JP5285749B2 - 肌表面の水分量を増加させると共に真皮の水分保持機能を向上させる美容器具 - Google Patents

肌表面の水分量を増加させると共に真皮の水分保持機能を向上させる美容器具 Download PDF

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Description

本発明は、イオンにより肌水分量、肌弾力を向上させる方法、および肌水分量、肌弾力を向上させる美顔器具に関する。
従来、肌水分量を増加させ、肌弾力を向上させるためには、肌に保湿成分を含む塗布剤を塗る方法が一般的に行われている。その他、加湿装置により空気中に水分を噴霧し環境の水分量を増加させて肌の乾燥を押さえると共に肌の水分量を増加させる方法が特許文献1に開示されている。又、特許文献2には、空気中の水分を凝縮させて霧化させて噴霧する方法が開示されているが、本方法においては水分凝縮のために空気を低温にして結露凝集させる機能を設ける必要があり、ペルチエ素子のような高価な素子を使う必要がある。また、消費電力が大きくなると同時に装置が大型化するという問題があった。
また、発生させたスチームにさらに電界をかけて「スチームイオン」と呼ぶ荷電水滴にして供給することも行われている。(例えば特許文献3)
また最近では、超音波素子を用いてナノサイズの水滴とし、さらに電界をかけて、超微粒子の荷電水滴にして供給することも行われている。(例えば特許文献4)
この装置を図18により説明すると、スチームを作るための水をボイラー7に給水し、ヒータ9で温めて瞬間的にスチームを発生させる。そして、このスチームをイオンスチーム発生器11でコロナ放電させてイオンを含ませ、噴出口6から顔面に噴射するものである。
しかしながら、スチームやミストなどを発生させるため供給するタンクの水は、不足すれば水を追加しなくてはならず、手間がかかる。
また、給水タンク内の水を長時間放置することによって、雑菌が増えて不衛生な状態となることもある。レジオネラ菌などが生育してしまうと使用者に不具合が発生する可能性があり、使用性が低下する結果となっていた。
特開2009−78245号公報 特開2006−61407号公報 特開2007−75243号公報 特開2007−296284号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、スチームやミストなどを発生させる必要のない美容器具を提供するものである。
本発明による課題解決手段の概要を以下に説明する。
本発明の人の肌表面における水分量を増加させ、肌弾力を向上させる美容器具は、放電により発生する正負イオンを人の肌表面に照射して肌の水分量を増加させ、肌弾力を向上させている。
美容器具は、放電により発生するイオンにより肌水分量の増加および肌の弾力向上効果をもたらすもので、水を使った加湿を行わないため部屋の湿度が上昇することがない。また、空気中の水分を凝縮させることがないため、装置コストが大きく上昇することなく、消費電力が小さく装置が大型化しないという利点がある。
さらに本発明の人の肌表面における水分量を増加させ、肌弾力を向上させる美容器具は、正負イオンの濃度がそれぞれ7000個/cm3以上であることを特徴としている。
正負イオンの濃度を変化させて検討した結果、7000個/cm3以上のイオンを発生させることにより肌水分量の増加効果および肌の弾力向上効果が得られることが明らかとなった
さらに本発明の人の肌表面における水分量を増加させ、肌弾力を向上させる美容器具は、正イオンとして、H 3 + (H 2 O)m(m=0,1,2,3・・・の自然数)、負イオンとして、O 2 - (H 2 O)n(n=0,1,2,3・・・の自然数)を用いている。
正負両方のイオンによる肌水分量の増加効果のメカニズムは明らかではないが、
1)H + イオンとO 2 - イオンを同時に照射させることで肌表面に−OH基が付着し、肌表面が局所的に親水化されて水分子が付着し肌に浸透しやすくなる。
