JP4906453B2 - 水系顔料分散体製造装置の洗浄方法 - Google Patents

水系顔料分散体製造装置の洗浄方法 Download PDF

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本発明は、インクジェットインク用として好適に用いられる水系顔料分散体の製造装置の洗浄方法及びそれに用いられる洗浄剤に関する。詳しくは、異なる原料を用いる2種以上の水系顔料分散体を1つの製造装置を用いて製造する場合の色替え時や品種切り替え時等における製造装置の洗浄方法及びそれに用いられる洗浄剤に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインクの液滴を記録部材に直接吐出、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易である、安価である、記録部材として普通紙が使用可能である、被印字物に対して非接触である等の数多くの利点があるため普及が著しい。また、使用されるインクは、環境に対して優しい水系のインクが好まれて用いられ、各種の水溶性の染料或いは顔料を水又は水と有機溶剤との混合溶媒の水系インク媒体に溶解乃至分散させた水系顔料分散体の形態のものが実用化されている。
ところで、水系顔料分散体を製造する場合、混合工程、分散工程、濃縮工程、各種添加物を添加する調整工程などの多くの工程がある。そして、これらの各工程において、製造装置の槽内壁、攪拌機、配管などには顔料や分散剤などが付着する。異なる原料を用いる2種以上の水系顔料分散体を1つの製造装置を用いて製造する場合、製造装置に一の品種の製品の付着物が残っていると、それが他の品種の製品を汚染してしまう危険性があり、それによって製品である水系顔料分散体が所定の性能を発現しない虞もある。そのため、2種以上の水系顔料分散体を1つの製造装置を用いて製造する場合、一の品種の製品の製造が終了した後、他の品種の製品を製造する前に、水系顔料分散体製造装置を洗浄して付着物を除去する必要がある。
水系顔料分散体製造装置の洗浄方法としては、例えば、高圧水を噴射する方法、有機溶剤を用いて手洗いする方法、乳酸アルキルエステルやアセト酢酸エステルのような非ハロゲン系の溶剤を主成分とした洗浄剤で洗浄する方法が挙げられる(特許文献1及び2参照)。
特開平3−41170号公報 特開2005−120389号公報
しかしながら、高圧水を噴射する方法では、強固に付着した水不溶性の分散剤や顔料等を除去することは困難である。
有機溶剤を用いて手洗いする方法では、付着物の除去には有効な方法であるが、工業的スケールの製造装置に適用するには必要となる労力が大きく、また、安全面での対策を講じる必要もあり、実質的に実施することが不可能である。
乳酸アルキルエステルやアセト酢酸エステルのような非ハロゲン系の溶剤を主成分とした洗浄剤で洗浄する方法では、安全性は高いものの、溶剤の沸点が高いために複雑な製造装置内に洗浄剤が残留しやすく、洗浄剤の水系顔料分散体への汚染が懸念される。
本発明の目的は、2種以上の水系顔料分散体を1つの製造装置を用いて工業的スケールで製造する場合でも、洗浄の際に水系顔料分散体製造装置に付着した付着物を速やかに除去することができるようにすることである。
上記目的を達成する本発明は、酸型の水不溶性ポリマーを分散剤として含む水系顔料分散体の製造装置の洗浄方法であって、
水系顔料分散体製造装置における水系顔料分散体が接触する部分を、炭素数6〜12の有機溶剤を含む洗浄剤で洗浄する炭素数6〜12の有機溶剤洗浄工程及び/又はアルカリ剤を含んだアルカリ系溶液からなる洗浄剤で洗浄するアルカリ系溶液洗浄工程を備える。
そして、それに用いる本発明の洗浄剤としては、炭素数6〜12の有機溶剤を含有する洗浄剤、上記分散剤を溶解する炭素数1〜5の溶剤の第1液とアルカリ水の第2液との混合溶液からなる洗浄剤が挙げられる。
本発明によれば、炭素数6〜12の有機溶剤を含む洗浄剤及び/又はアルカリ剤を含んだアルカリ系溶液からなる洗浄剤で洗浄するので、2種以上の水系顔料分散体を1つの製造装置を用いて工業的スケールで製造する場合でも、品種替え等における洗浄の際に水系顔料分散体製造装置に付着した付着物を速やかに除去することができる。従って、これにより、異なる製品間相互の汚染が抑制され、安定した品質の水系顔料分散体を工業的に製造することができる。
以下、実施形態を詳細に説明する。
(水系顔料分散体製造装置)
図1は、本実施形態に係る水系顔料分散体製造装置10を示す。
この水系顔料分散体製造装置10は、材料供給側から製品回収側に向かって順に、予備分散槽11、濃縮槽12、及び製品化槽13が設けられている。
予備分散槽11の流入口には材料供給部14が設けられている。
予備分散槽11の排出口からは循環管15が構成されている。循環管15には、送液ポンプ16および、ビーズミル17が順に介設されている。循環管15のポンプ16とビーズミル17との間の部分からは分岐配管18が延びて濃縮槽12の流入口に接続されている。
濃縮槽12の排出口からは配管が延びて製品化槽13の流入口に接続されている。この配管にはろ過フィルター20が介設されている。
製品化槽13の排出口からは配管が延びて製品回収部21に接続されている。
