JP3165082U - マルチパック用包装箱 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器底を固定する機能が安定しており容器保持力の信頼性に優れ、かつ、マルチパック包装製品の取り扱い時や落下時に紙材の破れを極力低減させることができる容器底固定片を備えるマルチパック用包装箱を提供する。【解決手段】側面板に連接され互いに係着しうる係止部を有する底面板とを備え、底面板を係着することにより容器群を包むように収納することができるとともに、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成されており、底面板と側面板との折り線を跨ぐように容器底固定片30が形成されており、容器底固定片は、その一辺が基部として底面板に固着されているとともに、容器底固定片の形態に沿って底面板から切り取られて可動状態にある可動片として構成されており、可動片は、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅W0よりも広幅の拡張部が可動片の先端に向かって少なくとも1つ形成されている。【選択図】図2
Description
本考案は、例えば缶ビール、発泡酒缶、チューハイ缶等のアルコール飲料缶や、缶ジュース、缶コーヒー、缶紅茶、缶入り茶等ノンアルコール飲料缶等の一定数量の容器を並列した状態のまま包装するマルチパック用包装箱に関し、特に、包装箱の底部において、容器の底部の固定を補助するための容器底固定片(ロッキングタブ)を備えるマルチパック用包装箱に関する。なお、本考案でいう「容器」とは、内容物が充填されている製品の形態のものをいう。
従来から、缶ビールや缶ジュース等の複数個の容器を複数個一列あるいは複数列で起立させた状態のまま整列させて置き、つぎに容器の上部、側部および下部を包み込むようにして包装し、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成された紙製のマルチパック用包装箱が使用されている。
このようなマルチパック用包装箱の使用により、複数個の缶ビールや缶ジュース等を1個の包装体にまとめて一度にかつ簡易に持ち運ぶことができるようになり、さらに、纏め売りの効果も相俟って当該マルチパック用包装箱の使用が近年急速に拡大しつつある。
コストダウンや紙資源の有効活用を図るために、マルチパック用包装箱の板紙幅を縮小して使用面積を縮小することが試みられている。しかしながら、そのような仕様にすると、一般に、容器を保持する力は低下する傾向となる。すなわち、板紙幅の縮小と容器の保持力のアップとは、いわゆるトレードオフの関係にあると言え、板紙幅を縮小して使用面積を縮小し、かつ、容器の保持力を向上させようとすることは、極めて困難である。
このような問題を解決するために、先行特許文献1であるUS 6,988,617公報には、包装箱の底部に、容器の底部が容器箱から脱落しないように、容器底と係合するロッキングタブを備えてなるマルチパック用包装箱の提案がなされている。
しかしながら、当該ロッキングタブは略台形形状のシンプルな形状であるために、一旦、容器底ドーム空間内に挿着して収納した後、取り扱い時にロッキングタブが外部に飛び出して外れるおそれがある。
また、上記文献1の提案におけるロッキングタブの形状では、特に、端部に位置するロッキングタブを使用の際に、開いた穴部の隣に形成される端部側の残部板紙において、凸形状の容器底リムとの当接による応力集中の回避、および容器胴下部に位置する胴と底部との境界部との当接による応力集中の回避は、十分に考慮されていない。従って、マルチパック包装製品の取り扱い時や、落下させた時には、当該応力集中の箇所が起点となって、紙材の破れに繋がるおそれが生じる。
また、出荷前にマルチパック包装製品から容器を取り出して検査することがあり、この場合には、開封した後に、再度、包装して元の状態に戻す作業が必要となる。この際、従来の上記文献1の提案におけるロッキングタブの形状では、ロッキングタブを折り曲げた状態で一時的にその形態を保持することができず、再包装の作業が容易でないという問題がある。
このような実状のもとに、本考案は創案されたものであって、その目的は、紙原料の使用量の削減を図り(板紙幅等を縮小させて使用面積を小さくする)製造コストの低減に寄与できる包装箱の開発を前提とし、容器底を固定する機能が安定しており容器保持力の信頼性に優れ、かつ、マルチパック包装製品の取り扱い時や落下時に紙材の破れを極力低減させることができ、しかも、出荷前検査等で、開封後の再包装の作業を簡易に行なうことができる容器底固定片を備えるマルチパック用包装箱を提供することにある。
本出願に係る考案者が、マルチパック用包装箱の容器底固定片の形態について鋭意研究した結果、本願考案に想到したものである。
