JP2007255703A - クラッチ機構及びそのクラッチ機構を用いた自動車、そのクラッチ機構に用いられるリテーナ - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチレバーの操作に要する力を低減すると共に、摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止する圧着力を確保し、さらに、スペース効率を向上させ、設置コストを低減させることができるクラッチ機構を提供することを目的とする。
【解決手段】連結部40を介して同心上に配置された第1の環状部20と第2の環状部30とからなり、第1の環状部20において環状位置に配列された複数の遠心荷重手段と、第1の環状部20における各遠心荷重手段間の領域に対応する第2の環状部30の領域に設けられた連結部とを具備するリテーナ及びこれを用いたクラッチ機構。
【選択図】図2
【解決手段】連結部40を介して同心上に配置された第1の環状部20と第2の環状部30とからなり、第1の環状部20において環状位置に配列された複数の遠心荷重手段と、第1の環状部20における各遠心荷重手段間の領域に対応する第2の環状部30の領域に設けられた連結部とを具備するリテーナ及びこれを用いたクラッチ機構。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動二輪車や自動四輪車等の自動車に適用されるクラッチ機構及びそのクラッチ機構を用いた自動車、そのクラッチ機構に用いられるリテーナに関する。
図1は、自動二輪車に用いられる油圧式のクラッチ機構の一般的な構成を示す分解斜視図である。
クラッチ機構200は、回転駆動力入力系(以下、「入力系」と称する。)から回転駆動力出力系(以下、「出力系」と称する。)に回転駆動力を伝達すると共にその伝達の解除を行う油圧式のクラッチ機構である。
クラッチ機構200は、リテイニングリング101と、コンタクトボタン102と、ベアリング103aと、リリースプレート103bと、ボルト104aと、リテーナ10aと、コイルスプリング105と、リテイニングリング106と、ナット107と、リテイニングクリップ108と、インナーハブ120と、シートスプリング109と、スプリング110と、摩擦板111と、クラッチプレート112と、カラー113と、プレッシャープレート130と、クラッチアウターケース114と、オッシャー115とを有する。
リリースプレート103bにはベアリング103aが取り付けられ、リテーナ10aの凹部にはリリースプレート103bが嵌められ、リテイニングリング101でベアリング103aが止められる。また、コンタクトボタン102は、ベアリング103aに挿しこまれるものであり、油圧によって、クラッチレバーの操作に応じてコンタクトボタン102が押圧される。
入力系にギヤを介して連結されたクラッチアウターケース114に歯合された複数の摩擦板111と、出力系に連結されたインナーハブ120に歯合された複数のクラッチプレート112とは、インナーハブ120の円筒部とクラッチアウターケース114の円筒部との間の環状の空間内に、相互に重ねられて配置される。なお、相互に重ねられた摩擦板111とクラッチプレート112との両端には、いずれにも摩擦板111が配置される。また、リテーナ10a側に配置された摩擦板111とインナーハブ120のフランジとの間には、シートスプリング109とスプリング110とが配置される。
また、インナーハブ120の貫通孔を介して、リテーナ10aとプレッシャープレート130とがボルト104aにより固定され、リテーナ10aとインナーハブ120との間にコイルスプリング105が圧縮して配置される。
このような構成を具備するクラッチ機構200において、入力系と出力系との連結及び解除は、摩擦板111とクラッチプレート112との圧着及び解除によって行われる。
具体的には、クラッチレバーが握られていない状態では、リテーナ10aとインナーハブ120との間に圧縮して配置されたコイルスプリング105の弾性力によって、リテーナ10aに接続されているプレッシャープレート130と、インナーハブ120との間に配置された摩擦板111とクラッチプレート112とが圧着される。
一方、クラッチレバーが握られると、油圧によりコンタクトボタン102が押圧され、コンタクトボタン102がベアリング103aと共にリテーナ10aを押圧する。そうすると、リテーナ10aと接続されているプレッシャープレート130がリテーナ10aとは反対方向に移動し、プレッシャープレート130とインナーハブ120との間に配置された摩擦板111とクラッチプレート112との圧着が解除される。
ここで、クラッチ機構200における弾性部材のスプリング荷重について説明する。
弾性部材のスプリング荷重を決定する場合には、摩擦板とクラッチプレートとが滑りを起こさないために必要となる必要クラッチ荷重を自動二輪車の最大トルク値から求め、プレッシャープレートが摩擦板を押圧する荷重が必要クラッチ荷重以上の値となるように弾性部材のスプリング荷重を決定する。
弾性部材のスプリング荷重を決定する場合には、摩擦板とクラッチプレートとが滑りを起こさないために必要となる必要クラッチ荷重を自動二輪車の最大トルク値から求め、プレッシャープレートが摩擦板を押圧する荷重が必要クラッチ荷重以上の値となるように弾性部材のスプリング荷重を決定する。
以上のように、通常は、最大トルク値を基準として弾性部材のスプリング荷重を決定するので、エンジン回転数とは関係なく弾性部材のスプリング荷重が一定に設定される。これにより、全ての回転数領域で摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止することができる。
このように、最大トルク値を基準として弾性部材のスプリング荷重を決定するので、エンジントルクの大きい自動車の場合には、必然的にスプリング荷重が大きくなる。
上記で示したように、自動二輪車の場合、摩擦板を直接押圧するプレッシャープレートは、ドライバーが手動操作するクラッチレバーによって操作される。すなわち、ドライバーがクラッチレバーを握ることによって、プレッシャープレートが弾性部材のスプリング荷重に抗して移動し、プレッシャープレートによる摩擦板に対する押圧が解除される。これにより、クラッチプレートと摩擦板との圧着が解除されて、入力系を介して入力される回転駆動力の出力系への伝達の解除、いわゆる「クラッチの切断」が行われる。このように、ドライバーは、「クラッチの切断」を行うときには、弾性部材のスプリング荷重に打ち勝つ力でクラッチレバーを握り、クラッチ操作を行わなければならない。
