JP4081387B2 - セラミック多層基板導電材用銀粉末とその製造方法 - Google Patents

セラミック多層基板導電材用銀粉末とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック多層基板用導電材用銀粉末とその製造方法に関し、詳しくは、銀粒子の表面にリン酸化物とイットリウム酸化物とを被着してなり、高温での焼成において熱収縮率が小さいと共に、導電ペーストとし、これを焼成したとき、比抵抗率の低い導体を与えるセラミック多層基板導電材用表面処理銀粉末とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハイブリッドIC基板は主にアルミナ焼結体からなり、これを多層化する場合、焼結温度は1500〜1600℃である。この温度で基板と共に焼結される導体は、モリブデンやタングステンのような高融点金属でなければならない(非特許文献1参照)。しかし、このような高温度での焼成によれば、セラミックス強度や絶縁耐力の低下が避け難い。そこで、近年、1000℃以下の温度で焼結させるLTCC(低温同時焼結セラミック)が主流になりつつある。このLTCCにおいては、基板としてガラス系セラミックスが用いられ、導体として銅や銀等の比較的低融点で低抵抗率の金属が用いられている。即ち、通常、銅又は銀の粉末、有機バインダー、分散剤及び溶剤を用いて導電ペーストを調製し、これを基板上にスクリーン印刷して、かくして、得られたグリーンシートを重ね合わせて接着し、この後、この積層体を900〜1000℃で焼成して、セラミック多層基板とするのである。
【0003】
ここに、銅や銀の粉末は、導電ペーストの調製化において、ビヒクルへの分散が容易なこと、スクリーン印刷精度が高いこと等が要求され、従って、粒度分布が均一で球状の粒子であることが好ましい。また、セラミック成形体との熱収縮率の差ができるだけ小さいことが好ましい。セラミック成形体との熱収縮率の差が大きいときは、セラミック成形体と共に焼成したときに、得られるセラミック基板が反ったり、また、得られる多層基板にクラックやデラミネーションのような構造欠陥が発生する。
【0004】
そこで、銀粉末の場合、従来、熱収縮を抑制するために、銀粉末に無機酸化物を混合する方法が提案されているが、この方法によれば、絶縁体である無機酸化物を比較的多量に混合することが必要であり、従って、本来の導電材としての銀粉末の性能が損なわれる欠点があった。また、銀粒子の表面に金属酸化物を被覆する方法も提案されている(特許文献1参照)。このような方法によれば、銀粉末のスラリーに水溶性金属塩を加え、酸又はアルカリでpH調整して、銀粒子の表面に金属酸化物を付着させた後、更に、メカノケミカル法によって上記金属酸化物を銀粒子の表面に固着させるものである。しかし、このような方法によっても、金属酸化物と銀粒子との間の結合が十分でなく、グリーンシートの焼結に際して、銀粉末の熱収縮を抑制する効果は、未だ不十分であった。
【0005】
【非特許文献1】
「電極および電極関連材料」アイピーシー(株)1989年発行)
【特許文献1】
特開2001−240901号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のセラミック多層基板導電材用銀粉末における上述した問題を解決するためになされたものであって、表面処理によってリン酸化物とイットリウム酸化物とをその表面に被着させてなり、高温での焼成において熱収縮率が小さいと共に、導電ペーストとし、これを高温で焼成したとき、低い比抵抗率を有する導体を与えるセラミック多層基板導電材用表面処理銀粉末とその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、平均粒子径0.1〜5μmの球状の銀粒子にリン酸化物とイットリウム酸化物とを被着させたことを特徴とするセラミック多層基板導電材用銀粉末が提供される。
【0008】
特に、本発明によれば、このようなセラミック多層基板導電材用銀粉末は、五酸化リン(P25、以下、同じ)換算でリン酸化物0.03〜0.70重量%と三酸化イットリウム(Y23、以下、同じ)換算でイットリウム酸化物0.05〜1.0重量%が表面に被着されたものであることが好ましい。
【0009】
