JP5285868B2 - マグネトロン用ステムの製造方法 - Google Patents

マグネトロン用ステムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジ等のマイクロ波加熱機器に用いられるマグネトロン用ステムの製
造方法に関する。
従来、マグネトロンの陰極支持部に用いるステムとして、図1で示すものがある(特公
平4−75618号公報(特許文献1))に示されたように。図中1はセラミックスから
なるステム本体部で、このステム本体部1には両端面間に貫通する貫通孔2が形成されて
いる。ステム本体部1の両方の側面には座金接合面3が形成され、且つ一方の側面には座
金接合面3の周囲に段差をもたせてエンベローブ接合面4が形成されている。ステム本体
部1の貫通孔2には陰極支持棒としてリード部5,6が挿通され、これらリード部5,6
はステム本体部1の座金接合面3にろう付けにより接合した座金7,7とろう付けを施し
て接合封着されている。なお、リード部5,6は高温下で使用されるため高温強度にすぐ
れたMoで形成されている。ステム本体部1のエンベロープ接合面4には、金属エンベロ
ープ8がろう付けにより接合封着してある。前記ステム本体部1の座金接合面3とエンベ
ロープ接合面4は、座金7および金属エンベロープ8を接合するために、メタライズ層9
および10を形成し、このメタライズ層の表面にろう付けを行っている。また、リード部
5,6と座金7との接合部はステム本体部1の外気に対する封止部となるので、リード部
5,6と座金7とのろう付けを行う上で、ろう材ののりを良くし接合封着性を高めるため
に、表面にNiメツキを施している。なお、図中11は陰極フイラメント、12,13は
陰極フイラメント11をリード部5,6に保持するエンドシールドである。
ステム本体部1にはアルミナ焼結体、メタライズ層9にはMo単独のメタライズ層が用
いられていた。Moメタライズ層はNiメッキとの接合強度が弱いことから、近年はMo
−Mn系メタライズ層が用いられている(特開2002−56783号公報(特許文献2
))。これによりメタライズ層とNiメッキの接合強度が上がり、さらにはNiメッキ層
と座金との接合強度、機密性が上がり封止効果が向上している。
前述のように、メタライズ層がMoからMo−Mn系により接合強度は向上するものの
メタライズ工程は煩雑になり歩留まりという点では十分改善されていなかった。また、座
金との接合性を向上させるにはNiメッキが必須であったが、メッキの歩留まりについて
も十分改善されていなかった。
特公平4−75618号公報 特開2002−56783号公報
本発明は、ステム本体部にMo−Mnメタライズ層、その上にNiメッキを施したリー
ド部付きマグネトロン用ステムの製造方法において、歩留まりを向上させ、かつステム本
体部とメタライズ層、メタライズ層とNiメッキ層の接合強度をも向上させることができ
る製造法を提供するものである。
本発明のマグネトロン用ステムの製造方法は、セラミックス焼結体からなるステム本体部
、ステム本体部上に形成されたメタライズ層およびステムを挿通したリード部を有するマ
グネトロン用ステムの製造方法において、Mnを含有するアルミナ焼結体からなるステム
本体部を用意する工程、Mo−Mn系ペーストを前記ステム本体部の一部に塗布し、還元
雰囲気中50〜100℃で乾燥させた後、焼成することによりメタライズ層を形成する工
程、ステム本体部にリード部を挿通、固定する工程、前記メタライズ層上にNiメッキを
施す工程、を具備することを特徴とするものである。
また、メタライズ層を形成する工程中にステム本体の色が変化することが好ましい。また
、Mn含有量が1〜5質量%であるアルミナ焼結体であることが好ましい。
また、前記Mo−Mn系ペーストは、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径
0.5〜10μmのMn粉末をそれぞれ40時間以上の解砕処理を施した後、バインダー
と混合して調製されたものであることが好ましい。
また、前記Niメッキを施す工程がバレル式電解メッキであることが好ましい。また、
前記バレル式電解メッキを行う際に、メッキ浴槽中に金属製ダミー部材を混合している
ことが好ましい。また、前記金属製ダミー部材が、マグネトロン用ステムの総体積に対し
、5〜30vol%混合されていることが好ましい。また、前記金属製ダミー部材がハト
メ形状を有することが好ましい。
本発明によれば、マグネトロン用ステムの歩留まりを大幅に向上させることができる。
また、メタライズ層やNiメッキ層の接合強度も向上させることができることからステム