2)イオンを取り囲む水分子が肌に取り込まれる。
等が考えられる。
イオンを取り囲む水分子は、空気中に元々存在する水分子によるものであり、肌に接触する水分子の量を大きく増加させるものではない。従って、2)による大きな肌水分増加効果は得られないと思われ、1)が大きな効果をもたらしているのは明らかである。
本メカニズムから、イオンとしてH + とO 2 - を含むことが重要であり、これによってOH基が発生し、肌水分の増加効果をもたらしていると推定される。
一方、一般的に肌弾力は皮膚のより深い部分(真皮)の組成に依存する。肌弾力の向上は、肌表面の水分が増加することによって真皮で保持される水分量も増加し、肌の弾力の向上が図られることによるものと考えられる。つまり、肌弾力向上効果は、イオンによる肌水分量の増加効果の二次的な作用として得られるものと推定される。
本発明による人の肌表面における水分量を増加させ、真皮の水分保持機能を向上させる美容器具は、放電により発生する正負イオンを使用者の肌に照射することにより肌水分量の増加効果および肌弾力向上効果をもたらすもので、水を使用する必要がないので、いつでも手軽に使用できる美容器具が提供可能となる
イオン発生素子の原理を表す摸式図。 イオン発生器具と送風ファンを表す摸式図。 実施例1による肌水分量変化のグラフ。 実施例2による肌水分量変化のグラフ。 比較例1による肌水分量変化のグラフ。 比較例2による肌水分量変化のグラフ。 実施例2による肌水分量変化のグラフ。 実施例2による肌弾力変化のグラフ。(a)R5値(b)R7値 本発明の美顔具の使用形態を示す概念図。 本発明の美顔器の構造概念図。 本発明の風向体の概念図。(a)平面図、(b)A−A断面図、(c)B−B断面図 本発明のイオンの流れを示す概念図。 イオン発生装置の外観図。(a)上面図、(b)平面図、(c)右側面図 イオン発生装置の回路の例。 風速検知器の回路図。 美顔器の制御ブロック図。 イオン検出器の回路図。 従来の美顔器の構造図
本発明の実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1は本発明に係るイオン発生素子の原理を説明する模式図、図2はイオン発生素子を利用したイオン発生器具の概念図である。
イオン発生器具6は、ケース内に図1に示すイオン発生素子60を収容している。イオン発生素子60は、高電圧発生装置4、5に接続された電圧印加針電極1、2、及び前記電圧印加針電極に隣接して配置された接地電極3を有する。接地電極3には電圧印加針電極1、2を貫通させる貫通孔31が電圧印加針電極の数配設されている。電圧印加針電極1、2は針状の先端を有し、電圧印加針電極1、2が高電圧発生装置4、5に接続支持された状態で、接地電極3の貫通孔31の中心に位置して、貫通孔31の厚みの範囲内に針状先端が位置するように配置されている。高電圧発生装置4、5が電圧印加針電極1、2に直流パルス電圧を供給して放電させ接地電極3の近傍の空気をイオン化する。イオン発生器具6のイオン発生素子60により発生されるイオンは、ケースの開口61から放出される。そして、放出したイオンはイオン発生器具6に隣接して設置する送風ファン7により、大気中に放散される。
イオン発生素子60のイオン発生の原理を説明する。
イオン発生素子60のイオン発生電極として、高電圧発生装置4に接続する電圧印加針電極1(正イオン発生電極)と、高電圧発生装置5に接続する電圧印加針電極2(負イオン発生電極)を有する。そして、前記電圧印加針電極1に直流パルス電圧を供給して、正の電圧を印加する。電圧印加電極2に直流パルス電圧を供給して、負の電圧を印加する。コロナ放電により正イオン発生電極1と接地電極3付近の空気を正イオン化し、負イオン発生電極2と接地電極3付近の空気を負イオン化する。
なお、発生するイオンの量(濃度)は高電圧発生装置4、5が電圧印加針電極1,2に印加する電圧・パルス周期により調節される。
次に、イオン発生素子60が生成した正イオン、負イオンを含む空気と含まない空気による肌の水分量の変化を実験した。
<実験方法>
