JP5290503B2 - 水系顔料分散体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、水系顔料分散体の製造方法及びそれに用いられる滅菌処理槽に関し、詳しくは、微生物による汚染を抑制し、粒径や粘度、pH等の物性変化の少ない安定な水系顔料分散体を製造する方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインクの液滴を記録部材に直接吐出、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易である、安価である、記録部材として普通紙が使用可能である、被印字物に対して非接触である等の数多くの利点があるため普及が著しい。また、使用されるインクは、環境に対して優しい水系のインクが好まれて用いられ、各種の水溶性の染料或いは顔料を水又は水と有機溶剤との混合溶媒の水系インク媒体に溶解乃至分散させた水系顔料分散体の形態のものが盛んに研究開発されている。
しかしながら、水系顔料分散体のインクは、微生物による汚染の危険性があり、微生物に汚染されると物性変化を起こし、ノズルを目詰まりさせる等の不具合を生じさせる虞がある。
そこで、特許文献1及び2には、インクに防腐・防黴剤を配合することが開示されている。
また、特許文献3には、インクジェットプリンター用のインクに抗菌剤を含有させると共に高圧蒸気滅菌処理を施すことが開示されている。
特開平6−234943号公報 特開2004−204074号公報 特開2003−12985号公報
本発明の目的は、微生物による汚染を抑制して、粒径や粘度、pH等の物性変化が少なく、保存安定性に優れた水系顔料分散体を工業的スケールで製造することができる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明は、水系顔料分散体に対し、加熱温度50〜95℃及び加熱時間1〜10時間の加熱滅菌処理を施す水系顔料分散体の製造方法である。
本発明によれば、水系顔料分散体に対して所定条件の加熱滅菌処理を施すので、微生物による汚染が抑制され、それによって粒径や粘度、pH等の物性変化の少ない安定な水系顔料分散体を工業的に製造することができる。そして、それをインクジェット記録用水系インクに用いた場合には、保存安定性に優れると共に、インクジェットプリンターのノズルの目詰まりを防止することができる。
以下、実施形態を詳細に説明する。
本実施形態に係る水系顔料分散体の製造方法は、例えば、インクジェット記録用水系インク用途の水系顔料分散体を製造対象とし、予備分散工程、高圧分散工程、濃縮工程、遠心分離工程及び濾過工程を経て得られた水系顔料分散体に対して加熱滅菌処理を施す加熱滅菌処理工程を備えている。
(水系顔料分散体)
水系顔料分散体は、少なくとも顔料、分散剤、中和剤、防腐・防黴剤、及び、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を含有する。
<顔料>
顔料は、有機顔料及び/又は無機顔料を含んでおり、また、必要に応じて、体質顔料を併せて含んでいてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
また、有機顔料としては、色相が特に限定されるものではなく、例えば、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーンオレンジ有機顔料等の有彩色顔料が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー 13, 17, 74, 83, 97, 109, 110, 120, 128, 139, 151, 154, 155, 174, 180;C.I.ピグメント・レッド 48, 57:1, 122, 146, 176, 184, 185, 188, 202;C.I.ピグメント・バイオレット 19, 23;C.I.ピグメントブルー 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16, 60;C.I.ピグメント・グリーン 7, 36等の各品番製品が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インク用としてカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
顔料は、水系顔料分散体に対して0.5〜24質量%含有されていることが好ましく、1.5〜20質量%含有されていることがより好ましい。
<分散剤>
分散剤としては、例えば、水不溶性ポリマーが挙げられる。
水不溶性ポリマーとしては、例えば、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水系顔料分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