の信頼性を向上させることができる。
本発明のマグネトロン用ステムの製造方法は、セラミックス焼結体からなるステム本体部
、ステム本体部上に形成されたメタライズ層およびステムを挿通したリード部を有するマ
グネトロン用ステムの製造方法において、Mnを含有するアルミナ焼結体からなるステム
本体部を用意する工程、Mo−Mn系ペーストを前記ステム本体部の一部に塗布し、還元
雰囲気中50〜100℃で乾燥させた後、焼成することによりメタライズ層を形成する工
程、ステム本体部にリード部を挿通、固定する工程、前記メタライズ層上にNiメッキを
施す工程、を具備することを特徴とするものである。
まず、セラミックス焼結体からなるステム本体部は、Mnを含有するアルミナ焼結体で
ある。Mnの含有量は1〜5質量%の範囲が好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.5
質量%である。Mnを含有させることによりMo−Mnメタライズ層との接合強度を向上
させることができる。Mn含有量が1質量%未満では含有の効果が得られない。一方、5
質量%を越えるとアルミナ焼結体を緻密化できないおそれがある。また、ステム本体部の
サイズは任意であるが、直径10〜20mm、長さ7〜15mm程度の円柱形状が挙げら
れる。
また、Mn化合物の添加はアルミナ焼結体を茶色に着色する効果も得られる。茶色のアル
ミナ焼結体は後述のメタライズ工程においてピンク色に変わるのでメタライズ工程の完了
度合いを目視により確認することができる。
Mnの添加は、酸化マンガン、炭酸マンガン等のMn化合物としてアルミナ(酸化アル
ミニウム)粉末と混合して、成形、焼結することによりアルミナ焼結体が得られる。成形
の際にリード部を挿通するための穴、メタライズ層を形成するための凸部(段差)を設け
ておいた方がよい。
また、アルミナ焼結体にはMn以外にも焼結助剤を添加させてもよい。焼結助剤として
は、酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等
が挙げられ、これらをSi、MgおよびCaの少なくとも1種以上を金属元素単体換算で
合計1〜10質量%添加することが好ましい。
また、添加した焼結助剤はMn化合物と反応して、MnO−SiO−MgO、MnO
−SiO、MnO−MgO等のガラス相からなる粒界相を形成してアルミナ焼結体を緻
密化する。また、ガラス相はMo−Mnメタライズ層の空隙に入り込んでいくのでメタラ
イズ層を強化することができ、接合強度を向上させることがきる。本発明では、アルミナ
焼結体中にMnが含有されているのでMo−Mnメタライズ層とのなじみが良い。
次に、Mo−Mn系ペーストを前記ステム本体部の一部に塗布し、還元雰囲気中50〜
100℃で乾燥させた後、焼成することによりメタライズ層を形成する工程を行う。
Mo−Mn系ペーストはMo粉末とMn粉末を有機バインダーと混合したものである。
有機バインダーは乾燥工程や焼成工程により焼失するものであれば特に限定されるもので
はない。Mn粉末はMnO等のMn化合物粉末であってもよい。好ましい一例としてはエ
チルセルロースが挙げられる。
Mo−Mn系ペーストの調整は、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径0.
5〜10μmのMn粉末をそれぞれ40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混
合して調製されたものであることが好ましい。また、MoとMnの比率はMoとMnの合
計を100質量%としたときMnが4〜12質量%、好ましくは6〜8質量%である。
Mo−Mnメタライズ層を形成するとメタライズ層に空隙が形成され易い。この空隙は有
機バインダーが焼失する際に形成される隙間が主であるが、Mo粉末およびMn粉末の粒
径が大きいと隙間が大きくなり易い。そのため、微細で均一なMo粉末、Mn粉末を用意
することが必要である。そのためには、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径
0.5〜10μmのMn粉末をそれぞれ40時間以上の解砕処理することが好ましい。M
o粉末とMn粉末を別々に解砕することにより、より均一な粉末となる。また、解砕時間
は40時間以上と長時間行うことが好ましい。Moは比重が重く硬い金属であることから
短時間で解砕しようとすると解砕機への負荷が大きく、解砕機の寿命を低下させることに
なり、返って製造コストを増大させる。また、Mnは活性な金属であることから、こちら
も短時間で解砕しようとすると発火のおそれがある。解砕時間の上限は特に限定されるも