すなわち、本考案は、容器底の周縁に形成されたリング状の凸状リム部で包囲される容器底ドーム空間(凹部)、および容器胴と容器底との連接部位であるリング状の容器胴下部を有する容器を収納するためのマルチパック用包装箱であって、該マルチパック用包装箱は、並列に配置された複数個の容器群の上面を覆う上面板と、この上面板の両側部に連接され並列された各容器の側面を覆うように配置された対向する側面板と、これら側面板に連接され互いに係着しうる係止部を有する底面板とを備え、前記底面板を係着することにより前記容器群を包むように収納することができるとともに、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成されており、前記底面板と前記側面板との折り線を跨ぐように容器底固定片が形成されており、前記容器底固定片は、その一辺が基部として底面板に固着されているとともに、容器底固定片の形態に沿って底面板から切り取られて可動状態にある可動片として構成されており、前記可動片は、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅W0よりも広幅の拡張部が可動片の先端に向かって少なくとも1つ形成されているように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記基準幅W0の基部近傍から広幅の拡張部に至るまでに、前記可動片の両側部に括れ部が形成されているように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記基準幅W0の基部近傍から、先端部の容器底の固定に必要な設置幅W1に至るまでに、基準幅W0よりも広幅の拡張部が2つ形成されているように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記容器底固定片は、当該片の先端が容器底の固定に必要な設置幅を備えるとともに、当該片の先端形状が容器底の周縁に形成されたリング状の凸状リム部の内側湾曲形状に沿った湾曲形状として構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記容器底固定片を抜いた後の開口穴に基づいて、湾曲した拡張穴部(拡張部が抜かれた箇所)から開口穴先端に向けてなだらかな湾曲部が形成され、当該形状によって、当該湾曲部とリング状の容器胴下部との当接部位において、板紙に集中される応力負荷を効果的に分散させるように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記容器底固定片を抜いた後の開口穴に基づいて、湾曲した突出部(括れ部が抜かれた箇所に相当)が形成され、当該形状によって、当該突出部と容器の底部のリング状の凸状リム部との当接部位において、板紙に集中される応力負荷を効果的に分散させるように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記2つの広幅の拡張部のうち、第2の拡張部が、容器底の固定に必要な設置幅W1に至る直前に形成されており、他の第1の拡張部が第2の拡張部よりも基部側に形成されており、前記第2の拡張部の形成により、容器底固定片の先端における容器底の固定に必要な設置幅を増大させるとともに、簡易な形態を採択することができ高速自動ケーサー化を容易ならしめる作用が発現するように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記底面板と前記側面板との折り線は、第1の折線と第2の折線と2本存在し、第1の折線は、第2の折線と比べてより底面板側に存在しており、前記容器底固定片は、前記基部が第1折り曲げ線として形成されているとともに、可動片の両側部にそれぞれ形成された括れ部を結ぶ線が第2折り曲げ線として構成されており、当該第2折り曲げ線の位置は、前記第1の折線の位置よりも前記側面板側に変位しているように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記底面板と前記側面板との折り線は、第1の折線と第2の折線と2本存在し、第2の折線は、第1の折線と比べてより側面板側に存在しており、前記容器底固定片における前記第2の拡張部を構成する半径Rの円弧の中心位置は、第2の折線の位置よりも前記側面板側に変位しているように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記容器底固定片は、前記基部が第1折り曲げ線として形成されているとともに、可動片の両側部にそれぞれ形成された括れ部を結ぶ線が第2折り曲げ線として構成されており、前記第1折り曲げ線を山折とし、前記第2折り曲げ線を谷折としつつ、前記可動片を前記容器底ドーム空間内に潜り込ませて、前記可動片の先端がリング状の凸状リム部に当接されるように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