水不溶性ポリマーは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることが好ましく、5g以下であることがより好ましく、1g以下であることがさらに好ましい。なお、この溶解量は、水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合には、その種類に応じて、水不溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
水不溶性ポリマーは、十分な印字濃度を発現させる観点から、水不溶性グラフトポリマーであって、主鎖が、少なくとも塩生成基含有モノマー(a)〔以下(a)成分という〕由来の構成単位と芳香環含有(メタ)アクリレートモノマー(b)〔以下(b)成分という〕由来の構成単位とを含むポリマー鎖であり、側鎖が、少なくとも疎水性モノマー(c)〔以下(c)成分という〕由来の構成単位を含むポリマー鎖であるものが好ましい。また、主鎖には、必要に応じてノニオン性(メタ)アクリレートモノマー(d)〔以下(d)成分という〕が含まれていてもよい。
水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、顔料の分散安定性、耐水性、吐出性等の観点から、90000〜400000であることが好ましい。なお、水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイドを溶解したジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
主鎖が(a)成分由来の構成単位と(b)成分由来の構成単位とを含有することで、塩生成基の運動性を高めることができると考えられる。これにより、製造される水系顔料分散体を用いたインクがノズルから専用紙(写真用紙、光沢紙)上に吐出されたとき、塩生成基の凝集性が緩和されることで印字(印刷)面の平滑性が増し、印字物(印刷物)の光沢性、耐擦過性が向上すると考えられる。
(a)成分である塩生成基含有モノマーとしては、例えば、アニオン性モノマーである不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
(b)成分由来の構成単位としては、例えば、下記式(1)で表される構成単位を有するものが挙げられる。
Figure 0005290503
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基若しくはその置換基を有したもの、又は、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基若しくはその置換基を有したものを示す。)
の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基(フェニルエチル基)、フェノキシエチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等が挙げられる。
上記アリールアルキル基又はアリール基が有してもよい置換基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記置換基の具体例としては、例えば、炭素数1〜9のアルキル基やアルコキシ基やアシロキシ基、水酸基、エーテル基、エステル基、ニトロ基等が挙げられる。
式(1)で表される構成単位は、下記式(1-1)で表されるモノマーを重合することによって得ることができる。
CH=CRCOOR (1−1)
(式中、R、Rは、上記式(1)と同じである。)
具体的には、式(1−1)で表される化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-ナフタリルアクリレート、2-ナフタリル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p-ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート等が挙げられる。これらの中では、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水不溶性グラフトポリマーは、側鎖に疎水性モノマー(c)由来の構成単位を含んでいると、顔料を充分に水不溶性グラフトポリマー粒子に含有し、印字濃度を向上させることができる。
側鎖における(c)成分由来の構成単位の含有量は、顔料を充分に水不溶性グラフトポリマー粒子に含有し、印字濃度を向上させる等の観点から、60質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
疎水性モノマー(c)としては、例えば、ビニル系モノマーが挙げられ、特にスチレン系モノマーが好ましい。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらの中ではスチレンが好ましい。
