JP5285573B2 - マルチパック用包装箱 - Google Patents

Description

本発明は、例えば缶ビール、発泡酒缶、チューハイ缶等のアルコール飲料缶や、缶ジュース、缶コーヒー、缶紅茶、缶入り茶等ノンアルコール飲料缶等の一定数量の容器を並列した状態のまま包装するマルチパック用包装箱に関する。なお、本発明でいう「容器」とは、内容物が充填されている製品の形態のものをいう。

従来から、缶ビールや缶ジュース等の複数個の容器を複数個一列あるいは複数列で起立させた状態のまま整列させて置き、つぎに容器の上部、側部および下部を包み込むようにして包装し、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成された紙製のマルチパック用包装箱が使用されている。

このようなマルチパック用包装箱の使用により、複数個の缶ビールや缶ジュース等を１個の包装体にまとめて一度にかつ簡易に持ち運ぶことができるようになり、さらに、纏め売りの効果も相俟って当該マルチパック用包装箱の使用が近年急速に拡大しつつある。

このようなマルチパック用包装箱においては、容器群の一部の側面が覗く開口部に、内容物の飛び出しや脱落を防止するために、内側に折り込まれて容器を保持する機能を有する押込フラップ片と、この当該押込フラップ片の上下にそれぞれ連接されて上面板の隅部および底面板の隅部にまで至る上部抜き止め片および下部抜き止め片が、それぞれ、連接されて構成されているタイプのものが存在する。

特開２００４−１６１３３７号公報 特開２００１−２３３３７８号公報 上記の先行特許文献１で開示されているマルチパック用包装箱においては、押込フラップ片の上下にそれぞれ連接されて、上面板の隅部および底面板の隅部にまで至る上部抜き止め片および下部抜き止め片との接続端部に略三角形状の切欠き部が設けられている構造であり、なおかつ、押込フラップ片の上下の端部突出角度は９０°あるいはそれ以上の角度から構成されている。

上記の先行特許文献２で開示されているマルチパック用包装箱においては、押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片との接続端部に上記特許文献１のごとき切欠き部が設けられおらず、カット線のみから分離されている点で異なる。そして、押込フラップ片の上下の端部突出角度は９０°である。

このようなマルチパック用包装箱は、上述のごとく容器を纏め、一度にかつ簡易に持ち運ぶことができることが基本であるので、安全面を考慮すれば、押込フラップ片、上部抜き止め片および下部抜き止め片による容器の保持力はできるだけ高いことが要望されている。また、紙原料の使用量の削減も含めて製造コストの低減に寄与できる包装箱仕様であることも望まれる。

本出願に係る発明者が、押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片との接続構造について、鋭意研究しこの箇所の仕様変更を試みたところ、箱内に収納され保持されている容器の保持力の向上が図れ、なおかつ、マルチパック包装箱の展開図の原紙への面付けにおいて、幅方向に隣接するマルチパック紙の捨てしろを無くすことができ、原紙使用効率および作業効率を向上させることが可能であることを見出し、本願発明に想到したものである。

すなわち、本発明は、並列に配置された複数個の容器群の上面を覆う上面板と、この上面板の両側部に連接され並列された各容器の側面を覆うように配置された対向する側面板と、これら側面板に連接され互いに係着しうる係止部を有する底面板とを備え、前記底面板を係着することにより前記容器群を包むように収納することができるとともに、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成されるマルチパック用包装箱において、前記側面板の両端部には、内側に折り込まれて容器を保持する機能を有する押込フラップ片が形成されており、当該押込フラップ片には、上面板の隅部および底面板の隅部に至るまで容器の脱落を防止するための上部抜き止め片および下部抜き止め片が、それぞれ、連接して形成されており、前記押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片の最外部を形態するラインは押し込み前の状態で、同一ラインに有り、前記押込フラップ片と上部抜き止め片の最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第１のカット線による端部の部分的な第１の分離が行われており、前記押込フラップ片と下部抜き止め片の最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第２のカット線による端部の部分的な第２の分離が行われており、前記押込フラップ片を基準にして、部分的な第１の分離が行われている前記押込フラップ片の端部の角度θ1、および部分的な第２の分離が行われている前記押込フラップ片の端部の角度θ2が、それぞれ、鋭角に形成されているように構成される。