したがって、エンジントルクが大きい自動二輪車を運転する場合、ドライバーはクラッチレバーの手動操作に比較的大きな力を必要とするので、ドライバーにとっては大きな負担となる場合が多い。
実際、エンジントルクの大きい自動二輪車を長時間運転する場合や、ギアチェンジを繰り返さなければならない交通量の多い道路を運転する場合には、ドライバーの握力は低下し易くなる。このような場合に対応するために、ドライバーは、握力その他の体力を充実させ、さらに円滑なギアチェンジができるように運転技術を高めることが重要である。このような事情から、大型の自動二輪車を楽しむことができる人は、一部の人に限定される場合があった。このため、大型の自動二輪車の運転を多くの人が楽しめるようにするためには、クラッチレバーの手動操作に係るドライバーの負担を軽減させることが重要である。
そこで、クラッチレバーの手動操作に要する力を低減させる方法として、プレッシャープレートの移動幅を従来よりも短くする方法がある。しかし、この方法では、プレッシャープレートによる摩擦板に対する押圧を解除し、摩擦板とクラッチプレートとの圧着が確実に解除された状態を確保するための精度の実現が容易ではなかった。
これらを解決する技術として、特許文献1には、ドライバーがクラッチレバーを握る力を低減すると共に、摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止する圧着力を遠心機構部の遠心力を利用して確保するクラッチ機構が開示されている。
特許文献1に記載のクラッチ機構を使用すれば、クラッチレバーの操作に要する力を低減するという要請と、摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止する圧着力を確保するという要請とを同時に充足することができる。
例えば、二輪自動車のクラッチ機構を、特許文献1に記載のクラッチ機構に取り換える場合には、車種によっては、その設置スペースのカバー類等を加工等する必要がある。この場合には、クラッチ機構の取り付け費用と共にカバー類等の加工等の費用が発生する。このため、二輪自動車のクラッチ機構を取り換える場合には、設置コストを低減させることが重要である。
また、自動車、特に自動二輪車の場合には、その構造上クラッチ機構等の設置スペースが限られている場合が多い。このため、クラッチ機構を自動二輪車に取り付ける場合には、限られたスペースに収めるように取り付ける必要がある。
つまり、自動車、特に自動二輪車に係るクラッチ機構については、スペース効率を向上させることが重要である。
以上で示したように、例えば、エンジントルクの大きい自動二輪車を多くの人が楽しめるようにするためには、特許文献1に記載のクラッチ機構の効果を維持すると共に、さらに、クラッチ機構のスペース効率を向上させ、設置コストを低減させることが重要である。
本発明は、上記で示した点に鑑みてなされたものであり、クラッチレバーの操作に要する力を低減すると共に、摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止する圧着力を確保し、さらに、スペース効率を向上させ、設置コストを低減させることができるクラッチ機構及びそのクラッチ機構を用いた自動車、そのクラッチ機構に用いられるリテーナを提供することを目的とする。
本発明は、例えば、各図に示すように、入力系に取り付けられた摩擦板111と、出力系に取り付けられたクラッチプレート112とを相互に重ね、相互に重ねられた摩擦板111とクラッチプレート112とを圧着して入力系から出力系に動力を伝達し、当該圧着の解除によって当該動力の伝達を切断するクラッチ機構100であって、連結部40を介して同心上に配置された第1の環状部20と第2の環状部30とからなり、第1の環状部20において環状位置に配列された複数の遠心荷重手段と、第1の環状部20における前記各遠心荷重手段間の領域に対応する第2の環状部30の領域に設けられたボルト挿入孔31とを具備するリテーナ10と、クラッチ機構100の回転軸方向に移動可能にクラッチプレート112を外側面に係止するインナーハブ120であって、第1の環状部20を底部側とし第2の環状部30を開口部側としてリテーナ10を収容する収容部127と、収容部127の底部において第2の環状部30のボルト挿入孔31に対応する位置に設けられた貫通孔部124とを具備するインナーハブ120と、インナーハブ120の貫通孔部124を貫通してボルト挿入孔31と連結しリテーナ10を支持する突出部(支持部)131を具備するプレッシャープレート130と、第2の環状部30とインナーハブ120の底部との間に圧縮して配置されるコイルスプリング105とを有し、前記プレッシャープレート130と前記インナーハブ120との間に前記摩擦板111と前記クラッチプレート112とが配置され、前記遠心荷重手段は、リテーナ10の回転に応じてインナーハブ120の底部を押圧する押圧荷重を発生させる手段であり、前記遠心荷重手段とコイルスプリング105とによって、相互に重ねられた摩擦板111とクラッチプレート112とを圧着する押圧力を発生させることを特徴とするクラッチ機構100である。
また、本発明は、例えば、各図に示すように、エンジン側のクランクシャフトに連結された摩擦板111と、トランスミッション入力軸に取り付けられたクラッチプレート112とを、リテーナ10を収容するインナーハブ120の外側面に回転軸方向に移動可能に相互に重ね、相互に重ねられた摩擦板111とクラッチプレート112とを、インナーハブ120の貫通孔部124を貫通してリテーナ10を支持する突出部(支持部)131を具備するプレッシャープレート130によって圧着して入力系から出力系に動力を伝達し、当該圧着の解除によって当該動力の伝達を切断するクラッチ機構100であって、リテーナ10は、連結部40を介して同心上に配置された第1の環状部20と第2の環状部30とからなり、第1の環状部20において環状位置に配列された複数の遠心荷重手段と、第1の環状部20における前記各遠心荷重手段間の領域に対応する第2の環状部30の領域に設けられ突出部(支持部)131と接続するボルト挿入孔31とを具備し、第1の環状部20を底部側とし第2の環状部30を開口部側としてインナーハブ120の収容部127に収容され、第2の環状部30とインナーハブ120の収容部127の底部との間にはコイルスプリング105が圧縮して配置され、前記遠心荷重手段は、リテーナ10の回転に応じてインナーハブ120の底部を押圧する押圧荷重を発生させる手段であり、前記遠心荷重手段とコイルスプリング105とによって、相互に重ねられた摩擦板111とクラッチプレート112とを圧着する押圧力を発生させることを特徴とするクラッチ機構100である。
