JP5450059B2 - マグネトロン用ステムおよびそれを用いたマグネトロン並びにマグネトロン用ステムの製造方法 - Google Patents

マグネトロン用ステムおよびそれを用いたマグネトロン並びにマグネトロン用ステムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジ等のマイクロ波加熱機器に用いられるマグネトロン用ステム等のマグネトロンに用いられるセラミックス部品およびそれを用いたマグネトロン並びにその製造方法に関する。
従来、マグネトロンの陰極支持部に用いるステムとして、図1に示すものが知られている(特公平4−75618号公報(特許文献1))。図中、符号1はセラミックスからなるステム本体部で、このステム本体部1には両端面間に貫通する貫通孔2が形成されている。ステム本体部1の両方の側面には座金接合面3が形成され、且つ一方の側面には座金接合面3の周囲に段差をもたせてエンベローブ接合面4が形成されている。ステム本体部1の貫通孔2には陰極支持棒としてリード部5,6が挿通され、これらリード部5,6と、ステム本体部1の座金接合面3にろう付けにより接合した座金7,7とは、ろう付けを施して接合封着されている。なお、リード部5,6は高温下で使用されるため高温強度にすぐれたMoで形成されている。ステム本体部1のエンベロープ接合面4には、金属エンベロープ8がろう付けにより接合封着してある。前記ステム本体部1の座金接合面3とエンベロープ接合面4とには、それぞれメタライズ層9および10が形成され、座金7および金属エンベロープ8がろう付けされている。
また、リード部5,6と座金7との接合部はステム本体部1の外気に対する封止部となる。このため、リード部5,6と座金7との接合部には、ろう材ののりを良くし接合封着性を高めるために、メタライズ層9および10の表面にNiメッキが施されている。なお、図中、符号11は陰極フイラメント、符号12,13は陰極フイラメント11をリード部5,6に保持するエンドシールドである。
従来、ステム本体部1にはアルミナ焼結体、メタライズ層9にはMo単独のメタライズ層が用いられていた。しかし、Moメタライズ層はNiメッキとの接合強度が弱いことから、近年はMo−Mn系メタライズ層が用いられている(特開2002−56783号公報(特許文献2))。これによりメタライズ層とNiメッキの接合強度が高くなり、さらにNiメッキ層と座金との接合強度、機密性が高くなるため封止効果が向上している。
前述のように、Mo−Mn系メタライズ層を形成すると、Moメタライズ層を形成する場合に比べて接合強度は向上する。しかし、Mo−Mn系メタライズ層を形成するメタライズ工程はMoメタライズ層を形成する場合に比べて煩雑になるため、歩留まりという点では十分改善されていなかった。また、Mo−Mn系メタライズ層と座金との接合性を向上させるにはMo−Mn系メタライズ層へのNiメッキが必須であったが、メッキの歩留まりについても十分改善されていなかった。
特許文献1:特公平4−75618号公報
特許文献2:特開2002−56783号公報
[発明の開示]
本発明は、メタライズ層の接合強度が高いマグネトロン用ステムを提供することを目的とする。また、本発明は、歩留まりが大幅に向上するマグネトロン用ステムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のマグネトロン用ステムは、アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部の一部の表面上に設けられたMo−Mnメタライズ層とを有するマグネトロン用ステムにおいて、前記セラミックス本体部は、Mnを含む粒界相を有しMn含有量が1〜5質量%のアルミナ焼結体であり、前記セラミックス本体部と前記Mo−Mnメタライズ層との間にMnリッチ相を具備し、前記メタライズ層の接合強度が392N/cm(40kgf/cm以上であることを特徴とするものである。
前記Mnリッチ相は平均厚さ2〜15μmであることが好ましい。Mnリッチ相はガラス相を主相とすることが好ましい。
前記メタライズ層の接合強度は、好ましくは588N/cm(60kgf/cm以上である。
前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は表面粗さRaが0.1μm以上であることが好ましい。前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は表面粗さRaが0.4〜3.0μmであることが好ましい。セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は、焼結上がり面であることが好ましい。前記アルミナ焼結体の色がXYZ色度図においてx=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内であることが好ましい。
また、本発明のマグネトロンは、上記マグネトロン用ステムを用いたことを特徴とするものである。
さらに、本発明のマグネトロン用ステムの製造方法は、アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部上に形成されたメタライズ層とを有するマグネトロン用ステムの製造方法において、Mnを含む粒界相を有しMn含有量が1〜5質量%のアルミナ焼結体からなるセラミックス本体部を用意する工程と、Mo−Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布し、還元雰囲気中1350〜1500℃で焼成することにより、接合強度が392N/cm(40kgf/cm以上のメタライズ層を形成する工程と、を具備することを特徴とするものである。
前記メタライズ層を形成する工程は、前記Mo−Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布した後、40〜120℃で乾燥させた後、還元雰囲気中1350〜1500℃で焼成することが好ましい。
前記メタライズ層を形成する工程は、前記セラミックス本体部の色が変化するまで行うことが好ましい。前記変化した後のセラミックス本体部の色がXYZ色度図においてx=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内であることが好ましい。前記メタライズ層を形成する工程は、前記セラミックス本体部の色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内になるまで焼成することが好ましい。
前記メタライズ層を形成する工程は、還元性雰囲気ガスの流量が100リットル/分以上であることが好ましい。前記セラミックス本体部を構成するアルミナ焼結体の粒界相はガラス相であることが好ましい。
前記Mo−Mn系ペーストは、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径0.5〜10μmのMn粉末とのそれぞれについて40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混合して調製されたものであることが好ましい。Mo−Mn系ペーストは平均粒径0.5〜1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末とを混合したMo粉末と、Mn粉末と、バインダーとを混合して調製されたものであることが好ましい。