このようなセラミック多層基板導電材用銀粉末は、本発明に従って、平均粒子径0.1〜5μmの球状の銀粉末の水分散スラリーに亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選ばれる少なくとも1種を溶解させて、上記銀粉末を表面処理し、次いで、イットリウム化合物の水溶液を加えた後、アルカリにてpHを7〜9の範囲に調整し、次いで、このように表面処理した銀粉末を濾過し、洗浄し、乾燥し、非酸化性雰囲気下に100〜700℃の温度で焼成し、この後、酸水溶液で洗浄して、五酸化リン換算でリン酸化物0.03〜0.70重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.05〜1.0重量%を被着させることによって得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明による銀粉末は、セラミック多層基板導電材として用いるものであるので、先ず、スクリーン印刷適性が重要な特性の一つとして求められる。従って、本発明によれば、母体となる銀粒子は、球状で、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にあることが好ましく、特に、平均粒子径が0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。但し、本発明において、母体となる銀粒子は、その製造方法については、何ら制限されることはない。
【0011】
本発明による銀粉末の製造について説明する。本発明による銀粉末の製造方法は、第1の工程として、銀粒子の表面をリン酸化物とイットリウム酸化物とで被着するリン/イットリウム被着工程、次いで、第2の工程として、このように、リン/イットリウム被着した銀粒子を加熱処理する焼成工程、更に、第3の工程として、このように処理した銀粒子を酸洗して、余剰のリン酸化物とイットリウム酸化物とを溶解させ、除去して、好ましくは、銀粒子に五酸化リン換算でリン酸化物0.03〜0.70重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.05〜1.0重量%を被着させる酸洗工程とからなる。以下に工程ごとに本発明の方法を詳細に説明する。
リン/イットリウム被着工程
本発明の銀粉末の製造方法によれば、先ず、銀粉末の水スラリーを調製する。このスラリー濃度は、特に、限定されるものではないが、通常、50〜300g/Lの範囲であり、好ましくは、100〜200g/Lの範囲である。次に、このスラリーを攪拌しながら、これにリン源として所定量のリン化合物の水溶液を加える。リン化合物としては、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0012】
本発明において、リン源として、このような化合物を用いることによって、先ず、スラリー中の銀粒子の表面の酸化物を還元し、活性な表面を形成して、必ずしも、明確ではないが、亜リン酸系又は次亜リン酸系の吸着層が形成され、かくして、銀粒子の表面にイットリウム酸化物を強固に被着させることができるとみられる。
【0013】
このようなリン化合物は、銀粒子重量に対して、通常、五酸化リン換算で0.3〜1.3重量%、好ましくは、0.5〜1重量%の範囲で用いられる。リン化合物の量が銀粒子重量に対して0.3重量%よりも少ないときは、後の焼成工程において、銀粒子が相互に融着して焼結を起こし、他方、1.3重量%を越えるときは、後の酸洗工程の後も、銀粒子へのリン酸化物の被着量が多すぎて、得られる銀粉末が比抵抗率において劣ることとなる。
【0014】
このように、銀粉末の水スラリーにリン化合物の水溶液を加え、攪拌して、表面処理した後、イットリウム化合物の水溶液を加え、30〜60℃に加温する。イットリウム源としては、酸化イットリウム、水酸化イットリウム、炭酸イットリウム、硝酸イットリウム等が用いられる。水溶性でないイットリウム化合物は、例えば、硝酸に溶解して用いることができる。
【0015】
本発明によれば、このようなイットリウム化合物は、銀粒子重量に対して、三酸化イットリウム換算で0.5〜4重量%の範囲、好ましくは、1〜3重量%の範囲で用いられる。イットリウム化合物の量が銀粒子重量に対して0.5重量%よりも少ないときは、後の焼成工程において、粒子が相互に融着して焼結を起こし、他方、4重量%を越えて過多に用いても、得られる銀粉末がそれに見合って、性能が向上せず、経済的に不利である。
【0016】
一般に、従来より知られている通常の方法によっては、金属粒子の表面に異種の金属やその酸化物を被着することは困難である。しかしながら、本発明によれば、前述したように、銀粒子を予め、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選ばれる少なくとも1種にて表面処理して、銀粒子の表面を活性化して、リン系の吸着層を形成するので、この後にイットリウム化合物を作用させることによって、上記吸着層とイットリウム化合物との間に何らかの化学反応が生じ、かくして、リン化合物を介在してイットリウム化合物が銀粒子の表面に強固に結合するとみられる。