予備分散槽11、濃縮槽12、及び製品化槽13は、いずれも攪拌翼を有する攪拌機を備えている。また、予備分散槽11、濃縮槽12及び製品化槽13は、温調用ジャケットを備えている。予備分散槽11は、例えば、容量が300〜2000Lである。濃縮槽12は、例えば、容量が300〜2000Lである。製品化槽13は、例えば、容量が300〜2000Lである。
この水系顔料分散体製造装置10では、1バッチ当たり200〜1500Lの水系顔料分散体を製造することができる。
(水系顔料分散体の原材料)
上記水系顔料分散体製造装置10で製造する水系顔料分散体の原材料は、少なくとも顔料、酸型の水不溶性ポリマーの分散剤、中和剤、防腐・防黴剤、及び、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を含有する。
<顔料>
顔料は、有機顔料及び/又は無機顔料を含んでおり、また、必要に応じて、体質顔料を併せて含んでいてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
また、有機顔料としては、色相が特に限定されるものではなく、例えば、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーンオレンジ有機顔料等の有彩色顔料が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー13, 17, 74, 83, 97, 109, 110, 120, 128, 139, 151, 154, 155, 174, 180;C.I.ピグメント・レッド48, 57:1, 122, 146, 176, 184, 185, 188, 202;C.I.ピグメント・バイオレット19, 23;C.I.ピグメントブルー15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16, 60;C.I.ピグメント・グリーン7, 36等の各品番製品が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インク用としてカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
顔料は、水系顔料分散体に対して0.5〜24質量%含有されていることが好ましく、1.5〜20質量%含有されていることがより好ましい。
<分散剤>
分散剤は、酸型の水不溶性ポリマーである。
かかる酸型の水不溶性ポリマーの分散剤としては、例えば、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水系顔料分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
分散剤は、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることが好ましく、5g以下であることがより好ましく、1g以下であることがさらに好ましい。なお、この溶解量は、分散剤を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
分散剤は、顔料の分散安定性、耐水性、吐出性等の観点から、重量平均分子量が90000〜400000であることが好ましい。なお、分散剤の重量平均分子量は、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイドを溶解したジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
分散剤は、水系顔料分散体に対して0.2〜15質量%含有されていることが好ましく、0.6〜12.5質量%含有されていることがより好ましい。
分散剤は、十分な印字濃度を発現させる観点から、水不溶性グラフトポリマーであって、主鎖が、少なくとも塩生成基含有モノマー(a)〔以下(a)成分という〕由来の構成単位と芳香環含有(メタ)アクリレートモノマー(b)〔以下(b)成分という〕由来の構成単位とを含むポリマー鎖であり、側鎖が、少なくとも疎水性モノマー(c)〔以下(c)成分という〕由来の構成単位を含むポリマー鎖であるものが好ましい。また、主鎖には、必要に応じてノニオン性(メタ)アクリレートモノマー(d)〔以下(d)成分という〕が含まれていてもよい。
分散剤の主鎖が(a)成分由来の構成単位と(b)成分由来の構成単位とを含有することで、塩生成基の運動性を高めることができると考えられる。これにより、製造される水系顔料分散体を用いたインクがノズルから専用紙(写真用紙、光沢紙)上に吐出されたとき、塩生成基の凝集性が緩和されることで印字(印刷)面の平滑性が増し、印字物(印刷物)の光沢性、耐擦過性が向上すると考えられる。
(a)成分である塩生成基含有モノマーとしては、例えば、アニオン性モノマーである不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
(b)成分由来の構成単位としては、例えば、下記式(1)で表される構成単位を有するものが挙げられる。
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基若しくはその置換基を有したもの、又は、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基若しくはその置換基を有したものを示す。)
の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基(フェニルエチル基)、フェノキシエチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等が挙げられる。