スチレン系モノマー由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー(以下、スチレン系マクロマーという)を共重合することにより得ることができる。スチレン系マクロマーの数平均分子量は、顔料への吸着性能を高め保存安定性を向上させる観点及び水系顔料分散体の粘度を低く抑える観点から、1000〜10000が好ましく、2000〜8000が更に好ましい。
分散剤は、水系顔料分散体に対して0.2〜15質量%含有されていることが好ましく、0.6〜12.5質量%含有されていることがより好ましい。
<中和剤>
中和剤としては、分散剤が水不溶性グラフトポリマーである場合、その塩生成基の種類に応じて、それを中和する酸又は塩基が選択されて用いられる。
塩生成基がアニオン性である場合、塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、塩生成基の中和度としては10〜400%が好ましく、30〜250%がより好ましい。
<防腐・防黴剤>
防腐・防黴剤としては、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒に対して相溶性がよく、混合や希釈した時に白濁や変質、増粘、ゲル化を起こさず、熱やpHに対して安定性のよいものが用いられ、例えば、イソチアゾール誘導体の1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン(商品名:プロキセル)等が挙げられる。
防腐・防黴剤は、水系顔料分散体、或いは、最終製品の水系インクに対して、防腐性能の観点から、50〜2000mg/kg含有されていることが好ましく、100〜1000mg/kg含有されていることがより好ましい。
防腐・防黴剤は、加熱滅菌処理工程において、加熱滅菌処理前に添加することが好ましい。
<溶剤>
溶媒は、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒である。
溶媒は、通常印字濃度、吐出安定性等の観点から、水系顔料分散体の固形分濃度が1〜30質量%、好ましくは3〜25質量%となるようにその量が調整される。
混合溶媒における水溶性有機溶剤としては、例えば、湿潤剤や粘度調整剤としての多価アルコールのグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
<任意成分>
水系顔料分散体は、その他、浸透剤、分散剤、消泡剤、防錆剤等を含有していてもよい。
(加熱滅菌処理工程)
<処理方法>
水系顔料分散体の加熱滅菌処理を、製造工程の最終段階で、連続方式の操作、或いは、バッチ方式の操作によって行う。但し、製造される水系顔料分散体は確実な滅菌処理、正確な配合・調製が求められるという観点から、加熱滅菌処理をバッチ方式の操作によって行うことが好ましい。また、このとき同時に、濃度調整やpH調整、湿潤剤や防腐・防黴剤等の添加を併せて行ってもよい。
以下、加熱滅菌処理をバッチ方式で行う場合について説明する。
図1は、加熱滅菌処理を行うために用いられる滅菌処理槽10の一例を示す。
この滅菌処理槽10は、槽本体11の容量が30〜30000Lであり、槽本体11内を攪拌するための攪拌装置12と槽本体11内を加熱するための加熱装置13とを備えている。
槽本体11は、付着物や汚れが残りにくいという観点から、槽内部がJIS規格のバフ研磨#320相当以上に表面仕上げ加工されていることが好ましい。
また、槽本体11は、仕込み口11a及び抜き出し口11bを有し(図1では、仕込み口11aが槽上部に抜き出し口11bが槽下部にそれぞれ設けられている。)、仕込み口11aには、仕込み経路20が接続されている一方、抜き出し口11bには、抜き出し経路30が接続されている。
攪拌装置12は、特に限定されるものではないが、水系顔料分散体を均一混合及び均一加熱できるものであればよい。
加熱装置13は、内部コイル方式や外部循環方式による加熱装置を用いてもよいが、付着物が少なく、また、溜まりやデッドスペースが少ないという観点から、図1に示すようなシンプルなジャケットタイプのものが好ましい。
また、加熱媒体としては、特に限定はなく、蒸気や温水を用いることができるが、温和な加熱ができる観点から温水を用いることが好ましい。商業生産や工業的レベルで水系顔料分散体を製造する場合、滅菌処理槽10や配管には、一般的に、プラスチック製やガラス製の部材ではなく、熱伝導率の高いステンレス製部材、例えば、SUS304やSUS316といった部材が使用される。温和な加熱ができる温水を用いることで、ステンレス製の滅菌処理槽10内や配管への付着物の形成を防止でき、かつ局所的な加熱による粒径の増大や濾過性の低下も抑制することができる。加熱滅菌処理工程は最終工程であり、所望の水系顔料分散体を得るには、その物性変化や固形分変化、装置への付着等を防止することが好ましい。
<仕込み>
水系顔料分散体を滅菌処理槽に仕込む。
このとき、仕込み口における水系顔料分散体の流速を10m/s以下に設定することが好ましく、5m/s以下に設定することがより好ましい。