被実験体である顔面中央に仕切り板を設置し、顔面を左顔面、右顔面に分離した。イオン発生素子から発生する正負イオンをファン7により顔面左頬に送り(照射し)、右頬はイオンを含まない空気のみを送風(照射)した。このとき、イオン発生素子と顔面の距離を30cmとした。また顔面での風速は1m/secとした。肌水分量はWSK−P500U(ウェブサイバー製 商標)にて計測を行った。
なお、本イオン発生電極から発生するイオンの構造をTOF−mass spectrometer(飛行時間型質量分析装置)で解析した結果、正イオンとしてH(HO)m(m=0,1,2,3・・・の自然数)、負イオンとしてO (HO)n(n=0,1,2,3・・・の自然数)が発生していることが確認できた。
実験1
顔面でのイオン濃度が、7,000個/cmになるように、高電圧発生装置4,5がイオン発生素子の正負イオン発生電極(高圧印加針電極1,2)に印加する電圧とパルス周期を調整した。
この様にして、顔面(肌)の水分量の変化を計測した結果を図3に示す。図3に示すグラフは正負イオンを含有する空気を当てた(照射)顔面(肌)とイオンを含まない空気のみを当てた(照射)顔面(肌)の水分量の経時変化を表している。このグラフによると、正負イオンを照射した顔面(肌)は、送風のみを照射した顔面(肌)に比べて顔面(肌)の水分量が照射時間とともに増加する結果が得られた。
実験2
実験1と同様の方法で顔面(肌)の水分量変化を計測した。但し、照射するイオン濃度を2.5万個/cmになるようにイオン発生電極(高圧印加針電極1,2)に印加する高電圧発生装置4,5の電圧とパルス周期を調整した。顔面(肌)の水分量の変化を計測した結果を図4に示す。このグラフによると、正負イオンを照射した顔面(肌)は、送風のみを照射した顔面(肌)に比べて顔面(肌)の水分量が照射時間とともに増加する結果が得られた。
比較例1
実験例1と同様の方法で顔面(肌)の水分量の変化を計測した。但し、照射するイオンは、マイナスイオンのみとし、イオン濃度は7000個/cmに調整した。顔面(肌)の水分量の変化を計測した結果を図5に示す。本結果より、負イオンのみを照射した場合は、送風のみを照射した顔面(肌)に比べて肌水分量の増加効果は得られなかった。
比較例2
実験例1と同様の方法で顔面(肌)の水分量変化を計測した。但し、照射するイオン濃
度を3000個/cmになるように高電圧発生装置4,5がイオン発生電極(高圧印加針電極1,2)に印加する電圧とパルス周期を調整した。顔面(肌)の水分量の変化を計測した結果を図6に示す。本結果より、イオン濃度を3000個/cmとした照射は送風のみを照射した顔面(肌)に比べて肌水分量の増加効果は得られなかった。
上記の実験により、正イオンH(HO)m(mは0または任意の自然数)と負イオンO (HO)n(nは0または任意の自然数)の組成を持つ正イオン、負イオンのイオン濃度を、7,000個/cmから2.5万個/cmとして供給した顔面(肌)の水分量は経時的に増加することが判明した。
このように、イオンが顔面(肌)に吸着されるのは、このイオン発生素子から供給される、正イオンH(HO)m(mは0または任意の自然数)と負イオンO (HO)n(nは0または任意の自然数)の組成を持つ正イオン、負イオンが、肌に集中して当たって生成される、下記の化学式で表される、ナノサイズの水分子が肌に効率よく吸着されると考えられる。
(1) H+O →・OH+H
(2) HO++O →・OH+H
(3) 2H→2HO+O
すなわち、HイオンとO イオンを同時に肌表面に当てることにより肌表面に−OH基が付着し、肌表面が局所的に親水化されて水分子が付着し肌に浸透しやすくなり、肌水分の増加効果をもたらしていると推定される。
以上の実施例に示すように、放電により発生する正負イオンが人の肌表面における水分量を増加させている。この方法は正負イオンにより肌水分量を増加させており、水を使用していないので、雑菌の繁殖がなく、加湿を行わないため部屋の湿度が上昇することがない。また、空気中の水分を凝縮させる必要がないので、装置コストが大きく上昇することなく、消費電力が小さく装置が大型化しないという利点がある。