前記メタライズ層を形成する工程の後、リード部を挿入する工程またはメタライズ層上にNiメッキを施す工程の少なくとも一方を有することが好ましい。前記Niメッキを施す工程は、マグネトロン用ステムと金属製ダミー部材とを混合してバレル式電解メッキ法を行うことが好ましい。前記セラミックス本体部はステム本体部であり、このセラミックス本体部と前記メタライズ層との間にはガラス相からなる析出層が形成されていることが好ましい。前記メタライズ層を形成する工程は、焼成する際に還元性雰囲気を循環させることが好ましい
[発明の効果]
本発明によれば、メタライズ層の接合強度が向上し、マグネトロン用セラミックス部品の信頼性が向上する。また、本発明によれば、マグネトロン用ステム等のマグネトロン用セラミックス部品の歩留まりが大幅に向上する。
本発明のマグネトロン用セラミックス部品とは図1に示したマグネトロン用ステム以外にも、マグネトロンの陰極の先端部等に用いられるリング形状の絶縁性封着部材にも適用できる。つまり、マグネトロンの陰極支持部において金属部材との絶縁性を保ちかつメタライズ層を利用して封着し気密性を維持するための部材であればリング形状、ステム形状など様々な部材に適用可能である。
本発明のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法は、アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部、本体部上に形成されたメタライズ層を有するマグネトロン用セラミックス部品の製造方法において、Mnを含む粒界相を含有するアルミナ焼結体からなる本体部を用意する工程、Mo−Mn系ペーストを前記本体部の一部に塗布し、還元雰囲気中1350〜1500℃で焼成することによりメタライズ層を形成する工程、を具備することを特徴とするものである。また、Mo−Mn系ペースト塗布後、40〜120℃で乾燥させる工程を行うことも有効である。
(セラミックス本体部を用意する工程)
はじめに、Mnを含む粒界相を有するアルミナ焼結体からなるセラミックス本体部を用意する工程を行う。
本発明で用いられるセラミックス本体部は、Mnを含有するアルミナ焼結体からなる。アルミナ焼結体のMnの含有量は、好ましくは1〜5質量%、さらに好ましくは1.5〜3.5質量%である。アルミナ焼結体は、Mnを含有することにより、焼結性が向上すると共にメタライズ層との濡れ性が良くなるのでMo−Mnメタライズ層との接合強度が向上する。Mn含有量が1質量%未満では、組織が緻密化せず、Mo−Mnメタライズ層との接合強度が十分に向上しないおそれがある。一方、5質量%を越えるとアルミナ焼結体を緻密化できないおそれがある。
Mnを含有するアルミナ焼結体は茶色に着色している。この茶色のアルミナ焼結体は後述のメタライズ工程においてピンク色に変色するため、メタライズ工程の完了度合いを目視により確認することができる点でも好ましい。
Mnを含有するアルミナ焼結体は、アルミナ(酸化アルミニウム)粉末と、酸化マンガン、炭酸マンガン等のMn化合物とを混合し、成形、焼結することにより得られる。なお、リード部を挿通するための穴やメタライズ層を形成するための凸部(段差)は、焼成後に形成するには研削等の工程が必要となり、製造性が悪くなるため、成形の際に設けておいた方がよい。
また、Mnを含有するアルミナ焼結体は、特定の焼結助剤を配合してから焼成することにより、アルミナ焼結体中にガラス相からなる粒界相を形成することができる。粒界相がガラス相であると後述のメタライズ層形成時の焼成工程においてガラス相が表面に析出し易くなるため好ましい。
本発明で用いられる焼結助剤としては、酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等が挙げられる。焼結助剤は、アルミナ焼結体中で、Si、MgおよびCaの少なくとも1種が金属元素単体換算で合計1〜10質量%含有されるように配合することが好ましい。
添加した焼結助剤はMn化合物と反応し、アルミナ焼結体中にMnO−SiO−MgO、MnO−SiO、MnO−MgO等のガラス相からなる粒界相を形成する。アルミナ焼結体はこの粒界相により緻密化される。また、アルミナ焼結体中のガラス相は、Mo−Mnメタライズ層を焼成する際にMo−Mnメタライズ層の空隙に入り込んでいきメタライズ層を強化する。このため、アルミナ焼結体中にガラス相からなる粒界相が形成されると、アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部とMo−Mnメタライズ層との接合強度が向上する。本発明で用いられるアルミナ焼結体は、アルミナ焼結体中にMnが含有されているため元々Mo−Mnメタライズ層とのなじみが良いが、焼結助剤を配合してアルミナ焼結体中にガラス相からなる粒界相を形成することにより、Mo−Mnメタライズ層とのなじみをより良くすることができる。
なお、アルミナ焼結体の粒界相がガラス相であるか否かはX線回折により確認することができる。具体的にはガラス相は結晶性を有さないため、X線回折を行った粒界相にピークが検出されない場合は、粒界相がガラス相であることが分かる。
セラミックス本体部のサイズと形状は特に限定されないが、例えばステムに用いる場合は直径10〜20mm、長さ7〜15mm程度の円柱形状のものが挙げられる。また、セラミックス本体部がリング形状のセラミックス部材である場合は、外径10〜20mm、高さ5〜20mm、肉厚は0.8〜3mm程度が好ましい。肉厚は求められる絶縁性により適宜設定する。
アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部の表面のうち、メタライズ層が設けられるメタライズ層形成部は、ダイヤモンド砥石を用いた機械研磨を行った面であってもよいし、焼成後に研磨を施さない研磨レス面(焼結上がり面)であっても良い。
すなわち、従来、メタライズ層の接合強度を上げるためにアルミナ焼結体の表面を機械研磨し表面粗さRaを0.1μm未満の平坦面に研磨加工していたが、本発明のアルミナ焼結体およびメタライズ層は接合強度が十分に高く、機械研磨の必要がないからである。このように本発明のアルミナ焼結体とメタライズ層との接合強度が高い理由は、アルミナ焼結体およびメタライズ層がいずれもMnを含み、アルミナ焼結体中の粒界相がメタライズ層中に析出して、アルミナ焼結体とメタライズ層との界面にMnを多く含んだMnリッチ相を形成することによると考えられる。
このため、セラミックス本体部のメタライズ層形成部は、表面粗さRa(中心線平均粗さ)を、通常0.1μm以上、好ましくは0.4〜3.0μmのように粗いままとすることができる。
メタライズ層形成部は、一般的に表面粗さが小さいほどメタライズ層との接合強度が高くなるが、本発明では表面粗さRaが上記範囲内のように粗い場合であってもメタライズ層との接合強度が十分に高いため、機械研磨を施さなくて済み、製造コストの低減を図ることができる。なお、本発明では、ばり取りのためのバレル研磨は施しても良い。