上記アリールアルキル基又はアリール基が有してもよい置換基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記置換基の具体例としては、例えば、炭素数1〜9のアルキル基やアルコキシ基やアシロキシ基、水酸基、エーテル基、エステル基、ニトロ基等が挙げられる。
式(1)で表される構成単位は、下記式(2)で表されるモノマーを重合することによって得ることができる。
CH=CRCOOR (2)
(式中、R、Rは、上記式(1)と同じである。)
具体的には、式(2)で表される化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-ナフタリルアクリレート、2-ナフタリル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p-ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート等が挙げられる。これらの中では、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水不溶性グラフトポリマーは、側鎖に疎水性モノマー(c)由来の構成単位を含んでいると顔料を充分に水不溶性グラフトポリマー粒子に含有し、印字濃度を向上させることができる。
側鎖における(c)成分由来の構成単位の含有量は、顔料を充分に水不溶性グラフトポリマー粒子に含有し、印字濃度を向上させる等の観点から、60質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
疎水性モノマー(c)としては、例えば、ビニル系モノマーが挙げられ、特にスチレン系モノマーが好ましい。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらの中ではスチレンが好ましい。
スチレン系モノマー由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー(以下、スチレン系マクロマーという)を共重合することにより得ることができる。スチレン系マクロマーは、顔料への吸着性能を高めて保存安定性を向上させる観点及び水系顔料分散体の粘度を低く抑える観点から、数平均分子量が1000〜10000であることが好ましく、2000〜8000であることが更に好ましい。
<中和剤>
中和剤としては、酸型の水不溶性グラフトポリマーの分散剤を中和する塩基が選択されて用いられる。
中和剤の塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、塩生成基の中和度としては10〜400%が好ましく、30〜250%がより好ましい。
<防腐・防黴剤>
防腐・防黴剤としては、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒に対して相溶性がよく、混合や希釈した時に白濁や変質、増粘、ゲル化を起こさず、熱やpHに対して安定性のよいものが用いられ、例えば、イソチアゾール誘導体の1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン(商品名:プロキセル)等が挙げられる。
防腐・防黴剤は、水系顔料分散体、或いは、最終製品の水系インクに対して、防腐性能の観点から、50〜2000mg/kg含有されていることが好ましい。
<溶剤>
溶媒は、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒である。
溶媒は、通常印字濃度、吐出安定性等の観点から、水系顔料分散体の固形分濃度が1〜30質量%、好ましくは3〜25質量%となるようにその量が調整される。
混合溶媒における水溶性有機溶剤としては、例えば、湿潤剤や粘度調整剤としての多価アルコールのグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
<任意成分>
水系顔料分散体は、その他、消泡剤、キレート剤等を含有していてもよい。
(水系顔料分散体の製造)
以上に説明した上記水系顔料分散体製造装置10の材料供給部14から上記原材料を仕込むことにより、予備分散槽11における予備分散工程、予備分散槽11及び循環管15等における分散工程、濃縮槽12における濃縮工程、及び、製品化槽13における滅菌工程を順に経て、製品である水系顔料分散体が製造されて製品回収部21で回収される。なお、防腐・防黴剤は、滅菌工程において添加することが好ましい。
(水系顔料分散体製造装置の洗浄方法)
水系顔料分散体製造装置10で水系顔料分散体を製造した後は、各槽の内壁や攪拌機、配管には、顔料や顔料を含む顔料分散体が強固に付着する。一方、これらの付着物を手洗いで除去することは工業的スケールでは実質的に不可能である。
以下、本実施形態に係る水系顔料分散体製造装置10の洗浄方法について説明する。
この水系顔料分散体製造装置10の洗浄方法では、溶剤使用量を低減するために段階的に洗浄を行う。具体的には、水洗い、炭素数6〜12の有機溶剤洗浄、炭素数1〜5の溶剤溶液洗浄、アルカリ溶液洗浄、すすぎ水洗いの順に洗浄を行う。