工業的レベルで水系顔料分散体を加熱滅菌処理するためには、滅菌処理槽に仕込んだ水系顔料分散体全量に対して確実に加熱滅菌処理を施すことが重要であり、加熱が不十分となったり、加熱したものと未加熱のものとが接触したり、或いは、加熱したものに未加熱のものが混入したりするのを回避する必要がある。そのためには、水系顔料分散体を滅菌処理槽に仕込む際に、水系顔料分散体の飛散やミスト化を防ぐことが有効である。上記のように、仕込み口における水系顔料分散体の流速を10m/s以下とすれば、水系顔料分散体の飛散やミスト化が有効に防がれ、そのため仕込む水系顔料分散体全量に加熱滅菌処理を施すことができ、菌が残存する可能性を極めて低くすることができる。
また、水系顔料分散体を滅菌処理槽の槽下部、つまり、槽底から仕込むことが好ましい。このようにすれば、水系顔料分散体の飛散やミスト化を有効に防ぐことができる。この場合、仕込み口が槽下部に設けられた滅菌処理槽を用い、水系顔料分散体の仕込量を、液位が加熱装置のジャケット上端位置よりも下方に位置付けられるように設定すればよい。また、この場合も、水系顔料分散体の飛散やミスト化を有効に防ぐために、仕込み口における水系顔料分散体の流速を10m/s以下に設定することが好ましく、5m/s以下に設定することがより好ましい。さらに、仕込み口の送液圧についても液深圧のρgh[Pa](ρ:分散液の比重[kg/m]、g:重力加速度[m/s]、h:液深[m])を加えて、0.05+ρgh×10−6[MPa]以下に設定することが好ましく、0.02+ρgh×10−6[MPa]以下に設定することがより好ましい。
仕込みの際に水系顔料分散体の飛散やミスト化を防ぐ手段として、水系顔料分散体の噴出方向が滅菌処理槽の内壁に対して45°の角度となるように仕込みノズルを取り付け、水系顔料分散体を滅菌処理槽の内壁に衝突させ、内壁を伝わせて仕込む方法、或いは、仕込みノズルとして、滅菌処理槽の槽上部に設けられた仕込み口から槽下部まで延びるように形成されたものを用いる方法も適用することができる。
なお、前段の工程から水系顔料分散体を滅菌処理槽に仕込むときの送液方法としては、例えば、ポンプ等の流体輸送機器を用いる方法、重力を利用する方法、空気や窒素等のガスを用いて加圧により圧送する方法、滅菌処理槽側を真空引きして減圧することにより送液する方法等が挙げられる。加圧、或いは、減圧により送液する方法を用いる場合には、送液の最後及び配管内溜まりの液押し/液吸引を行うときに、配管径にもよるが、設定圧力を−0.05〜+0.05MPaの範囲とするのが好ましく、−0.02〜+0.02MPaの範囲とするのがより好ましい。このようにすれば、液の飛散を効果的に抑制することができる。
また、滅菌処理槽に水系顔料分散体以外の水や水溶性有機溶剤、防腐・防黴剤その他の成分を仕込むときにも、液の飛散を抑制する観点から、流速を10m/s以下に設定することが好ましく、5m/s以下に設定することがより好ましい。仕込みの順序に関しては、特に限定されるものではなく、プレ配合槽で調製を行って最終形態としてもよいし、滅菌処理槽で調製を行ってもよい。
<処理条件>
滅菌処理槽の槽本体を加熱装置で加熱することにより、仕込んだ水系顔料分散体に対して加熱滅菌処理を施す。
加熱温度は、50〜95℃であり、60〜90℃とすることがより好ましい。50℃未満の場合、加熱滅菌の効果が小さく、また、95℃を超えてくると水の沸点(大気圧下:101.3kPa)近傍となり固形分が変化したり、気液界面付近に付着物を形成させてしまう。また、粒径を増大させてしまうこともある。
加熱媒体の温度は水系顔料分散体の加熱温度に対して、少なくとも+2〜3℃程度高くなるように52〜100℃の範囲となるように調節することが好ましい。
加熱時間は、1〜10時間であり、1〜5時間とすることがより好ましい。1時間未満の場合、加熱滅菌の効果が小さく、また、10時間を越えてくると熱履歴時間が長くなり、粒径が増大する場合もある。
<抜き出し>
加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を滅菌処理槽から抜き出して回収し、製品容器に充填する。
このとき、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体の抜き出しを、滅菌処理槽の仕込み経路とは異なる抜き出し経路から行うことが好ましい。このようにすれば、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体に仕込み経路のバルブや配管に残っていた未加熱の水系顔料分散体が混入する可能性が極めて低く、そのため高い加熱滅菌の効果を得ることができる。この場合、仕込み経路と抜き出し経路とが異なる滅菌処理槽を用いればよい。
また、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を滅菌処理槽から未冷却のまま抜き出し、抜き出し経路で冷却して回収することが好ましい。このようにすれば、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体は加熱滅菌温度に保持されているため凝縮しにくく、仮に滅菌処理槽内で未加熱の水系顔料分散体の滴が混入したとしても、加熱滅菌温度に保持されているため菌の生存は難しくなる。この場合、抜き出し経路に冷却器が介設された滅菌処理槽を用いればよい。