(メタライズ層を形成する工程)
次に、Mo−Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布し、40〜120℃で乾燥させた後、1350〜1500℃で焼成することによりメタライズ層を形成する工程を行う。メタライズ層を形成する場所は任意であり、通電させたい箇所、Niメッキ等を介して封着したい箇所などを適宜選択する。
Mo−Mn系ペーストはMo粉末とMn粉末と有機バインダーとを混合したものである。本発明で用いられる有機バインダーとしては乾燥工程や焼成工程により焼失するものであればよく特に限定されるものではない。Mn粉末はMn単体の粉末であってもよいしMnO等のMn化合物粉末であってもよい。有機バインダーの好ましい一例としてはエチルセルロースが挙げられる。
Mo−Mn系ペーストの調製は、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径0.5〜10μmのMn粉末とのそれぞれについて40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混合して調製されたものであることが好ましい。Mo−Mn系ペーストにおけるMoとMnの比率はMoとMnの合計を100質量%としたときMnが4〜12質量%、好ましくは6〜8質量%である。Mo−Mn系ペーストを調整する一連の工程は窒素等の不活性雰囲気で行うことが好ましい。特にMnは活性な金属であるので不活性雰囲気中で処理することが好ましい。
一般的にMo−Mnメタライズ層を形成するとメタライズ層に空隙が形成され易い。この空隙は有機バインダーが焼失する際に形成される隙間が主であり、Mo粉末およびMn粉末の粒径が大きいと隙間が大きくなり易い。従って、メタライズ層に空隙を形成させないためには、微細で均一なMo粉末、Mn粉末を用意することが必要である。
本発明では、メタライズ層に空隙を形成させないため、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径0.5〜10μmのMn粉末とのそれぞれについて40時間以上の解砕処理して得られたMo粉末およびMn粉末を用いることが好ましい。Mo粉末とMn粉末とを別々に解砕することにより、より均一な粉末にすることができる。
解砕時間は40時間以上のように長時間とすることが好ましい。この理由は、Moは比重が重く硬い金属であることから短時間で解砕しようとすると解砕機への負荷が大きく、解砕機の寿命を低下させることになり、返って製造コストを増大させるからである。また、Mnは活性な金属であることから、短時間で細かく解砕しようとすると発火のおそれがあるからである。解砕時間の上限は特に限定されるものではないが、あまり時間が長いと製造時間が長くなるので100時間以下が好ましい。
解砕処理のより好ましい態様は、Mo粉末およびMn粉末としてそれぞれ平均粒径が1〜4μmのものを用い、別々に60〜80時間解砕することである。解砕方法は乾式、湿式どちらでも良いが湿式の方がMnの発火特性を抑制できるため好ましい。解砕後のMo粉末およびMn粉末は乾燥することが好ましい。解砕処理にはアルミナボール等の硬質メディアを使って行っても良い。解砕処理は、解砕後のMo粉末およびMn粉末の平均粒径がそれぞれ0.2〜2.0μm程度になるまで行うことが好ましい。
また、Mo粉末として、平均粒径0.5〜1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末との2種類のMo粉末を用いる方法も有効である。平均粒径の異なる2種類の粉末を用いることによりMo粒子同士の隙間(粒界の隙間)を小さくできるため、樹脂バインダーが焼失した際の隙間も小さくできる。また、Mn成分がガラス相となりMo粒子同士の隙間に入り込みメタライズ層を強化することができる。なお、平均粒径の異なる2種類のMo粉末を用いる場合、混合したMo粉末が平均粒径0.7〜2.0μmになるように混合する。解砕処理は、混合後に行っても良いし、行わなくても良い。
平均粒径0.5〜1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末との2種類のMo粉末を用いる場合、解砕処理したMo粉末を篩い分けして平均粒径0.5〜1.0μmと平均粒径1.3μm以上の2種類のMo粉末を調製しても良い。
Mo粉末およびMn粉末の解砕処理の後、Mo粉末とMn粉末を所定量量り取り有機バインダーと混合する。Mo粉末とMn粉末と有機バインダーとの混合方法としては、容器に入れて混合した後、三本ロール等の負荷の高い混合方法を用いることが好ましい。有機バインダーとの混合は10〜30時間混合することが好ましい。
このように調製したMo−Mn系ペーストは、Mo粉末とMn粉末が均一に混合され、さらには適度な粘性を有していることからセラミックス本体部に塗布しても流れ落ちるといった不具合が発生し難い。このため、表面に加え裏面にペーストを塗布してもペーストが流れ落ちないので、一度の乾燥工程ですべてのメタライズ層を乾燥させることができる。
Mo−Mn系ペーストの塗布は、スクリーン印刷法を用いると量産性が上がるため好ましい。Mo−Mn系ペーストの塗布厚さは10〜40μmが好ましい。塗布厚さが10μm未満であるとメタライズ層形成後、Mo層の厚さにバラツキができ接合強度を低下させるおそれがある。一方、40μmを越えると所定値以上の接合強度の向上がみられず、経済的でない。
乾燥工程での乾燥温度は、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは50〜80℃である。乾燥工程で用いられる乾燥雰囲気としては、大気、不活性雰囲気(窒素、アルゴン等)または還元雰囲気が挙げられる。還元雰囲気のうちでは、水素含有雰囲気が好ましく、より好ましくは水素を10〜20vol%含有した不活性ガス(アルゴン、窒素等)である。乾燥時間は5〜30分、好ましくは10〜20分である。乾燥工程を行うとMo−Mn系ペースト中の不要なバインダーを予め除去できるため、メタライズ層を形成する焼成時にメタライズ層の隙間にガラス相が入り込み易くて好ましい。
なお、乾燥工程を還元雰囲気中で行うことにより、アルミナ焼結体およびMo−Mnペースト中のMn酸化物が還元される。Mn酸化物が還元されると、焼成工程において、Mnと、他の酸化物、例えばSiO、MgO等の焼結助剤とでガラス相を形成する反応が顕著になり、メタライズ層中の空隙にガラス相が入り込み易くなる。この結果、メタライズ層の接合強度が向上するため好ましい。
乾燥工程後は、焼成工程を行う。焼成温度は1350〜1550℃、好ましくは1400〜1480℃である。焼成時間は30分〜5時間の範囲内が好ましい。雰囲気としては還元性雰囲気が用いられる。