次に、イオン発生素子60が生成した正イオン、負イオンを含む空気と含まない空気による肌の水分量および肌弾力の変化を実験した。
<実験方法>
試験は単盲検ランダム化2試験区クロスオーバー試験とした。前観察期間3日間および検査日1日の4日間を設定し、肌の乾燥を感じやすい健常女性16名を4名ずつに分けて実施した。試験区は以下のとおりとした。
試験区1:イオン濃度 25,000個/cm(25,000個群)
試験区2:イオンなし(対照群)
試験室の温度は28℃を目標に、エアコンにより調節した。また湿度はデシカント式除湿機により30〜40%を目標に調節した。
被験者はクレンジングミルクと洗顔フォームで洗顔し、その60分後に試験室に入室させた。被験者はベッドの上に仰向けの状態で、試験機器の運転前20分間、試験機器の運転後60分間、停止後60分間の計140分間安静に過ごさせた。これを午前、午後で各1回ずつ実施した。検査日の服装は同一のTシャツ、スウェットを着用させた。被験者に
はそれまでの食生活および運動などの日常生活を変えないように指示し、検査日前の3日間は毎日、睡眠時間、就業時間、食事内容、アルコール摂取量、医薬品の使用状況および体調等の生活状況を日誌に記録させることにより日常生活を把握した。食事による影響を考慮して、検査日前日の夕食は同一の弁当を21時までに摂取させ、アルコールの摂取は禁止とした。検査日は、午前、午後の検査1時間前に同一の食事を摂取させた。
(a)肌水分量
イオン発生機の運転0分、10分、20分、30分、40分、50分、60分後、停止10分、20分、30分、40分、50分、60分後に、コルネオメーターCM825((株)インテグラル、商標)を用いて左目の横1cmの同一箇所の肌水分量を測定した。この様にして、顔面(肌)の水分量の変化を計測した結果を図7に示す。図7に示すグラフは正負イオンを照射した顔面(肌:黒四角で示す)と照射しなかった顔面(肌:黒丸で示す)の水分量の経時変化を表している。
このグラフによると、正負イオンを照射した顔面(肌:黒四角で示す)は、照射しなかった顔面(肌:黒丸で示す)に比べて正負イオン照射中及び照射停止後においても継続的に顔面(肌)の水分量が多い、という結果が得られた。
(b)肌弾力
イオン発生機の運転0分、10分、20分、30分、40分、50分、60分後、停止10分、20分、30分、40分、50分、60分後に、キュートメーターMPA580((株)インテグラル、商標)を用いて左目の下1 cmの同一箇所の肌弾力R5(吸引開始後0.1秒間の吸引幅に対する開放開始後0.1秒間の復元幅)とR7(2秒間の全吸引幅に対する開放開始後0.1秒間の復元幅)を測定した。この様にして、肌弾力の変化を計測した結果を図8に示す。図8に示すグラフは正負イオンを照射した顔面(肌)と照射しなかった顔面(肌)の肌弾力の経時変化を表している。
このグラフによると、正負イオンを照射した試験区1の顔面(肌:黒四角で示す)は、照射しなかった試験区2の顔面(肌:黒丸で示す)に比べて正負イオン照射中及び照射停止後においても継続的に肌弾力が向上している結果が得られた。肌水分量の増加が照射後直ちに現れているのに比べるとやや遅れて肌弾力の効果が現れていることから、肌弾力の向上は肌水分量増加による二次的な効果であると推定される。
上記の実験により、正イオンH(HO)m(mは0または任意の自然数)と負イオンO (HO)n(nは0または任意の自然数)の組成を持つ正イオン、負イオンのイオン濃度を、25,000個/cmとして供給した試験区1の顔面(肌)の水分量は経時的に増加し、それに伴って肌弾力(真皮の水分保持機能)が向上することが判明した。
次に上記イオン発生素子を用いた美容器具について説明する。
美容器具の実施の形態を図を用いて説明する。この図面に示す実施例は美容器具として美顔器の場合を説明する。