【0017】
例えば、銀粉末を上記リン化合物で表面処理した後、これを大過剰の酢酸で洗浄しても、銀粉末には、用いたリンの1/2から1/5の量が被着しており、また、上記リン化合物で表面処理した後、イットリウム処理すれば、このようにして得られる銀粉末にも、大過剰の酢酸で洗浄した後も、三酸化イットリウム/五酸化リン重量比が約2.9から約3.3の範囲でイットリウムが被着していることから、リン酸化物とイットリウム酸化物が銀粉末上で何らかの形で結合していることが窺える。
【0018】
このように、リン化合物で処理した銀粉末の水スラリーにイットリウム化合物を加え、攪拌した後、アルカリを加えて、銀粉末のスラリーのpHを7〜9の範囲に調整して、イットリウム酸化物にて銀粉末の表面を被着する。ここに、上記アルカリは、特に、限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物が好ましく用いられる。
【0019】
このように、アルカリ処理した後、常法に従って、銀粉末を濾過し、洗浄、乾燥し、粉砕する。但し、上記アルカリ処理によって副生した塩類を水洗し、除去した後、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶媒で銀粉末のケーキ中の水分を置換しておけば、銀粉末の洗浄後の乾燥温度を100℃より低く設定することができ、かくして、乾燥後に凝集の少ない銀粉末を得ることができ、次の焼成工程において、ソフトな焼成物を得ることができる。
焼成工程
このように、アルカリ処理によって、その表面がリン酸化物とイットリウム酸化物とで被着された銀粉末を得ることができる。そこで、本発明によれば、このような銀粉末を非酸化性雰囲気下に100〜700℃の温度で、例えば、1時間程度、焼成する。この焼成によって、銀の結晶化度を向上させることができるので、焼成は、重要な意味を有する。特に、湿式法で製造された銀粉末は、噴霧法やCVD法等の乾式法で製造された銀粉末に比較して結晶化度が低く、LTCC等の基板焼成段階で熱収縮が大きいところ、本発明によれば、このように、焼成によって銀粒子の結晶化度を高めることによって、熱収縮を抑制することができる。銀粉末を非酸化性雰囲気下に焼成するのは、銀粉末の表面酸化を抑制するためであり、非酸化性雰囲気として、例えば、窒素雰囲気を挙げることができる。
【0020】
従って、本発明によれば、焼成温度は、上述したように、100〜700℃の範囲である。焼成温度が100℃よりも低いときは、銀粒子の結晶化度を高める効果がなく、他方、700℃を越えるときは、銀粒子が相互に融着するので好ましくない。本発明においては、銀粉末の焼成には、回転炉、流動炉、静置炉等、いずれの手段によってもよいが、なかでも、焼成中に粉体が攪拌される回転炉や流動炉等が好ましい。
酸洗工程
このように、銀粉末を焼成した後、室温まで冷却し、再度、水に分散させて、水スラリーとした後、これに所定量の酸を加え、銀粒子表面の余剰のリンとイットリウムを溶解させ、除去して、好ましくは、五酸化リン換算でリン酸化物0.03〜0.70重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.05〜1.0重量%を被着させてなる銀粉末を得る。
【0021】
本発明によれば、リン/イットリウム被着工程において、前述した範囲のリン化合物とイットリウム化合物とを用いて銀粉末を表面処理して、銀粒子の表面をリン/イットリウム被着した後、このような銀粉末を焼成すれば、酸洗後の銀粒子においては、その理由は、必ずしも明らかではないが、三酸化イットリウム/五酸化リン重量比が1.5〜1.7の範囲となるので、酸洗に用いる酸の量を制御して、銀粉末へのイットリウムの被着量を上記範囲に制御することによって、自ずから、上記範囲のリンが被着した銀粉末を得ることができる。
【0022】
本発明によれば、このようにして、銀粒子の表面にリン酸化物とイットリウム酸化物とを所定の範囲で被着させることによって、LTCC基板の焼成時の熱収縮を抑制することができる。
【0023】
上記酸洗のために用いる酸は、特に限定されるものではないが、通常、銀の可溶性塩を生成する硝酸、酢酸等が用いられる。酸洗の条件は特に限定されるものではなく、酸濃度、温度、時間等は、銀粒子表面に上記の量のリン酸化物とイットリウム酸化物とが残存し、被着するように選べばよい。
【0024】
本発明によれば、銀粒子の表面に残存し、被着したイットリウム酸化物の量が三酸化イットリウム換算で0.05重量%よりも少ないときは、セラミック基板の焼成時の熱に対する抵抗力が弱く、他方、1重量%を越えるときは、銀粒子が本来、有するべき電気特性に支障をきたすおそれがある。
【0025】