また、本発明のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記第１の分離は、共通する第１のカット線のみによってなされ、前記第２の分離は、共通する第２のカット線のみによってなされるように構成される。

また、本発明のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記押込フラップ片の端部の角度θ1が４０°〜７５°の範囲であり、前記押込フラップ片端部の角度θ2が４０°〜７５°の範囲であるように構成される。

また、本発明のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記押込フラップ片と前記上部抜き止め片は、第１のカット線の部分を除いて、第１の折り線により連結され、前記押込フラップ片と前記下部抜き止め片は、第２のカット線の部分を除いて、第２の折り線により連結されるように構成される。

また、本発明のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記第１および第２の折り線は、いずれも谷折りされるように構成される。

また、本発明のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記第１のカット線から第１の折り線に移行する点を、前記押込フラップ片の最外部を形態するラインを基準として測定した内側距離をＬ１とし、前記第２のカット線から第２の折り線に移行する点を、前記押込フラップ片の最外部を形態するラインを基準として測定した内側距離をＬ２とした場合、Ｌ２＞Ｌ１であるように構成される。

上記記載のマルチパック用包装箱の組立前の展開紙を複数個同時に打抜く方法であり、該方法は、展開紙を幅方向に隣接させて、隣接する展開紙同士の幅方向の実質的な捨てしろを無くすように、配置・形成された抜き型を用いて行うように構成される。

上記記載の打抜き方法に用いられる打ち抜き刃であって、該打ち抜き刃は、展開紙を幅方向に隣接させて、隣接する展開紙同士の幅方向の実質的な捨てしろを無くすように、隣接する直線ラインを形成するための共通する抜き刃と、隣接する前記第１のカット線同士を同時に抜くための、鏡像関係に形取られた連続する一体の第１の抜き刃と、隣接する前記第２のカット線同士を同時に抜くための、鏡像関係に形取られた連続する一体の第２の抜き刃と、を有するように構成される。

また、本発明の打ち抜き刃の好ましい態様として、前記第１の抜き刃および第２の抜き刃によって、隣接する直線ラインが分断されるように配置・形成されて構成される。

また、本発明の打ち抜き刃の好ましい態様として、隣接する前記第１のカット線同士は鏡像関係に形取られた連続する一体の第１の抜き刃として形成されており、隣接する前記第２のカット線同士は鏡像関係に形取られた連続する一体の第２の抜き刃として形成されているように構成される。

本発明のマルチパック用包装箱は、側面板の両端部に、内側に折り込まれて容器を保持する機能を有する押込フラップ片が形成されており、押込フラップ片には、上面板の隅部および底面板の隅部に至るまで容器の脱落を防止するための上部抜き止め片および下部抜き止め片が、それぞれ、連接して形成されており、押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片の最外部を形態するラインは押し込み前の状態で、同一ラインに有り、押込フラップ片と上部抜き止め片の最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第１のカット線による端部の部分的な第１の分離が行われており、押込フラップ片と下部抜き止め片の最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第２のカット線による端部の部分的な第２の分離が行われており、押込フラップ片を基準にして、部分的な第１の分離が行われている押込フラップ片の端部の角度θ1、および部分的な第２の分離が行われている押込フラップ片の端部の角度θ2が、それぞれ、鋭角に形成されているので、箱内に収納され保持されている容器の保持力の格段の向上が図れる。また、それらの角度θ1およびθ2に基づく、上下の抜き止め片の端部角度は商品の取り扱い上、特に問題となるレベルではない。

さらには、マルチパック包装箱の展開図の原紙への面付けにおいて、幅方向に隣接するマルチパック紙の捨てしろを無くすことができ、原紙使用効率および作業効率を向上させることが可能になるという効果が発現する。