なお、前記遠心荷重手段は、第1の環状部20において環状位置に配列された複数の支持部22と、第1の環状部20を貫通し支持部22に支持されて揺動可能なL字型アーム23a、23bに第2の環状部30側の一端部に形成された質量体25と反対側に備え付けられた作用部24a、24bとを具備する揺動部材とからなる様にしても良い。
また、各作用部24a、24bとインナーハブ120の底部との間にベースプレート50が配置され、各作用部24a、24bがベースプレート50を介してインナーハブ120を付勢可能にしてなる様にすることができる。
なお、ベースプレート50は、環状部51と、環状部51の外周縁から外側に向かって延びる複数のプレート部52a、52bとを有し、各プレート部52a、52bが各作用部24a、24bに対応する位置に配置される。また、コイルスプリング105は突出部(支持部)131の周りに設置される。また、第2の環状部30の第1の環状部20とは反対側の面がインナーハブ120の収容部127の開口部よりも内側になるように、リテーナ10が配置される様にすることもできる。
また、インナーハブ120に設けられた各貫通孔部124の間の領域にはリブ123が設けられ、前記揺動部材は1の質量体25に対して2のL字型アーム23a、23bを具備し、2のL字型アーム23a、23bは、リブ123を挟むように設置される様にしても良い。
クラッチ機構100は、自動二輪車や自動四輪車等の自動車に用いることができる。
また、本発明は、例えば、各図に示すように、入力系に取り付けられた摩擦板111と、出力系に取り付けられたクラッチプレート112とを、リテーナ10を収容するインナーハブ120の外側面に回転軸方向に移動可能に相互に重ね、相互に重ねられた摩擦板111とクラッチプレート112とを、インナーハブ120の貫通孔部124を貫通してリテーナ10を支持する突出部(支持部)131を具備するプレッシャープレート130によって圧着して入力系から出力系に動力を伝達し、当該圧着の解除によって当該動力の伝達を切断するクラッチ機構100におけるリテーナ10であって、連結部40を介して同心上に配置された第1の環状部20と第2の環状部30とからなり、第1の環状部20は、回転軸を中心とした環状位置に配列された複数の遠心荷重手段を具備し、第2の環状部30は、第1の環状部20における前記各遠心荷重手段間の領域に対応する領域に設けられた、突出部(支持部)131と接続するボルト挿入孔31を具備し、第1の環状部20を底部側とし第2の環状部30を開口部側としてインナーハブ120の収容部127に収容され、前記遠心荷重手段は、リテーナ10の回転によって第2の環状部30から第1の環状部20の方向に押圧荷重を発生させる手段であることを特徴とするリテーナ10である。
本発明によれば、クラッチレバーの操作に要する力を低減すると共に、摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止する圧着力を確保し、さらに、スペース効率を向上させ、設置コストを低減させることができるという効果を奏する。
以下で、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係るクラッチ機構100は、図1に示すクラッチ機構200において、リテーナ10aの代わりにリテーナ10を使用し、ボルト104aの代わりにボルト104aよりも長いボルトであるボルト104を使用し、リテーナ10aの凹部に嵌められるリリースプレート103bとこれを止めるリテイニングリング101を省略し、リテーナ10にベアリング103aを直接取り付けるようにしたものである。なお、クラッチクラッチ機構200と同一のものについては、同一の符号を付して説明する。
本発明の第1の実施の形態に係るクラッチ機構100は、図1に示すクラッチ機構200において、リテーナ10aの代わりにリテーナ10を使用し、ボルト104aの代わりにボルト104aよりも長いボルトであるボルト104を使用し、リテーナ10aの凹部に嵌められるリリースプレート103bとこれを止めるリテイニングリング101を省略し、リテーナ10にベアリング103aを直接取り付けるようにしたものである。なお、クラッチクラッチ機構200と同一のものについては、同一の符号を付して説明する。
クラッチ機構100は、クラッチ機構200と同様に、自動二輪車に用いられるクラッチ機構であって、入力系を構成するエンジン側のクランクシャフト(図示せず)から伝達される回転駆動力を、出力系を構成するトランスミッション入力軸(図示せず)に固定された出力部部材であるインナーハブ120に伝達すると共にその伝達の解除を行う油圧式のクラッチ機構である。
第1の実施の形態において、回転駆動力入力系は、エンジンおよびエンジンに駆動連結されてエンジンの回転駆動力をクラッチ機構100に伝達する周知の一連の機構部分から構成される入力系である。また、回転駆動力出力系は、クラッチ機構100を介して、駆動輪の駆動としてエンジンの駆動力を出力する周知の一連の機構部分から構成される出力系である。
クラッチ機構100は、リテーナ10、コイルスプリング105(弾性荷重手段(定荷重手段))、インナーハブ120、摩擦板111、クラッチプレート112、プレッシャープレート130、クラッチアウターケース114等をクラッチ機構100の回転軸線A−Aに対し同軸上に配置してなる。また、油圧により押圧されるコンタクトボタン102がベアリング103aを介してリテーナ10に取付けられ、リテーナ10に連結されるプレッシャープレート130は摩擦板111に対向して配置されたクラッチプレート112を介して摩擦板111を間接的に押圧する。
