の支持部と、前記各支持部に支持された遠心機構部とよりなり、
前記遠心機構部は前記支持部にて支持されて揺動可能な揺動部材を有し、前記揺動部材は前記第一の押圧部材側の一端部に形成された作用部と、反対側の端部に備え付けられた質量体とを有し、前記第一の押圧部材、前記第二の押圧部材は同心上に配置され、前記弾性荷重手段はダイヤフラムスプリングであり、そのダイヤフラムスプリングは環状部と、当該環状部から内側方向に延び先端が自由端とされた複数のレバー部とを有し、前記環状部の外周縁は前記第一の押圧部材の外周縁に設けられた突起部にて支持されると共に、前記複数のレバー部が前記第二の押圧部材に支持され、
前記第二の押圧部材の前記各遠心機構部の各揺動部材の各作用部が隣合う各レバー部間のスリット部を挿通して前記第一の押圧部材を付勢可能にしてなることを特徴とする。
係る構成を備えることで、第二の押圧部材が回転することによって、質量体に遠心力が働き、揺動部材が支持部にて揺動する。そして、揺動部の一端に形成された作用部が第一の押圧部に当接する。これによって、遠心荷重手段によって発生される荷重値が設定される。また、弾性荷重手段であるダイヤフラムスプリングは第一の押圧部材と第二の押圧部材との間で圧縮して配置される。また、第二の押圧部材に備え付けられた遠心機構部の作用によって遠心荷重を発生させることができる。
本発明に係るクラッチ機構にあっては、前記第一の押圧部材と前記ダイヤフラムスプリングとの間に遠心荷重伝達部材が配置され、前記第二の押圧部材の前記各遠心機構部の各作用部が前記遠心荷重伝達部材を介して前記第一の押圧部材を付勢可能にしてなるようにするのが好ましい。
また、本発明に係るクラッチ機構にあっては、前記遠心荷重伝達部材は環状部と、当該環状部の外周縁から外側に向かって延びる複数のプレート部とを有し、前記プレート部が前記ダイヤフラムスプリングの前記各スリット部に対応する位置に配置されるようにするのが好ましい。
係る構成を備えることで、遠心機構部の作用部がプレート部を介して第一の押圧部材を付勢することができる。したがって、作用部のみによって直接第一の押圧部材を付勢するよりも第一の押圧部材に当接する面積が大きくなり、遠心荷重手段が効率良く第一の押圧部材を付勢することが可能となる。
本発明に係るクラッチ機構にあっては、前記第二の押圧部材における前記ダイヤフラムスプリングに対向する側面には隆起部が環状に形成され、前記隆起部が前記レバー部の前記自由端近傍に当接することによって前記ダイヤフラムスプリングが圧縮して配置されるようにするのが好ましい。
係る構成を備えることで、弾性荷重手段は第一の押圧部材の外周縁に設けられた突起部とダイヤフラムスプリングに形成された隆起部とによって固定され圧縮された状態となる。これによって、ダイヤフラムスプリングが第一の押圧部材を回転駆動力出力部側に付勢し、ダイヤフラムスプリングによって発生される荷重値が設定される。
本発明に係るクラッチ機構にあっては、前記隆起部の内径は、前記弾性荷重手段によって発生される荷重値が前記最大滑り限界値未満となるように決定されてなるようにするのが好ましい。
係る構成を備えることで、弾性荷重手段によって発生する荷重の低減は、隆起部の内径を小さくすることによって実現される。このように、極めて簡易な構造によって、ドライバーがクラッチレバーを操作するのに必要な力を低減できるクラッチ機構を得ることができる。
すなわち、本発明のクラッチ機構にあっては、回転駆動力出力部に対する押圧機構部の押圧力を必要な時にだけ必要な押圧力となるように可変とするのが好ましい。これによって、回転駆動力出力部に対する押圧機構部の押圧力を最大トルク発生時を基準として常に一定に設定した従来の自動二輪車と比較して、クラッチレバーを操作するのに必要な力を大幅に低減することが可能となる。
さらに本発明のクラッチ機構は、摩擦板を押圧することによって摩擦板にエンジンからの動力を伝達しまたは押圧を解除することによってエンジンからの動力を切断するクラッチ機構であって、前記摩擦板と圧着するプレッシャープレートと、前記プレッシャープレートに押し付け力を与えるダイヤフラムスプリングと、前記ダイヤフラムスプリングに所定の荷重を加えるリテーナとを備え、前記ダイヤフラムスプリングは前記プレッシャープレートと前記リテーナとの間に弾性的に支持されるとともに前記プレッシャープレートの移動によって弾性変形し、前記リテーナは環状部と、当該環状部の一側面に環状に形成された隆起部と、当該環状部を貫通し当該環状部に設けられた支持部に揺動自在に取り付けられた複数のL字型アームとを有し、前記隆起部が前記ダイヤフラムスプリングを押圧する押圧力と前記ダイヤフラムスプリングが前記プレッシャープレートを押圧する押圧力とが重畳されて生じるダイヤフラム荷重と、前記L字型アームがエンジン回転数の上昇に伴って増加する荷重で前記プレッシャープレートを押圧する遠心荷重とによって前記摩擦板に対する前記プレッシャープレートの圧着力を設定することを特徴とする。
前記ダイヤフラムスプリングは環状部と、当該環状部の内周から円中心方向へ先細に延びる複数のレバー部と、中心部の開口部から放射状に延びる複数のスリット部とを有し、前記L字型アームは前記支持部を介する両側の一側に設けられた作用部と、他側に備え付けられた質量体とを有し、前記ダイヤフラム荷重は前記隆起部が前記ダイヤフラムスプリングのレバー部を押圧し前記レバー部がプレッシャープレートを押圧することによって発生し、前記遠心荷重はエンジン回転数の上昇に伴って前記質量体に作用する遠心力によって前記L字型アームの前記作用部が前記スリット部を挿通して前記プレッシャープレートを押圧することによって発生するようにするのが好ましい。
また本発明のクラッチ機構にあっては、リング状の板部とそのリング状の板部の外周部分から外側に向かって延びるプレート部を備えるベースプレートを有し、前記ベースプレートは前記プレート部が前記ダイヤフラムスプリングのスリット部に対応するように配置され、前記遠心荷重は前記L字型アームの前記作用部が前記プレート部を介して前記プレッシャープレートを押圧することによって発生するようにするのが好ましい。
前記ダイヤフラム荷重は最大トルク値から算出される摩擦板とプレッシャープレートとの滑り限界値未満とされるのが好ましい。
前記ダイヤフラム荷重が最大トルク値から算出される摩擦板とプレッシャープレートとの滑り限界値未満となるように前記隆起部の内径が決定されるのが好ましい。
前記ダイヤフラム荷重と前記遠心荷重との合計荷重が最大トルク発生時のエンジン回転数にて滑り限界値を超える値となるようにエンジン回転数に対して可変に設定されてなるのが好ましい。
また本発明のクラッチ機構にあっては、リテーナの環状部が高剛性軽量材の環状部本体とこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなる高剛性材料部分とを接合して構成され、高剛性材料部分に隆起部が形成されるのが好ましい。
また本発明のクラッチ機構にあっては、リテーナの環状部が高剛性軽量材の環状部本体にこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなるリベットを埋め込んでなり、ダイヤフラムスプリングのレバー部にリベットの端面が当接するようにリテーナが配置されてなるのが好ましい。
本発明のクラッチ機構に用いられるリテーナは、環状部が高剛性軽量材の環状部本体とこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなる高剛性材料部分とを接合して構成され、高剛性材料部分に隆起部が形成されるのが好ましい。
また本発明のクラッチ機構に用いられるリテーナは、環状部が高剛性軽量材の環状部本体にこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなるリベットを埋め込んでなり、ダイヤフラムスプリングのレバー部にリベットの端面が当接するように配置されるのが好ましい。
本発明に係るクラッチ機構体を自動二輪車に採用することによって、摩擦板に対するクラッチ押圧機構部の押圧力を確保した上で、体力の如何に拘わらず多くの人が自動二輪車の運転を楽しむことが可能となる。