なお、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を充填する製品容器の耐熱性や耐圧性、製品の品質、安全面等を考慮すると、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を一般的には40℃以下に冷却することが好ましく、30℃以下に冷却することがより好ましい。
以上のような水系顔料分散体の製造方法によれば、水系顔料分散体に対して所定条件の加熱滅菌処理を施すので、微生物による汚染が抑制され、それによって粒径や粘度、pH等の物性変化の少ない安定な水系顔料分散体を工業的に製造することができる。そして、製造された水系顔料分散体は、インクジェット記録用水系インクに用いられた場合、保存安定性に優れると共に、インクジェットプリンターのノズルの目詰まりを防止することができる。
なお、上記「工業的スケール」とは、滅菌処理槽の容量が30L以上での場合を意味し、研究室や実験室レベルで少量の水系顔料分散体や水系インクを配合・調製・滅菌する場合を意味するものではない。本来、使用する原料や水等に菌が存在しなければ、滅菌処理を施す必要はないが、現実には使用する水の仕込みラインに除菌フィルターを設置しても、その2次側で菌が検出されることはよくあることである。また、完全密閉系でのプロセスであれば、空気中からの菌の混入は防げるが、水系顔料分散体のような固液分散系では、その工程途中に粗大粒子の除去を目的としたろ過を実施することが多く、フィルターが閉塞すれば当然にその交換作業が発生し、そのため完全密閉系のプロセスではなくなる。このように工業的スケールで水系顔料分散体を製造する場合、少なからず菌が混入してしまう可能性が多い。しかしながら、上記の水系顔料分散体の製造方法によれば、仮に製造工程の途中で菌が混入しても、最終段階にて確実な加熱滅菌処理を行うことで、菌の増殖を抑制し、それによって保存安定性に優れた製品を得ることができる。
(ポリマーの合成)
300L反応容器内に、メチルエチルケトン4.91kg、重合連鎖移動剤(2-メルカプトエタノール)18.6g及び表1に示すモノマー混合物120kgの10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下槽に、表1に示すモノマー混合物の残りの90%を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)167g、メチルエチルケトン44.2kg及び2,2’-アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.09kgを入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下槽中の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了から75℃に保温したまま2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.98kgをメチルエチルケトン13.1kgに溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの重量平均分子量を、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数:12):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800
・スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
Figure 0005290503
(水系顔料分散体の調製)
参考例1>
300L撹拌混合槽において、上記で合成したポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー6.7kgをメチルエチルケトン37.9kgに溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)1.52kg(中和度75%)及びイオン交換水113kg加えて塩生成基を中和し、乳化組成物を得た。そして、マゼンタ顔料:無置換キナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19〔PV19〕、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Hostaperm Red E5B02)20kgを加え、ディスパー翼で20℃、1時間混合して予備分散体を得た。