このようにして得られたリン酸化物とイットリウム酸化物を被着させた銀粉末のスラリーから銀粉末を濾過し、洗浄、乾燥し、粉砕すれば、本発明によるセラミック多層基板導電材用銀粉末を得ることができる。上記酸洗において副生した塩類を水洗、除去した後、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶媒で銀粉末のケーキ中の水分を置換しておけば、乾燥温度を100℃より低く設定することができ、かくして、乾燥後に凝集の少ない銀粉末を得ることができる。このように、凝集の少ない銀粉末は、導電ペーストの調製時に分散性にすぐれるので好ましい。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0027】
実施例1
(リン/イットリウム被着工程)
硝酸銀の水溶液にヒドラジンを還元剤として加え、硝酸銀を還元して得られた湿式法による平均粒子径0.5μm(SEM観察による。)の銀粉末150gを150g/Lとなるように純水に分散させてスラリーとし、これを温度50℃に保持した。このスラリーに次亜リン酸ナトリウム水溶液を五酸化リン換算で1.20g加えて、1時間攪拌した。
【0028】
酸化イットリウムを硝酸に溶解させて、硝酸イットリウム水溶液を調製した。この硝酸イットリウム水溶液を三酸化イットリウム換算で3.75gを上記次亜リン酸ナトリウムを溶解させた銀粉末のスラリーに加え、20分間攪拌した。次いで、得られた混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを8に調整した後、このように処理した銀粉末を濾過し、これを洗浄、乾燥し、粉砕して、五酸化リン換算でリン酸化物0.76重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物2.40重量%を被着させた銀粉末を得た。
【0029】
(焼成工程)
次に、この銀粉末70gを実験室用回転炉に装入し、昇温前に窒素ガスを十分流して、炉内の酸素を除去した後、炉内を500℃まで昇温し、次いで、この温度で1時間保持した後、室温まで冷却した。昇温の開始からこのように室温まで冷却する間、炉内に窒素ガスを微量流し続けた。炉から取り出した銀粉末に焼結はみられず、焼成前の粉体と同様の感触であった。また、SEM(走査型電子顕微鏡)観察によっても、銀粉末のそれぞれの粒子は独立しており、粒子間の融着はみられなかった。
【0030】
(酸洗工程)
この銀粉末50gを150g/Lとなるように純水に分散させて水スラリーとし、これに氷酢酸3.9mLを加え、1時間攪拌して、余剰のリンとイットリウムを溶解させ、除去した。この後、このように処理した銀粉末を濾過し、洗浄、乾燥し、粉砕して、五酸化リン換算でリン酸化物0.11重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.17重量%を被着させた銀粉末を得た。
【0031】
(銀粉末の熱収縮率の測定)
このようにして得た本発明による銀粉末0.5gを100MPaの圧力で加圧して、直径5mm、厚み2.5mmのペレットに成形した。熱分析装置((株)島津製作所製TMA−50H)を用いて、空気を50mL/分の割合で流しながら、加熱速度10℃/分で900℃まで上記ペレットを加熱して、その熱収縮率を測定した。結果を図1及び表1に示す。
【0032】
(導電ペーストの調製とそれからの導体の比抵抗率の測定)
エチルセルロース1重量部をα−テルピネオール9重量部に溶解させて、有機質ワニスを調製した。上記のようにして得られた本発明による銀粉末85重量%に上記有機質ワニス15重量%を配合し、磁器乳鉢中で1時間混練した後、更に、3本ロールで3回分散処理を行って、導電ペーストを得た。このペーストをガラス基板上にスクリーン印刷した後、900℃で焼成して、線幅150μm、線長200mm、厚み10μmの導体を形成させた。この導体の比抵抗率を表1に示す。
【0033】
実施例2
酸洗工程において、氷酢酸3.2mLを用いた以外は、実施例1と同様にして、五酸化リン換算でリン酸化物0.18重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.28重量%を被着させた銀粉末を得た。この銀粉末について、実施例1と同様にして熱収縮率を測定した。結果を図1及び表1に示す。また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、その比抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
実施例3