図１は、本発明のマルチパック用包装箱の展開図の一例を示したものである。押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片との接続構造を説明するための当該箇所の部分拡大図面も併記されている。 図２は、図１に示される展開された箱オリジナル紙を組み立てた斜視図である。 図３は、図１に示される展開された箱オリジナル紙に缶製品を収納した状態で組み立てた斜視図である。 図４は、マルチパック容器の展開図の原紙への面付けにおいて、幅方向に隣接するマルチパック紙の捨てしろを無くすことができる状態の一例を示した平面図であって、２つの展開紙が幅方向に併設されている状態を示す平面図である。押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片との接続構造および抜き型構造を説明するための当該箇所の部分拡大図面も併記されている。 図５は、押込フラップ片の端部の角度θ1、θ2が、それぞれ、９０°をこえる鈍角に形成されている比較例の図面であって、押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片との接続構造を説明するための図面である。

以下、本発明のマルチパック用包装箱１の好適な形態の一例について、図面を参照しつつ説明する。

図１は、本発明のマルチパック用包装箱１の展開図の一例を示したものであり、図２は、図１に示される展開された箱オリジナル紙を組み立てた斜視図であり、図３は、図１に示される展開された箱オリジナル紙を組み立てた斜視図であり、箱の中に缶ビールで代表される缶容器が収納されている状態を示す斜視図である。

図４は、マルチパック容器の展開図の原紙への面付けにおいて、幅方向に隣接するマルチパック紙の捨てしろを無くすことができる状態の一例を示した平面図であって、２つの展開紙が幅方向に併設されている状態を示す平面図である。

本発明における好適な実施の形態として、缶ビールを６個収納（直列した３缶を２列に並列させて収納）することができる一般的なマルチパック用包装箱１を一例にとって説明する。

本発明のマルチパック用包装箱１は、図１に示される展開シート（パック用シート）を組み立てることによって形成することができ、展開シートは、図１に示されるごとく横長の略矩形形状をなしている。

本発明では、展開シートの多数個配列の際に、図１における縦辺１ａ方向を便宜上、『幅方向（図１の矢印で幅方向と示された箇所を参照）』と呼ぶ。

図１に示される展開シートにおいて、その中央部は上面板２を構成し、その両端にそれぞれ側面板３、４が連接されている。そして、側面板３の先端側となる図面の左側部分には底面板５が形成され、側面板４の先端側となる図面の右側部分には底面板６がそれぞれ形成されている。

上面板２は、直列３個を並列２列に起立状態に整列させた缶ビール６個の上面を覆うように、図面の縦辺１ａ方向にはビール缶３缶分、横辺１ｂ方向にはビール缶２缶分の長さからなる面積を備えている。上面板２の両側には缶ビールの側部を覆うようにその高さに相当する側面板３、４がそれぞれ境界線をなす折り線２ａ、２ｂを介して連接されている。
底面板５、６には係着部で互いに係着し得る係止部７（底面板５側）および係止部８（底面板６側）がそれぞれ形成されている。

図面の左側に位置している底面板５側の係止部７は、先端部を形成する展開シートの一方の縦辺１ａに平行な第１係止部７ａと、その内側に位置する第２係止部７ｂを有し構成されている。本実施の形態において、係止部７は、縦辺１ａの中央とその両端側の３箇所にそれぞれ設けられている。

この実施形態では、第１係止部７ａの形状は切り抜かれた縦長の孔で一辺が直線部となっており、第２係止部７ｂは、図示のごとく切り込まれた形状となっている。

これに対し、図面の右側に位置している底面板６側の係止部８は、前記第１係止部７ａおよび第２係止部７ｂとにそれぞれ係着し得るように形成された第１係止部８ａおよび第２係止部８ｂとから構成されている。

この実施の形態では、第１係止部８ａの形状は、縦辺１ａに平行な直線で中央が内側に凹部ｂとなる切り込みとなっている。第２係止部８ｂの形状は第１係止部８ａの幅から先細りとなって首部ｄに至り、これに続く先端は首部ｄより幅のある頭部ｃとして形成されている。