焼成時間は好ましくは1時間以上である。1時間以上焼成すると、アルミナ焼結体中のガラス相がアルミナ焼結体の表面に均一に析出してなる析出層が形成され易いため好ましい。ガラス相からなる析出層はアルミナ焼結体の表面とMo−Mnメタライズ層との間に析出するとともに、メタライズ層の空隙に入り込んで空隙を少なくするため、メタライズ層が緻密化され、アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、メタライズ層との接合強度が向上する。
メタライズ層の厚さは平均値が、通常10〜100μm、好ましくは20〜50μmである。10μm未満であると接合強度が不十分となりやすい。100μmを超えるとメタライズ層の隙間にガラス相の析出がいきわたり難くなるので接合強度のバラツキが大きくなりやすい。
本発明ではアルミナ焼結体とMoメタライズ層の両方がMn成分を含有しているため、ガラス相がアルミナ焼結体表面に析出する際にMoメタライズ層中のMnを取込み、Mnを多く含んだガラス質のMnリッチ相を形成することができる。Mnを多く含む相を形成することにより、アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、Moメタライズ層との接合強度を向上させることができる。
Mnリッチ相は、アルミナ焼結体とメタライズ層との接合断面をEPMAを用いた面分析(1000倍程度の倍率)によりMnの分布を調べたときにMnの分布が相状に見えることで存在を確認することができる。Mnリッチ相の厚さは平均値で2〜15μmが好ましい。2μm未満では接合強度の向上が小さく、15μmを超えるとガラス相の量が多すぎてメタライズ層の表面の平坦性を損なうおそれがある。メタライズ層の表面の平坦性が損なわれると、メタライズ層の表面のNiメッキ層の接合強度にバラツキが出てマグネトロンに組み込んだ際に気密性に悪影響がでる。また、Mnリッチ相の横方向の長さは接合界面一面に連続して存在するのが最も好ましいが、5μm以下であれば隙間(Mnの割合が少ない領域)があってもよい。
焼成時には還元性雰囲気を循環させることが好ましい。還元雰囲気で焼成すると主にセラミックス本体部中のガラス質の粒界相が還元される。粒界相に由来する還元された酸素は水素と反応して水になる。焼成雰囲気は1350℃以上の高温であるため水は水蒸気となるが、あまり水蒸気が残存するとメタライズ層に悪影響を与える。このため、焼成時には還元性雰囲気を循環させて水蒸気を除去することが好ましい。
還元性雰囲気ガスの流量は、通常100L/min(=リットル/分)以上、好ましくは100〜300L/min、さらに好ましくは130〜250L/minである。還元性雰囲気ガスの流量が100L/min未満であると還元反応により生じた水蒸気を除去させ難いため好ましくない。一方、上記流量が300L/minを超えると供給装置の管理に負荷がかかり、還元性雰囲気とセラミックス本体部の反応にバラツキが生じ易いため好ましくない。
焼成工程を行う焼成炉は連続炉、バッチ炉どちらでもよい。セラミックス本体部を搭載する部材としてはMoボードを用いることが好ましい。焼成炉の連続稼動によりメタライズ工程を行う場合は還元性雰囲気ガスの流量管理を行うことが好ましい。
焼成によりメタライズ層が完成するとアルミナ焼結体の色が変化する。例えば、茶色だったものがピンク色に変化する。これはアルミナ焼結体中のMn酸化物が還元されたことを示すものである。Mn酸化物が還元されると他の焼結助剤と反応して生成したガラス相がメタライズ層の空隙に入り込む効果が得られる。特に焼成工程により高温に晒されるとガラス相がアルミナ焼結体の内部から表面側に析出し、さらに、メタライズ層中メタライズ層中の隙間を埋めるようになる。このように、本発明のアルミナ焼結体は焼成の際に色の変化を伴いメタライズの進行状況が目視により確認できるためメタライズ不良の有無を確認し易い。なお、前述のピンク色は綺麗なピンク色から曇ったピンク色(小豆色)までを含む概念である。
メタライズ層形成後のアルミナ焼結体のピンク色はXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内であることが好ましい。XYZ色度図はCIE(国際照明委員会)にて定められた表色系である。日本ではJIS−Z−8701で規定されている。測定条件についてはJIS−Z−8722に準じた色差計を用いて測定することが好ましい。
メタライズ層形成後のアルミナ焼結体のピンク色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内になっているとメタライズ層の接合強度が向上する。アルミナ焼結体のピンク色の発色は、ガラス相がメタライズ層とアルミナ焼結体の間に析出して析出層を形成することに起因する。ガラス相の析出に伴いマンガン酸化物が還元されマンガン酸化物の酸素量が減るため色が変化するのである。このため、アルミナ焼結体の色の変化をガラス相の析出した度合いを測る目安とすることにより、逆にメタライズの進行度合いを目視的に確認することが可能となる。言い換えると、メタライズ層形成後のアルミナ焼結体の色が、XYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内になるように焼成することが好ましい。なお、メタライズ工程前のアルミナ焼結体は前述のように茶色であることが好ましくXYZ色度表においてx=0.450±0.020、y=0.400±0.020が好ましい。つまり、茶色(x=0.450±0.020、y=0.400±0.020)のアルミナ焼結体をピンク色(x=0.440±0.020、y=0.350±0.020)になるまで熱処理してメタライズすることが好ましい工程である。
(リード部を挿通する工程)
メタライズ工程が終わった後、セラミックス本体部に、必要に応じてリード部を挿通する工程を行う。リード部はMo等の高融点金属やステンレスからなるものが好ましい。リード部の長さは任意である。なお、マグネトロン用ステムを製造する場合は、リード部の挿通・固定工程を行う。挿通・固定工程とは、リード部の挿通と固定とを順次行う工程を意味する。マグネトロン用ステム以外のものを製造する場合はリード部の挿通・固定工程は無くても良く、必要に応じ後述のメッキ工程を行う。リード部の固定は、Niメッキ後に行っても良い。
リード部は、セラミックス本体部の穴に挿通した後、ろう材で固定する。ろう材はAg系ろう材が好ましい。Ag系ろう材としては、Ag、Ag−Cu、Ag−Snなどが挙げられる。特に好ましいAg系ろう材は、Agを71〜73質量%、Cuを27〜29質量%含み共晶組成にしたものである。ろう付け温度は通常700〜900℃である。電子レンジ等のマグネトロンのステム部は一般的に400℃以下の温度までしか上昇しないが、耐熱性のマージンを確保するためろう材の融点は700℃以上のものを用いることが好ましい。
(Niメッキを施す工程)
リード部を挿通した後は、メタライズ層上にNiメッキを施す工程を行う。Niメッキの厚さは1〜5μmの範囲が好ましい。
Niメッキを施す工程をバレル式電解メッキで行うと、マグネトロン用セラミックス部品の量産性を向上させることができるため好ましい。バレル式電解メッキを用いると、回転容器中に電解液とセラミックス部品(例えばリード付きステム)を均一に混合できるため、一度に1000個以上のセラミックス部品をメッキすることができる。なお、アルミナは絶縁体であるため、セラミックス本体部にはNiメッキされない。Niメッキは、導電体であるメタライズ層やリード部に行われる。