また本発明のクラッチ機構体に用いられるリテーナによれば、ダイヤフラムスプリングのレバー部にリベットの端面が当接するように配置されるリテーナが回転駆動力出力部に対する押圧機構部の押圧力がそれほど必要のないエンジン回転数の低い状態では、その押圧力を低減させ、押圧力が必要になるエンジン回転数の高い状態にて、回転駆動力入力部の回転数の上昇に伴って押圧力が補われる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1であるクラッチ機構体100の平面図であり、図1(b)は図1(a)のI(b)−I(b)断面図である。
図1(b)において、A−Aがクラッチ機構体100の回転軸線である。このクラッチ機構体100は、トランスミッション入力軸7の先端に装着されており、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトルクが伝達される入力部8と、トランスミッション入力軸7に固定された出力部部材であるインナーハブ5と、入力部8とインナーハブ5との間に配置されたクラッチ本体101と、クラッチ本体101を圧接するためのクラッチ押圧機構部102とから構成されている。
このクラッチ機構体100は、回転駆動力入力系を構成するエンジン側のクランクシャフトからトルクが伝達される入力部8を介して入力される回転駆動力を回転駆動力出力系を構成するトランスミッション入力軸7に固定された出力部部材であるインナーハブ5に伝達すると共にその伝達の解除を行う。ここで本発明において回転駆動力入力系とは、エンジンおよびエンジンに駆動連結されてエンジンの回転駆動力をクラッチ機構体100に伝達する周知の一連の機構部分から構成される。また回転駆動力出力系とは、エンジンの駆動力をクラッチ機構体100を介して入力して駆動輪の駆動として出力する周知の一連の機構部分から構成される。
クラッチ本体101は図1(b)、図2及び図3に示すようにクラッチアウターケース9の円筒部91とインナーハブ5の円筒部51との間の環状の空間内に配置される。このクラッチ本体101は、複数の摩擦板1と同じく複数のクラッチプレート10とから構成されている。
図4に示されるように摩擦板1の外周にはスプライン歯11が形成されており、このスプライン歯11がクラッチアウターケース9のスプライン溝92に噛み合っている。このようにして、摩擦板1はクラッチアウターケース9に対して円周方向には相対回転不能に固定され、軸方向には移動自在となっている。一方、図5に示されるように摩擦板1の間にそれぞれ配置される各クラッチプレート10の内周側には複数のスプライン歯10aが形成されている。このスプライン歯10aは、インナーハブ5の円筒部51に形成されたスプライン溝52に噛み合っている。これにより、クラッチプレート10は、インナーハブ5に対して相対回転不能に固定され、軸方向に移動自在となっている。
クラッチ押圧機構部102は、第一の押圧部材としてのプレッシャープレート2と定荷重手段であるところの弾性荷重手段としてのダイヤフラムスプリング3及び第二の押圧部材としてのリテーナ4とをクラッチ機構体100の回転軸線A−Aに対し同軸上に配置してなる。プレッシャープレート2は解除手段としてのアジャスタースクリュー6に相対回転不能にかつ軸方向に相対移動不能に固定して取り付けられて摩擦板1に対向して配置され摩擦板1を直接押圧する。一方、リテーナ4は円環状であり、インナーハブ5の突出部53に設けられたボルト締結部であるボルト穴54にボルト(図示せず)によって固定されている。また、ダイヤフラムスプリング3はプレッシャープレート2とリテーナ4との間に圧縮して配置され、プレッシャープレート2を摩擦板1側に付勢する。
アジャスタースクリュー6は、ドライバーが手動操作するクラッチレバー(図示せず)によって作動される。ドライバーがクラッチレバーを操作することによって、クラッチ機構体100の回転軸線A−A方向、すなわちアジャスタースクリュー6の軸と平行な方向にプレッシャープレート2はダイヤフラムスプリング3の弾性力に抗して移動する。これによって、摩擦板1とクラッチプレート10相互を当接させる押圧力が解除される。
図6(a)はプレッシャープレート2の平面図であり、図6(b)はプレッシャープレート2の背面図である。
プレッシャープレート2は、環状の部材であり、インナーハブ5に形成されたボルト締結部である突出部53と対応する位置に六角形の各頂点に位置する態様で6個の貫通孔部22を有する。またその中央にはアジャスタースクリュー6の外径に比して大なる内径を有する開口部23を有する。さらにこのプレッシャープレート2の一側面には図6(a)に示されるように外周縁に沿って環状縁部21が形成されている。またその他側面には図6(b)に示されるように外周に環状縁部21よりも幅広の突出部の態様で押圧部24が形成されている。さらに6個の貫通孔部22の外側方であって押圧部24の内側方には円環状の突起25が設けられる。この円環状突起25には押圧部24側に突出する態様で径方向外側に突出するスプライン歯26が形成されている。このスプライン歯26は各貫通孔部22が位置する六角形の各頂点に相当する位置において円環状突起25から押圧部24側に突出する態様で形成されている。
このプレッシャープレート2は開口部23に取り付けられる連結部材27を介してアジャスタースクリュー6に取り付けられる。連結部材27はその中央部に六角平面形状のアジャスタスクリュー挿通部28を備え、アジャスタスクリュー6先端部がこの挿通部28に挿通されて、この挿通部28において連結部材27がアジャスタスクリュー6先端部に一体に形成された六角断面部分61に固定される。
一方、連結部材27はプレッシャープレート2の開口部23においてプレッシャープレート2の内側縁にスナップリング(図示せず)によって固定され、これによって連結部材27を介してアジャスタスクリュー6とプレッシャープレート2とが、相互にA-A方向に移動不可に固定される
同時にその連結部材27の外縁に設けられたフック部29がプレッシャープレート2の開口部23内縁に設けられた切り欠き部29aに嵌合して、プレッシャープレート2に対して固定され、これによって連結部材27を介してアジャスタースクリュー6とプレッシャープレート2とが相互にA−A方向を軸とする回転方向に固定される。
以上の様にプレッシャープレート2を連結部材27を介してアジャスタスクリュー6に取り付ける結果、プレッシャープレート2とアジャスタスクリュー6とは、相互に相対回転不能にかつ軸方向に相対移動不能に固定して取り付けられる。
図7(a)はリテーナ4の平面図、図7(b)はリテーナ4の背面図、図7(c)はリテーナ4の側面図、図7(d)はリテーナ4においてL字型アームが揺動する状態を表す側面図である。
リテーナ4は、環状部41を有する環状の部材であり、環状部41に環状に配列された複数の支持部48と、各支持部48に支持された遠心機構部49とを遠心荷重手段(可変荷重手段)として有する。
環状部41の一側面42には環状部41の外周縁より内側位置にボルト挿入穴47及び支持部48を間欠部分とする環状位置に配列する態様で複数の隆起部43が形成される。
また各遠心機構部49間の領域には、プレッシャープレート2の6個の貫通孔部22に連通し、インナーハブ5に形成された突出部53と対応する位置に六角形の各頂点に位置する態様で、インナーハブ5の突出部53に設けられたボルト穴54に締結されるボルト(図示せず)が挿通されるボルト挿入穴47が形成されている。
この各ボルト挿入穴47とプレッシャープレート2の各貫通孔部22に挿通されたインナーハブ5の各突出部53に設けられた各ボルト穴54とにボルトを挿通して締結することによってリテーナ4はインナーハブ5に固定される。
以上の結果、リテーナ4とインナーハブ5とは相互に相対回転不能にかつ軸方向に相対移動不能に連結される。
また、遠心機構部49は、図7(d)に示すように支持部48にて支持されて揺動する揺動部材としてのL字型アーム44と、L字型アーム44の一端部に固定される円筒状のおもりである質量体46と、L字型アーム44の他端部に形成された作用部45とよりなる。作用部45は環状部41の側面42側においてL字型アーム44端部に形成され、一方質量体46は環状部41の側面42とは反対側の側面43側においてL字型アーム44端部に固定される。なお作用部45の端面は滑らかな端面とされる。
以上の遠心機構部49は、環状部41の円周方向に等間隔に配置されておりこれによって円周方向に均一な可変の押圧荷重を発生させることができる。