前記側面板３，４の両端部には、それぞれ、内側に折り込まれて容器を保持する機能を有する押込フラップ片９が形成されており、この押込フラップ片９には、上面板２の隅部および底面板５，６の隅部に至るまで容器の脱落を防止するための上部抜き止め片１０ａおよび下部抜き止め片１０ｂが、それぞれ、連接して形成されている。これらの構成は本願発明の要部を構成する箇所であり、図１にはこれらの箇所を部分的に拡大した部分拡大図が併記してある。詳細な構成は、後述する。

底面板５、６を係着することにより、缶ビール等の容器１９群を包むように収納できるマルチパック用包装箱１が組立てられる。そして、図２や図３に示されるようにマルチパック用包装箱１の側面板３、４が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部Ｐがそれぞれ形成される。

本発明の実施形態における上面板２は、その開口部Ｐ側において、容器１９の天面蓋９０の周縁に形成されているリング状突起９５の一部が覗くように切り欠き部５０が形成されている（図１〜図３参照）。

このような切り欠き部５０は、缶製品の引き出しが出来るだけ簡易にかつ容易に行えるように形成されている（取り出し容易性の向上）。すなわち、図３に示されるように、覗いているリング状突起９５の一部を指先端に引っ掛けて引っ張ることにより、容易に缶ビールを取り出すことができる。

このような切り欠き部５０の形状は、湾曲形状をなすことが特に好ましく、当該切り欠き部５０の個数は、開口部Ｐから覗く容器の数に対応して同じ個数形成されることが望ましい。ただし、本発明において、切り欠き部５０の存在は必須のものではなく、切り欠き部５０を備えていないマルチパック用包装箱であってもよいことは勿論である。

なお、図１における、符号１３はコンプレッションホール（６箇所）、符号１４ａは山折り線（折り線）、符号１４ｂおよび１４ｂ´は谷折り線（折り線）をそれぞれ表している。さらに符号１５ａはトップガゼットホール（４箇所）、符号１５ｂはボトムガゼットホール（４箇所）、符号１６はフィンガーホール（２箇所）、符号１７は切り取り線をそれぞれ表している。上面板２に符号１７で示されている切り取り線は、上面引裂き開口片を形成している。図１の符号１７ａ側から上面引裂き開口片の引き剥がし操作が開始されるようになっている。

（本発明の要部構造の説明）
本発明の要部は、上述したように、押込フラップ片９と上部抜き止め片１０ａおよび下部抜き止め片１０ｂとの接続構造にある。

以下、詳細に説明する。
図１の全体図および部分拡大図に示されるように、側面板４，３の両端部には、内側に折り込まれて容器を保持する機能を有する押込フラップ片９が形成されており、この押込フラップ片９には、上面板２の隅部および底面板５，６の隅部に至るまで容器の脱落を防止するための上部抜き止め片１０ａおよび下部抜き止め片１０ｂが、それぞれ、連接して形成されている。

押込フラップ片９、上部抜き止め片１０ａおよび下部抜き止め片１０ｂの最外部を形態するラインは押し込み前の状態で、同一のライン１００を構成しており、押込フラップ片９と上部抜き止め片１０ａの最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第１のカット線Ｃ１による端部の部分的な第１の分離（カット）が行われている。

同様に、押込フラップ片９と下部抜き止め片１０ｂの最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第２のカット線Ｃ２による端部の部分的な第２の分離（カット）が行われている。

そして、図１の部分拡大図に示されるように押込フラップ片９を基準にして、部分的な第１の分離が行われている押込フラップ片９の端部の角度θ1、および部分的な第２の分離が行われている前記押込フラップ片９の端部の角度θ2は、それぞれ、鋭角に形成されている。ここで言う『押込フラップ片９を基準にして』とは、押込フラップ片９を単体として見た状態をいう。また、押込フラップ片の端部のカット形状が湾曲状となっている場合、角度θ1、角度θ2は、最端部における接線を引くことにより求めることができる（すなわち、接線と最外部のライン１００との角度を、θ1、θ2とする）。