記容器底固定片の両側部にそれぞれ形成された括れ部を結ぶ線の長さをW2とし、拡張部を結ぶ線の長さをW4とし、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅をW0とした場合、W4>W0>W2の条件を満たしてなるように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記容器底固定片の先端部の容器底の固定に必要な設置幅W1は、基準幅W0との関係で、W0≧W1の条件を満たしてなるように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記下面板および側面板の前記開口部側の端部における端部基準線L1から、端部に位置する前記容器底固定片における基部端部の基準幅に至るまでの距離d0が6〜9mmとなるように構成される。
また、本考案のマルチパック用包装箱の好ましい態様として、前記下面板および側面板の前記開口部側の端部における端部基準線L1から、端部に位置する前記容器底固定片における拡張部の端部までの距離d4が5〜8mmとなるように構成される。
本考案のマルチパック包装製品は、上記記載のマルチパック用包装箱に容器を収納して構成される。
本考案のマルチパック用包装箱は、並列に配置された複数個の容器群の上面を覆う上面板と、上面板の両側部に連接され並列された各容器の側面を覆うように配置された対向する側面板と、側面板に連接され互いに係着しうる係止部を有する底面板とを備え、底面板を係着することにより容器群を包むように収納することができるとともに、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成されており、底面板と側面板との折り線を跨ぐように容器底固定片が形成されており、容器底固定片は、その一辺が基部として底面板に固着されているとともに、容器底固定片の形態に沿って底面板から切り取られて可動状態にある可動片として構成されており、可動片は、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅W0よりも広幅の拡張部が可動片の先端に向かって少なくとも1つ形成されているように構成されているので、容器底を固定する機能が安定しており容器保持力の信頼性に優れ、かつ、マルチパック包装製品の取り扱い時や落下時に紙材の破れを極力低減させることができ、しかも、出荷前検査等で、開封後の再包装の作業を簡易に行なうことができるという効果が発現する。
以下、本考案のマルチパック用包装箱1の好適な形態の一例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本考案の容器底固定片を備えるマルチパック用包装箱1の展開図の一例を示したものである。図2は、本考案の要部である容器底固定片の近傍を示した部分拡大平面図である。図3は、本考案の要部である容器底固定片を2段に折り曲げて容器底ドーム空間内(凹部)に挿着するとともに容器が動かないように固定した状態を模式的に示した部分拡大断面図である。図4〜図10は、出荷前検査等で、開封後の再包装の作業プロセスを経時的に説明するための斜視図である。なお、図4以降の図面において、容器は底を上にした倒立状態で描かれている。図11は、本考案の要部である容器底固定片を2段に折り曲げて容器底ドーム空間内(凹部)に挿着するとともに容器が動かないように固定した状態を模式的に示した斜視図である。
本考案における好適な実施の形態として、容器(缶ビール)を6個収納(直列した3缶を2列に並列させて収納)することができる一般的なマルチパック用包装箱1を例示して説明する。
本考案のマルチパック用包装箱1において収納対象となる容器100は、図4に示されるように、容器底110の周縁に形成されたリング状の凸状リム部111で包囲される容器底ドーム空間115(凹部)を有している。さらに、容器100は、筒状容器の側面にあたる容器胴120と容器底110との連接部位であるリング状の容器胴下部121を有している。
本考案のマルチパック用包装箱1は、図1に示される展開シート(パック用シート)を組み立てることによって形成することができ、展開シートは、図1に示されるごとく横長の略矩形形状をなしている。
本考案では、展開シートの多数個配列の際に、図1における縦辺1aの方向を便宜上、『幅方向(図1の矢印で幅方向と示された箇所を参照)』と呼ぶ。
図1に示される展開シートにおいて、その中央部は上面板2を構成し、その両端にそれぞれ側面板3、4が連接されている。そして、側面板3の先端側となる図面の左側部分には底面板5が形成され、側面板4の先端側となる図面の右側部分には底面板6がそれぞれ形成されている。