バレル式電解メッキを行う際に、メッキ浴槽中に金属製ダミー部材を混合させると、Niメッキの歩留まりを向上させることができるため好ましい。
金属製ダミー部材は、メッキ浴槽中に混合することにより電解液の通電性を向上させメッキ効率を上げる金属製の部材である。また、金属製ダミー部材は、クッション代わりになるためセラミックス本体部同士が衝突して破損することを抑制できる。このため、バレル式電解メッキを行う際に金属製ダミー部材を用いると、Niメッキの歩留まりが向上し、かつNiメッキの接合強度も上がる。
金属製ダミー部材の材質としては、たとえば、鉄、ステンレス等の金属単体や合金が挙げられる。
金属製ダミー部材の形状としては、たとえば、図2(a)、(b)、図3、図4に示した形状が挙げられる。
図2(a)は金属製ダミー部材の一例の正面図であり、図2(b)は図2(a)に示す金属製ダミー部材の斜視図である。図3は金属製ダミー部材の他の一例の正面図である。図4は金属製ダミー部材のさらに他の一例の正面図である。また、図中、d1はハトメ形状部の外径、d2はダミー部材の本体部内径、Lは金属製ダミー部材の長さを示す。
図2(a)および図2(b)に示す金属製ダミー部材20は、円柱状の本体部21の長手方向の一方端にハトメ形状部22が設けられたものである。ここでハトメ形状部とは、リング状に形成された部分を意味する。図3に示す金属製ダミー部材20Aは、円柱状の本体部21の長手方向の両端にハトメ形状部22、22が設けられたものである。図4に示す金属製ダミー部材20Bは、円柱状の本体部21のみからなるものである。
金属製ダミー部材の形状としては、図4に示す金属製ダミー部材20Bのような単純な円柱状のものから、図2および図3に示す金属製ダミー部材20、20Aのような円柱状の本体部にハトメ形状部を設けたものまで様々なものが挙げられる。なお、本体部21の形状は円柱状に限られるものではなく四角柱、多角柱、三角柱、三角錐、球形であってもよい。本体部21の形状は、これらのうち、円柱や球形のように角ばった部分が無いものがセラミックス本体部を傷つけないため好ましい。
金属製ダミー部材は、セラミックス本体部より小さなものが好ましく、具体的には、金属製ダミー部材の体積をセラミックス本体部の体積で除した(金属製ダミー部材の体積/セラミックス本体部の体積)比が0.01〜0.2となるものがよい。(金属製ダミー部材の体積/セラミックス本体部の体積)比が0.01未満であると金属製ダミー部材が小さすぎるため大量にダミー部材を投入する必要があるとともに、リード部間に挟まる等の問題も生じるため好ましくない。一方、(金属製ダミー部材の体積/セラミックス本体部の体積)比が0.2を越えて大きいと電解液中に占めるダミー部材の割合が大きくなりすぎて処理できるセラミックス本体部の量が減り、製造効率が下がるため好ましくない。
金属製ダミー部材は、メッキ浴槽中に、セラミックス本体部の総体積に対し、5〜30vol%混合されていることが好ましい。5vol%未満では混合の効果が十分得られず、30vol%を超えると一度に処理できるステムの量が減るため好ましくない。なお、リード付きステムをメッキする場合の金属製ダミー部材の混合割合も、リード部の体積を除いたセラミックス本体部の総体積で計算する。
金属製ダミー部材のうち、金属製ダミー部材の体積/セラミックス本体部の体積)比が0.01〜0.2になる具体例としては、d1が2〜5mm、d2が1〜3mm、Lが3〜6mmのものが挙げられる。
電解浴槽の温度は通常40〜70℃程度であり、メッキ時間は通常30〜60分である。
上記のバレル式電解メッキ法を用いると、一度に1000個以上、さらには2500個以上のセラミックス本体部やリード付きステムを30〜60分の処理時間で処理した場合でも、Niメッキの歩留まりを90%以上、さらには95%以上とすることができる。一度に処理することができるセラミックス本体部の個数は電解浴槽のサイズ、リード部のサイズ等によるが2500〜3500個のリード付きステムを処理したとしても歩留まりを90%以上、さらには95%以上にすることができる。
以上のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法によれば歩留まりを大幅に改善することができる。具体的には、メタライズ層の形成、リードの固定、Niメッキの形成と言った複雑な工程を経て製造した場合でも歩留まりを90%以上と大幅に改善することができる。また、メタライズ層やNiメッキの接合強度をも向上させることができる。このため、マグネトロンに装着した際の封着性の良い信頼性の高いマグネトロンを製造することができる。
マグネトロン用ステムの製造方法の一例として図1のような形状を有するマグネトロン用ステムを製造する工程を用いて本実施例の効果を確認した。以下の実施例等において用いられるステム本体部は、直径15mm×長さ10mmのアルミナ焼結体の先端に、メタライズ層を形成するための凸部(段差)を設けたものである。また、メタライズ層形成面として焼結上がり面(表面粗さRa1.25μm)を用いた。
[実施例1、比較例1〜3、参考例1]
実施例1、比較例1〜3、参考例1は、以下の工程でマグネトロン用ステムを製造したものである。
実施例1:工程A1→工程B1→工程C1→工程D1→工程E1→工程F1
比較例1:工程A2→工程B1→工程C1→工程D1→工程E1→工程F1
比較例2:工程A1→工程B2→工程C2→工程D1→工程E1→工程F1
比較例3:工程A1→工程B1→工程C1→工程D2→工程E1→工程F1
参考例1:工程A1→工程B1→工程C1→工程D1→工程E1→工程F2
各工程は、以下のとおりである。
工程A1:アルミナに、焼結助剤として、Mn酸化物(MnO)、酸化珪素および酸化マグネシウムを添加して焼成したアルミナ焼結体を、ステム本体部として用いた。アルミナ焼結体中のMn含有量はMn単体換算で3.0wt%、Si単体換算で1.9wt%、Mg単体換算で2.4wt%であった。また、アルミナ焼結体中の粒界相の成分をX線回折法で分析したところ結晶ピークは検出されずガラス相であることが分かった。
工程A2:Mnを含有しない以外は工程A1と同じアルミナ焼結体を用意した。
工程B1:平均粒径2μmのMo粉末と、平均粒径2μmのMn粉末とをそれぞれボールミルを用いて75時間解砕した。Mo粉末およびMn粉末を乾燥した後、Mo粉末と、Mn粉末と、バインダーとしてのエチルセルロースとを混合した。混合は単ロール法により10時間混合した後、三本ロール法により17.5時間混合した。この工程によりMnを7質量%含有するMo−Mn系ペーストを調製した。本工程は窒素雰囲気中で行った。
工程B2:解砕処理をしない以外は工程B1と同じ工程を用いてMo−Mn系ペーストを調製した。
工程C1:Mo−Mn系ペーストをステム本体部の所定の位置に塗布厚20μmでスクリーン印刷し、還元雰囲気(水素15vol%含有の不活性雰囲気)下で70℃で15分乾燥させた。また、還元性雰囲気ガスの流量は195L/minとした。
工程C2:乾燥を大気中65℃で行った以外は工程C1と同じ乾燥工程を行った。