図2は、第1の実施の形態であるリテーナ10を示す斜視図である。
図3は、リテーナ10を示す平面図である。
図4は、リテーナ10を示す底面図である。
図5は、リテーナ10を示す側面図である。
図6(a)はリテーナ10を示す側面図であり、図6(b)は図4に示すリテーナ10のB−B断面を示す断面図である。
図3は、リテーナ10を示す平面図である。
図4は、リテーナ10を示す底面図である。
図5は、リテーナ10を示す側面図である。
図6(a)はリテーナ10を示す側面図であり、図6(b)は図4に示すリテーナ10のB−B断面を示す断面図である。
リテーナ10は、環状の部材(円板状)からなる第1の環状部20及び第2の環状部30と、連結部40とからなるものであり、第1の環状部20と第2の環状部30と連結部40とに連通する貫通孔部11が設けられている。例えば、第1の環状部20と第2の環状部30と連結部40とは、鉄やアルミ等を一体加工したものを用いることができる。なお、第1の環状部20と第2の環状部30との間に質量体25を収容するために、第1の環状部20及び第2の環状部30の外径よりも連結部40の外径を小さくする。
第1の環状部20は、環状に配列された複数の支持部22と、各支持部22に支持された遠心機構部21とを遠心荷重手段(可変荷重手段)として有する。例えば、ローラーピンをリベットで固定したものを支持部22として用いることができる。
遠心機構部21は、支持部22に支持されて揺動する揺動部材としてのL字型アーム23a、23bと、L字型アーム23a、23bの一端部に固定される円筒状のおもりである質量体25と、L字型アーム23a、23bの他端部に形成された作用部24a、24bとからなる。つまり、L字型アーム23a、23bが、支持部22に支持されて所定の範囲内を揺動する。
作用部24a、24bは、第1の環状部20における第2の環状部30とは反対の側面20a側においてL字型アーム23a、23bの端部に形成される。また、質量体25は、第1の環状部20における第2の環状部30側の側面側においてL字型アーム23a、23bの端部に固定される。なお、作用部24a、24bの端面は滑らかな端面である。つまり、第1の実施の形態において、遠心機構部21は、2個のL字型アームに1個の質量体が固定されている。1の遠心機構部21に対して2のL字型アームを使用するのは、図7、9、11で示すインナーハブ120のリブ123を挟むような形状とするためである。ただし、インナーハブ120の底面の形状に合わせて1又は3以上のL字型アームとするようにしてもよい。
間欠部26は、各遠心機構部21間の領域に形成されている円弧状の間欠部分である。凹部27は、貫通孔部11の周りに形成されている凹部である。
第2の環状部30は、環状に配列された複数のボルト挿入穴31と、ボルト挿入穴31の周りに形成されている凹部31aと、円弧状の間欠部分である間欠部32と、孔33と、貫通孔部11の周りに形成されている第1の凹部35と、第1の凹部35の周りに形成されている第2の凹部36とを有する。なお、ボルト挿入穴31は、第2の環状部30において、第1の環状部20の各遠心機構部21間の領域に相当する部分であって間欠部26が形成された部分に配置され、図10に示すプレッシャープレート130の突出部131に設けられたボルト穴132に締結される。また、第1の凹部35にはベアリング103aが嵌められ、ベアリング103aにはコンタクトボタン102が挿しこまれ、油圧によって、クラッチレバーの操作に応じてコンタクトボタン102が押圧される。
以上で示したように、リテーナ10において、第1の環状部20の遠心機構部21及び間欠部26と、第2の環状部30のボルト挿入穴31とをクラッチ機構100の回転軸線A−Aを中心として円周方向に交互に等間隔に位置するように配置する。このように、円周方向に交互に等間隔に遠心機構部21を配置することによって、遠心機構部21はクラッチ機構100の回転軸方向にほぼ均一な押圧荷重を発生させることができる。
なお、第1の実施の形態では、支持部22、遠心機構部21等を第1の環状部20に5つ設けた実施の形態を示すが、第1の環状部20の円周方向に等間隔に配置することができれば、5つ以外の数の支持部22、遠心機構部21等を第1の環状部20に設けるようにしてもよい。また、リテーナ10の形状については、第1の環状部20と第2の環状部30との間に質量体25を配置し、第1の環状部20に遠心荷重手段を環状に配列することができる形状であれば、他の形状にすることができる。
図7、8は、クラッチ機構100を構成するインナーハブ120を示す斜視図(一部断面を含む)である。
図9(1)は、スペーサ60と、ボルト104と、インナーハブ120とを示す平面図である。
図9(1)は、スペーサ60と、ボルト104と、インナーハブ120とを示す平面図である。
インナーハブ120は、リテーナ10を収容する収容部(凹部)127を具備する環状の部材であり、スプライン歯121と、環状縁部(フランジ)122と、リブ123と、貫通孔部124と、コイルスプリング設置部125と、入力軸取付部126とを有する。
スプライン歯121は、インナーハブ120の外側面において、径方向外側に突出して形成されるスプライン歯である。なお、摩擦板111の間にそれぞれ配置される各クラッチプレート112の内周側には、インナーハブ120のスプライン歯121間に形成されるスプライン溝に噛み合う態様でスプライン歯が形成されている。
このように、クラッチプレート112のスプライン溝と、インナーハブ120のスプライン溝とが歯合するので、クラッチプレート112は、インナーハブ120に対して相対回転不能に固定され、軸方向に移動自在となる。
環状縁部122は、インナーハブ120の収容部127の外周縁に沿って形成されるフランジである。リブ123は、収容部127の側面と底面とにおいて、各貫通孔部124の間の領域に設けられるリブである。
貫通孔部124は、プレッシャープレート130に形成されたボルト締結部である突出部131と対応する位置に五角形の各頂点に位置する態様で設けられた貫通孔部である。なお、貫通孔部124は、突出部131の外径に比して大なる内径を具備する。