図8はダイヤフラムスプリング3の平面図であり、図9は図8のIX−IX断面図である。
ダイヤフラムスプリング3は、環状部31と環状部31の内周から円中心方向へ先細に延びスプリング機能を有する複数のレバー部32とを有する。レバー部32は円周方向に等間隔に設けられ、先端は自由端32aとなっている。また、レバー部32の先端自由端32aの内側方のダイヤフラムスプリング3中心部には開口部33が形成される。さらにレバー部32が円周方向に等間隔に設けられる結果、各レバー部32間にはレバー部32を介して等間隔にスリット部34が開口部33から外側に放射状に延びる態様で形成される。ダイヤフラムスプリング3は図9に示す断面図からわかる様にダイヤフラムスプリング3の外周縁35を円周として開口部33を頂部として湾曲したお椀状の形状とされ、それによって、このダイヤフラムスプリング3によって適宜設定される弾性加重が発生される。
以上のように構成されたクラッチ押圧機構部102のプレッシャープレート2、ダイヤフラムスプリング3及びリテーナ4はクラッチ機構体100の回転軸線A−Aを軸として次のように配置される。
前述したようにダイヤフラムスプリング3はプレッシャープレート2とリテーナ4との間に圧縮して配置され、その配置に際しては、図1(b)の断面図に示されるように、開口部33を頂部として湾曲したお椀の凹部側をプレッシャープレート2側として配置される。そのようにリテーナ4との間にダイヤフラムスプリング3を圧縮して配置した状態でプレッシャープレート2は環状縁部21が形成された一の面においてダイヤフラムスプリング3に対向し、一方、押圧部24、円環状突起25及びスプライン歯26が形成された他側面において摩擦板1に対向する様に配置される。そのように配置された状態で押圧部24は摩擦板1を押圧する位置に摩擦板1に対向して位置し、同時にインナーハブ5の外郭内側に形成される溝55に勘合可能にスプライン歯26が位置する。
また、そのように配置された状態で、プレッシャープレート2の6個の貫通孔部22にインナーハブ5の突出部53が挿通されて、プレッシャープレート2とインナーハブ5とは相互に相対回転不能にかつ軸方向に相対移動可能に組み付けられる。それと共にダイヤフラムスプリング3によってプレッシャープレート2は摩擦板1側に付勢される。
以上のようにダイヤフラムスプリング3とプレッシャープレート2とが配置される結果、ダイヤフラムスプリング3に負荷がかかっていない状態では、ダイヤフラムスプリング3とプレッシャープレート2とはダイヤフラムスプリング3の外周縁35とプレッシャープレート2の環状縁部21のみが接触した状態とされ、ダイヤフラムスプリング3の外周縁35は、プレッシャープレート2の環状縁部21に支持される。
一方、リテーナ4は、図10に示される様に、遠心機構部49のL字型アーム44およびボルト挿入穴47がダイヤフラムスプリング3のスリット部34に対向して位置するように交互に等間隔に位置し、それと同時に図1(b)に示すようにダイヤフラムスプリング3のレバー部32に隆起部43が当接するように配置される。これによって、L字型アーム44の作用部45は、ダイヤフラムスプリング3のスリット部34を挿通してそのその滑らかに形成された端面において、プレッシャープレート2に当接する。
また、そのように配置されてリテーナ4がインナーハブ5にボルトによって固定されることによって、ダイヤフラムスプリング3はリテーナ4とプレッシャープレート2との間に圧縮して配置される。その結果、ダイヤフラムスプリング3のレバー部32は、弾性変形した状態となり、その様に弾性変形した状態でレバー部32がリテーナ4の隆起部43に支持される。これにより、ダイヤフラムスプリング3の外周縁35を支持する環状縁部21を介してプレッシャープレート2に弾性的な定荷重が加えられ、係る弾性的な定荷重によってプレッシャープレート2は摩擦板1に付勢される。
なお、プレッシャープレート2に形成された複数のスプライン歯26は、プレッシャープレート2による摩擦板1の押圧時には、インナーハブ5に形成された溝55に嵌合し、その結果、プレッシャープレート2、ダイヤフラムスプリング3、およびリテーナ4は、インナーハブ5とともに一体となって回転し、インナーハブ5に対して相対回転不能とされる。
以上のように、この実施の形態では押圧機構部が回転駆動力出力部と回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を発生する定荷重手段はダイヤフラムスプリング3によって構成される。
本発明のクラッチ機構体においては、定荷重と可変荷重の合計が滑り限界値を超える値であり、定荷重は、最大滑り限界値未満とされる。すなわち本発明のクラッチ機構体にあっては定荷重と可変荷重の合計で滑り限界値を超える値として滑りを防止できるので、定荷重は、最大滑り限界値未満とすることができ、クラッチレバーを握る負担が軽減される。
具体的にはプレッシャープレート2が摩擦板1を押圧する定荷重は最大滑り限界値すなわち、回転駆動力入力系から回転駆動力出力系に伝達される回転駆動力が最大時における滑り限界値の60%以上98%以下とするのが好ましい。さらには最大滑り限界値の65%以上95%以下とするのが好ましく、もっとも好ましくは70%以上90%以下とするのが良い。
定荷重が最大滑り限界値の60%未満である場合には可変荷重によって滑り限界値を超える値の合計押圧荷重とするための依存範囲が過大となり可変荷重の設定が困難となる。また定荷重が最大滑り限界値の98%を超える場合にはクラッチレバー操作性の向上がほとんど見られない。
定荷重が最大滑り限界値の65%未満である場合には可変荷重によって滑り限界値を超える値の合計押圧荷重とするための依存範囲が大きく可変荷重の設定が簡易ではない。また定荷重が最大滑り限界値の95%を超える場合にはクラッチレバー操作性の向上が認められるとしても不十分である。
定荷重が最大滑り限界値の70%未満である場合には可変荷重によって滑り限界値を超える値の合計押圧荷重とするための依存範囲が小さくなく可変荷重の設定精度が厳しくなる。また定荷重が最大滑り限界値の90%を超える場合にはクラッチレバー操作性の向上が不十分ではないとしても充分に快適なクラッチレバー操作性を得ることができない。
また本発明のクラッチ機構体においては、プレッシャープレート2が摩擦板1を押圧する可変荷重は、次のように設定される。
すなわち回転駆動力入力系から回転駆動力出力系に伝達される回転駆動力が最大時におけるエンジン回転数の時の可変荷重値と定荷重値との加算値をWとしてWが下式Iを充足するように、可変荷重は設定される。
1.01≦W/最大滑り限界値≦1.10……I
この場合に、W/最大滑り限界値が1.01未満になると、滑りを確実に防止するための安全率が必ずしも充分ではない。一方、W/最大滑り限界値が1.10を越える場合にはクラッチ操作の快適性が損なわれる。
また本発明のクラッチ機構体においては、プレッシャープレート2が摩擦板1を押圧する可変荷重は、エンジン回転数が1000rpm〜5000rpmにおいて0.0045≦可変荷重/エンジン回転数(lb/rpm)≦0.025に設定される。
この場合に、可変荷重/エンジン回転数値が0.0045未満になると、滑りを確実に防止するための安全率が必ずしも充分ではない。一方、可変荷重/エンジン回転数値が0.025を越える場合にはクラッチ操作の快適性が損なわれる。
また本発明のクラッチ機構体においては、リテーナ4の遠心機構部49のL字型アーム44及び作用部45には例えばアルミ合金等の高剛性軽量材を適用するのが好ましい。一方質量体46には特には高い剛性は必要はなく、むしろ真鍮等の比重の大きな材料とするのが好ましい。
そのようにすることによって遠心機構部49の遠心力の発生効率が向上し、エンジン回転数に応じて的確に遠心力に起因する押圧荷重を発生させることができる。
なお、質量体46の形状および取り付け方は本実施の形態の態様に限定されるものではなく、質量体46が遠心力を受けL字型アーム44が揺動する構造であればよい。
図1(b)および図11を参照して、実施の形態1におけるクラッチ機構体100の動作について説明する。図11は、図1(a)のXI−XI断面図であり、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体100においてプレッシャープレート2に可変荷重が作用している状態を表す図である。