また、この水系顔料分散体製造装置10の洗浄方法では、水系顔料分散体製造装置10の液流通機構を稼働させ、洗浄に用いる水や洗浄剤等を材料投入部から供給し、各槽、配管等を流通させ、製品回収部21から排出することにより洗浄を行う。これにより水系顔料分散体製造装置10の洗浄を効率的に行うことができる。なお、このとき、洗浄効果を高める観点からは、各槽の攪拌機も稼働させて洗浄剤等を攪拌流動させることが望ましい。
<水洗い工程>
まず、水系顔料分散体製造装置10の液流通機構を稼働させ、水を材料投入部から供給する。
水には、消泡剤等を含有させてもよい。
洗浄においては、一回の洗浄に用いる水の量を水系顔料分散体製造装置10の各装置容量に合わせて装置の満水容量まで供給することが好ましい。また、流通する水の流速を0.01〜50m/sに設定することが好ましい。さらに、水温を10〜70℃とすることが好ましい。
この水洗いは、一回のみ行っても、また、複数回(例えば2〜5回)繰り返して行ってもいずれでもよい。
<炭素数6〜12の有機溶剤洗浄工程>
水洗いに続いて、炭素数6〜12の有機溶剤を含有する洗浄剤を材料投入部から供給する。
洗浄剤は、炭素数6〜12の有機溶剤自体であっても、また、炭素数6〜12の有機溶剤を溶媒で希釈したものであってもいずれでもよい。
炭素数6〜12の有機溶剤としては、例えば、モノアルキルグリセリルエーテル等のグリセリルエーテル系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール系溶剤等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その中でも下記式(3)で表されるグリセリルエーテルが好ましい。式(3)で表されるグリセリルエーテルのRはアルキル基、アルケニル基が好ましく、炭素数1〜9、特に3〜7のアルキル基が好ましい。
R-OCHCH(OH)CHOH (3)
炭素数6〜12の有機溶剤を溶媒で希釈する場合、その溶媒としては、例えば、水等が挙げられる。炭素数6〜12の有機溶剤の溶媒による希釈倍率は2〜200倍であることが好ましく、4〜100倍であることがより好ましい。
洗浄剤には、その他に消泡剤等を含有させてもよい。
洗浄においては、一回の洗浄に用いる洗浄剤の量を水系顔料製造装置の各装置容量に合わせて装置の満水容量まで供給することが好ましい。また、流通する洗浄剤の流速を0.01〜50m/sに設定することが好ましい。さらに、洗浄剤の温度を10〜70℃とすることが好ましい。
この炭素数6〜12の有機溶剤を含む洗浄剤での洗浄は、一回のみ行っても、また、複数回(例えば2〜5回)繰り返して行ってもいずれでもよい。
<溶剤洗浄工程>
炭素数6〜12の有機溶剤洗浄に続いて、水系顔料分散体の付着物に含まれる分散剤を溶解する炭素数1〜5の溶剤を材料投入部から供給する。
かかる溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;ニトリル、アミン類、アミド類などの含窒素有機化合物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が好ましい。
溶剤には、消泡剤等を含有させてもよい。
洗浄においては、一回の洗浄に用いる溶剤の量を水系顔料分散体製造装置10の各装置容量に合わせて装置の満水容量まで供給することが好ましい。また、流通する溶剤の流速を0.01〜50m/sに設定することが好ましい。さらに、溶剤の温度を10〜70℃とすることが好ましい。
この溶剤での洗浄は、一回のみ行っても、また、複数回(例えば2〜5回)繰り返して行ってもいずれでもよい。
<アルカリ溶液洗浄工程>
溶剤洗浄に続いて、アルカリ剤を含んだアルカリ溶液からなる洗浄剤を材料投入部から供給する。
洗浄剤であるアルカリ剤を含んだアルカリ溶液としては、例えば、水系顔料分散体の付着物に含まれる分散剤を溶解する溶剤を溶解する溶剤の第1液とアルカリ水の第2液との混合溶液等が挙げられる。
ここで、アルカリ剤とは、水溶液が塩基性を示す物質である。
第1液の炭素数1〜5の溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;ニトリル、アミン類、アミド類などの含窒素有機化合物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が好ましい。
第2液のアルカリ水のアルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミン化合物、アルコールアミン化合物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもアルカリ金属の水酸化物やアルカリ土類金属の水酸化物の無機系アルカリ剤を使用すれば、付着物に含まれる分散剤である水不溶性ポリマーの洗浄剤への溶解性、水不溶性ポリマーへの洗浄剤の浸透性及び水不溶性ポリマーの膨潤性、並びに、それらに伴う付着物の崩壊性を高めることができる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。また、アルカリ金属弱酸塩としては、例えば、ケイ酸リチウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも、高アルカリ性を有することにより、優れた洗浄性能を有する観点から、アルカリ金属水酸化物が特に好ましい。さらに、入手の容易性及び経済性の観点からは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムがより好ましい。