コイルスプリング設置部125は、貫通孔部124の周りに設けられた凹部であって、コイルスプリング105を設置する部分である。
入力軸取付部126は、収容部127の中央に設けられた入力軸取付部であって、トランスミッション入力軸(図示せず)に取り付けられる。
図10は、クラッチ機構100を構成するプレッシャープレート130を示す斜視図である。
プレッシャープレート130は、リテーナ10を固定するためのボルト締結部であるボルト穴132を具備する突出部(支持部)131と、インナーハブ120のスプライン歯121間に形成されるスプライン溝と嵌合する歯133と、トランスミッション入力軸(図示せず)の外径に比して大なる内径を具備する開口部134とを有する。
図11は、プレッシャープレート130にインナーハブ120を設置した場合における外観及び一部の断面を示す斜視図である。
図12は、プレッシャープレート130にインナーハブ120を設置した場合における外観を示す側面図である。
図13は、プレッシャープレート130にインナーハブ120及びリテーナ10を設置した場合における外観及び一部の断面を示す斜視図である。
図12は、プレッシャープレート130にインナーハブ120を設置した場合における外観を示す側面図である。
図13は、プレッシャープレート130にインナーハブ120及びリテーナ10を設置した場合における外観及び一部の断面を示す斜視図である。
リテーナ10、コイルスプリング105、インナーハブ120、プレッシャープレート130等は、次のように配置される。なお、その他の部材の一部については説明を省略する。
図11に示すように、インナーハブ120の5個の貫通孔部124にプレッシャープレート130の突出部131を挿通すると共に、インナーハブ120のスプライン歯121間に形成されるスプライン溝にプレッシャープレート130の歯133を嵌合させる。
プレッシャープレート130の突出部131を囲むように、コイルスプリング105をコイルスプリング設置部125に設置し、突出部131上にスペーサ60を設置する。そして、スペーサ60を介して、リテーナ10の第2の環状部30に配列された5個のボルト挿入穴31と、突出部131のボルト穴132とにボルト104を挿通して締結することによって、リテーナ10とプレッシャープレート130とを固定する。
このようにすることによって、コイルスプリング105がインナーハブ120とリテーナ10との間に圧縮して配置される。これによって、コイルスプリング105は弾性変形した状態となり、コイルスプリング105からプレッシャープレート130に弾性的な定荷重が加えられ、弾性的な定荷重によってプレッシャープレート130を摩擦板111側に付勢する。また、L字型アーム23a、23bの作用部24a、24bは、その滑らかに形成された端面をインナーハブ120の底面に当接する。
このように、リテーナ10とプレッシャープレート130とを固定するので、リテーナ10とプレッシャープレート130とは相互に相対回転不能にかつ軸方向に相対移動不能に連結される。
図11〜13に示すように、インナーハブ120に形成された複数のスプライン歯121がプレッシャープレート130に形成された歯133間に形成された溝に嵌合するので、リテーナ10とコイルスプリング105とインナーハブ120とは、プレッシャープレート130と共に一体となって回転し、プレッシャープレート130に対して相対回転不能とされる。また、リテーナ10及びプレッシャープレート130と、インナーハブ120とは、相互に相対回転不能にかつ軸方向に相対移動可能に組み付けられる。
図1に示すように、クラッチアウターケース114の内部には複数のスプライン溝が設けられると共に、このスプライン溝に噛み合う態様で摩擦板111の外周には複数のスプライン歯が形成されている。摩擦板111のスプライン溝とクラッチアウターケース114のスプライン溝とが歯合するので、摩擦板111は、クラッチアウターケース114に対して円周方向には相対回転不能に固定され、軸方向には移動自在となる。また、クラッチアウターケース114には、ギヤを介して、エンジンのクランクシャフト(図示せず)が接続される。
なお、リテーナ10の遠心機構部21のL字型アーム23a、23b及び作用部24a、24bには、例えば、アルミ合金等の高剛性軽量材を適用するのが好ましい。また、質量体25には、特には高い剛性は必要はなく、むしろ真鍮等の比重の大きな材料とするのが好ましい。このような材料を使用することによって、遠心機構部21の遠心力の発生効率が向上し、エンジン回転数に応じて的確に遠心力に起因する押圧荷重を発生させることができる。
なお、遠心機構部21のL字型アーム23a、23b、作用部24a、24b、質量体25の形状及び取り付け方は本実施の形態の態様に限定されるものではなく、質量体25が遠心力を受けL字型アーム23a、23bが揺動する構造であればよい。
次に、クラッチ機構100の動作について説明する。
図6は、クラッチ機構100において、リテーナ10の遠心機構部21が作用している状態を表す図である。
図6は、クラッチ機構100において、リテーナ10の遠心機構部21が作用している状態を表す図である。
エンジンのクランクシャフト(図示せず)からのトルクは、ギアを介してクラッチアウターケース114に伝達される。クラッチアウターケース114に伝達されたトルクは、互いに圧接している摩擦板111及びクラッチプレート112を介してインナーハブ120に伝達され、トランスミッション入力軸(図示せず)に出力される。
クラッチ機構100において、クラッチレバーが握られていない状態では、リテーナ10とインナーハブ120との間に圧縮して配置されたコイルスプリング105によって、リテーナ10に接続されているプレッシャープレート130とインナーハブ120との間に配置された摩擦板111とクラッチプレート112とが圧着される。
ドライバーがクラッチレバーを握ると、油圧によりコンタクトボタン102が押圧され、コンタクトボタン102がベアリング103aと共にリテーナ10を押圧する。これにより、コイルスプリング105の弾性力に抗してリテーナ10がプレッシャープレート130側へ移動し、リテーナ10に接続されたプレッシャープレート130が摩擦板111から離れる方向へ移動する。これによって、プレッシャープレート130の摩擦板111に対する押圧力が解除されるため、摩擦板111とクラッチプレート112との圧着が解除され、いわゆる「クラッチの切断」が行われる。