本発明において、前記第１の分離は、共通する第１のカット線Ｃ１のみによってなされている。つまり、先行特許文献１で開示されているような分離の際の略三角形状の切欠き部を設けるわけではなく、線状にカットするのみとする。同様に、第２の分離は、共通する第２のカット線Ｃ２のみによってなされる。このような手法により、第１の分離および第２の分離を形成することによって、マルチパック容器の展開図の原紙への面付けにおいて、幅方向に隣接するマルチパック紙の捨てしろを無くすように配置し、多面付けで一度に打抜き成形することが可能となる。例えば、図４に示されるような密着配置された多面（２面）取りの形態が可能となる

押込フラップ片９と上部抜き止め片１０ａは、第１のカット線Ｃ１の部分を除いて、第１の折り線１４ｂにより連結されており、押込フラップ片９と下部抜き止め片１０ｂは、第２のカット線Ｃ２の部分を除いて、第２の折り線１４ｂ´により連結されている。第１および第２の折り線１４ｂ、１４ｂ´は、いずれも谷折りされる。

本発明において、押込フラップ片９の端部の角度θ1は、上述したように鋭角（つまり、θ1＜９０°）好ましくは、３０°〜７５°の範囲、より好ましくは、４０°〜７５°の範囲とするのが良い。

もう一方の下方に位置する押込フラップ片９の端部の角度θ2は、上述したように鋭角（つまり、θ1＜９０°）好ましくは、３０°〜７５°の範囲、より好ましくは、４０°〜７５°の範囲とするのが良い。

角度θ1と角度θ2との関係は、θ1＝θ2、θ1＜θ2、θ1＞θ2、のいずれであっても良いが、実験的に求められた特に好ましい関係は、θ1＞θ2とするのが良い。

このような好適な角度θ1、θ2を用いることによって、箱内に収納され保持されている容器の保持力の向上が図れる。

また、本発明においては、図１の部分拡大図に示されるように、第１のカット線Ｃ１から第１の折り線１４ｂに移行する点を、前記押込フラップ片９の最外部を形態するラインを基準として測定した内側距離をＬ１とし、第２のカット線Ｃ２から第２の折り線１４ｂ´に移行する点を、前記押込フラップ片９の最外部を形態するラインを基準として測定した内側距離をＬ２とした場合、Ｌ２＞Ｌ１（好ましくは、Ｌ２＝（１．１〜１．５）Ｌ１、より好ましくはＬ２＝（１．１〜１．３）Ｌ１）とするのがよい。このような条件を満足させることにより、箱内に収納され保持されている容器の保持力の向上が図れる。

上述してきた要部構成を備える本発明のマルチパック用包装箱は、箱内に収納され保持されている容器の保持力の向上が図れる。さらに、展開紙を幅方向に隣接させて、隣接する展開紙同士の幅方向の実質的な捨てしろを無くすように、配置・形成された抜き型を用いて、複数個同時に打抜くことができる。

図４には、マルチパック容器の展開図の原紙への面付けにおいて、幅方向に隣接するマルチパック紙の捨てしろを無くすことができる状態の一例を示した平面図であって、２つの展開紙が幅方向に併設されている状態を示す平面図が記載されている。図４には紙面の大きさの関係で、２つの展開紙が幅方向に併設されている例が記載されているが、実際には生産性を考慮して、例えば５〜１０程度の展開紙が併設されるように面付けするのが良い。

図４の部分拡大図は、幅方向に隣接する部位における、押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片との接続構造を形成するための打ち抜き刃の好適な一例を示した図面である。

このような一体的な打抜き方法に用いられる打ち抜き刃は、図４の部分拡大図に示されるように展開紙を幅方向に隣接させて、隣接する展開紙同士の幅方向の実質的な捨てしろを無くすように、隣接する直線ラインを形成するための共通する抜き刃２０１、２０２、２０３と、隣接する第１のカット線Ｃ１同士を同時に一体的に抜くための、カット線Ｃ１形状を鏡像関係に形取った連続する一体の第１の抜き刃３０１と、隣接する第２のカット線Ｃ２同士を同時に一体的に抜くための、カット線Ｃ２形状を鏡像関係に形取った連続する一体の第２の抜き刃３０２とを有して構成される。