工程D1:還元雰囲気(水素15vol%含有の不活性雰囲気)下で1425℃で2.5時間熱処理することによりメタライズ層を形成した。なお、熱処理は、還元性雰囲気を循環させながら行った。また、還元性雰囲気ガスの流量は195L/minとした。
工程D2:熱処理を大気中で行った以外は工程D1と同じ方法によりメタライズ層を形成した。
工程E1:Mo製リード部をステム本体部の貫通孔に挿通し、Ag−Cu(Ag73wt%、Cu27wt%)系ろう材によりステム本体部の座金にろう付けした。
工程F1:3000個のリード付きステムに対し、体積比10vol%になるように鉄を主成分とする金属製ダミー部材(図2に示した一方にハトメ形状部を設けた形状でd1が2mm、d2が1mm、Lが4mm)となるよう投入し、バレル式電解メッキを50℃で40分行った。
工程F2:金属製ダミー部材を用いない以外は工程F1と同じ方法でバレル式電解メッキを行った。
各工程を組合せて下記の実施例および比較例でマグネトロン用ステムを製造し、歩留まりおよびメタライズ層の接合強度を求めた。歩留まりは3000個のマグネトロン用ステム本体部を用意し、最終的にマグネトロン用ステムとして製造できた個数を3000個で除した割合として求めた。メタライズ層の接合強度として、Niメッキを施したメタライズ層にコバール板をろう付けし、コバール板を引き剥がすことにより引張り強度(kgf/cm)を求めた。この作業をマグネトロン用ステム100個について行い引張り強度の平均値を平均接合強度(kgf/cm)とした。また引張り強度の中で最も低い値を最低接合強度(kgf/cm)とした。メタライズ工程(工程C〜工程D)において、ステム本体部を構成するアルミナ焼結体の色の変化の有無を観察した。また、アルミナ焼結体の色についても測定した。アルミナ焼結体とメタライズ層の間における、ガラス相からなる析出層の生成の有無も観察した。析出層の有無は接合界面の断面を見ることで判断した。結果を表1に示す。
Figure 0005450059
表から分かる通り、実施例1は歩留まりが高い。また、接合強度も高い値が得られた。表には示していないが実施例1は、接合強度の最大値が102kgf/cmであった。
一方、比較例1は外見上の歩留まりは高かったがアルミナ焼結体中にMnを含有していないのでメタライズ層の接合強度は低かった。比較例2はペーストの調製や乾燥工程が不十分であるためメタライズ層の接合強度は低かった。
比較例3はメタライズ工程を還元性雰囲気で行っていないためアルミナ焼結体のMn酸化物が還元されないためガラス相の移動が少なくメタライズ層の接合強度が低下した。参考例1はメッキ工程で金属製ダミー部材を使用していないことからメッキ不良が多く歩留まりが低下した。
また、実施例1のアルミナ焼結体の色はすべてXYZ色度図で(x=0.440±0.020、y=0.350±0.020)の範囲内であった。一方、比較例1のものはすべて上記範囲外であった。比較例2および比較例3には一部に上記範囲外となる色を示すものがあり、色が上記範囲外のものはメタライズ層の接合強度が低かった。
[実施例2〜5]
工程B1を表2のように変えた以外は実施例1と同様の方法でマグネトロン用ステムを製造し、同様の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005450059
表から分かる通り、解砕時間の短い実施例4や、Mo粉末およびMn粉末が好ましい範囲を超えて大きい実施例5は、歩留まりおよび接合強度が低下する傾向にあることが分かった。なお、表には示さないが、実施例2〜5のいずれもメタライズ工程においてアルミナ焼結体の色の変化が確認された。
また、実施例2〜5のいずれもアルミナ焼結体の色はすべてXYZ色度図で(x=0.440±0.020、y=0.350±0.020)の範囲内であった。
[実施例6〜8]
工程F1を表3のように変えた以外は実施例1と同様の方法でマグネトロン用ステムを製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005450059
表から分かる通り、実施例6のように金属性ダミー部材の添加量が5vol%未満であると通電性の改善効果が小さいのでメッキ不良の改善効果は小さい。また、実施例7のようにメッキ時間が短い場合もメッキ不良の原因となる。
一方、実施例8、実施例9および実施例1を歩留まりの良い順に並べると実施例8、実施例1、実施例9の順番で前者ほど良い。この比較から考えると金属製ダミー部材にはハトメ形状部があった方が歩留まりが向上すると言える。これはハトメ形状部がクッション代わりとなりステム同士のぶつかり合いを抑制できるためであると考えられる。
[実施例10〜13]
次に実施例1と同様の方法を用いて処理するステム量を表4のように変えて歩留まりを測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005450059
表から分かる通り、ステムの個数が増えても高い歩留まりを示すことが確認された。
以上のように本実施例にかかるマグネトロン用ステムの製造方法は歩留まりが良く、得られるステムのメタライズ層の接合強度も高い。このため、信頼性の高いマグネトロン用ステムを製造でき、その結果、それを用いたマグネトロンの信頼性も向上させることができる。
[実施例14〜17、比較例4〜5]
次に実施例1の工程D1の条件を表5のように変えたものを実施例14〜17、比較例4〜5とした。各マグネトロン用ステムに対し、析出層の有無、接合強度の平均値、最小値を求めた。結果を表6に示す。
Figure 0005450059
Figure 0005450059
表から分かる通り、実施例15〜17のように焼成時間が1時間以上であるとガラス相からなる析出層が層状に存在することが確認された。これに対し、実施例14のように焼成時間が40分の場合は、析出層は縞状にまだらに析出し、層状にはなっていなかった。
また、比較例4のように焼成温度が低すぎるものは析出層が不十分でありメタライズ層に空隙が見られた。このため比較例4の接合強度は非常に低かった。一方、比較例5のように焼成温度が高すぎるものはガラス相の析出量が多くなりすぎるためメタライズ層にフクレが確認され返って接合強度が低下した。
[実施例1B、実施例18〜20、比較例1B〜3B]
実施例1および比較例1〜3の製造工程により得られたマグネトロン用ステムを用意し、メタライズ層の接合間にのMnリッチ相の有無、および接合強度を測定した。また、製造工程を以下のように変えたものを実施例18〜20として用意し同様の測定を行った。なお、メタライズ層形成面として焼結上がり面(表面粗さRa1.25μm)を用いた。
Mnリッチ相の分析に関しては、アルミナ焼結体とメタライズ層の接合断面を横100μm×縦70μm程度の視野でMnについてEPMA面分析を行った。EPMA面分析結果を画像解析することによりMnリッチ相の平均厚さ、最小厚さ、最大厚さを測定した。この作業を任意の3箇所について行い、その平均値、3箇所の中で最も小さな値を最小厚さ、最も大きな厚さを最大厚さとして表に示した。
実施例1B、実施例18〜20、比較例1B〜3Bは、以下の工程でマグネトロン用ステムを製造したものである。