このように、プレッシャープレート130がコイルスプリング105の弾性力によって摩擦板111側に付勢されているため、「クラッチの切断」を行う場合には、プレッシャープレート130を摩擦板111から離れる方向に移動させる必要がある。つまり、「クラッチの切断」を行う場合には、ドライバーはコイルスプリング105の弾性荷重に打ち勝つ力でクラッチレバーを握る必要がある。
これに対して、入力系から出力系への回転駆動力の伝達(「クラッチの接続」)は、握ったクラッチレバーをドライバーが開放することによって行われる。つまり、ドライバーがクラッチレバーを開放すると、油圧によるコンタクトボタン102の押圧が弱まり、プレッシャープレート130側とは反対側へリテーナ10が移動し、リテーナ10に接続されたプレッシャープレート130が摩擦板111側の方向へ移動する。これによって、インナーハブ120とリテーナ10との間で圧縮弾性変形されていたコイルスプリング105によってプレッシャープレート130が摩擦板111側へ付勢されることによって「クラッチの接続」が行われる。
ここで、リテーナ10によるコイルスプリング105の押さえ付け位置がインナーハブ120の底面に近い位置である場合、コイルスプリング105を弾性変形させるための必要荷重は大きくなり、「クラッチの切断」を行うにはドライバーはクラッチレバーをより強い力で握らなければならない。
このことから、クラッチレバーを操作するのに必要な力を低減させるために、コイルスプリング105の弾性荷重を低減させるには、リテーナ10とインナーハブ120の底面との距離を長くすることが有効である。このため、第1の実施の形態においては、ボルト104aよりも長いボルトであるボルト104を使用し、図13に示すように、リテーナ10とプレッシャープレート130の突出部131との間に、スペーサ60を配置して、リテーナ10とプレッシャープレート130とを固定する。
このように、スペーサ60を配置する場合には、クラッチレバーを操作するのに必要な力を低減できるのに対して、摩擦板111とクラッチプレート112との圧着力は減少する。これは、リテーナ10とインナーハブ120の底面との距離が長くなるので、プレッシャープレート130を摩擦板111側に付勢するコイルスプリング105の力(弾性荷重)が減少するためである。
そこで、弾性荷重が減少した分を補う構造として、リテーナ10に取り付けられた遠心機構部21が機能する。入力系から出力系へ回転駆動力が伝達されている場合、すなわち「クラッチの接続」状態では、出力系の回転とともにリテーナ10も回転する。
リテーナ10が回転すると、L字型アーム23a、23bに取り付けられた質量体25には、リテーナ10の回転軸から外側に向かう遠心力が作用する。この遠心力によって質量体25はリテーナ10の中心から離れる方向に移動し、L字型アーム23a、23bは支持部22を中心として移動する。この移動によって、L字型アーム23a、23bの作用部24a、24bがインナーハブ120の底部を押圧する。
したがって、出力系の回転数が上昇すれば、出力系に連結されたリテーナ10の回転数も上昇し、質量体25に作用する遠心力が増大する。これにより、L字型アーム23a、23bの作用部24a、24bがインナーハブ120を付勢する力が増大する。
このように、出力系の回転数上昇に伴い、質量体25に加わる遠心力の増大を利用することによって、弾性荷重の低減を遠心力によって生じる付勢荷重として補うことができ、摩擦板111とクラッチプレート112との滑りを防止する圧着力を確保することができる。
以上のように、摩擦板111とクラッチプレート112との相互を当接させる押圧力を発生する定荷重手段(弾性荷重手段)はコイルスプリング105によって構成され、インナーハブ120を付勢する力が可変に設定される可変荷重手段(遠心荷重手段)は遠心機構部21によって構成される。
以上で説明したように、クラッチ機構100によれば、コイルスプリング105の弾性荷重の低減は、リテーナ10とインナーハブ120の底面との距離を長くすることによって実現され、極めて簡易な構造によって、ドライバーがクラッチレバーを操作するのに必要な力を低減したクラッチ機構を得ることができる。さらに、弾性荷重の低減を遠心荷重によって補うことができるため、エンジン回転数が高い状態においても摩擦板111とクラッチプレート112との間の必要圧着力を確保することが可能となる。
また、クラッチ機構100を採用した自動二輪車を運転する場合において、ギアチェンジを行う際の「クラッチの切断」後にドライバーがクラッチレバーを握って維持する力はさほど大きいものとはならない。
「クラッチの接続」状態(ドライバーがクラッチレバーを握っていない状態)では、図6に示すように、L字型アーム23a、23bの質量体25には、リテーナ10の回転によってリテーナ10の回転中心から外側に向かう遠心力が作用しているため、作用部24a、24bがインナーハブ120に押圧した状態となっている。
次に、「クラッチの切断」状態(ドライバーがクラッチレバーを握った状態)では、リテーナ10とインナーハブ120の底面との距離が短くなるので、作用部24a、24bがインナーハブ120から押される状態となる。そうすると、支持部22を中心として質量体25がリテーナ10の回転軸に向かって移動する。このように、「クラッチの切断」状態では、図6に示す「クラッチの接続」状態と比較して、質量体25がリテーナ10の回転軸側に位置するため、慣性に起因する質量体25に作用する遠心力は小さくなる。
以上のように、クラッチ機構100において、「クラッチの接続」状態では、エンジン回転数がある一定の領域より高くなると、遠心荷重の増加によってクラッチレバー操作必要荷重は大きくなる。しかし、一旦クラッチレバーを握ってしまえば、遠心荷重が小さくなるように作用するため、クラッチレバーを握った後に維持する力はそれほど大きいものとはならない。
つまり、自動二輪車が停止する過程では、出力系の回転数の低下に伴って、リテーナ10の回転数も低下し遠心荷重が低下する。そして、自動二輪車が完全に停止した状態では、遠心荷重は作用せず弾性荷重のみが作用した状態となる。したがって、次の発進までにクラッチレバーを握って維持する力は、従来と比較して格段に低減される。