エンジンのクランクシャフト(図示せず)からのトルクは、クラッチアウターケース9に伝達される。クラッチアウターケース9に伝達されたトルクは、互いに圧接している摩擦板1及びクラッチプレート10を介してインナーハブ5に伝達され、さらにトランスミッション入力軸7に出力される。
ドライバーがクラッチレバーを握るとクラッチレバーに連結されたアジャスタースクリュー6はリテーナ4側へ移動し、それによってプレッシャープレート2が摩擦板1から離れる方向へ移動する。これによって、プレッシャープレート2の摩擦板1に対する押圧力が解除されるため、摩擦板1とクラッチプレート10との圧着が解除され、「クラッチの切断」が行われる。
この時、プレッシャープレート2は、ダイヤフラムスプリング3によって摩擦板1側に付勢されているため、プレッシャープレート2を摩擦板1から離れる方向に移動させるためには、ドライバーはダイヤフラムスプリング3のスプリング荷重を凌ぐ力でクラッチレバーを握らなければならない。すなわち、「クラッチの切断」を行うには、ドライバーは弾性荷重手段の弾性荷重に打ち勝つ力でクラッチレバーを握らなければならない。
ここで、図1(b)に示すように、ダイヤフラムスプリング3は、一側であるプレッシャープレート2側では、外周縁35がプレッシャープレート2の外周縁に設けられた環状縁部21によって支持される。また、他側であるリテーナ4側では、レバー部32がリテーナ4の隆起部43によって支持されてプレッシャープレート2とリテーナ4との間に配置されている。
したがって、「クラッチの切断」を行うには、リテーナ4の隆起部43によるダイヤフラムスプリング3のレバー部32の押さえ位置を支点とし、ダイヤフラムスプリング3の外周縁35を力点として、湾曲しているダイヤフラムスプリング3を平板状にするようにレバー部32をさらに圧縮弾性変形させなければならない。
このように、「クラッチの切断」を行うには、ダイヤフラムスプリング3のレバー部32の剛性に打ち勝つ力でプレッシャープレート2を移動させなければならない。つまり、ドライバーはダイヤフラムスプリング3のレバー部32を弾性変形させる力でクラッチレバーを握らなければならない。
なお、これに対して、入力系を介して入力される回転駆動力の出力系への伝達、すなわちいわゆる「クラッチの接続」は、ドライバーが握ったクラッチレバーを開放することによって行われる。つまり、ドライバーがクラッチレバーを開放することによって、アジャスタースクリュー6からプレッシャープレート2への拘束が解除される。これによって、プレッシャープレート2とリテーナ4との間で圧縮弾性変形されていた弾性荷重手段によってプレッシャープレート2が摩擦板1側へ付勢されることによって「クラッチの接続」が行われる。
ここで、リテーナ4の隆起部43によるダイヤフラムスプリング3の押さえ付け位置(支点)がレバー部32の根元に近い位置である場合、つまり複数の隆起部43が成す環の内径(以下、「隆起部43の内径」と略称する)が大きい場合、支点とダイヤフラムスプリング3の外周縁35である力点との距離が短くなる。したがって、この場合ダイヤフラムスプリング3のレバー部32を弾性変形させるための必要荷重は大きくなり、「クラッチの切断」を行うにはドライバーはクラッチレバーをより強い力で握らなければならない。
このことから、クラッチレバーを操作するのに必要な力を低減させるために、ダイヤフラムスプリング3のレバー部32の弾性荷重を低減させるには、支点と力点の距離を長くすることが有効であり、これはリテーナ4の隆起部43によるダイヤフラムスプリング3の押さえ付け位置をレバー部32の先端側に変更することによって可能となる。すなわち、リテーナ4の隆起部43の内径を小さくすることが有効となる。
リテーナ4の隆起部43の内径が小さくなれば、プレッシャープレート2を移動させダイヤフラムスプリング3のレバー部32を弾性変形させるための必要荷重は低減され、ドライバーがクラッチレバーを握る力も低減される。
このように、リテーナ4の隆起部43の内径を小さくすると、クラッチレバーを操作するのに必要な力を低減できるのに対して、摩擦板1とクラッチプレート10との圧着力は減少してしまう。これは、リテーナ4の隆起部43がダイヤフラムスプリング3を押さえ付ける位置である支点と力点との距離が大きくなることになり、ダイヤフラムスプリング3のプレッシャープレート2を摩擦板1側に付勢する力、つまり弾性荷重が減少するためである。
そこで、弾性荷重が減少した分を補う構造として、図11に示すリテーナ4に取り付けられた遠心機構部49が機能する。
上述したように、入力系を介して入力される回転駆動力が出力系へ伝達された場合、すなわち「クラッチの接続」状態では、出力系の回転とともにリテーナ4も回転する。
このように、リテーナ4が回転することによってL字型アーム44に取り付けられた質量体46には、リテーナ4の外側に向かう遠心力が作用する。この遠心力によって質量体46はリテーナ4の中心から離れる方向に移動し、L字型アーム44は支持部48を中心として揺動する。そして、L字型アーム44の作用部45がダイヤフラムスプリング3のスリット部34を挿通してプレッシャープレート2に当接する。
したがって、出力系の回転数が上昇すれば、それに連結されたリテーナ4の回転数も上昇し、質量体46にはリテーナ4の外側に向かう遠心力が増大する。これにより、L字型アーム44の作用部45がプレッシャープレート2を付勢する力が増大する。このプレッシャープレート2を付勢する力が可変に設定される遠心荷重である。
このように、出力系の回転数上昇に伴い質量体46に加わる遠心力の増大を利用することによって、弾性荷重の低減を遠心力によって生じる付勢荷重として補うことができ、摩擦板1とクラッチプレート10との滑りを防止する圧着力を確保することができる。
以上のように、クラッチ機構体100によれば、ダイヤフラムスプリング3の弾性荷重の低減は、リテーナ4の隆起部の内径を小さくすることによって実現され、極めて簡易な構造によって、ドライバーがクラッチレバーを操作するのに必要な力を低減したクラッチ機構体を得ることができる。さらに、弾性荷重の低減を遠心荷重によって補うことができるため、エンジン回転数が高い状態においても摩擦板1とクラッチプレート10との間の必要圧着力を確保することが可能となる。
また、本発明に係るクラッチ機構体を採用した自動二輪車を運転する場合において、ギアチェンジを行う際の「クラッチの切断」後にドライバーがクラッチレバーを握って維持する力はさほど大きいものとはならない。これについて、図7のリテーナ4の側面図を参照して説明する。
図7(d)は、「クラッチの接続」状態、つまりドライバーがクラッチレバーを握っていない時のリテーナ4の状態を表す側面図であり、図7(c)は、「クラッチの切断」状態、つまりドライバーがクラッチレバーを握っている時のリテーナ4の状態を表す側面図である。
まず、「クラッチの接続」状態では、図7(d)に示すようにL字型アーム44の質量体46には、リテーナ4の回転によってリテーナ4の外側に向かう遠心力が作用しているため、作用部45はプレッシャープレート2に当接した状態となっている。
次に、ドライバーがクラッチレバーを握った「クラッチの切断」状態、つまりプレッシャープレートがダイヤフラムスプリング側に移動し、ダイヤフラムスプリングがリテーナ4側に圧縮された状態では、リテーナ4に備え付けられたL字型アーム44はプレッシャープレート2から逆に押される状態となる。このとき、L字型アーム44は図7(c)に示すように、支持部48を中心として質量体46がリテーナ4の中心に向かって移動するように揺動する。このように、「クラッチの切断」状態では、質量体46は図7(d)の「クラッチの接続」状態と比較して、リテーナ4中心側に位置するため、慣性に起因するリテーナ4の回転によって質量体46に作用する遠心力は小さくなる。
以上のように、本発明のクラッチ機構体においては、エンジン回転数がある一定の領域より高くなると、遠心荷重の増加によってクラッチレバー操作必要荷重は大きくなる。しかし、一旦クラッチレバーを握ってしまえば、遠心荷重が小さくなるように作用するため、クラッチレバーを握った後に維持する力はそれほど大きいものとはならない。
また、自動二輪車が停止する過程では、出力系の回転数の低下に伴って、リテーナ4の回転数も低下し遠心荷重が低下する。そして、自動二輪車が完全に停止した状態では、遠心荷重は作用せず弾性荷重のみが作用した状態となる。