酸洗工程において、氷酢酸1.9mLを用いた以外は、実施例1と同様にして、五酸化リン換算でリン酸化物0.31重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.50重量%を被着させた銀粉末を得た。この銀粉末について、実施例1と同様にして熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、その比抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例4
(リン/イットリウム被着工程)
硝酸銀の水溶液にヒドラジンを還元剤として加えて、硝酸銀を還元して得られた湿式法による平均粒子径1.0μm(SEM観察による。)の銀粉末150gを150g/Lとなるように純水に分散させて水スラリーとし、これを温度50℃に保持した。上記スラリーに亜リン酸ナトリウム水溶液を五酸化リン換算で0.90g加え、1時間攪拌した。
【0036】
酸化イットリウムを硝酸に溶解させて、硝酸イットリウム水溶液を調製した。この硝酸イットリウム水溶液を三酸化イットリウム換算で2.90gを上記亜リン酸ナトリウムを溶解させた銀粉末の水スラリーに加え、30分間攪拌した。次いで、得られた混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを8に調整した後、このように処理した銀粉末を濾過し、これを洗浄、乾燥し、粉砕して、五酸化リン換算でリン酸化物0.58重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物1.88重量%を被着させた銀粉を得た。
【0037】
(焼成工程)
次に、この銀粉末70gを実験室用回転炉に装入し、昇温前に窒素ガスを十分流して、炉内の酸素を除去した後、炉内を300℃まで昇温した。次いで、この温度で1時間保持した後、室温まで冷却した。昇温の開始からこのように室温まで冷却する間、炉内に窒素ガスを微量流し続けた。炉から取り出した銀粉末に焼結はみられず、焼成前の粉体と同様の感触であった。また、SEM観察によっても、銀粉末のそれぞれの粒子は独立しており、粒子相互の間の融着はみられなかった。
【0038】
(酸洗工程)
この銀粉末50gを150g/Lとなるように純水に分散させて水スラリーとし、これに氷酢酸2.6mLを加え、1時間攪拌して、余剰のリンとイットリウムを溶解させ、除去した。この後、このように処理した銀粉末を濾過し、洗浄、乾燥し、粉砕して、五酸化リン換算でリン酸化物0.14重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.23重量%を被着させた銀粉末を得た。
【0039】
(熱収縮率と比抵抗率の測定)
このようにして得た銀粉末について、実施例1と同様にして熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、その比抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
実施例5
焼成工程において、加熱温度を600℃とした以外は、実施例4と同様にして、五酸化リン換算でリン酸化物0.18重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.29重量%を被着させた銀粉末を得た。この銀粉末について、実施例1と同様にして熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、その比抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
比較例1
実施例2において、硝酸イットリウム水溶液を用いず、次亜リン酸ナトリウム水溶液のみを用いた以外は、同様にして、銀粉末の表面をリン酸化物で被着した後、焼成した。その結果、銀粉は一つの塊に焼結しており、SEM観察によれば、銀粒子は相互に融着していることが認められた。このような銀粉末について、実施例1と同様にして熱収縮率を測定した。結果を図1及び表1に示す。また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、その比抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
比較例2
実施例2において、次亜リン酸ナトリウム水溶液を用いず、硝酸イットリウム水溶液のみを用いた以外は、同様にして、銀粉末の表面をイットリウム酸化物で被覆した後、焼成した。その結果、銀粒子相互の融着は抑制されていたものの、酸洗後、銀粒子に残存するイットリウム酸化物は三酸化イットリウム換算で0.02重量%であって、銀粒子の表面にはイットリウム酸化物は殆ど存在しないことが認められた。このような銀粉末について、実施例1と同様にして熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、その比抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