以上で示したように、クラッチ機構100においては、定荷重と可変荷重との合計で滑り不発生限界値を超える値として滑りを防止できるので、定荷重は、最大滑り不発生限界値未満とすることができ、クラッチレバーを握る負担が軽減される。なお、滑り不発生限界値は、摩擦板111とクラッチプレート112との相互間が当接状態で保持されて回転駆動力が伝達されるために必要となる値である。また、最大滑り不発生限界値は、入力系から出力系に伝達される回転駆動力が最大時における滑り不発生限界値である。第1の実施の形態では、最大滑り不発生限界値は、摩擦板111とクラッチプレート112との相互間に滑りを生じさせない押圧力であって、入力系から出力系に伝達される回転駆動力が最大時における摩擦板111とクラッチプレート112との相互間の押圧力の下限値として設定される。
具体的には、プレッシャープレート130が摩擦板111を押圧する定荷重は、好ましくは、最大滑り不発生限界値の60%以上98%以下であり、さらに好ましくは、最大滑り不発生限界値の65%以上95%以下である。また、さらに好ましくは、70%以上90%以下であるが、当該定荷重はこれらの範囲に限定されるものではない。
以上で説明したように、クラッチ機構100によれば、クラッチレバーの操作に要する力を低減すると共に、摩擦板とクラッチプレートとの滑りを防止する圧着力を確保することができる。また、第1の環状部20と第2の環状部30とからリテーナ10を構成し、遠心荷重手段を具備する第1の環状部20をインナーハブ120内に収容するので、スペース効率を向上させることができる。さらに、リテーナ10、ボルト104等以外の部材については、従来のクラッチ機構の部材を使用することができるので、設置コストを低減させることができる。
さらに、1の遠心機構部21を2のL字型アームから構成することによって、リテーナ10が高回転している場合であっても、遠心力を受け止める箇所が2箇所となるので、その力を受ける部分の負担を軽減することができる。また、これにより、遠心機構部21の強度を高めることができる。
[第2の実施の形態]
図9(2)は、本発明の第2の実施の形態に用いられるベースプレート50の平面図である。
図9(2)は、本発明の第2の実施の形態に用いられるベースプレート50の平面図である。
第1の実施の形態の構造は、リテーナ10のL字型アーム23a、23bの作用部24a、24bが、インナーハブ120の底面に対して直接当接して荷重を加えるものである。これに対して、第2の実施の形態は、L字型アーム23a、23bの作用部24a、24bとインナーハブ120の底面との間に、図9(2)に示すような遠心荷重伝達部材としてのベースプレート50を装着させる構造のものである。その他の構造については、第1の実施の形態と同様である。
ベースプレート50は、環状部51と、環状部51の外周縁から外側に向かって延びる複数のプレート部52a、52bとを有する。ベースプレート50は、例えば、ステンレス、スチール等を材料とするものである。
プレート部52a、52bは、インナーハブ120においてL字型アーム23a、23bが当接する部分に対応する形状であると共に、インナーハブ120のリブ123を挟むような形状である。また、各プレート部間の領域には、インナーハブ120のコイルスプリング設置部125の形状に合わせるように間欠部53を設ける。
ベースプレート50を設けることによって、L字型アーム23a、23bの作用部24a、24bがプレート部52a、52bを介してインナーハブ120を付勢することができる。これによって、インナーハブ120が遠心荷重を受ける面積は、L字型アーム23a、23bの作用部24a、24bのみでインナーハブ120を付勢するよりも大きくなる。
したがって、L字型アーム23a、23bの揺動によって発生する遠心荷重を効率良くインナーハブ120に伝えることができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、弾性荷重手段としてダイヤフラムスプリングを使用する構造のものである。その他の構成については、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。
本発明の第3の実施の形態は、弾性荷重手段としてダイヤフラムスプリングを使用する構造のものである。その他の構成については、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。
つまり、本発明は、弾性荷重手段としてコイルスプリングを使用する場合に限られず、ダイヤフラムスプリング等の弾性荷重手段を使用する場合についても適用することができる。
なお、上記各実施の形態においては、油圧式のクラッチ機構について説明したが、リリース機構を使用してクラッチを操作するクラッチ機構等の油圧式以外の他のクラッチ機構に上記各実施の形態を適用することができる。
また、スペーサ60を使用する代わりに、突出部を予め伸ばしたプレッシャープレートを使用するようにしてもよく、または、弾性力を低減させたコイルスプリングを使用するようにしてもよい。
本発明は、自動二輪車、自動四輪車等の自動車のクラッチ機構に適用することができる。
10……リテーナ、
20……第1の環状部、
30……第2の環状部、
40……連結部、
22……支持部、
21……遠心機構部、
23a、23b……L字型アーム、
25……質量体、
24a、24b……作用部、
105……コイルスプリング、
111……摩擦板、
112……クラッチプレート、
113……プレッシャープレート、
114……クラッチアウターケース、
120……インナーハブ、
200……クラッチ機構。
20……第1の環状部、
30……第2の環状部、
40……連結部、
22……支持部、
21……遠心機構部、
23a、23b……L字型アーム、
25……質量体、
24a、24b……作用部、
105……コイルスプリング、
111……摩擦板、
112……クラッチプレート、
113……プレッシャープレート、
114……クラッチアウターケース、
120……インナーハブ、
200……クラッチ機構。
Claims (10)