第2液のアルカリ剤の濃度は、0.1〜1.0質量%であることが好ましい。
洗浄剤における第1液と第2液との混合割合は、第1液の質量/第2液の質量を50/50〜2/98とすることが好ましく、また、洗浄剤中の水の含有量が50〜98質量%となるようにすることが好ましく、70〜95質量%となるようにすることがより好ましく、さらに、洗浄剤中のアルカリ剤の濃度が0.05〜0.50質量%となるようにすることが好ましく、0.1〜0.30質量%となるようにすることがより好ましい。
洗浄剤であるアルカリ剤を含んだアルカリ溶液として、第1液と第2液とに加えて、それらのいずれにも相溶する溶剤をさらに混合した混合溶液を用いてもよい。
第1及び第2液のいずれにも相溶する溶剤としては、例えば、第1液としてメチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンを用いた場合、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール(炭素数が1〜5の鎖式アルコール)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、溶剤の第1及び第2液への相溶性は、混合して静置したときに2相に分離するか否か、或いは、混合して攪拌操作を行ったときに相分離して白濁が生じるか否かで確認することができる。
第1液、第2液及びそれらに相溶する溶剤の組み合わせは任意であるが、第1液の炭素数1〜5の溶剤と第1及び第2液のいずれにも相溶する溶剤との組み合わせは、付着物に含まれる分散剤である水不溶性ポリマー及び顔料の両方に対する洗浄性の観点から、下記式(4)で定義される混合溶剤の20℃におけるSP値(溶解性パラメータ値)δmが18〜24J1/2・cm−3/2の範囲となるものが好ましく、20〜22J1/2・cm−3/2の範囲となるものがより好ましい。
δm=δφ+δφ (4)
δ、δ:各溶剤成分の溶解度パラメータ
φ、φ:各溶剤成分の体積分率
また、各溶剤成分の溶解度パラメータδは下記式(5)で定義される。
δ≡(δ +δ +δ 1/2 (5)
ここで、δはLondon分散力項、δは分子分極項、δは水素結合項といい、各項は、当該分子の構成原子団iの各項のモル引力乗数(Fdi,Fpi,Ehi)及びモル体積Vを用いて下記式(6)〜(8)で計算される。
δ =ΣFdi/ΣV (6)
δ =(ΣFpi 1/2/ΣV (7)
δ =(ΣEhi/ΣV1/2 (8)
構成原子団iの各項のモル引力乗数(Fdi,Fpi,Ehi)及びモル体積Vは表1に示す数値を用いればよい。また、表1示されていない原子団については、各項のモル引力乗数(Fdi,Fpi,Ehi)としてvan Krevelenによる値(Literatures A and B)を使用し、モル体積VとしてFedorsによる値(Literature C)を使用すればよい。
Literature A:K.E.Meusburger : "Pesticide Formulations : Innovations and Developments" Chapter 14 (Am. Chem.Soc.), 151-162(1988)
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洗浄剤における第1液と第2液とそれらに相溶する溶剤との混合割合は、第1液と第2液との混合割合(第1液の質量/第2液の質量)を50/50〜2/98とすることが好ましく、第1及び第2液とそれらに相溶する溶剤との混合割合(第1及び第2液の質量/溶剤の質量)を80/20〜95/5とすることが好ましく、また、洗浄剤中の水の含有量が50〜98質量%となるようにすることが好ましく、70〜95質量%となるようにすることがより好ましく、さらに、洗浄剤中のアルカリ剤の濃度が0.05〜0.50質量%となるようにすることが好ましく、0.1〜0.30質量%となるようにすることがより好ましい。
洗浄剤には、その他に消泡剤等を含有させてもよい。
洗浄においては、一回の洗浄に用いる洗浄剤の量を水系顔料分散体製造装置10の各装置容量に合わせて装置の満水容量まで供給することが好ましい。また、流通する洗浄剤の流速を0.01〜50m/sに設定することが好ましい。さらに、洗浄剤の温度を10〜70℃とすることが好ましい。
このアルカリ溶液からなる洗浄剤での洗浄は、一回のみ行っても、また、複数回(例えば2〜5回)繰り返して行ってもいずれでもよい。サイクルタイムとの兼ね合いによるが、多くの場合、5回程度の繰り返しが効果的である。
<すすぎ水洗い工程>
アルカリ溶液洗浄に続いて、水を材料等入部から供給する。
水には、消泡剤等を含有させてもよい。
洗浄においては、一回の洗浄に用いる水の量を水系顔料分散体製造装置10の各装置容量に合わせて装置の満水容量まで供給するとすることが好ましい。また、流通する水の流速を0.01〜50m/sに設定することが好ましい。さらに、水温を10〜70℃とすることが好ましい。
このすすぎ水洗いは、一回のみ行っても、また、複数回(例えば2〜5回)繰り返して行ってもいずれでもよい。
以上のように水系顔料分散体製造装置10の洗浄を行えば、炭素数6〜12の有機溶剤を含む洗浄剤及びアルカリ剤を含んだアルカリ系溶液からなる洗浄剤で洗浄するので、2種以上の水系顔料分散体を1つの製造装置10を用いて工業的スケールで製造する場合でも、品種替え等における洗浄の際に水系顔料分散体製造装置10に付着した付着物を速やかに除去することができる。従って、これにより、この後、異なる品種の水系顔料分散体を製造しても、異なる製品間相互の汚染が抑制され、安定した品質の水系顔料分散体を工業的に製造することができる。