図9は美容器具としての美顔器(以後美顔器という)100の使用状態説明図である。美顔器100は支持部材101に支持されて設置される。美顔器100は正イオン、負イオンを生成し、放出するイオンを使用者の顔に向って照射して使用する。
美顔器100の構造を説明する。
図10に示すように、美顔器100はフィルター160、送風機130、風向体170、イオン発生装置180、風速検知器190などがケーシング120内に搭載されている。さらに、送風機130やイオン発生装置180、風速検知器190などの装置の運転を指示するスイッチ(図示せず)、送風機130、風速検知器190、イオン発生装置180などの駆動を制御する制御部(図示せず)、運転表示装置(図示せず)などがケーシング120内に配設されている。
送風機130が稼動すると、吸込口140から流入空気110aがケーシング120内
に流入し、風向体170を通過してイオン発生器180から発生するイオンを混入して放出口150からイオンを含有する空気が放出空気110bとして放出する。
美顔器100のケーシング120内部の風洞には、送風機130、イオン発生装置180を収納する関係でケーシング120径を細く構成することが出来ない。従って、流入する空気により効率よくイオンを発生させるとともに、搬送・放出するために、後述するような風向体170をケーシング120内に装入、配設している。
図11により風向体170の構成を説明する。
風向体170は送風機130の下流側に設置されている。風向体170はケーシング120内に嵌合する円盤形状をなし、流下する空気を閉塞する円盤状の閉塞板171を中心部分に配している。閉塞板171とケーシング120との間隙173には流下する空気を旋回させるための翼片175を複数個所に配設している。翼片175は通過する空気の流れを変化させて旋回させるように傾斜して設置されている。この実施例では8枚の翼片175を閉塞板171の周縁であってケーシング120の中心軸の周りに配置している。送風機130により流入する空気は閉塞板170に当り、行く手を塞がれた気流は周辺部分の間隙173から下流側に噴出し流下する。このとき、翼片175の傾斜に沿って気流の流下方向が変化し旋回する。この実施例では8枚の風向体170により、図11に示すように方向Aで示す平面図上で右回りに流下空気は旋回する構成となっている。
風向体170の下流側にはイオン発生器180を配置する。
図13はイオン発生装置の外観図である。高電圧発生装置に接続する電圧印加針電極1と接地電極3を備え、蓋181にはイオン発生素子から発生される正イオン・負イオンを外部に放出する開口部183が穿孔されている。図14はイオン発生装置の回路の一例である。この例は、装置の駆動回路63とイオン発生部60が変圧器65を介して接続されている形態を示している。この実施例では図示のイオン発生装置を例示したが、イオン発生装置は、前述の正負イオンを発生出来るものであれば他のイオン発生装置であっても使用可能である。
イオン発生装置180の下流側、吹出口150近傍に風速検知器190を搭載する。図15に風速検知器の回路の例を示す。風速検知器190はサーミスタ195を自己発熱させておき、サーミスタ195を気流が通過する時にサーミスタ195の温度が低下する。この温度低下により風速を検知するものである。風速度の検知には熱線式やサーミスタ式がある。図示の形式以外のいずれの形式でも従来の風速検知器を使用でき、同様の作用を奏する。
イオン発生装置180から放出できるイオンの数は、放電電極近傍を通過する風速によって大きく影響される。すなわち、電極付近の風速が速ければ速いほど放出されるイオンの数は増加する。従って、イオン発生装置180付近では出来るだけ風速を大きくすることが必要である。一方で吹出口150から送出する風速度は顔面(肌)の乾燥を抑えるためにせいぜい1m程度が上限とされている。そこで、本美顔器は風速検知器190を吹出口150に設置して、吹出口150近辺の風速を検知し、吹き出し風速を制御している。