比較例3
実施例1において用いた銀粉末を150g/Lとなるように純水に分散させて水スラリーとし、これを50℃に保持した。上記スラリーに硝酸イットリウムを三酸化イットリウム換算で0.3重量%となるように加え、1時間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを8に調整した。このように処理した銀粉末を濾過し、これを洗浄、乾燥し、粉砕して、三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.28重量%を被覆させた銀粉末を得た。
【0044】
この銀粉末について、実施例1と同様にして測定した熱収縮率は13.2%であり、また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、測定した比抵抗率は3.2μΩ・cmであった。
【0045】
比較例4
実施例1において用いた銀粉末を150g/Lとなるように純水に分散させて水スラリーとし、これを50℃に保持した。上記スラリーに硝酸アルミニウムを酸化アルミニウム(Al23)換算で0.3重量%となるように加え、1時間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを8に調整した。このように処理した銀粉末を濾過し、これを洗浄、乾燥し、粉砕して、酸化アルミニウム換算でアルミニウム酸化物0.29重量%を被覆させた銀粉末を得た。
【0046】
この銀粉末について、実施例1と同様にして測定した熱収縮率は18.6%であり、また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、測定した比抵抗率は3.1μΩ・cmであった。
【0047】
比較例5
実施例1において用いた銀粉末を150g/Lとなるように純水に分散させて水スラリーとし、これを50℃に保持した。このスラリーに3号ケイ酸ナトリウムを二酸化ケイ素(SiO2)換算で0.3重量%となるように加え、1時間攪拌した後、硝酸水溶液を加えて、pHを8に調整した。このように処理した銀粉末を濾過し、これを洗浄、乾燥し、粉砕して、二酸化ケイ素換算でケイ素酸化物0.25重量%を被覆させた銀粉末を得た。
【0048】
この銀粉末について、実施例1と同様にして測定した熱収縮率は17.5%であり、また、実施例1と同様にして導電ペーストを調製し、導体を形成して、測定した比抵抗率は3.2μΩ・cmであった。
【0049】
【表1】
Figure 0004081387
【0050】
【発明の効果】
本発明によるセラミック多層基板導電材用銀粉末は、リン酸化物とイットリウム酸化物とを被着させてなり、高温に加熱したときの熱収縮率が小さいと共に、導電ペーストとし、これを焼成したとき、低い比抵抗率を有する導体を与えるので、セラミック成形体と共に高温で焼成して、セラミック多層基板を製造するために好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるセラミック多層基板導電材用銀粉末の熱収縮率を比較例としての銀粉末の熱収縮率と比較して示すグラフである。

Claims (3)

  1. 平均粒子径0.1〜5μmの球状の銀粒子にリン酸化物とイットリウム酸化物とを被着させたことを特徴とするセラミック多層基板導電材用銀粉末。
  2. 五酸化リン(P25)換算でリン酸化物0.03〜0.70重量%と三酸化イットリウム(Y23)換算でイットリウム酸化物0.05〜1.0重量%を被着させた請求項1に記載のセラミック多層基板導電材用銀粉末。
  3. 平均粒子径0.1〜5μmの球状の銀粉末の水分散スラリーに亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選ばれる少なくとも1種を溶解させて、上記銀粉末を表面処理し、次いで、イットリウム化合物の水溶液を加えた後、アルカリにてpHを7〜9の範囲に調整し、次いで、このように表面処理した銀粉末を濾過し、洗浄し、乾燥し、非酸化性雰囲気下に100〜700℃の温度で焼成し、この後、酸水溶液で洗浄して、五酸化リン換算でリン酸化物0.03〜0.70重量%と三酸化イットリウム換算でイットリウム酸化物0.05〜1.0重量%を被着させた銀粉末を得ることを特徴とするセラミック多層基板導電材用銀粉末の製造方法。
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