のではないが、あまり時間が長いと製造時間が長くなるので100時間を目安とする。よ
り好ましくはMo粉末およびMn粉末の平均粒径が1〜4μmのものを用いて解砕時間を
60〜80時間にすることである。また、解砕は乾式、湿式どちらでも良いが湿式の方が
Mnの発火特性を抑制できる。また、解砕後のMo粉末およびMn粉末は乾燥することが
好ましい。また、解砕処理にはアルミナボール等の硬質メディアを使って行っても良い。
Mo粉末、Mn粉末を解砕処理した後、Mo粉末とMn粉末を所定量量り取り有機バイ
ンダーと混合する。有機バインダーとの混合は容器に入れて混合した後、三本ロール等の
負荷の高い混合方法を用いることが好ましい。
このように調整したMo−Mn系ペーストはMo粉末とMn粉末が均一に混合され、さ
らには適度な粘性を有していることからステム本体部に塗布したとしても流れ落ちるとい
った不具合が発生し難い。そのため、表面のみならず、裏面にもペーストを塗布したとし
てもペーストが流れ落ちないので、一度の乾燥工程ですべてのメタライズ層を乾燥させる
ことができる。
また、Mo−Mn系ペーストの塗布は、スクリーン印刷法であると量産性が上がる。ま
た、塗布厚さは10〜40μmが好ましい。塗布厚さが10μm未満であるとメタライズ
層形成後、Mo層の厚さにバラツキができ接合強度を低下させる。一方、40μmを越え
るとそれ以上の効果が得られない。
また、乾燥工程は還元雰囲気中50〜100℃、好ましくは50〜80℃である。還元
雰囲気は水素含有雰囲気が好ましく、より好ましくは水素を10〜20at%含有した不
活性ガス(アルゴン、窒素等)が挙げられる。また、乾燥時間は5〜30分、好ましくは
10〜20分である。
還元雰囲気中で乾燥させることにより、アルミナ焼結体およびMo−Mnペースト中の
Mn酸化物が還元される。Mn酸化物が還元されると、焼成工程において他の酸化物、例
えばSiO2、MgO等の焼結助剤とガラス相を形成する反応が顕著になり、メタライズ
層中の空隙にガラス相が入り込み易くなる。その結果、メタライズ層の接合強度が向上す
る。
乾燥工程後、焼成工程を行う。焼成温度は1350〜1550℃、好ましくは1400
〜1480℃である。また、焼成時間は30分〜5時間の範囲が好ましい。また、雰囲気
は還元性雰囲気が好ましい。
焼成時間は好ましくは1時間以上である。1時間以上焼成するとアルミナ焼結体中のガ
ラス相が表面に均一に析出した析出層を形成し易い。アルミナ焼結体の表面に析出した析
出層はアルミナ焼結体とMo−Mnメタライズ層の間に析出し、メタライズ層の空隙に入
り込んで行く。そのため、メタライズ層が緻密化され接合強度が向上する。
また、焼成時には還元性雰囲気を循環させることが好ましい。還元雰囲気で焼成すると
主に粒界相が還元される。還元された酸素は水素と反応して水になる。焼成雰囲気は13
50℃以上の高温であるため水蒸気となるが、あまり水蒸気が残存するとメタライズ層に
悪影響を与えるので還元性雰囲気を循環させて水蒸気を除去することが好ましい。
また、還元性雰囲気ガスの流量は100L/min(=リットル/分)以上、好ましくは
100〜300L/min、さらに好ましくは130〜250L/minである。還元性
雰囲気ガスの流量があまり小さいと還元反応により生じた水蒸気を除去させ難い。一方、
300L/minを超えると供給装置の管理に負荷がかかる。また、流量があまり大きい
と還元性雰囲気とセラミックス本体部の反応にバラツキが生じ易い。
また、焼成工程を行う焼成炉は連続炉、バッチ炉どちらでもよい。また、ステム本体部
を搭載するのはMoボードを用いることが好ましい。また、焼成炉の連続稼動によりメタ
ライズ工程を行う場合は還元性雰囲気ガスの流量管理を行うことが好ましい。
メタライズ層が完成するとアルミナ焼結体の色が変化する。例えば、茶色だったものが
ピンク色に変化する。これはアルミナ焼結体中のMn酸化物が還元されたことを示すもの
である。Mn酸化物が還元されると他の焼結助剤との反応が進みガラス相がメタライズ層
の空隙に入り込む効果が得られる。特に焼成工程により高温に晒されるとガラス相は表面
側に析出してくるのでメタライズ層の隙間を埋めるようになる。また、色の変化を伴うの
でメタライズの進行状況が目視により確認できるのでメタライズ不良の有無を確認し易い
。なお、前述のピンク色は綺麗なピンク色から曇ったピンク色(小豆色)までを含むもの
とする。
メタライズ工程が終わった後、リード部を挿通する工程を行う。リード部はMo等の高
融点金属からなるものが好ましい。リード部の長さは任意である。
リード部を挿通した後、ろう材で固定する。ろう材はAg系ろう材が好ましい。Ag系