したがって、次の発進までにクラッチレバーを握って維持する力は、従来と比較して格段に低減される。
以上にて説明したように、本発明に係るクラッチ機構体によれば、クラッチ押圧機構部が摩擦板を押圧する力を維持しつつ、つまり摩擦板とクラッチプレートとの圧着力を確保した上で、体力の如何に拘わらず多くの人が自動二輪車の運転を楽しむことが可能となる。
(実施の形態2)
図12(a)は、本発明の実施の形態2であるクラッチ機構体200の断面図であり、図12(b)は、ベースプレート201の平面図である。
実施の形態1の構造は、リテーナ4のL字型アーム44の作用部45が、プレッシャープレート2に対して直接当接して荷重を加えるものである。これに対して、クラッチ機構体200は、図12(a)に示すようにL字型アーム44の作用部45とプレッシャープレート2との間に図12(b)に示すような遠心荷重伝達部材としてのベースプレート201を装着させる構造のものである。その他の構造については実施の形態1と同様である。
ベースプレート201は、環状部202とその環状部202の外周縁から外側に向かって延びるプレート部203とを有する。
プレート部203はダイヤフラムスプリング3のスリット部34のうちL字型アーム44に対応するスリット部34に配置され、かつスリット部34とほぼ同じ形状である。
このベースプレート201を設けることによって、L字型アーム44の作用部45がプレート部203を介してプレッシャープレート2を付勢することができる。これによって、プレッシャープレート2が遠心荷重を受ける面積は、L字型アーム44の作用部45のみでプレッシャープレート2を付勢するよりも大きくなる。
したがって、L字型アーム44の揺動によって発生する遠心荷重が効率良くプレッシャープレート2に伝わることとなる。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3であるクラッチ機構体300の断面図である。
上記で説明したように、実施の形態1におけるクラッチ機構体100および実施の形態2におけるクラッチ機構体200は、ともに弾性荷重手段としてダイヤフラムスプリングを使用する構造のものである。これに対して実施の形態3におけるクラッチ機構体300は、弾性荷重手段としてコイルスプリング301を使用するものである。その他の構成については、クラッチ機構体100と同様である。
リテーナ4は、ボルト302によってインナーハブ5に固定されており、コイルスプリング301は、そのボルト302を囲むように配置されている。リテーナ4の固定によってコイルスプリング301は、リテーナ4から荷重を受けている。そして、コイルスプリング301は、スプリングカップ303を介してプレッシャープレート2に対して押し付け力を与えている。つまり、コイルスプリング301は、リテーナ4とプレッシャープレート2との間で圧縮して配置される。
クラッチ機構体300における弾性荷重手段によって発生する荷重値は、コイルスプリング301が、プレッシャープレート2を摩擦板1側に付勢することによって設定される。
したがって、この実施の形態では押圧機構部が回転駆動力出力部と回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を発生する定荷重手段はコイルスプリング301によって構成される。
また、遠心荷重手段によって発生する荷重値は、出力系の回転によるリテーナ4の回転によって質量体46のリテーナ4の外側に向かう遠心力によって設定される。つまり、質量体46に作用する遠心力によってL字型アーム44の作用部45がプレッシャープレート2を付勢することによって設定される。
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4のクラッチ機構体につき説明する。この実施の形態4のクラッチ機構体は他は実施の形態1と同様であり、リテーナ4が固有の特徴を有してなる。
図14は本発明の実施の形態4のクラッチ機構体に用いられるリテーナ4の斜視図、図15はリテーナ4の平面図、図16はリテーナ4の背面図、図17はリテーナ4の側面図、図18はリテーナ4においてL字型アームが揺動する状態を表す側面図である。
この実施の形態4のクラッチ機構体におけるリテーナ4にあっては、環状部41は環状部41aと環状部41bとが接合されて構成される。
環状部41aはその素材がアルミ合金等の高剛性軽量材であって、一方環状部41bにはステンレススティール等の鉄基高剛性材料が適用される。
以上の環状部41aと環状部41bとはその相互がリベット50、・・・によって接合されて環状部41が構成される。
この実施の形態4のクラッチ機構体にあってはこのステンレススティール等の鉄基高剛性材料が適用されてなる環状部41bに複数の支持部48が環状に配列され、各支持部48に遠心機構部49が支持される。またこの環状部41bがダイヤフラムスプリング3に対向する側面42を有し、その側面42に複数の隆起部43が環状に配列する態様で形成される。
この実施の形態4のクラッチ機構体にあってもリテーナ4は、図1(b)に示すようにダイヤフラムスプリング3のレバー部32に隆起部43が当接するように配置される。
また、この実施の形態4のクラッチ機構体にあっても、リテーナ4がボルトによってインナーハブ5のボルト穴に固定されることによって、ダイヤフラムスプリング3はリテーナ4とプレッシャープレート2の間に圧縮して配置される。つまり、ダイヤフラムスプリング3のレバー部32は、弾性変形した状態となり、その様に弾性変形した状態でレバー部32がリテーナ4の隆起部43に支持される。その結果、ダイヤフラムスプリング3の外周縁35を支持する環状縁部21を介してプレッシャープレート2に弾性的な定荷重が加えられる。係る弾性的な定荷重によってプレッシャープレート2は摩擦板1を付勢する。
その状態で環状部41b及びこれと一体な隆起部43はステンレススティールであることから、耐摩耗性が高く、ダイヤフラムスプリング3のレバー部32が弾性変形した状態で当接して配置されても、隆起部43の摩耗によってダイヤフラムスプリング3による弾性荷重が変化することなく、したがってクラッチレバー操作必要荷重が経時的に変化することはない。
また、それと同時に環状部41aはその素材がアルミ合金等の高剛性軽量材であるためリテーナ4全体は軽量に構成することができる。
(実施の形態5)
次に本発明の実施の形態5のクラッチ機構体につき説明する。この実施の形態5のクラッチ機構体においてもリテーナ4が固有の特徴を有し、その他は実施の形態1と同様に構成されてなる。
図19は本発明の実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナ4の斜視図、図20は実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナ4の平面図、図21(a)は実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナの背面図、図21(b)は図21(a)b−b断面図、図22は実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナ4の側面図、図23は実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナ4においてL字型アームが揺動する状態を表す側面図である。
この実施の形態5のクラッチ機構体におけるリテーナ4にあっては、環状部41はその素材がアルミ合金等の高剛性軽量材であって、環状部41に複数の支持部48が環状に配列され、各支持部48に遠心機構部49が支持される。またこの環状部41がダイヤフラムスプリング3に対向する側面42を有し、その側面42の各支持部48の両側にステンレススティール製のリベット50a、50bが埋め込まれ、そのリベット50a、50bのダイヤフラムスプリング3が配置される側の端面が側面42とほぼ面一に露出される。
したがってこの実施の形態5では以上の各実施の形態とは異なり、環状部41がダイヤフラムスプリング3に対向する側面42には例えば図15に示される実施の形態4のクラッチ機構体に用いられるリテーナ4における隆起部43は特には形成されず、この実施の形態5のクラッチ機構体にあってはリテーナ4は、ダイヤフラムスプリング3のレバー部32にリベット50a、50bの端面が当接するように配置される。