上面板2は、直列3個を並列2列に起立状態に整列させた缶ビール6個の上面を覆うことができるように、図面の縦辺1a方向には略ビール缶3缶分、図面の横辺1b方向には略ビール缶2缶分の長さからなる面積を備えている。そして、上面板2の両側には缶ビールの側部を覆うようにその高さに略相当する側面板3、4がそれぞれ境界線をなす折り線2a、2bを介して連接されている。
底面板5、6には、係着部で互いに係着し得る係止部7(底面板5側)および係止部8(底面板6側)が、それぞれ形成されている。
底面板5、6を係着することにより、缶ビール等の容器群を包むように収納できるマルチパック用包装箱1が組立てられる。そして、側面板3、4が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部Pがそれぞれ形成されることになる。
(本考案の要部構造の説明)
図1に示されるように、底面板5と側面板3との折り線3a,5a、および底面板6と側面板4との折り線3a,5aを跨ぐように、容器底固定片30が形成される。
図1に示されるように、底面板5と側面板3との折り線3a,5a、および底面板6と側面板4との折り線3a,5aを跨ぐように、容器底固定片30が形成される。
容器底固定片30は、図1や図2に示されるように、その一辺が基部33として底面板3,5に固着されているとともに、容器底固定片30の形態に沿って底面板3,5から切り取られた後、基部33を基線として可動状態にある可動片として構成される。
容器底固定片30の形態に沿って底面板3,5から切り取られた後に形成される穴部は、容器底と係止される開口穴13(例えば、図4、図5、図11等参照)として使用される。
本考案における容器底固定片(可動片)30は、図2に示されるように基部に近い両側部の幅で規定される基準幅W0よりも広幅W4の拡張部38,38が可動片の先端に向かって両側部に形成されている。なお、鏡像関係にある拡張部38,38を纏めて1つの拡張部としてカウントする。
さらに、図2の形態においては、基準幅W0の基部近傍から広幅の拡張部38,38に至るまでに、可動片の両側部にそれぞれ括れ部39,39が形成されている。すなわち、容器底固定片30は、基部33から片の先端に向かっていく途中に括れ部39が形成され、当該括れ部39からさらに片の先端に向かう両側部に、それぞれ、外方に脹らむ拡張部38が形成されている。そして、図2に示されるように、片の先端35は、容器底の固定に必要な設置幅W1を備えている。そして、片の先端形状は、容器100の容器底110の周縁に形成されたリング状の凸状リム部111の内側湾曲形状に沿った形状とされる。リング状の凸状リム部111の内側に当接させ、保持力を向上させるためである。
図1や図2に示されるように、底面板5と側面板3との折り線は、第1の折線5aと第2の折線3aと2本存在し、この場合の第1の折線5aは、第2の折線3aと比べてより底面板5側に存在する。容器底固定片30は、基部33が第1折り曲げ線33として形成されているとともに、可動片の両側部にそれぞれ形成された括れ部39,39を結ぶ線が第2折り曲げ線32として構成されている。この第2折り曲げ線32の位置は、図面では明瞭に記載されていないが、前記第1の折線5aの位置よりも側面板側(図面の右方)にわずかに変位している。その変位長さは、例えば、0.5mm程度である。このような変位仕様とすることにより、括れ部39,39の湾曲中心と第1の折線5aの位置とのずれが生じ、容器を収納した際(パッケージングを行った際)に、第1の折線5aの位置における応力集中を回避させることができる。
また、容器を収納した状態の第1の折線5aは、部分的に、リング状の凸状リム部111と当接するように構成されている(例えば、図11参照)。一方、第2の折線3aは、第1の折線5aと比べてより側面板3側に存在するように形成されており、容器を収納した状態の第2の折線3aは、部分的に、リング状の容器胴下部121と当接するように構成されている(例えば、図11参照)。
同様に、底面板6と側面板4との折り線は、第1の折線6aと第2の折線4aと2本存在し、この場合の第1の折線6aは、第2の折線4aと比べてより底面板6側に存在する(例えば、図1)。
容器底固定片30は、前述したように基部33が第1折り曲げ線33として形成されているとともに、可動片の両側部にそれぞれ形成された括れ部39,39を結ぶ線が第2折り曲げ線32として構成されている。この第2折り曲げ線32の位置は、図面では明瞭に示されていないが、前記第1の折線6aの位置よりも側面板側にわずかに変位している。その変位長さは、例えば、0.5mm程度である。このような変位仕様とすることにより、括れ部39,39の湾曲中心と第2折り曲げ線32の位置とのずれが生じ、容器を収納した際(パッケージングを行った際)に、第1の折線6aの位置における応力集中を回避させることができる。
また、容器を収納した状態の第1の折線6aは、部分的に、リング状の凸状リム部111と当接するように構成されている(例えば、図11参照)。一方、第2の折線4aは、第1の折線6aと比べてより側面板4側に存在するように形成されており、容器を収納した状態の第2の折線4aは、部分的に、リング状の容器胴下部121と当接するように構成されている(例えば、図11参照)。