- 回転駆動力入力系に取り付けられた環状入力部材と、回転駆動力出力系に取り付けられた環状出力部材とを相互に重ね、相互に重ねられた前記環状入力部材と前記環状出力部材とを圧着して前記回転駆動力入力系から前記回転駆動力出力系に動力を伝達し、当該圧着の解除によって当該動力の伝達を切断するクラッチ機構であって、
連結部を介して同心上に配置された第1の環状部と第2の環状部とからなり、前記第1の環状部において環状位置に配列された複数の遠心荷重手段と、前記第1の環状部における前記各遠心荷重手段間の領域に対応する前記第2の環状部の領域に設けられた連結部とを具備する第1の押圧部材と、
前記クラッチ機構の回転軸方向に移動可能に前記環状出力部材を外側面に係止する出力部材であって、前記第1の環状部を底部側とし前記第2の環状部を開口部側として前記第1の押圧部材を収容する収容部と、前記収容部の底部において前記第2の環状部の連結部に対応する位置に設けられた孔とを具備する出力部材と、
前記出力部材の孔を貫通して前記連結部と連結し前記第1の押圧部材を支持する支持部を具備する第2の押圧部材と、
前記第2の環状部と前記出力部材の底部との間に圧縮して配置される弾性荷重手段と、
を有し、
前記第2の押圧部材と前記出力部材との間に前記環状入力部材と前記環状出力部材とが配置され、
前記遠心荷重手段は、前記第1の押圧部材の回転に応じて前記出力部材の底部を押圧する押圧荷重を発生させる手段であり、
前記遠心荷重手段と前記弾性荷重手段とによって、相互に重ねられた前記環状入力部材と前記環状出力部材とを圧着する押圧力を発生させることを特徴とするクラッチ機構。 - エンジン側のクランクシャフトに連結された環状入力部材と、トランスミッション入力軸に取り付けられた環状出力部材とを、回転駆動力入力系に取り付けられた環状入力部材と、回転駆動力出力系に取り付けられた環状出力部材とを、第1の押圧部材を収容する出力部材の外側面に回転軸方向に移動可能に相互に重ね、相互に重ねられた前記環状入力部材と前記環状出力部材とを、前記出力部材の孔を貫通して前記第1の押圧部材を支持する支持部を具備する第2の押圧部材によって圧着して前記回転駆動力入力系から前記回転駆動力出力系に動力を伝達し、当該圧着の解除によって当該動力の伝達を切断するクラッチ機構であって、
前記第1の押圧部材は、連結部を介して同心上に配置された第1の環状部と第2の環状部とからなり、前記第1の環状部において環状位置に配列された複数の遠心荷重手段と、前記第1の環状部における前記各遠心荷重手段間の領域に対応する前記第2の環状部の領域に設けられ前記支持部と連結する連結部とを具備し、前記第1の環状部を底部側とし前記第2の環状部を開口部側として前記出力部材の収容部に収容され、
前記第2の環状部と前記出力部材の収容部の底部との間には弾性荷重手段が圧縮して配置され、
前記遠心荷重手段は、前記第1の押圧部材の回転に応じて前記出力部材の底部を押圧する押圧荷重を発生させる手段であり、
前記遠心荷重手段と前記弾性荷重手段とによって、相互に重ねられた前記環状入力部材と前記環状出力部材とを圧着する押圧力を発生させることを特徴とするクラッチ機構。 - 前記遠心荷重手段は、前記第1の環状部において環状位置に配列された複数の支持部と、前記第1の環状部を貫通し当該支持部に支持されて揺動可能なL字型アームに前記第2の環状部側の一端部に形成された質量体と反対側に備え付けられた作用部とを具備する揺動部材とからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクラッチ機構。
- 前記各作用部と前記出力部材の底部との間に遠心荷重伝達部材が配置され、前記各作用部が前記遠心荷重伝達部材を介して前記出力部材を付勢可能にしてなることを特徴とする請求項3に記載のクラッチ機構。
- 前記遠心荷重伝達部材は、環状部と、当該環状部の外周縁から外側に向かって延びる複数のプレート部とを有し、前記プレート部が前記各作用部に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載のクラッチ機構。
- 前記弾性荷重手段はコイルスプリングであり、前記コイルスプリングは前記支持部の周りに設置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のクラッチ機構。
- 前記第2の環状部の前記第1の環状部とは反対側の面が前記出力部材の収容部の開口部よりも内側になるように、前記第1の押圧部材が配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のクラッチ機構。
- 前記出力部材に設けられた各孔の間の領域にはリブが設けられ、
前記揺動部材は1の質量体に対して2のL字型アームを具備し、
当該2のL字型アームは、前記リブを挟むように設置されることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のクラッチ機構。 - 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のクラッチ機構を用いたことを特徴とする自動車。
- 回転駆動力入力系に取り付けられた環状入力部材と、回転駆動力出力系に取り付けられた環状出力部材とを、リテーナを収容する収容部材の外側面に回転軸方向に移動可能に相互に重ね、相互に重ねられた前記環状入力部材と前記環状出力部材とを、前記収容部材の孔を貫通して前記リテーナを支持する支持部を具備するプレッシャープレートによって圧着して前記回転駆動力入力系から前記回転駆動力出力系に動力を伝達し、当該圧着の解除によって当該動力の伝達を切断するクラッチ機構におけるリテーナであって、
連結部を介して同心上に配置された第1の環状部と第2の環状部とからなり、
前記第1の環状部は、回転軸を中心とした環状位置に配列された複数の遠心荷重手段を具備し、
前記第2の環状部は、前記第1の環状部における前記各遠心荷重手段間の領域に対応する領域に設けられた、前記支持部と連結する連結部を具備し、
前記第1の環状部を底部側とし前記第2の環状部を開口部側として前記収容部材の収容部に収容され、
前記遠心荷重手段は、前記リテーナの回転によって前記第2の環状部から前記第1の環状部の方向に押圧荷重を発生させる手段であることを特徴とするリテーナ。
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