次に、得られた予備分散体179kgを高圧分散機(Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー)を用いて、180MPa、10パスの微粒化分散処理を行った。
そして、得られた分散体にイオン交換水89.7kgを加え、攪拌した後、減圧下、60℃の温水でメチルエチルケトンと一部の水を留去し、さらに5μmフィルター(材質:ポリプロピレン、日本ポール株式会社製、商品名:プロファイルスター)を用いて粗大粒子を除去して、固形分濃度25%の水系顔料分散体を得た。
図1は、参考例1で用いた装置の構成を示す。
参考例1で用いた装置では、滅菌処理槽10は、槽本体11の容量が30Lであり、槽本体11内を攪拌するための攪拌装置12と槽本体11内を加熱するためのジャケットタイプの加熱装置13とを備えている。滅菌処理槽10の槽上部に設けられた仕込み口11aには、仕込み経路20が接続されており、滅菌処理槽10の槽下部(槽底)に設けられた抜き出し口11bからは、抜き出し経路30が延びている。
以上の構成の装置において、上記の25%水系顔料分散体10kg、イオン交換水2.47kg、グリセリン1.25kg及びプロキセルXL−2を0.029kg加えて18.2%に濃度調製し、撹拌しながら加熱装置13に52℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温50℃到達後、水系顔料分散体に対して1時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
参考例2>
参考例1と同じ装置の構成において、同固形分濃度25%水系顔料分散体10kg、イオン交換水2.47kg、グリセリン1.25kg及びプロキセルXL−2を0.029kg加えて18.2%に濃度調製し、撹拌しながら加熱装置13に52℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温50℃到達後、水系顔料分散体に対して2時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
参考例3>
参考例1と同じ装置の構成において、同固形分濃度25%水系顔料分散体10kg、イオン交換水2.47kg、グリセリン1.25kg及びプロキセルXL−2を0.029kg加えて18.2%に濃度調製し、撹拌しながら加熱装置13に72℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温70℃到達後、水系顔料分散体に対して1時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
参考例4>
参考例1と同じ装置の構成において、同固形分濃度25%水系顔料分散体10kg、イオン交換水2.47kg、グリセリン1.25kg及びプロキセルXL−2を0.029kg加えて18.2%に濃度調製し、撹拌しながら加熱装置13に93℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温90℃到達後、水系顔料分散体に対して2時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
参考例5
参考例1と同じ装置の構成において、同固形分濃度25%水系顔料分散体10kg、イオン交換水2.47kg、グリセリン1.25kg及びプロキセルXL−2を0.029kg加えて18.2%に濃度調製し、撹拌しながら加熱装置13に52℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温50℃到達後、水系顔料分散体に対して0.5時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
参考例6
参考例1と同じ装置の構成において、同固形分濃度25%水系顔料分散体10kg、イオン交換水2.47kg、グリセリン1.25kg及びプロキセルXL−2を0.029kg加えて18.2%に濃度調製し、撹拌しながら加熱装置13に93℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温90℃到達後、水系顔料分散体に対して12時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
参考例7
図2は、参考例7で用いた装置の構成を示す。
参考例7で用いた装置では、滅菌処理槽10は、槽本体11の容量が300Lであり、槽本体11内を攪拌するための攪拌装置12と槽本体11内を加熱するためのジャケットタイプの加熱装置13とを備えている。滅菌処理槽10の槽上部に設けられた仕込み口11aには、300Lプレ配合槽40の槽下部から延びる仕込み経路20が接続されており、仕込み経路20には移送ポンプ50が介設されている。滅菌処理槽10の槽下部(槽底)に設けられた抜き出し口11bからは、抜き出し経路30が延びている。