実施例1B:実施例1と同様の工程
比較例1B:比較例1と同様の工程
比較例2B:比較例2と同様の工程
比較例3B:比較例3と同様の工程
実施例18:工程A3→工程B1→工程C2→工程D1→工程E2→工程F1→工程E3
実施例19:工程A3→工程B3→工程C2→工程D1→工程E2→工程F1→工程E3
実施例20:工程A3→工程B4→工程C2→工程D1→工程E2→工程F1→工程E3
工程A3:アルミナに、焼結助剤として、Mn炭酸塩(MnCO)、酸化珪素および酸化マグネシウムを添加して焼成したアルミナ焼結体を、ステム本体部として用いた。アルミナ焼結体中のMn含有量はMn単体換算で2.8wt%、Si単体換算で1.8wt%、Mg単体換算で2.5wt%であった。また、アルミナ焼結体中の粒界相の成分をX線回折法で分析したところピークは検出されずガラス相であることが分かった。
工程B3:平均粒径0.8μmのMo粉末と平均粒径1.5μmのMo粉末とを質量比で50:50になるように混合した混合Mo粉末を用意した。また、平均粒径1.8μmのMn粉末をボールミルを用いて70時間解砕した。混合Mo粉末およびMn粉末を乾燥した後、混合Mo粉末と、Mn粉末と、バインダーとしてのエチルセルロースとを混合した。混合は単ロール法により13時間混合した後、三本ロール法により20時間混合した。この工程によりMnを7質量%含有するMo−Mn系ペーストを調製した。本工程は窒素雰囲気中で行った。
工程B4:平均粒径0.9μmのMo粉末と平均粒径1.4μmのMo粉末とを質量比で50:50になるように混合した混合Mo粉末を用意した。また、平均粒径1.6μmのMn粉末を用意した。混合Mo粉末とMn粉末とをそれぞれボールミルを用いて65時間解砕した。その後、混合Mo粉末およびMn粉末を乾燥し、混合Mo粉末と、Mn粉末と、バインダーとしてのエチルセルロースとを混合した。混合は単ロール法により20時間混合した後、三本ロール法により25時間混合した。この工程によりMnを7質量%含有するMo−Mn系ペーストを調製した。本工程は窒素雰囲気中で行った。
工程E2:Mo製リード部をステム本体部の貫通孔に挿通し、リード部のろう付け固定は行わなかった。
工程E3:工程F1(メッキ処理)の後、ステム本体部の貫通孔に挿通したMo製リード部を、工程E1と同様にしてろう付けした。
Figure 0005450059
表から分かる通り、実施例1B、実施例18〜20、比較例2B〜3Bにかかるマグネトロン用ステムは、アルミナ焼結体とメタライズ層の間にMnリッチ相が確認された。実施例1Bと実施例18を比較すると、工程C2において還元雰囲気中で乾燥しているため実施例1Bの方がMnリッチ相が均一であった。
図5に実施例18の接合界面を含む断面におけるEPMA分析(Mn面分析)の結果の一例を示す。図6に実施例19の接合界面を含む断面におけるEPMA分析のMn面分析結果の一例を示す。図7に実施例19の接合界面を含む断面におけるEPMA分析のMo面分析結果の一例を示す。図8に実施例19の接合界面を含む断面におけるEPMA分析のSi面分析結果の一例を示す。図9に比較例1Bの接合界面を含む断面におけるEPMA分析(Mn面分析)の結果を示す。
図5〜図9中、符号31はセラミックス本体部(アルミナ焼結体)、符号32はMnリッチ相、符号33はMo−Mnメタライズ層を示す。
実施例19および実施例20より、平均粒径が2種類のMo粉末を用いたものはMo粉末同士の隙間を小さくできるためMnリッチ相の厚さを均一にし易く、接合強度が向上することが分かった。実施例1B、実施例18〜20のMnリッチ相はいずれもガラス相であった。実施例1B、実施例18〜20、比較例2B〜3BのMnリッチ相中にはMn以外の成分(焼結助剤として添加したSi、Mg)のリッチ相は確認されなかった。つまり、Mn以外の焼結助剤成分はリッチ相を形成せずメタライズ層中に均一分散していた。
一方、比較例1Bはアルミナ焼結体中にMnを含有していないためMnリッチ相は確認されなかった。また、比較例2BはMnリッチ相の最大厚さが大きかった。これはMo粉末を解砕していないことによりMo粉末同士の隙間が大きくなったためであると考えられる。さらに、比較例3Bはメタライズ工程(工程D2)を還元性雰囲気中で行っていないためアルミナ焼結体からのMnを含むガラス相の析出量が少なかったために生じた結果と考えられる。
また、比較例2Bおよび比較例3Bは、Mnリッチ相同士の最大隙間が大きかった。ここでMnリッチ相同士の最大隙間とは、Mnリッチ相の広がり方向、すなわち厚さ方向の垂直方向に、Mnリッチ相が不連続な隙間部分が生じた場合において、この隙間部分の断面写真で測定した最大幅を意味する。比較例2Bおよび比較例3Bの結果からMnリッチ相の析出形態が不十分であるとメタライズ層の接合強度が低下することが分かった。
また、実施例1Bおよび実施例18〜20のアルミナ焼結体の色はいずれもすべてXYZ色度図で(x=0.440±0.020、y=0.350±0.020)の範囲内であった。
[実施例21〜23]
実施例21〜23は、以下の工程でマグネトロン用ステムを製造したものである。
実施例21:工程A3→工程B1→工程C3→工程D1→工程E2→工程F1→工程E3
実施例22:工程A3→工程B1→工程C2→工程D3→工程E2→工程F1→工程E3
実施例23:工程A3→工程B1→工程C3→工程D3→工程E2→工程F1→工程E3
工程C3:乾燥を大気中60℃で20分乾燥させた。
工程D3:還元雰囲気(水素10vol%含有の不活性雰囲気)下で1460℃で1.5時間熱処理することによりメタライズ層を形成した。なお、熱処理は、還元性雰囲気を循環させながら行った。また、還元性雰囲気ガスの流量は150L/minとした。
実施例21〜23について実施例18と同様の測定を行った。結果を表8に示す。
Figure 0005450059
表から分かる通り、本実施例にかかるマグネトロン用セラミックス部品は良好な結果が得られた。
本発明に係るマグネトロン用セラミックス部品およびそれを用いたマグネトロンは、電子レンジ等のマイクロ波加熱機器に用いられるマグネトロン用ステム等のようなセラミックス部品、このセラミックス部品を用いてなるマグネトロン等に使用することができる。
また、本発明に係るマグネトロン用セラミックス部品の製造方法は、上記セラミックス部品の製造に使用することができる。
本発明のマグネトロン用ステムを用いたマグネトロンの一例を示す断面図。 本発明の金属製ダミー部材の一例を示した図。 本発明の金属製ダミー部材の他の一例を示した図。 本発明の金属製ダミー部材の他の一例を示した図。 実施例18の接合界面のEPMA(Mn面分析)結果の一例を示す図。 実施例19の接合界面のEPMA(Mn面分析)結果の一例を示す図。 実施例19の接合界面のEPMA(Mo面分析)結果の一例を示す図。 実施例19の接合界面のEPMA(Si面分析)結果の一例を示す図。 比較例1Bの接合界面のEPMA(Mn面分析)結果の一例を示す図。

Claims (22)

  1. アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部の一部の表面上に設けられたMo−Mnメタライズ層とを有するマグネトロン用ステムにおいて、