ろう材としては、Ag、Ag−Cu、Ag−Snなどが挙げられる。また、ろう付け温度
は500〜900℃である。マグネトロン用ステムをマグネトロンに組み込んだ際、マグ
ネトロンのステム部は一般的に400℃以下の温度までしか上昇しないのでろう材の融点
は500℃以上のものを用いるこが好ましい。
リード部を固定した後、メタライズ層上にNiメッキを施す工程を行う。Niメッキの
厚さは1〜5μmの範囲が好ましい。
また、量産性を向上させるにはNiメッキを施す工程をバレル式電解メッキで行うこと
が好ましい。バレル式であれば回転容器中に電解液とリード付きステムを均一に混合でき
るので、一度に1000個以上のステムをメッキすることができる。また、アルミナは絶
縁体であるから直接Niメッキされることはない。導電体であるメタライズ層やリード部
がNiメッキされることになる。
また、Niメッキの歩留まりを向上させるには、記バレル式電解メッキを行う際に、メ
ッキ浴槽中に金属製ダミー部材を混合させることが好ましい。金属製ダミー部材を混合す
ると電解液の通電性が向上するのでメッキ効率が上がる。また、金属製ダミー部材がある
とクッション代わりになりステム本体部同士が衝突して破損するのを抑制できる。そのた
め、Niメッキの歩留まりが向上し、かつNiメッキの接合強度も上がる。
金属製ダミー部材は、ステム本体部より小さなものが好ましく、(金属製ダミー部材の体
積/ステム本体部の体積)比が0.01〜0.2となるものがよい。(金属製ダミー部材
の体積/ステム本体部の体積)比が0.01未満であると金属製ダミー部材が小さすぎる
ため大量にダミー部材を投入せねばならない。また、あまり小さいとリード部間に挟まる
などの問題も生じる。一方、0.2を越えて大きいと電解液中に占めるダミー部材の割合
が大きくなりすぎ処理できるステムの量が減る。
また、金属製ダミー部材は、リード付きステムの総体積に対し、5〜30vol%混合
されていることが好ましい。5vol%未満では混合の効果が十分得られず、30vol
%を超えると一度に処理できるステムの量が減る。
また、金属製ダミー部材の形状は、図2(a)(b)、図3、図4に示したような形状
が挙げられる。図2(a)はハトメ形状を一方に有する金属製ダミー部材の断面図、図2
(b)はハトメ形状を一方に有する金属製ダミー部材の斜方図である。また、図3はハト
メ形状を両端に有する金属製ダミー部材の断面図、図4はハトメ形状を有さない金属製ダ
ミー部材の断面図である。また、図中、d1はハトメ部の外径、d2はダミー部材の本体
部内径、Lはダミー部材の長さを示す。
金属製ダミー部材の形状は図4に示す円柱状のものから、図2および図3に示した円柱
状の本体部にハトメ部を設けたものまで様々なものが挙げられる。なお、本発明では円柱
に限られるものではなく四角柱、多角柱、三角柱、三角錐、球形であってもよい。なお、
円柱や球形のように角ばった部分が無い方がステムを傷つけないで済むので好ましい。
また、金属製ダミー部材の形状は前述のように金属製ダミー部材の体積/ステム本体部
の体積)比が0.01〜0.2のものが好ましく、一例としてd1が2〜5mm、d2が
1〜3mm、Lが3〜6mmが挙げられる。
また、ダミー部材を構成する金属としては鉄、ステンレス等の金属単体や合金が挙げら
れる。また、電解浴槽の温度は40〜70℃程度の温浴とし、メッキ時間は30〜60分
が目安となる。
このようなバレル式電解メッキ法であれば、一度に1000個以上、さらには2500
個以上のリード付きステムを処理でき、その処理時間も30〜60分でNiメッキの歩留
まりを90%以上、さらには95%以上とすることができる。なお、一度に処理できるス
テムの個数は電解浴槽のサイズ、ステムのサイズ等によるが2500〜3500個のリー
ド付きステムを処理したとしても歩留まりを90%以上、さらには95%以上にすること
ができる。
以上のマグネトロン用ステムの製造方法によれば歩留まりを大幅に改善し、メタライズ
層の形成、リードの固定、Niメッキの形成と言った複雑な工程を経たとしても歩留まり
を90%以上と大幅に改善することができる。また、メタライズ層やNiメッキの接合強
度をも向上させることができる。そのため、マグネトロンに装着した際の封着性の良い信
頼性の高いマグネトロンを製造することができる。
(実施例1、比較例1〜4)
図1のような形状を有するマグネトロン用ステムを製造する工程を用いて本実施例の効
果を確認する。まず、ステム本体部は直径15mm×長さ10mmのアルミナ焼結体を用
い、その先端にはメタライズ層を形成するための凸部(段差)を設けた。
工程A1:焼結助剤としてMn酸化物、酸化珪素、酸化マグネシウムを添加したアルミナ