この実施の形態5のクラッチ機構体にあっても、リテーナ4がボルトによってインナーハブ5のボルト穴に固定されることによって、ダイヤフラムスプリング3はリテーナ4とプレッシャープレート2の間に圧縮して配置される。
しかしこの実施の形態5のクラッチ機構体にあっては環状部41は実質的にその全体の素材がアルミ合金等の高剛性軽量材であるためリテーナ4全体を大変に軽量に構成することができる。しかもダイヤフラムスプリング3のレバー部32にその端面が当接するリベット50a、50bはステンレススティール製であることから、耐摩耗性が高く、リベット50a、50bの摩耗によってダイヤフラムスプリングによる弾性荷重が変化する様なことはなく、したがってクラッチレバー操作必要荷重が経時的に変化することはない。
なお、以上の実施の形態4及び実施の形態5のクラッチ機構体では図14、図15若しくは図19、図20に示されるように、各支持部48に支持される遠心機構部49は2個の質量体46を有して構成される遠心機構部49aと1個の質量体46を有して構成される遠心機構部49bが交互に配置されてなる。
このように各支持部48に支持される遠心機構部49の質量体46の数を適宜設定することによって、発生される遠心力を調整することができる。しかも、各支持部48に支持される遠心機構部49はリテーナ4上に六角形の頂点に位置する位置関係で設けられるので、2個の質量体46を有して構成される遠心機構部49aと1個の質量体46を有して構成される遠心機構部49bとを交互に配置することができ、リテーナ4全体として偏りのない可変荷重が発生されるように構成することができる。
さらにまた、以上の各実施の形態のクラッチ機構体に関し、実施の形態1におけるクラッチ機構体は、弾性荷重手段としてダイヤフラムスプリングを使用したものであり、実施の形態3におけるクラッチ機構体は弾性荷重手段としてコイルスプリングを使用したものである。
ここで、図24のクラッチレバー操作荷重−クラッチレバー移動量曲線を用いてダイヤフラムスプリングとコイルスプリングとの特性の違いについて説明する。図24の横軸はクラッチレバー移動量を示し、縦軸はクラッチレバー操作荷重を示す。
コイルスプリングを使用する場合には、クラッチレバーの移動量すなわちドライバーがクラッチレバーを握る量に比例してコイルスプリングは圧縮される。したがって、図24に示すように、ドライバーがクラッチレバーを深く握るほどクラッチレバーを握る力、すなわち「クラッチレバー操作荷重」は増加し、クラッチレバーを限界まで握った状態でそれを維持するには大きな力を必要とする。
これに対して、ダイヤフラムスプリングを使用する場合について説明する。クラッチレバーの握り始めの段階、すなわち湾曲したダイヤフラムスプリングが弾性変形している過程では、図24に示すようにドライバーがクラッチレバーを握る力はコイルスプリングを使用した場合とほぼ同じである。しかし、ドライバーが、クラッチレバーを限界まで握りダイヤフラムスプリングが平板状に弾性変形した状態では、クラッチレバーを握って維持するための力は、コイルスプリングを使用する場合と比較して格段に小さい。
このように、ダイヤフラムスプリングはコイルスプリングと比較して、クラッチレバーの操作性において優れた特性を有する。
(実施例)
以下に、本発明実施の形態2のクラッチ機構体の実施例を従来のクラッチ機構体と比較して示す。なお、本実施例における自動二輪車は、ハーレーダビッドソン(登録商標)2004年式FLSTF/1455ccである。
本発明実施例のデータを表1に示す。
本実施例に係るクラッチ機構体は、出力系の回転数に関係なく一定の荷重でプレッシャープレートを摩擦板側に付勢する弾性荷重手段としてのダイヤフラムスプリングと、出力系の回転数上昇に伴って増加する荷重でプレッシャープレートを摩擦板側に付勢する遠心荷重手段とを有する。したがって、最大トルクが発生するエンジン回転数3000rpmにおいて、ダイヤフラムスプリングによる弾性荷重と遠心荷重との合計荷重が最大滑り限界値である246lb以上となるように、弾性荷重および遠心荷重をそれぞれ設定した。
具体的には弾性荷重を220lbに設定した。この220lbという数値は最大滑り限界値である246lbの、89%の荷重である。そして、その設定した弾性荷重である220lbとなるように、リテーナに形成された環状の隆起部の内径(以下、「リテーナリング直径」と称する。)を75mmに決定した。
また本実施例のクラッチ機構体においては、プレッシャープレート2が摩擦板1を付勢する可変荷重である遠心荷重が1000rpmで4.8lb、2000rpmで19.2lb、3000rpmで43.2lb、4000rpmで76.7lb、5000rpmで119.9lbとした。
これは最大滑り限界値が決定されるエンジン回転数が3000rpmであり、最大滑り限界値が246lbであることから、W/最大滑り限界値=(220+43.2)/246=1.070に設定したものである。
また同時にエンジン回転数が1000rpm〜5000rpmにおいて0.0048≦可変荷重/エンジン回転数(lb/rpm)≦0.024の設定とした。
以上の定荷重及び可変荷重の設定によって滑りを確実に防止するための安全率が得られかつ快適なクラッチ操作が達成できる。
クラッチ機構体はその揺動部材をアルミ合金とし、質量体を真鍮により製作した。
Figure 2007120765
(比較例)
表2に従来のクラッチ機構体におけるデータを示す。また、表1に示すデータと表2に示すデータとを比較したグラフを図25に示す。
ここに比較例として示す従来のクラッチ機構体は、プレッシャープレートと、ダイヤフラムスプリングと、リテーナとを備え、実施例とは異なりリテーナが遠心機構部を有さないものである。したがって、この比較例における従来のクラッチ機構体は、ダイヤフラムスプリングがエンジン回転数に関係なく一定の荷重でプレッシャープレートを押圧する弾性荷重のみを有するものである。
比較例のクラッチ機構体のリテーナリング直径は95mmである。この点を前述の実施例のクラッチ機構体と比較すると、実施例のクラッチ機構体ではリテーナの隆起部によるダイヤフラムスプリングのレバー部押さえ位置が比較例のクラッチ機構体と比較して20mm内側に変更されていることが分かる。
図26に示すダイヤフラムスプリング3おけるレバー部32に示した一点鎖線部Aが本実施例におけるリテーナ4の隆起部43によるダイヤフラムスプリング3のレバー部32の押さえ位置であり、点線部Bが比較例のクラッチ機構体におけるリテーナ4の隆起部43によるダイヤフラムスプリング3のレバー部32の押さえ位置である。
図26に示されるように、一点鎖線部Aは点線部Bよりもレバー部32の先端側に位置する。このように、リテーナの隆起部によるダイヤフラムスプリング3のレバー部32の押さえ位置がレバー部32の先端側になるように調整することによって、レバー部32はより弾性変形し易くなる。
また比較例のクラッチ機構体における弾性荷重はエンジンの回転数に関係なく300lbで一定である。このときのドライバーが実際にクラッチレバーを操作するのに必要な荷重(以下、「クラッチレバー操作必要荷重」と称する。)は、8.0kg一定である。
弾性荷重が300lbに設定される根拠は、本自動二輪車は最大トルクが11.0kg−m/3000rpmであり、この値から摩擦板とプレッシャープレートとの間に滑りが起こらないための必要最低限の荷重、すなわち最大滑り限界値は246lbと算出される。この最大滑り限界値246lbに余裕をもたせ弾性荷重が300lbに設定される。
このように比較例の自動二輪車におけるクラッチ機構体においては、最大トルク値から弾性荷重を決定し、エンジン回転数に関係なく一定に設定されていたため、最大トルクが発生していない領域、特にエンジン回転数の低い領域では、必要以上の弾性荷重となる。このような事情から、エンジントルクの大きい比較例の自動二輪車では、クラッチレバー操作必要荷重が大きくなっていた。
Figure 2007120765
ここで、表1および図25から、実施例のクラッチ機構体では、定荷重と可変荷重との合計荷重は、
(1) エンジン回転数の全回転数域で滑り限界値を超えている。
(2) 2000rpm以下では最大滑り限界値未満であり、最大トルクが発生する3000rpm以降にて遠心荷重の増加によって最大滑り限界値を超える値になっている。