    前記セラミックス本体部は、Mnを含む粒界相を有しMn含有量が1〜5質量%のアルミナ焼結体であり、
    前記セラミックス本体部と前記Mo−Mnメタライズ層との間にMnリッチ相を具備し、
    前記メタライズ層の接合強度が392N/cm以上であることを特徴とするマグネトロン用ステム。
  2. 前記Mnリッチ相は平均厚さ2〜15μmであることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン用ステム。
  3. Mnリッチ相はガラス相を主相とすることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステム。
  4. 前記メタライズ層の接合強度が588N/cm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステム。
  5. 前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は、表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステム。
  6. 前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は、表面粗さRaが0.4〜3.0μmであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステム。
  7. 前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は、焼結上がり面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステム。
  8. 前記セラミックス本体部を構成するアルミナ焼結体の色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステム。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムを用いたことを特徴とするマグネトロン。
  10. アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部上に形成されたメタライズ層とを有するマグネトロン用ステムの製造方法において、
    Mnを含む粒界相を有しMn含有量が1〜5質量%のアルミナ焼結体からなるセラミックス本体部を用意する工程と、
    Mo−Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布し、還元雰囲気中1350〜1500℃で焼成することにより、接合強度が392N/cm以上のメタライズ層を形成する工程と、
    を具備することを特徴とするマグネトロン用ステムの製造方法。
  11. 前記メタライズ層を形成する工程は、前記Mo−Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布した後、40〜120℃で乾燥させた後、還元雰囲気中1350〜1500℃で焼成することを特徴とする請求項10記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  12. 前記メタライズ層を形成する工程は、前記セラミックス本体部の色が変化するまで行うことを特徴とする請求項10または11のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  13. 前記変化した後のセラミックス本体部の色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内であることを特徴とする請求項12記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  14. 前記メタライズ層を形成する工程は、前記セラミックス本体部の色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内になるまで焼成することを特徴とする請求項10または11のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  15. 前記メタライズ層を形成する工程は、還元性雰囲気ガスの流量が100リットル/分以上であることを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  16. 前記セラミックス本体部を構成するアルミナ焼結体の粒界相はガラス相であることを特徴とする請求項10ないし15のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  17. 前記Mo−Mn系ペーストは、平均粒径0.5〜10μmのMo粉末と平均粒径0.5〜10μmのMn粉末とのそれぞれについて40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混合して調製されたものであることを特徴とする請求項10ないし16のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  18. 前記Mo−Mn系ペーストは、平均粒径0.5〜1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末とを混合したMo粉末と、Mn粉末と、バインダーとを混合して調製されたものであることを特徴とする請求項10ないし17のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  19. 前記メタライズ層を形成する工程の後、リード部を挿入する工程またはメタライズ層上にNiメッキを施す工程の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項10ないし18のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  20. 前記Niメッキを施す工程は、マグネトロン用セラミックス部品と金属製ダミー部材とを混合してバレル式電解メッキ法を行うことを特徴とする請求項19記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  21. 前記セラミックス本体部はステム本体部であり、
    このステム本体部と前記メタライズ層との間にはガラス相からなる析出層が形成されていることを特徴とする請求項10ないし20のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
  22. 前記メタライズ層を形成する工程は、焼成する際に還元性雰囲気を循環させることを特徴とする請求項10ないし21のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
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