焼結体かなるステム本体部を用意。焼結体中のMn含有量はMn単体換算で3.0wt%
、Si単体換算で1.9wt%、Mg単体換算で2.4wt%であった。また、粒界相の
成分をX線回折したところピークは検出されずガラス相であることが分かった。
工程A2:Mnを含有しない以外は工程A1と同じものを用意した。
工程B1:平均粒径2μmのMo粉末、平均粒径2μmのMn粉末をそれぞれボールミル
を用いて70〜80時間解砕した。その後、乾燥し、Mo粉末とMn粉末とバインダーと
してエチルセルロースを混合した。混合は単ロール法により5〜15時間混合した後、三
本ロール法により10〜25時間混合した。この工程によりMnを7質量%含有するMo
−Mn系ペーストを調整した。
工程B2:解砕処理しない以外は工程B1と同じ工程を用いてMo−Mn系ペーストを調
整した。
工程C1:Mo−Mn系ペーストをステム本体部の所定の位置に塗布厚20μmでスクリ
ーン印刷し、還元雰囲気(水素15vol%含有の不活性雰囲気)下で65〜75℃×1
0〜20分乾燥させた。また、還元性雰囲気ガスの流量は170〜220L/minの範
囲とした。
工程C2:大気中で乾燥させた以外は工程C1と同じ乾燥工程を行った。
工程D1:還元雰囲気(水素15vol%含有の不活性雰囲気)下で1400〜1450
℃×2〜3時間熱処理することによりメタライズ層を形成した。また、還元性雰囲気ガス
の流量は170〜220L/minの範囲とした。
工程D2:大気中で熱処理した以外は工程D1と同じ方法によりメタライズ層を形成した

工程E1:Mo製リード部を挿通し、Ag系ろう材によりろう付けした。
工程F1:3000個のリード付きステムに対し、体積比10vol%になるように鉄を
主成分とする金属製ダミー部材(図2に示した一方にハトメ部を設けた形状でd1が2m
m、d2が1mm、Lが4mm)となるよう投入し、バレル式電解メッキを40〜60℃
×30〜50分行った。
工程F2:金属製ダミー部材を用いない以外は工程F1と同じ方法でバレル式電解メッキ
を行った。
各工程を組合せて実施例および比較例にかかる製造方法を行い歩留まりおよびメタライ
ズ層の接合強度を求めた。歩留まりは3000個のマグネトロン用ステム本体部を用意し
、最終的にマグネトロン用ステムとして製造できたかを求めた。また、メタライズ層の接
合強度はNiメッキを施したメタライズ層にコバール板をろう付けし、その引張り強度(
kgf)を求めた。その作業を100個行い平均値を示した。またその中で最も低い接合
強度を最低値として示す。また、メタライズ工程(工程C〜工程D)においてアルミナ焼
結体の色の変化の有無を確認した。その結果を表1に示す。
実施例1:工程A1→工程B1→工程C1→工程D1→工程E1→工程F1
比較例1:工程A2→工程B1→工程C1→工程D1→工程E1→工程F1
比較例2:工程A1→工程B2→工程C2→工程D1→工程E1→工程F1
比較例3:工程A1→工程B1→工程C1→工程D1→工程E1→工程F2
比較例4:工程A1→工程B1→工程C1→工程D2→工程E1→工程F1
Figure 0005285868
表から分かる通り、本実施例にかかるマグネトロン用ステムの製造方法は歩留まりが高
い。また、接合強度も高い値が得られた。表には示していないが実施例1のマグネトロン
用ステムは、その接合強度の最大値は102kgfであった。
一方、比較例1は外見上の歩留まりは高かったがアルミナ焼結体中にMnを含有してい
ないのでメタライズ層の接合強度は低かった。また、比較例2はベースとの調整や乾燥工
程が不十分であるためメタライズ層の接合強度は低かった。
また、比較例3はメッキ工程で金属製ダミー部材を使用していないことからメッキ不良
が多く歩留まりが低下した。また、比較例4はメタライズ工程を還元性雰囲気で行ってい
ないためアルミナ焼結体のMn酸化物が還元されないためガラス相の移動が少なくメタラ
イズ層の接合強度が低下した。
(実施例2〜5)
工程B1を表2のように変えた以外は実施例1と同様の方法でマグネトロン用ステムを製
造し、同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005285868
表から分かる通り、解砕時間の短い実施例4、Mo粉末およびMn粉末が好ましい範囲
を超えて大きい実施例5は歩留まりおよび接後強度が低下する傾向にあることが分かった
。なお、表には示さないが、いずれもメタライズ工程においてアルミナ焼結体の色の変化
が確認された。メタライズ前のステム本体部は茶色であったものが、メタライズ後はピン
ク色(小豆色)であった。
(実施例6〜8)