このように、本発明に係るクラッチ機構体は、エンジン回転数上昇に伴って増加する遠心荷重を発生する遠心機構部を有するため、弾性荷重と遠心荷重との合計荷重が最大トルク発生時のエンジン回転数にて滑り限界値に達するように可変とすることができる。これによって、弾性荷重を低減することが可能となるとともに、摩擦板とプレッシャープレートとの圧着力も両者に滑りが生じない荷重を確保することが可能となる。
弾性荷重を最大滑り限界値未満に低減することによって、すなわちリテーナリング直径を従来と比較して小さくすることによって、表1からかわるように、クラッチレバー操作必要荷重はエンジン回転数4000rpmまでは従来のものと比較して低減されている。
そして、図25からわかるように、エンジン回転数4000rpmを越えたところで本実施例における合計荷重と従来の弾性荷重とは一致し、5000rpmでは逆に本実施例における合計荷重が遠心荷重の増加によって、従来の弾性荷重を上回っている。そして、表1からわかるように、クラッチレバー操作必要荷重も従来の荷重よりも大きくなっている。
しかし、本発明が主な対象とする自動二輪車は、エンジントルクが大きいものであり、そのような自動二輪車の場合、通常の走行時にはエンジン回転数は高くても3000rpm程度である。
したがって、通常の走行時においては、本発明に係るクラッチ機構体を採用することによって、従来のものと比較してクラッチレバー操作必要荷重が低減できることは明らかである。
以上のように、本発明は、自動二輪車、自動四輪車等の自動車のクラッチ機構体に適用することができる。
図1(a)は、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のI(b)−I(b)断面図である。 本発明の実施の形態1のクラッチ機構体のクラッチ本体の斜視図である。 本発明の実施の形態1のクラッチ機構体のクラッチ本体の平面図である。 本発明の実施の形態1のクラッチ機構体のクラッチ本体を構成する摩擦板の平面図である。 本発明の実施の形態1のクラッチ機構体のクラッチ本体を構成するクラッチプレートの平面図である。 図6(a)は、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体におけるプレッシャープレートの平面図であり、図6(b)は、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体におけるプレッシャープレートの背面図である。 図7(a)は、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体におけるリテーナの平面図であり、図7(b)は、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体におけるリテーナの背面図であり、図7(c)は、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体におけるリテーナの側面図であり、図7(d)は、本発明の実施の形態1のクラッチ機構体におけるリテーナにおいてL字型アームが揺動する状態を表す側面図である。 本発明の実施の形態1のクラッチ機構体におけるダイヤフラムスプリングの平面図である。 図8におけるIX−IX断面図である。 本発明の実施の形態1のクラッチ機構体に適用されるダイヤフラムスプリングにリテーナを載置し組み付けた状態を示す斜視図である。 図1(a)のXI−XI断面図である。 図12(a)は、本発明の実施の形態2のクラッチ機構体の断面図であり、図12(b)は、本発明の実施の形態2のクラッチ機構体におけるベースプレートの平面図である。 本発明の実施の形態3のクラッチ機構体の断面図である。 本発明の実施の形態4のクラッチ機構体に用いられるリテーナの斜視図である。 実施の形態4のクラッチ機構体に用いられるリテーナの平面図である。 実施の形態4のクラッチ機構体に用いられるリテーナの背面図である。 図17は実施の形態4のクラッチ機構体に用いられるリテーナの側面図である。 実施の形態4のクラッチ機構体に用いられるリテーナにおいてL字型アームが揺動する状態を表す側面図である。 本発明の実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナの斜視図である。 実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナの平面図である。 図21(a)は実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナの背面図である。図21(b)は図21(a)b−b断面図である。 実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナの側面図である。 実施の形態5のクラッチ機構体に用いられるリテーナにおいてL字型アームが揺動する状態を表す側面図である。 ダイヤフラムスプリングとコイルスプリングの特性を表すクラッチレバー操作荷重−クラッチレバー移動量曲線図である。 本発明の実施の形態2のクラッチ機構体を実際に構成して得られた実施例のデータに対し従来のクラッチ機構体におけるデータを比較例として比較した図である。 ダイヤフラムスプリングのレバー部押さえ付け位置を表す図である。
符号の説明
100、200、300・・・クラッチ機構体
1・・・摩擦板
2・・・プレッシャープレート
21・・・環状縁部
22・・・穴部
23・・・開口部
25・・・ 突起部
3・・・ダイヤフラムスプリング
31・・・環状部
32・・・レバー部
32a・・・自由端
33・・・開口部
35・・・外周縁
4・・・リテーナ
41・・・環状部
48・・・支持部
49・・・遠心機構部
47・・・ボルト挿入穴
48・・・支持部
43・・・隆起部
44・・・L字型アーム
46・・・質量体
45・・・作用部
5・・・インナーハブ
6・・・アジャスタースクリュー
8・・・コイルスプリング
81・・・ボルト
10・・・クラッチプレート

Claims (16)

  1. 回転駆動力入力系に取り付けられた回転駆動力出力部と、回転駆動力出力系に取り付けられた回転駆動力入力部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を押圧して前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧機構部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を解除する解除手段とを有し、
    前記押圧機構部が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を発生する弾性荷重手段と遠心荷重手段とを有してなり、前記弾性荷重手段と前記遠心荷重手段によって発生される押圧荷重値が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる滑り限界値以上に維持され、
    前記弾性荷重手段によって発生される荷重値が、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる押圧力の下限値であって、前記回転駆動力入力系から前記回転駆動力出力系に伝達される回転駆動力が最大時の前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間の押圧力の下限値として規定される最大滑り限界値の70%以上90%以下に設定されてなり、
    弾性荷重手段によって発生される弾性荷重と遠心荷重手段によって発生される遠心荷重との合計荷重が、エンジン回転数の全回転数域で滑り限界値を超え、2000rpm以下のエンジン回転数では最大滑り限界値未満であり、3000rpm以上のエンジン回転数で遠心荷重の増加によって最大すべり限界値以上とされることを特徴とするクラッチ機構体。
  2. 回転駆動力入力系に取り付けられた回転駆動力出力部と、回転駆動力出力系に取り付けられた回転駆動力入力部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を押圧して前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧機構部と、前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を解除する解除手段とを有し、