基本的には通流隙間173(風向体170)を通過する風量と吹出口150から送出される風量は同じであるから、通流隙間173を狭くしてイオン発生装置180近傍の風速を増大し、吹出口150の断面積を通流隙間173より大きくすることにより、吹出口150から送出される風速は低速にすることができる。また、ケーシングの径を他のケーシング径より小さくした吹出口150で空気は圧縮される。そして、吹出口から吹き出した気流は吹出口150近傍では一旦縮流を起こすもののその後膨張する傾向がある。しかし、吹出し(放出)風速を余り低速にすると気流が対象物(顔面)に真直ぐに到達しない。気流を遠くまで届かせるためには気流を膨張させないことが有効であるため、風向体170により流下気流を旋回させることで吹出し気流の膨張を抑制している。
図12には吹出口近傍のイオンの挙動を模式的に示している。
翼片175により流下方向を変化させ流下速度を高めた空気は、イオン発生装置180から発生されているイオン(正負イオン)を混入して吹出口150からイオン圧縮域20に図示するように正負イオン(白丸、黒丸)を高密度で含有する空気が放出される。このとき、吹出口150の口径を通流隙間173より大きく形成することにより、放出速度を緩和させている。また、吹出口150から吹き出る空気は翼片175で流下方向を変化(旋回)させているので、膨張することなく濃密度のイオンの状態で顔面まで達する構成となっている。
このように美顔器100はケーシング120の内部上流側に設置されたファン130の回転によって吸込口140から吸い込まれた流入空気110aが、最下流の吹出口150から放出空気110bとして放出される。その間に吸込口140から流入した空気はフィルター160を通過し、風向体170で流れ方向を変化させるとともに、イオン発生装置180から発生するイオンを混入して吹出口150から外気に放出される。
上記説明の美顔器の動作を以下に説明する。
美顔器100の運転スイッチ(図示せず)を入れると、送風機130、イオン発生装置180が稼動する。外部の空気が美顔器100内に吸引され、吸引された空気はフィルター160、風向体170を経由してイオン発生装置180に送られる。風向体170で風速を高めた空気がイオン発生装置180の近傍を通過する事によりイオンを多く含んだ空気となり、このイオンを含んだ空気は口径を他のケーシングの径より小さくした吹出口150から圧縮され吹き出される。イオン発生装置180で生成された正イオン(例えば白丸)、負イオン(例えば黒丸)で示すイオンは旋回して流入する気流に乗って吹出口150に向う。狭い吹出口150で圧縮され一点鎖線で示すイオン圧縮域20にイオンを高い密度で含有する空気を放出する。流下するイオン混入の空気は翼片175により旋回状態となっているので、圧縮された状態を維持し、イオン圧縮域20にて膨張して放出速度を落とすことがない。
この美顔器100から供給される空気に含まれるイオンは、実施例1で説明したように、正イオンH(HO)m(mは0または任意の自然数)と負イオンO (HO)n(nは0または任意の自然数)の組成を持つ。そして、この組成を持ち高濃度の正イオン、負イオンが、顔面(肌)に集中して当たることにより、前述の下記の化学式で表すように、肌表面でナノサイズの水分子が生成され、この水分子は肌に効率よく吸着されると考えられる。
(1) H+O →・OH+H
(2) H+O →・OH+H
(3) 2H→2HO+O
本発明の美顔器100は、上記の化学反応によって生じる水を使用する方式となっており、直接水を噴霧するものではないため、肌に当たる気流の速さとイオンの濃度が重要である。また、気流(送風)が早すぎると気流により肌が乾燥してしまう。
通常のヘアドライヤーや空気清浄機等の空気調和機とは異なり、本発明の美顔器は至近距離にある使用者の顔面が対象物となるため、送出される気流はあくまでも「やさしい」ことが要求される。想定される対象物(使用者の顔面)との距離Lは30cm前後となる。そして、顔面に当たる風速は最大でも1m程度であることが要求される。このため、送出する気流速度を検出しながら送風することが必要である。
そこで、イオンの発生と風速について説明する。