以上の構成の装置において、参考例1において調製した25%水系顔料分散体100kgを300Lプレ配合槽40に仕込み、イオン交換水24.7kg、グリセリン12.5kg及びプロキセルXL−2を0.29kg加えて18.2%に濃度調製し、その水系顔料分散体を移送ポンプ50により仕込み経路20を介して滅菌処理槽10に仕込んだ。
次に、撹拌しながら、加熱装置13に72℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温70℃到達後、水系顔料分散体に対して1時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
<実施
図3は、実施で用いた装置の構成を示す。
実施例で用いた装置では、滅菌処理槽10の槽下部(槽底)に設けられた仕込み口11aには、300Lプレ配合槽40の槽下部から延びる仕込み経路20が接続されている。滅菌処理槽10の槽下部(槽底)に設けられた抜き出し口11bからは、抜き出し経路30が延びており、その抜き出し経路30にはプレート型の冷却器60が介設されている。300Lプレ配合槽40の槽上部には、槽内加圧手段70が接続されている。その他の構成は参考例7のものと同一である。
以上の構成の装置において、参考例1において調製した25%水系顔料分散体100kgを300Lプレ配合槽40に仕込み、イオン交換水24.7kg、グリセリン12.5kg及びプロキセルXL−2を0.29kg加えて18.2%に濃度調製し、その水系顔料分散体を仕込み経路20に充液した後、槽内加圧手段70で300Lプレ配合槽40の槽内を加圧することにより、液送圧0.015MPaで圧送して滅菌処理槽10に仕込んだ。移送終了後、仕込み経路20に液たまりのないように送液圧の0.015MPaの圧力で十分に液押しを行った。その際、槽上部や天板にまで液が跳ね返ることはなく、槽内はマイルドなバブリング状態であった。
次に、撹拌しながら、加熱装置13に72℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温70℃到達後、水系顔料分散体に対して1時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を冷却せずに、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出し、冷却器60で冷却しながら充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
比較例>
図4は、比較例で用いた装置の構成を示す。
比較例で用いた装置では、滅菌処理槽10の槽上部に設けられた仕込み口11aには、300Lプレ配合槽40の槽下部から延びる仕込み経路20が接続されている。300Lプレ配合槽40の槽上部には、槽内加圧手段70が接続されている。その他の構成は参考例7のものと同一である。
以上の構成の装置において、参考例1において調製した25%水系顔料分散体100kgを300Lプレ配合槽40に仕込み、イオン交換水24.7kg、グリセリン12.5kg及びプロキセルXL−2を0.29kg加えて18.2%に濃度調製し、その水系顔料分散体を仕込み経路20に充液した後、槽内加圧手段70で300Lプレ配合槽40の槽内を加圧することにより、液送圧0.19MPaで圧送して滅菌処理槽10に仕込んだ。移送終了後、仕込み経路20に液たまりのないように送液圧の0.19MPaの圧力で十分に液押しを行った。
次に、撹拌しながら、加熱装置13に72℃の温水を流通させて槽本体11内の昇温を行い、槽内温70℃到達後、水系顔料分散体に対して1時間の加熱滅菌処理を行った。
そして、加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を槽本体11内で冷却した後、抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
参考例8
図5は、参考例8で用いた装置の構成を示す。
参考例8で用いた装置は、構成自体は参考例7で用いたものと同一である。
以上の構成の装置において、参考例1において調製した25%水系顔料分散体100kgを300Lプレ配合槽40に仕込み、イオン交換水24.7kg、グリセリン12.5kg及びプロキセルXL−2を0.29kg加えて18.2%に濃度調製し、その水系顔料分散体を移送ポンプ50により仕込み経路20を介して滅菌処理槽10に仕込んだ。
次に、加熱滅菌処理を行わずに1時間攪拌混合した。
そして、水系顔料分散体を抜き出し口11bから抜き出し経路30を介して抜き出して充填操作を行い、その充填の途中にサンプリングを行った。
(試験評価方法)
<菌検査>
参考例1〜6のそれぞれでサンプリングした水系顔料分散体について、製造直後の菌検査を行った。また、実施例及び比較例並びに参考例7及び8のそれぞれでサンプリングした水系顔料分散体について、製造直後及び製造後6ヶ月経過後のそれぞれの菌検査を行った。菌検査は、塗抹平板培養法により観察される一般細菌の生菌数により以下の評価を行った。
I :100CFU/g未満
II :100CFU/g以上1000CFU/g未満