    前記押圧機構部が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互を当接させる押圧力を発生する弾性荷重手段と遠心荷重手段とを有してなり、前記弾性荷重手段と前記遠心荷重手段によって発生される押圧荷重値が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる滑り限界値を超える値に維持され、かつ前記弾性荷重手段によって発生される荷重値が前記回転駆動力出力部と前記回転駆動力入力部相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる最大滑り限界値未満に設定されてなり、前記押圧機構部は前記回転駆動力出力部に対向して当接可能に配置された第一の押圧部材と、前記回転駆動力入力部に連結された第二の押圧部材とを有し、
    前記弾性荷重手段が前記第一の押圧部材と前記第二の押圧部材との間に圧縮して配置され、前記遠心荷重手段は前記第二の押圧部材に環状位置に配列された複数の支持部と、前記各支持部に支持された遠心機構部とよりなり、
    前記遠心機構部は前記支持部にて支持されて揺動可能な揺動部材を有し、前記揺動部材は前記第一の押圧部材側の一端部に形成された作用部と、反対側の端部に備え付けられた質量体とを有し、前記第一の押圧部材、前記第二の押圧部材は同心上に配置され、前記弾性荷重手段はダイヤフラムスプリングであり、そのダイヤフラムスプリングは環状部と、当該環状部から内側方向に延び先端が自由端とされた複数のレバー部とを有し、前記環状部の外周縁は前記第一の押圧部材の外周縁に設けられた突起部にて支持されると共に、前記複数のレバー部が前記第二の押圧部材に支持され、
    前記第二の押圧部材の前記各遠心機構部の各揺動部材の各作用部が隣合う各レバー部間のスリット部を挿通して前記第一の押圧部材を付勢可能にしてなることを特徴とするクラッチ機構。
  3. 前記第一の押圧部材と前記ダイヤフラムスプリングとの間に遠心荷重伝達部材が配置され、前記第二の押圧部材の前記各遠心機構部の各作用部が前記遠心荷重伝達部材を介して前記第一の押圧部材を付勢可能にしてなることを特徴とする請求項2に記載のクラッチ機構。
  4. 前記遠心荷重伝達部材は環状部と、当該環状部の外周縁から外側に向かって延びる複数のプレート部とを有し、
    前記プレート部が前記ダイヤフラムスプリングの前記各スリット部に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載のクラッチ機構。
  5. 前記第二の押圧部材における前記ダイヤフラムスプリングに対向する側面には隆起部が環状に形成され、
    前記隆起部が前記レバー部の前記自由端近傍に当接することによって前記ダイヤフラムスプリングが圧縮して配置されることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一に記載のクラッチ機構。
  6. 前記隆起部の内径は、前記弾性荷重手段によって発生される荷重値が前記最大滑り限界値未満となるように決定されてなることを特徴とする請求項5に記載のクラッチ機構。
  7. 摩擦板を押圧することによって摩擦板にエンジンからの動力を伝達しまたは押圧を解除することによってエンジンからの動力を切断するクラッチ機構であって、
    前記摩擦板と圧着するプレッシャープレートと、前記プレッシャープレートに押し付け力を与えるダイヤフラムスプリングと、前記ダイヤフラムスプリングに所定の荷重を加えるリテーナとを備え、
    前記ダイヤフラムスプリングは前記プレッシャープレートと前記リテーナとの間に弾性的に支持されるとともに前記プレッシャープレートの移動によって弾性変形し、
    前記リテーナは環状部と、当該環状部の一側面に環状に形成された隆起部と、当該環状部を貫通し当該環状部に設けられた支持部に揺動自在に取り付けられた複数のL字型アームとを有し、
    前記隆起部が前記ダイヤフラムスプリングを押圧する押圧力と前記ダイヤフラムスプリングが前記プレッシャープレートを押圧する押圧力とが重畳されて生じるダイヤフラム荷重と、
    前記L字型アームがエンジン回転数の上昇に伴って増加する荷重で前記プレッシャープレートを押圧する遠心荷重とによって前記摩擦板に対する前記プレッシャープレートの圧着力を設定することを特徴とするクラッチ機構。
  8. 前記ダイヤフラムスプリングは環状部と、当該環状部の内周から円中心方向へ先細に延びる複数のレバー部と、中心部の開口部から放射状に延びる複数のスリット部とを有し、
    前記L字型アームは前記支持部を介する両側の一側に設けられた作用部と、他側に備え付けられた質量体とを有し、
    前記ダイヤフラム荷重は前記隆起部が前記ダイヤフラムスプリングのレバー部を押圧し前記レバー部がプレッシャープレートを押圧することによって発生し、
    前記遠心荷重はエンジン回転数の上昇に伴って前記質量体に作用する遠心力によって前記L字型アームの前記作用部が前記スリット部を挿通して前記プレッシャープレートを押圧することによって発生することを特徴とする請求項7に記載のクラッチ機構。
  9. リング状の板部とそのリング状の板部の外周部分から外側に向かって延びるプレート部を備えるベースプレートを有し、
    前記ベースプレートは前記プレート部が前記ダイヤフラムスプリングのスリット部に対応するように配置され、
    前記遠心荷重は前記L字型アームの前記作用部が前記プレート部を介して前記プレッシャープレートを押圧することによって発生することを特徴とする請求項8に記載のクラッチ機構。
  10. 前記ダイヤフラム荷重が最大トルク値から算出される摩擦板とプレッシャープレートとの滑り限界値未満であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一に記載のクラッチ機構。
  11. 前記ダイヤフラム荷重が最大トルク値から算出される摩擦板とプレッシャープレートとの滑り限界値未満となるように前記隆起部の内径が決定されてなることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一に記載のクラッチ機構。
  12. 前記ダイヤフラム荷重と前記遠心荷重との合計荷重が最大トルク発生時のエンジン回転数にて滑り限界値を超える値となるようにエンジン回転数に対して可変に設定されてなることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一に記載のクラッチ機構。
  13. リテーナの環状部が高剛性軽量材の環状部本体とこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなる高剛性材料部分とを接合して構成され、高剛性材料部分に隆起部が形成される請求項7〜請求項12のいずれか一に記載のクラッチ機構。
  14. リテーナの環状部が高剛性軽量材の環状部本体にこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなるリベットを埋め込んでなり、ダイヤフラムスプリングのレバー部にリベットの端面が当接するようにリテーナが配置されてなる請求項7〜請求項12のいずれか一に記載のクラッチ機構。
  15. 環状部が高剛性軽量材の環状部本体とこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなる高剛性材料部分とを接合して構成され、高剛性材料部分に隆起部が形成される請求項7〜請求項12のいずれか一に記載のクラッチ機構に用いられるリテーナ。
  16. 環状部が高剛性軽量材の環状部本体にこの高剛性軽量材よりも大なる比重の高剛性材料を用いてなるリベットを埋め込んでなり、請求項7〜請求項12のいずれか一に記載のクラッチ機構に用いられ、ダイヤフラムスプリングのレバー部にリベットの端面が当接するように配置されるリテーナ。
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