第１のカット線Ｃ１を形成する第１の抜き刃３０１および第２のカット線Ｃ２を形成する第２の抜き刃３０２によって、直線ラインを形成するための共通する抜き刃２０１、２０２、２０３は、分断されるように配置・形成される。つまり、図４の部分拡大図に示される符号Ｇは、未カット部分として残り、最終的に強制的に引き千切られるように分離される。そのため、その箇所に引き千切りした痕が形成され、カット線Ｃ１およびカット線Ｃ２の端部の鋭角部分の先端の鋭さがやや緩和されて、押込フラップ片９の推し込み操作に際して、角が手に接触する痛みが気にならなくなるというメリットが生じる。

本発明のマルチパック用包装箱は、上述したような要部構成を備えて構成されているので、箱内に収納され保持されている容器の保持力の向上が図れる。

本願発明者の実験によれば、図３に示されるような２×３の缶ビール容器を収納した包装箱形態を使用した実験であって、上記特許文献１の場合（切欠き部が設けられている構造）の包装箱を使用して測定された容器の保持力を１００とした場合に、本願発明であるθ1＝７２°、θ2＝４６°の場合の容器の保持力は、１２３となり、格段の保持力の向上効果が発現することが確認された。ちなみに、θ1およびθ2が４０°から７５°の範囲において、容器の保持力は１００を超えて確実に向上することが確認されている。

また、参考までに上記特許文献２に相当するθ1＝９０°、θ2＝９０°の場合の容器の容器の保持力は、８４であった。

また、図５に示されるようなθ1＝１０８°、θ2＝１３４°の場合の容器の保持力は、予想に反して１１６であり、１００を上回った。しかしながら、これらの角度θ1およびθ2に基づく、上下の抜き止め片の端部角度が鋭角となり、開口部Ｐ側から手を挿入して缶を取り出す際の官能試験の結果、商品の取り扱い上、問題となる痛みレベルが発生する場合があると判定されたため権利化を図るべく発明対象から除外した。θ1＝１０８°、θ2＝１３４°の場合の容器の保持力が予想に反して高かった理由として、保持力向上のメカニズムが本願発明とは異なり、上下の抜き止め片の缶に対するホールド効果が高くなっているためではなかろうかと推測している。

なお、保持力の測定は、２×３の缶ビール容器配列に対して、３缶並んだ一方の列と、３缶並んだ他方の列を互いに逆方向に押す力を加えて、容器が包装箱の開口部から飛び出る際の押力より求めた。データは２０個とり、上下の２つのデータ値をそれぞれカットして、合計１６個のデータの平均値として求めた。

上記の効果に加えて、本発明のマルチパック用包装箱は、展開図の原紙への面付けにおいて、幅方向に隣接するマルチパック紙の捨てしろを無くすことができ、原紙使用効率および作業効率を向上させることが可能である。

なお、本発明における実施形態では缶ビールの包装を例にとって説明したが、このものに限定されるものではない。例えば、発泡酒缶、チューハイ缶等のアルコール飲料缶や、缶ジュース、缶コーヒー、缶紅茶、缶入り茶等のノンアルコール飲料缶などその他の各種缶製品にも適用できることは勿論のことである。

本発明のマルチパック用包装箱は、例えば缶ビール、発泡酒缶、チューハイ缶等のアルコール飲料缶や、缶ジュース、缶コーヒー、缶紅茶、缶入り茶等ノンアルコール飲料缶等の一定数量の容器を包装するための包装箱であり、包装産業一般に利用することができる。

１…マルチパック用包装箱
２…上面板
３、４…側面板
５、６…底面板
９…押込フラップ片
１０ａ…上部抜き止め片
１０ｂ…下部抜き止め片
Ｃ１…第１のカット線
Ｃ２…第２のカット線

Claims (10)