工程F1を表3のように変えた以外は実施例1と同様の方法でマグネトロン用ステムを
製造し、同様の測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005285868
表から分かる通り、金属性ダミー部材の添加量が5vol%未満と小さいと通電性の改
善効果が小さいのでメッキ不良の改善効果は小さい。また、実施例7のようにメッキ時間
が短いのも不良の原因となる。
一方、実施例8、実施例9および実施例1を比較すると歩留まりの良い順に並べると実
施例8、実施例1、実施例9となる。この比較から考えると金属製ダミー部材にはハトメ
部があった方が歩留まりが向上すると言える。これはハトメ部がクッション代わりとなり
ステム同士のぶつかり合いを抑制できるためであると考えられる。
(実施例10〜13)
次に実施例1と同様の方法を用いて処理するステム量を表4のように変えて歩留まりを
測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0005285868
表から分かる通り、ステムの個数が増えても高い歩留まりが確認された。
以上のように本実施例にかかるマグネトロン用ステムの製造方法は歩留まりが良く、得
られるステムのメタライズ層の接合強度も高い。このため、信頼性の高いマグネトロン用
ステムを製造でき、その結果、それを用いたマグネトロンの信頼性も向上させることがで
きる。
本発明のマグネトロン用ステムを用いたマグネトロンの一例を示す断面図。 本発明の金属製ダミー部材の一例を示した図。 本発明の金属製ダミー部材の他の一例を示した図。 本発明の金属製ダミー部材の他の一例を示した図。
符号の説明
1…ステム本体部
2…貫通孔
3…座金接合面
4…エンベローブ接合面
5、6…リード部
7…座金
8…金属エンベロープ
9、10…メタライズ層
11…陰極フイラメント
12,13…エンドシールド

Claims (7)

  1. セラミックス焼結体からなるステム本体部、ステム本体部上に形成されたメタライズ層
    およびステムを挿通したリード部を有するマグネトロン用ステムの製造方法において、M
    nを含有するアルミナ焼結体からなるステム本体部を用意する工程、Mo−Mn系ペース
    トを前記ステム本体部の一部に塗布し、還元雰囲気中50〜100℃で乾燥させた後、
    成温度1350〜1550℃にてステム本体の色が変化するように焼成することによりメ
    タライズ層を形成する工程、ステム本体部にリード部を挿通、固定する工程、前記メタラ
    イズ層上にNiメッキを施す工程、
    を具備することによりメタライズ層の最低接合強度を30kgf以上にすることを特徴と
    するマグネトロン用ステムの製造方法。
  2. Mn含有量が1〜5質量%であるアルミナ焼結体を用いたことを特徴とする請求項1に
    記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  3. 前記Mo−Mn系ペーストは、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径0.5
    〜10μmのMn粉末をそれぞれ40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混合
    して調製されたものであることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載のマ
    グネトロン用ステムの製造方法。
  4. 前記Niメッキを施す工程がバレル式電解メッキであることを特徴とする請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  5. 前記バレル式電解メッキを行う際に、メッキ浴槽中に金属製ダミー部材を混合している
    ことを特徴とする請求項4記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  6. 前記金属製ダミー部材が、マグネトロン用ステムの総体積に対し、5〜30vol%混
    合されていることを特徴とする請求項5記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  7. 前記金属製ダミー部材がハトメ形状を有することを特徴とする請求項5または6のいず
    れか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
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