III:1000CFU/g以上
<平均粒径>
参考例1〜6のそれぞれでサンプリングした水系顔料分散体について、大塚電子(株)製、レーザー粒子解析システムELS−8000を用いて、製造直後の平均粒径を測定し、以下の評価を行った。
I :110nm未満
II :110nm以上120nm未満
III:120nm以上
<粒径変化>
実施例及び比較例並びに参考例7及び8のそれぞれでサンプリングした水系顔料分散体について、大塚電子(株)製、レーザー粒子解析システムELS−8000を用いて、製造直後及び製造後6ヶ月経過後のそれぞれの平均粒径を測定した。そして、製造直後の平均粒径(100%とする。)に対する6ヶ月後の平均粒径をその変化率として以下の評価を行った。
I :±2%未満
II :±2%以上5%未満
III:±5%以上
<粘度変化>
実施例及び比較例並びに参考例7及び8のそれぞれでサンプリングした水系顔料分散体について、東機産業(株)製、RE80L型粘度計(ローター1)を用いて、製造直後及び製造後6ヶ月経過後のそれぞれの20℃で100r/minにおける粘度を測定した。そして、製造直後の粘度(100%とする。)に対する6ヶ月後の粘度をその変化率として以下の評価を行った。
I :±2%未満
II :±2%以上5%未満
III:±5%以上
<pH測定>
実施例及び比較例並びに参考例7及び8のそれぞれでサンプリングした水系顔料分散体について、東亜DKK(株)製、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(型式:HM−60G)を用いて、製造直後及び製造後6ヶ月経過後のそれぞれのpH値を測定した。そして、製造直後のpH値(100%とする)に対する6ヶ月後のpH値をその変化率として以下の評価を行った。
I :±2%未満
II :±2%以上5%未満
III:±5%以上
(試験評価結果)
表2及び3は、試験評価結果を示す。
Figure 0005290503
Figure 0005290503
これによれば、加熱滅菌処理を施した実施例及び比較例並びに参考例7及び8の水系顔料分散体では、製造直後も製造後6ヶ月経過後もいずれも菌が少なく、平均粒径、粘度及びpHも変化が少ないのに対し、加熱滅菌処理を施さなかった参考例8の水系顔料分散体では、製造直後は菌が少ないものの製造後6ヶ月経過後には菌が多く、平均粒径及びpHも変化が大きいことが分かる。
以上に説明したように、本発明は、水系顔料分散体の製造方法について有用である。
滅菌処理槽の一例であって、参考例1〜6で用いた装置の構成図である。 参考例7で用いた装置の構成図である。 実施例で用いた装置の構成図である。 比較例で用いた装置の構成図である。 参考例8で用いた装置の構成図である。
符号の説明
10 滅菌処理槽
11a 仕込み口
11b 抜き出し口
20 仕込み経路
30 抜き出し経路
60 冷却器

Claims (9)

  1. 滅菌処理槽内において、水系顔料分散体に対し、加熱温度50〜95℃及び加熱時間1〜10時間の加熱滅菌処理をバッチ方式で施す水系顔料分散体の製造方法であって、
    上記水系顔料分散体を上記滅菌処理槽に槽から10m/s以下の流速で仕込む水系顔料分散体の製造方法。
  2. 上記加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を、上記滅菌処理槽の仕込み経路とは異なる抜き出し経路から抜き出す請求項1に記載された水系顔料分散体の製造方法。
  3. 上記加熱滅菌処理済みの水系顔料分散体を、上記滅菌処理槽から未冷却のまま抜き出し、抜き出し経路で冷却して回収する請求項1又は2に記載された水系顔料分散体の製造方法。
  4. 上記水系顔料分散体が少なくとも顔料、分散剤、中和剤及び水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を含有している請求項1乃至3のいずれかに記載された水系顔料分散体の製造方法。
  5. 上記分散剤が水不溶性ポリマーである請求項4に記載された水系顔料分散体の製造方法。
  6. 上記水系顔料分散体が防腐・防黴剤を含有している請求項1乃至5のいずれかに記載された水系顔料分散体の製造方法。
  7. 製造される水系顔料分散体の用途がインクジェット記録用水系インクである請求項1乃至6のいずれかに記載された水系顔料分散体の製造方法。
  8. 上記水系顔料分散体を上記滅菌処理槽に仕込む際の送液圧を、液深圧をρgh[Pa](ρ:分散液の比重[kg/m3]、g:重力加速度[m/s2]、h:液深[m])として、0.05+ρgh×10-6[MPa]以下に設定する請求項1乃至7のいずれかに記載された水系顔料分散体の製造方法。
  9. 上記水系顔料分散体が、顔料、分散剤、中和剤、及び水を含み、分散工程の後に濾過工程を経て得られたものである請求項1乃至8のいずれかに記載された水系顔料分散体の製造方法。
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