本考案の当該第1の実施形態においては、図11に示されるように、容器底固定片30を抜いた後の開口穴13に基づいて、湾曲した突出部49(括れ部39が抜かれた箇所に相当)が形成される。この形状によって、当該突出部49と容器の底部のリング状の凸状リム部111との当接部位において、板紙に集中される応力負荷を効果的に分散させることができるようになっている。また、本考案においては、図11に示されるように、容器底固定片30を抜いた後の開口穴13に基づいて、湾曲した拡張穴部48(拡張部38が抜かれた箇所)から開口穴13先端に向けてなだらかな湾曲部47が形成されている。この形状によって、当該湾曲部47とリング状の容器胴下部121との当接部位において、板紙に集中される応力負荷を効果的に分散させることができるようになっている。本考案では、これらの作用によって、マルチパック包装製品の取り扱い時や落下時に紙材の破れを極力低減させることができる。
図1や図2に示されるように、本考案における容器底固定片30は、その基部33が第1折り曲げ線(33)として形成されており、当該第1折り曲げ線(33)は、前述した第1の折線5a,6aよりも底面板5、6側に形成されている。さらに、可動片の両側部にそれぞれ形成された括れ部39,39を結ぶ線が第2折り曲げ線32として形成されている。
そして、図3に示されるように、容器底固定片30における第1折り曲げ線33(基部33)を山折とし、第2折り曲げ線32を谷折としつつ、可動片を容器底ドーム空間115内に潜り込ませて、可動片の先端35がリング状の凸状リム部111の内側湾曲部に当接されるように構成される。
図3において、第1折り曲げ線33を山折した山頂角θ1、および第2折り曲げ線32を谷折した谷底角θ2は、それぞれ、可動片の先端35がリング状の凸状リム部111の内側湾曲部に当接された場合の保持強度を考慮しつつ、可動片が図示のごとくいわゆるZ形状を形成するような角度に設定すればよい。
また、図2に示されるように、容器底固定片30の両側部にそれぞれ形成される括れ部39,39を結ぶ線の長さをW2とし、拡張部38、38を結ぶ線の長さをW4とし、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅をW0(この部分を『基部端部』と称す)とした場合、W4>W0>W2の条件を満たすことが望ましい。また、容器底固定片30の先端部の容器底の固定に必要な設置幅W1は、W0との関係で、W0≧W1の条件を満たすことが望ましい。後述の説明から明らかとなるが、折り曲げ状態を一時的に固定して、開封後の再包装の作業を簡易に行なうためである。
また、図2に示されるように、下面板5,6および側面板3,4の開口部側の端部における端部基準線L1から、端部に位置する容器底固定片30における『基部端部』までの距離d0は、6〜9mm程度とされる。
また、端部基準線L1から、端部に位置する容器底固定片30における拡張部38の端部までの距離d4は、5〜8mm程度とされる。
また、図2に示されるように、容器底固定片30における第1折り曲げ線33と第2折り曲げ線32との間隔H1、第2折り曲げ線32と、片の先端との間隔H2、および容器底固定片30の全長H3は、それぞれ、図3に示されるように缶底に収納可能な可動片がZ形状を形成するように設定すればよい。
上述してきた要部構成を備える本考案のマルチパック用包装箱の中に容器を収納することにより、マルチパック包装製品が完成する。
次に、出荷前検査等で、本考案のマルチパック用包装箱仕様ならでは行うことができる、開封後の再包装の好適な作業手法について図4〜図10を参照しつつ説明する。
図4に示されるように、展開シート(マルチパック用包装紙)を広げ、上面板2の箇所に、容器を倒立させた状態で所定位置に配置する。この際に、図5の拡大図に示されるように、容器底固定片30は、第1折り曲げ線33(基部33)、第2折り曲げ線32で折り曲げられており、容器底固定片30の広幅の先端部は、開口穴13の『基部端部』部位に相当する穴に係止された状態で一時的に保持されている。このような操作は、従来の先行技術の形態では不可能であると考えられる。
次いで、図6に示されるように、容器を展開シートで包み込んで、係止部7(底面板5側)および係止部8(底面板6側)を係止させて、箱の形態を形成する。この時、容器底固定片30の広幅の先端部は、開口穴13の『基部端部』部位に相当する穴に係止された状態のままである。