なお、上記実施形態では、水系顔料分散体製造装置10を有炭素数6〜12の機溶剤を含む洗浄剤及びアルカリ剤を含んだアルカリ系溶液からなる洗浄剤の両方を用いて洗浄することとしたが、特にこれに限定されるものではなく、いずれか一方を用いて洗浄するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、水系顔料分散体製造装置10の液流通機構を稼働させ、洗浄に用いる水や洗浄剤等を材料等入部から供給し、各槽、配管等を流通させ、製品回収部21から排出することにより洗浄を行うようにしたが、特にこれに限定されるものではなく、水系顔料分散体製造装置の各部を個別に洗浄を行うようにしてもよい。
(分散剤となる酸型の水不溶性ポリマーの合成)
300L反応容器内に、メチルエチルケトン4.91kg、重合連鎖移動剤(2-メルカプトエタノール)18.6g及び表2に示す組成のモノマー混合物120kgの10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下槽に、表2に組成を示すモノマー混合物の残りの90%を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)167g、メチルエチルケトン44.2kg及び2,2’-アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.09kgを入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下槽中の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了から75℃に保温したまま2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.98kgをメチルエチルケトン13.1kgに溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、酸型であるアクリル系の水不溶性ポリマー溶液を得た。
得られた水不溶性ポリマーの重量平均分子量を、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。その結果を表2に示す。
なお、表2に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数:12):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800
・スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
(洗浄試験評価1)
<水系顔料分散体の製造>
ディスパー翼及び槽内加熱用のジャケットを有する300L攪拌混合槽を備えた水系顔料分散体製造装置により、上記合成した酸型の水不溶性ポリマーを用いて水系顔料分散体を製造した。なお、水系顔料分散体製造装置は、300L攪拌混合槽にビーズミルが介設された循環管の両端が接続され、また、濃縮した製品の凝集物を除去するためのカートリッジタイプの5μmフィルター(材質:ポリプロピレン、日本ポール株式会社製、商品名:プロファイルスター)も接続され、その他に真空ポンプ、留分を凝縮させるコンデンサー及び留分受槽を備えている。
具体的には、300L撹拌混合槽において、上記水不溶性ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた酸型の水不溶性ポリマー6.7kgをメチルエチルケトン37.9kgに溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)1.52kg(中和度75%)及びイオン交換水113kg加えて塩生成基を中和して乳化組成物を得た。そして、それにイエロー顔料:ジアゾ顔料(C.I.ピグメント・イエロー74〔PY74〕、山陽色素株式会社製、商品名:FY7413)20kgを加え、ディスパー翼を稼働させ、20℃の温度下で1時間混合して予備分散体を得た。
次に、得られた予備分散体179kgをビーズミルに周速12m/s及び平均パス回数10パスの条件で循環流通させて微粒化分散処理を行った。
そして、得られた分散体にイオン交換水89.7kgを加えて攪拌した後、減圧下、60℃の温水でメチルエチルケトンと一部の水を留去し、さらに5μmフィルターで粗大粒子を除去して固形分濃度25%の水系顔料分散体を製造した。
<洗浄試験評価>
−実施例1−
水74.6質量%、メチルエチルケトン17.4質量%、エタノール7.9質量%及び水酸化ナトリウム0.18質量%の組成の洗浄剤を洗浄剤1とした。ここで、メチルエチルケトンが上記酸型の水不溶性ポリマーを溶解する溶剤の第1液、水及び水酸化ナトリウム(アルカリ剤)が第2液、エタノールが第1及び第2液のいずれにも相溶する溶剤である。洗浄剤1の混合溶剤の20℃におけるSP値は21.2J1/2・cm−3/2であった。
表面を研磨したSUS316L製の板材(50mm×25mm×3mm)を上記水系顔料分散体に1時間浸漬した後に乾燥させる処理を10回繰り返し、板材表面に水系顔料分散体の付着物が付着した製造装置内壁を擬似的に再現したテストピースを作製した。