1. 並列に配置された複数個の容器群の上面を覆う上面板と、
   この上面板の両側部に連接され並列された各容器の側面を覆うように配置された対向する側面板と、
   これら側面板に連接され互いに係着しうる係止部を有する底面板とを備え、前記底面板を係着することにより前記容器群を包むように収納することができるとともに、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成されるマルチパック用包装箱において、
   前記側面板の両端部には、内側に折り込まれて容器を保持する機能を有する押込フラップ片が形成されており、当該押込フラップ片には、上面板の隅部および底面板の隅部に至るまで容器の脱落を防止するための上部抜き止め片および下部抜き止め片が、それぞれ、連接して形成されており、
   前記押込フラップ片と上部抜き止め片および下部抜き止め片の最外部を形態するラインは押し込み前の状態で、同一ラインに有り、
   前記押込フラップ片と上部抜き止め片の最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第１のカット線による端部の部分的な第１の分離が行われており、
   前記押込フラップ片と下部抜き止め片の最外部を形態するラインの箇所で、当該ラインを交叉する第２のカット線による端部の部分的な第２の分離が行われており、
   前記押込フラップ片を基準にして、部分的な第１の分離が行われている前記押込フラップ片の端部の角度θ1、および部分的な第２の分離が行われている前記押込フラップ片の端部の角度θ2が、それぞれ、鋭角に形成されていることを特徴とするマルチパック用包装箱。
2. 前記第１の分離は、共通する第１のカット線のみによってなされ、前記第２の分離は、共通する第２のカット線のみによってなされる請求項１に記載のマルチパック用包装箱。
3. 前記押込フラップ片の端部の角度θ1が４０°〜７５°の範囲であり、前記押込フラップ片端部の角度θ2が４０°〜７５°の範囲である請求項１または請求項２に記載のマルチパック用包装箱。
4. 前記押込フラップ片と前記上部抜き止め片は、第１のカット線の部分を除いて、第１の折り線により連結され、前記押込フラップ片と前記下部抜き止め片は、第２のカット線の部分を除いて、第２の折り線により連結される請求項１に記載のマルチパック用包装箱。
5. 前記第１および第２の折り線は、いずれも谷折りされる請求項４に記載のマルチパック用包装箱。
6. 前記第１のカット線から第１の折り線に移行する点を、前記押込フラップ片の最外部を形態するラインを基準として測定した内側距離をＬ１とし、前記第２のカット線から第２の折り線に移行する点を、前記押込フラップ片の最外部を形態するラインを基準として測定した内側距離をＬ２とした場合、Ｌ２＞Ｌ１である請求項４に記載のマルチパック用包装箱。
7. 請求項１ないし請求項６のいずれかに記載のマルチパック用包装箱の組立前の展開紙を複数個同時に打抜く方法であり、
   該方法は、展開紙を幅方向に隣接させて、隣接する展開紙同士の幅方向の実質的な捨てしろを無くすように、配置・形成された抜き型を用いて行うことを特徴とするマルチパック用包装箱の組立前の展開紙の打抜き方法。
8. 請求項７に記載の打抜き方法に用いられる打ち抜き刃であって、
   該打ち抜き刃は、展開紙を幅方向に隣接させて、隣接する展開紙同士の幅方向の実質的な捨てしろを無くすように、隣接する直線ラインを形成するための共通する抜き刃と、
   隣接する前記第１のカット線同士を同時に抜くための、鏡像関係に形取られた連続する一体の第１の抜き刃と、
   隣接する前記第２のカット線同士を同時に抜くための、鏡像関係に形取られた連続する一体の第２の抜き刃と、
   を有することを特徴とする打ち抜き刃。
9. 前記第１の抜き刃および第２の抜き刃によって、隣接する直線ラインが分断されるように配置・形成されている請求項８に記載の打ち抜き刃。
10. 隣接する前記第１のカット線同士は鏡像関係に形取られた連続する一体の第１の抜き刃として形成されており、
    隣接する前記第２のカット線同士は鏡像関係に形取られた連続する一体の第２の抜き刃として形成されている請求項８または請求項９に記載の打ち抜き刃。

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