イオン発生装置180から送出できるイオンの数は、放電電極近傍を通過する風速によって大きく影響される。すなわち、風速が速ければ速いほど放出されるイオンの数は増加する。従って、イオン発生装置180付近では風速を大きくすることが必要である。一方、上記のように吹出口150から放出する速度はせいぜい1m程度が上限となる。美顔器100のケーシング120は、送風機130、イオン発生装置を収納する関係で細く構成することが出来ないので、風向体170で気流を絞ってイオン発生装置180流域での風速を高め、効率よくイオンを搬送している。
このように、この美顔具100は、風向体170の通流隙間173を狭くしてイオン発生装置180近傍の風速を増大してイオンの発生を増大するとともに、吹出口150の断面積を通流隙間173より大きくして吹出口150から吹き出される風速を低速としているが、吹出口150から吹き出された正負イオンを含んだ気流を遠くまで届かせるため風向体170の翼片175で気流を旋回させて吹出口150の風速を維持している。
この実施例は、実施例3で説明した美容具の構成に加えて、イオン検出器200を備えている。イオン検出器200は図示していない制御部により所定値以上のイオン放出があればそれを検出するように制御されている。
吹出口150から放出された空気は、距離が遠くなるに従って含有するイオン数は急激に減少する。また、吹出し風速にも影響されるので実験により吹出し風速を決定しておく。この実施例では人の顔表面で7,000個/cmとなるようにイオン発生装置と風速を調節している。
イオン発生装置から放出されるイオン数は上述のように風速によって大きく影響される他に、放電電極に印加される高電圧の周波数にも影響される。一般に周波数が高いほど放出されるイオン数は増加する。イオン発生装置の放電形式や電極形状によって発生するイオン数は異なるので、あらかじめ使用決定した装置で条件を設定しておく。一実施の形態例としてのイオン検出器の駆動回路を図17に示す。この回路ではR1は1GΩ、R2〜R5は10kΩ、Cは1000pF、Vccは5Vとしている。
次に、図16により、この美顔器100の制御を説明する。
運転スイッチ105が入力されると、送風機130、イオン発生器180、表示装置125に制御部107より制御信号が出力される。そして、風速検知器190が設定以上、あるいは設定以下の風速を検知したとき、イオン検出器200が設定値以外のイオン濃度を検出したとき、制御部107は送風機130、イオン発生装置180に制御信号を出力して、美顔器100から放出される空気の風速・イオン濃度などが制御される構成となっている。
本発明の美顔器を寝具に設置することにより、睡眠中も肌を乾燥させることがなく、美容効果を得ることができる。また、イオンによって浮遊菌を除去できるため、空気を清浄した環境を供給することができる。
1 電圧印加針電極(正イオン発生電極)
2 電圧印加針電極(負イオン発生電極)
3 接地(対向)電極
4 高電圧発生装置
5 高電圧発生装置
6 イオン発生器具
7 送風ファン
20 イオン圧縮域
60 イオン発生素子
100 美顔器
130 ファン
140 吸引口
150 吹出口
160 フィルター
170 風向体
180 イオン発生装置
190 風速検知器
200 イオン検知器

Claims (2)

  1. 大気中での放電により空気から生成する正イオンと負イオンを、それぞれの濃度を7000個/cm 3 以上として同時に肌表面に照射して肌表面の水分量を増加させると共に真皮の水分保持機能を向上させる美容器具。
  2. 請求項1に記載の肌表面の水分量を増加させると共に真皮の水分保持機能を向上させる美容器具であって、
    肌に照射するイオンは、正イオンとして、H3+(H2O)m(m=0または任意の自然数)、負イオンとして、O2 -(H2O)n(n=0または任意の自然数)を用いたことを特徴とする肌表面の水分量を増加させると共に真皮の水分保持機能を向上させる美容器具。
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