洗浄剤1にテストピースを25℃の温度下で30分間浸漬した後に再度乾燥させる洗浄試験を行い、付着物の除去量を洗浄剤への浸漬前後の質量変化として算出した。また、目視においても残存付着物を観察して洗浄率を判定した。なお、洗浄率は、テストピースに付着した付着物が除去される効率を示しており以下の式で算出した。
洗浄率[%]=(洗浄前のテストピースの付着物量−洗浄後のテストピースの付着物量)÷洗浄前のテストピースの付着物量 × 100[%]
−実施例2−
水72.7質量%、メチルエチルケトン16.9質量%、メタノール10.3質量%及び水酸化ナトリウム0.17質量%の組成の洗浄剤を洗浄剤2とした。ここで、メチルエチルケトンが上記酸型の水不溶性ポリマーを溶解する炭素数1〜5の溶剤の第1液、水及び水酸化ナトリウム(アルカリ剤)が第2液、メタノールが第1及び第2液のいずれにも相溶する溶剤である。洗浄剤2の混合溶剤の20℃におけるSP値は23.1J1/2・cm−3/2であった。
洗浄剤2を用いたことを除いて実施例1と同様の洗浄試験評価を行った。
−実施例3−
水82.9質量%、メチルエチルケトン16.9質量%及び水酸化ナトリウム0.17質量%の組成の洗浄剤を洗浄剤3とした。ここで、メチルエチルケトンが上記酸型の水不溶性ポリマーを溶解する溶剤の第1液、水及び水酸化ナトリウム(アルカリ剤)が第2液である。
洗浄剤3を用いたことを除いて実施例1と同様の洗浄試験評価を行った。
−実施例4−
水95.0質量%及びペンチルグリセリルエーテル5.0質量%の組成の洗浄剤を洗浄剤4とした。ここで、ペンチルグリセリルエーテルが炭素数6〜12の有機溶剤である。
洗浄剤4を用いたことを除いて実施例1と同様の洗浄試験評価を行った。
−比較例1−
洗浄剤として水のみを用いたことを除いて実施例1と同様の洗浄試験評価を行った。
−比較例2−
洗浄剤としてメチルエチルケトンのみを用いたことを除いて実施例1と同様の洗浄試験評価を行った。
<試験評価結果>
表3は、試験評価結果を示す。
これによれば、第1及び第2液とそれらのいずれにも相溶する溶剤との混合溶液からなる洗浄剤1及び2で洗浄した実施例1及び2、第1及び第2液の混合溶液からなる洗浄剤3で洗浄した実施例3、炭素数6〜12の有機溶剤を含有する洗浄剤4で洗浄した実施例4では、水のみで洗浄した比較例1やメチルエチルケトンのみで洗浄した比較例2に比べ、水系顔料分散体の付着物に対して優れた洗浄能力が発揮されていることが分かる。
(洗浄試験評価2)
<水系顔料分散体の製造>
洗浄試験評価1の場合と同様に、300L撹拌混合槽において、上記水不溶性ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた酸型の水不溶性ポリマー6.7kgをメチルエチルケトン37.9kgに溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)1.52kg(中和度75%)及びイオン交換水113kg加えて塩生成基を中和して乳化組成物を得た。そして、それにシアン顔料:銅フタロシアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4〔PB15:4〕、東洋インキ株式会社製、商品名:FG7400G)20kgを加え、ディスパー翼を稼働させ、20℃の温度下で1時間混合して予備分散体を得た。
次に、得られた予備分散体179kgをビーズミルに周速12m/s及び平均パス回数10パスの条件で循環流通させて微粒化分散処理を行った。
そして、得られた分散体にイオン交換水89.7kgを加えて攪拌した後、減圧下、60℃の温水でメチルエチルケトンと一部の水を留去し、さらに5μmフィルターで粗大粒子を除去して固形分濃度25%の水系顔料分散体を得た。
<洗浄試験評価>
実施例5〜7及び比較例3〜4において、撹拌混合槽の洗浄においては槽内液温度25℃で、ビーズミルの洗浄においてはビーズミル入口の液温度25℃で行なった。
−実施例5−
300L撹拌混合槽からシアンの水系顔料分散体を回収した後、300L撹拌混合槽に洗浄試験評価1における洗浄剤1を230kg投入し、洗浄剤1の液面が水系顔料分散体製造時の液面より上方であることを確認して1時間攪拌しながら洗浄を行った。
次いで、洗浄剤1をビーズミルに周速12m/s及び流量120kg/時間に設定して3時間循環流通させた。
洗浄剤1を排出した後、新たに300L撹拌混合槽に洗浄剤1を230kg投入して上記と同一の操作を繰り返した。
洗浄剤1を排出した後、300L攪拌混合槽にイオン交換水を300kg投入して滞留物を除去した。
300L攪拌混合槽及びビーズミル等を乾燥させた後、洗浄試験評価1と同様にしてイエローの水系顔料分散体を製造した。
そして、得られた25%のイエローの水系顔料分散体の色相を判定した。色相は、日本電色工業(株)製の色差計(製品名:NR−1)を用いて測定した。測定条件は標準光源D65、視野角10°とした。
なお、色相は、L表色系を用いて表すことができる。この表色系は、Lが明るさを示し、Lが大きいほど明るい色相を表し、また、aが正値で大きくなればなるほど赤みが強くなり、負値で絶対値が大きくなればなるほど緑みが強くなり、さらに、bが正値で大きくなればなるほど黄みが強くなり、負値で絶対値が大きくなればなるほど青みが強くなる。
色差は下記式(9)で定義され、色空間中の2色間の直線距離を計算している。