次いで、図7〜図9に示されるように、一時的に開口穴13の基部に係止されている容器底固定片30(可動片)を、片端から順次、親指で容器底ドーム空間115内に押し込みながら潜り込ませて、容器底固定片30(可動片)の先端35がリング状の凸状リム部111の内側湾曲部に当接する状態にする。図7は、一方端の2つの容器底固定片30を容器底ドーム空間115内に親指で押し込んでいる状態である。図8は、中央の2つの容器底固定片30を容器底ドーム空間115内に親指で押し込んでいる状態である。図9は、他方端の2つの容器底固定片30を容器底ドーム空間115内に親指で押し込んでいる状態である。
このようにして、最終的に図10に示されるように、すべての容器底固定片30(可動片)が容器固定作用を発揮するように容器底ドーム空間115内に設置される(図3の状態を参照のこと)。
このような操作は、容器底固定片30(可動片)が折り曲げられた状態で、一時的に開口穴13の基部に係止されているために極めて簡易に行うことが出来る。
また、図11に示されるように、容器底固定片30を抜いた後の開口穴13に基づいて、湾曲した突出部49(括れ部39が抜かれた箇所に相当)が形成されていれば、容器底ドーム空間115内に収納されている折り曲げられた容器底固定片30の先端が外部に飛び出し難くなる。
(本考案の要部構造の第2変形例の説明)
図12は、本考案の要部である第2の実施形態の容器底固定片30´を示した平面図であり、図2に相当する図面である。上記と同一の符号は、実質的に同じ機能を果たす部材あるいは形態等として構成される。
図12は、本考案の要部である第2の実施形態の容器底固定片30´を示した平面図であり、図2に相当する図面である。上記と同一の符号は、実質的に同じ機能を果たす部材あるいは形態等として構成される。
図12に示される第2の実施形態の容器底固定片30´は、基部33から片の先端に向かっていく途中に括れ部39が形成され、当該括れ部39からさらに片の先端に向かう両側部に、それぞれ、外方に脹らむ拡張部38が形成されている点では第1の実施形態の容器底固定片30と同じ構成であるが、これらの括れ部39、拡張部38等を構成する寸法や形態等が異なる。上述した容器底固定片が備える基本的な特性は実質的に同じである。従って、図4〜図10に示される開封後の再包装の作業手法についても同様に行うことができる。
(本考案の要部構造の第3変形例の説明)
図13は、本考案の要部である第3の実施形態の容器底固定片30´´を示した平面図であり、図2に相当する図面である。上記と同一の符号は、実質的に同じ機能を果たす部材あるいは形態等として構成される。容器底固定片30´´は、前述した2つの実施形態とは異なり、括れ部39は存在せずに、2つの拡張部38、36が形成されている。
図13は、本考案の要部である第3の実施形態の容器底固定片30´´を示した平面図であり、図2に相当する図面である。上記と同一の符号は、実質的に同じ機能を果たす部材あるいは形態等として構成される。容器底固定片30´´は、前述した2つの実施形態とは異なり、括れ部39は存在せずに、2つの拡張部38、36が形成されている。
すなわち、図13に示される第3の実施形態の容器底固定片30´´は、基部33から片の先端に向かっていく途中に、外方に脹らむ第1の拡張部38が形成され、さらに先端側に、第2の拡張部36が形成されている。つまり、2つの広幅の拡張部のうち、第2の拡張部36(最大幅W5)が、容器底の固定に必要な設置幅W1に至る直前に形成されており、第1の拡張部38が第2の拡張部36よりも基部33側に形成されている。第2の拡張部36を形成することにより、容器底固定片の先端における容器底の固定に必要な設置幅W1を増大させることができるとともに、極端な凹凸のない簡易な容器底固定片30´´の形態が実現でき、高速自動ケーサーによるパッケージングをより確実に行なうことができる。なお、第1の拡張部38の形成による作用は前述の実施形態の場合と同様である。
また、容器底固定片30´´における第2の拡張部36を構成する半径Rの円弧の中心位置は、第2の折線3a(4a)の位置よりも側面板側に、例えば、0.5mm程度変位していることが好ましい。第2の折線3a(4a)の位置における応力集中を回避させることができるようにするためである。
なお、容器底固定片30´´においても、図4〜図10に示される開封後の再包装の作業手法は同様に行うことができる。W0≧W1の条件を満たすとともに、2つの拡張部に挟まれた谷間が存在するからである。
以下、第1の実施形態の容器底固定片30(図2参照)、第2の実施形態の容器底固定片30´(図12参照)、および第3の実施形態の容器底固定片30´´(図13参照)における具体的な各幅寸法を、基準幅W0との比で以下に表示する。なお、基準幅W0の範囲は、22〜26mmとされる。
<第1の実施形態の容器底固定片30>
W1/W0=1.00
W2/W0=0.82
W4/W0=1.18
W1/W0=1.00
W2/W0=0.82
W4/W0=1.18
<第2の実施形態の容器底固定片30´>
W1/W0=1.00
W2/W0=0.95
W4/W0=1.09
W1/W0=1.00
W2/W0=0.95
W4/W0=1.09
<第3の実施形態の容器底固定片30´´>