ΔE ab=[(L−L+(a−a+(b−b1/2 (9)
ここで、式中のL、a、bは、基準となる顔料分散体のL、a、b値、L、a、bは、評価する顔料分散体のL、a、b値である。
色差は、数値が大きいほうが基準との色目が異なることを示し、色差と色目との関係は表4の関係で評価することができる。
−実施例6−
300L撹拌混合槽からシアンの水系顔料分散体を回収した後、300L撹拌混合槽に水を230kg投入し、水の液面が水系顔料分散体製造時の液面より上方であることを確認して1時間攪拌しながら洗浄を行った。
次いで、水をビーズミルに周速12m/s及び流量120kg/時間に設定して3時間循環流通させた。
水を排出した後、新たに300L撹拌混合槽に洗浄試験評価1における洗浄剤4を230kg投入して上記と同一の操作を繰り返した。
洗浄剤4を排出した後、新たに300L撹拌混合槽にメチルエチルケトンを230kg投入して上記と同一の操作を繰り返した。
メチルエチルケトンを排出した後、新たに300L撹拌混合槽に洗浄剤1を230kg投入して上記と同一の操作を繰り返した。
洗浄剤1を排出した後、300L攪拌混合槽にイオン交換水を300kg投入して滞留物を除去した。
そして、実施例5と同様に25%のイエローの水系顔料分散体を製造し、その色相を判定した。
−実施例7−
300L撹拌混合槽からシアンの水系顔料分散体を回収した後、300L撹拌混合槽に水を230kg投入し、水の液面が水系顔料分散体製造時の液面より上方であることを確認して1時間攪拌しながら洗浄を行った。
次いで、水をビーズミルに周速12m/s及び流量120kg/時間に設定して3時間循環流通させた。
水を排出した後、新たに300L撹拌混合槽に洗浄剤4を230kg投入して上記と同一の操作を繰り返した。
洗浄剤4を排出した後、新たに300L撹拌混合槽に洗浄試験評価1における洗浄剤2を230kg投入して上記と同一の操作を繰り返した。
洗浄剤2を排出した後、300L攪拌混合槽にイオン交換水を300kg投入して滞留物を除去した。
そして、実施例5と同様に25%のイエローの水系顔料分散体を製造し、その色相を判定した。
−比較例3−
300L撹拌混合槽からシアンの水系顔料分散体を回収した後、300L撹拌混合槽に水を230kg投入し、水の液面が水系顔料分散体製造時の液面より上方であることを確認して1時間攪拌しながら洗浄を行った。
次いで、水をビーズミルに周速12m/s及び流量120kg/時間に設定して3時間循環流通させた。
上記操作をさらに3回繰り返した。
4回目の水を排出した後、300L攪拌混合槽にイオン交換水を300kg投入して滞留物を除去した。
そして、実施例5と同様に25%のイエローの水系顔料分散体を製造し、その色相を判定した。
−比較例4−
300L撹拌混合槽からシアンの水系顔料分散体を回収した後、300L撹拌混合槽にメチルエチルケトンを230kg投入し、メチルエチルケトンの液面が水系顔料分散体製造時の液面より上方であることを確認して1時間攪拌しながら洗浄を行った。
次いで、メチルエチルケトンをビーズミルに周速12m/s及び流量120kg/時間に設定して3時間循環流通させた。
メチルエチルケトンを排出した後、新たに300L撹拌混合槽にメチルエチルケトンを230kg投入して上記と同一の操作を繰り返した。
メチルエチルケトンを排出した後、300L攪拌混合槽にイオン交換水を300kg投入して滞留物を除去した。
そして、実施例5と同様に25%のイエローの水系顔料分散体を製造し、その色相を判定した。
<試験評価結果>
表5は、試験評価結果を示す。
これによれば、洗浄剤1を用いて洗浄した実施例5、水、洗浄剤4、メチルエチルケトン及び洗浄剤1を組み合わせて洗浄した実施例6、水、洗浄剤4及び洗浄剤2を組み合わせて洗浄した実施例7は、水のみで洗浄した比較例3やメチルエチルケトンのみで洗浄した比較例4に比べ、色差が小さく、従って、水系顔料分散体の付着物に対して優れた洗浄能力が発揮されていることが分かる。
本発明は、水系顔料分散体の製造装置の洗浄方法及びそれに用いられる洗浄剤について有用である。
水系顔料分散体製造装置の構成を示す図である。
符号の説明
10 水系顔料分散体製造装置
14 材料供給部
21 製品回収部

Claims (3)

  1. 酸型の水不溶性ポリマーを分散剤として含む水系顔料分散体の製造装置の洗浄方法であって、
    水系顔料分散体製造装置における水系顔料分散体が接触する部分を、炭素数6〜12の有機溶剤を含む洗浄剤で洗浄する炭素数6〜12の有機溶剤洗浄工程及びアルカリ剤を含んだアルカリ系溶液からなる洗浄剤で洗浄するアルカリ系溶液洗浄工程を備え
    上記炭素数6〜12の有機溶剤洗浄工程の後で且つ上記アルカリ系溶液洗浄工程の前に、上記分散剤を溶解する炭素数1〜5の溶剤で洗浄する溶剤洗浄工程をさらに備えた水系顔料分散体製造装置の洗浄方法。
  2. 上記水系顔料分散体製造装置の洗浄を、上記洗浄剤を、該水系顔料分散体製造装置の材料供給部から供給して、製品回収部から排出することにより行う請求項1に記載された水系顔料分散体製造装置の洗浄方法。
  3. 上記アルカリ剤を含んだアルカリ系溶液からなる洗浄剤が、上記分散剤を溶解する炭素数1〜5の溶剤の第1液と、アルカリ水の第2液と、の混合溶液からなる請求項1又は2に記載された水系顔料分散体製造装置の洗浄方法。
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