W1/W0=1.00
W2/W0=1.00(括れ部なし)
W4/W0=1.14
W5/W0=1.09
W1/W0=1.00
W2/W0=1.00(括れ部なし)
W4/W0=1.14
W5/W0=1.09
以上の説明から分かるように、本考案のマルチパック用包装箱は、並列に配置された複数個の容器群の上面を覆う上面板と、上面板の両側部に連接され並列された各容器の側面を覆うように配置された対向する側面板と、側面板に連接され互いに係着しうる係止部を有する底面板とを備え、底面板を係着することにより容器群を包むように収納することができるとともに、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成されており、底面板と側面板との折り線を跨ぐように容器底固定片が形成されており、容器底固定片は、その一辺が基部として底面板に固着されているとともに、容器底固定片の形態に沿って底面板から切り取られて可動状態にある可動片として構成されており、可動片は、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅W0よりも広幅の拡張部が可動片の先端に向かって少なくとも1つ形成されているように構成されているので、容器底を固定する機能が安定しており容器保持力の信頼性に優れ、かつ、マルチパック包装製品の取り扱い時や落下時に紙材の破れを極力低減させることができ、しかも、出荷前検査等で、開封後の再包装の作業を簡易に行なうことができるという効果が発現する。
なお、本考案における実施形態では缶ビールの包装を例にとって説明したが、このものに限定されるものではない。例えば、発泡酒缶、チューハイ缶等のアルコール飲料缶や、缶ジュース、缶コーヒー、缶紅茶、缶入り茶等のノンアルコール飲料缶などその他の各種缶製品にも適用できることは勿論のことである。
本考案のマルチパック用包装箱は、例えば缶ビール、発泡酒缶、チューハイ缶等のアルコール飲料缶や、缶ジュース、缶コーヒー、缶紅茶、缶入り茶等ノンアルコール飲料缶等の一定数量の容器を包装するための包装箱であり、包装産業一般に利用することができる。
1…マルチパック用包装箱
2…上面板
3、4…側面板
5、6…底面板
30、30´、30´´…容器底固定片
2…上面板
3、4…側面板
5、6…底面板
30、30´、30´´…容器底固定片
Claims (15)
- 容器底の周縁に形成されたリング状の凸状リム部で包囲される容器底ドーム空間(凹部)、および容器胴と容器底との連接部位であるリング状の容器胴下部を有する容器を収納するためのマルチパック用包装箱であって、
該マルチパック用包装箱は、
並列に配置された複数個の容器群の上面を覆う上面板と、
この上面板の両側部に連接され並列された各容器の側面を覆うように配置された対向する側面板と、
これら側面板に連接され互いに係着しうる係止部を有する底面板とを備え、前記底面板を係着することにより前記容器群を包むように収納することができるとともに、側面板が存在しない両端部において容器群の一部の側面が覗く開口部が形成されており、
前記底面板と前記側面板との折り線を跨ぐように容器底固定片が形成されており、
前記容器底固定片は、その一辺が基部として底面板に固着されているとともに、容器底固定片の形態に沿って底面板から切り取られて可動状態にある可動片として構成されており、
前記可動片は、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅W0よりも広幅の拡張部が可動片の先端に向かって少なくとも1つ形成されていることを特徴とするマルチパック用包装箱。 - 前記基準幅W0の基部近傍から広幅の拡張部に至るまでに、前記可動片の両側部に括れ部が形成されている請求項1に記載のマルチパック用包装箱。
- 前記基準幅W0の基部近傍から、先端部の容器底の固定に必要な設置幅W1に至るまでに、基準幅W0よりも広幅の拡張部が2つ形成されている請求項1に記載のマルチパック用包装箱。
- 前記容器底固定片は、当該片の先端が容器底の固定に必要な設置幅を備えるとともに、当該片の先端形状が容器底の周縁に形成されたリング状の凸状リム部の内側湾曲形状に沿った湾曲形状とされる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のマルチパック用包装箱。
- 前記容器底固定片を抜いた後の開口穴に基づいて、湾曲した拡張穴部(拡張部が抜かれた箇所)から開口穴先端に向けてなだらかな湾曲部が形成され、当該形状によって、当該湾曲部とリング状の容器胴下部との当接部位において、板紙に集中される応力負荷を効果的に分散させるようになっている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のマルチパック用包装箱。
- 前記容器底固定片を抜いた後の開口穴に基づいて、湾曲した突出部(括れ部が抜かれた箇所に相当)が形成され、当該形状によって、当該突出部と容器の底部のリング状の凸状リム部との当接部位において、板紙に集中される応力負荷を効果的に分散させるようになっている請求項2に記載のマルチパック用包装箱。
- 前記2つの広幅の拡張部のうち、第2の拡張部が、容器底の固定に必要な設置幅W1に至る直前に形成されており、他の第1の拡張部が第2の拡張部よりも基部側に形成されており、
前記第2の拡張部の形成により、容器底固定片の先端における容器底の固定に必要な設置幅を増大させるとともに、簡易な形態を採択することができ高速自動ケーサー化を容易ならしめる作用が発現する請求項3に記載のマルチパック用包装箱。 - 前記底面板と前記側面板との折り線は、第1の折線と第2の折線と2本存在し、第1の折線は、第2の折線と比べてより底面板側に存在しており、
前記容器底固定片は、前記基部が第1折り曲げ線として形成されているとともに、可動片の両側部にそれぞれ形成された括れ部を結ぶ線が第2折り曲げ線として構成されており、当該第2折り曲げ線の位置は、前記第1の折線の位置よりも前記側面板側に変位している請求項2に記載のマルチパック用包装箱。 - 前記底面板と前記側面板との折り線は、第1の折線と第2の折線と2本存在し、第2の折線は、第1の折線と比べてより側面板側に存在しており、
前記容器底固定片における前記第2の拡張部を構成する半径Rの円弧の中心位置は、第2の折線の位置よりも前記側面板側に変位している請求項3に記載のマルチパック用包装箱。 - 前記容器底固定片は、前記基部が第1折り曲げ線として形成されているとともに、可動片の両側部にそれぞれ形成された括れ部を結ぶ線が第2折り曲げ線として構成されており、
前記第1折り曲げ線を山折とし、前記第2折り曲げ線を谷折としつつ、前記可動片を前記容器底ドーム空間内に潜り込ませて、前記可動片の先端がリング状の凸状リム部に当接されるように構成される請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のマルチパック用包装箱。 - 前記容器底固定片の両側部にそれぞれ形成された括れ部を結ぶ線の長さをW2とし、拡張部を結ぶ線の長さをW4とし、基部に近い両側部の幅で規定される基準幅をW0とした場合、W4>W0>W2の条件を満たしてなる請求項2に記載のマルチパック用包装箱。
- 前記容器底固定片の先端部の容器底の固定に必要な設置幅W1は、基準幅W0との関係で、W0≧W1の条件を満たしてなる請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のマルチパック用包装箱。
- 前記下面板および側面板の前記開口部側の端部における端部基準線L1から、端部に位置する前記容器底固定片における基部端部の基準幅に至るまでの距離d0が6〜9mmである請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のマルチパック用包装箱。
- 前記下面板および側面板の前記開口部側の端部における端部基準線L1から、端部に位置する前記容器底固定片における拡張部の端部までの距離d4が5〜8mmである請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のマルチパック用包装箱。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のマルチパック用包装箱に容器を収納してなるマルチパック包装製品。
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JP2010006861U JP3165082U (ja) | 2010-10-15 | 2010-10-15 | マルチパック用包装箱 |
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JP2010006861U Expired - Lifetime JP3165082U (ja) | 2010-10-15 | 2010-10-15 | マルチパック用包装箱 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20140064737A (ko) * | 2011-08-05 | 2014-05-28 | 미드웨스트바코 패키징 시스템즈 엘엘씨 | 물품 캐리어 |
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JP2017178395A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | レンゴー・リバーウッド・パッケージング株式会社 | マルチパック包装体の缶固定検査方法 |
-
2010
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